インコンパラブル級巡洋戦艦 インコンパラブル


性能諸元
性能諸元の数値は、アップグレード・基本特性・艦長スキル・ブースター・迷彩などの補正がかかっていない素の状態の数値を入力してください。
部位ごとの装甲厚や散布界など、ゲーム内には載っていない情報は将来ゲーム内で見れるようになる可能性があるので暫定で0や0-1などとする
・基本性能
| Tier | レジェンダリー | 種別 | プレミアム艦艇 |
|---|---|---|---|
| 艦種 | 戦艦 | 派生元 | - |
| 国家 | イギリス | 派生先 | - |
| 生存性 | 継戦能力 | 70,000 | |
| 装甲 | 全体 19-381mm ・艦首・船尾 25mm ・上部構造 0-1mm ・砲郭 102-279mm ・主砲 0-1mm ・重要区画 0-1mm | ||
| 対水雷防御 | ダメージ低減 | (-) 14% | |
| 耐火性能 | 火災発生低減率 | (-) 40% | |
| 機動性 | 機関出力 | 160,000馬力[hp] | |
| 最大速力 | 33.0ノット[kt]] | ||
| 旋回半径 | 1160m | ||
| 転舵所要時間 | (-) 16.0秒 | ||
| 隠蔽性 | 通常 | 主砲発砲時 | 火災発生時 | 煙幕内からの主砲発砲時 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 海面発見距離 | 13.3km | 17.1km | 15.3km | 13.8km | |
| 航空発見距離 | 11.1km | 21.3km | 14.1km | - |
| 射撃管制装置 | 艦体 | モジュール | 主砲射程 | 最大散布界(垂直/水平) | 主砲安定性 |
|---|---|---|---|---|---|
| - | mod.1 | 17.1km | 115m/191.6m | 2 |
| 主砲 | 艦体 | 口径 | 基数×門数 | 最大ダメージ(火災) | 装填 | 180度旋回 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| - | 508mm/45 Mk.I | 3基×2門 | HE弾 7,400(55%) AP弾 19,500 | 30.0秒 | 30.0秒 |
| 副砲 | 艦体 | 口径 | 基数×門数 | 最大ダメージ(火災) | 装填 | 射程 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| - | 102mm/45 QF Mk XIX | 11基×2門 | HE弾 1,500(6%) | 3.0秒 | 5.0km |
| 魚雷 | 艦体 | 口径 | 基数×門数(片舷) | 最大ダメージ(浸水) | 装填 | 射程 | 雷速 | 発見 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| - | 533mm Mk IXM | 2基×4門(4門) | 15,753(282%) | 96秒 | 10.0km | 62kt | 1.3km |
| 対空砲 | 艦体 | 口径 | 基数×門数 | 秒間平均ダメージ | 射程 |
|---|---|---|---|---|---|
| - | 20mm Oerlikon Mk IV 20mm Oerlikon Mk V | 26基×1門 8基×2門 | 148 46 | 2.0km | |
| 40mm Vickers 2-pdr. Mk VIII | 4基×8門 | 94 | 2.5km | ||
| 40mm Bofors Mk VII 40mm Bofors Mk IV | 4基×1門 12基×2門 | 93 278 | 3.5km | ||
| 102mm/45 QF Mk XIX | 11基×2門 | 87 | 5.0km |
・アップグレード
| スロット0 | スロット1 | スロット2 | スロット3 | スロット4 |
