DQ3
概要
現実世界のブラジルのあたりにある、アンデス山脈のような高山に囲まれた国。
ネーミングはおそらく、アマゾン川の現地の綴りである「Amazonas」のアナグラムより。
SFC版【公式ガイドブック】での英語表記はSamanosa。英語版での地名はNES・GBC版ではSamanao、スマホ版ではMazona。
そうした南米大陸のイメージとは裏腹に、ゲーム中のフィールドマップ上の位置は意外にも【ジパング】のほぼ真東にある。
これは、DQ3の【上の世界】のフィールドがよく見る世界地図を大きく歪ませた形になっているためである(詳細はこちらを参照)。
主人公がサマンオサ近隣の【旅人の教会】に行くと、ある日を境に【サマンオサ王】が豹変したことをそこの【神父】が教えてくれる。
サマンオサの【勇者】【サイモン】も、旅人の教会の【旅の扉】から追放され、【ほこらの牢獄】内で獄死している。
初回訪問時には王の悪口を言って死刑になった男【ブレナン】の葬儀が行われており、国民は王の悪政によって国民は恐怖に陥っている。
実はサマンオサは国王に化けた【ボストロール】に乗っ取られており、真の王は地下牢に幽閉されているのだ。
主人公一行は、偽王の招待を暴き、ボストロールを倒すことが目的となる。
しかし悪口を言っただけの男をあっさり処刑したわりに、サイモンや真の王はなぜか追放や幽閉で済ませている。さすがのボストロールも国民の反発を予想して、サイモンは処刑できなかったのだろうか。
王については本物を見ながらでないと上手には化けられないのだろうか。あるいは姿だけ真似できたところで、知っているはずのことを知らないと怪しまれるだろうから、いざと言うときに聞き出せるように生かしておいたのかもしれない。
なお、ブレナンの葬儀を終わらせるには、葬列の誰かに話しかけて一度町を出る(城や武器屋の2階といった別のフロアでも可)こと。
話しかけた後に宿に泊まったり昼夜反転しても同様。また姿を消して話し掛けても同様なので、本来の台詞が聞けないまま葬式が終わってしまう可能性もある。
また、このイベントは接触しなくても偽王撃破後は終了している。
【サマンオサ南の洞窟】で【ラーのかがみ】を手に入れ、夜になってから自室にて一人で眠っている王の元へ行き鏡を使うと、王が正体を現しそのまま【ボストロール】戦となる。
これに勝利すれば戦闘終了後に部屋に残してゆく宝箱から【へんげのつえ】が手に入る。
おそらくボストロール自身もこの杖を用いて国王に化けていたのだろう。
ちなみに王の間に侵入するのも、正面階段は24時間体制で警備兵が張り付いており、見張り台から飛び降りてバルコニーから侵入する必要がある。
見た目とは裏腹に、ずいぶんと神経質なボスである。
なお、実はFC版に限り、昼間でも寝室のベッドにラーの鏡を使えばボストロールと戦うことができるので、夜にする必要はない。
ボストロールが倒されたあとは本物の王様が玉座に戻り、城下町には以前と同じ平穏が戻ってくる。
自分の偽者を倒し国を救ってくれた相手だからか、彼のもとでセーブしたあとに全滅すると、再開時のセリフはかなり特別なものが用意されている。
DQ3には微妙に異なるセリフを話すキャラクターは多いが、「しんでしまうとは~」と発言しないのは後にも先にも彼だけである。
地下牢に閉じ込められていた人々も解放されるが、唯一ただのしかばねだけは身元の引取り先が無かったのか放置されており、哀愁を誘う。
この話のモデルは太宰治の「走れメロス」だと思われる。
また、南米では軍人によるクーデター・独裁政治が度々行われたことも織り込まれているのかも知れない。
場所・施設
周囲を高山に囲まれているため直接行くことはできず、グリンラッド南のほこらか【オリビアの岬のほこら】から旅の扉で旅人の教会に行き、【さいごのかぎ】(または【アバカム】)でそこから出て 徒歩で行くことになる。
ただし、FC版では【やみのランプ】で旅人の教会の扉を突破できる裏技も知られるので、その場合は最後の鍵入手前にも城下町で買い物くらいはできる。
サマンオサに行くためのヒントは特にないため、【旅の扉のほこら】か【オリビアの岬のほこら】を自力で見つけるか、(【ルーラ】を覚えた後はたいてい一度しか通らない)【ロマリアの関所】に「さいごのかぎで開く扉があった」ことを思い出すしかない。
