Diablo2の世界の歴史

Last-modified: 2023-08-01 (火) 01:03:18

 この項目ではDiablo2のエンディングまでの大まかなストーリーや設定について記述する。
 なお、記述の中には「Diablo2発売以降に明らかとなった設定」や、「Diablo1及び2のストーリーのネタバレ」などが含まれているため、後半部分はDiablo2 Act5クリア後の閲覧を推奨する。

プロローグ

天地の始まりと「永劫の戦い」

 世界の始まりには一粒の完璧な真珠があり、その中にアヌが宿っていた。
 アヌは善と悪、光と闇、物理と神秘、喜びと悲しみなど全ての概念の総体であり、その姿はダイヤモンドの様に煌めいていたという。
 
 アヌは完全かつ絶対の存在になるため、自分の負の側面を「穢れ」として濯いだが、その穢れからはタサメットという七つ首の龍が生まれた。
 アヌとタサメットは何千年にも渡る戦いを続けた末に相討ちとなったが、アヌの亡骸からは天界と天使が、タサメットの亡骸からは地獄と悪魔が誕生した。
 そして、天使と悪魔はかつてアヌとタサメットがそうしたように絶え間無く争い続けていた。この天使と悪魔による闘争を「永劫の戦い(Eternal Conflict)」と呼ぶ。

サンクチュアリの創造

 終わりが見えない戦いの中で両者は疲弊し、厭戦感を漂わす者も現れ始めていた。
 そんな中、戦いに疲れ果てた大天使イナリウスは、志を同じくする悪魔リリスと手を組み、天使悪魔を問わず戦いを嫌う者達を集めて出奔。争いの無い新世界「サンクチュアリ」を創った。
 さらにイナリウスは天界の至宝「ワールドストーン」を盗み出し、サンクチュアリの霊峰アリート山に安置。ワールドストーンの力により、サンクチュアリは天界からも地獄からも干渉されないよう巧妙に隠された。

Sanctuary全景.jpg
  • 上の地図はDiablo3時点の物。中央西部にDiablo1の舞台となったカンデュラス及びトリストラム、その南東にDiablo2 Act3の舞台となるクラストが見える。
    さらに、北西部の「アリートクレーター」がワールドストーンが安置されたアリート山のあった場所である。

原初の人間「ネファレム」の誕生

 サンクチュアリでは天使と悪魔は助け合いながら暮らし、そして恋に落ち、子をなした。
 こうして生まれたのが新たな生き物「人間」である。
 第一世代の人間は「ネファレム」と呼ばれ、彼らは生みの親たちよりも強い力を持っていた。
 イナリウスとリリスも互いを愛するようになり、ラズマという子を産んでいる。

イナリウスとリリスの破局

 しかし、このネファレムの存在こそが、二人の仲を引き裂く事態へと導いてしまう。
 イナリウスは「ネファレムが自分を超えるのではないか」と恐れ、ネファレムの根絶を願った。
 リリスは「万が一天界や地獄にサンクチュアリが見つかった時、彼らに対抗するための備えとしたい」と思い、ネファレムの存続を願った。
 戦いを嫌って逃げ出した二人だが、人間の扱いを巡って激しくいがみ合うようになってしまったのだ。

 交渉が決裂し、独り出て行くイナリウス。
 その姿を見たリリスは「彼はネファレム達を殺しに行ったに違いない!天使や悪魔達もネファレムの秘密を知ったら何をしでかすか…」と狂乱。サンクチュアリに住むあらゆる天使と悪魔を鏖殺してしまった。
 それを知ったイナリウスは、しかしかつて愛した彼女を殺すことはできず、サンクチュアリから追放するに留めた。

 こうしてサンクチュアリにはイナリウスとネファレムだけが残った。
 しかし、一人で生きていくことが寂しくなったイナリウスは計画を変更した。
 彼はネファレムを絶滅させることは取りやめたが、その代わりにワールドストーンの力でネファレムが世代を重ねるごとに弱体化するよう調整した。
 その試みは成功し、何世紀も経つとネファレムはついに弱く脆い存在となった。

Diablo ~Sin War~ 

 Diablo2発売から6年が経過した2006年。Diabloのストーリーを補完する小説3部作『Diablo ~Sin War~』が刊行された。
 Diablo1で語られていた「罪業の戦い」をフィーチャーした内容になっている。

サンクチュアリの発覚と「罪業の戦い」の勃発

 巧妙に隠されていたサンクチュアリであったが、イナリウスとリリスの対立がきっかけとなり、地獄の七大魔王にその存在を知られてしまう。
 七大魔王に率いられサンクチュアリに現れた地獄の軍勢と、それを討つべく出陣した天界の軍勢は大規模な戦争を始めた。
 永劫の戦いの延長上にあるこの戦いを「罪業の戦い(The Sin War)」と呼ぶ。
 
 罪業の戦いは天界・地獄・人間・イナリウスの4つ巴の大戦乱となったが、原初のネファレムの力を取り戻した人間のリーダー「ウルディシアン」の死がきっかけとなり、停戦協定が結ばれることとなった。その顛末は下記の通りである。

  • 天界、地獄ともにサンクチュアリには干渉しないこととする。ただし、サンクチュアリの監視役として大天使ティラエルを付ける。
  • 大罪を犯したイナリウスを地獄の統治者の一人であるメフィストに引き渡す。
  • 人間が光と闇どちらの道を選ぶかは、人間自身の判断で決めさせることとする。
  • 人間から罪業の戦い及びかつて彼らと共に存在した天使と悪魔の記憶を消し去る。

 こうしてサンクチュアリは永劫の戦いから切り離され、再び平和が訪れた…かに見えた。

  • 罪業の戦いで活躍した人間の一人が「アーケイン」である。
    彼が身に着けた鎧は後に「武勲の鎧」と言う名で後世に残され、多くの勇者の助けとなった。

Diablo1

The Dark Exile ~三大悪の追放~

 地獄では「憎悪の帝王メフィスト、破壊の帝王バール、恐怖の帝王ディアブロ」の兄弟からなる「三大悪(Three Prime Evils)」と、「苦悶の女神アンダリエル、苦悩の帝王デュリエル、罪悪の帝王アズモダン、欺瞞の帝王ベリアル」からなる「四小悪(Four Lesser Evils)」からなる「七大魔王(Seven Great Evils)」が、時に手を組み時に争いながら統治していた。
 当初はアズモダンとベリアルの勢力が群を抜いていたが、やがて恐るべき魔力と叡智を誇る三大悪が地獄を支配するようになった。

 しかし、メフィストが天界との停戦協定を勝手に取りつけてしまったことに対し、アズモダンとベリアルは三大悪への不信感を募らせることになる。
 最終的には「地獄の指導者として三大悪は相応しくない」との結論に至り、地獄全土を巻き込む反乱を引き起こした。
 (※もっとも、三大悪にはサンクチュアリを密かに我が物とせんとするための計画を練っており、停戦はそのための目くらまし・時間稼ぎにすぎなかった。しかしこの計画は四小悪には伝えられていない)
 
 始めは一進一退の攻防を繰り広げた両軍勢であったが、自分の軍団にまで反旗を翻された三大悪は実体を失い、魂をサンクチュアリへと追放されてしまう。

秘密結社ホラドリム

 さて、サンクチュアリに追放された三大悪だが、転んでもただでは起きなかった。
 彼らはサンクチュアリ中を周りながら、彼らの象徴である憎悪、破壊、恐怖を人々の心に撒き散らし始める。
 それによって東洋の地では数十年に渡り次々と戦争や混乱が起こり、多数の国が破壊されていった。

 当然ながら彼らの暴虐はティラエルの目に止まることになった。
 ティラエルは人間の中から優れた魔術師を選別・育成し、秘密結社「ホラドリム」を結成。ホラドリムは三大悪を打倒するために奮戦することになる。

三大悪の封印

 30年以上にも渡る死闘の結果、ホラドリムは辛うじて三大悪の魂を「ソウルストーン」と呼ばれる秘石に封じることに成功した。

 メフィストのソウルストーンは古代魔術の都「クラスト」地下に安置されることになった。

 バールのソウルストーンはホラドリム創始者の一人である賢者タル=ラシャの体に打ち込まれ、砂漠の中に造られた秘密の墓所に自分ごと封印させた。
 それ以降タル=ラシャは百年以上の間、己に封印されているバールの魂と凄まじい精神の戦いを続ける事になる。

 最後に残ったディアブロは西方の「カンデュラス」地方へと落ち延びるが、ついにホラドリムの一員であるジェレイド=ケインの部隊によりソウルストーンへと封じられ、洞窟奥深くに安置。
 ジェレイド=ケインはその洞窟の上に修道院を建設し、さらに殉教者の為の地下墓地を修道院の真下に作り上げた。

