友人が、すごいアイルーを連れているという。
何でも攻撃力は5万を超え、防御力も3万はくだらないそうだ。
話を聞くと、数発でアカムも沈めるらしい。
友人は、最近の狩はもっぱらそのオトモに任せきりだと言う。
久しぶりに会った彼からは酒の匂いが強く感じられた。
ここしばらく、武器も手にとっていないようだ。
好奇心から、そのオトモに会って見たいと申し出た。
友人は快諾してくれた。
もうすぐ、友人が来る時間だ。
「そろそろ来るから、お茶を頼む」我が家のオトモに言った。彼女は私を一瞥して、
キッチンに引っ込んでいった。私が新しいオトモに会うのが気に食わない様子。
悪いとは思ったが、これもハンターの性だ。スキル構成、トレーニングの配分は
他人のオトモも見て参考にしたほうがいい。
それが、将来一人立ちするオトモのためにもなるのだから。
あとでマタタビでもやって機嫌を取っておこう。
「おーい」玄関から声がした。どうやら友人がオトモを連れて来たようだ。
果たしてどんな出で立ちだろう。毛並みは何かな。玄関に行き、戸を開けた。
よく来たな、噂のオト
見た瞬間に吐いた。何かがそこに居た。
人間ほどもある体躯。
ぶくぶくと肥大化した筋肉の塊、むき出しの筋繊維に血走った血管。
毛並みどころか皮膚など微塵も残っていない。
半開きの口から垂れる涎が、ババコンガすら逃げ出すほどの汚臭を放つ。
あの澄んだ翡翠の眼は白く霞がかかって、白内障のように澱んでいる。
ガチャンと音がして、茶碗を載せた盆を捨てた我が家のオトモが
私と怪物の間に割って入り、威嚇の声を上げる。
友人が声をかけてくる。「おいどうした、大丈夫か」
大丈夫か、だって?お前、何を言ってるんだ。
そこに居る化け物が見えないのか。
「こいつがオトモだよ。強い、オトモだ」
何処がだ。何を言ってる。
お前のそれは何だ。
それは一体何だ。
概要
- チートによって通常ではありえないステータスを与えられたオトモアイルーのこと。
オトモアイルーが初登場したMHP2Gにおいて爆発的に広まり、大きな問題となった存在である。
大抵のモンスターを瞬く間に沈める強力さから「悪魔アイルー」「悪魔ネコ」と呼ばれたが、
面白がるようなネーミングを嫌い、単純に「改造ネコ」と呼ばれることも多かった。
なお冒頭の悪魔アイルーに関する証言は、某巨大掲示板で有名になったコピペである。
無論このコピペみたいにグラフィックまでアイルーからかけ離れた化け物みたいにする改造は今のところ見受けられていないが
- オトモアイルーが登場したMHP2Gではオトモアイルーの攻撃力・防御力の上限は合計500前後だが、
このステータスを改竄し、攻撃力・防御力ともに数万~数十万という値が設定されている。
大半のモンスターをほぼ一撃で倒し、どれだけ攻撃を受けようがまず倒れない、文字通りのチートキャラである。
問題点
- 配信機能を悪用する事により、こうした改造が施されたアイルーのコピーを他の人に渡す事ができてしまう。
また、コピーを貰った人も他の人にそのコピーを渡すことができてしまい、
改造アイルーがネズミ算式に増えていくという由々しき事態が比較的容易に発生する。- そのような背景から悪魔アイルーは数を増やす一方で、一般的なプレイヤーの耳目に入る事も多かった。
特に仲間内で誰かが悪魔アイルーを持ち込み、それが蔓延するというパターンも少なからずあり、
改造の問題点を理解していないプレイヤー間では「悪魔アイルーを友達が持っていたので自分も欲しい」
という需要さえあったようである。
- そのような手段で改造されたアイルーを受け取るだけであれば何の知識も技術も必要ないため、
チートについてまともな知識がないプレイヤーの手に渡ることも少なくなかった。
そうしたプレイヤーが改造アイルーの使用を公言したり、掲示板・フォーラム、スレッドなどで
その話題を出して煙たがられるという事態も頻発した。
当たり前の話だが、一般的な掲示板やスレッドでチートの話を持ち出すのは言語道断である。
- そのような背景から悪魔アイルーは数を増やす一方で、一般的なプレイヤーの耳目に入る事も多かった。
- 一人でチート行為を行うという程度であれば現在は積極的な取締が行われていないものの、
ゲームプログラムの改造行為は同一性保持権の侵害に抵触する可能性がある(著作権法違反)。- また、オンラインで改造データを利用・配布する行為はれっきとした違法行為であり、
「電磁的記録不正作出・供用罪」や「電子計算機損壊等業務妨害罪」として取り締まられる。
このような行為はメーカーなどに損害を与えるとして逮捕・訴訟されるリスクもあるので注意。
