*装甲嚮導駆逐艦 ハバロフスク [#t1b7de1e]
&attachref(./1707474F-DD89-4326-AA3F-A57B1A10D7B5.jpeg);
#region(ヒストリカル迷彩)
&attachref(./50DF17A9-8FD6-46F1-9246-ADE651DDAA0D.jpeg);
効果:主砲射程+4%、魚雷射程+4%、最大転舵速度+4%、海面発見距離-4%、EXPアップ+60%、シルバーアップ+60%
#endregion
#region(ハロウィーン迷彩「ミュータントフスク」)
&attachref(./Screenshot_2021-10-22-14-45-27-76_8ebc7b5f0da6585e51d09679bb265120.jpg,nolink);
効果:主砲射程+4%、魚雷射程+4%、最大転舵速度+4%、海面発見距離-4%、EXPアップ+60%、シルバーアップ+60%
静止画では分からないのだが、船体に巻き付くムカデは動くので非常に不気味である。
#endregion
#fold(変更点){{
Ver.1.11でVer.1.11で主砲のHE弾ダメージが360から380に上昇、主砲発火率が4%から4.5%に上昇、主砲のAP弾ダメージが400から420に上昇。
ver.6.5で小口径対空が97に増加。
}}
#contents
*性能諸元 [#f6102e4e]
RIGHT:&color(DarkGray){編集時 ver.4.2.2};
**基本性能 [#n52bb609]
※アップグレード済み、装備、迷彩、エリートなし
|CENTER:|CENTER:|LEFT:|c
|~国|>|[[ソ連]]|
|~艦種|>|[[駆逐艦]]|
|~Tier|>|10|
|~生存性|継戦能力|21175|
|~|抗堪性|・防郭防御5%&br;・火災浸水耐性10%&br;・装甲6%&br;・対水雷防御4.50%|
|~主砲射程|>|9.28km|
|~機動性|最大速力|40.57ノット[kt]|
|~|最大出力への到着時間|11.74秒|
|~|転舵速度|7.8度/秒|
|~|転舵所要時間|6.90秒|
|~隠蔽性|>|7.20km|
&br;
・兵装
|CENTER:|CENTER:|CENTER:|LEFT:|CENTER:|CENTER:|CENTER:|c
|~主兵装|~口径,搭載基数×門数|~最大ダメージ(火災率)(防郭率)|~装填時間|~砲塔旋回速度|
|~| 130mm L/55 B-2-U, 4基×2門|HE弾 460(4.50%)&br;AP弾 508(150%)|5秒|30度/秒|
&br;
|CENTER:|CENTER:|CENTER:|CENTER:|LEFT:|CENTER:|CENTER:|c
|~魚雷|~口径,搭載基数×門数(片舷指向門数)|~射程|~雷速|~最大ダメージ|~装填時間|~浸水率|~魚雷管旋回速度|
|~| 533mm 2-N, 2基×5門(10門)| 4.80km| 58.35kt|4719|56秒|18%|18度/秒|
&br;
|CENTER:|CENTER:|CENTER:|CENTER:|CENTER:|c
|~対空砲|~種類|~平均ダメージ|~射程|
|~|~ 大口径&br;小口径| 136&br;97| 3.90km&br; 1.80km|
#br
・艦艇スキル
|CENTER:|CENTER:|CENTER:|CENTER:|CENTER:|c
|~ 種類|~ 効果|~ 持続時間|~ クールタイム|~ 使用可能回数|
|エンジンブーストⅡ|最大航行速度+12%|25秒間|60秒|3回|
|高速装填Ⅰ| 主砲装填速度+15%| 20秒間| 75秒|3回|
|発煙装置Ⅰ|24秒間持続する煙幕を張る|9秒間|105秒|1回|
&br;
・伝説装備
|CENTER:|CENTER:|CENTER:|CENTER:|c
|~ 名称|~画像|~効果|~金額|
|射撃管制室(ハバロフスク)|&attachref(./Screenshot_2021-10-04-00-23-13-52_8ebc7b5f0da6585e51d09679bb265120.jpg,nolink,30%);|主砲射程+12% 魚雷射程-18%|5000(g) or 250k(fexp)|
**ゲーム内説明 [#z598b2f1]
嚮導駆逐艦として設計された。世界のどの駆逐艦よりも航行速度が速かった一方で、装甲と火力は軽駆逐艦に匹敵した。主砲に両用砲、副砲に自動対空砲を搭載しており強力な対空防御を確保していた。
*解説 [#gdff6eae]
ソ連Tier10%%&color(Silver){巡洋艦};%%駆逐艦である。もはや駆逐艦の枠を超えてしまった。''「装甲嚮導駆逐艦」''という説明が全てを言い表している。駆逐艦としては圧倒的な砲火力と高速を持っているため、敵駆逐をなぎ倒し敵戦艦に放火して暴れ回ることも可能だ。2022年11月に行われたアップデートで、[[デルニー>Delny]]と入れ替わる形でツリー艦からプレミアム艦となった。[[同>Seascythe]][[型>Crush 'n' Destroy]]艦も存在。
''・主砲''
''130mm連装砲4基8門''
連装砲塔がひとつ増え、より砲火力が増した。%%装填も早く%%装填は5秒台と8門を搭載する駆逐艦としてはかなり遅めではあるものの弾道性に優れるため、駆逐の処理が更にしやすくなっている。また砲塔が''&color(#0082f4){30°/s};''という速さで回るのも魅力のひとつ。ただし、2番4番砲塔の射角が微妙に悪いので注意。強力な主砲を8門も積んだ大型駆逐艦ということで対駆逐艦では最強と思う人がいるかもしれないが、そうとは限らない。大きな船体ゆえに被弾しやすく、近距離戦では劣悪な転舵性能が原因で魚雷事故が発生しやすい。本艦の素直な弾道、弾速、精度を生かせるのは遠~中距離だ。適切な距離を意識して、敵駆逐を仕留めたいところ。