ディアブロの胎動

 ディアブロがソウルストーンに封印されてからおよそ250年が経過した。
 長い年月は秘密結社ホラドリムを衰退させ、またディアブロのソウルストーンの封印を弱めるに十分であった。

 メフィストのソウルストーンが安置されていたクラストでは光の教団「ザカラム」が結成された。西方の国々へも積極的な布教が行われ、ザカラム教は次々に広まって行った。
 敬虔なザカラム教徒であったレオリックによって「カンデュラス王国」が建国されると、古びた修道院があった場所に首都「トリストラム」を建造する。
 それが後の悲劇につながるとも知らずに…。

狂気のレオリック王

 ディアブロはまずレオリック王に仕える大司教ラザルスの精神を支配し、忠実な僕とした。
 次にディアブロは現身となる器を求め、ラザルスを通じてレオリックの肉体を得るべく魔の手を伸ばす。
 しかしレオリック王に残った善性が災いしたのか、レオリックは善と悪両方から揺さぶられた末に発狂し、暴君に成り果ててしまう。

 レオリック王が暴君と化した後のトリストラムの有様はひどいものであった。
 トリストラム西方に位置する「ウェストマーチ王国」に戦争を仕掛けたり、自身に意見する者をことごとく処刑、果てはかつて愛した王妃アシラを断頭台へと送ってしまう。

 だが、その過程でレオリックが衰弱していった事を知ったディアブロは、奪う肉体をレオリック王の息子アルブレヒトに切り替えた。
 大司教ラザルスに命じてアルブレヒトを修道院地下に誘拐させ、さらにソウルストーンがアルブレヒトの頭部へ打ち込まれたことで、彼の肉体を乗っ取ることに成功。
 ここにディアブロは完全なる復活を果たしたのである。

恐怖の迷宮とレオリック王の最期

 ディアブロの魔力とソウルストーンの力により、トリストラムには地獄が顕現していた。
 修道院地下は恐ろしい地下迷宮へと姿を変え、さらにアルブレヒトの恐怖心が想像した怪物達が次々と実体化していた。

 狂気に憑りつかれたレオリック王は「息子を連れ去ったのはトリストラムの住人だ」と決めつけ、今度はトリストラムの罪無き住人を処刑するようになった。
 かつて王に助言していた者達も大司教ラザルスの策謀によって処刑されるか追放させられ、王の周りには正義の心を持つ者は残っていなかったのである。
 騎士団長ラックダナンと彼の数人の部下を除いて...。

 そしてレオリック王の粛清がとうとうラックダナンにも及び始めた。
 彼は「ラックダナンが街の住人と共謀している」と考え始め、僅かに残った彼の近衛兵と共にラックダナン達を処刑すべく動き出した。
 ついに修道院に追い詰められたラックダナンは辛くも王からの刺客を全員打ち破り、「何故この様な暴虐を繰り返すのか? なぜ罪も無い人々を処刑したのか?」と問いただした。
 しかし王の口から出るのは反逆者への呪いと非難の言葉だけであった。
 もはや狂気から王を救うのは不可能と考えたラックダナンは、悲しみと怒りの中剣を抜き王へと振り下ろした…。
 (そしてレオリックは霊廟で冒険者を待ちかまえるSkeleton Kingとして甦る)

 だが悲劇はここで終わらなかった。
 レオリック王が斃れた後、大司教ラザルスにより「アルブレヒト王子は修道院地下に囚われています。私と共に王子を救い出しに行きましょう!」と扇動された住民が修道院地下になだれ込んだのだ。
 住民達は修道院地下が地獄と化していたことを知ったが時すでに遅し。溢れかえっていた魔物達により多くの者が殺されてしまった。
 殺された住民達はディアブロへの供物となり、さらに力を取り戻すこととなった。

  • 修道院地下から辛くも逃げ延びた者の一人にワートがいる。
    彼はこの惨劇で片足を失い、義足を付けることとなった。その義足こそが「Wirt's Leg」である。
  • ラックダナンはDiablo1のクエストで登場。レオリック王の呪いを受けて死ねなくなった彼の魂を開放すると、お礼に彼の兜「Veil of Steel」をくれる。この兜はDiablo2でも登場する。
  • 哀れな住民達を虐殺した怪物「ブッチャー」。Diablo1で最初に出会う中ボスである。
    強さもさることながら出現する部屋はまさに血の海であり、当時多くのプレイヤーに強烈な印象を残した。
    今作でもその名を冠した武器「Butcher's Pupil」が登場する。

王子エイダンの帰還

 トリストラムの恐怖の噂は近辺の国へ広がっていったが、救いが無いわけではなかった。
 この邪悪の原因を探るべく、多くの勇者がトリストラムを救うべく集まっていたのである。

 ウェストマーチ王国への遠征から戻って来た敗残兵。(※Diablo1のプレイアブルキャラ「ウォーリア」)
 男子禁制の組織「盲目の姉妹」出身の女戦士。(※Diablo1のプレイアブルキャラ「ローグ」)
 魔道結社「ヴィジェレイ」より派遣された魔道士。(※Diablo1のプレイアブルキャラ「ソーサラー」)
 聖戦士となるべく肉体と精神を鍛えぬいた修行僧。(※拡張ディスク『Hellfire』の追加キャラ「モンク」)
 霊峰アリート山を拠点とする蛮族。(※拡張ディスク『Hellfire』の追加キャラ「バーバリアン」)
 各地を流浪し、神話の戦いを歌いあげる吟遊詩人。(※拡張ディスク『Hellfire』の追加キャラ「バード」)

 そして、ウェストマーチ王国への遠征から戻って来た敗残兵達の中に一人の男がいた。
 彼の名はエイダン。故レオリック王の長子にしてウェストマーチ王国遠征の指揮官である。
 エイダンは今なおトリストラムに留まり続ける賢者デッカード=ケインからトリストラムの惨状を聞くと、勇者と共に修道院の地下へと降りて行った…。

ディアブロの最期

 エイダンは苦しい戦いの中、ブッチャーやレオリック王の亡霊などの怪物を倒し、迷宮の最下層へと進んで行く。
 その途中で幾つかの古の書物を発見したが、そこには天界と地獄の戦いの歴史とホラドリムによる三大悪の封印、そしてディアブロ復活の予言が記されていた。
 賢者デッカード=ケインはこの事を聞き、かつて封印されていたディアブロが大司教ラザルスの行動によって復活したこと、そして自分が秘密結社ホラドリムの一員、ジェレイド=ケインの末裔であることを告げる。

 エイダンは地獄のダンジョンを進み続け、大司教ラザルスとディアブロを打ち倒すことに成功する。彼がディアブロの遺体からソウルストーンを剥ぎ取ると、身体が瞬く間にアルブレヒト王子の姿に戻った。その直後、エイダンは意を決して自分の額へソウルストーンを打ち込んだ。それはかつて賢者タル=ラシャがバールを封じるのに用いた方法。彼はケインからその話を聞いていたのだ。
 やがてソウルストーンは吸い込まれるように額と一体化し、エイダンは地上へと帰還を果たした。 


 ここまでがDiablo1のストーリーである。
 ゲーム上では他のプレイアブルキャラでクリアした時も同じ結末を迎えるが、設定上では「エイダン(ウォーリア)がディアブロを倒した」のが正史とされている。

Diablo2

Act 1 ~ The Sightless Eye~

 ディアブロを倒したエイダンは人々から厚い感謝と賞賛を受けた。
 エイダンは自らの額にソウルストーンを埋め込んだことをケインに報告すると、彼はこう語り始めた。

お前はなすべきことをなした。

ディアブロの霊魂は、今のところ封印されている。お前にこのまま抑え込む力があるように祈るがいい。

今までの探求で力は付けてきたが、今なお、お前の魂の奥底から奴が這い上がってくるのを感じられるはずだ。

自らの意志で内なる邪悪と戦い、それを抑え込み続けることができれば、自然に極東の古い神話の国へと向かうことになる。

人里離れたアラナックの荒れ地の向こう側に、答え、もしくは救いがあるだろう…。

 

※PS版Diablo1 エンディングムービーより一部抜粋。

 しかし、それからほどなくしてエイダンの様子が変わり始めた。彼は他人との接触を避けるようになり、住人が与えた家からめったに出なくなった。
 宿屋の主人オグデンは強い酒と良い友人が彼の暗い心を晴らすだろうと考え祝杯の宴を開くも、エイダンはその最中にそっと姿を消してしまう。

