ウルの洞窟

協会からの指示を無視し、独断で動いた罰。
それはロウロという幼い研究員の護衛任務。
「メモリアは力、我々が管理し、行使する、
ただの力だ。彼らに意思があろうが関係ない
使い方を間違えるな」いきなり始まる講義。
メモリアを呼び出すときの注意。メモリアの
召喚の際、心の結界「マインドウォール」を
張る必要性。どうやら初期講義の受け直しの
意味もあるらしい。彼の話を粛々と聞き、
護衛を果たす。まずはウルの洞窟だ。

罰とはいえ、協会の研究者と一緒に行動して
いると、いろんな情報が入ってくる。
ことロウロに関しては、自分の中にためこん
だ知識をまわりに開放せずにはいられないよ
うだ。
「この洞窟に潜むモンスターは炎の力をまと
っているものが多い。炎属性のモンスターに
は氷属性の攻撃が効くのは常識中の常識」
なるほど、この洞窟で有効なのは氷属性か。
装備を見直してみるのも悪くない。

時折眉をひそめたり、笑みを浮かべながら
ロウロは自分のピクトロジカを見ている。
なんだか試験官に自分の実力を披露している
ようで、ちょっとやりにくい……

「なるほど……あ、そこはそういくタイプ
なんだ……ふうん……」

視線と独り言が気になるが、今は戦いに集中
しなければ！

彼は洞窟を抜けると、また話を始めた。
「とにもかくにも、彼らに感情や記憶を
明け渡してはいけない」それはピクトロジ
カーになるときに、最初に教えられること。
でも、彼らに感情があることこそが、心も
ある証拠ではないか？ 心あるものを道具と
して使っていいものなのか？ と聞くと、
「馬鹿なやつだ、あれはプレートの記憶から
再現された情報にすぎない。再生機に映る映
像と同じだよ」と答えた。