概要 
【ファイナルファンタジー ピクセルリマスター】
2021年6月14日のE3にて発表。
FF1~FF6までの2Dグラフィック作品の新規移植シリーズで、当初はスマートフォンとPC(steam)のみで配信されていたが、後に家庭用機でもリリースされた。
「オリジナル版の雰囲気や面白さをさらに高め、より遊びやすくなった不朽の物語を楽しめる」という触れ込み。
ドットの匠・渋谷員子氏をメインスタッフとしてグラフィックは新たに描き直され、楽曲は植松伸夫氏の完全監修のもとでアレンジされている。
オートモードが搭載されるなど快適性も向上し、イラストギャラリーやサウンドプレイヤー、ARバトル(スマートフォン版限定)などのおまけ要素も収録される。
また、ファミ通2021年12月30日号(同年12月16日発売)では、特集が組まれ、渋谷氏のロングインタビューに加え、各スタッフのインタビューが収録された。
SFC以前の6作品は過去にも移植されてきたが、FF3だけが3Dリメイク版しか作られなかったり、
それ以降も1・2・4だけPSP用に美麗2D版が作られたりと、作品の扱いが不揃いな印象があったが、
今回は6作品を統一した仕様で揃えようという意図が感じられる。
特に、FF3の2Dリメイクが実現するのは初めてのことであり、ファンを沸かせた。
- 今でこそ近代的なイメージの強いFFであるが、魔法が廃れるまではこういう時代があったと言う事をふりかえる事ができる。
ピクセルリマスター版発売にあたり、それぞれCEROの再審査を受けているが、レーティングA(全年齢対象)なのはFF1、2のみで、FF3~6はレーティングB(12歳以上対象)と判定されている。
- FF3~5は「セクシャル」のマークが付けられている。
くらやみのくも、バルバリシア、メリュジーヌあたりが引っ掛かったのだろうか? - FF6には「自殺・自傷」の但し書きがされているが、この場面が引っ掛かったらしい。
FF1・2・3が同時発売されてから一年足らずの約7か月の期間に6作品全てが発売されている。
FF6のデバッグを目的とした延期がなければ、当初はさらに短く半年以内に全て発売される予定だったと思われる。
各作品でエフェクトが使いまわされていたり、不具合や設定ミスが大量に残ったまま発売を迎えていたりと、
ハタから見ても半年ほどの期間で6作品をリリースするというスケジュールは厳しく、移植の出来に影響を与えてしまったのではと思える。
発売後、各作品でアップデートが行われている。
単なるバグ修正に留まらず、発売当初のゲームバランスから大きく変わるような重要な変更も少なくない。
発売当初に書かれたゲームレビューは、現状の仕様と一致していないことも多いと思われるので、参考にする場合は注意が必要である。
- アップデートで主に行われているのは、オリジナルで当時未実装だった要素を導入する処置、攻略本で誤植となっていたシステムを実用化する処置などである。
また、追加要素が無い代わりに、その分の救済処置が導入されている。 - 本シリーズ独自の変更点が、おそらくプレイヤーからの不評のために修正された例もある。
FF4のあまりにも早いレベルアップ、FF6ののっぺりしたキャラグラフィックなどは後日のアップデートで修正(調整)されている。
スクエニ側もネット上での反応をチェックしているようだが、不満点を直接サポートセンターに送ればいつか修正してくれるかもしれない。
各作品 
- 【Final Fantasy ピクセルリマスター版】
- 【Final Fantasy II ピクセルリマスター版】
- 【Final Fantasy III ピクセルリマスター版】
- 【Final Fantasy IV ピクセルリマスター版】
- 【Final Fantasy V ピクセルリマスター版】
- 【Final Fantasy VI ピクセルリマスター版】
FF1・2・3は2021年7月29日に同時発売。
FF4は2021年9月9日に発売。
FF5は2021年11月11日に発売。
FF6は2022年2月24日に発売。
ピクセルリマスター版の発売に伴い、FF1・2・5・6の旧スマホ版は2021年7月28日をもって販売を終了したが、すでに購入済である場合は、引き続きゲームのプレイと再ダウンロードが可能。