 翌日、ケインがエイダンの家を訪れると、彼は入り口に一人で座っていた。
 エイダンは何世紀も使われていない言語で何か呟いた後、黒く染められた旅用の外套を身に付ける。
 そして深いフードを被りこちらへ振り向いた瞬間、赤い光がぼうっと彼の体から放たれるのを感じた。
 ケインは歳による幻覚だろうと思い直し、「大丈夫か?」と訊ねると、彼はよく解らない事をぶつぶつ言い続けだした。
 ケインは「しばらく彼をそっとしておいた方が良さそうだ」と考えていると、突然勇者の表情が変わり、恐ろしく冷酷かつ邪悪な声で
 「ここを去る時が来た。」
 と言った。

 ケインは恐しさでその場に凍りついたが、やがて勇者の様子が元に戻ったので安心したのか、彼を一人にした方がよさそうだと決断しその場を去る。
 本当はあの恐ろしい視線と声から逃げ出したい気持ちもあったのだろう。
 そしてこれがケインが彼を見た最後の瞬間だった。

 翌朝、エイダンは剣と鞄だけを手にしてトリストラムを去る。神話の国がある東の地へ向かったのだろう。
 街の人々は探し回ったが、もうどこにも彼の姿を見つける事は出来なかった。

唯一の生存者デッカード=ケインの日記

 ……それからすぐに地獄の悪魔達が再びトリストラムへ現われた。
 邪悪な獣が街を襲い、善良な人々はことごとく惨殺された。
 確かめるべくもないが、この惨劇にエイダンの失踪が関わっていることは間違いない。

 私は今、隠し通路でこの日記を書いている。最後の希望を託すために。
 悪魔に発見されるか、あるいは救いが来るのか。
 いずれにしろ、私はここへ留まり続けるしかない。

 天よ、私を救いたまえ。
 私にはこの闇に覆われた街を見捨てる事は出来ない……。

 エイダンを探し出してほしい。彼の目的を突き止めるために。
 私は恐ろしい。このトリストラムの悲劇は始まりに過ぎぬのではあるまいか。

  • この後にケインは悪魔に発見されて捕えられ、A1Q3でプレイヤーたちの手によって救出されることになる。
  • Act 1のトリストラムで登場するユニークモンスター「グリズウォルド」はかつてDiablo1で鍛冶屋(武器屋)を営んでいた人物。
    彼の名を冠した装備品がシリーズを通して登場している(Diablo2ではGriswold's EdgeGriswold's Legacyが該当)。
  • 実はデッカード=ケイン以外にも、酒場の看板娘ジリアンと魔女エイドリアが生き残っている。ジリアンとエイドリアは惨劇の直前にケジスタン帝国の首都カルディウムに向かって旅立っており、Diablo2から数年後を描いた外伝小説『Diablo:The Order』にて、デッカード=ケインがジリアンの元を訪れた際の様子が描かれている。

黒衣の放浪者

(Cinematics "The Sister's Lament" Act1より)


Marius(マリウス)、かつてトリストラムの破滅を目撃した一人である。
(マリウスの素性は現在不明です。公式の解説本等をお持ちの方、加筆をお願いします。)

"東へと通じる修道院の門"を先へ抜けた山高くに築かれたローグの砦の地。
彼はそこの浮浪者が集まる施設でアヘン中毒により廃人同然となっていた。


アヘンのパイプを吸い、意識が朦朧とする中。一人の男が施設の扉を開いた。
浮浪者達の目を集めながら、薄汚く黒いローブを羽織ったその男は
重い剣を引きずりながら部屋の隅へと歩いた後、
震える手を押さえつつ剣を床に突き刺すと腰を下ろした。


一人の男が、それを見ると声を上げて笑い出す。
黒衣の放浪者は一見すると酷く疲れているように見えたが…、そうではなかった。
体の内側から溢れる邪悪な力を抑えることができなくなりつつあったのだ。


男の笑い声は何時しか悲鳴へと変わっていった。
黒衣の放浪者、いやディアブロの魔力が魔物やスケルトンを召喚したのだ。
悪夢と化した施設は炎に包まれ、放浪者はゆっくりと去って行った。


一人生き残ったマリウスは放浪者の後に従い付いて行く事となる。
何故だろうか、彼自身にもそれは分からなかった・・・

ローグ砦

ディアブロは兄弟を救い出す為、カンデュラスから東へと向かった。
東へ行くためには途中、修道院の門を抜けローグの砦を越える必要があった。


そこではローグの軍団が守りを固めていたのだが
自らを倒すほどの冒険者の強靭な肉体を手にしたディアブロは、ローグ達を物ともせず先へと進んでいった。
更に、追手を絶つ為にthe Maiden of AnguishことAndariel(アンダリエル)を地獄から召喚したのである。


アンダリエルはかつてベリアル、アズモダンに協力しバール三兄弟を地獄から追放した事があったが
より強大な力を手に復活したディアブロが他の兄弟と共に地獄の支配者として返り咲くのは明らかだった。
狡猾なアンダリエルはこの裏切りが三兄弟の復権時に咎められぬ様、少しでもディアブロのために働く必要があったのだ。


アンダリエルは歯向かうローグ達を殺し、残った者の心を堕落させ自らの手下とした。
Blood Raven(ブラッドレイブン)はその筆頭である。
かつてはディアブロを倒すために勇敢に戦ったローグの隊長であったが
アンダリエルにより堕落した彼女は、仲間だったローグの死体をアンデッドとして操る悪魔となったのだった。


ローグの修道院、そして砦を支配されカンデュラスは恐怖と苦悩の底へ突き落とされた。
そして修道院の門は固く閉じられたのである・・・

Act 2 ~Desert Journey~

(Cinematics "Desert Journey" Act2より)


マリウスとDark Wanderer(黒衣の放浪者)は東へと旅を続けていた。
山を越え、広大な砂漠へと入り幾日も二人は隆起する砂の上を進み続ける。


旅の途中、Wandererはかつて偉大な戦士だった事、
暗い秘密が重荷として彼を苦しめている事をマリウスに告げた。
マリウスはWandererの額の傷について訊ねようとするが、結局思い止まる。


気が遠くなる様な間砂漠を歩き続け、最後の砂の尾根を越えた時
そこには宝石の様に輝く街、Lut Gholein(ラットゴーレイン)とその奥に海が広がっていた。


旅の最後の晩、砂漠の風か海の音かの中、数週間ぶりの眠りについたマリウスは夢を見る。
かつてVizjereiを束ねた偉大な魔術師タル・ラシャと、天使ティラエルの姿がそこにあった。
彼らは、破壊の帝王バールを神聖な石の中で封印しようとしたが、その試みは失敗に終わりかける。
タル・ラシャは自らの体にバールを封じ込める事を買って出た、そして彼はバールと共に埋葬室へ封印される。

Act 3 ~Into Mephisto's Jungle~

(Cinematics "Mephisto's Jungle" Act3より)


タル・ラシャの埋葬室は現世とは別の次元に隔離され、ホラドリムの杖が埋葬室への鍵として生成された。
更に盗難を防ぐ為ホラドリムの杖は二つのパーツに分けられて秘密の場所に隠されたのである。
ホラドリムの賢者達は、封印が解かれる事態を予想していたのだ。


最後の夜、目を覚ましたマリウスにWandererは探している物が彼の兄弟である事を告げた。
翌日の夜明けと共に、二人はタルラシャの墓へと入って行く。
Dark Wandererは闇の中をまるで道を知っているかのように進み続けた。


そして終にタルラシャが投獄されているGreat Hallへと辿り着いた時、
Dark Wandererは叫び声を上げ力を解放する。
彼の最後に残っていた人間の心が失われたのがマリウスには分かった。


Wanderer(もはやDiabloと言うべきだろう)はタルラシャへと近付き
バールの封印を解こうとソウルストーンに手を掛けたその瞬間、天使ティラエルが現れそれを阻止する。
ティラエルとDiabloが壮絶に剣を交えている間に、マリウスはタルラシャを装ったバールに懇願され
タルラシャの胸に打ち込まれたソウルストーンを抜いてしまう。


愚か者!
 お前はたった今、この世の破滅を確実な物にしたのだ。
 これが何を引き起こすかお前には想像も付かないだろう。
 東の地クラストにある光の寺院へ行け。
 地獄への扉を見つけ、勇気を出しその門を潜るのだ。マリウスよ。
 そのソウルストーンをHellforgeへ持って行き、破壊せねばならない。
 さあ走れ!その石を持って走るのだ!」


マリウスの選択は・・・ 逃げるより他に無かった。


かくしてバールの封印は解かれた。最強の魔術師タル・ラシャの肉体を手にして・・・


そして続編へ…

Diablo Immortal

 ティラエルによるワールドストーン破壊から5年が経った。
 バールの魔力に汚染されたワールドストーンの欠片が世界中に飛び散ったことにより、サンクチュアリは混迷の一途を辿っていた。

