ロマック算

Last-modified: 2022-01-17 (月) 22:33:44

ジェイミー・ロマック(元DeNA)の成績を元にした、KBO出身野手のNPBにおける成績予測方法のこと。


ジェイミー・ロマック(DeNA時代)

2015年オフ、DeNAベイスターズは三塁手*1補強のために阪神との競合を制し*2ロマックを獲得。ラミレス監督も「5番・三塁で20本塁打」を期待するなど主軸としての働きを求められていた。

しかしいざシーズンが始まると打率は0割台を爆走。我慢強くスタメンを固定する傾向があり、また選手批判を極力しなかったアレックス・ラミレスにさえ「我慢の限界」と言わしめ、5月に梶谷隆幸(現巨人)の復帰に伴い入れ替わりで二軍落ち。その後もたまに一軍に上がっては三振してまた抹消…という状況が続き、最終的に.113(71-8) 0本 2打点という(ある意味)驚異的な打撃成績を叩き出してシーズンを終了。

当然のように解雇されたロマックはアメリカに舞い戻り、オフにはWBCカナダ代表として出場。8打数5三振・打率.125と相変わらずであり、NPB時代の打率が公式中継で何度も晒されてしまった。

ジェイミー・ロメク(KBO時代)

WBC終了後、パドレス傘下AAAエル・パソ・チワワズに所属。するとNPB時代とは別人かと思うほど打ちまくり、4月の月間MVPを獲得。その後韓国・SKワイバーンズ(現・SSGランダース)が獲得を決定し、5月7日付の契約で、登録名は「ロメク」となった。

7月に一時的に二軍落ちしたこと以外は順調で、打率.242、31本、64点、OPS.898という好成績でシーズン終了。最終的にKBOのシーズン途中加入外国人選手の最多本塁打記録を更新、KBOのアダム・ダンとして信頼を勝ち取り、以降2021年に引退するまで主力選手として働いた。SK/SSGファンからは奇しくも「マッカーサー将軍」の異名を付けられた。これはSK/SSGの本拠地が朝鮮戦争で米軍元帥のダグラス・マッカーサーが指揮した仁川上陸作戦の戦地である仁川であることに由来。

ロマック算

打率 .113→打率 .242(+.129)

本塁打 0本→ 31本(+31本)

OPS .374→OPS .898(+.524)

ロマックがNPBからKBOに移籍したことでこのように成績が増加したことから、
「逆にKBOの野手がNPBに移籍してきたらロマックの増加分がそのまま減少するのでは?」という予想が立てられるようになる。この時点ではまだ荒唐無稽なネタの域を出ない発想ではあったものの、それを図らずも実証してしまったのがウィリン・ロサリオであった。

ウィリン・ロサリオ(阪神時代)

2017年にKBOのハンファで打率.339、出塁率.414、37本塁打、111打点、OPS1.075と素晴らしい成績を残したウィリン・ロサリオはオフに阪神と契約を結んだ。マット・マートンマウロ・ゴメスが去った後の助っ人野手たちのあまりな外れっぷりに辟易していた阪神ファンの大多数からゴメスどころかバースやセシル・フィルダー、ジョージ・アリアス以来の外国人大砲として期待され、在阪マスコミ、在阪解説者に加え、他の地域の解説者にも活躍の太鼓判が押されていた。
年明けの春季キャンプではそのパワーを遺憾なく発揮し、ケビン・メンチばりの見出しを次々打たれるなど、「今度こそバースの再来か」と騒がれた。
一方、「KBOで活躍し入団」という点から「ロマックの再来」を危惧するなんJ民やファンも多くいた。

この時点で、ロマックの前例から

打率 .210(-.129)

本塁打 6本(-31本)

OPS .551(-.524)