そのため初プレイだとサマンオサに行くのは少し大変である。
城下町は各施設に加えて【格闘場】もあり、町の南西に城シンボルがある。
また、この町の武器防具屋は2階建てで、1階に階段が二つあるが、そのうち手前側から2階へ上ると「わっはっはっ。おきゃくさん まちがえたね。」と笑い飛ばされて買い物ができない。
この店に限らず、カウンター越しではなく直接店主に話しかけられる構造の店というのは珍しくはないが、大抵は驚かれたり、困惑されたりする。そういう中で、直接話しかけられてもそういった反応を見せず、笑い飛ばすここの店主はかなり珍しいケースと言える。
もっとも手前の入りやすい階段のほうが店の内部(バックヤード)に通じるという店舗としてあるまじき構造上の欠陥なので多くの客が間違えたと思われ、店主の反応も上記の通り慣れている様子である。
FC版では【上の世界】で買える武器の中で最強の攻撃力を誇る【ドラゴンキラー】が城下町で売られている。
道具屋は葬儀に参列しているが、この武器屋はずっと商売を続けているので、葬儀中でもドラゴンキラーなどは買うことができる。
国がボストロールに乗っ取られていることから、城には正面から入ることができないので、勝手口から侵入することに。
【きえさりそう】か【レムオル】であっさりと侵入を許す田舎城の門兵と違って、警備は厳重であり、正面は鉄壁、勝手口にも【まほうのかぎ】→さいごのかぎと、二重の障壁で守りを固めている。
ちなみに現実においても外部から泥棒が侵入しやすい部屋は内部のドアが部屋内から解錠できないように対策することが最終防衛ラインであり、それとよく似た構造である。
これらの障壁を乗り越えて、いざ王の前に行くと主人公たちは地下牢に投獄されてしまう。シリーズ恒例となる【投獄イベント】の元祖である。
このとき、玉座の一歩手前でイベントが発生するのだが、透明状態で行っても効き目が切れてバレてしまう。まさに鉄壁の警戒心である。
なお、王様に近づくと投獄されてしまう関係上、一連のイベントを終了させるまではここでセーブをすることができない。サマンオサ南の洞窟攻略前は他の城でセーブする必要がある。
お城に侵入する時点で、牢屋の扉を開ける手段を持っているはずなので檻から出るのは簡単だが、このフロアはルーラや昼夜反転では脱出ができないようになっているので、とりあえず隠し部屋にある階段で地下2階に降りる必要がある。
勇者一行を牢屋内に連行した【兵士】は王宮へ上がる階段を塞ぐ形で立っているが、話しかけても階段側を向いたまま振り返ることはなく脱獄した一行を見とがめることはない。
それどころか、あくまで「寝言」として「最近の王様は様子がおかしい」「ここの地下牢には外へ抜ける隠し通路がある」といった情報をくれる。
閉じ込められている剣士などからラーのかがみの情報が聞けるほか、地下2階には本物の王が閉じこめられており、今の王が偽者であることが語られる。
地下2階の隠し通路は【ガライの町】と同じく暗闇を調べる必要があり初心者にはやや難易度が高いが、地下1階とは違ってルーラや昼夜反転が有効であり、さらに【毒の沼地】があるので【デスルーラ】も有効と、詰まるほどではないだろう。
もちろん隠し通路を見付けられれば、そこを抜けることで、墓場に出ることができる。
一度この隠し通路から出た後は墓場で同じ場所を調べると下り階段が出現し、そこから入ることもできるようになる。
しかし、外から侵入しても地下牢から王宮内に上がる階段前を上記の兵士が塞いでいて通れないので特に意味はない。
本物の国王を救出した後は入口前の兵士はどいてくれるが、今度は通路の出口付近に剣士が立っていて、結局はこの通路を通って城への出入りはできない。
なおFC版の場合、投獄イベントを起こさずにボストロールを倒した場合は、墓場の階段を出現させることはできなくなる(結局通り抜けはできないので意味はないが)。
ただFC版であれば【ランシールバグ】のNPC移動で剣士をどかすことができ、後からでも通路を発見することはできる。もちろんランシールバグ時の一時的な挙動なので、実用性は皆無。わざわざランシールバグ状態でサマンオサまで足を運ぶこともないだろうし、そもそも肝心の毒沼が剣士よりも奥にあるので、墓場側から城に入れない点は同じ。