| ○ | ○ | ○ | ○ |
| 1 | ![]() | 主砲改良2 | +20%:主砲旋回速度 +20%:魚雷発射管旋回速度 |
![]() | 照準システム改良1 | -7%:主砲弾の最大散布界 +5%:副砲最大射程 -5%:副砲弾の最大散布界 | |
![]() | 副砲改良2 | +20%:副砲最大射程 -20%:副砲弾の最大散布界 | |
![]() | 対空砲改良2 | +20%:対空砲座の最大射程 | |
![]() | 兵装耐久力強化 | +50%:主砲の抗堪性 +50%:副砲の抗堪性 +50%:対空砲座の抗堪性 -5%:最大HP | |
| 2 | ![]() | ダメージコントロールシステム改良2 | +20%:応急工作班動作時間 -15%:消火時間 -15%:浸水復旧時間 |
![]() | 操舵装置改良2 | -20%:転舵所要時間 | |
![]() | 推力改良2 | -50%:最大出力への到達時間 | |
| 3 | ![]() | 隠蔽システム改良1 | -10%:被発見距離:敵弾の散布界+5% |
![]() | 目標捕捉装置改良1 | +20%:最大視認距離 +20%:魚雷発見距離 +50%:敵艦強制発見距離 | |
| 4 | ![]() | 主砲改良3 | -12%:主砲装填時間 -13%:主砲旋回速度 |
![]() | 魚雷発射管改良3 | -15%:魚雷発射管装填時間 +50%:魚雷発射管の損傷(機能停止)の発生率 | |
![]() | 射撃管制装置改良2 | +5%:主砲最大射程 -3%:主砲の散布界 | |
![]() | 副砲改良3 | -20%:副砲装填時間 | |
![]() | 対空砲改良3 | -10%:全消耗品準備時間 +25%:平均対空ダメージ |
・消耗品
搭載可能 消耗品
| 十字キー左 | |||
|---|---|---|---|
![]() | 応急工作班 | 無制限 | 消耗品の動作時間:15 秒 消耗品の準備時間:80 秒 |
| 十字キー上 | |||
![]() | 修理班 | 2 回 | 消耗品の動作時間:20 秒 消耗品の準備時間:80 秒 回復:2.0% HP/秒 |
| 十字キー右 | |||
![]() | エンジンブースト | 2 回 | 最大速度:+8% 消耗品の動作時間:120 秒 消耗品の準備時間:180 秒 |
| 十字キー下 | |||
![]() | 水中聴音 | 3 回 | 消耗品の動作時間:120 秒 消耗品の準備時間:180秒 魚雷発見:-2.5 km 敵艦発見:-3.5 km |
![]() | 水上戦闘機 | 4 回 | 消耗品の動作時間:60 秒 消耗品の準備時間:80 秒 |
![]() | 着弾観測機 | 4 回 | 消耗品の動作時間:30 秒 消耗品の準備時間:200 秒 動作中の自艦の砲安定性:+10% |
![]() | 強化型副砲照準器 | 3 回 | 副砲の安定性:+100% 副砲の散布界:-50% 消耗品の動作時間:30秒 消耗品の準備時間:160秒 |
詳細は消耗品を参照
ゲーム内説明
1915年、フィッシャー提督が第一海箪卿に復職した際、イギリス海軍の指導部はドイツ領のバルト海沿岸に部隊をいかにして上陸させるかという問題に直面していました。計画ではロシア軍が作戦を援護する予定であり、そのためには考えうる最大の艦砲を搭載した艦艇が必要でした。この構想に従って建造されたのが小型巡洋戦艦Courageous(カレイジャス)、Furious(フユーリアス)、Glorious(グローリアス)です。インコンパラブルはその更なる発展形を体現し、世界最大の20インチ(508mm)砲を搭載する予定でした。
設計年:1915
解説
- 概要
イギリスのレジェンダリー巡洋戦艦。
2025年の12月のサンタイベント期間中、特定のコンテナから約14.9%の確率もしくは褒章保証システムで入手できる。
英国戦艦らしく癖が強く、一言で表すなら「一撃の火力と速力に極振りにした」巡洋戦艦である。
- 主砲
508mm連装砲を3基搭載している。本艦が初の20インチ級主砲の実装となる。
