推薦図書/性・性愛・聖婚関連/その他/や~ん

Last-modified: 2023-02-11 (土) 01:03:05
  • アリュージョニスト以外のネタバレに注意
  • サイバーカラテを実践しよう (知ってる作品があったら、説明を追記しよう)
  • 最下部のコメントボックスで作品紹介を書き込むと、誰かが追加してくれるかもしれません
  • 多分図書じゃなくてもいいと思うよ
  • 参照と類似は呪力です。高めよう。
  • ほんの少しでも推薦図書に見えたのならそれが推薦図書です(邪視)。追加しましょう。五十音順に並んでいます。
  • 編集カラテ入門
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性・性愛・聖婚関連/その他

山姥たちの物語 女性の原型と語りなおし 編:水田宗子 北田幸恵

  • 零落した女神とも言われる女妖怪、山姥についての論考や研究を集めた本
  • 日本各地に伝承が残る山姥にふさわしく、語られる対象は、アイヌやノロ・ユタから中国の神話、果ては能楽にマクベスや与謝野晶子などの作家論まで実にさまざま
    • その山姥解釈はフェミニズムの影響が大きく、
      • 山姥とは、家父長制社会における「他者」として排除された女性性、および隠され押し殺された女性の要素であるという悲劇的な語りが基本である
  • その代わり、神話や伝承の研究の方は、短いながらも多くの事柄に触れていて面白い
    • ダヌ女神、中国における海の守護女神である媽祖(マソ)の生前の逸話、西インド諸島のタイノー族に伝わる鬼女「ラ・ヴァギナ・デンタータ」、金太郎の母としての山姥、さらには小野小町伝説と、
      • 山姥に関連していると思われる多くのイメージが紹介されている
        →ミヒトネッセなど魔女たち
      • まあ、中には、男性クリエイター作品の目の付け所を取り上げつつも、それは結局は男性の邪悪な視線にすぎないとして、クリエイター自体は否定するいいとこ取りな論考もあったりはするが
      • 名前だけ触れられている純狐や『白蛇伝』も含め、日本のエンタメと人ならざる女性のイメージは切っても切れない関係にあるのかもしれない
  • 山姥には、害だけでなく富や助けをもたらすような多面性がある
    • 現代女性作家による語り直しを通じて、 山姥は多義的な女の性と生を生きる、自由な女の原型として表象されてくる
    • 何者かであろうとする自己同一性の追求や、超越や救済の探究とは、そもそも男性的な思考ではないのか
    • 老いた山姥は、存在の意味や罪、救済の探究とは無縁なところにたどり着いているのである
      →魔女の立ち位置?クレナリーザ(仮)が語る沼の思考?
  • 山姥は、 「里」と「山」の境界を彷徨し、「里」の誘惑に関心をそそられる存在
  • 能楽『百萬山姥』
    • 山めぐりという彷徨を、六道を輪廻する姿と仏教的解釈
    • 山姥は、「善悪不二、邪正一如」と、一切の真理は、万象を目前に見る人の心の中にあるという禅的な心境を謡う
      →『邪視』?
    • どこから来たのかもどこへ行くのかも分からない、〈起源〉と〈終着〉の喪失があってこそ、
      • 彼女は、善と悪、真と偽、そして存在と不在といった二項対立を、絶対的に却下できる
        →『車輪の女王』ヘリステラ?ブレイスヴァ?ループ世界らしきゼオーティア?
    • 出てくる曲舞は、白拍子に由来し、そのルーツは漂白の芸能民・傀儡子(くぐつ)に遡ることができる
  • その古典曲「足柄」には、宮木とか宮姫とか呼ばれた傀儡子が、足柄明神から授けられた歌だという伝承がある
  • 沖縄の儀式
    • 久米島の最高神女・君南風(きみはえ)
    • 1500年、琉球王朝は「アカハチ・ホンガワラの乱」鎮圧において、君南風を先頭に立てて呪術合戦に勝利した
    • 勝利を収めるた君南風を称える穏やかな歌は、美しい言葉で闘争心を鎮める言霊だったのではないか?
      →『呪文』
  • 川村邦光の考察
    • 女を社会的・文化的に男の制度的な秩序のなかに囲い込み、その「女の力」をあたかも普遍性をもつものとして神聖化し、結晶させたのが「女神」
    • 女神の系譜は、生と死をめぐり、善/悪、美/醜によって「姫神」と「姥神」に差別化されている
    • 奪衣婆と山姥は、生死をめぐって対立するが、どちらも「姥神」という下位の神として分類される
      →ラプンシエルの同類?
  • 一葉と小町伝説
    • 「最後は乞食、そして犬の餌になろう」
    • 一葉が小町なるものを自己の根底に据えたのは、「語られてきた女性」を「語る女性」として取り戻し、父権の外に想像力を解き放ち、自身の尽きぬ創作源とするものであった
      →『呪文』の語り直しによる反逆
  •  円地文子『花喰い姥』
    • 死んで手紙の束となって戻ってきた男性を、未だ生き続けている作者としての円地が、一旦自分のものとして呑み込んでから、それを作中蘇らせてみせたのでは?
      →『呪文』ルウテトによる六王の再演?
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欲望のコード マンガにみるセクシュアリティの男女差 堀あきこ