 ディアブロの忠実なる配下にして「恐怖の使者」の異名を持つスカーンは、ワールドストーンの欠片を集めディアブロを復活させようとしている。
 さらにワールドストーンの欠片を悪用し、人々の心を奪い急速に拡大する邪教集団コヴェン、倒されたはずのレオリック王や伯爵夫人が蘇って暴虐を繰り返す…サンクチュアリを襲う脅威は留まることを知らなかった。

 だが、終わらない脅威に対し立ち向かう者達もいた。その中の一人である名匠ダイデッサは「永遠なる王冠」と呼ばれる聖遺物を作った。
 その王冠を被った者は、伝説に謳われるネファレムに等しい強大な力を得ることができる。
 ダイデッサは息子のカイオンに王冠を託すと、カイオンは王冠の力を使って悪魔を打ち払い、さらに守護者の集団「イモータル」を結成した。

 しかしダイデッサはある懸念を抱く。永遠なる王冠がもたらす強大な力は、人を堕落させるのではないか?と。
 そこで彼女は娘のアケバに重大な任務を与えた。その任務とは、「イモータルが油断したり怠けたりしないよう監視せよ」というものだった。
 これを受けてアケバは「シャドウ」という組織を立ち上げる。この組織の目的はイモータルがサンクチュアリの守護者としてふさわしいかどうか試すことだ。もしシャドウの方が強く能力が高いことが証明されれば、永遠なる王冠はシャドウの手に渡り、そのメンバーによって新たなイモータルが作られる。

 アケバはカイオンが率いる軍団との戦いを制し、新生イモータルの長となった。しかし油断はできない。今度は自分が試される番なのだから…。


 というのが発売予定の作品である『Diablo Immortal』のプロローグである。
 イモータルとシャドウの対立はゲームシステムやコンテンツにも関わる重要な要素になっている。

Diablo3

 さらに時は流れ、ワールドストーン破壊から20年後。
 賢者デッカード=ケインは再建されたトリストラムの修道院にて文献を漁り、研究を続けていた。
 次の世代のために何かを遺すべく老体に鞭打つケイン。その傍らには姪のリアが付き添っていた。

 「わしの予想通りならば、地獄の軍勢はすでに動き始めておる!このままでは世界は闇に飲まれてしまう!」
 「リアよ、おまえは信じてくれるだろう?」
 しかし、そう言うが早いか天空より燃え盛る流星が修道院に落下。その混乱によりリアはデッカード=ケインとはぐれてしまう。

 流星が落下してから6日後、トリストラム周辺では死者が次々と起き上がるという異変が発生していた。
 この噂を聞き付け、各地から勇者が再びトリストラムへと集結しつつあった。
 奴らを墓に送り返さなければならない。そして世界を覆う闇を払わねばならない…。


 サンクチュアリの創造主であるイナリウスとリリスの出会い、三度甦ったレオリック王、地獄の覇権を争うアズモダンとベリアル、サンクチュアリの存続をめぐって意見の割れた大天使達の行く末etc…いずれも続編であるDiablo3にて詳細に語られている。
 また、完全ではないがDiablo1の世界を再現したエリアも存在するため、「初代のストーリーをもう少し詳しく知りたいけど、今から初代をプレイするのはちょっと…」という人にもオススメ。
 興味があるなら是非。

閑話

アマゾン~密林出身の女戦士達~

 サンクチュアリを左右に分かつ双海(Twin Sea)に浮かぶ島々に住む海洋民族、それがアマゾンである。
 何世紀もかけて熱帯雨林の環境に適応して文化を築き上げ、西のウェストマーチ王国や東のケジスタン帝国ともいち早く交易を開始。世界貿易の中心地となっている。

 また、アマゾンは貿易だけでなく傭兵の派遣も盛んに行っており、「狡猾」とまで言われる戦術眼と熟練した技を併せ持った戦士だと評判である。
 特に弓と槍の扱いは比類なきレベルに達しており、弓において渡り合えるのは「盲目の姉妹(The Sightless Eye)」の構成員「ローグ」くらいのものだ。しかしアマゾンにはジャベリン等の投擲技術や魔術、独創的な武器作りといったローグにはない特技も持っている。
 ちなみにアマゾンにおいては女性だけが戦士となれる。一方で男性は戦士以外の職業(役人・聖職者・商人・農夫等)に就き、生活基盤を支えている。

 アマゾンは主神アスルアとその妃ケトリースを中心とした多神教を信仰している。
 アスルアとケトリースの下には多くの神々が存在し、それぞれが役割と責任を負っている。アマゾンはこの多神教を原住民から受け継いだものだと考えている。ただし古代の文献を漁る限りでは、神々の名前こそを共有してはいるものの信仰や人格といった詳細な側面は変化を続けている模様である。
 そして神々達は「三大悪がサンクチュアリに追放される(The Dark Exile)」という神託を授けた。それ以降アマゾンは三大悪の撃破を部族の使命と考え、そのための戦士を鍛え上げることに努めている。

ヴィジェレイの歴史とアサシンの起こり

 ヴィジェレイ(Vizjerei)は東洋の魔術集団の中でも最大の勢力を誇る一派である。
 ホラドリム結成の1000年以上前から続く魔術一族にして、強力な魔術師が数多く在籍していた。
 長年に渡り彼らは魔術により悪魔を支配下に置くための研究を進め、それを密かに目録に残し伝えていった。

 3世紀頃に、ホラゾン(Horazon)とバータック(Bartuc)という2人の兄弟が大きな存在となる。
 この二人の兄弟は共に強力で、お互い野心に満ち溢れていた。
 しかし、二人は悪魔に対する考えが異なっていた。
 ホラゾンは古から伝わる一族の目録によって得た知識で悪魔達を支配することにこだわり、
 バータックは悪魔の力の源と秘密の知識を得ることで、より強力な魔力を手に入れようとした。

 ホラゾンは悪魔に関する研究を進め、やがて彼らを意のままに操れる程になる。
 だがこれにより激しい怒りを買ったホラゾンは身の危険を感じたため、「秘密の聖域(Arcane Sanctuary)」と呼ばれる外界から隔離された空間を造り、そこで更なる研究に没頭した。
 一方バータックは悪魔に共感を覚え始め、悪魔の力の秘密を自由に共有するようになると、もはや悪魔と同盟を組んだかのように周りからは解釈された。

 この正反対の兄弟の考えはヴィジェレイの内部分裂を招き、結果バータックは反旗を翻すこととなる。
 地獄の軍勢を引き連れた戦いの中、かつての同胞達の鮮血を浴びたバータックは「鮮血の将軍(Warlord of Blood)」と成り果てた。激しい戦いが終わった時、炎の様に赤く染まった空と静寂の中、バータックの死体が残されていた。

 そしてわずかに生き残ったヴィジェレイの魔術師達は、これが悪魔達の計略によるヴィジェレイ弱体化であった事に気付いたのである。
 失意の中でホラゾンは秘密の聖域へと姿を消す。 彼は高い代償を払い学んだのである。そしてこれ以後、ホラゾンについては何も語られていない…。

 ヴィジェレイの残党は二度とこの様な悲劇を起こさないために、悪魔の支配に用いた魔術を捨て去り、精霊魔術の研究を進める事を決議した。
 さらに魔術師一族が邪悪に走らぬよう取り締まるため秘密の部隊を結成し、「何時、何処であっても不正を見つけ次第粛清せよ」との命を下した。
 これが「ヴィジャクター(Viz-Jaq'taar)」またの名を「魔術師殺し」と呼ばれる戦闘集団、「アサシン」の起こりである。

 魔術の力にさらされれば容易に堕落してしまう、と知っていたヴィジャクターは、瞑想により純粋で集中した心を保つことと、己の内部から力を引き出すことが重要だと考えた。
 そのためアサシン達は魔術を直接使うのではなく、工夫を凝らした魔法の品々を用いて戦うことになった。また、悪魔の誘惑に対抗するため肉体と精神を鍛え、武術を磨くことにも力を注いだ。

  • バータックは前作Diablo1でも「Warlord of Blood」名義で登場。その時は「ヘルナイト族(「黒騎士」という出で立ちのモンスター)」だったが、本作では「評議会員に変更されている。
    また、彼の名を冠したユニーク武器「Bartuc's Cut-Throat」が本作にて登場している。

イズアルの堕天

 三大悪は天界との戦いの中で人間の潜在能力に着目し、それが長き争いに終止符を打てる重要な要素である事に気付くと、サンクチュアリを支配するための計画を練った。
 その一環として、サンクチュアリにより強力な魔力を召喚するため必要となる「ワールドストーンとその欠片」にまつわる知識を得るべく、上級天使を捕えるために一計を案じる。

 三大悪はまず地獄の炉で魔剣「シャドウファング」の製造を始め、わざと天界にその情報を漏らした。
 この撒き餌に上級天使が引っかかってくれれば良し、かからずとも魔剣が完成すればそれはそれで良し、の二段構えの罠である。
 幸か不幸か、その噂を聞き付けて魔剣の完成を阻止せんと行動を起こしたのが天使イズアル(Izual)だった。
 彼はティラエルの忠実な副官にして聖剣「アズアラス」の使い手であり、勇猛果敢な戦いぶりは大天使達からも高く評価されていた。

 しかしティラエルの制止を聞かず突撃した彼は三大悪に捕えられて拷問を受け、ついには天界の機密事項である「ワールドストーンとその欠片の秘密」を白状させられてしまう。

愚かなりティラエル!今なお私の事を信じているとは!