ちなみに城の地下2Fが外部の地下1F相当という構造は【アリアハン】と同じ。町の内部にある城は高台に建っているのかもしれない。
兵士たちをはじめ城に仕える者は国王にはただ逆らえないというだけで仕方なく表面的に命令に従っており、偽王の暴挙を快く思ってはいない。上述の牢屋番の兵士以外でも、近衛兵の2人も、話しかけると目の前で堂々と不法侵入されているのに「なんだ、おまえは?」としか言わず、自ら積極的に捕えようとはしない。偽王に命令されてやっと動く。
王の間から降りた1Fにいる兵士に話すと「ここはサマンオサのおしろだ!」と今更なことを言う。
この台詞はボストロールを倒す前も後も変わらない。
いわゆる【ここは○○の町ですキャラ】だが、こんな真ん真ん中にいるのも珍しい。
ちなみに、正面入り口左側の門番兵も同じ台詞を言う。これはこの手のキャラ恒例の配置。
ただ、この門番は本物の国王を救出した後になると「やや!あなたさまは どうぞおはいりください」と、右側同様の台詞になるので、国王救出後は「ここは○○の町ですキャラ」が真ん真ん中に一人だけという珍しい城(町や村を含めても)になる。
リメイク版
町の中の城シンボルが無くなった代わりに、町の南西の区画に行くと城のマップに切り替わる形式になった。
墓地ではアイテムをいくつか拾える。
格闘場の設立理由が「圧政の不満から目をそらすために王が設立した」となっており、そこの老人が「ギャンブルで一番もうかるのは胴元と決まっている」と反発している。
また、ドラゴンキラーが店から姿を消し、代わりに【パワーナックル】になってしまっている。
ドラゴンキラーは【商人の町】の最終形態までおあずけとなった。
また、発売当初はサマンオサは旅の扉から行くということを知らないFC未経験プレイヤーが世界中を探した挙句、海域でイカ一族にボコボコにされるという事態が続出したのか、
SFC・GBC公式ガイドブックにはさいごのカギを見つけてからこの大陸のお城に行けるとQ&Aコーナーに明記されていた。
ゲーム内では【グリンラッド】の【老人】が行き方を教えてくれる。
【ガイアのつるぎ】入手後に訪れると1段階発展し、一部住民の様子やセリフが変化している(「この国も落ち着きを取り戻してきた」「あれからの王様は前にも増して気にかけてくれるようになった」と言われる)。
地下の隠し通路を塞いでいた剣士もいなくなり(武器屋で働いている)、今更ながら自由に行き来できるようになる。
FC版のスタッフロールでは【アリアハン】に続き2番目に登場していたが、リメイク版では登場しなくなった。
なお王の寝室のタンスには【こんぼう】が入っている。…【トロル】族のアイデンティティか?
小説版
九ヶ国同盟の一国。王都の人口は2万3千。
元々は海賊のアジトの北にある河を上れば王都へ行けたが、8年前の火山噴火によりそれが塞がってしまい、外界から隔離された地域になっている。
勇者たちはその海賊の頭から侵入経路を聞いてこの国へたどり着く。
ラーの鏡を原作通り南の洞窟で手に入れた後、町の親子が無実の罪で処刑されようとしていたところに鏡を突き付け、ボストロールと戦闘になる。町の兵士は【がいこつけんし】が化けていた。
小説ではボストロールを倒すところまでが上巻となる。
知られざる伝説、アイテム物語など
【アイテム物語】では、【ムー】帝国が滅亡したのちに、覇権を握ったアトランチスを、サマンオサが破った。
DQ3【知られざる伝説】では、ゲーム中で【旅の扉】が封鎖されている理由にもサマンオサが深く関わっている。
【バラモス】の命令を受けた【やまたのおろち】が、【サロメ】という女予言者の体を乗っ取る。おろちの魔力による完璧な予言と美貌でサマンオサ王を篭絡し、ついにはアリアハンとの戦争を勃発させ、姿を消した。
その後、アリアハンは【旅の扉】を封鎖、さらに世界各地との交通網を遮断し、鎖国体制に入ってしまう。
アリアハンによる世界支配体制を崩壊させたいバラモスの思惑をサマンオサが成功させてしまったことが記されている。