- FF3・4はFINALFANTASY3(3D REMAKE)・FINALFANTASY4(3D REMAKE)と名称変更され販売が継続される。
これらは3Dリメイクだから競合しないということなのだろう。
後述の家庭用版を参考。
2022年12月18日に、Nintendo Switch及びPS4へ2023年春に配信予定(『ファイナルファンタジーI-VI ピクセルリマスター FF35周年限定特装版』が数量限定で、e-STOREにて専売)との情報が発表された。
後に発売日が、2023年4月20日になると同年4月6日発表された。
本作に対応したスマホやPCを持っているならお好みで。
- ピクセルリマスター版の発売により、後発のオールスター作品に参戦したキャラクターの原作に手軽に触れられるようになった。
FFBE幻影戦争やFFRKといったソシャゲに物足りなくなったスマホユーザーや、FF1~6をプレイしたい新規層には朗報かもしれない。
グラフィック 
キャラクターのドット絵は新規に渋谷員子氏が描き直している。
今回のリマスターでは、「低解像度のドット絵っぽさ」をそのまま残す方向性のようだ。
FF5とFF6は、以前のスマートフォン版でもキャラグラフィックを一新していたものの、高解像度に合わせてドット絵を大きく描いているために「質感がのっぺりしている」といった不評の声が多く出ていた。
それと比べると、今回の5・6のキャラグラフィックはSFCの頃よりも少々粗っぽいが、ファミコンらしさが出ているのでオリジナル版を知っているプレイヤーにも馴染みやすいのではないだろうか。
- 渋谷氏本人によれば
、「全てのメインキャラ+一部NPCその他出来る限りのリメイクを描かせてもらえている」とのこと。「当時どうしても出来なかった事を実現できた」と満足度の高い仕上がりのようだ。
- ドット絵に使えるピクセル数がオリジナルより多くなっているため、
バトル画面では、大きく手を広げるようなダイナミックなポージングが可能になっている。
PSP版の1・2・4や、スマホ版の5・6のように「高精細でくっきり滑らか」な表現ではなく、
あえてドット絵らしさを残し、オリジナルのイメージから変わり過ぎない範囲内でのブラッシュアップに留めているのを感じる。
しかし、「旧移植版のくっきりしたグラフィックのほうが美麗で好きだった」という人もいるわけで、賛否は分かれるところである。
旧版がスマホでの販売が終了してしまい、好きなほうを選べばいい、という話でもなくなってしまっている。
キャラクターはもちろんモンスター・バトル背景・マップもすべて新たに作り直されているとあるが、多くはGBA版から流用されているようだ。
FF3は当然ながら全て新規だが、モンスターはレコードキーパーから流用されている。
新規に描かれたマップももちろんあり、4→5となるにつれ増えていく。
- ファミコン当時のモンスターは戦闘背景が黒であるという部分を利用している箇所もあり、そのまま流用してしまうと、外見がぼやけてしまうため、輪郭もしっかりと書き直されている。
- 近年は携帯ゲームなどに各作品のモンスターを登場させているが、2D化しているものやリマスター化させているものもあり
リマスター化させている物は、リマスター版が発売する前後で流用されている場合が多い。
「往年のドットに則る」とは言っても、そのドットデザインは6作とも共通で「スーパーファミコン時代」を基準としているようである。
オリジナルがSFC版である4~6はともかく、FC時代の作品である1~3に関しては「オリジナル準拠」と思うと肩透かしを食らうかもしれない。
今回は発表全作品の統一性もテーマのようであるし、FC時代のドットでは粗すぎる(特に背景などはそもそも再現するとなると黒一色にもなりかねない)という事なのかもしれないが。
1と2に関しては、オリジナル(FC)よりも初期リメイクのWSCやGBA版のイメージの方がはるかに近いだろう。
- FF1・2の背景グラフィックのデザインは、WSC版以降のデザインをそのまま踏襲している。
しかし「オリジナル版をベースに新しく」ということならば、例えば「ファミコン版の白い山肌」を再現するとか、
もう少しオリジナル準拠のリマスターという企画ならではの新鮮さが欲しい気もする。
コンフィグでは、ブラウン管テレビで遊んでいるようなボヤけ・にじみを再現する機能まである。