三大悪にソウルストーンの秘密を漏らしたのは私だ。それを堕落させる方法を教えたのもな。三大悪がサンクチュアリに亡命するのを手伝ったのも私だ。

遠大なこの計画は人の力では止められん。地獄はサンクチュアリにあふれだすだろう。血と悪夢の津波の如くに。

お前達には……もはや破滅しか残されていない。

※Act4 クエスト1 イズアル撃破時のメッセージを意訳

 天界の秘密を漏らしてしまった恥辱と激しい拷問によりイズアルの精神は狂気に囚われ、さらに地獄の怪物に魂を強制的に移し替えられたことで、イズアルは天界と地獄いずれからも信用を得られぬ堕天使へと姿を変え、今なお絶望の平原(Plains of Despair)をさまよい続けているという…。

  • Act4にて打倒されたイズアルだが、Diablo3にも登場している。気になった方はDiablo3を決断的にプレイしてみよう。

The Arreat Summit ~3人のAncients~

Talic(タリック)

 タリックはバーバリアン王国の西の地方の出身である。彼は若くして既に幾つかのバーバリアンの技を習得していた。

 彼がThe Ancientsに仕えるよう召集されたのは、彼がまだ19歳の時であった。
それまで彼はアリート山の伝説については聞いた事しかなく、彼が育った西海岸の辺りからはアリート山がそびえるカエ・フロン山脈は見る事すらできなかったのである。

 ある朝、タリックの妻と子供と共に食卓に着いた頃、家のドアを叩く者があった。町の長老と老婆であった。長老から紹介された老婆の名はカラといい、バーバリアンの首都セシェロンの預言者であった。彼女は「アリート山への神聖なゲートを守る」という究極の任務をタリックに授けに来たのである。その報酬として、タリックの魂はアリート山の頂上で永遠を得ることができるという。
 大任に選ばれたことはこの上ない名誉ではあったが、それは家族との永遠の別離を意味していた。タリックは椅子から立ち上がり、「私は行きたくない。他の者を選んでください」と拒否したが、カラは彼を見て「貴方を選んだのは自分ではない」と語った。The Ancientsは、彼女に「西の地にタリックという名前の若き戦士がいる」と告げていた。すなわち、タリックはThe Ancientsに選ばれたのである。

 タリックは長い間カラを見つめた後、最終的にその申し出に従う意思を示し、ゆっくり頷いた。
 そして妻と子供に別れのキスを済ませると、彼はアリート山へと旅立って行った…。

Madawc(マドウク)

 マドウクが何処から来たのかについて知る者はいない。
 唯一知られているのは、北部にあるヴァル・ナリアンの丘の外れから戦支度を整えてやって来た、いう事のみである。

 マドウクの側で戦ったことのある者達は、彼を「戦士の預言者」と呼んだ。
 マドウクは「自分は過去と現在の、両方の幻影に苦しんでいる」と主張し、しばしば理由もなく戦いを始め、まだ見ぬ罪のための正義を捜し求めた。戦いの前には決まって瞑想を始めてトランス状態となり、空を見続ける。時々トランス状態から抜け出して立ち上がり、待ち受ける戦いに参加することなくその場を離れることもあった。
 マドウクのその仕草を知る者達は、「彼は戦いの前にその戦況を占うことができる」と信じるようになった。そうでもしなければ、この老戦士がこれほど長く生き延び続けられた理由が思い付かなかったのだ。戦士達はマドウクが何処へ行こうと後を追い、彼が留まれば一緒に留まり、彼が去ればまた一緒に去って行った。

 しかし、ある夜の事である。マドウクは焚き火の周りに彼を慕う者達と共に座っていたが、彼は突然煙草を捨てて立ち上がり、その場から去ろうとする。
 彼を慕う者の一人が「どこへ行くのか?」と尋ねると、マドウクはこう告げた。「The Ancientsがアリート山を守護せよと私を呼んでいる。だから行かねばならない」と。
 そしてマドウクは男を押しのけ、北のアリート山への長い旅を始めたのである…。

Korlic(コーリック)

 コーリックはバーバリアン王国の南端にあるヘンノックのジャングルで生まれた。
 ヘンノックのジャングルは青々と茂る植物と様々な生き物に溢れ、そして信じられない程危険に満ちていた。

 コーリックはヘンノックの部族のリーダーであり、一族を野獣から守っていた。
 彼は子供の頃に「ストーカー」と呼ばれる凶悪な動物を一匹飼い慣らしていた。そのことにより、「彼にはドルイドの血が流れているに違いない」と言われるようになった。
 また、10代の頃に巨大蜘蛛の群れから小さい子供を救った。この子供は敵対する部族の族長の息子であると判明するが、コーリックは全く気にする事なく子供を家へ送り届けた。この行為は勇気ある行動とも愚行とも呼ばれたが、いずれにせよコーリックのこの行いによって二つの部族の対立は終わりを迎えることになる。

 The Ancientsが彼を召集しようとした時、部族の預言者でもあったコーリックの妻は彼に告げた。
 「The Ancientsが貴方を必要としている。絶対に守らなければならないもの、アリート山を守るために。」
 この上ない名誉にコーリックは絶句するが、それを見て彼の妻はヘンノックの部族の方を向きこう叫んだ。
 「私の夫にして族長でもあるコーリックはthe Ancientsに選ばれた。聖なるアリート山を守るために。彼が旅立つ日まで、この栄誉を皆で祝いましょう。」そしてコーリックが旅立つまでの三日三晩の間、盛大な祝祭をあげたのである。
 祝祭の最後の日に、コーリックは後継者を指名した。それはかつて彼が若い頃に巨大蜘蛛の群れから助けたあの子供であった。コーリックは彼ならば両方の部族に公平で公正な判断ができる、と信じていたからだろう。

 最終的に、彼は現世での行いを全て清算した後、「アリート山頂にて永遠にワールドストーンを守る」という来世の任務に就いたのだった…。

用語集(ストーリーや人名等)

アヌ(Anu)

 Diablo世界の全ての始まりといえる創造神。
 タサメットと相討ちになった後、アヌの眼は後に「ワールドストーン」と呼ばれる秘石となり、また彼の背骨とその周囲からは天界と天使達が誕生した。

タサメット(Tathamet)

 アヌの「穢れ」から生まれた七つ首の龍。
 アヌと相討ちになった後、タサメットの腐肉からは地獄が、頭からは七大魔王が誕生した。

大天使

 アヌの死後、その背骨より天使達が誕生した。 全ての天使はアヌの美徳のうち一つを受け継いでいるのだが、その美徳を最も色濃く受け継いだ者ーそれが「大天使(Archangel)」である。
 大天使達は天界の最高権力機関である「天使評議会(Angiris Council)」なる組織を形成し、事に当たる際は多数決で方針を決めている。
 

アウリエル(Auriel)

 アヌの美徳の一つである「希望」を色濃く受け継いだ、「希望の大天使(Archangel of Hope)」。大天使の紅一点であり、女性を思わせる体つきとノー○ルガンダムめいたリボン状の鞭「アル=メイシュ」を得物としている。
 ティラエル程ではないが人間に対しても好意的であり、罪業の戦い後に開かれた「サンクチュアリの人間をどう扱うか」決める会議において、「ワールドストーンを盗みサンクチュアリを作ったイナリウスの罪を人間に転嫁すべきではない。時が経てば罪業の戦いにおいて一役買うかもしれない」と擁護する側に回ってくれた。

イシラエル(Itherael)

 アヌの美徳の一つである「運命」を色濃く受け継いだ、「運命の大天使(Archangel of Fate)」
 「運命は美徳なのか?」という問いに関しては、「運命を知れば覚悟が生まれる。覚悟は現在を支配し、未来を変え得る力である」というどこぞの神父にも似た思想があるため美徳扱いとする。まあ3主人公の運命は「私には見えない…」というあるある展開だったんですがね

イナリウス(Inarius)

