目次
概要
- MHWildsにて登場した超大型海竜種、凍峰竜ジン・ダハドとの戦闘で流れるBGM。
- 汎用BGMの流用を除き、専用BGMを有する海竜種はウズ・トゥナと並んで2例目となる。*1
- 氷霧の断崖の頂点捕食者に君臨するだけあって、他の地域の頂点捕食者同様に専用BGMを有するが、
それだけに留まらず、なんと専用BGMが3種類存在する。
専用BGMを3種有するモンスターはメインシリーズではイヴェルカーナのみであり、
フェーズ移行で曲が変化する仕様に限って見れば前代未聞である。
今作のラスボスでさえ2種類のBGMしか持たないことを踏まえると、
いかに破格の待遇であるかがわかるだろう。
またメインシリーズにおいてもラスボス、古龍、特殊個体、アップデートで追加されたモンスターに該当しない物で、
複数の専用BGMを持つモンスターはシェンガオレン以来となる。- 外伝作品を含めて見ても3つ以上の専用BGMが設定されているモンスターは、
MHFにおけるラヴィエンテやシャンティエンといった、様々な面で規格外となるモンスターしか存在しない。
- 外伝作品を含めて見ても3つ以上の専用BGMが設定されているモンスターは、
- 全編を通してパイプオルガンが非常に象徴的に用いられており、
さながらトッカータのような荘厳な雰囲気を醸し出している。
チャイムやゴングといった打楽器の音もその荘厳さに拍車をかけている他、
冷気を扱うモンスターとしてのイメージの後押しにもなっている。
主旋律にはトロンボーンやホルン、コントラバスなど、低温低音の楽器が多用されており、
超大型モンスターの重みと大きさが伝わるようである。
また、あまり目立つほどのものではないがシンセサイザーも利用されている。
ただし、本編ストーリーのジン・ダハドの直前で戦う彼と比べると、
戦闘中のBGMでは気付かない程度の使われ方となっている。
- 全フェーズを通してほとんどが5拍子で構成されている。
モンハンにおいて5拍子の曲といえばアマツマガツチのBGMや、ナルガクルガのBGMなどが挙げられるが、
どちらも変則的に拍子が変わるため、5拍子をキープしたまま続く曲はなかなか珍しい。- 拍子自体は5拍子なのだがリズムの方はかなり変則的で、小節を跨いだ不可思議なメロディが続く。
そのため一聴しただけでは拍子の方が変拍子であるように思えてしまうことも。
- 拍子自体は5拍子なのだがリズムの方はかなり変則的で、小節を跨いだ不可思議なメロディが続く。
霜烈なる氷塞の主 ー睥睨ー
- 使用作品
- MHWilds
- 作曲
- 平沼 優奈
- 第一エリア・第二エリアにて流れる、第一フェーズに当たるBGM。
パイプオルガンによるイントロから始まる。
このイントロ、チャイム、パイプオルガン、低音の管弦といった音で構成されており、
礼拝堂の中にでもいるのかと錯覚するくらいに荘厳かつ神聖であり、
強烈なファーストインプレッションを植え付けられるものとなっている。
このイントロから明確な格の違いを確信した人も多い。
- 静かながらも力強い中低音のメロディが主体だが、
その旋律の上で美しいトランペットやバイオリンといった高音もアクセントとして効いており、
曲としての盛り上がりは十分である一方で、曲自体はかなり落ち着き払った印象を受けるだろう。
さながら凍峰の主たるジン・ダハドと相対することへの畏怖を表しているかのようである。- 一方で、静けさと盛り上がりが上手く両立しており、
曲としての纏まりの良さを感じさせることから、
ジン・ダハド戦闘BGM3種の中でも屈指の人気を誇る曲となっている。
- 一方で、静けさと盛り上がりが上手く両立しており、
- 非常に人気の高いBGMとなっているが、ジン・ダハドはギミック的に氷霧の断崖に姿を現す事があり、
断崖のジン・ダハドにある程度攻撃を加えると氷鎖の凍峰に移動し、エリア3から開始するクエストが発生する。
この第一フェーズのBGMはエリア2まで流れるため、この形式のクエストでは一切流れない。
そして護石周回などのためにジン・ダハドを周回する場合は
第一フェーズをカットしたクエストのほうが圧倒的に効率が良い為、
結果的にこの曲を聞く機会は大幅に減ってしまった。- ただしこのクエストを出す過程で氷霧の断崖に現れたジン・ダハドとの戦闘中は、
