クリスタルの揺り籠

目の前の存在は止まらない。ラルドが集めた全てが
自分の中に戻り、異世界の記憶全てを思いだした。
今、目の前にいる向こうの世界を破壊したプイスと
名乗る異界の神も。そうコイツこそが元凶。僕自身
は世界を壊すものではない。なら僕は？

「その答えをピースにして思考の中に埋めたのよ」
また知らぬ女性の声。

「あなたは【異世界】で幾度となくバラバラにされ、
向こうでは罪人とされた【この世界】の幻獣神…
アレキサンダーよ！」

「馬鹿な、お前は私の傀儡にしたはずだ…。なぜ？」
異界の神が驚きの声をだす。「こちらの世界で多く
の【人】になったせいかな」僕は答える。
「人が持つ奇跡の力だというのか？」
「奇跡？少し違うかもしれない。人と人との繋がり
が生む、人の持つ真心…そんな感じかも？」
「Ａに連なるものがくだらぬことを…」

異界の神は憎々しげに言葉をはき消えていった。
そして、世界を繋いだ扉もゆっくりと閉じた……。