 リリスと共にサンクチュアリを造り上げた創造者。
 階級が大天使なのでアヌの美徳を色濃く受け継いでいるはずなのだが、Diablo4の時点においてもどの美徳を受け継いだのかは明らかになっていない。また、天使評議会には入らずスーパーバイザーに留まるなど、大天使の中ではイレギュラーな存在と言える。
 しかし、ある意味「全ての元凶」と言える存在なのだが、ストーリー上での活躍を見るに小物っぷりが目立つ。 

  • 過去に2回悪魔に捕まって拷問を受けている。初回時は拷問を任されたリリスに「おらこんな戦い嫌だ」と呟いたら「奇遇ね、私もよ」と意気投合して一緒に脱獄に成功。
    問題なのは2回目。罪業の戦いの停戦条件でメフィストの元に送られたはずが、いつの間にか独力で脱獄に成功。Diablo4にてデカい面してメインストーリーの中心人物となっている。
  • 罪業の戦いの前哨戦として宗教戦争が勃発。サンクチュアリに広まりつつあったトリューンに対抗するべく、イナリウス自身を信仰させる「光の大聖堂(Cathedral of Light)」なる宗教を立ち上げた。しかしそのためには信者達に事実を自身に都合のいいように捻じ曲げることも辞さなかった。

インペリウス(Imperius)

 アヌの美徳の一つである「勇気」を色濃く受け継いだ、「勇気の大天使(Archangel of Valor)」にして、Diablo2現在における天使評議会のリーダー。
 その称号の通り勇猛果敢な司令官であり、戦場においては愛用する聖槍「ソラリオン」を携え、最前線に立って戦うことを好む。
 しかし、実力と実績が高いがゆえに性格は少し頑固で、人の話を聞かないところもある様子。さらに罪業の戦いの終戦協定前の会議においては、「悪魔を撃滅できるなら人間とサンクチュアリがどうなろうと知ったこっちゃない。もし人間が悪魔に与するようなら先んじて滅ぼしてしまえ!」と人類撲滅に1票を投じた過激派である。

ティラエル(Tyrael)

 アヌの美徳の一つである「正義」を色濃く受け継いだ、「正義の大天使(Archangel of Justice)」
 Diabloシリーズにて初めて登場した天使であり、全ての天使のデザインは彼を基にしている。ストーリー面における活躍はゲーム内で語られた通り。
 ウルディシアンの自己犠牲の様を見て考えを改め、それ以降可能な限りサンクチュアリと人間に便宜を図ってくれるいい天使。…なのだが、2の前日譚や3と4の間の無活躍っぷりを鑑みると、「お前がもうちっとしっかり監査&管理を徹底してれば以降の惨事は防げたんじゃないの?」と言いたくなること必至である。特に3後においては実績でインペリウスを黙らせてサンクチュアリにバリバリ介入&新生ホラドリムを結成させたにもかかわらずあの体たらく(4に続く)である…。

マルサエル(Malthael)

 アヌの美徳の一つである「知恵」を色濃く受け継いだ、「知恵の大天使(Archangel of Wisdom)」。先代の天使評議会のリーダーでもあった。
 しかしティラエルによるワールドストーン破壊の報を聞くと、天使評議会の責務を放り出して消息を絶つ。この時宿していた美徳も失っている(なお、美徳はティラエルが受け継いだ模様)。
 そしてサンクチュアリで多くの人間を観察して回った結果人間に対して恐怖と憎悪を抱くようになり、「魂を狩る者(Reaper of Souls)」となって人類に敵対する。

三大悪

メフィスト(Mephisto)

 三大悪の長男にして、「憎悪の帝王(the Lord of Hatred)」の称号を持つ。
 娘にリリスがいるが、幸運にも嫁さんに似た美人に育ってくれたようだ。ブサイクのままだったルシオンは泣いてもいい。
 ただし、兄弟の仲の良さとは逆に家族の仲は最悪だったようで、娘には出て行かれさらに地獄からは追い出されるなどなかなかの苦労人…いや悪魔である。

バール(Baal)

 三大悪の次男にして、「破壊の帝王(the Lord of Destruction)」の称号を持つ。
 ムービーでは世界一カッコイイBlazeマリウスのいた建物を焼き払ったりセシェロンの門番を爆発四散させたりと活躍するが、ゲームではスロウ効果に弱いのが災いしてサンドバッグにされ、経験値稼ぎやトレハンのために世界中のプレイヤーから何億回レベルで殺され続けたりと不遇である。
 なお、「爆発オチの最中にそんな事やってらんねぇよ」ということなのだろうか、三大悪のうち唯一ソウルストーンが砕かれたシーンが描かれていなかったのだが、Diablo3の展開を考えるとどうやら爆発と一緒に砕かれた模様。


 ちなみに「Diablo2のバールはタル=ラシャの顔の皮を剥いでオシャレなマスクとして活用している」という悪趣味な裏設定がある。
 Diablo Immortalでもバールは登場しているが、この時はバールを封印すべくタル=ラシャ&ゾルタン=クーレと共闘するシチュエーションであるため皮マスクは付いていない。

ディアブロ(Diablo)

 三大悪の末弟にして、「恐怖の帝王(the Lord of Terror)」の称号を持つ。
 「この人いないとタイトル変えなきゃなんないよね」ということで、毎度毎度何らかの理由をこじつけられては復活している。
 当然ながらDiablo3でも登場、ストーリー本編のラスボスを務めている。うん、みんな知ってた。トレイラーに出てたし。
 地獄の炉でソウルストーンを砕いたのになんで?と思われるかもしれないが、一応筋の通る理由付けはされている。 


 余談だが、D2Cのパッケージ及びD2Rのキービジュアルに描かれた赤いフードを被った人物は、ディアブロに憑依されたエイダンその人である。
 もともとD2Cの時点で額に穴の開いたバージョンの絵は完成していたのだが、開発中に起こった銃乱射事件に配慮して額の穴は閉じられることになった。

四小悪

アンダリエル(Andariel)

 四小悪の一人にして、「苦悶の女王(the Maiden of Anguish)」の称号を持つ。
 デュリエルとは双子の関係にあり、さらにリリスの叔母にあたる。ただまあリリスと異なり直々に「醜女」と呼ばれてしまっているが…(in Diablo3)。
 
 ゲームではAct1のボスとして登場。
 The Dark Exileにて三大悪を追放するも、その後すぐにアズモダンとベリアルが権力争いを始めたので、「なんでこんな奴らに味方したんだろう…」と後悔していたところ、復活したディアブロから「追っ手を食い止めてくれれば前の事は水に流すよ」と打診され、足止めを買って出た。

デュリエル(Duriel)

 四小悪の一人にして、「苦痛の帝王(the Lord of Pain)」の称号を持つ。
 前述した通りアンダリエルとは双子である。

 ゲームではAct2のボスとして登場。The Dark Exileの失点を(以下略)。

アズモダン(Azmodan)

 四小悪の一人にして、「罪悪の帝王(the Lord of Sin)」の称号を持つ。
 Diablo1・2では設定で語られるのみであったが、Diablo3にてついにゲームにも登場。そして日本のプレイヤーにより「アズにゃん」という可愛らしいあだ名がついた。

ベリアル(Belial)

 四小悪の一人にして、「欺瞞の帝王(the Lord of Lies)」の称号を持つ。
 Diablo1・2では設定で語られるのみであったが、Diablo3にてついにゲームにも登場。

リリス(Lilith)

 メフィストの娘にして、「憎悪の帝王の娘(Daughter of Hatred)」「サンクリュアリの創造者(Creator of Sanctuary)」等の異名を持つ悪魔。また、サキュバス達を統べる女王でもある。
 『Diablo ~Sin War~』にて登場し、本作ではその宣伝隊長として起用された。「(Uber) Andariel」でないのはこのためである。しかしD2Rではリリス出現の際、思いっきり「アンダリエルが発言」というお前誰やねんな誤植をやらかしており、発売から1年近くが経過しても一向に治す気配がない。
 Diablo4のトレイラーで召喚の儀が描かれ、ゲーム本編でもストーリーの中心として活躍している。


 ちなみに、ここによれば「娘のアンダリエルが殺されたことで激怒した彼女が三大悪・デュリエル・イズアルを蘇らせ、トリストラムを拠点として侵攻を目論んでいる」というのがトーチ関連のストーリー設定となっている。しかしこれだと家系図がおかしな事になるので現在ではなかった事にされている。

ルシオン(Lucion)

 『Diablo ~Sin War~』に登場する悪魔。メフィストの息子にしてリリスの弟にあたる。
 メフィストの命を受けてサンクチュアリに派遣され、邪教集団「トリューン」を立ち上げるなど暗躍するが、最終的にウルディシアンに倒される。

