シドニア提督の言の通り、機動戦とは火力より機動力を重視する、というより機動に焦点を当てた軍事 / 戦争哲学の総称である
なお同項では定義について腐心されている向きがあるが、機動力を軽視した結果を考えれば逆説的に説明できる
つまり、
- 部隊の機動に関する手順や段取り等、数理的な合理性を追求しない
- 単純に部隊の速度が遅い
- 上記 2 点による客観的事実に対する心理的影響を考慮しない
この 3 点の裏が機動戦の要旨である*1
なおアクション RPG や FPS などに存在する既知の概念としては 「 位置取り 」、「 裏回り 」 等が文脈的に近い関係にあると言えるだろう
コンセプト
モデルを単純化するため、↓ のような機動部隊と非機動部隊との交戦を考える
非機動部隊とは、↓ のように兵力を融通しようとしても
実行できないか、できるとしても制約の大きい戦力と定義する
他方、機動部隊とは、↓ や
↓ のように、大きな制約を伴わず兵力の融通が可能な戦力と定義する
( 数理的な ) 特徴
数理に限定した場合、機動部隊の利点とは瞬間的、一過的な兵力と火力の集中に集約される*2
なお、伝統的には ↓ のように集中して叩きつける対象が敵の戦力そのものなのか、
それとも拠点や地形なのか ? という観点で細分されてきた
そのため そうした状況を説明するための言葉は比較的多い
しかし拠点の設備や地形も、全く機動力を持たないだけで戦力には違いない
したがって機動部隊の戦力を合し集中させている点で数理的には結局のところ同値、というワケである
心理戦
ただし上記までの話は心理的、政治的な観点を無視、少なくとも軽視し、短絡的に軍事上の評価を述べたものに過ぎない
人は全ての情報を元に行動などできない
仮に情報自体は辛うじて集められても、それらには必ずバイアスが掛かる
つまり、機動戦においては
「
対象は機動戦を展開できるので、相手は現状に対して○○○という印象を受けた
だから特定の言動を呈した / 呈さなかった
というベクトルを念頭に置く事が非常に重要である
国境警備隊 / 沿岸警備隊
特に為政者から見て、仮想敵国の保有する機動戦力は侵略意図、領土的野心を危惧 / 警戒されがちである
自走化 / 機械化されていない戦力であれば、仮に大規模であっても侵略に用いるには奇計を要するものと解釈される公算が大きい
現実でも他国を刺激しないために射程や航続距離を敢えて抑えた兵器の開発 / 配備が優先されたり、逆に挑発のための射程や航続距離の誇示というのは頻繁に行われる
CoW においても国境 / 沿岸付近の配備兵力は心理戦の影響を考慮した方が良いだろう
例えば牽制目的に限定するなら対戦車や対空、歩兵などに絞り、示威や挑発を加味するなら戦車や自走砲、沿岸の場合は戦艦や空母を航行させるといった具合であろう
衝力
また、比較的古い時代においても機動部隊による戦術レベルかつ素朴な水準での心理的効果は指摘されてきた背景があり、特に日本では、そのような効果、あるいは能力を衝力という単語で表現する慣習がある
極論から言えば、機動戦力は動力自体を武器として用いる事ができる
そのため極端に間合いを詰めるなどして銃器や刀剣類の使用に制限が生じる状況に持ち込むだけで相手を一方的に加害できたり、前線が崩壊する場合がある
関連ページ
外部リンク
Computer Simulation of an Armoured Battalion Swarming
GlobalSecurity.org
ありがとう ! -- 2022-03-05 (土) 12:02:59