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【ドラゴンクエスト ダイの大冒険】

Last-modified: 2019-12-06 (金) 22:24:40

概要 Edit

正式名称は『DRAGON QUEST―ダイの大冒険―』
原作【三条陸】、漫画【稲田浩司】、監修【堀井雄二】
【ドラゴンクエスト】(以下DQ)の世界設定を踏襲した冒険ファンタジー漫画で、1989年から1996年まで【週刊少年ジャンプ】で定期連載されたが、これはDQ4発売直前からDQ6&SFC版DQ3が発売されるまでの期間にあたる。
単行本全37巻(文庫版は全22巻)。
 
海外にも翻訳版が輸出されたが、当時【DRAGON WARRIOR】が発売されていた北米圏には輸出されず、ゲームのDQシリーズが未展開だったフランス・ブラジル・スペインやアジア・中東諸国などに輸出された。
なお欧文圏でのタイトルは "FLY" となっているが、これはDQが無名だったこと以外に、死を連想するダイ(die)を避け、飛び上がるほど元気な少年というイメージに変更したからとされている。
ただし2006年にDQ8が発売され【DRAGON QUEST】の知名度が上がったフランスでは、2007年に "DRAGON QUEST La Quête de Daï" というオリジナルに忠実なタイトルに変更のうえ再発売された。

特徴 Edit

中盤までは「魔法は契約という儀式とレベルアップによって使用可能になる」「人によっては絶対契約できない呪文もある」など、ゲーム上のシステムを無理なく表現する事や、【知らなかったのか…?大魔王からは逃げられない…!!!】といったDQファンをニヤリとさせる台詞回しに定評があり、オリジナル技を織り混ぜつつもDQらしさを演出していた。
しかし終盤あたりから作品独自のストーリー展開やキャラクター毎の設定を深める方向にシフトし、シンプルな勧善懲悪ではない本筋や、ジャンプのカラーを色濃く反映した超人バトル漫画的作風(【オリハルコン】を素手で砕く・乱発ともいえる奇跡など)が徐々に強められていった。
 
さらに本編での時間経過はわずか3ヶ月相当でしかなかったというのも有名な話であり、精々数週間(あるいは数日)程度の修行・特訓で大技を体得できたり劇的パワーアップを遂げたりできる点はまさに超人バトル物の特権。
とはいえDQなどのRPGはよほど変則的なプレイをしてない限り数ヶ月もあればラスボス撃破までこぎ着けるし、レベル上げなどを頑張りさえすればごく短期間のうちに見違えるように強くなれたりもする。
作中の日数的にはかなりの駆け足だが、もしかしたらそうした点をイメージしたのかもしれない。
 
DQらしさや冒険の雰囲気を出す事においてはアベル伝説ロトの紋章などには及ばないものの、キャラクターの魅力や秀逸な台詞回し、同掲載誌では類まれな伏線消化など人気作たり得る要素も多数持っており、実際連載終了から20年以上経った今なお衰えない人気を保っている。
ちなみに後に三条陸が関わっている作品に影響を及ぼしているシーンがいくつか登場している(主にビィトやキョウリュウジャーなど)。
 
本作の特徴としてはもう一つ、単純に"世界を救うヒーロー"だけではない、【勇者】という称号について回る負の部分を丁寧に描くという、当時としても珍しい点があげられる。
人々の期待という重圧やその称号に見合った自己犠牲的行動、「狡兎死して走狗煮らる」な末路の暗示など、決して英雄として称賛されるだけではない「生々しさ」が印象的。
 
ゲーム版のDQでは勇者=自分(の思い描いた英雄像)であるため、プレイヤー各自の想像による解釈が可能であり、またその範疇に収めておくべきものであった。
つまり本作のように実際のシナリオ・システム上で明確に描いてしまえばただのストレス要因にしかならない部分でもあり、DQ本編というゲームとして面白いものを、読み物としても面白くするバランス調整は大変だという事が浮き彫りになった例だろう。
昨今では人間像を深く掘り下げるストーリー手法も馴染み、主人公が英雄像とは限らなくなってきたが、そうした作品群が台頭しだすよりも前の事であり、なかなか思い切った発想だったとも言える。
 
なおダイ大の連載された時期はゲームハードがファミコンからスーパーファミコン(さらに末期にはPlayStationやセガサターン)へと移行し、ゲームの普及や人気の定着に伴って「シンプルな勧善懲悪」モノは飽きられつつあった。
そのためエンターテインメント全体が新たな方向性を模索し、DQシリーズでもAI等新機軸の導入や自由度からストーリー重視の作風への転換(例えばDQ4ではラスボスにもドラマ性が与えられ、DQ5は主人公の半生を丁寧に描き、DQ6は""と"現実"を行き来する壮大なストーリー…といったように)をし始めたのだ。
そして各種新型機はFCから大幅に上がった性能を誇りながら、なおもゲームでは表現が難しい部分が(シナリオ面にも)大きかった。
そんなタイミングにおいて、"DQが持つ底知れない可能性の一つを垣間見せた冒険作"というのが本作の総評といえようか。
 