ゲーム中の文字フォントはドット絵ではなく、スムージングが強く滑らかなタイプであるため、
「ゲーム画面はドット絵なのに文字だけが滑らか」な状態になってしまっており、統一感を損なっている。
steam版では文字をドット絵風にするModが有志によって配布されたりしているようだ。
- 後発のSwitch/PS4版では、独自のピクセルフォントが選択可能に。
FF5のフォントをベースイメージにして8000文字近くを制作したとのこと。
音楽 
BGMアレンジは、オリジナル作曲者である植松氏の要望をヒアリングしながらそれぞれの曲の方向性を決め、14名ものアレンジャーによる分担作業で行われている(出典)。
BGMは全体的には好評だが、「元のままで完成されている・元のままが良かった」という意見もあるので、
いっそオリジナル版とアレンジ版とを選べて切り替えられるシステムにしたほうが良かったのでは(事実、PSP版のFF3やFF4はそうなっていた)。
- 旧スマホ版のFF5やFF6はキャラグラフィックこそ高精細化の弊害もあってのっぺり、ツクールみたいと不評ではあったが、ことBGMに関してはオリジナルに極めて忠実であった。
そこから原点回帰を謳ったはずのピクセルリマスターは、グラフィックを原作に寄せながら音声面は原作から乖離するというちぐはぐな事になってしまっている。- 厳密に言えばグラフィック面も規格統一の一環でエフェクトや効果音などを他ナンバーの物から流用しており、それがまた作品単位での違和感を助長している。
- 後発のSwitch/PS4版では、オリジナル版のBGMに切り替えが可能になった。
- 一部の曲については、原曲における1ループが終わった後で変調が入ってもう1ループして1周という形だったり原曲にはなかったパートが追加されている(両方に該当する曲もある)
これらの特徴はイベントと連動しているタイプを除き戦闘曲ではほとんど見られずフィールドもしくはダンジョンで流れる曲やイベント曲に多く見られる傾向がある。
サントラについては2022年3月に6作品同時に発売。CDでは無くダウンロード版のみ。
一部のストアでは約4200円でハイレゾ版を購入可能。通常版は約2600円。
- フルでの購入以外にも1曲ずつバラで買うことも可能。1曲あたり250円(ハイレゾはさらに倍)ほどなのであまり価格の面で釣り合っているとは言えないが。
またショップでは基本的に試聴することも可能。
追加要素 
残念ながら、このPR版FF1~6はいずれも以前のリメイク版の追加要素(ダンジョン・モンスター・アイテムなど)は一切含まれていない。
独自のバランス調整等が行われているものもあるが、やはりこれまで追加されてきた要素がまとめて削除されてしまっているというのはボリューム面で不満を感じやすい。
- 正確にはFF1のみGBA版以降に追加されていた消費アイテムの一部(エーテル等)が残されている。
- 『3』に関してはリメイク版の販売が継続される事から兼ね合いもあるのだと思われる。
特に旧世代と新世代では3の評価が分かれている部分があり、DS版から始めた世代的に旧作はジョブ格差の激しい部分がある。 - オリジナル準拠といっても、戦闘シーンAなど、WSC版1・2で新規に追加されたBGMは続投。むろん他のBGM同様に新規アレンジが施されている。
- 有料でも構いませんので、アドバンス版以降の追加要素をDLCで出して欲しいところですね。
FF3も新たに作ってください。 - 幸いダウンロード販売なので、DLCという形で追加要素が実装されるかも知れないが、商品説明を見る限り望み薄かもしれない。
steamの各タイトルの商品説明には「オリジナル版をベースに新たに開発したリマスター作品であり、他のリメイク版などで変更・追加された要素は含まれていないものがある」ことが告知されている。
- 今までの移植の追加要素は収録されているのかどうかが注目されていたが、
FF1のソウルオブカオス&時の迷宮、FF2のソウルオブリバース&秘紋の迷宮などは未収録であることが発売後に確定。
その後に発売されたFF4~6もGBA版以降の追加要素はやはり未収録であった。- 旧スマホ版より遊べる要素が減っている以上、「これぞ完全版・決定版」としては支持されにくいだろう。
- FF1はPSP版があるからまだいいが、スマホ配信しかない旧5・6は完全に絶版ということになる。