しかし。''嘗てツリー艦艇の少ない時代に数少ない砲駆の主兵装として猛威を振るった本砲だが[[後>Attilio Regolo]][[発>Gdańsk]][[の>Kléber]][[強>Z42]][[力>Marceau]][[な>Álvaro de Bazán]][[砲>Druid]][[駆>Burrows]]の台頭によりそこそこ程度に落ち着いてしまった…と言える。''というのもそもそも門数以外で主砲性能でデルニーに勝る部分が存在せず、嘗て高かったDPMは悉く追い抜かされ、今や5秒という装填時間は遅い部類。さらにはデフォルトで伝説装備のステータスを持ち、スキルや装填速度がかなり向上した[[完全上位互換>Seascythe]]の登場でさらに立場が危うくなってしまった。この空母やヴェネツィア、コロンボをはじめとする駆逐キラーが駆逐を掃討すべく目を光らせる現環境で敵駆逐艦を警戒するレーダーやソナーを持ち合わせず、逃げの煙幕がレベルⅠで一度しか使えないほぼ丸腰の本艦は特に生存戦略に頭を回さなければならない。煙幕+レーダー+高機動、高発火率高威力のHE弾を投射してくるグダニスクや数秒で半分以上のHPを吹き飛ばしてくるバザンなど強力な砲駆との交戦はできるだけ避けたい。伝説装備は本艦の射程を向上できる。元々突撃用の魚雷を捨ててでも遠距離回避盾砲戦を主に置きたい艦長は必須。プレミアム艦艇の伝説装備に25万経験値や5000ゴールドも払えないという艦長はシーサイスに課金することをお勧めする。
#fold(大型駆逐艦(一部)、砲駆簡易性能比較){{
|~艦名|~主砲口径|~指向可能門数|~主砲射程|~ダメージHE/AP(SAP)|~装填時間(スキル使用時)|~HE/AP(SAP)DPM(スキル使用時)|~主砲旋回速度|~主砲スキル|~弾道、弾速など|~特徴|
|本艦|130mm|8|9.28|460/508|5(4.25)|44160(51953)/48760(57354)|30度/秒|高速装填Ⅰ|ともに良好||
|[[Crush 'n' Destroy]]|130mm|8|||||||||
|[[Delny]]|130mm|6|10.08|472/520|4.6(3.22)|36939(52770)/40696(58137)|30度/秒|高速装填Ⅱ|ともに良好|良好な巡航性と高火力長射程の主砲を備える砲駆|
|[[Kléber]]|139mm|8|10.61|472/545|7.1(3.55)|31910(63820)/36845(73690)|12度/秒|高速装填Ⅲ|少し悪め|戦場を駆け巡る高速性と高速装填使用時の高火力主砲が長所&br;素の装填の遅さがネック|
|[[Marceau]]|127mm|8|8.62|399/436|3.3|58036/63418|40度/秒|なし|かなり悪め|仏駆譲りの高速性と素のDPMの高さが持ち味、射程の短さがネック|
|[[Attilio Regolo]]|135mm|8|7.62|424/593|5(4.25)|40704(47887)/56928(66974)|12度/秒|高速装填Ⅰ|弾速は良好、弾道は少し悪め|SAP弾による対駆逐艦性能の高さが強力だが射程の短さがネック|
|[[Gdańsk]]|139mm|7|9.41|472|3.8|52168|15度/秒||ともに良好|HE弾しか使えないが、主砲の当てやすさ、発火率の高さと高DPMは脅威|
|[[Álvaro de Bazán]]|135mm|8|8.42|399/520|5(1※18)|38304(49920)/31920(41600)|12度/秒|バースト射撃|レゴロと同じ|バースト射撃により駆逐艦であればHPの半分以上を消し飛ばすことが可能。バースト射撃使用後の装填時間がネック|
}}
''・魚雷''
''533mm5連装魚雷2基10門''
単発火力が一気に増強して一般的な雷駆魚雷と肩を並べる様になった。ところが代償として雷速が低下、さらに射程がミンスク以来の5km以下に落ち込んでしまった。(かなしいかな、デルニーは8.4kmとまともな射程を持つ。&color(silver){%%ウォッカの飲みすぎで信管調整をミスったのだろうか。ある意味ロシアの伝統的な魚雷に立ち返ったのは嬉しいのか悲しいのか…。%%};素の状態は兎も角、ヒストリカル迷彩を搭載しても射程が5kmを越えることはないので、孤立した戦艦に当て逃げするくらいしか使い道がない。とはいえせっかく装備されているのだからとりあえず敵がいる方に撃ってみるのもアリだろう((5連装であるため島風魚雷だと勘違いした敵艦が回避のために側面を曝す等、味方にとってラッキーな展開があるかもしれない。))。また、どうせ使わないと割り切ることができる艦長は伝説装備の「射撃管制室」を搭載してみるのも一手である。その場合は[[ネタ艦>Okhotnik]]以下の僅か3.9kmである。現環境では島裏から肉薄したり接近戦での駆逐への脅しに使うくらいしか使い道がないが。
''・対空''
主砲が両用砲になり、ようやくマシな対空になった。が、魚雷や爆弾を投下される前に堕とすのは難しい。そもそもこのティア帯では敵が上手い空母だと2ウェーブで沈められてしまうので、狙われたらエンジンブーストも使い高対空艦の元へ逃げよう。
''・機動性''
最高速は素で40.3ktと&color(silver){%%最速ではなくなったが…依然としてtier10では最速を維持していた。%%};仏駆ツリーの実装により最速ではなくなったが、UG・消耗品・艦長スキルで速度モリモリにしてエンジンブーストを炊くと最高速は驚異の''&color(red){49kt越え};''を叩き出す。ただし転舵性能は%%&color(Silver){巡洋艦のため};%%劣悪で、転舵所要時間はなんと''&color(#8e2d99){tier7巡洋艦の妙高より長い};''ので魚雷回避の際は要注意。