チートツールを配布する行為も「不正競争防止法」などが適用されて取り締まりが行われている。
- 実際にMHシリーズにおいてもチート絡みで立件された事例がある。
MH4Gのセーブデータを改造して悪魔アイルーを作成し、
それを配布することで収入を得ていた人物が著作権法違反で書類送検されている。- 動画サイトに改造アイルーや改造クエストを使用した動画を投稿したり、
その動画で改造データの配布を宣伝するなどの行為はMHP2Gの時点で問題視されていた。
単に自分がちやほやされたいが為にこうした改造データを配布する事を大っぴらに宣伝する者すら居た。
- 動画サイトに改造アイルーや改造クエストを使用した動画を投稿したり、
- また、オンラインで改造データを利用・配布する行為はれっきとした違法行為であり、
- ゲーム性という面で見ると、モンスターを狩って素材を集めるというメインとなる要素全てが
「アイルーについていくだけ」で終わってしまう。もはやゲームといえるかすら怪しい部分である。
そのようにしてゲームを進める通称オトモハンターの存在も問題視された。
オトモハンター
- こうした改造オトモアイルーに頼り切ってゲームを進めた結果、通常通りにプレイしていれば
身についてくはずの知識やプレイヤースキルが何もついてないプレイヤーが「オトモハンター」と揶揄された。
チートを利用してゲームを進めているのだから、当然通常プレイしている人たちから非難の対象になっていた。
- MHP2以降ではMHシリーズが社会現象とまで言われる程のブームを引き起こし、
所謂「リアル集会所」のように、
不特定多数のハンターが集まりその場でマルチプレイを行うというような事も増えてきた。
また、MHP2(G)およびMHP3ではXlink kaiやアドホックパーティーを利用すれば擬似的にオンラインプレイが
できたため、ネット越しに不特定多数のハンターと遊ぶという事も少なからずあった。
そうした中で、HRや装備に対して明らかに腕前が見合っていないハンターが
オトモハンターではないかという疑惑をかけられる事もあった。- ただし、当時はブーム故に付き合いで仕方なく遊んでいたという人物も少なくなく、
そういった人物は改造に手を染めずとも知識とプレイヤースキルが乏しい傾向にあった。
逆にそうしたプレイヤーが仲間に追いつくために悪魔アイルーに手を染めてしまう事例もあっただろう。
- ただし、当時はブーム故に付き合いで仕方なく遊んでいたという人物も少なくなく、
- こうした背景から「オトモハンターを見分ける方法」というのもプレイヤーの間で暗に共有されており、
オトモハンターと思われない為に訓練所を完遂したり、勲章を集めるというプレイヤーも少なからずいた。- 訓練所にはオトモアイルーを連れて行けないため、そこそこの記録でクリアしていれば腕前の証明になる。
また、MHP2Gではミラボレアス種のクエストの出現条件が訓練所クエストを全て1回以上クリアというものであり、
ミラボレアス種と戦うようなハンターであれば1種目ずつは埋まっているのが当然というレベルだった。
一応配信クエストとしてもミラボレアス種のクエストは存在し、訓練所をプレイせずとも戦うことはできるが
こちらのクエストだと体力が少なめとはいえ撃退なしの完全一発勝負である。
当然、どちらのクエストに行くにしてもその腕前があれば訓練所ぐらいは簡単にクリアできるはずである。
そのような点から、「ミラ系に行きたがる/ミラ系装備をつけているが訓練所の記録が埋まっていない」
という者に疑惑の眼差しが向けられる事があった。 - 作品にもよるが、超大型モンスター*1をソロで討伐(撃退)できるかという指標も役に立つ。
特にMHP2Gではオトモアイルーを超大型モンスター戦に連れて行く事が出来なかった為、
オトモハンターはそれらのモンスターを嫌ってソロでは行かなかったり、
誰かに協力プレイを求めたり(基本的に寄生なので足手まといや荷物になる場合が多いが)する事が多かった。
もっとも、当時の超大型モンスターは攻略法が単純な物が多く、
装備を整えれば、意外とオトモハンターでも撃退ぐらいは出来たりする。
そういう点では討伐出来るか否かの方が指標としては役に立つか。 - 勲章をフルコンプするには上述の訓練所、超大型モンスター、トレジャーなどの
アイルーを連れていけないクエストをクリアする必要がある。
オトモハンターの中にはアイルーが連れていけないクエストはクリアできないという者も少なからずいたため、