(特に3・4以外のスマホ版は原則GBA・PSP準拠なので、今作に追加コンテンツが収録されなければ事実上それらの部分がもう遊べなくなる)
Wii UのVCではFF5・6を含め、リメイクの原点とも言えるFFアドバンスシリーズ全作品が715円という比較的安価な値段で配信されていたのだが、
3DSとWiiUのニンテンドーeショップは2023年3月末に販売サービスが終了してしまい、新規購入ができなくなった。
現在は再DLのみ可能だが将来的にはそちらも終了予定であるとのこと。
- また、スマホ版比較で言えばFF5,6は実質値上げとなる。
価格が値上がりした上にリメイク版の追加要素は非搭載・そして旧スマホ版は販売終了してもう遊べないという売り方は、当然不評を買っている。- PR版に5・6のリメイク版の追加要素が非搭載・旧スマホ版も販売終了ということは、今後はGBA版でしか5・6の追加要素を遊べないということ。
しかもダウンロード購入は終了してしまったので、再びGBA版カートリッジの中古価格が高騰しそうだ。
- PR版に5・6のリメイク版の追加要素が非搭載・旧スマホ版も販売終了ということは、今後はGBA版でしか5・6の追加要素を遊べないということ。
追加要素はやりこみ要素として一部のプレイヤーのみに向けたものかもしれないが、少なくともプレイヤー側からすれば存在して困るものではない(プレイしなければいいだけなので)。
追加要素で買え控えするユーザーより、追加要素がないことで買い控えするユーザのほうが多くいるはずであり、販促の意味でも新要素を出すのが通例。
追加要素の削除に落胆したユーザーは非常に多い。
魔法エフェクトの流用、リメイク追加要素の削除など賛否両論あるのも多く見受けられる。
「規格の統一されたリマスター」という形式の一貫性についても、6で流用をやめた時点で不統一となっている。
- 魔法以外のエフェクトも同名の物は多くが流用されており、問題視する意見は多い。
解析によれば、実はFF2の内部データにスコットの未使用グラフィックが存在しているらしく、
開発途中のある時期までは、ソウルオブリバースなどの追加要素も収録される予定だったのではないかと想像されている。
共通規格 
ピクセルリマスター版共通の仕様として、以下のものがある。
- モンスター図鑑が収録され、タイトル画面から倒した敵のデータを確認できる。
スマホ版の場合任意の敵と戦えるARバトルが可能となっている。 - STEAM版にはやり込み要素としてアチーブメント(達成項目)が導入されている。
- 会話時のフェイスグラフィック表示は搭載されていない。
- 旧スマホ版の5・6と同じく、マップ画面などどこでもナナメ方向への移動が可能になった。
- バトルでは、直前に入力したコマンドを自動で繰り返す「オートモード」が搭載されており、さらにオートモード中は戦闘が高速化される。
- 天野喜孝氏によるイラストを中心に多数の設定画を高画質で収録した「ギャラリー」を搭載。
- 全作品に付属しているギャラリーモードで国内版で未採用のデザインが見られたりする。
例えば、FF3のスキンヘッドの弓使いデッシュに、老婆ではなく美人のウネや、FF4から後のFF5のバッツっぽいカイン等が見られる。 - しかし、流石に企画倒れになったアメコミ版FF4の設定画(いかついアメリカンヒーローらしいセシル・悪の帝王らしいカイン・女武闘家らしいローザなどtまでは収録されていない。
- 全作品に付属しているギャラリーモードで国内版で未採用のデザインが見られたりする。
- セーブデータは20個まで作ることができる。
- オートセーブ機能があり、運悪く全滅してしまっても、そのフロアの初期地点からやり直せる。
- 中断セーブはどこでも可能で、再開しただけでは消えない(新しい中断セーブを作ったら上書きで消える)ようになっている。
- 植松伸夫氏が全面監修したBGMを鑑賞できる「サウンドプレイヤー」を搭載。
- クリア後解禁などではなく、最初から全曲聴けてしまう。
- オリジナル版のサントラにあった一部の曲が未収録となっている。
- 3はピアノのおけいこ1と2が未収録。
- 5はピアノのおけいこ1~8とあたしは踊り子が未収録。
- 町やダンジョンでは、全体を見渡せるフロアマップが常時確認可能。宝箱の配置まで示されている。
