カナーン岬

微かに感じ取った身体の在処のイメージを頼り
に、再びロウロと旅立つ。状況は全く変わって
しまったが、ロウロとのはじめての旅を思い出
す。二人で言葉を交わす感じもあの頃のまま。
何も変わっていないようなやりとりに、不思議
と期待も高まる。

イメージにあったのは水平線と灯台の風景。あ
りふれた風景だが、島の奥から感じる匂いを辿
って、カナーン岬へと進む。

周辺はモンスターの支配下に置かれた状況らし
く、モンスターが群生している。戦いを避ける
ために身を潜めながら、ゆっくりと進む。
できれば早く進みたいのだが、見たこともない
モンスターを発見する度にロウロの足が止まる。
このような状況であっても彼の好奇心を制する
ことはできないようだ……。
再び見たことのないモンスターに足を止めるロ
ウロ。その一瞬に足を滑らせて大きな音が一面
に響き渡る。モンスターが一斉に振り向いた。

ようやく先が見えてきた。意識を集中すると、
懐かしい感覚が五感に蘇ってくる。自分の身体
が近づいてきているということなのだろうか。

そこに何があるのか、鬼が出るか蛇が出るか。
これから何が起きてもいいように十分な休息を
先に取ろうというロウロの提案で、キャンプを
はることにした。
安全な場所で一晩休み、さあ行こうと腰をあげ
たそのとき、大きな咆哮が水平線に響く。

長い戦いの末、なんとかモンスターを倒す。実
力以上の戦いができたのは、ロウロの助言のお
かげかもしれない。

先の戦いを終えると、モンスターの気配が全く
無くなった。イメージに見た灯台が視界に現れ
る。人気のない、すでに役目を終え、寂れてい
る灯台だった。
なぜこんな場所に身体があると感じたのだろう
か。先に進めば全てが明らかになるだろう。