トラン=オウル(Trang-Oul)

 サンクチュアリを支える世界龍。
 サンクリュアリ創生から悠久の時を生き続けており、その間に蓄えた英知や魔力は大天使や七大魔王に匹敵。おいそれとは手が出せない存在だと思われる。
 「メンデルンにサンクチュアリの創生の歴史を伝える」という、罪業の戦いの停戦協定を反故にしかねない越権行為を行ってもお咎めなしなのがその証左だろう。

  • その彼の名を冠したセットアイテムが「Trang-Oul's Avatar」である。ネクロ向きのプロパティが多いのはラズマとの関係ゆえか。
  • Diablo3では「Trag-Oul(トラグ=オウル)」に名前が変わっているが、D2Rでは「トラン=オール(Trang-Oul)」表記のままである(2021年11月現在では)。

ネファレム

 天使と悪魔が交わって生まれた「人間」のうち、初期に誕生した者達の事を指す。また、そこから転じて「強大な力を持つ英雄を指す敬称」としても使われている。
 その経緯ゆえにまさしく「光と闇が両方そなわり最強に見える」強大な力を有していたが、その力を警戒したイナリウスによってリミッターが課され、後に生まれていく者達はどんどん弱体化していくことになった。
 ただし、そのリミッターは「生まれ持った能力そのものを減衰させていく」のではなく「フルパワーを発揮できなくさせるだけ」なので、後に生まれた人間達も何かのきっかけでリミッターが外れればネファレムと同等の力を発揮できる。
 イズアルが漏らしたワールドストーン&ソウルストーンの秘密にはこの事も含まれていると思われる。そしてこれを知った三大悪は「サンクチュアリを手中に収め人間達を手駒とすることで、永劫の戦いに勝利する」為の計画を練っていった…。

ネファレムの著名人

ラズマ(Rathma)

 リリスとイナリウスの間に生まれた子。『Diablo ~Sin War~』の主要人物の一人。
 罪業の戦いの後トラン=オウルに弟子入りして秘儀を学ぶ。そして彼はその英知を独占することなく人々に広めていった。
 彼の死後、弟子達は師であるラズマの名を冠した教団を立ち上げる。そこで魔術を学んだ者達は、後に「ネクロマンサー」と呼ばれるようになった。

ウルディシアン(Uldyssian)

 『Diablo ~Sin War~』の主人公。
 元はしがない農夫であったが、サンクチュアリに帰還したリリスの介入により覚醒、彼の運命は大きく変わり始める。
 最終的にはサンクチュアリに押し寄せてきた天使・悪魔の軍勢を元の世界に押し戻すまでに至るが、それはサンクチュアリそのものを破壊しかねない程に強大過ぎる力であった。そしてこの事実を知った彼の取った行動とは…。

メンデルン(Mendeln)

 『Diablo ~Sin War~』の主要人物の一人にして、ウルディシアンの弟。
 罪業の戦いの後、彼もまたトラン=オウルに弟子入りするが、彼が得た物は(本来ならば誰もが忘れているはずの)サンクチュアリ創生からの歴史であった。
 「ウルディシアンの犠牲によって世界が救われたのに、弟のメンデルンまでもがその事を覚えていないのはあまりに不憫だ」と感じたトラン=オウルなりの粋な計らいだったのだろう。
 これにより、ひっそりとではあるが天使と悪魔、その戦いの記録が残されていくことになる。

バル=カソス(Bul-Kathos)

 バーバリアン達の祖先とされる人物。
 イナリウスによる「ワールドストーンを用いたネファレムの弱体化」を目の当たりにした彼は、「暗黒の時代が到来した際、ワールドストーンを何としてでも守り通すのが肝要」と考え、一族を連れてアリート山に移住。鍛え抜かれた技と肉体をもってして地獄の軍勢に立ち向かう事を誓った。

  • 本作及び続編では彼の名を冠した装備群が存在する。また、「Immortal King」はバル=カソスの異名である。

フィアクラ=ギア(Fiacla-Géar)

 バル=カソスの腹心、あるいは弟とされる人物。
 「地獄の軍勢の来襲に備えよう」という点ではバル=カソスに同意したものの、フィアクラ=ギアは「自然との調和、及びそこから得られる力をもって対抗すべきだ」と考え、意見が食い違ってしまう。
 そこでバル=カソスは一族を二つに分け、フィアクラ=ギアに同意する者達とは道を違えることとなった。
 フィアクラ=ギアとその一派は、放浪の末サンクチュアリの北東「スコスグレン(Scosglen)」の地に落ち着き、自然の力を操るための修行に励む。そんな彼らの末裔達がドルイドである。

サンクチュアリ

トリューン

 罪業の戦いの始まる前にサンクチュアリにて興った教団。
 「愛の精霊(the Spirit of Love)『メフィス』」「創造の精霊(the Spirit of Creation)『バーラ』」「決意の精霊(the Spirit of Determination)『ディアロン』」の三位一体の精霊信仰、というのが表向きの顔だが、その正体は三大悪を信仰する邪教であり、教徒達はゆっくりと、しかし確実に堕落していった。
 罪業の戦いの後はなりを潜めていたが、Diablo3の後に再び活動を開始。その一つがDiablo4トレイラーで描かれたリリス召還である。散々サンクチュアリを荒らし回った三大悪をリリスは快く思っていない気もするが。

ホラドリム

ホラドリムの著名人(「元」含む)

エライアス(Elias)

 Diablo4のトレイラーで登場した青白いハゲのおっさん。
 新生ホラドリムに所属していたが、文献を漁るうちにホラドリムのやり方ではダメだと見切りをつけ、リリスに救いを求めてサンクチュアリに召還する。ストーリー本編でも対決し、その際の通り名が「堕ちたホラドリム(Fallen Horadrim)」であることからも元メンバーであることは確定である。


 ちなみに海外ではエライアスのことをラズマだと誤解していたようで、それを真に受けた○Gamerが「彼はラズマです」と誤った紹介をしてしまっている(→記事へのリンク)。

ジェレイド=ケイン(Jered-Cain)

 「ジェレイド=ケイン」の名を持つ人物は2人存在している。

  1. ホラドリムの創設メンバーの一人で、カンデュラス地方にてディアブロを封印した功労者。
    その後もカンデュラスの地に留まり続け、自身の半生の記録を文献として残した。これが後の人々にとって大いに助けとなる。
  2. デッカード=ケインの息子。名前の由来は先述したご先祖様。

ゾルタン=クーレ(Zoltun-Kulle)

 ホラドリムの創設メンバーの一人で、タル=ラシャと共にバールを封印した功労者。
 しかしそこまでは良かったのだが、その後ティラエルから託されたソウルストーンを改良した「黒のソウルストーン」の扱いをめぐって他のメンバーとの諍いが起こってしまう。そして最後には…。

タル=ラシャ(Tal-Rasha)

 ホラドリムの創設メンバーの一人で、ゾルタン=クーレと共にバールを封印した功労者。その顛末は本編で語られた通りである。
 ちなみに「バールを封印する際に、ソウルストーンだけでなくタル=ラシャの肉体も併用したのか?」については諸説あるが、「バールとの交戦中にソウルストーンが破損してしまい、それだけでは封印の強度が保てなかったから」というのが有力な説となっている。しかしこの方法は肉体が持つ知識や記憶を奪われて悪用されてしまう」というリスクを抱えている。

  • 彼が愛用していた装備一式がTal Rasha's Wrappingsである。Diablo Immortalでのバール戦においてもこの装備一式を着込んで戦っていて芸が細かい。
    ただし兜だけはあまりにもダサかったのかデザイン変更が行われている。

デッカード=ケイン(Deckard-Cain)

ラダメント(Radament)

 Act2 Q1のボス。
 旧ホラドリムには「高位メンバーが亡くなった際には、遺体をミイラ化したり身体の一部を他の動物のそれと入れ替えることで死後の地位を高める」という風習があったのだが、これがマズかった。
 復活したラダメントはその影響を受けて精神がおかしくなってしまい、ラット=ゴーレインに侵入して次々と人を襲う始末。警備隊によって下水道に追い込まれたものの、外患に備える兵力も確保しなければならないため本格的な討伐隊は組めず、入り口を封鎖して犠牲者を減らすので手一杯であった。

ワールドストーン

 創造主アヌの目が彼の死後結晶となったもので、膨大な力を秘めている。
 イナリウスによってサンクチュアリに移された後、その力を用いて「サンクチュアリの隠蔽」と「人間の能力のリミッター設定」を行っている。
 Diablo2の最後でティラエルによって破壊された。その衝撃でアリート山は跡形もなく吹き飛び、さらにアズモダンがそこを拠点として侵攻を始めたことで、バーバリアン達は故郷を追われる身となってしまった。