  • 女性に「性への自由」を与えるという側面から、ポルノの価値を訴えている本
  • ポルノ論、マンガ論・メディア論の先行研究を、段階を踏んで、しっかりと分析している
  • ポルノの定義は論者の数だけあって、定義難しい
    • 誰がどのように読むかという文脈によってもポルノの定義は変わる。例:子供が写った写真
    • グロリア・スタイネムの「エロチカ」概念(性平等)「女性が楽しむポルノ」も、境界判定が難しい
      • ポルノ表現に因習的性規範や国家権力が介入にすることによって、性的弱者(女性、同性愛者)がさらに「性」に関する情報や快楽から締め出される可能性
  • (赤川学と同じく)この本では「ポルノとは通常の〈現実(reality)〉とは異なる別種の現実」なのだとしている
    • ポルノが直接的な「害」であるかどうかという問題ではなく、ポルノに現れている特定の構造が保つ意味を読み解くこと、そして「現実と関係を持つ別種のリアリティ」が現実とどのように関係しているのか、ということを考察すべきと考える
  • 「反ポルノ」への批判的論点:「〈性的表現を含む女性向けコミック〉」の看過について
    • 「女性の商品化」を論じることも重要だが、女性を商品化されるものとして「のみ」見ることは、女性が「性の商品化」を楽しんでいる現実を黙過するだけでなく、女性を性的に無垢なものとする視線と重なり、女性を「性への自由」から疎外してしまう恐れがある
    • また、「反ポルノ」という理念にそぐわないものを抑圧することは、女性にとって新たな抑圧を生み出すことにほかならない
    • 「女性にとって不快でない」もの以外を否定するエロチカ概念にしても、それを楽しむ女性を否定し、あるべき女性のセクシュアリティを特定のものに画定し、それをすべての女性に押し付ける側面がある
  • メディアと現実の関係を「単純化された反映理論」として論じないためには「それがどのようにして反映されるのか、いかにしてその関係が成り立ちうるのか」を吟味する必要がある
    • 石田佐恵子『メディア・スタディーズ』:「単純な反映理論からは、メディアが映し出す不均衡は・・・社会的現実との関係において揺るがし難く捉えられ、文化分析から導かれる結果が分析の主体や読み手に対抗的な力を与えること無く、優先的な読みが再構築されてしまう」
    • そうした危険に陥らないためには「言説がそれ自体として備える自立性」やそのメディアがどのような場であるのか、何が描かれ、何が独自の特徴といえるのか、という点を詳細に検討する必要があると考えられる
  • 物語そのものが女性を束縛する側面もあるだろう。
    • だが、〈物語性〉を高め他者との親密な〈関係性〉を描くこと、ヤオイの「類型」に見たように「権力構造」を〈ズラし〉固定的なものにしないことなど、男性向けポルノにはない価値観が女性向け「ポルノ」=〈性的表現を含む女性向けコミック〉にはある
    • こうしたコミックは「女性の性的快楽」を追求する「性への自由」という側面と、男性中心的価値構造から離れたところで〈関係性〉を追求する「性への自由」という多様性を持っていると言えるのだ
    • そしてその多様性は、性表現に伴いがちな女性差別的な要素を様々な〈仕組み〉によって〈ズラし〉男性中心的価値構造そのものをも「ズラそう」とする多層的なものだと言えるのである、
  • パトリック(パット)・カリフィア:検閲が、女性にとって有益に働かない側面を訴えた
  • ジュディス・マトラー:ポルノとは、誰もそこにつくことが出来ない不可能な位置を表現した、代償的幻想である