本艦のAP弾は同鋼鉄艦の敷島?と正反対とも言える特性を持つ。敷島が近距離の貫通力が控えめな代わりに距離減衰が少ないのに対し、こちらは近距離の貫通力が高い代わりに距離減衰が著しいという具合である。
具体的には0距離の貫通力は948mmとSlava?の966mmや全艦艇中0距離貫通力最強の出雲の970mmにも比肩し敷島の816mmを大きく引き離している。が、しかし10km付近の655mm地点を境に逆転してしまい、20km地点では457mmと敷島に約70mm分もの貫通力の差を付けられてしまう。
グラフ上は全距離で出雲の貫通力-25mm程度が本艦の主砲の貫通力である。
貫通力は口径の割に控えめではあるが、32mm装甲を強制貫通出来る数少ない艦であるため、装甲の薄い箇所を狙えばコンスタントにダメージを出せるだろう。
また、弾速も残念ながら高速とは言えず、ティア6戦艦の長門に全距離で負けている。後述の隠蔽と機動性で上手く立ち回ろう。一応気休め程度に観測機が積める。有効活用すべし。
散布自体はシュペー散布を採用している上にσ値は2.0あるため優秀と言えるが、Georgiaの様な完璧な集弾を期待してはならない。やはり射撃管制室改良2の差は大きい。
装填時間は大和と同じ30秒。装填に特化すれば24.6秒になる。
- 魚雷
本艦の特徴の一つである。
533mm4連装魚雷を左右に1基ずつ搭載しており、そのスペックはMinotaurやGoliath?と全く同じ10kmのものである。勿論単射も可能。
最良隠蔽より射程が短いため隠蔽雷撃はできないが、0.6kmしか差がないので引き撃ちでなら十分使える。
- 副砲
102mm連装砲を11基搭載している。貫通出来る装甲厚は通常で17mmなので艦長スキルが無いと駆逐艦にも弾かれる。
一応副砲特化にすれば7.8kmになるが、船体の装甲の薄さからネタ運用だろう。
- 対空
割といい方...と言うべきだろうか。
遠距離対空砲の爆発数は6であり、一見強そうに見えるが担当が中ティアでお馴染みの102mm砲である為ダメージは1400と控え目である。あまり頼り甲斐がない。
一方中距離の火力は凄まじくボフォースとポンポン砲の40mmコンビネーションにより465というかなりのダメージを叩き出す。
近距離対空はちょっと優秀、くらいである。一応オハイオに並ぶ。
- 機動力
これもまた独特なものである。
速度は標準で33ノットであり、転舵所要時間は16秒である。ここまでは普通なのだが、アップグレードのスロット4に何故か推力改良1が積めない。しぶしぶ操舵装置改良1を搭載して出撃するとなんとびっくり加速が英国軽巡である。勿論減速も英国軽巡のそれであり、旋回半径は驚異の1160mとなった。これはレジェンダリー戦艦中最も大きい旋回半径であり、立ち回りには気を使わなければならないことを意味している。最もそんな特性がなくとも本艦は装甲配置のお陰で前線で紅茶を嗜んでいると即沈する。
- 生存性
ゲーム内説明にある「適度な装甲」などという奥歯に物が挟まったような言い方を真に受けてはならない。あくまで「『ペラペラ紙装甲巡洋戦艦としては』適度な」装甲である。側面装甲を簡単に表現するなら「Hoodの側面装甲を1インチずつ削って、バイタルを水面上に出した」のが本艦である。何故か分からないが、Hoodと比して、悉く側面の装甲が1インチずつ削られている。司令塔や砲塔側面に至るまで...ユトランド沖海戦の戦訓を反映していないせいなのだろうか。
HPもHood比で2,300しか増えていない。当然同ティア戦艦最下位である。艦首艦尾も1ミリも成長していない。それどころか1mm減厚されている。一応甲板は51mmあるため縦ればそれなりの抗堪性はあるが、お世辞にも上部構造はコンパクトとは言えず、HE耐性はそこまでと言った所。甲板防御は上甲板の51mm装甲と中甲板の51mm装甲、そしてバイタルパートの51mm装甲である。AP爆弾に対しては脆いだろう。
更に対水雷防御まで剥奪されており、なんとダメージ軽減は14%しかない。この数値がどれくらい驚異的かと言うと、ティア4軽巡洋艦のMontecuccoliに負けている。
- 隠蔽性