''・隠蔽性''
Tier10駆逐の中で最悪クラスであり、同格駆逐艦には必ず先に見つかってしまう。ただ、UGを隠蔽に振らなくても本家のように巡洋艦に隠蔽負けすることはないと思われる。&color(gray){まあ常に主砲を撃ち続けているだろうから、あまり隠蔽は関係ない気がしなくもないが。};とても偵察には向かない。
''・生存性''
駆逐にしてはHPが多い。また装甲も駆逐艦にしては厚く、他の駆逐艦の主砲や戦艦の副砲を弾く(半分くらいのダメージにする)ことができ、これは対駆逐戦で生きてくる。しかし、上がりすぎた装甲から戦艦のAPも過貫通が起こりにくくなっているので注意。煙幕がないためSAP弾持ちに要注意。
''・装備''
転舵性能が駆逐にしては劣悪なので、転舵改良は必須。
アップデート3.4にて、『伝説の装備』たるものが本艦にも実装された。「装備1」で選択でき、内容は『魚雷の射程が18%減るかわりに、主砲の射程を12%伸ばす』といったもの。これによってより遠くからペチペチとダメージを与えることが可能となり、砲駆としての能力に磨きがかかる。反面、魚雷はほぼ捨てることになるが、もともと短射程すぎて特攻くらいにしか使えない代物だったので気にしなくても良いだろう。
お値段は5000ゴールドor25万フリー経験値である。%%それなら迷彩とかネルソン購入に使った方が良くね?とか言わない%%
ティア10ということでなかなかのお値段だが、強力な装備であることに変わりはない。ハバロフスクを極めたい!という艦長はぜひ買ってみよう。筆者もフリーで購入してみたが、10キロを超える射程で遠くから敵戦艦をペチペチ撃ち続け、火達磨にして沈めるのはとても愉快である(変態)。値段は高いが十分オススメできる装備だ。
''・エリート特性''
・新型砲塔 主砲旋回速度+20%
・新型榴弾 主砲榴弾ダメージ+2%、主砲発火率+7%
・功績 EXPアップ+10%
''・総論''
良くも悪くも究極のソ連駆逐艦と言える。最早巡洋艦と化した艦であるため、偵察や占領と言った駆逐の仕事は後手に回ることが常である。だがここまでソ連駆逐艦を乗って来た者にとってはそんなことは百も承知であろう。乗り始めは色々と苦労するだろうが、その圧倒的な砲力は敵駆逐艦どころか格下巡洋艦をもねじ伏せることが可能だ。他の追随を許さない速力は戦略的・戦術的にも有用であるため、戦場の火消し役として縦横無尽に暴れ回れば勝利を力尽くでもぎ取ることができるだろう。
思い出したかのようにたまに再販される程度の本艦だが、実装から長くたっても、プレミアム艦艇になっても運営から忘れ去られたようなレベルで強化も何もなく、後発の砲駆たちに大きく性能で劣る。元がツリー艦ということもあり所持者も多く、上位互換のような2隻のプレミアム同型艦が出ているあたり人気はあるのだろうが、いつ強化が入るのか、楽しみである。
''&color(red){同志艦長諸君の健闘を祈る!};''
*戦闘名誉章 [#k1342f1e]
|~レベル|~1|~2|~3|~4|~5|
|~報酬|艦艇exp20k&br;シルバー200k|艦艇exp20k&br;シルバー200k&br;スティール1|艦艇exp20k&br;シルバー200k&br;スティール2|艦艇exp20k&br;シルバー200k&br;スティール2|艦艇exp20k&br;シルバー200k&br;スティール3|
|~ミッション内容|20回勝利|45回占領|90隻撃沈|駆逐艦60隻撃沈|一戦中に105,000ダメージ|
*史実 [#ja1e133d]
本艦はソビエトが革命直後から冷戦が勃発する頃まで延々練り続けた「装甲嚮導駆逐艦」という構想を具現化させたものである。
基本的にはゲーム内解説に「設計年:1936」と記述されている通り、1936年度に設計された24号計画艦が元ネタとなっている。
しかし、実際の24号計画艦決定稿に比べると速度が大変「おとなしい」数値に下方修正されており、その補填……というわけでもないのかもしれないが、主砲が後年(1939~1940年)の設計案である47号計画艦に搭載予定だったB-2-U両用砲になっている。
#br
これまでのソ連駆逐艦と違ってゲーム内解説で「ハバロフスク = 24号計画艦」と明言されていないのは、恐らくこういった「ハバロフスクは厳密に言うと24号計画艦とはちょっと違う」という事情が原因……なのかもしれない。
#region(詳細)
-''思想的源流(帝政期)''
1917年、ロシア帝国海軍は大戦前にドイツへ発注した(そして、大戦が勃発して入手できなくなった)「ムラヴィヨフ=アムールスキー」と「アドミラル・ネヴェリスコイ」をタイプシップとする高速・小型の巡洋艦を新規に設計しようとしていた。しかし、「戦訓に基づいて考えれば同種の艦艇の必要性はない」という反対意見によってこの方針が却下され、それと併せて『装甲巡洋艦「リューリク」をタイプシップとしつつ、300-350発の機雷と投下軌条を装備した艦艇を建造する』という代替案が提案された。さらに、建造時間および費用の面でより有利な代替案として『バルト海戦域向けの強力な砲火力と十分な機雷搭載量を併せ持った駆逐艦を建造する』という案も同時に提出された。
//memo:装甲巡洋艦案は「適切なお手本」がリューリク以外なかったためにリューリクベースになったものの、タービン機関を搭載する「タービン巡洋艦」で、なおかつ主砲を305mmまでアップさせたものだった
このうち後者の案を支持する側に立つP.A.マトローソフ大佐の主導で設計された、[[一つの大型駆逐艦設計案>Okhotnik]]が存在する。
その設計案は
「敵の駆逐艦を撃破しつつ味方駆逐艦を先導し、主力艦隊のために索敵を行い、敵性海域において攻撃的機雷敷設活動を行う、砲火力と雷撃能力に優れた多目的小型高速戦闘艦兼高速敷設艦」