欲望のゆくえ 子どもを性の対象とする人たち 香月 真理子

  • 幼少期に性犯罪の被害を受けた著者が、さまざまな児童性愛者にインタビューして、その謎を探るノンフィクション
  • 2009年の本なので法律関係の記述は古くなってしまっているが、インタビューの質は高いため、現在でも十分に通用するだろう
  • 取材の結果、見えてきたのは、彼ら一人ひとりに生き様があり、物語があるということ
  • 彼らを孤独に追い込まないことこそが、子どもに対する性犯罪の抑止にもつながるものと信じている
  • 性犯罪の被害は、一度忘れても不幸な事件をきっかけに思い出し、全てを性犯罪のせいにしたくなることがある
  • 「美しく繊細な少女ほど、不幸な事件に遭うことが多い。私たち大人は可能な限り、子どもたちを守っていかなければならない。美しく大切なものを守らないで、いったい何を守るというのでしょうか」
  • 「異性愛を法律で規制しても誰もが同性愛者になれないように、いくら規制をしても小児性愛はなくせない。最後の砦である児童ポルノ(幼女アンドロイドソープ、リアルCG漫画などで良い)を無思慮に規制したら、今度は現実の女児に向かいかねない」
  • 「分からなくて怖いものを排除しようとする規制推進派からは『被害者も加害者も生み出さず、子どもや小児性愛者を含むすべての人がしあわせに暮らせる方法を確立しよう』との観点が、抜け落ちている」
  • すべての人が幸せになるために必要なのは、違いを見つけて対立を深めることではなく、共通する部分に目を向けて対話を重ねていくことだ
  • 性犯罪被害者が、加害者に転じることも。「自分が身体の”境界線”を踏みにじられたことにも気づけない人間は、他人の”境界線”に侵入してしまっても気づけない」
    →セージ?
  • 「その失敗の教訓を活かすため、性加害者を防犯の専門家として雇うべき」
  • 「僕にとって性暴力は”言葉にならない言葉”でした。だから、僕たちは何よりもまず、自分の気持を伝える性暴力以外の表現方法を手に入れないといけない」
  • ジュニアアイドルの母「子どもを性的な目で観る人は、小学生にしては胸が大きいだけでもそういう目で見る。表に出て何かをすれば必ず、そういう人は出てくる。水着以前の問題の気がする」
  • 矯正教育も「自分はどうなりたいか」「頑張れば、これだけのことを達成できる」という希望に焦点を当てながら、自分も満足でき、かつ被害者を出さない生き方を考えたほうが、スムーズにいくという
  • 「漫画も、性刺激を過剰に取り入れることによって、頭がセックスでいっぱいな状態を助長するものであることには変わりない」
  • 「成人の場合は、誰しもが何らかの性的ファンタジーをもっていることも事実。セックスをすべて目の敵にして、何にでも検閲をかけていたら息苦しい世の中になってしまう。バランスが難しい」

「理解のある彼くん」展開が新時代を切り開く韓ドラ『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』が名作すぎてヤバい。 倉本圭造