がNPBにおけるロサリオの成績では?という乱暴すぎる試算が弾き出されていた。

オープン戦では13試合、43打席で本塁打1、打率.143、11三振と不安の残る成績であり「メンチの再来」も危惧されながら、開幕を4番で迎えることとなった。

しかしいざシーズンが始まると、パワーこそ申し分のない「本物*3なのだが徐々に弱点が露呈し、特にその中の一つが「外スラ*4に異常に弱い*5」というもので、さらに真ん中の速くて力のあるストレートにも弱いことも相まって当然の如く突かれまくり三振ゲッツーを量産した。おまけに一塁守備も酷く*6一時期は、三振王・最多併殺・最多エラーの裏三冠を突っ走った*7。あまりの惨状から5月には4番を剥奪され、6月の頭に登録抹消、7月に再度登録。首脳陣は「気温が上がれば打ち出す」と夏場の活躍に期待していたが、増えるのは本塁打ではなく三振ばかり*8。結局8月27日に再度登録抹消される。その後、阪神に故障者が続発して地獄と化したにも関わらず一軍にお呼びがかからなかった。オフには外国人市場の不作ゆえに残留の話も生じたが、ジェフリー・マルテの獲得に目処が立った10月末でリリースされた。

結局、一軍での最終成績は

打率 .242(281-68)

本塁打 8本

OPS .658

と出場試合数*9を考慮しても予想と大差ない数値に収束。
あまりに雑な発想からのリアル感のある計算結果に味を占めたなんJ民は、まともな打撃能力の分析ができなくても引き算で計り知れると勘違い。KBO出身選手の成績予想として真剣に議論される様になってしまった。

また、ファンには

  • 翌年以降の新外国人に対する要望が「成績・人格・外スラ我慢」になる*10
    • しかも阪神ファンのみならず他球団のファンまでこうなる
  • 有志により「新外国人○○外スラ(我慢/対応)集」が作られ、その映像次第では期待度がガタ落ちする*11
  • 新外国人が来日後に前評判を覆して外スラを我慢するとあかん優勝してまう状態になる

などの影響を与えた。

その他にも、李炳圭(元中日)や金泰均ヤマイコ・ナバーロ(ともに元ロッテ)といった、韓国では大活躍したがNPBではアレだった助っ人外国人選手*12は多い。
ちなみに2021年に阪神に入団したメル・ロハス・ジュニアについては二軍でも三振が多かったため「ロサリオの再来」を懸念する向きもあり、数字自体はロサリオより良くないが、しばしば良い働きを見せておりロハスがいなければ優勝争いが出来なかった*13という声もある。

なぜロマック算が成り立つのか

下記の画像の通り2018年までのKBOのストライクゾーンは上下が狭く左右に広い特殊な傾向が強く、他国と比較すると総合的に狭い。また投手面でもトップクラスとそれ以外の実力の乖離が激しく、いわゆる「打高」の傾向が極めて強いリーグとなっている。こうなると逆に「KBOで無双した投手はNPBでも無双できるのか」という話にもなるが、近年KBOで実績を残しNPBに移籍してきた投手の中ではリック・バンデンハーク(元ソフトバンク→ヤクルト・2014年KBO最優秀防御率/最多奪三振)などは日本でも通用したもののクリス・セドン(元巨人・2013年KBO最多勝)・アンディ・バンヘッケン(元西武・2014~15年KBO最多勝)などは期待外れと言える成績に終わっている。2020年に前年KBO17勝を引っさげ巨人に入団したエンジェル・サンチェスは2020年こそ8勝を挙げたものの好調時と不調時の差があまりにも大きく2021年は後半戦は一軍登板すらなく退団*14。2021年に前年KBO20勝の実績を引っ提げ阪神に入団したラウル・アルカンタラは先発としては典型的SYBSだったが救援で活躍を見せ優勝争いに貢献するなど活躍するかしないかは両極端ともいえる。

※画像出典:中央日報「국내선 3할, WBC선 삼진 … ‘우물 안 K존’에 갇힌 한국 야구*15

また韓国も2014年頃からKBOのレベル低下が問題になりだしており、韓国のニュースサイトOSENを中心とするユーザーコメントでは「(T・ウッズ(元斗山→横浜→中日)らが活躍した頃と違い)もはやKBOの選手はMLBどころかNPBでも通用しない」といった意見が見られ、KBO自体への批判に繋がっている。

なお打高環境はKBOでも問題視されたようで、2019年シーズンからボールが変更され、リーグ本塁打数が激減した
そしてボール変更後の2019年のKBOで活躍し、2020~2021年に阪神でプレーしたジェリー・サンズは阪神ファンの懸念をよそにある程度の数字こそ残したが2年連続でシーズン終盤は極度の不振に陥り「Vやねん!2021」の戦犯の一人*16にされてしまった。しかし、これについてはボール変更後のKBO経由だったのが良かったとかサンズ自身の資質によるものなど意見は別れている。2021年はやはり韓国で活躍したメル・ロハスJr.が阪神に、ロマックの前にKBOで活躍したエリック・テームズが巨人に入団している。

