レテ高地

洞窟を抜けて、見晴らしのいい高台に立つ。
陰鬱とした洞窟の中とは違う、爽快な景色に
疲労も吹き飛ぶ…かのように思われたが、
あの記憶のような映像が止むことはなかった。

ラルドの剣が、自分の心臓を貫く。そして、
その剣が光りだす。驚くラルド、引き抜こう
とするが剣は抜けず、剣から手を離すことも
できない、やがて光はラルド自身をも包んで
ゆき、やがて……全ては消え失せた……。

記憶の映像を追いかけるように、歩を進める。
それらのコントラストや色調は一貫性がなく
あらわれるたびに真偽を疑わざるをえない。

次の映像は…幼いころの自分だろうか。
手にプレートを持っている。誰かからピクト
ロジカを教わっている自分。聞き覚えのある
基本授業。何度も反復した基礎と最初の応用。
やがて自分は教えてもらっている相手に顔を
向ける。そこには、今の、自分が、いた……。

この映像、記憶は悪夢か真実か―――。

這いつくばって必死に逃げている自分を見て
いる。なぜ、自分が自分を見ているのか……。
平野を必死に……ついこの間の記憶のはず。
だが、逃げている自分の記憶ではない。また
混乱。この記憶たちは一体……。

モンスターが登場する。そこは記憶の中では
なかった。痛みを感じつつ、挑む。

バイセージを倒した自分は穴から這いでる。
日の光が、頭の中のもやを晴らしていく。
「何を見た？」突然、声をかけられ前を見る。
そこには、いつどうやって来たのかマトーヤ
がいた。「何って記憶……」「誰のだ？」
何を言っているのだろうか？　それは彼女が
一番知っているはず、ここは自分の……。
「そう、これはお前の中にあった記憶の島だ。
しかし何を見た？　いや誰の記憶を見たのだ、
ウツロ者よ」思考の闇は再び暗くなった……