この第一フェーズのBGMが流れるため、聞く機会がなくなったわけではない。
- ただしこのクエストを出す過程で氷霧の断崖に現れたジン・ダハドとの戦闘中は、
- 睥睨とは、流し目で周囲を威圧するように見回す事を指す。
ジン・ダハドもこの段階ではまだ、ハンターの実力を推し量っているに過ぎない、
といったところだろうか。
霜烈なる氷塞の主 ー覚悟ー
- 使用作品
- MHWilds
- 作曲
- 平沼 優奈
- 第三エリアから流れ始める、第二フェーズにあたるBGM。
厳かなオルガンの音から始まった第一フェーズと異なり、
管楽器を主体としたファンファーレから始まる。
- 落ち着きのあった第一フェーズと比較すると、かなりリズミカルな曲調になっており、
トッカータのような曲調から一転して、スネアの音も相まってマーチのような曲となっている。
それに合わせて主旋律の管楽器もかなりアクセントの聞いた音となった。
ただしリズミカルではあるものの、メロディ自体は第一フェーズのBGMよりおどろおどろしさを感じさせる。- 三連符が多用されているのもリズミカルさの強調に一役買っているだろう。
- 3種あるジン・ダハドのBGMの中でも構成やリズムが特に独特であり、
5拍子という変拍子の中で旋律が目まぐるしく変化していく。
超大型の巨体を誇りながら、ブレスと肉弾戦、冷気と熱気を同時に操る、
技巧の面にも長けたジン・ダハドの力の一端を覗くような曲調である。 - 第一フェーズと比べて曲を構成する楽器や音の種類が増えており、
イヴェルカーナやウカムルバスのようにピアノが使われ始めるのに加えて、
吹き抜けるようなシンセサイザーの音、さらにはシタールのような弦楽器の音も聞こえる。- シタールは北インド発祥の民族的な弦楽器。
大体の人が想像する「インド的な音」の正体がシタールである。
一見するとインドという土地と寒冷な気候は結びつきが無いように見えるが、
インドの北部にはエベレストで有名な*2かのヒマラヤ山脈が聳えており、
インドプレートとヒマラヤプレートの衝突はヒマラヤ山脈形成の要因とも言われている。
また、ジン・ダハド自体にもインド的な要素が含まれており、
ダハド(Dahaad)はヒンディー語で「咆哮、轟音」を意味する。
そういった意味合いを含めてシタールのような楽器が用いられているのかもしれない。
- シタールは北インド発祥の民族的な弦楽器。
霜烈なる氷塞の主 ー審判ー
- 使用作品
- MHWilds
- 作曲
- 茅根美和子
- ジン・ダハドが地盤を叩き割り、エリア4へと下った最終フェーズのBGM。
リズミカルだった第二フェーズからさらにテンポアップし、
アップテンポかつヒロイックな曲となって、一気に盛り上がりを見せる。
- 第一、第二フェーズとは異なる完全に新規のメロディで構成されており、
凍峰の主と対峙することへの畏怖のようなものを感じたこれまでとは違って、
ようやくジン・ダハドが本気を出してハンターと戦うようになったという雰囲気である。
それは同時に、ジン・ダハドが本気を出さざるを得ないほどに追い詰められているという事でもあり、
この曲に於いてもジン・ダハドの苛烈さの他に、進撃するハンターの雄姿をも感じさせる。- この曲が流れ始めるエリア4に下りるのは上位に上がってからであり、
必然的に上位に上がってから初めて聞くことになる。
下位時点では流れない事もそういったイメージを増強させる。
- この曲が流れ始めるエリア4に下りるのは上位に上がってからであり、
- 第二フェーズと第三フェーズとの関係は古龍の王のBGMの前半と後半に近い。
特に最終段階に移行すると、一転してハンターの勇猛さを表すかのように、
熱く激しいメロディとなり、際立つドラムの音が聞こえるという点はよく似ている。- ただし、勝利への確信すら感じさせる古龍の王のBGMと違って、
ジン・ダハドのBGMはそういった勝ち確BGM的なイメージは薄く、
寧ろジン・ダハドからハンターたちに対しての怒りともとれる激情も感じられる。
そういった要素も含めて、緊張感のピークを演出した曲であると言える。
- ただし、勝利への確信すら感じさせる古龍の王のBGMと違って、
- BGMが一層激しくなると同時に、ジン・ダハドの攻撃も最も苛烈なものとなる。
特に最終段階ともなると、超高火力・広範囲の攻撃を連続で放ってくるようになり、