- また、ワールドマップでそれぞれの地名を選ぶと、「宝箱 3/10」といった表示が出て、その場所に設置されている宝箱やアイテムを現在いくつ回収済か&いくつ未回収かが確認できるようになっている。
- クリアデータの保存が可能。
ラストバトル前の状態で保存されるため、ラスボス戦で使ったアイテムが全て戻ってくるのが嬉しいところ。- スタッフロールが非常に長く、2回目以降のクリアでもスキップ不可能なのが周回プレイヤーにとっては残念。しかもスタッフロールが終わらないとクリアデータを保存できない。
- また、逆に言うとラスボス(ラストバトル)から盗んだアイテムを手元に残す事は出来ない。
- 通常戦闘とボス戦を区別するために、全作品ともボス戦ではスクエニ作品のキャッチロゴ表示と似たカット演出(横に光が走っていく演出)が入るようになっている。
グラフィックの描き直しにあたって、統一感を出すためなのか、共通したグラフィックが使われている部分がある。
どうやらFF5のグラフィックが一種の基準として採用されているようだ。
- 1・2の飛空艇&3のエンタープライズのデザインが、FF5の飛空艇と同じものになった。
- 1・2のNPCのグラフィックも、FF5由来のデザインに差し替えられているものが多い。
コーネリアの大臣・お店の店員・踊り子・こども・青い髪の男性、緑色の髪の女性、などがわかりやすい。- このため、1・2はNPCのグラフィックについていえば、ファミコン版からの再現度はあまり高くない。
渋谷氏の作業量を減らすことを考えて、FF5からの流用で済ませたのだろう。
- このため、1・2はNPCのグラフィックについていえば、ファミコン版からの再現度はあまり高くない。
- そうかと思えば、戦闘中のカエルのグラフィックは、プレイヤー側がFF5準拠、敵側がFF4準拠で統一感がない。
FF1~FF3で確認したが、新しくなった効果音にはFF5やFF6の「音」が所々で取り入れられている。
例えばドアの開閉時、回復の泉使用時、白魔法の発動時など。
効果音も含めて「SFC作品の水準に統一」という意図なのかもしれない。
- クリスタルルームから外にワープする時とオーエンの塔クリア時にはFF4のテレポの効果音が使われている。
- よく言えば規格・仕様の統一による作業の簡易化。悪く言えば原作のイメージを無視した手抜きの流用。
実際、FF2のブリンクやFF4のアイテムによる魔法など、原作の仕様ではありえない異常が発生している。
- よく言えば規格・仕様の統一による作業の簡易化。悪く言えば原作のイメージを無視した手抜きの流用。
FF1,2,3発売時点での共通事項として、アイテムの説明文が一新されかなり詳しくなっている。
装備品はステータスの数値がちゃんと公開されているほか、表示を切り替えれば耐性等もわかるようになっている。
- FF1~FF3では味方の石化の仕様が「敵の攻撃のターゲットになる(すべてミス扱い)」「戦闘後に経験値や熟練度を取得できる」で統一された。
- 一方でFF1の味のある(?)独特な説明文は再現されず。
まぁ、あれはオリジナルのFC版(とベタ移植に等しいI・II)以外には採用例はなかったのだが…復古志向のピクリマではこっそり復活を期待した人もいたり。
エンディングではED曲の終了に合わせて最後に「THE END」がビシっと決まるのが定番の演出だったのだが、
ピクセルリマスター版では各作品とも長すぎるスタッフロールの途中でED用の曲が終了してしまい、
残った部分はその作品のメインテーマ曲(フィールドBGMなど)を流すことで尺を埋めている。
- BGMは全て新しく作り直してるんだから、ED曲はスタッフロールの長尺にちゃんと合わせて終わるよう調整できなかったのか?とも思うが。
- そもそもFFI~Vのエンディング最後の曲は全て、同じフレーズを何度か繰り返した後、エンディングの終了が近付くのに合わせて終結部に入り、エンディング演出と曲の終了が同期するようになっている。
ピクセルリマスター版でも、この反復部分を増やすなりクレジットのスクロール速度を早めるなりして同期させることは決して難しいことではなかったはずである。
FF1の場合は元々オリジナル版にはEDスタッフロールが存在しなかったので、曲と場面がズレる類の違和感はない。
