ムーア砂漠

ガースは自分の目の前で倒れた。
プレートの強奪。彼は、自分が最初にラルド
と共に追ったプレート強奪犯の１人だった。
そして、彼は任務の途中で消えたラルドの
尻ぬぐいをしていると、英雄を馬鹿にする。
怒りから詰め寄ろうとした時、一瞬にして、
彼の喚びだした召喚獣に押さえつけられる。
そして自分のことなど興味なさげに、ガース
との会話をいくつか問い、飛び去った。
ため息をつき、自分は次の目的地へ向かう。

砂漠のオアシスで水分補給しながら休んでい
ると、向こうのほうが騒がしい。話をきいて
いると、輸送中の馬車がモンスターに襲われ
て物資をその場に置いてきたらしい。
取り戻しにいきたいが誰かに護衛を依頼した
いとのことだったので、自分でよければ、と
引き受けることにした、
「自分の命も大事なんだけど、あの荷物がな
いとここでの生活もままならないからね」
物資を奪われないように早くいかねば。

あれが置いてきた馬車だと言われた方向を見
ると確かに馬車が置いてあったが、何か動い
たような気が…。まあ砂漠だし蜃気楼かとも
思うが…。近づいて荷物を確認しようと駆け
出した商人からすぐに悲鳴が聞こえた。
かけつけると、そこにモンスターの集団が！
さっき見たのは気のせいではなかった。
さらに別の集団が物資を持ち帰ろうとしてい
る。ここはピクトロジカーとして死守するの
が自分の務め、まずはこのモンスターから！

現場から荷物を持ち逃げたモンスターも全て
追いかけ、荷物を取り戻した。ちょっとした
仕事ではあるけど、心からの感謝を受けると
ピクトロジカーとしての喜びを実感する。
オアシスまでいったん戻って、再び巨大プレ
ートの探索に戻ろう。
巨大プレートが見つかれば、ラルドの行方も
わかるかもしれない。再会したときは成長し
た自分の姿を見せられるように、今はピクト
ロジカーとして精進を重ねよう。

この砂漠には特にピクトロジカー協会からの
派遣が多く、多数のピクトロジカーが巨大プ
レートの探索を続けている。この砂漠では３
日間もあれば地表から３ｍの砂は入れ替わる
という新陳代謝の活発な砂漠でもあり、なか
なか成果をあげるのは難しいだろう…そんな
弱気が頭をよぎるたびに、アイオラの言葉を
思い出す。
「今の自分にできることをやるだけよ」
その通りだ。今は他にやるべきことはない。

不毛の地と呼ばれる砂漠の上でも１年に数日
だけ、小さな発光性植物「ホタル草」が咲く
らしく、オアシス住民の観光資源としても
大事なものらしい。今年もその日が近づいて
きているらしくオアシス自体が落ち着かない
様子でこっちも気持ちが盛り上がってくる。
ついにホタル草が砂漠から蕾を見せ、開花す
る兆しを見せるが、その香りに誘われてモン
スターが現れた！このときを待っていた人々
も諦めの表情だが、そんなことはさせない！

ホタル草のまわりはモンスターで溢れ返って
いた。同じ気持ちで駆けつけたピクトロジカ
ーたちはすでに応戦している。

ホタル草の群生地はまだ無事だ！

戦いを続けてるうちにもどんどん咲きはじめ
るホタル草。戦いを忘れるほどの幻想的な風
景だ。この風景を我々が独占するわけにはい
かない！はやくかたづけよう！

ムーア砂漠にも巨大プレートはなかった。
次の目的地を確認していると、
「少しは、まともになったのか？」
と横柄に声をかけられる。それは幼き研究員
ロウロだった。再会に喜び、以前、自分の罰
に口をきいてくれたことを感謝すると、
彼は「んなわけあるか！協会に逆らう輩など
グルカに焼かれてしまえ！」と言われた。
彼はグルカと知り合いらしい。そんな会話を
しながら、次の目的地フィガロへ向かった。