  • 最近の韓国ドラマと「女性の方が稼いでいるカップル」を称揚する必要性と、善悪二元論を乗り越える「敬意を失わないユーモア」の話
  • 極端な悪役を演じる「もうひとりの男」を殺さなくても済む話でもある
    ダエモデク
    note記事リンク

レイプ/男からの発言 ティモシー・ベイニケ

  • 男性のレイプ観の背景に潜む先入観を研究した本
  • 集められている男性たちの発言は、統計学的に偏りがあるものではあるが、バラエティ豊かで示唆に富む
  • 酔った女性から誘われたけど相手のことを思って断って感謝された男性や、虐待のせいで女性を恨んでいたが友情から人間への信頼を取り戻した元レイプ犯、レイプを裁く法曹関係者まで取材対象は、幅広い
  • 付録の対談:強姦は女性の存在そのものに対する殺人行為
    • 「強姦ができることが男らしさの証明」だという社会の鋳型、男性性の神話のなかで、男性もどれほど苦しんでいるかというところの証明がなされている
    • 性行為のバリエーションであるという解釈があるために、強姦の犯罪性が立証できにくい
    • またそれを助長するようなサブカルチャーがあるので、男には強姦願望があり、女には被強姦願望があるという神話と幻想が再生産されやすい
    • レイプとは言えないまでも、準レイプ状況はほとんどの人が体験しているのではないか?
    • レイプというのは、階級制のもとにおける強者の、弱者に対する支配と暴力の形態
    • レイプは、実際には日常的なものなのに、自分とは無縁なものと思い込みがち
    • 何かを変えていく時に、マイノリティの声は声高にならざるを得ない
      • 対等な関係性、どちらにとってもいい関係性を築きたいから、語りかけている
    • 怒りと結びついたアンガーレイプ、自分の社会的に去勢された部分を回復したいというパワーレイプ
    • レイピストを弁護するわけではないが、男性の抑圧を見なければ、レイプの発生原因から目をそらすことになる
    • 短絡的に可愛そうな人だから許すというのも、レイプの犯罪性をクリアにしないと違う
    • レイプは加害者に罪を償わせて終わりではなく、なぜなのかという問いかけを一番多く必要とする犯罪
    • 男らしさ、積極的アプローチやお金を男に要求する女性向け作品も
    • 女性を受動的にするファンタジー:それによって自分の生き方に責任をもっていく生き方というのを避ける
    • 女性の方でも、ひとりの人間として生きていく生き方というのを、どこまで自分のものにできるのかという問題
    • レイプの被害を隠さなきゃいけない社会とは?
    • 性暴行というのは、個人とその個人をとりまくあらゆる人間関係も破壊してしまうほどの、恐ろしい犯罪
  • じらしているのではなく臆病なだけだったり、男性からは合意に見えても同情でセックスしたり根負けして後で強制されたと語られることもある
  • 男性はたえず女性の外見から行動を仕掛けられているように感じている
    • 男も女も、自分のほうが行動を仕掛けられている、自分は受動的だ、と感じているのかもしれない
    • 女性の外見は武器であるという考え方は、性的快感は人を無力にするという考え方と、切っても切れない関係にある
      • 女性の外見は武器であるというテーマは、レイプを正当化し、レイプされた女性に対する冷たい態度を正当化するのに用いられる
      • 多くの男はこんなふうに考える――――俺に対して力をおよぼし、その力を濫用するような人間たちには同情できない
      • ジョージ・ラーコフによると、女性の外見は武器であるという考え方は、もっと一般的な、すべて知覚は受動的であるという見方の一部である
    • 知覚は、感覚器官に働きかける外部からの刺激によって説明される
      • すなわち、何か私の身に起き、私には選択の余地がないとされるが、これは嘘である
      • 人間は自分の知覚するものに対して、意識的であれ無意識的であれ、能動的に知覚し、選択している
      • 男たちはしばしば、女性の身体をこそこそ盗むようにして知覚することを選択する
    • これが、女性を欲望の対象としてポルノグラフィー化する、あるいは「物」として観る人間性を無視した「まなざし」であり、レイプを女性の責任にする思考の原因である
      • 女性の身体部位のみに性的な興奮を感じることは、その女性を物におとしめ、ポルノグラフィーとして盗んでいるのと同じこと
        →『邪視』、ミヒトネッセの呪術、イアテム
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ロリコン 日本の少女嗜好者たちとその世界 高月靖