また、FF6だけはエンディングの映像と音楽(蘇る緑)がほぼSFC版と同じように同期している。
スタッフロールのあと、FFのテーマ曲にあわせて最後のシーンが始まるので、さすがにここで映像と音楽が一致してないのはマズイと思ったらしい。
しかし、FF6のスタッフロールはオリジナル通り5分以内で終わらせられたんなら、5以前のスタッフロールだってもっと短く縮められなかったのだろうか…。
- ロマサガ3のリマスターでも似たような点があり、スタッフが色々追加されたためにスタッフロールの尺が長くなり
他のBGMを繋ぎ合わせる形で尺合わせを行っている。
ピクセルリマスター版共通の演出なのだが、エンディングが終了してスタッフクレジットに入る直前に、
「世界中のファンの皆様とオリジナル版のスタッフに心より感謝申し上げます。」
という開発スタッフからの感謝メッセージが表示されるようになった。
- このメッセージは若干同人ゲーム感が出てしまうので、多少の賛否の声が挙げられる。
演出的には、スタッフクレジットが全て終了して「THE END」まで流れた後で、感謝メッセージを持ってきたほうがしっくりきた気がする。- PR版FF5・FF6ではこの感謝メッセージはスタッフロール終了後に表示されている。演出上、スタッフロール前に入れられなかったようだ。
- 後発の家庭用機版では、各作品でこの感謝メッセージは削除された。
- PR版FF5・FF6ではこの感謝メッセージはスタッフロール終了後に表示されている。演出上、スタッフロール前に入れられなかったようだ。
魔法のエフェクトはオリジナルに忠実ではなく、1~5まではシリーズを通して同じものが使用されている、ファイア、フレア、ホーリーなど。
FF2では魔法を鍛える事でエフェクトが派手になるが、レベル10を超えると最上級の魔法(ファイガ等)のエフェクトになる。
FF6に限り、オリジナル版に近いエフェクトと効果音となっている。
おそらくポケモンショックより古いゲームのエフェクトは、静止画と違って一通りチェックと手直しが必要になったのではないか。
たとえばSFC版FF4のゼロムスのビッグバーンや、SFC版FF5のシルドラのサンダーストームのエフェクトは画面のフラッシュが激しかったため、それらを考えると改変は妥当であったという肯定的な見方もある。
しかし、やはり1~5に対してはオリジナルの再現に無精であることと、それぞれの作品をプレイする度に同じ魔法のエフェクトを見せ付けられるマンネリ感に対して否定的な意見は多い。
FF3・FF4で確認した限りではでぶチョコボにアイテムを預けた際、
「預けた順に」でぶチョコボ内部でのアイテム並び順が固定され、整頓できない。
また預けたアイテム1種類を全て引き出すとそこのすきまを詰めるように預けたアイテム全体が移動する。
1種類のアイテムを99個以上持てない仕様と相まって、余った金で適当にアイテムを買い込んで詰め込んだりするとあっというまに目的のアイテムを探しにくくなってしまう。
- オリジナルのFF3のでぶチョコボは預けたアイテムはID順に並び、FF4のでぶチョコボはアイテム1種類を全て引き出しても空欄が残っていたのでどっちとも違う仕様。
シリーズ全体にてボス敵撃破時の効果音が、5・6準拠の「2回爆発音とフラッシュの後、ゆっくりと消えていく」際の効果音に統一されているが、
粉々になって消滅していく際に爆発音に合わせたフラッシュがなく、すぐに消え始めてしまう。つまり音と消え方が合っておらず、大変違和感がある。
- リアルタイムバトルでは崩れ落ちている状態でもリアルタイム進行が発生しているので、敵が残存しているとそのまま行動してくるので注意。
さらには、1~3においてはラスボスも中ボスと同じ消え方をするようになっている。FC版でさえラスボスは専用の消滅エフェクトだったのにである。
Steam版ではメニュー画面のコマンド一覧が左寄りで表示されており、オリジナルと全く異なる。
スマホ版では従来通りメニュー画面のコマンド一覧が右寄りに表示されている。
Steam版は全作品でコントローラ対応。
旧スマホ版5や6ではコントローラに対応していたが、ピクセルリマスター版は全作品でコントローラ非対応で一部の操作がしにくい。
- 4~6のウィンドウカラーは固定で変更不可能。
- 5と6の短縮戦闘コマンドも無い。