連載当時は【ドラゴンボール】を筆頭に今なお語り継がれる名作たちがしのぎを削った「ジャンプ黄金期」の真っ最中であり、本作もまたそれに名を連ねるに十二分に値する名作である。しかし作品名に「ドラゴンクエスト」を冠しているが故に権利関係が面倒くさいことになっており、ジャンプ関連のオールスターゲームなどには長らく出演できなかったという悲運な側面もあった。
実際、DQ5発表時の『ファミコン通信』1990年26号のインタビュー記事で、堀井雄二が自身の関わる『ファミコンジャンプII』(1991/12/2発売)に触れた時、次のように述べている。

――少年ジャンプ誌上で、『ドラクエ』の漫画(=ダイ大)を連載してますよね。ということは『ファミコンジャンプ』にも『ドラクエ』がでたりして?
堀井 ああ、それね。いちおう『ドラクエ』の漫画ははずしてるよ。そうしないといろいろ矛盾が生じたり、つじつまが合わなくなる可能性もあるから。ユーザーも混乱するだろうし。

しかし連載終了から22年後の2018年、スマホアプリ『週刊少年ジャンプ オレコレクション!!』『ジャンプチヒーローズ』にて登場を果たし、ダイやポップ、魔王軍が登場した。

ゲーム作品への影響 Edit

【ギガブレイク】【メドローア】など、本作オリジナルの技や呪文などが数多く逆輸入され(詳細はダイの大冒険を参照)、【閃光烈火拳】【国王会心撃】といったパロディ的な形で取り入れられたものもある。
このほか、装備限定技の元とされる【閃華裂光拳】や、【今のはメラゾーマではない…メラだ…】に代表される、使用者の力量で威力が変化する描写を入れ、【かしこさ】によって変動する事に影響を与えたとも言われる。
またDQ11では大地斬をはじめとしたアバン流の剣技が勇者の特技として登場。モーションも【アバンストラッシュ】同様の逆手持ちになっており、できるかぎりの再現を図っている。
ストーリー面でも異変後のストーリーに今作を意識した要素が見られる。特に【六軍王】はその印象が強い。
 
長らく特技や呪文のみの逆輸入であったが、2016年12月~2017年4月の星ドラとのコラボでついにキャラクターの逆輸入が実施され、本家ドラゴンクエストでの夢の共演が実現。また各キャラクターの装備品も登場している。
さらに2017年4月よりDQMJ3Pのバージョン1.1でダイの大冒険のモンスターが登場するようになり、同月よりDQMSLやモンパレでもコラボが実施された。
コラボ時期を考慮すると、20周年+この参戦に合わせて権利調整をまとめて行ったものと思われる。

アニメ版 Edit

アニメ化もされ、1991年10月17日から1992年9月24日まで木曜日19:00~19:30、TBS系列で放映。全46話。
オープニングテーマには、【すぎやまこういち】の書き下ろしである【勇者よいそげ!!】、エンディングテーマには【この道わが旅】、スポンサー紹介時のBGMには【Love Song 探して】が使われたほか、作中でもDQシリーズのアレンジBGMがふんだんに流された。
 
基本的に原作に忠実で、オリジナルストーリーなどは基本的に皆無である。しかし原作では触れられなかった細かな描写や場面などが上手く肉付けされており、アニメ作品としての完成度も折り紙付き。
 
視聴率的には問題なかったようだが、TV局の番組改変の枠取りによる打ち切りとなった。
よりにもよって「バラン編」と呼ばれる作中でも特に人気の高いエピソード寸前での打ち切りであったため、再アニメ化要望の声は絶えない。ちなみに竜騎衆のダイコロが発売されたが、ダイの記憶が奪われるあたりで終了となった。
 
なおアニメ版は元々1年のみの予定であり、それ自体は計画通りであったのだが、延長を前提とした構成になっておらず、日時を変更して存続などの代替もなかったため「打ち切り」同然になってしまった。
というわけでそのままだと竜騎衆登場付近で終了してしまうことが発覚し、バラン編のラストを変更してダイが記憶を消されるくだり流れを改変し、バランを一時撃退するところで終了となった。
(PERFECT BOOKより)

