JFK

Last-modified: 2025-11-08 (土) 00:36:41
  1. アメリカ合衆国第35代大統領、ジョン・F・ケネディ(John F. Kennedy)の略称。彼にちなみ命名されたニューヨークのジョン・F・ケネディ国際空港を指すこともある。
  2. 2000年代後半の阪神タイガースで活躍した鉄壁のリリーフ陣、ジェフ・ウィリアムスJeff Williams)*1藤川球児Fujikawa)*2久保田智之Kubota)*3の3人の頭文字を取った呼称。

本項では2. について述べる。

概要

岡田彰布監督(第一次政権)が率いた2005年の阪神タイガースは上述の3名を勝ちパターンとして擁し、6回までにリードしている試合の勝率が9割超えという圧倒的な成績とともにセ・リーグ優勝を果たす*4。当年の阪神の象徴として、優勝の原動力となった救援陣を指す本呼称が広く知れ渡った。
明確な発祥は定かではない*5が、公の場に出現したのは7月19日。前日の対横浜戦にて同3名の継投で零封勝ちを収め、翌19日に刊行された日刊スポーツの見出しに「JFK」の文字が掲載された。以降は上述の活躍も相まって浸透していく。

以降は岡田彰布監督が退任する2008年まで4年間にわたりJFKの起用が続き、当年終了時点で3人全員がいずれかのシーズンで75登板以上及び40ホールドポイント以上の経験ありという記録的な成績を残した。


年度別成績

太字はリーグ最高、赤太字はNPB記録

  • 2005年
    頭文字選手名登板防御率セーブホールド奪三振奪三振率
    2231.84288632611.75
    JJ. ウィリアムス752.110379010.57
    F藤川球児801.3614613913.55
    K久保田智之682.122739710.82


  • 2006年
    頭文字選手名登板防御率セーブホールド奪三振奪三振率
    1571.94365822811.62
    JJ. ウィリアムス471.90326499.32
    F藤川球児630.68173012213.84
    K久保田智之473.961625710.26

ウィリアムス及び久保田の故障離脱により登板数が減少。チームは終盤に中日ドラゴンズを猛追するも、シーズン2位に終わる。


  • 2007年
    頭文字選手名登板防御率セーブホールド奪三振奪三振率
    2211.5146942829.90
    JJ. ウィリアムス600.96042669.09
    F藤川球児711.6346611512.47
    K久保田智之901.750461018.42

この年から久保田がセットアッパーへ、藤川がクローザーへ配置転換。安定した成績を残すが、2人ともに70登板以上(久保田に至ってはNPB記録の90登板*6を記録したため酷使を心配する声が上がった。


  • 2008年
    頭文字選手名登板防御率セーブホールド奪三振奪三振率
    1872.3343612309.94
    JJ. ウィリアムス553.095256510.62
    F藤川球児630.673859012.05
    K久保田智之693.16031757.93

ウィリアムスと久保田が懸念通り不調に陥り、このシーズンでは最大13ゲーム差を巨人にひっくり返される歴史的V逸を喫した。


終焉

久保田は2008年オフに先発転向を志願するも、酷使が祟り2009年の登板は先発1試合のみ*7。ウィリアムスも故障で思ったような成績を残せず、スコット・アッチソンにセットアッパーの座を奪われ2009年限りで退団。
JFKは事実上の解体を迎え、藤川のみがクローザーとして活躍を続けた*8


類似例

「JFK」以降、メディアではリリーフ陣の頭文字を取る命名法が流行した。

北海道日本ハムファイターズ

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HAMの方程式(2006年)

頭文字選手名
H武田久Hisashi)
A(and)
Mマイケル中村(Michael)

TOM / TIM(2006年)

頭文字選手名
T武田久
O岡島秀樹(Okajima)
I伊藤剛(Itoh)
Mマイケル中村

千葉ロッテマリーンズ

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YFK(2005年~2007年)

頭文字選手名
Y薮田安彦Yabuta)
F藤田宗一(Fujita)
K小林雅英Kobayashi)

YFK(2010年)

頭文字選手名
Y薮田安彦
F古谷拓哉(Furuya)
K小林宏Kobayashi)

埼玉西武ライオンズ

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TTT(2015年)

頭文字選手名
T武隈祥太(Takekuma)
T増田達至Tatsushi)
T髙橋朋己(Tomomi)

読売ジャイアンツ

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KHT(2006年)

頭文字選手名
K久保裕也Kubo)
H林昌範Hayashi)
T豊田清Toyoda)

TAHU(2006年)

頭文字選手名
T豊田清
A会田有志(Aida)
H林昌範
U上原浩治Uehara)

SKY / スコット鉄太朗(2012年)

頭文字選手名
Sスコット・マシソンScott)
K西村健太朗Kentaro)
Y山口也(Yamaguchi)

USA(2018年)

頭文字選手名
U上原浩治
S澤村拓一Sawamura)
スコット・マシソン
Aアルキメデス・カミネロ(Archimedes)

NTR(2025年)

頭文字選手名
N中川皓太(Nakagawa)
T大勢(Taisei)
Rライデル・マルティネス(Raidel)

東京ヤクルトスワローズ

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ROB*9 / 14ROB(2015年)

頭文字選手名
14秋吉亮(背番号)
Rオーランド・ロマン(Roman)
Oローガン・オンドルセクOndrusek)
Bトニー・バーネットBarnette)

横浜ベイスターズ

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クアトロK*10(2005年~2007年)

頭文字選手名
K木塚敦志(Kizuka)
川村丈夫(Kawamura)
加藤武治(Katoh)
マーク・クルーンKroon)