2連続ブレスや問答無用の凍結など、恐るべき規模の攻撃を次々に繰り出してくる。
凍峰竜を追いつめているように見せかけて、その実こちらが追いつめられている、
といった危局に陥るか否か。
ハンター諸氏の実力の見せ所となるだろう。
余談
- 曲名の読み方は『霜烈なる氷塞の主』と思われる。
霜烈は壮烈をもじったもの、氷塞は要塞をもじったものと考えられるのだが、
海氷における用語に、湾や入り江に氷が入り込み船の運航が妨げられる、
氷塞(ひょうそく)というものがあり、どちらが正しい読みなのかは不明。- なお、氷霧の断崖の危険度Lv.3以上で流れるBGMのタイトルが、
『凍てつく要塞に蠢く影』であり、
曲名が要塞をもじったものである可能性は十分あり得る。
- なお、氷霧の断崖の危険度Lv.3以上で流れるBGMのタイトルが、
- 超大型モンスターながらエリア移動を繰り返すその性質上、ジン・ダハドにも追跡BGMが存在する。
…のだが、何故か公式のサウンドトラックにはその追跡BGMが収録されていない。
本作の命名法則に則るならば『霜烈なる氷塞の主 ー追跡ー』*3といったところだが、
正式な曲名は不明となっている。- 追跡BGMだが、基本的には第一フェーズである『霜烈なる氷塞の主 ー睥睨ー』のアレンジとなっている。
パーカッションや管楽器等のパートが抜かれている他は基本的に第一フェーズと同一だが、
特徴的なのが各地を跋扈していた白の孤影のBGMにも見られるシンセサイザーで、
かなり強めのディストーションがかかった電子音を聞くことが出来る。
まさか人造生物…?
ジン・ダハドは禁足地に於ける頂点捕食者の中で唯一、
護竜の存在が明らかになった後に対峙するモンスターであり、
その時系列を踏まえてこういった電子音を用いているのかもしれない。
あるいはジン・ダハド自体がエアコン等にみられるヒートポンプのように、
現代の機械で用いられる機構を有する竜であることのイメージであるとも考えられる。
やっぱり人造生物なんじゃ…? - この追跡BGMの頭の部分だが、本作MHWildsにおけるラスボス戦BGMのイントロと酷似している。
なお、そのラスボスは人造生物である。
- 追跡BGMだが、基本的には第一フェーズである『霜烈なる氷塞の主 ー睥睨ー』のアレンジとなっている。
- 理由は不明だが、第三フェーズである『霜烈なる氷塞の主 ー審判ー』のみ作曲者が異なる。
以前にもマム・タロトのBGMが第一フェーズのみ作曲者が違うという事があった。- なお、第三フェーズのBGMを作曲した茅根美和子氏はMH4にて初めてコンポーザーを任せられ、
同作にて氷海のBGMである銀盤に潜む牙などを作曲している。
- なお、第三フェーズのBGMを作曲した茅根美和子氏はMH4にて初めてコンポーザーを任せられ、
- なお、専用BGMが3曲あると表記してはいるが、曲名から察するにこれらの3曲は
『霜烈なる氷塞の主』という曲のフェーズ違いであり、「大きな括りで見れば同じ曲である」と捉える事もできる。
しかし、聞いての通り曲の内容としてはそれぞれが全く別の楽曲として完成されているため、
同じ曲であると一概に言うのは些か横暴というものだろう。
『霜烈なる氷塞の主』という組曲*4の第一~第三楽章である、と考えても良いかもしれない。
ちなみにだが、この理屈で言うとマム・タロトの戦闘BGMも1曲という事になる。
- 凍峰竜派生の狩猟笛:ダハ・アングの演奏時には、第一フェーズのBGMの一節が流れる。
あちらもパイプオルガンをモチーフとした武器であり、見た目との親和性も相まって元になった曲が分かりやすいだろう。
関連項目
モンスター/ジン・ダハド
BGM/メル・ゼナ戦闘BGM - オルガンを象徴的に使ったBGM
BGM/ガイアデルム戦闘BGM - 同上
BGM/オストガロア戦闘BGM - 同上
BGM/イヴェルカーナ戦闘BGM - 専用BGMを非常に多く持つ氷属性の先輩。
極めて限定的な場面でのみ流れる曲も多いが、戦闘BGMの数で言うと4曲となる。
BGM/シャンティエン戦闘BGM - フロンティアにおける多数の戦闘BGMを持つモンスター。
こちらはジン・ダハド同様に形態変化によってBGMが移行し、計4曲。
BGM/ラヴィエンテ戦闘BGM - 同上だが、こちらは諸々含めると7曲。