ロマックとロメクは別人

「ロメク」は2017年、低打率ながら長距離砲として活躍。2018年は一時六冠王になるほどの活躍を見せ、最終的に本塁打王こそ逃したが打率.316,本塁打43本,打点107,OPS1.001という成績を残し、KBO通算3万号本塁打、SK史上初の2年連続30本塁打まで達成している。
SK外国人の40本塁打、100打点はNPBでも活躍したホセ・フェルナンデス以来であった。
しかし「ロメク」が活躍するほど「ロマック」の成績が際立ち、またKBOのレベルに疑問を抱く声が大きくなってしまっている。さらにMLBでも数字を残したロサリオがNPBで様々な理由を差し引いても悲惨な成績で終わってしまったことも、韓国の野球ファンに衝撃を与えた。
そして、ロメクはKBO移籍後しばらく経ってから韓国メディアからのインタビューで「NPBの助っ人と日本人選手は水と油のようだった」と暗にDeNAを批判。
しかし当時のDeNAの監督は助っ人外国人出身のラミレスで、前述のように低打率が続く中85打席も与えていたなどかなり優遇していた。
その「ロマック」が自らの低成績を棚上げし、NPB全体に飛び火するような批判をしたことはなんJ民から総スカンを食らい、ダメ外人認定された。

関連項目


*1 ただしキャンプで拙守を連発し公式戦では一度も三塁手として出場せず右翼手として出場している。この誤算から空席となった三塁手の座を勝ち取ったのがプニキこと宮崎敏郎。宮崎覚醒への道筋を作ったため、ロマック獲得は結果オーライとされる。
*2 このため阪神は「マートンの再来」を狙いマット・ヘイグを獲得した。開幕三連戦でこそ活躍したものの以降は攻守に「コンラッドの再来」と化し4月下旬で見切られた。成績は30試合出場で打率.231・2本塁打・11打点・4失策。
*3 東京ドームで看板直撃、マツダスタジアムの最上段に放り込む、横浜スタジアムであわや場外の本塁打を連発するなど。
*4 「外に逃げるスライダー」の略。逆のスライダーは「インスラ」と呼ばれる。
*5 なお、実際は外スラ以外にも「外に大きく逃げる球」または「外角の落ちる球」全般に弱かった。
*6 MLB在籍時のポジションは捕手。ただメジャー時代から捕球能力に難があったらしく、2012年から3年連続でリーグ最多捕逸を記録している。
*7 最終的にはエラーのみリーグ最多の9個を記録。
*8 昇格直後に横浜で2試合で3本塁打を放ったが、その後は殆ど長打が出なかった。ただ、6月頭の一度目の登録抹消時点では打率が.230を切る辺りまで落ち込んでおり、これでも再昇格後は少々持ち直した方ではあった。
*9 ロマックが30試合85打席、ロサリオが75試合302打席。
*10 なお、「(外スラを)振る/振らない」ことは「ロサる/ロサらない」という表現が使われるようになった模様。
*11 ヤンハービス・ソラーテ(元阪神)に関しては的中したが、アメリカで外スラくるくるだという前評判だったタイラー・オースティン(DeNA)はそれを覆して本塁打を量産したりしている。当然ながら外スラ対応のみで助っ人の力量を測ることはできないので注意。
*12 近年では両方で活躍したと言える助っ人野手が李大浩(元オリックス→ソフトバンク)や後述のサンズくらいしかいない。
*13 最終盤では佐藤輝明・サンズ・大山悠輔・マルテが全員冷温停止しており近本光司糸原健斗木浪聖也が中軸に座る惨状だったため。
*14 巨人ファンからの信頼度は高くなくウンチェス」呼ばわりされていた。
*15 表題「国内では3割、WBCでは三振 『井の中のK』に捕らわれた韓国野球」
*16 ただし、2021年も前半戦は普通に打っており秋口に純粋に弱いだけと見られている。