というコンセプトの大型駆逐艦であった。
基本的にはガブリール級駆逐艦をより大型化・重武装化させたものであり、2100tの船体に130mm砲8門と76.2mm対空砲2門に450mm3連装魚雷発射管を3基装備するものであった。(艦尾側主砲を1基降ろして魚雷発射管を1基増設するオプション有)
ここまでであれば、同時期の他国も同じような状況であった。
イギリスはとうに何隻もの嚮導駆逐艦を建造していたし、「お隣さん」であるドイツやオーストリア=ハンガリーも2000tを超える船体に15cm砲を積んだ大型駆逐艦をそれぞれ設計しつつあった。
大戦が終わり1920年代に入ると、フランスやイタリアも2000tを超える大型・重武装の駆逐艦を整備し始めた。
駆逐艦の大型化・重武装化はWW1終盤から戦後にかけて、世界のトレンドであった。
もちろん、ロシア海軍のアカい後輩たちも白い先輩たち同様、この流れに乗ろうとしていた。
しかし、彼らの匙加減は世界に比べていささか独特であった……
-''「装甲嚮導駆逐艦」のはじまり(1920年代)''
赤軍の海軍再建に向けた動きは意外に早い。
白軍が全ロシアから放逐されてから半年も経たない1921年2~3月には党と国家の方針が定まり、海軍再建に向けた具体的な作業の始業ベルが鳴らされている。
#br
では駆逐艦に関する動きはどうかと言えば、1921年10月に定められた新型駆逐艦の性能要件が最初の一歩である。
ここでは「130mm砲を6門、魚雷発射管を1~2基搭載すること」であるとか、「速度向上を目的とするノヴィーク級の改良はもはや限界である。しかしながら、海外の高速巡洋艦部隊への対抗を考えると5ノットの優速は前提条件であり、したがって最高速度が40ノット未満であってはならない」などといったことが要求された。
このおぼろげな(しかし、その後実際に建造された一連のソ連嚮導駆逐艦たちの土台となった)要求に基く具体的な設計案が作成されたのは、それからおよそ2年後の1923年11月である。
「type1922」とだけ命名された設計案は4000t近くに達する大型艦であり、130mm砲を連装3基/単装2基の計8門(ただし全て露天)も搭載し、4~5門の「アエロプーシュカ」(帝政時代の1914年から延々使っていた「レンダー砲」こと76.2mm対空砲に替わる『何か新しいもの』を積む予定だったので、このような口径すら指定されないフワッとした表記になっている)も搭載する重武装艦であった。
さらに2年後の1925年、当時の海軍士官学校校長であったミハイル・アレクサンドロヴィチ・ペトロフ(1885~1938)から
「甲板を装甲によって保護し、152mm砲を搭載し、強力な機雷・水雷戦用装備を備え、最高速度が40ノットに達する『駆逐艦』を設計すべきである」
というかなり前衛的な提案が提出された。
当時のソ連海軍において理論家としての地位を確固たるものにしていた彼の構想する『駆逐艦』は、攻撃に赴く味方駆逐艦(当時の主力である「ノヴィーク」級が想定された)の支援だけでなく、長距離偵察のような小型巡洋艦の行う任務も担当できる汎用艦としての特性も持っていた。
これは1917年にマトローソフ大佐が打ち出したコンセプトに近いものがあり、実質的な後継案と見ることもできるものであった。
(マトローソフとペトロフは1917年当時共にバルト艦隊に配属されており、何らかの間接的ないし直接的な交流があった可能性もある……かもしれないし、ないかもしれない)
しかし、まだまだ内戦の傷が深い革命直後のソ連にこうした大型艦艇を新規建造する体力は全くなく、できることと言えばせいぜい革命前に建造された艦艇の修理と、帝政海軍が作業途上で放置していった艦艇の建造作業を引き継ぐことぐらいであった。(が、それすらも思うに任せないのが実情だった。)
そしてこの後、具体的な作業に入れないまま40ノット級の大型駆逐艦構想を「現実的」な規模へと落とし込む作業が延々繰り返され、最終的にこれが「1型嚮導駆逐艦([[レニングラード級>Leningrad]])」として結実することになる。
ここまでの諸案は「[[レニングラード級>Leningrad]]へと至る過程で出てきた数々のアイディアの一つ」として書庫の片隅で埃を被っているような、そんなもの……に、なるハズであった。
……ハズであったのだが、どうもペトロフの提唱した「装甲で保護された強力な駆逐艦」という構想は同僚や後輩たちの琴線にクリティカルヒットしていたらしく、これだけは書庫の隅へと追いやられることがなかったのである。
-''幕間:胡乱な話(1934)''
1934年2月、一部(の、珍兵器クラスタ)には存在の知られる「クルチェフスキー技師謹製305mm無反動砲」を6門も搭載して最高速度42ノットを発揮する嚮導駆逐艦が、クルチェフスキー技師本人も出席する会議でトハチェフスキー(『あの』トハチェフスキー本人である)から提案されたそうである。(会議には海軍から参謀も参加していたが、「ネズミのように静かに座っていた」とのこと)
同年中に4000tで500mm無反動砲4門を搭載する艦艇の設計案も提出された……らしい。(ただ、この「500mm無反動砲」は「軽巡洋艦用」であるという話もあるため、この設計案は嚮導駆逐艦の流れと無関係かもしれない)
どちらも大変「面白い」話ではあるのだが、どうにもクルチェフスキーの無反動砲(と、クルチェフスキー本人の末路)に関する話はまだ完全に解明されていない部分があるようなので、「胡乱な話」として記すに止めておくこととする。
-''24号計画艦(1935~1936)''
閑話休題。
1930年代前半、ソ連は26型軽巡洋艦([[キーロフ級>Kirov]])の建造にあたって、OTOやアンサルドといったイタリア企業との提携に成功していた。
これを契機に得られたイタリア艦艇の設計材料や研究データは、今まで沈滞しきっていたソ連造船業界に大きな活力を与えるものであった。
