手記の断片

Last-modified: 2023-06-09 (金) 21:46:34

「手記の断片」とは

  • 「未那識*1アリス」なる人物が書き残したと思しき手記の断片。
    ゲームの舞台である「東京地下迷宮」の調査と考察、それに伴う自身の変調について書かれている。

    集めてもゲームプレイに変化が起きるわけではない。が、迷宮の秘密、その核心に迫る内容になっているものと思われる。フレーバーとして楽しもう。

  • シンボルエネミーを討伐することで手に入る。
    A~Zの計26ページから成り、各シンボルエネミ―が対応する記号の手記を落とす。
    内容自体はシンボルとは無関係で、入手数に応じて若い順から解放される。
  • ver0.71現在、C と U に対応するモンスターは未実装、かつ P は手記を落とさないので、23ページまでしか入手できない。加えて、18以降のページは未実装。
     

詳細

 

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私の名は未那識アリス。
文月学園高等部2年、異能力分類は『キャラクター』。
今夜から東京地下迷宮の探索を始めた。
記録と退屈しのぎを兼ねて手記を記すことにする。

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初めての探索を無事に終えた。
とは言っても今回は様子見だけだ。
地下2階で何度かモンスターと戦ってすぐに引き返した。
次の探索ではある程度まで潜ってみるつもりだ。
今から気持ちが逸って仕方がない。

私はかねてからこの迷宮に惹かれていた。
数百年前に見つかり、今だに*2謎に包まれたままの現代の迷宮。
憧憬を抱くには十分な存在ではあるが、それだけの感情がこれほど強く私の心を揺り動かすものだろうか。

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先ほど2度目の探索を終えた。
本格的な探索ははじめてだったが特に負傷もなく帰還できた。

やはりこの迷宮は明らかな異空間だ。
入る度に構造が変わるというだけではない。
階を進むにつれて明らかに東京の地下にあるはずのない場所にも繋がってる。
そもそも東京の地下にこれほどの大きさの空間が存在すれば一般人も気付いているはずだ。
おそらく迷宮自体がひとつの巨大な魔術現象。
だとすれば、これを引き起こしているのは一体何物*3なのだろうか。

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迷宮に住むモンスターの多様さには驚かされる。
現代では魔獣、幻獣の類と接触できる場所は極めて少ない。
実体化した幻想がこれほど多く共存している空間など世界中でも他に類を見ないだろう。
深層まで進めば神域の存在にすら出会えるという話も聞いている。
物語の中の迷宮など比較にならない無秩序な空間。
まるで出来の悪い箱庭、あるいはごちゃ混ぜの玩具箱の中のようだ。

そして他の魔物とは明らかに一線を画す存在、『白い少女』。
彼女は一体何者なのだろうか。
彼女の姿は、私に似すぎている。

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探索は順調に進んでいる。
問題と言えば近頃、妙な頭痛に悩まされていることぐらいだ。

モンスターの種類は階を進むにつれてさらに豊富になってきている。
人類の文明が発達するにつれて幻想の存在は減り続けていると言われている。
しかし探索者の情報では、この迷宮に住む魔物は減るどころか増加傾向にあるらしい。
迷宮内では当然のように拾えるアイテムも他では容易に入手することのできない貴重な魔法品ばかり。
世界中から異能者が訪れるのも理解できるというものだ。

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探索中に手傷を負った。
傷自体は重傷というほどではないのだが、単独での探索が厳しくなってきたように感じる。
私の異能は並の能力者のそれとは比較にならない強さだと自負しているが、手数が足りていなければどうにもならない。
やはり他の探索者と同様、チームを組むべきなのだろうか。
だが、探索者の多くは明確な目的を持って探索に挑んでいる。
比べて私は単に迷宮という場所に触れていれば満足だ。
当てのない一人旅のように、気ままに迷宮を散策していられればそれでいい。
迷宮を踏破することにも貴重な宝物を入手することにも興味はないのである。
相容れないというほどではないが命の危険をも共にするとなると気は進まない。

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迷宮でウルルという異能者に出会った。
彼女は可南の家の出らしい。
有名な異能者の家系で未那識も可南の傍流に当たる。
彼女の話では、私たちは幼少時に何度か会ったこともあるらしいが正直に言って殆ど覚えていない。
可南は迷宮の調査・管理を担っており、ウルルも家の命令で頻繁に迷宮にきているそうだ。
深層まで進むことを目的としていないのなら私の探索スタンスと合っているかもしれない。
探索に誘ってみたところあっさり了承してくれた。

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可南の嫡子である彼女の異能は予想通り相当に強力で、探索を格段に安定させてくれた。
しかしそれ以上に嬉しかったのは、私が迷宮で過ごす時間に変わりがなかったことだ。
私の気まぐれな探索も、迷宮をゆっくりと色々な視点から調査したい彼女にはむしろ都合がいいらしい。

何と言えばいいのか、迷宮を神聖視する私は此処にいる間、努めて自分を取り繕うものを排して在るがままでいようとしている。
だから迷宮内で一緒にいるウルルには、いきなり自分の内面に踏み込まれたようなそんな感覚を覚える。
にも関わらず嫌な感じがしないのは、幼少時にウルルと過ごした記憶が私の中に残っているからなのかもしれない。