中日ドラゴンズ

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TAI(2010年)

頭文字選手名
T高橋聡文(Takahashi)
A浅尾拓也Asao)
I岩瀬仁紀Iwase)

大福マル(2020年)

頭文字選手名
祖父江
敬登
マルライデル・マルティネス

オリックス・バファローズ

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KKO(2005年)

頭文字選手名
K菊地原毅(Kikuchihara)
K加藤大輔(Katoh)
O大久保勝信(Ohkubo)

JHK(2010年)

頭文字選手名
Jジョン・レスター(Jonathan)
H平野佳寿Hirano)
K岸田護Kishida)

NHK(2012年)

頭文字選手名
N中山慎也(Nakayama)
H平野佳寿
K岸田護

USJ / USA(2022年)

頭文字選手名
U宇田川優希(Udagawa)
S山﨑颯一郎Soichiro)
Jジェイコブ・ワゲスパック(Jacob)
A阿部翔太(Abe)

阪神タイガース

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PKO / PKO問題*11(1992年~1993年)

頭文字選手名備考
Pジム・パチョレックPaciorek)
K亀山努(Kameyama)1992年
郭李建夫(Kuolee*121993年
Oトーマス・オマリー(O'Malley)

SHE(2005年)

頭文字選手名
S桟原将司(Sajikihara)
H橋本健太郎(Hashimoto)
E江草仁貴Egusa)

MKD(マクド)(2017年)

頭文字選手名
Mマルコス・マテオ(Mateo)
K桑原謙太朗Kuwahara)
Dラファエル・ドリスDolis)

及岩石(およがんせき)*13(2025年)

頭文字選手名
川雅貴
崎優
井大智

福岡ソフトバンクホークス

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SBM / SBM48*14(2009年~2010年)

頭文字選手名備考
S攝津正Settsu)
Bブライアン・ファルケンボーグBrian)
M馬原孝浩Mahara)
48甲藤啓介(背番号)2010年

藤松杉(ふじまつすぎ)*15(2025年)

頭文字選手名
井皓哉
本祐樹
山一樹


余談

JFKを酷使したことから当時の阪神監督である岡田彰布には一部で「中継ぎを酷使する」というイメージがついてしまっている*16が、当時の阪神先発陣は主戦投手である下柳剛を筆頭に完投能力が著しく低く*17*18、JFKに依存せざるを得なかったという事情があった。


関連項目

  • UNKO…広島版。ただしこちらは蔑称として使われた略称で、JFKの「勝利の方程式」をもじって「敗北の方程式」とも呼ばれた。
  • 日刊スポーツ



Tag: 阪神


*1 現・阪神タイガース駐米スカウト
*2 現・阪神タイガース一軍監督
*3 現・阪神タイガース一軍投手コーチ
*4 この年の阪神はJFKを始め先発・救援陣ともに三振を取れる投手が揃っており、当時のNPB記録を更新するチーム奪三振数1208個を記録している。
*5 一説では阪神公式掲示板とも。
*6 ただし当時の久保田は登板しないとむしろ調子を落としてしまうようにも見えており、多めに使うことそのものは変な判断ではない。それでも全144試合で90試合登板は翌年どうなったかを考えても十分酷使と言えるが。
*7 翌年以降は中継ぎに戻るも、2010年を除き目立った成績を残せず2014年引退。
*8 その藤川はメジャー移籍と独立リーグを挟みながらも2016年に阪神へ復帰、2020年まで現役を続けた。なお、JFKに名を連ねた3人は2025年時点でも全員が監督、コーチ、スカウトとして阪神球団に所属し続けている。
*9 英語で「強奪する」という意味の単語。「勝利を強奪する」という意味とかけていると見られる。
*10 「クアトロ(Quattro)」はイタリア語で「4」という意味。
*11 当時の一軍外国人枠は2名であったため、誰を外すかが問題となったことと(結局パチョレックが不振と腰痛で退団)、当時の日本において国連平和維持活動(PKO)に自衛隊を派遣するか否かが議論されていたことをかけている。1992年にオマリーがシーズンを通して活躍し定着したことから翌93年はオマリーを抜いたことと、Jリーグ発足でサッカーブームに沸いた社会情勢からペナルティキックにかけてPKとも呼ばれた。
*12 カタカナ表記は「クォリー・チェンフー」
*13 デイリースポーツが命名。かつて有吉弘行が所属していた「猿岩石」が元ネタであると思われる。実際には石井が8回、岩崎が9回を担うことが多かった。
*14 本業の「ソフトバンクモバイル(SoftBank Mobile)」とかけた名称。後者はAKB48をもじったものである。
*15 3人全員に木に関する漢字が入っているため、「樹木トリオ」とも呼ばれる。
*16 一例をあげると金本矢野時代にブルペンコーチを担当していた金村曉は22年オフに球団から二軍コーチのオファーを受けていたのだが、岡田が監督に就任すると聞き、「ちょっと投手陣を預かる身として心配な部分がたくさんあった。オファーが2軍コーチだったんですけど。であれば、けが人が2軍でくるのは耐えられないので『すみません』とお断りした」と退団を選択した。しかし、23年シーズンに入ってから実際の岡田のリリーフの運用を見て「話が違うじゃん。だったらやったのに」と後悔したというエピソードがある。
*17 06年までの阪神先発陣の中で完投能力が高かった井川慶と福原忍の2枚看板はそれぞれメジャー移籍と不調でローテから外れ、下柳も加齢によってイニングを食えなくなっていた。
*18 久保田が90試合投げた2007年は12球団で唯一規定投球回に乗った先発が1人もおらず、特にJFKへの依存度が高くなった年といえる。