ソウルストーン

 ワールドストーンの欠片を加工し、悪魔を封印するための秘石としたもの。
 Diablo2の時点で「青(メフィスト用)」「黄色(バール用)」「赤(ディアブロ用)」の三種が存在、これらはティラエルがホラドリムに伝えたものとされている。
 さらにDiablo3で「黒(???用)」が、Diablo4「赤(???用、ディアブロ用とは別物)」が加わり計五種となった。


 ただし、困ったことにソウルストーンに関する設定はDiabloシリーズ中屈指のガバ設定であり、全く統一が取れていない。

  • 「肉体を乗っ取った悪魔を倒した後、ソウルストーンを抜き取ると元の姿に戻る」のが本来の設定のはずなのだが、Diablo2ではマリウスがタル=ラシャからソウルストーンを抜き取ったらバールが復活した。
  • Diablo2では「地獄の炉でソウルストーンを砕けば、その中の魔王の復活を阻止できる」とされているが、Diablo3以降では(特に何の説明も無く)「ソウルストーンを砕くと中に封じられていた魂がパンデモニウムに還ってしまい、かえって復活を早めることになる」ため逆効果であることが判明した。

おまけ

「Cow Level」の噂

 Diablo1ブーム真っ盛りの頃に公式フォーラムなどである噂が流れ出した。
 その内容とは「Hell/Hellをクリアした後、秘密のCOW(牛)ステージが存在する」という物である。

「『Diablo's Ear』等のアイテムから『Map of Star』というアイテムを作れる。それを使うと行けるぞ」
「トリストラムにいる3匹の牛を50回クリックすると出現するぞ」
「中にはディアブロより強いCow Kingがいた!」
 
 等の様々な憶測や実際に見たという証言がフォーラムに飛び交う。中にはチートを用いて実際に上記のアイテムをでっちあげる者までいた。

 しかし、結局Cow Levelはデマだった。
 いくら高速でクリックしようが、そっけない反応が返ってくるだけである
 (牛がモ~と鳴いたり、プレイヤーキャラが「I'm not a milk maid.(俺は乳搾りじゃない)」「I'm not thirsty.((牛乳は)間に合っている)」などと呟く)。

 そして拡張ディスク『Hellfire』や本作において、制作者がこのユーモアな事件?を元に、The Secret Cow Levelを追加したとされている。
 ちなみに、Diablo2で廃墟トリストラム内の牛をクリックすると爆発するのは、「50回クリック」伝説から来ていると思われる。

 また、同社製のPCゲーム『Starcraft』のチートコードの一つに「There is no cow level」があったりする
 (ちなみにこの効果は「即時ステージクリア」である)。




D2Rパッチ2.5の暗号

パッチ2.5の公式サイト告知文の最後に書かれた意味深な記述。
 これはD2R発売時からバトルネットのロビーに存在していた、「クリックするとたまに数字が出現するGem」の事を指していた。

  1. パッチ2.5の告知文の文章をヴィジュネル暗号で復号化すると、
    「So Many Gems What Do the Orange Numbers Mean(大量のジェム オレンジの数字はどういう意味?)」と読める。
  2. オレンジの数字は「順番→D2C取説のページ→上から数えた列→単語」を意味する。
    例えば「009600202」は、「9番目→60ページ目の2列目の2番目の単語」となり、「Visions」が該当する。
  3. 手順2.を繰り返していくと意味のある文章が完成する。
    要約すると、創生の時から現在に至るまでの伝承となる。
全文。長いので収納

The Stones have spoken to me again.

Showing visions that only I can so easily see.

How can the others be so ignorant to their fate / faith.

Cast me aside will they.

I shall not waste my breath on the savages.

The crystals of The earth Have predicted before.

I know these visions tell us secrets.

 

<Vision of the Towering Heart>

The great one of all.

Shattered into Seven Dark and Five Light.

The remnants of the Stones laying the foundation for all this destruction.

Sets in action the endless and impossible task of restoring what was broken to perfect form.

Once more The Eye.

One of the shattered pieces.

Neither light rr shadow cut with the ability to create.

While it is closely protected no prison is eternal and soon is released by The Burning Red Gem and High White Gem.

The ability used to create a hidden and secret realm.

War explodes and the seven turn on each other.

The Three Perfect, corrupted by the Four Flawless.

A false break to gain access to The Stones of the Soul.

One Perfect shattered Gem.

One Perfect corrupts from within.

One Perfect hidden deep.

 

<Vision of the eternal / slumber>

Terror unleashed into a child and held deep Within the earth.

File by its would be attackers.

Setting The Gem within the new host.

It drives east.

East to be released by the other two Dark Stones.

 

<Vision of grizzled eyes>

A former foe of one of the Three.

Cast to the nothing.

Returns to be imprisoned once more.

 

<Vision of mad ancient lies>

A shadow keeps moving.

The shadow of a past light.

Carrying within it the spark of evil brothers together.

The Dark Gem cut anew.

Only to return to world between realms.

Two Dark Stones of Soul shattered.

One fled to be joined to the Eye.

The last perfect exiled.

The Eye corrupted beyond repair.

To be destroyed by one of The Five Light.

Reduced to shards.

 

<Vision of life>

Shards thrown to the far reaches.

Pieces that still holds echoes of their former power.

Sought by those who seek to claim Or destroy.

 

<Vision of swarms>

Cast from the Five.

One Light Gem begins its path a new.

An Ancient Black Gem is discovered.

A prison crafted larger than its kin.

Its thirst begins.

Souls strong enough to gather Five of The Dark before they could return home.

The Six Gem shown freely.

Its fate to join its Brothers And Sisters.

The Seven stands at the Base of The Eyes End.

Its armies defeated.

Follows at last.

Filled the Prison With Nothing But Darkness.

The prison filled is given new life in the spawned of The Stronger Brother.

Seven become One Primal.

In its power sets out to shatter the throne of The Light.

Breaking the perfection of one of The Four remaining Light And containing two to victory.

So close only to fail and remain imprisoned.

Once more a Broken Light stands in the place of his lost brother.

A brother who has taken a new visage.

 

<Vision of the eternal end>

A dark prison corrupts its resting place.

Stolen away By The Broken Light.

A Lost Brother returns under a new name to claim it.

Leaving but a shard.

A Dark Gem twisted to a new purpose takes strength from many to power a new master.

Only to be shattered by The One it serves.

The death of a former Light.

Those imprisoned set free.

 

<Vision of the individual>

A False Gem attempts to capture a prime.

Fails and falls to a lesser host.

 

<Vision of the night>

The Perfect return at last to finally claim their rightful throne among Brothers.

 

<Vision of greatness>

A Lost Flawed Gem returned at last.

A Fallen Light returned to its former glory.

A thief left alone to plan, eternal.

The Seven And The Five gripped from their homes.

Cursed to reside in a kingdom long hidden.

A Lost Brother.

A fallen guide.

Places traded.

Forever cursed.

コメント

  • ストーリーの解説あったんだ。と思ったら現在進行形で作成中なのか。ありがとうございます、頑張ってください -- 2021-09-29 (水) 01:07:34
  • 面白すぎだろ -- 2021-10-11 (月) 11:19:04
  • 凄い。雰囲気で楽しんでたけど、NPCの話しっかり聞いてればゲーム内でも大体わかるんだろうな -- 2021-10-15 (金) 09:57:02
  • 小説が発売されてるから、興味ある人は読むといいよ。 -- 2021-11-01 (月) 14:09:33
  • エイダンのくだりはD3で後付けされた設定だね。個人的には3での改変は好きじゃないかな(というか3自体無かったことにして欲しい) -- 2021-11-05 (金) 11:25:42
  • Cow Level 関連では、HellfireにはVobine Plateというユニークアイテムが登場する。牛飼いの姿が牛の着ぐるみに変わり、Nestというクエストの依頼を受けられるが、そのダンジョンからドロップする。 -- 2021-11-05 (金) 11:30:32
  • ゾルタンクーレって3で大物っぽかったから2の重要人物かと思いきや欠片もなかった。もしかしてポッと出キャラだったのかな。 -- 2021-11-10 (水) 19:41:19
  • Diablo3やってないから、3でどうクエスト・ストーリーが進行していくのかもあると良いな -- 2021-11-26 (金) 12:05:09
  • 壮大で濃いビジュアルの中身は結構ズサンでノリ重視ないつものアメリカ映画…っていう良い意味でストーリーなんざテキトーに流しとけってのが気楽でいいな。 -- 2022-10-09 (日) 04:23:55
  • ストーリー、世界観すごく助かりますし楽しいです。本当にありがとう。 -- 2023-04-06 (木) 10:18:31