隠蔽性は非常に良好。素で13.3km、特化すれば10.6kmになり、敵戦艦どころか殆どの同格重巡洋艦を先に発見できる。当然マッチ帯の戦艦でもトップの隠蔽率を誇る。
反面、航空被発見距離は素で11.1kmと並なので、航空戦艦や空母が居ると生命線である隠蔽を活かしにくいため、生存性の低さから行動を大きく制限される。
- 消耗品
速力+8%のエンジンブースト、英駆仕様の効果時間が長く、艦艇・魚雷の探知範囲の狭いソナーに水上戦闘機/観測機/強化型副砲照準器からの選択式、そして高T英戦おなじみ超回復*1を搭載している。
超回復は火災ダメージには強いが、ツリー艦とは違い貫通ダメージの回復量が落とされているため過信は禁物。HPも低いため、温存しすぎて抱え落ちしないよう注意されたし。
- 総評
HE弾の攻撃能力に割り振っていた英戦が、HEだけでなくAPにも火力を極振りした初の20インチ主砲。そして軽装高速性の巡洋戦艦に大口径主砲を載せた革新的な英国面溢れるスタイルでもある究極の巡洋戦艦といえよう。
戦艦としては異常な隠蔽率と高い速力を誇り、その高貫徹力、多くの巡洋艦の跳弾を許さない大口径の508mm砲は、たとえ大型巡洋艦であろうと脅威になりえる。
ただし「巡洋」戦艦であり、その大きすぎる図体の割に装甲は薄く、中ティアの戦艦にすら劣る。加えて高威力の魚雷が多く流れてくる戦場でありながら、水雷防御も非常に不足している。戦艦を相手取る時は真正面から撃ち合わず、横槍を入れるようにするか、魚雷を駆使するべし。駆逐艦の魚雷は、ソナーを使って回避しよう。(見えていても曲がらないため回避できるかは分からないが)
ただ本艦ないしツリー英戦が軒並み軽装甲戦艦であることを踏まえれば、逆に強力な攻撃能力を持ったペラペラな英戦という面もある。
英国らしく非常に癖の強い艦艇であるが、使いこなす事ができれば艦名の通り「比類なき」艦として戦場を支配できるだろう。
もし入手したら従来のものとは異質なことで、新しい体験となるはずである。
史実
本艦は1915年にイギリス海軍で計画された巡洋戦艦である。
実際に建造された場合、世界最大クラスの巡洋戦艦になる予定だった。
第一次世界大戦中、欧州においては北海をはさみドイツ、イギリスの2大海軍国が睨み合っていた。ドイツ海軍は皇帝ヴィルヘルム2世の「ドイツの将来は海上にあり」という政策のもと、海軍拡張に励み、世界第二位の大海軍を建設した。しかし圧倒的な戦力を誇るイギリス海軍相手に正面切って戦うには未だ劣勢であった。そこで、ドイツ海軍が取った戦略が「艦隊保全主義」である。その名の通り艦隊の維持を最優先とする戦略で、たとえ何があろうとも艦隊は港を出ずひたすら籠城を決め込むというものである。
こうなると、イギリス海軍にしては制海権を維持するためにドイツ海軍を港に閉じ込めておくしかない。が、封鎖作戦というのは、いつ封鎖される側の海軍が出てくるかわからないため艦隊を常に敵の港湾付近で哨戒させる必要があり、その負担はかなり大きく、ボディブロウのように効いてくる。これより前の日露戦争でも、優勢な日本艦隊は旅順に立てこもるロシア艦隊を封鎖した。が、封鎖作戦は長引き、旅順が陸軍の攻撃の前に陥落する直前には、どの日本艦も整備不良で著しく性能を低下させていた。もし旅順の陥落が遅れていたら、連合艦隊は一旦、旅順の封鎖を解き、艦隊を引き上げドック入りさせなければならないほどだった。
もちろん、この戦略は実行する側にも弱点がある。港内という閉鎖空間に閉じ込められているため訓練も満足にできず、練度が低下する、その結果ますます出撃はできなくなり、最期には士気崩壊で自滅に至るという展開である。事実、日露戦争のロシア旅順艦隊も、第一次大戦のドイツ艦隊も、このパターン通り決戦を行わずに自滅している。とはいえ、イギリス海軍としては戦いが長引くのは不本意であった。まさか後世で世界大戦と称されるほど大戦が長引くとは思わなかった、ということもあって、戦力の優位性を生かして手早くドイツ海軍、ひいてはドイツに打撃を与え、戦争終結を早める策の必要性を感じていたのである。そこで考えられたのがこの話の主題、バルト海侵攻作戦である。