  • 日本のロリコン・少女嗜好関係の歴史や文化をまとめている本であり、ノンフィクションというよりエッセイに近いかも(2009年刊行)
  • いきなり18禁マンガのストーリーや画像が引用されるので人を選ぶが、引用されている情報が多いため資料としてはそれなりに役立つ
  • 「ロリコン」を弁護する内容や多様な角度から切り取った分析もあるが、性犯罪被害の情報のほうが多く強烈な印象を与えるため、それほど中立的とは言えないかも
  • 少女愛好の究極は、一体化願望・変身願望?
  • 「エッチも芸術だ!」と、この際はっきり言わなくてはいけないかもしれません
  • 性は、とても奥が深くて、客観的に見ても面白いテーマだと思う
  • 二次元の誇張・脚色された性表現は、読者のみなさんはもちろん、嘘だと分かった上で娯楽として受け入れていると思います
  • ロリコンの大多数は犯罪なんてしない
    • 僕ら全員が異常者だったら、世の中はとっくに大変なことになっている
  • ロリコンが気持ち悪いのは「男性は女性より強くて賢い」というジェンダー像から逸脱しているから?
    • 年齢の倒錯を連想させるから?
  • 少年が手っ取り早くセックスにありつくには、集団のコンセンサスに適った自己アピールや「場の空気」を読むリテラシーが欠かせない
    • 彼らがこれらを学ぶ主な場所は学校だが、クラス内のスクールカーストで下位に置かれる層=異性に人気がない層は、その学習に参加できない
    • 代わりに与えられるのが、恋愛は「真心」が大切だというアドバイスだ
    • だが、「真心」くらいは大抵誰でも持ちうるので、もともと異性に人気がない下位層にとてこれは役に立たない
    • こうして「真心」は、逆に下位層を恋愛市場の外に縛り付けておく足かせとなる
  • 少女の期間は短く、少女は短命と言える。「時間が止まったとき、少女たちは『少女』であることを全うする」(本田和子『オフィーリアの系譜』)
  • 生きた人間の時間は、死によって止まる
    • つまりそれが「少女が美しくあるために『夭折』は不可避の運命」ということだ
  • 我々は基本的にいつも、死と生殖をめぐる自己保存の衝動から逃れられない
    • だが性的なカタルシスはしばしば、そうした支配から一瞬だけ解放してくれる
    • 最大限に達した自己保存の充足感が死の恐怖と釣り合い、その瞬間だけ自由になれるわけだ
    • 死と結びついた少女の偶像は、ロリコンにとってそうした解放への媒介であり、そこへ彼らの根源的な無意識の衝動が殺到する
    • 死の偶像にカタルシスを求める彼らの行為は、どこか宗教と似ているかもしれない
    • 一部のロリコンが、身もふたもないポルノ描写よりも聖なる少女の神秘性といったイメージを重視するのもそのせいだろうか
  • 子供の死因は交通事故などの不慮の事故が一番多いが、ドライバー死亡事故のリスクに無関心な者も多い
  • 性に関する話題は、わかりやすく、我々にとって優先度が高い関心事
  • 成人相手のレイプ犯もみな異性あるいは同性に対する性的関心の持ち主だが、逆の証明が成り立つとは誰も考えない
  • 性犯罪者の条件は、少女嗜好というより、衝動の抑制力が低く、他人の気持ちを感挙げる想像力や良心が欠けているから
  • 実行に移せない対象に性的関心を持つのは、アイドルや芸能人・二次元と同じ
  • ロリコン文化とは無関係に、性犯罪は減っている
    • 昔のほうがロリヌードなどはあけっぴろげに出回っていた
  • たいていの人が何らかの心理的な問題を抱えながら暮らしてる
    • 性や精神をめぐる多くのことが病理化されているいま、無条件に自分が健康だと確信できてしまう人のほうが病的に見えかねない
  • 社会には、少女に対する性的関心を見えなくしておきたいというバイアスが強く働いている
    • ロリコンに限らず、性をめぐる色んなことが、社会によって拘束具をハメられている
    • それは文化であり、何もかもタガを外せばいいわけではない
    • ただ、そうした拘束具を必要とする理由について知ろうとすることは、意味があることのように思える