steam版にて、ロードゲームからゲームを再開した時のファイル番号と、メニューからセーブを選んだ時のカーソルが位置するファイル番号が一致していない。
セーブをしようとすると常に1番目のファイルが選択される。
決定ボタンを連打すると誤って1番目のファイルを上書きしかねないので十分注意する事。
というか次のアップデートで早急に対応してほしいところである。
一応、セーブデータのバックアップをとっておくと不慮の事故から逃れる事ができる。
Steam版ではイベントシーン中にディスプレイの解像度を変更すると、イベントシーンが中断され操作できてしまうバグがある。(通称:リサイズバグ)
戦闘に入るなどでフリーズするが、オートセーブで保存されたデータをロードする事でマップの正常化ができる。
当初はFF6で発見されたが、共通仕様にした影響か他のナンバリング作品でも確認がされている。実用性に関しては検証が進められており、
FF6では崩壊前にワープできるバグ技などが確認されているようだ。
その他 
ピクセルリマスター作品で残念なのが、細かい表現や演出で再現されていない部分が多い点。特にこれはFF4以降で目立つ。
おそらく開発環境の共通化などが理由と思われるが、その作品独自の表現が他作品と同じに統一されていたり、
バトル中の魔法エフェクトや効果音・敵消滅処理の共通化など、今までの移植ではちゃんと再現されていた表現が今回に限って再現されていなかったりする。
固有の表現が他作品と共通の使い回しに変更された点については、批判している人が多い。
ピクセルリマスターシリーズの開発スタッフとして
広報動画やゲームニュースに登場するのは、サウンドディレクターの宮永氏やリードピクセルアーティストの渋谷氏、
スーパーバイザーの時田氏や北瀬氏などで、直接ゲーム部分の開発や方針決定に関わっているであろうスタッフ(ディレクターの野田貴裕氏など)は表に出て発言したりすることがない。
- サウンドやドット絵に関する裏話はいろいろ明かされているが、
しかし、ユーザーが気になっていて説明してほしいのは「どういう経緯でリメイクの追加要素が未収録になったのか?」とか
そういう所だと思うのだが、それについては正直に話せない大人の事情があるらしく、明かされていない。
公式サイトのQ&AやSteamの商品説明では、
「オリジナルとなるファミコン版、スーパーファミコン版をベースに、それぞれリニューアルしているよ。シナリオはそのままにゲームバランスをいい感じに調整してるんだ」
「本作は〇〇年に発売されたオリジナル版『ファイナルファンタジー〇』をベースに新たに開発したリマスター作品です。他のリメイク版などで変更・追加された要素は含まれていないものがあります」
と説明されているが、この「オリジナル版をベースに」という売り文句には正直、首をかしげざるを得ない。
というのも、実際のゲーム内容を見ると、リメイク版の変更点を採用していたり、リメイク版を元にして作ったらしい形跡が散見されるからだ。
- 1・2のテキストはFC版でなくGBA版以降の改変版のものである。
- 4・5・6のフィールド画面を見ると、地面のマップチップの色が、SFC版でなくGBA版の色になっている。
- FF5の内部データを見ると、GBA版の追加アイテム「ろうやのカギ」がある。
- FF6で、アルテマウェポンやラスボスなどのモンスターグラフィックが、GBA版と同様に縮小されている。
- FF6の魔列車イベントで、列車に乗った妻子をカイエンが追いかけるシーンで魔列車のBGMが流れる。これはGBA版以降の変更点である。
つまり、このピクセルリマスター版を開発するにあたって、実際に「ベース」にしているのは、GBA版等のリメイク版であるとしか思えない。
「リメイク版から追加要素を削除した作品」と言ったほうが適当なのである。
ピクセルリマスターシリーズの開発会社はトーセであり、同社は各GBA版も開発している。当時の開発資料やアセットが社内にあったため、これをベースに開発したのだろう。
- 「妖星乱舞ぶつ切り問題」はピクセルリマスター版でも解決されていないが、GBAベースと考えれば納得は行く。
- FF3も属性の扱いや武器の性能、グラフィック等殆どDS版(現3DR版)をベースにしている。
例えばカイザーナックルは立ち位置をFC版準拠に戻しているのに売値(買値は売値×2の値)はDS版そのまま。