この状況を好機到来と見た偉い人が指示を下したのか、はたまた虎視眈々と機が熟するを待っていた造船官のグループが同時に行動を起こしたのか、それはよく分からない。
ともあれ1935年、海軍造船中央研究所と中央設計局から立て続けに「装甲で保護された強力な嚮導駆逐艦」の予備設計案が提出された。
#region(両予備設計案の諸元)
||BGCOLOR(#f0f8ff):海軍造船中央研究所案|BGCOLOR(#fffff0):中央設計局案(5種類の案を提出した)|
|~基準排水量|3750t|2850~3850t|
|~全長|データなし|133~146m|
|~全幅|データなし|12.3~13.6m|
|~喫水|データなし|3.9~4.3m|
|~機関出力|186000hp|140000hp(100000hp説もある)|
|~最高速度|50ノット|41.5~45.5ノット|
|~航続距離|2100浬|2500浬|
|~甲板装甲|40mm|20mm/25mm/35mm/40mm|
|~船体装甲|50mm|20mm/45mm/50mm/60mm|
|~兵装|130mm連装砲 6基|130mm連装砲 4基|
|~|45mm単装半自動対空砲 6基|45mm単装半自動対空砲 10基|
|~|12.7mm単装機銃 4基|-|
|~|533mm三連装発射管 2基|533mm四連装発射管 2基|
#endregion
どちらの予備設計案も排水量の割には非常に、非常に強力な機関出力が特徴であった。
両グループが提出した諸設計案のうち、中央設計局の第三案(排水量3350~3500t/全長140n/全幅13m/喫水4.1m/船体装甲45mm/甲板装甲25mm)がさらなる設計案の叩き台として最適であると判断された。
そして1935年12月、中央設計局の設計する艦艇を大規模艦隊整備計画である「『大艦隊』計画」の一部へと組み込むことが承認され、翌1936年2月10日には「予備設計および装甲嚮導偵察艦の全体設計を作成すること」が正式に中央設計局へ命じられ、この計画案に「24号計画艦」という番号が割り当てられた。
#region(この際に策定された装甲嚮導駆逐艦の戦術運用思想)
--I:艦艇の用途
---1.長距離偵察
a)駆逐艦や他の嚮導艦が撃破可能な、より弱い敵艦の捜索
b)敵巡洋艦からの逃避
---2.単独行動と単艦襲撃
a)奇襲的な沿岸砲撃
b)嚮導艦、駆逐艦、掃海艇、その他艦艇の撃破
---3.戦闘への参加
a)敵駆逐隊の雷撃阻止
b)味方が防御していない領域の戦術的偵察
---4.巡航任務
a)通商破壊
b)独航船の撃破
c)防護が手薄な輸送船団の撃破
d)輸送船団への強襲
---5.短期的な敵即背面への襲撃
--II:艦艇の主な運用と戦術的要件
---1.最大戦速……あらゆる駆逐艦へ迅速に追い付き、あらゆる巡洋艦から迅速に逃亡することが可能な速度。すなわち、少なくとも45ノットの最大戦速
---2.兵装……あらゆる嚮導駆逐艦/駆逐艦および武装商船を撃破するのに十分な砲火力であること。すなわち、最低でも口径130mm、最低でも搭載数6~8門(これは沿岸砲撃にも必要十分な口径である)
---3.巡航任務を考慮した余裕ある弾薬搭載量
---4.敵駆逐艦の中距離(70~100鏈 *注:だいたい12.8-9km~18.2-5km)からの砲撃と、行動中の敵軽巡洋艦からの砲撃に耐えうる装甲を持つこと
---5.機雷源を生成するための装備を保有すること
---6.不期遭遇戦(夜間や霧中)において魚雷攻撃を行うための装備を保有すること
---7.航空機や魚雷艇から自艦を防衛するための対空兵装を備えること
---8.自艦を偽装するための科学兵器を所有すること(=煙幕展開装置の類を指すと思われる)
---9.5000から6000浬に及ぶ大航続距離を持つこと
#endregion
ここにペトロフの提唱した概念がとうとう「装甲嚮導駆逐艦」として具現化したのである。
24号計画艦の設計は速やかに進められ、2月18日に予備設計の決定稿が提出された。
#region(24号計画艦の諸元)
|~基準排水量|3450~3600t|
|~全長|140m|
|~全幅|13m|
|~喫水|4.1m|
|~機関出力|140000hp(100000hp説もあり)|
|~最高速度|47ノット|
|~燃料搭載量|950t|
|~航続距離(16ノットでの巡航時)|6000浬|
|~兵装|130mm連装砲 4基|
|~|37mm四連装機関砲 2基|
|~|533mm五連装発射管 2基|
|~|機雷50個(積載量超過状態で)|
-装甲
--装甲は70~80鏈(だいたい12.8-9km~14.6-8km)の距離から発射される152mm砲弾に耐えうる厚さが設定された
---船体:50mm
---甲板:25mm
---司令塔及び主砲塔:35~60mm
-機関
--主機は45型駆逐艦(オピトヌイ)で試験中の新型高温高圧缶を搭載する予定であった
-兵装
--主砲は「130mm連装砲」が指定されたが、この当時利用可能な130mm連装砲は存在していなかった(1934年の末から「B-31」の名称でB-13ベースの連装砲塔を開発する作業が始まってはいたが、これは予備設計の段階で開発中止の憂き目に遭っていた。そして、後に「B-2-LM」となるB-13ベースの連装砲塔の開発計画が浮上するのはこれより数ヶ月先の話である)
#endregion
しかし、これ以降24号計画艦の設計作業が進められることはなかった。
造船業界が「大艦隊」計画に必要とされる戦艦や重巡洋艦の設計作業に忙殺されるようになったのが原因であるらしい。
#br
こうして、24号計画艦は『いつの間にやら』雲散霧消してしまった。
しかし、「装甲嚮導駆逐艦」という構想だけはしぶとく、ひたすらしぶとく生き残り続けるのである……
