【CDシアター ドラゴンクエスト】

Last-modified: 2024-03-17 (日) 09:33:54

概要

「シアター」って一体何?と思う方も居るかもしれないが、俗に言う「ドラマCD」「ボイスドラマ」である。
【キャラクターボイス】とシンセサイザーによるBGMとキャラの動作などを示す効果音で繰り広げられる、ストーリー本編のドラマ化である。
アニメに比べて比較的楽に制作できるため様々なRPGがドラマCD化されているが、我らがドラクエシリーズでも同じくされている。
1991年から1996年にかけて、DQ1からDQ6までの本編とトルネコの大冒険が作られた。
幾つかの場面をイラスト化したブックレットが同梱されており、結構豪華。
 
ストーリーは原作を基に【小説ドラゴンクエスト】から一部設定や展開を拝借・CDシアター独自のアレンジを取り入れたもので、DQ4、DQ6主人公など本作オリジナルの名前だけでなく、DQ5主人公と子供達など、小説準拠の名前であるキャラも多い。
 
原作からして短いDQ1.2などはディスク1枚だが、ストーリーの規模や描写が濃くなるDQ3以降だと2枚組、DQ4.5に至っては3枚構成となっている。尚DQ3のみ2枚セットで、それ以外は1枚ずつ別売りである。
ただし、ディスク一枚に収録できる容量(限界まで詰め込んでも78分程度)やリリース可能な枚数の都合上仕方なかったのかもしれないが、DQ3以降だとストーリー上そこそこ重要なイベントやボスなども一部もしくは完全に端折られる、ナレーションのみで片付けられてしまう事が多い。
例えば、DQ3では【サマンオサ】にて【ガイアのつるぎ】が手に入るため、【へんげのつえ】【ふなのりのほね】【あいのおもいで】のイベントがカットされている。
特にDQ4の5章部分とDQ6で顕著。いっそ清清しい程に各種イベントが端折られてしまっている。
DQ4のメインとなる第5章はディスク1枚に、DQ6はシリーズでもストーリーが長いにも関わらずディスク2枚で全てを強引に収めた為である。
 
BGMはゲームのそれをアレンジしたものが使われているが、アレンジの質は高い。場面に応じて色々なアレンジがされており芸が細かい。これらのアレンジはその後もDQやすぎやまと深い関わりを持つ【松尾早人】による。
基本的にその作品でのBGMをメインにしているが、ちらほら別作品のBGMを流用していたりもする。
オリジナルのBGMが登場することも(DQ3のネクロゴンドの洞窟にて落ち込んでいたアレルが立ち直るシーン&DQ5のルドマンにみずのリングを見せるシーン)。
 
なお、現在はいずれのCDも生産が終了しているため、入手は中古かネットオークション、フリマアプリなどに頼る事となる。
そもそもドラマCD自体当時としてもあまりメジャーではなく、出荷数も少なかったと思われ、そこそこのプレミア価格が付いていることも多い。
そのため小説版以上にマイナーでファンの間でもこの存在を知らないという人も少なくない不憫な作品。
もし現物を持っている人がいたらかなりのマニアと見て間違いないだろう。
ドラマCDに興味があり、お財布に余裕があるなら一聴の価値ありである。
 
CDではあるがアマゾンなどの通販サイトでは「ミュージック」ではなく「書籍」扱いなので、検索の際はそこに注意願いたい。

配役

主にアニメ、コミックに日頃親しんでいるユーザー層をターゲットとしているためか、この声優陣が全シリーズともかなり豪華で、大御所級が数多く名を連ねている。
加藤精三、若本規夫、野沢雅子、永井一郎、郷里大輔、青野武、緑川光…
…名前だけ聞くだけでも凄さがお分かり頂けるだろうか。
声優に興味ない・知らないという人でも国民的アニメのあのキャラの声、洋画の吹き替えやメジャーな番組のナレーターなどでよく聞く声優…と言えば、余程サブカルチャーと無縁の生活をしていなければ大抵ピンと来るであろう、そのくらい有名な面々である。
少なくとも、主人公の声優はほぼ全員現在でも第一線で活躍している大御所である。
これ以外にも、多くの著名な声優が出演している。
 

ナレーターはDQ1~DQ3は屋良有作、DQ4は石坂浩二、DQ5は家弓家正。かなりコアな層を狙っているように見える。
DQ6のナレーターは主人公ウイル役の関智一(主人公視点)、トルネコ1のナレーターは王様役の青野武が兼任している。
 
またDQ4には、「【ピサロ】…池田秀一 【ロザリー】…潘恵子」という、あきらかに特定の層を狙っているとしか思えないような配役もある。
 
なおロトシリーズでは青野武が、天空シリーズでは吉田古奈美が、夫々のシリーズ全作品に皆勤している。
 
上述したようにマイナーだったからか、ヒーローズシリーズやライバルズなどのボイス付のシリーズ作品にこのキャスティングはほぼ反映されていない。
現状ではDQ6の主人公のみ、そのまま関智一となったのが唯一のケースである。
CDシアターで出ていた声優が別のキャラの声を担当するケースは往々にしてある。
 
ちなみにDQ1の勇者を演じた関俊彦は、後に『ディシディア ファイナルファンタジー』で初代作品の主人公枠のキャラである「ウォーリア・オブ・ライト」を担当しているため、DQとFFの両方で初代主人公を演じたことになる。
更にDQ3の勇者を演じた緑川光は、同じく『ディシディアFF』でFF2の主人公「フリオニール」を演じており、やはりDQとFFの両方の主役キャラを演じた。そして【ドラゴンクエスト ダイの大冒険】のアニメ版で偽勇者のでろりんを演じ、本家勇者の後に偽勇者を演じる皮肉なキャストとなった。

本編への影響

Nintendo DREAM 2019年11月号のインタビューによれば、【岡本北斗】【内川毅】がDQ11の打ち上げで淡路島に向かう車中、同乗していた京都の開発会社のスタッフが持参したCDシアターDQ1を聴いたことが、DQ11S【ボイスドラマ】制作の発端になったと明かされている。