パラメキア古戦場

外にでることは出来たが、強い呪縛によって
一切の自由はなかった。しかし、外気に触れ
色々なことを思いだしてきた。自分は受刑者
だった。理由を理解することはできないが、
他者にとって自分は悪でしかなかったらしい。
しかしどうやらその悪が必要になったようだ。
世界が滅び行く中、ひとつの案が出された。
この世界を捨て、隣接した世界へ移住する。
それには、自分が、渦を越え、再び、自分に
なる、それに、よって……意識はバラけた。

拡散し続ける意識は、幾多の次元を瞬時に渡
り歩く。
それが条件であるかのように、立ちはだかる
異形の魔物たちと戦いを続ける。

自分がピクトロジカ―なのか、メモリアなの
か。もはやそういった認識は失われた。
今はただ、結果に向かって時間を進めるしか
ない。

時間を進め、戦いを重ねる。記憶の島からず
いぶん遠くにきてしまった。この戦いの先に
あるもの―――。

もともと複数の存在。個と全が同じ矛盾。
あの存在が、少しずつ入ってきた、それから
そうなった、はずだ、と思う。ゆえに、渦を
こえた時に、数多くの魂となって…………。
だから、集めなければならない、全となる。
そのためには……。

やがて、意識は拡散から集中へと動きを変え、
それを際限なく繰り返しながら、ひとつのか
たちを目指した。

幾時を費やし、目の前にあらわれた大きな影
に、不思議な兆しを感じた。それは、とても
懐かしく、暖かそうな兆し。

しばらく抱くことのなかった期待とともに、
影に挑む。

「強いメモリアというのは、そのメモリアに
宿った魂が強いってことかもな」いつの記憶
だろう？　ラルドの声が聞こえる。「そして、
どうやら、このクリスタルは、その強い魂を
呼びやすい力を持っているみたいなんだ」
モーグリだけが行ける鉱床の話を、ラルドに
聞いた時だ。なぜ忘れていたのだろう、あの
クリスタルは見たことが……ある。何を意味
しているのか、色々なことが繋がったように
も思えるが、まだ……思考を続け前に進む。