WORKDESIGN 行動経済学でジェンダー格差を克服する イリス・ボネット

  • デザインの力でジェンダー格差を解消するための、理論と実践を示した本
  • あらゆる面からの、無意識バイアスへの対策を記載している
  • 公共政策大学院で教えている筆者の本であるだけに、企業実務や政策にすぐ役立つように書かれているという
  • さらに、ダイバーシティ研修や汎用型のリーダーシップ研修など、むしろ逆効果がある対策の取りやめを呼びかけたりもしているのが特徴
  • 好ましいデザインは、人々の背中を軽く押すことにより、好ましい結果を生み出せる
    • 具体的には、好ましくない行動を生んでいる根本原因をあぶり出し、それを改めるのに適したデザインを考えればいい
  • ただし、人は誰もがバイアスと無縁ではないという、やっかいな現実を認めねばならない
    • 「世界がどうなっているか」というステレオタイプは、しばしば「世界がどうあるべきか」という話にすり替わってしまう
  • 平等は、ビジネスと経済にもプラスになる 
    • ただし、ジェンダーの平等がビジネスに好ましい影響を及ぼすと言っても、平等を確保すれば必ず経済面の効果が生まれるわけではない
  • したがって、ジェンダーの平等を訴える最大の根拠は、道徳的な理由に求めるべきである
    • 平等を実現するのは道徳的に正しいことだ
    • この点は議論の余地がない
  • 能力と好感度のトレードオフ
    • 名前を男性名に変えるだけで、履歴書が大好評に
    • 男性なら立派な起業家精神として評価される要素も、女性の場合は、高慢で出しゃばりとみなされる
    • これは、女性にとって袋小路の状況だ
    • この状況が起きてしまうのは、ステレオタイプ(女性に期待される性別役割)と、典型的な「男の仕事」で成功するために必要と思われている資質が衝突するからだ
    • 逆に「女性は他人の世話をするもの」というステレオタイプに従って行動すれば、好感をもってはもらえるが、敬意は抱かれない場合が多い
    • (ただし、人種のステレオタイプも加わると、また状況は変わったりもする)
  • ジェンダー平等のためのデザインーー人事上の決定にデータを用いる
  • 人事のあり方を根本から変えられる手法「ピープル・アナリティクス」
    • データを大量に収集し、高度なプログラムを使ってパターンやトレンドを見出すなどのデータ分析
    • アルゴリズムの活用を促すために、人間がアルゴリズムの判断を修正する余地をつくる
      →創アにおける、自己判断を加え、AI判断を軌道修正するアキラくんのサイバーカラテ?
  • 私が企業に勧めているのは、能力構築に研修の重点を置き、「解凍→変容→再凍結」の枠組みを採用することだ
    • マックス・ベイザーマンとドン・ムーア『行動決定論』から
    • 需要なのは、意識を高めようとするだけでなく、好ましい意思決定を助ける手立ても与えること
    • そして、研修で学んだ新しい考え方や行動を定着させる(再凍結する)ための方法を考えること
      →『氷結呪』?
  • 「規範起業家」になる
    • ランキングをうまく活用して、人や組織が互いに競い合いながら、ジェンダーの平等を高めるように促すという手法もある
      →『地上』の序列と競争主義の良い側面?
  • ただし、あらゆる局面で通用する「魔法の杖」は存在しない
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