#br
-''47号計画艦:前期(1939~1941)''
1939年9月8日、セルゲイ・ペトロヴィッチ・スタヴィスキ中将を委員長とする、新型装甲嚮導駆逐艦(これには47号の計画番号が与えられた)の要求仕様策定を目的とする特別委員会が設立された。
24号計画艦が雲散霧消して以来、およそ3年半ぶりの装甲嚮導駆逐艦再始動である。
#br
翌年の1月17日、この「スタヴィスキ委員会」からWW2緒戦の海上における戦闘の分析結果に基づく報告書と、それに基づいた47号計画艦の要求仕様が提出された。
#region(報告書の内容)
--1.駆逐艦を攻撃開始から離脱まで嚮導する艦艇として、大型駆逐艦は不適な艦種である(装甲が施されておらず、良いマトになる)
--2.なので、装甲化された艦艇が必要である(軽巡洋艦を恐れる必要がない程度には)
--3.したがって、大型駆逐艦をさらに拡大し、甲板と舷側に装甲を施すべきであり云々……(中略)近距離において駆逐艦へ打撃を与え、軽巡洋艦を拘束するにあたって、10門の130mm砲は6門の152mm砲よりも有用である(これはモンテビデオの戦いの結果に基づく)
--速度は嚮導される駆逐艦よりやや控えめでも問題はなく、その分装甲の強化に傾注すべきであり云々……(以下省略)
#endregion
この時期のソ連海軍における装甲嚮導駆逐艦の主目的は、「大艦隊」において建造される駆逐艦たちの嚮導(すなわち、雷撃戦における突入および撤退の支援)であり、加えて索敵であったり、バルト海や黒海といった閉じられた戦場における他艦種との協働(戦艦のための対空/対潜支援、巡洋艦隊の一部としての行動、敷設艦との機雷原形成等)であった。
#region(「スタヴィスキ委員会」が作成した47号計画艦の要求仕様)
|~基準排水量|4500t以下|
|~最大速力|36ノット|
|~航続距離|8000浬|
|~装甲|舷側 70mm(バイタルパート部のみ/45度傾斜)|
|~|甲板 25mm|
|~|艦首横断隔壁 70mm|
|~兵装|130mm両用砲10門|
|~|37mm対空機関砲8門|
|~|533mm五連装発射管2基|
|~|偵察機(カタパルトは搭載せず)|
#endregion
しかし、今回の要求仕様に対する反応はあまり芳しいものではなかった
労農赤色海軍造船局からは「側面装甲を50mmまで削減し、魚雷発射管を五連装から三連装に換装して最大速力を40ノットまで増大させて欲しい」という要望が寄せられ、海軍参謀本部からは「最大速力を向上させることには需要が認められる。魚雷兵装を『忘れる』ことで達成してはどうか」という意見とともに、「主砲を6門の6インチ砲にすること」(これはは必然的に主砲が両用砲でなくなることを意味した)や「対空火器の口径を45mmまで増大させること」が要求された。
#br
とりわけ参謀本部は本気であり、要求仕様の提出に先立つ1940年1月11日には、海軍参謀本部のトップであるレフ・ミハイロヴィッチ・ハラーから労農赤色海軍造船局局長に宛てて装甲嚮導駆逐艦の仕様策定に関する書簡が送られるほどであった。
#region(ハラーが書簡の中で提案した装甲嚮導駆逐艦の仕様)
---a)武装:152mm連装砲塔3基で計6門。艦首に2基、艦尾に1基配置;45mm半自動砲を8門と12.7mm機銃12門
---b)最大速力:40ノットを下回ってはならない
---c)装甲は以下の三種を区画ごとに分けて考慮すべきである 1)弾片防御 2)想定される交戦距離での130mm砲弾に対する防御 3)80~100鏈(だいたい14.6-8km~18.2-5km)から放たれた152mm砲弾に対する防御(バイタルパート限定)
#endregion
こうした関係各方面からの「ご意見・ご要望」を受け取った上で作成された、海軍造船局長であるアナトリー・アレクセーエヴィチ・ジューコフの署名が付いた要求仕様は下記の通りである
『主砲:8~10門の130mm砲 対空砲:37mm機関砲を8門 魚雷:三連装発射管3基 最大速力:38ノット 航続距離:8000浬 舷側装甲50mm、甲板装甲25mm 基準排水量4000t以下』
「ご要望」の大半は無視された。見事なまでの無視っぷりである。
参謀本部の意見がこうも見事に却下されたのは、海軍人民委員部第一副委員であるイワン・ステパノヴィチ・イサコフが原因である。
イサコフは1939年にソ連向け駆逐艦の建造交渉使節団を率いてアメリカへと渡っており、そこで米国の「destroyer(駆逐艦)」を見聞した経験から、「Эскадренный миноносец(直訳すると『艦隊水雷艇』だが、駆逐艦を指す)」にも迅速に両用砲を導入すべきであるとの立場を取るようになっていた。
しかも駆逐艦の主砲を130mm以上の口径に引き上げる必要性はないとも考えているのだから、参謀本部とハラーの意見が通るはずもなかったのである。
一方敗れたハラーであるが、こちらはモロトフ=リッベントロップ協定の締結による独ソの接近(と、米ソ関係の冷却化。イサコフが米国で行ってきた【駆逐艦建造交渉を含む】一連の各種交渉はこれで全てご破算になった)に伴って編成された「テヴォシアン委員会(イワン・フョードルヴィチ・テヴォシアン率いる技術視察団。グラーフ・ツェッペリンの視察、リュッツォウの購入などを行った)」の一員としてドイツ海軍を視察した経験を持っている。そして、当時のドイツの最新鋭駆逐艦は[[高温高圧缶と15cm砲を装備する大型駆逐艦>Z-23]]であった。
つまり、今回のやり取りは『アメリカ帰り』と『ドイツ帰り』がそれぞれに「自分たちの目で見てきたものこそ次世代駆逐艦のあるべき姿である」と考えた結果起こったものであった。
(と、ロシア人たちは考えているようなのだが……個人的には『15cm砲閥』は単にペトロフの提唱した大本の概念に忠実であろうとしただけであるようにも思える。どうなんだろう?)