勲章をフルコンプするまでやりこんでいる=自力で進めた証明とされた。 - 当時のオトモアイルーは部位破壊を優先して行うAIはなく、偶然部位破壊するということも稀であった。
その為、オトモハンターは甲殻や鱗などの剥ぎ取りで入手できる素材は沢山あるのにもかかわらず、
尻尾や角など、部位破壊でしか入手できない・しづらい素材や
捕獲や落とし物でないと出にくい素材を殆ど持ってない事が多い傾向にある。
特にMHP2Gではミラボレアス種の翼の部位破壊が悪魔アイルーでは非常に困難だった為、
ミラボレアス種の討伐数の割に翼膜や剛翼が足りないというオトモハンターが珍しくなかった。- ただし、ハンマー使いにおける尻尾など、武器の性質上真面目に戦っても破壊にてこずる部位もある。
部位破壊限定素材を持っていないだけで決め付ける事はできないが、傾向としては多い。
- ただし、ハンマー使いにおける尻尾など、武器の性質上真面目に戦っても破壊にてこずる部位もある。
- 訓練所にはオトモアイルーを連れて行けないため、そこそこの記録でクリアしていれば腕前の証明になる。
その後の作品における対応
- こうした問題への対処として、MH4(G)ではすれちがい通信によるオトモアイルー交換に改造対策が施された。
3DSはチートの常套手段であるメモリハックに対して厳重な対策を行っているため、
ツールを走らせる事でその場でメモリをいじり、不正な挙動をさせる事は難しくなった。
残念ながら、セーブデータの改竄(セーブデータハック)に関しては完全に阻止できておらず、
セーブデータハック専門のツールも出回っており、オンラインプレイで不正なステータスの設定された
武器や防具を使用するチーターが蔓延しているのが問題視されたが、
MH4(G)のオトモアイルーは仕様変更により攻撃力防御力は装備中の武具依存になったため、
MHP2Gほど改造アイルーが出回らずに済んだという経緯がある。- それでも、発売からほどなくして
「天使リオレイア」と「悪魔リオレウス」と名付けられた改造アイルーが確認された。
偽装工作のためか特別配信扱い&初期レベル1になっているが、
そもそも名前が全角で7文字になっている時点で明らかに改造産である。
後者に関しては名前通りの悪魔アイルーである。
その他、真・鬼人笛の術やシビレ罠の術と言ったトレンドスキルを
通常のスキルとして覚えているという改造を施されている個体も確認されていた。
かつての作品におけるセーブデータ破壊のような被害はほぼなかったようだが、
もし受信ボックスに紛れ込んでいた場合は念のため削除しておくことを推奨する。
- それでも、発売からほどなくして
- MHX(X)でも引き続きオトモアイルーをすれちがい通信によって交換可能。
こちらも攻撃力防御力は装備依存であり、サポート傾向による固定サポート行動以外はほぼ完全にランダム。- 全ての技を覚えている、などありえない組み合わせのアイルーを保存したデータは、
基本的に次回起動時に整合性チェックで弾かれ、読み込めないようになっているはずなのだが、
同じサポート行動が伝授枠の後にずらっと並んでいる…というような、
明らかにデータ改竄を行った痕跡が残っているアイルーの存在が確認されている。
- 改造部分はステータスのみでなく、見た目を改造している個体も確認されている。
アイルーの耳や尻尾などの外見を選べるようになったが、
その耳が無い、尻尾が無いといった不正なアイルーが確認されている*2。
- オンラインプレイで「改造猫ください」だの「虹色猫あげます」だのと書いてある部屋は、
こういった改造アイルーのことを指しているので絶対に入ってはいけない。
- 全ての技を覚えている、などありえない組み合わせのアイルーを保存したデータは、
- 理想のお守り問題と同じく、チートを用いる事で理論上存在しうるアイルーを作成するという手口もある。
「遠距離攻撃強化の術」を始めとした希少価値の高い配信専用スキルをチートで伝授枠に覚えさせる、
厳選を行う手間を省くために完全に理想的なスキル構成を持たせてあるアイルーなどは
傍目には厳選を行って入手したものか改造産かは判断ができない。- オトモ道場で一定までは調整できるMHXXはともかく、
厳選環境の厳しいMHXに於いてはあまりにも出来すぎている場合は受け取らないという選択肢もある。
- 環境依存文字等を使用したオトモは、少なくとも何らかの改造を施されているものとみてよい*3。
名前にミリ・センチ・リットル等の省略字が使用されている、文字化けしている、
名前が空欄である、何故か名前が縦書き…
といったオトモは、配信されても受け取らないようにしたい。