YouTubeでは、既に退職した旧FF開発者達へのインタビュー動画や、有名人・芸能人を起用したプレイ動画を配信したり、宣伝に力を注いでいるのが見受けられる。
家庭用機版 
家庭用機版が2023年4月20日に発売された。対応ハードはSwitchとPS4。
フォントやBGMの切替え機能、ゲームブースターが追加されている他、演出やエフェクト、バトルの仕様など様々な調整が入っている。
変更点の一例
- バトル中のタイトル画面への移動機能
- セーブ効果音の変更
- モンスター図鑑から任意の敵とバトルする機能
- 魔法干渉値表示
- 暗闇の雲撃破後のBGM停止演出の復活
- ジョブ一覧へのジョブ名追加
- ルビカンテ戦のBGM開始タイミングを変更
- カインのジャンプ軌道をオリジナルと同様のものに変更
- ATBのぼうぎょとチェンジ操作をオリジナルと同様のものに変更
- アルテマウェポンとアルテマバスターのフィールドグラフィックを色違いに変更
- 妖星乱舞のシームレス移行
- カイエンの必殺剣名の入力も復活している
- FF6オープニングのスタッフロールも復活
steam&スマホ版の全てのピクリマ版FFで可能だったリサイズバグがさすがにもうできないと報告があった。
『ファイナルファンタジーI-VI ピクセルリマスター FF35周年限定特装版』が数量限定で、e-STOREにて予約できた。特装版のみゲームパッケージ『FINAL FANTASY I-VI Collection』が付属しており、通常版はDL専売である。
1から6まで纏めてダウンロード出来るバンドル版『FINAL FANTASY I-VI Bundle』も配信されている。
- つまり、ダウンロードではなくてパッケージの実物が欲しい場合は、33000円の特装版を買うしかない。
ただし、実は特装でない安価な通常仕様のパッケージ版が海外では販売されている。
海外通販サイトを通して、海外版通常パッケージ(※Switch版)を購入した人の報告によれば、普通に日本語も収録されており、おそらく日本の特装版に入っているカートリッジと同一品であろうとのこと。
やり込み勢にとっては、EXPやABP等の各種経験値の獲得倍率を0倍にできる逆ブースター追加が最重要だろう。
これにより、ひたすら楽して「初期レベルクリア」に挑めるようになったり、FF6における正規手段での最強育成方針が変わることになる。
- 逆に、倍率を上げるごく一般的なブースト要素のほうも意義は大きい。
FF5のように経験値もABPも比較的溜まりにくい作品の場合、一気にプレイストレスが減少する。
ギルの獲得倍率を上げれば、今まで以上のぜになげ無双も可能。 - エンカウントオフでのプレイも可能だが、図鑑が埋まらないというデメリットもある。
- FF2はHPアップ補正や武器熟練度上昇を抑制することも可能。
GameSparkによれば、「家庭用ゲーム版の追加機能などは、スマホ版&steam版にもアップデート対応されるのか」をスクエニに問い合わせたところ、「検討中」との回答だったという。
- その後のファミ通のインタビューにて、既に調整に入っていることが明かされた。ただし、完全に同じ要素を全部反映できるのかは不明とのこと。
家庭用版と今までの機種を比較すると、ARバトルおよび追加ブースト機能等がなく、気軽に携帯できないsteam版ユーザーが一番損をしていると思われる。
- 主に海外製のsteamゲーム対応の携帯ゲームパッドもあるが、高額な上にswitch以上のサイズのものも多い。ブースト機能等の追加アプデも未定。
- ピクセルフォント化やグラフィック差し替え等のMODが適用可能という事がsteam版の利点と言えなくもないが、あくまでも非公式の機能である。
ブースト機能等の追加アプデは未定だが、ARバトル・リサイズバグ等のバグ技・ポケットに入るスマートさの三拍子を求めるならまだスマホ版に軍配が上がる。スマホ版は操作性の悪さが最大の欠点。
AR機能はないがモンスター図鑑バトルは可能なので、ブースト機能で快適に遊びたいならこの家庭用版がベスト。経験値やABPの変更による新鮮なプレイが可能な点も家庭用版の目玉である。
家庭用版でポケットに入らないが、外に携帯したいなら勿論switch版が推薦される。