ともあれ、こうして大口径の非両用砲路線は考慮外となった。その上で47号計画艦の予備設計作業は開始されたのである。
とはいえ、労農赤色海軍造船局には設計作業に携われるような熟練した専門家が不足しているという問題(原因は言わずもがな。シベリアへ送りすぎた)があったため、実際の設計作業は中央設計局改め第17設計局に委託されることとなった。
#region(第17設計局の作成した47号計画艦の予備設計案)
||BGCOLOR(#f0f8ff):第1案|BGCOLOR(#fffff0):第2案|
|~基準排水量|5400t|5600t|
|~全長|>|160.0m|
|~全幅|>|15.0m|
|~喫水|>|5.0m|
|~機関出力|75000hp|100000hp|
|~最高速度|33.4~34ノット|36~36.5ノット|
|~航続距離|5500~6000浬|5000~6000浬|
|~装甲|>|主装甲帯 70mm|
|~|>|甲板装甲 25mm|
|~|>|船首横断隔壁 100mm|
|~|>|主砲塔 25mm|
|~兵装|>|130mm連装両用砲 5基|
|~|>|37mm対空機関砲 8門|
|~|>|12.7mm機銃 8門|
|~|>|533mm五連装発射管 2基|
|~|>|機雷 60発|
|~|>|爆雷 12個(大型) or 24個(小型)|
#endregion
第17設計局の設計班は主機のみが違う二つの設計案を提示し、要求仕様に沿ったものを設計すると排水量が明らかに「軽巡洋艦」のレベルに達するということを証明しようとした。
事実上の要求仕様に対するダメ出しであり、ここでプロジェクトは行き詰ってしまった。
行き詰まりの打開は各所で模索されていたようである。
1940年、労農赤色海軍造船局の海軍技師V・Ya・シュールを中心とする設計班より「両用砲搭載装甲嚮導艦」の設計案が提出された。
設計案の説明覚書におけるV・Ya・シュールの主張は下記の通りである。
「現在労農赤色海軍には非装甲の嚮導艦と8000t級軽巡洋艦の中間に位置する艦級が存在しない。一方、嚮導・通商破壊/通商護衛・対空/対潜任務・機雷源の作成などといった任務に従事する、小型かつ安価で、装甲化された、高速で航続距離が長く、強力な艦砲/対空砲を持った艦艇は緊急に必要とされている」
#region(装甲嚮導艦V・Ya・シュール案)
|~基準排水量|4000t|
|~全長|150m|
|~全幅|13.6m|
|~機関出力|75000hp|
|~最高速度|38ノット以上|
|~装甲|主装甲帯 50mm|
|~|甲板装甲 25mm|
|~|船首横断隔壁 100mm|
|~|船尾横断隔壁 75mm|
|~|主砲塔 25mm|
|~兵装|130mm連装両用砲B-2-U 4基|
|~|37mm連装機関砲66-K 4基|
|~|533mm五連装発射管(二階建て式) 2基|
#endregion
しかしながらこの設計案の「基準排水量4000t」はかなり楽観的な計算であり、燃料搭載量を非常に少ないものにして航続距離を大幅に犠牲にするか、船体構造を徹底的に軽量化して強度や凌波性を犠牲にしなければ達成不可能であろうと考えられた。
結局この設計案は「そもそも47号計画艦の要求仕様を満たしていない」という理由で(V・Ya・シュールが造船局の主流派に属していなかったことも一因と言われる)資料庫へと送られることとなった。
一方、47号計画艦の要求仕様により近いバージョンの設計案は1940年秋に第17設計局で作成された。
有力な設計者であるN・V・Brezgunによって作られた新設計案は、武装も機関も以前の第17設計局案と全く同じであった。
しかし、武装の大半を船首に集中配備することで装甲区画の面積を節約し、重量分布を変化させることで基準排水量4000t(満載5300t)を達成するという野心的な計画案であった。
武装配置を変更したことで戦闘時には艦首方向からの射撃を受けることが多くなるため、船首横断隔壁は120mmまで増厚される予定であったらしい。
もはやノリが戦艦を設計する際のソレになってきているように思われる。
他方、「反対側」からのアプローチが試みられていたと解釈できる事実も残されている。
この時期、第196造船所で組織されたNKVDの特別設計局においては「小型の長距離軽巡洋艦」というアイディアが模索されていた。
「大型の嚮導駆逐艦に装甲を施して安価な万能艦艇を作る」のではなく、「安価・小型な万能軽巡洋艦に嚮導駆逐艦の仕事も担わせる」という方向性である。
これは後に[[94号計画艦>Budyonny]]として設計作業が本格化するのだが、それはまた別のお話。
1941年4月、労農赤色海軍造船局の新局長であるニコライ・ヴァシリエヴィチ・イサチェンコフ技術少将は、今までに提案された装甲嚮導駆逐艦諸案の比較研究を行った。その際彼が出した結論が
「様々な装甲嚮導巡洋艦諸案(注:原文ママ……であるらしい)の研究作業によって、現状の造船設備および機械製造設備では、速度を大幅に低下させることも、艦艇の寸法と排水量を増加させることもなく十分な装甲を持つ嚮導艦を建造することは不可能であることが確認された。(現状でも建造可能なものは)軽巡洋艦に近似したものになるだろう」
これである。即日プロジェクト打ち切りになってもおかしくないほどの一刀両断ぶりである。
……であるにもかかわらず、なぜか47号計画艦は生き延びた。
「41年度船舶設計計画」には47号計画艦の名前がしっかりと記載されており、第32設計局または第198造船所が設計を担当し、予備設計作業は41年10月に終了することが予定されていた。
果たして47号計画艦をどう収めるつもりだったのだろうか。
どうやっても軽巡洋艦以外になりようがない要求仕様に忠義を貫き通し、軽巡洋艦となることを甘受するつもりだったのか。
はたまた要求仕様を曲げて「嚮導駆逐艦」の枠内に納まる規模の艦艇へと縮小するつもりだったのか。
答えが出る機会は1941年6月22日を境に永久に失われた。
#br
-''47号計画艦:後期(1946~1948)''
41年6月22日を境に「艦隊整備計画などにかかずらっている場合ではない」といった状態に陥ってしまったソ連であったが、パニックが収まり、戦線が膠着し、反攻が始まる段になるとさすがに艦隊整備計画について再度考える余裕を取り戻していた。