- オトモ道場で一定までは調整できるMHXXはともかく、
- MHWorldと続編であるMHW:Iでは、改造によってオトモのステータスを弄る手段が存在しない。
MHP2Gから延々と続いてきた改造オトモの命脈は、ここに来て遂に絶たれることとなった。
付け加えると、MHWorld以降にはオトモの配信システムも登場していない。- オンラインにおいて改造オトモに纏わる問題が発生しなくなったことから、
MHWで参入した新規プレイヤーは"悪魔アイルー"という存在そのものを知らないことが少なくないという。
MHP2Gにてかの呼称が話題になってから幾星霜を経て、ようやくあるべき形に戻ったと言うべきか。
- オンラインにおいて改造オトモに纏わる問題が発生しなくなったことから、
- MHR(:S)ではオトモ雇用が復活したが、他人への配布が不可能になった。
そのため、現状では悪魔アイルーの報告は確認されていない。
ただし、全ての素材・アイテムを999にした「改造データ」が販売されていることがあり、
こういったデータには不正なオトモが潜んでいる可能性がある。
いずれにしても、真っ黒な代物なので、どんなに安くても絶対に買ってはならない。
余談
- 改造を施されるアイルーは大抵攻撃が武器のみの性格が選ばれる。
これは攻撃力は爆弾の威力に影響しないことが理由であるとされ、
影響が完全にゼロのMHP2Gはもとより、MHP3でもほぼ無いと言って差し支えないレベル。
- MHXではニャンターモードの導入によりプロハンのニャンター版である"プロニャン"が登場。
保有スキルやPS如何によってはそのオトモだったとは思えない強さを発揮するが故に
「プロハンに対する賞賛の意味でのチート」になぞらえて「悪魔猫」と呼ばれ称えられる事もある。
ただし"プロハン"同様、人によってはそう呼ばれることを快く思わない人もいるので注意しよう。
特にこちらは、元が改造産のオトモを指す言葉であるためなおさらである。- ちなみに「だったら、チート改造されたオトモをニャンターで使えば最強のハンターじゃないの?」と言う
誰もが思い付きそうな疑問だが、その手の話はほとんど存在しない。
ニャンターの操作は非常に癖が強く、慣れたプレイヤーならともかく、通常のプレイでは快適性は皆無のため
チートを悪用して強化された所で快適な狩猟ができない仕様を、わざわざ好むプレイヤーは居ないためである。
改造されたオトモ任せで自分の実力の向上をサボる地雷プレイヤーなら、なおさらの話である。
オトモ自身のステータスやスキル以上にプレイヤーの慣れや手癖が大きく反映されるため
結果として改造オトモに手出しする未熟なプレイヤーが好んで使いたがる仕様ではない事から、
皮肉な形で回避された。
知識と技術によって正しく成熟したニャンター使いであれば、正規のステータスとデータでも快適に狩猟ができるが、
それはプレイヤーとしての修練と経験の為せる本物の実力である。
- ちなみに「だったら、チート改造されたオトモをニャンターで使えば最強のハンターじゃないの?」と言う
- MHFにおいては、類例として相互契約・一時契約可能なラスタにて改造版が存在するという噂があった。
ただし改造・チートの検出ツールが存在しそれらの対応も極めて厳しいMHFにおいては、
仮にそのようなラスタを用意したプレイヤーが居ても短時間でアカウント永久停止処分が行われる他、
ラスタは相互契約では最大2名にしか貸し出せないため、
一時契約が存在しなかったMHF-G以前では話題に上がることもなかった。
一時契約がある現在では、不正ユーザーがアカウント永久停止処分を受けるまでの短時間に限り、
そのようなラスタを作ること自体は決して不可能ではないと言われる。- なおMHFにおいては前例はないが、他のオンラインゲームでは不正ユーザーのものと知りつつ、
そのような要素を利用したプレイヤーにも罰則が科せられた例がある。
極端に攻撃力や耐久力が高い一時契約ラスタに出くわしたら速やかに利用を中止し、
運営に通報するなどの処置を行ったほうが良い。
- なおMHFにおいては前例はないが、他のオンラインゲームでは不正ユーザーのものと知りつつ、
- 攻略サイトや掲示板などで「改造(不正)無しで悪魔アイルーを入手できる方法」
という裏技やバグが紹介されていることがあるが、作業工程でデータの削除を促すような物がある事からもわかる通り、
このような情報は100%デマなので注意。
関連項目
ゲーム用語/チート
オトモ/オトモアイルー
シリーズ/モンスターハンターポータブル 2nd G - 悪魔アイルーが最も問題になっていた作品。