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ウルルの協力でかなり深層まで進むことができた。
しかし気になることがある。
彼女が迷宮探索に訪れる理由についてだ。
調査という言葉には嘘はないだろう。
だが、彼女の調査の内容は迷宮に起きる『変化』を知るためのものであって『根幹』を探るためのものではないように思えるのだ。
生物の生態を調べる調査と生息数の変動を調べる調査が別物であるように、…いや、回りくどい言い方をするのはよそう。
私はウルルが迷宮に隠された真実を知っているのではないかと疑っているのだ。

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このところ頭痛がひどくなってきている。
思い返してみると症状が始まったのは迷宮探索を始めた頃からだ。
迷宮に感じていた憧憬と言い、白い少女の件といい、やはり迷宮と私の間には何らかの因縁があると思って良さそうだ。
ウルルは心配して探索を控えるよう勧めてくれているが、迷宮が不調の原因となっているならなおのこと真実を突き止めなければならない。
当初のスタンスとは異なってしまうが、私も他の探索者と同様に迷宮の最奥を目指すことになりそうだ。

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このあたりで一度迷宮についての考えをまとめてみようと思う。
一般の事象よりもはるかに『何でもアリ』な魔術現象の正体を特定することは容易ではないが、予想を立てておくことにはそれだけでも意味があるだろう。

まず1つ言えるのは、『この空間は迷宮である』、ということだ。
人を迷わせ、モンスターが蔓延る幻想譚のような迷宮。
それが手段なのか目的なのかははっきりしないが、迷宮という形を成そうとする確かな方向性がこの場所に存在することは間違いないと思う。
この地の存在意義が、単に宝物を守るとか侵入者を拒むといった分かりやすいものならこのような混沌とした空間にはなるまい。
迷宮には迷宮であらなければならない理由があるのだろう。

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もうひとつは私自身についてだ。
手記に書くのは初めてだが、私は未那識の実子ではない。
幼少時に今の両親に引き取られた養子なのだ。
迷宮と私を結びつける宿縁は私の生まれに由来するものかもしれない。
そう思い、今まで聞かされていなかった私の出生について両親に尋ねてみたが答えは得られなかった。
しかし収穫もあった。
父と母が私の出生を隠すのは2人の意思ではなく何らかの圧力によるものらしい、ということだ。
たとすれば最も怪しいのは可南の一族だ。
未那識の本家であり異能者の間で大きな影響力を持っている。
ウルルの言動から感じていた違和感の正体はここにあるのではないだろうか。

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今回は早めに捜索を切り上げた。
例の不調が急激に加速したためだ。
きっかけは明白だった。
迷宮を漂う白い少女。
彼女を倒したのは今日の探索がはじめてだ。

原因はやはり私自身にあるのだと思う。
探索者の情報では、彼女を倒すことには何の問題もない。
他のモンスターと同じく何度滅ぼそうとも蘇る存在のはずだ。
何より、一緒に戦ったはずのウルルの身には何も起きていない。

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不調が戻らないため、しばらく探索を休むことにした。
不本意ではあるがこの体調で無理に迷宮に挑めば命を失いかねない。
だが迷宮を離れていても症状は一向に改善する気配がない。
かの地に原因があるのは確かだというのに、このままでは完全な手詰まりだ。

苛立ちのあまり、お見舞いにきてくれていたウルルをきつく問い質してしまった。
可南は迷宮に画された*4真実を知っているのではないか、迷宮と私の関わりとは何なのか、この症状は何なのか。
ウルルは答えることもはぐらかすこともせず、ただ悲しげに微笑むばかりだった。

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何かが致命的に壊れてしまったという感覚がある。
自分の心が自分ではないものによって急速に侵されていく。
この感情は憎悪、なのだろうか。
気付けばウルルに対して抑えきれない敵意を感じている自分がいる。
いや、ウルルだけではない。
家族、学校の友人、探索で知り合った異能者、誰もが私の心を激しく苛立たせる。

残酷な事実が私に突きつけられている。
迷宮は私が思っていたような場所ではないのではないか。
人を憎しみに狂わせてしまうような、もっとドス黒い何かなのではないか。

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症状が少しマシになった。
だが、これは私の中で起こっていた衝突が終わりつつあるからだろう。
変容が終わりつつある。
今の私には私と私を侵すモノの区別がついていない。
どこまでが自分なのか、自分が何者でなのか分からない*5
こうして手記に自らの考えを書き留め、読み返すことでかろうじて正気を保っている。
あれほど迷宮に惹かれていたのは何故だったのだろう。
ああ、迷宮が私を壊してしまう。

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断片的にだが核心に近いことが分かった。
いや、分かったというよりも思い出したという方が正しい。
結局全ては私自身のことで、私が望めば答えはすぐ傍にあったのだ。
しかしそれをここに記すことは控えよう。
私以外が知るべきではない事だし、おそらくはウルルの意志にも反している。
思えばウルルはどんな気持ちで私を見ていたのだろうか。
真実を知り、私が下すであろう選択を分かっていたのだろうか。
しかし彼女は最後まで私を迷宮から遠ざけることはしなかった。
そのことにだけは深く感謝したい。
これから私は最後の決断のために迷宮に向かう。
そこで全ての真実を得られるだろう。

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◆システム情報
 これ以降の手記は現バージョンでは未実装です。
 解禁状態をコンプリートすることもできません。

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未実装

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未実装

21 / 23

未実装

22 / 23

未実装

23 / 23

未実装

 

*1 原文ママ
*2 ママ
*3 ママ
*4 ママ
*5 ママ