死の秘宝/11~13章

Last-modified: 2022-01-06 (木) 14:35:27


11章

どうしてもというときだけは

■日本語版 11章 p.311
「親は」ハリーが言った。「子どもから離れるべきじゃない。でも―でも、どうしてもというときだけは」

■UK版 p.177
'Parents,' said Harry, 'shouldn't leave their kids unless-unless they've got to.'

■試訳

  • 「親は子供を置いていってはいけない。どうしても―どうしても、そうしなければいけないとき以外は」

■備考

  • ハリーがシリウス、ダンブルドア、リリーの死のイメージを抱きつつ言うセリフ。
  • このセリフの続きが後に出てきません。
    文が切れてる時は、言いたいことが分かってる時だと思うんですが、
    前後を読んでもこの先言いたかったことが分かりません。
    「どうしてもというときだけは」の後、ハリーは何を言いたかったんでしょうか?
  • got to の後が省略されているけれど、この場合「死によって別れる」が省略されていると思う。
    have got to は自分の意思ではなく、状況的にそうせざるを得ない、ではないでしょうか。
    ここは意味合いとしては
    「逃れようがない時(死による別れ)以外は親は子供から離れてはだめなんだ」
    かと思いました。
  • 訳の「どうしてもというときだけは」だと、親の意思でと読めてしまうので、変な感じがします。


12章

ホグワーツ校長に確定

■日本語版 12章 p.327
セブルス・スネイプ、ホグワーツ校長に確定

■UK版 p.186
SEVERUS SNAPE CONFIRMED AS HOGWARTS HEADMASTER

■試訳

  • セブルス・スネイプがホグワーツ新校長に就任

■備考

  • 日刊予言者新聞の大見出し。
  • 翻訳が直訳調で不自然。


伝統と価値を高揚

■日本語版 12章 p.327
『わが校に於ける最善の魔法の伝統と価値を高揚する機会を、我輩は歓迎する――』

■UK版 p.186
'I welcome the opportunity to uphold our finest wizarding traditions and values -'

■試訳

  • 『私は喜んで、魔法界のすばらしき伝統と価値観の維持に努める所存であります――』

■備考

  • 【高揚】精神や気分などが高まること。また、高めること。(大辞泉)
  • 普通「伝統と価値」は高揚しないよね…?
    「機会を歓迎する」って言い方も変だし。
  • uphold traditionsときたら「伝統を守る」だろ。
    それ以外に訳しようないだろ。
  • I welcome を「我輩は歓迎する」にしたのか…
    ほんと機械翻訳みたい。


二の舞

■日本語版 12章 p.338
セドリックの二の舞だ。

■UK版 p.192
It was Cedric all over again,

■試訳

  • セドリックの時と同じだ。

■備考

  • ヴォルデモートが関係ない女性を殺したことがわかった場面。
  • 「二の舞」というのは
    『人のあとに出てそのまねをすること。特に、人のした失敗を繰り返すこと』(大辞泉)
    だよ。
    セドリックは失敗したわけじゃないし、だれも真似なんかしていない。


セキセイインコに目隠し覆い

■日本語版 12章 p.344
「―そして待つ」
ロンは言葉を引き取り、セキセイインコに目隠し覆いを掛けるように、ハーマイオニーの頭からマントを被せながら、呆れたように目をぐるぐるさせてハリーを見た。

■UK版 p.195
"- and we wait," Ron finished, throwing it over Hermione's head like baize over a budgerigar and rolling his eyes at Harry.

■試訳

  • ロンは言葉を引き取ると、うるさく騒ぐ小鳥のカゴに覆いを掛けるような感じでハーマイオニーの頭にマントを被せ、ハリーに向かってやれやれという顔をしてみせた。

■備考

  • "baize over a budgerigar"というのは「やかましい人を黙らせる」という意味のイディオムだそう。
    baizeはインコが寝るときカゴに掛けてやる覆いだけど騒がしいときもこれを掛ければおとなしくなるらしい。
    この訳では意味がわからないね。
  • あとrolling one's eyesをよく直訳してるようだけどこれもどうかと思う。
    呆れたりしたときの表情のことだけど、日本語で目をぐるぐると書かれても変だし。
  • セキセイってわざわざつけてるところがセンスない。


痛い変身

■日本語版 12章 p.348
痛い変身が終わるとハリーは一メートル八十センチ以上の背丈になっていた。

■UK版 p.197
Once the painful transformation was complete, he was more than six feet tall and,

■試訳

  • 辛い変身が完了すると、ハリーは優に180センチを超える背丈になっていた。

■備考

  • 訳文がこなれてないから、ハリーの身長か何かを意識して変な書き方になってしまったように思える。
    「180cm以上」には「180cm」も入るし、それだと英国人としてはあえて書くほどのノッポとも思えないからね。
  • 実際は6フィート(183cm)超なんだから、たぶん185~7cmくらいになったと考え、
    「辛い変身が完了すると、ハリーは優に180センチを超える背丈になっていた。」
    とかすればもう少し自然に読めるかな。
  • the painful transformation を痛い変身と訳すのか。あんまりだ。


13章

魔とめられ

■日本語版 13章 p.361
四角い紙は一枚一枚のページで、それが集められて折りたたまれ、魔とめられてから、作業者の脇にきちんと積み上げられていた。

■UK版 p.205
that the paper squares were pages, which when assembled, folded and magicked into place, fell into neat stacks beside each witch or wizard.

■備考

  • 7巻13章でハリーがアンブリッジの部屋に着く前のシーン。
  • magic into は別に造語でもないけどな。
    魔法で~な状態にするっていう意味だよ。
    ちなみにmagic awayだったら魔法で姿を消す、みたいな意味。
    無理やり「魔とめる」にする必要はない。
  • 普通に辞書にある通りのmagicの動詞の意味で「魔法をかける」でいいじゃん。
  • 「魔法でまとめて」じゃ駄目なのか。
    魔とめてなんて単純に気持ち悪いよ。


魔のいいことに

■日本語版 13章 p.368
なんと魔のいいことに、ぐしょ濡れのロンがお手上げだという目つきで乗り込んできた。

■UK版 p.209
To his enormous relief, when it rattled to a halt at level two, a soaking-wet and wild-eyed Ron got in.

■備考

  • ハリーが部屋を出てエレベーターでロンと会うところ。
  • 別に「魔のいい」とかって造語をする必要はないだろう。
  • 訳者はまた勝手にアピールポイントにしたわけか。
    これはキツイ。
  • わざと特定の単語のまを魔に換えるのは訳者の十八番だな。
  • 「ぐしょ濡れ」って言葉汚くないか?
    それに、アダルトものっぽい響きがある。
  • だいたい「ずぶ濡れ」とするべきところを「ぐしょ濡れ」としてる。
    あと「ぬかるんだ畑」を「グショグショした畑」とするなど擬態語を使うこと自体が不適当で汚い例も多い。
  • 決して「間違い」じゃないんだけれど、訳者の選択する形容詞って、なんで下品な響きのものが多いんだろう…


青物商

■日本語版 13章 p.378
「両親の職業、青物商」

■UK版 p.215
'Parents' professions: greengrocers.'

■試訳

  1. 八百屋
  2. 青果販売業

■備考

  • 確かに辞書ひくと、そのものずばり青物商って出てくるんだけど、これってどうなんだろう?
    八百屋さんが職業書くときは青物商となる?と思ったりして、少し検索したら歴史ものしかヒットしなかった。
  • greengrocerは普通は八百屋だよね。
    役所の書類らしくするなら「青果販売業」ってとこだと思う。



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