アニメ映画版 Edit

東映アニメフェア作品として他作品と同時上映という形だが映画化もされており、

  • ドラゴンクエスト ダイの大冒険
  • ドラゴンクエスト ダイの大冒険 起ちあがれ!! アバンの使徒
  • ドラゴンクエスト ダイの大冒険 ぶちやぶれ!! 新生6大将軍

の3作が上映された。
このうち1作目はテレビ版のパイロット版であり、本編ともアニメとも違うパラレルな世界感になっている。2、3作目はアニメの番外編になる。

考察 Edit

DQ6・DQ7において勇者への転職が可能になったのは、本作において「それで現に救われてる人がいるなら、勇者が百人いたっていいだろう」「勇者はむしろ周囲に勇気を与えるためにいる」といった独自の勇者論が展開された事が大きいという説がある。
本作だけでも【ダイ】【アバン】【ノヴァ】、偽勇者の【でろりん】も加えると勇者が4名も登場している。
また、【クロコダイン】も「オレは勇者を名乗る大人の戦士と星の数ほど戦った」と言っているので登場こそしていないものの魔王を倒そうと旅した「自称」勇者は複数いたと思われる。
そのため、ダイの大冒険の影響でゲーム内のキャラクターに個性がなくなったとして、本作を蛇蠍のように忌み嫌う向きもある模様。
 
ただ、ゲーム作品でもDQ1やDQ3ではかつて多くの勇者が竜王やゾーマを倒そうとしていたわけで、この作品がきっかけでそのような風潮が新たに始まったわけではない。
事実DQ3では、サイモンやオルテガといったサブキャラクターも勇者と呼ばれている。
そもそもDQのヒントとなった作品の一つである『ウィザードリィ』は「任務に成功した者は国王親衛隊に召し抱えると言う条件で、敵のアジトに冒険者を給料0で突っ込ませる」と言う内容であり、当然多数の冒険者(勇者候補)が存在、そのほとんどが志半ばで散っていった。
DQを元ネタとしたコメディである『魔法陣グルグル』でも、国王が「数撃ちゃ当たる」的なノリで多数の勇者を認定しており、DQで勇者に渡される支度金が少ない(衛兵の方が良い装備をしている)事への皮肉となっている。なおこの作品の主人公は「称号は勇者だが職業は盗賊」だったりもする。
こうした傾向ゆえか、DQ4以降になると、ゲーム開始直後に国王と面会するようなシナリオは無くなった。正真正銘の王女様である【アリーナ】も父親の目を盗んでのお忍び旅行と言う理由が付いている。
 
また、全体像を見れば世界設定そのものが異なり、死者の蘇生が困難なのに強力な呪文・特技は大きなリスクを背負って使用されている。
本作の登場人物たちからしてみれば、それらの呪文や特技をホイホイ連発するDQ6以降のキャラクターたちはバケモノか!?と嘆きたくなるだろう。
例として、

など。
 
また、勇者を「勇気ある者」として描くことで、勇者最大の武器を「勇気」としており、これが周囲を奮い立たせる役割の源流になっている(肩書きどおり本人がまず勇気を必要とする)。
一方で、上記で言われている「選ばれた者というポジションが喪失しているのではないか」という点も、本作では選ばれた者の地位を【竜の騎士】という形で「ドラゴンクエスト」に相応しい名前を以って登場させ、「2つの意味での勇者」を両立させている。竜の騎士は他の者に扱えない技能を使用できるため、アイデンティティは欠かしていない。

その他 Edit

  • サブタイトルが「ダイ」の「大」冒険と、ちょっとした言葉遊びになっており、連載開始前の読切版第二弾のサブタイトルが「ダイ爆発!!!(大爆発)」となっている事から考えても、意図的にタイトルにこの駄洒落を組み込んだと思われる。
  • 偶然にも『こちら葛飾区亀有公園前派出所』が1000回を迎えた記念号にて最終回を迎えている。それから20年後、同作が完結を迎えた頃、上述のコラボが行われている。
  • 「主人公の身内が敵幹部」「ヘタレキャラが勇気を振り絞って大活躍」「敵ボスは変身&主人公を勧誘する」など、いわゆるお約束展開をうまく纏め上げており、2chの作劇におけるお約束展開について語るタイプのスレでは頻繁に話題に上り、一部では聖典とまで評されるほどである。
  • 人気少年漫画の宿命として「ラスボス後の連載延長」が関係者から求められ、原作者も備えとして伏線を張りつつ5年後を舞台とした「魔界編」の構想を練っていたが、結局は予定通りの完結となった。

関連 Edit

【ドラゴンクエストIV外伝 地獄の迷宮】(作者が同じ)