作戦の立案者は先に「ドレッドノート」「インヴィンシブル」の両艦の建造で名を馳せたフィッシャー卿で当時、海軍軍令部部長として作戦計画の責任者の地位にあった。ドイツはバルト海に面して海岸線を持っているので、バルト海に艦隊を派遣し、バルト海沿岸からドイツ本国に直接侵攻する。沿岸からは、わずか120km前進するだけでベルリンさえ占領できる。塹壕で睨み合っている西部戦線で攻勢をかけるよりも遥かに早く戦争を集結できる、という作戦を提案したのだ。だが、少し考えればその無謀さがわかる。バルト海に進出するには中立国であるデンマークを通るか、ドイツのキール運河を奪わなければならない。当然ドイツ海軍も出撃してくるであろうし、一歩間違えれば大艦隊の機動に向かないバルト海沿岸の狭い海域に押し込められたイギリス艦隊が大敗北する可能性もある危険な作戦なのである。しかし、海軍の実力者であり、作戦指導の責任者であるフィッシャー卿が立案者である以上、いかに投機的な作戦とはいえ採用されないはずがない。唯一ブレーキをかけられる陸軍が塹壕戦の前に戦争の打つ手なしという状態であったことも追い風となり、バルト海侵攻作戦は正式採用されることになった。こうしてフィッシャー卿はバルト海侵攻作戦に必要な艦艇の建造に勤しむことになるこの作戦に参加する艦には、かなり特殊なものが要求された。
まず、水深の浅いバルト海で戦闘するために、吃水の浅い艦であることは必須である。それでて、ドイツ艦隊を撃破して強行突破できるだけの攻撃力も必要であった。さらに突破作戦ということから高速性も求められ、結果として艦の防御力の不足は、速力を持って補うという巡洋戦艦と同じ発想から軽視されることになった。(イギリスとドイツの巡洋戦艦の構想の詳しい違いについてはMackensenの史実ページを参考に)この方針に沿ったバルト海侵攻作戦用の艦艇は、フィッシャー卿の指揮のもと、次々と建造されていった。時の海軍大臣チャーチルの言葉を借りるなら、「国中のあらゆる造船所が、彼の自由になり、国の金庫も彼の自由になった」という状況で、まさにフィッシャー時代と呼ぶに相応しい状況であった。まず、すでに建造が決まっていたR級の6,7番艦の建材を流用し、「レナウン」「レパルス」の巡洋戦艦が建造された。
この2隻は、30ktというこれまでの巡洋戦艦をも上回る速度となったが、舷側装甲は152mmと、旧来の巡洋艦並であった。それでもこの2隻はまだまともな巡洋戦艦だった。ついで建造されることとなったカレイジャス級は、「ハッシュ・ハッシュクルーザー」と異名をとることとなるバルト海侵攻作戦用の専用艦第一号である。ちなみに「ハッシュ・ハッシュ」というのは日本語で「シーッ」という秘密を意味する口語に近いものだったが、「ハッシュ・ハッシュクルーザー」は平たくいえば「秘密巡洋艦」だった。カレイジャス級は主砲として38.1cm砲を2基4門搭載し、速力は32ktとなったが、装甲はますます薄くなる代わりに紅茶要素は濃くなり舷側装甲は76mmという特殊艦である。さらについで建造された「フューリアス」は、主砲を457mm単装砲2基とされ、主砲の威力が向上した。(奇しくも世界初の18インチ砲である※ついでに砲重量も大和型より重い)この3隻は大口径砲を搭載はしているものの、正式には大型軽巡洋艦(!?)に類別され、実質的には巡洋艦であり、主砲数や装甲厚からも主力艦同士の戦闘に使用することはできない紅茶満載の奇妙な艦であった。
そして紆余曲折ありながら、「ハッシュ・ハッシュクルーザー」を超える存在として建造が計画されたのが「インコンパラブル」である。
主砲は世界最大の508mm砲を連装3基搭載、この50.8cm砲は、当時最大の巨砲として威力を発揮した38.1cm砲に比べ2.3倍の威力となり、いかにドイツ海軍の主力艦の防御力が高いといえど、一撃で大損害を与えるに足る大口径砲であった。6門という門数も、カレイジャスやフューリアスの2~4門に比べると遥かに強力で主力艦としての体裁を整えている。装甲も舷側279mmと初期の弩級戦艦と同等になり、それまでの巡洋戦艦よりも防御力は向上している。それでいて速力は35ktと巡洋戦艦のみならず、巡洋艦や駆逐艦さえ凌ぐ高速であった。