来るべき戦後を見据えた艦隊整備計画において、海軍人民委員であるニコライ・クズネツォフは130mm連装両用砲を3基搭載する[[「大型駆逐艦」>Grozovoi]]を殊更に重視し、「通常の」駆逐艦とは別枠で132隻建造することを構想していた。
しかしながら、長く続いた戦火とドイツによる収奪によって疲弊しきったソ連の現状を知るスターリン(と、造船業界)はこの構想を良しとしなかった。
海軍はどうにかこうにか食い下がって「十ヵ年計画(1946年~1955年)の終盤に4隻のみ建造を許可する」という一文を勝ち取ったものの、「十ヵ年計画で計132隻(プラス「通常の」駆逐艦226隻)」という気宇壮大な元計画からは程遠いものとなってしまった。
それでも「大型駆逐艦」の必要性を確信していた海軍は、来るべき十ヵ年計画終盤に備えて「大型駆逐艦」の更なるブラッシュアップに取りかかることにした。
これを任された第53設計局(1946年に第17設計局から改編)は新たな「大型駆逐艦」を「装甲嚮導駆逐艦」のコンセプトに基づいて設計することを選択した。
ご丁寧に戦前の「47号計画艦」という計画番号まで引き継いだ、5年ぶりの「装甲嚮導駆逐艦」再起動である。
もはやここまでくると執念のようなものが感じられる。
とはいえ、新たな「装甲嚮導駆逐艦」が戦前の「装甲嚮導駆逐艦」から引き継いだものはほとんどなかった。
排水量は4000tに満たず、全長は140mすら超えない非常に控えめ(当社比)なものであり、主砲も130mm連装両用砲がたったの3基(ないし2基)であった。
#region(47号計画艦1948年度案)
||BGCOLOR(#f0f8ff):砲塔3基案|BGCOLOR(#fffff0):砲塔2基案|
|~基準排水量|3688t|データなし|
|~全長|>|138.0m|
|~全幅|>|13.6m|
|~喫水|4.25m|データなし|
|~航続距離|>|5500浬(20日間連続行動可能)|
|~装甲|>|垂直装甲 14mm|
|~|>|甲板装甲 14mm|
|~|>|弾薬庫 10mm|
|~|>|機関室 10mm|
|~兵装|130mm連装両用砲SM-2-1 3基|〃 2基|
|~|>|45mm連装対空機関砲SM-16 4基|
|~|>|25mm四連装対空機関砲4M-120 2基|
|~|>|533mm五連装発射管 2基|
#endregion
以前の[[「大型駆逐艦」>Grozovoi]]から引き継いだ要素のほうがよほど多く、ただの「大型駆逐艦」改善型であるように見えるが、さにあらず。
第53設計局の技術者たちは全く新しい発想で新世代の「装甲嚮導駆逐艦」を作り上げたのである。
彼らは「装甲鋼板を船体の構造材として直接用いる」という新しい手法でもって「装甲化された駆逐艦」という概念を実現しようとした。
船体外板および上部甲板の大部分は装甲鋼板が構造材として用いられ、これがそのまま艦艇に装甲による防御力を与えるという、そういう発想である。
艦艇というより戦車の作り方に近い。
この新機軸によって「装甲嚮導駆逐艦」は「装甲板の重量による排水量増加」という問題から解放された。
船体外板と上部甲板の装甲鋼板は敵弾からも、荒れた海からも艦艇を守ってくれるはずであり、一挙両得の解決策になるはずであった。
武装の搭載量に比して大柄な船体は今までになく良好な居住性という余禄をもたらした。
新機軸によって設計された47号計画艦はまさしくいいことづくめ……になる、はずであった
しかし、「装甲鋼板を船体の構造材として直接用いて、果たして本当に船体強度が確保できるのか?」という疑問は非常に厄介な問題を引き起こした。
そもそも、ソ連の船体設計の際の強度計算は戦前・戦時中に「実績」を積み上げたことで「問題アリ」と看做されていた。
当然ながら新しい強度計算の方法とルールを定めなければならなかったのだが、これを定める議論は紛糾に紛糾を重ねて収集のつかない有様であった。
権威ある科学者同士の意見がまとまらず分裂しきっており、ここへさらに用兵側と造船側の伝統的な対立構造がコミットしてしまったことで議論が炎上してしまっていたのである。
さらに、47号計画艦の構造材として用いる予定の装甲鋼板は1948年後半~1949年初頭に[[68-bis型>Mikhail Kutuzov]]の量産が始まるとそちらへ供給するだけで手一杯となってしまい、47号計画艦への装甲鋼板の供給は却下されてしまった。
上記二点は「装甲鋼板を駆逐艦の構造材に使う」というアイディアを放棄するに十分な理由であった。
当然の帰結として、「装甲嚮導駆逐艦」という概念も放棄された。
これが「装甲嚮導駆逐艦」の棺桶に打ち込まれた最後の釘であった。
足掛け20年以上にわたってしぶとく、ひたすらしぶとく消えては蘇り、消えては蘇りを繰り返してきた「装甲嚮導駆逐艦」であるが、これ以降二度と蘇ることはなかったのである。
-''その後''
「装甲嚮導駆逐艦」という構想自体は完全に灰になってロストした。
しかし、47号計画艦そのものが死に絶えたわけではなかった。
47号計画艦の砲塔2基案はその後、多少の変更が加えられ、多少サイズが縮小されたものの、それ以外は細かい構造までほぼ丸々新型駆逐艦設計案として流用されている。
これを実際に建造したものが41型(タリン級)である。
ここが戦前から続くソ連海軍の長い「理想の駆逐艦探しの旅」の終着点……と言うのは、流石に言い過ぎだろうか。
#endregion
*小ネタ [#v3d14068]
ゲーム内の解説では、本艦の全長が驚異の114mとなっている。これはT7のミンスク(127m)よりも小さく、T6グネフヌイ(112m)とほぼ同等である。(参考までに、T10駆逐で比較的コンパクトなデアリングは120m)
しかし、母港等で見比べてみると明らかにミンスクよりもひと回り大きく、135mほどはあると思われる。といわけで、おそらく運営のミスである。
*編集用コメント [#i27e1c35]
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#endregion
*コメント欄 [#i5ca4f7f]
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*過去ログ [#ee2b8c5a]
#region(''ログ一覧'')
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#ls2
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