大迷宮ホーリーグローリー

グルカが消滅した後、１枚のプレートが残った。
「僕らピクトロジカーはメモリアだった」
僕は本当の身体を取り戻し、霧が晴れたように、
それを理解した。

そして今、僕とロウロは、大迷宮の儀式の間を目指
していた。そこでは「魂の入れ替え」という古代の
儀式が行われていたという伝承がある。

長く離れていた。
僕と魂の身体を安定させるために。

しかし、そこで待っていたのはリリート・ハーモス
ターだった。幾度となく共に戦った彼女。「おめで
とう、元の身体を手に入れたのね」しかし、その様
子はグルカと同じで【別の魂】が入り込んでいるよ
うだった。

「でもあなた、その【元の身体】でもチグハグよ。
どれくらい動けるのか、試してあげる」

そう言い、リリートはグルカのように大量のモンス
ターを喚びだした。それはそれは楽しそうに！

リリートは戦いながら語り続ける。「あなたは
もう気付いたようね。そう、ピクトロジカーたちは
【魂】と【身体】が別々だということに」リリート
の言うとおりだ。

僕らピクトロジカーは皆、魂と身体が一致しない、
とてもチグハグな存在だったのだ。

ロウロが思考を口にだす。「まさか！
ピクトロジカは身体と魂の繋がりを強制的に作る手
段。そしてマインドウォールは、その干渉を抑える
ための【心の壁】か」リリートは冷たく頷いた。

儀式の間に着く前に確認しておかなればならない
ことがある。【僕らの知っているリリートの魂はま
だ残っているのか？】

ロウロに試せと言われ、ならばと僕は叫ぶ「リリー
ト…、いやハーモスター家当主！キミはその程度だ
ったのか！できることを最後まで諦めるな！思考を
止めるな！自らを思い出せ！」

一瞬、彼女の動きが止まり、瞳に光が宿る。僅かな
反応だったが、彼女の心は残っている。「よし、儀
式の間へリリートを誘い込もう」

本当のリリートの魂は彼女の身体の奥深くに残って
いた。ハーモスター家の領地を没収され身分を剥奪
されたリリート。大きなショックを受けているとこ
ろに、異世界から喚びだされた別の存在に入り込ま
れた。

そして理解した。僕らピクトロジカーは、元々魂と
身体が別々のチグハグな存在だと。

メモリアと何も変わらない。なら人の矜持など…。
全てがむなしくなっていたところに懐かしい声が聞
こえた。（アイツ…むかつく！）

儀式の間に入る。リリートは怪訝な顔をし、部屋の
前で足を止めた。

ロウロが囁く。「お前の魂を安定させるのと一緒に
リリートを助ける、中におびき寄せろ」僕は少し考
え「わぁー、行き止まりだー、どうしようー」と慌
てふためくフリをした。

「なんて大根なんだ」と頭を抱えるロウロ。だが、
リリートは楽しそうに部屋に入ってきた。ロウロは
正しい魂を導く儀式を始める。リリートは悲鳴をあ
げながら見たこともないモンスターを召喚した。

「まだ魂は抜けないのか？」
リリートに入り込んでいる異世界の魂は抵抗を続け
ている。その時、黒いモヤと共に強い光がリリート
から立ち上る。「私はハーモスター家当主！この心
は絶対に折れない！」彼女は戦っている！ならば必
ず救い出す！

ロウロが叫ぶ「チャンスだ！
あの異界の魂の【身体】を召喚しろ！今なら出来る
はずだ！」えっ？と驚くがガムシャラにプレート
から僕は何かを召喚。黒いモヤはそこに吸い込まれ
戦いになった！

強敵だったが倒すことができた。リリートは？と倒
れている彼女にかけよる。息はしている。と確認し
ていると、意識を取り戻し顔を上げた。
途端「その程度とか私に向かってよくも言ってくれ
たわね！」と僕の頬をひっぱたき。その後で小さな
声でお礼を言った。安堵。
ロウロも疲れたと座り愚痴を言い始めるが、リリー
トが何かを思い出したように慌てて立ち上がり。
「落ち着いてる場合じゃなかった！早くサンレスに！
協会に戻るわよ！」