こうした要求をすべて満たしたことにより最大排水量は51,000tに達し、その名の示す「比類なき者」に相応しい空前の巨艦となった。一方で、当初の重要項目であった浅吃水は断念されたのだが、すでにこういうことは問題ではなくなっていたらしい。こうして計画が着々と進行していた「バルト海侵攻作戦にしか使えない艦」建造であるが、肝心の本作戦は1915年に中止になってしまった。
最大の理由はトルコ領のガリポリ侵攻作戦失敗の責任を取ってフィッシャー卿が辞任してしまったことにより最大の支持者を失ってしまったことである。また、失敗したガリポリ作戦そのものが、敵地深く海軍力の支援の元上陸作戦を行うというバルト海侵攻作戦に酷似した内容の作戦であったことや、ジュットランド沖海戦での巡洋戦艦のあっけない沈没により、速力は防御力の代わりにならないとわかったこと、さらには5万トンもの大艦を筆頭に10万トン以上の艦艇を一つの作戦のためだけに建造するという不経済さも理由にあげられるだろう。
世界最大の巨艦となるはずだった「インコンパラブル」は、1915年に基本設計が終了した段階で、建造中止となった。すでに建造されていた艦艇も、レパルス級は防御力を向上させた巡洋戦艦として建造は継続、「カレイジャス」「グローリアス」「フューリアス」の3隻は、航空母艦として別の人生を歩むことになった。
以下は要目である。
常備排水量 46,000t
最大排水量 51,000t
機関出力 180,000hp
速力 35kt
全長 308m
全幅 27.0m
装甲(最大)舷側279mm、甲板102mm、主砲356mm
吃水 10.0m
武装 50.8cm砲連装3基
10.2cm3連装5基 単装4基
53.3cm魚雷発射管8門
乗員 1,480名
参考 「未完成艦名鑑」:ミリタリーイラストレイテッド
小ネタ
艦名は「比類なき(もの)」を表す形容詞から。
本艦は史実で述べたとおりバルト海侵攻作戦のために計画され惜しくも(?)計画中止に終わってしまった艦であるが、ハッシュハッシュクルーザーの他にこのめちゃくちゃな計画で就役してしまった艦を紹介する。それこそがM級潜水艦であり別名「モニター潜水艦」とも呼ばれる。なんと潜水艦でありながら305mm砲1門を搭載しており第一次世界大戦の紅茶要素を色濃く残した潜水艦といえよう。しかし残念ながら活躍の場はなく、M1が事故で沈没してからは、M2とM3は主砲を撤去、それぞれ水上機搭載潜水艦と機雷敷設潜水艦に改造されている。ちなみにM1の沈没原因は1999年の調査でその主砲部分からの浸水が原因と判明した()
コメント欄
- 作成しました。 -- 2025-12-16 (火) 15:24:11
- 記事乙 -- 2025-12-16 (火) 15:27:59
- (駆逐に隠蔽を割られなければ)隠蔽バレしたと同時に高い機動性とロマン火力で強引にインファイトを仕掛けて行くというスタイルが合いそう…なんだけど、いかんせんペラっペラ過ぎるのがなぁ…レジェ帯に有りながら7万という低耐久は流石に見過ごせない、殺るか殺られるかを見事に体現しているといっていい。 -- 2025-12-18 (木) 13:23:05
- さすがに艦首艦尾25mmバイタル剥き出し旋回半径1km超えでインファイトは自殺行為じゃないかな… -- 2025-12-18 (木) 20:18:26
- まさにその通りではあるんだよなぁ…でも主砲の特性上、遠~中距離での撃ち合いは本当に微妙なんだよね。そうなってくると10km圏内でのインファイトというか、奇襲を仕掛けて一撃離脱を繰り返すっていう運用方法にどうやってもなってしまうんだよなぁ…癖が強いというかジレンマというか… -- 2025-12-18 (木) 21:46:48
- さすがに艦首艦尾25mmバイタル剥き出し旋回半径1km超えでインファイトは自殺行為じゃないかな… -- 2025-12-18 (木) 20:18:26
- ガン縦大和でこいつに35000持ってかれたんだけど -- 2025-12-19 (金) 13:27:07





















