ロマック算

Last-modified: 2021-01-08 (金) 10:27:10

ジェイミー・ロマック(元DeNA)の成績を元にした、KBO出身野手のNPBにおける成績予測方法のこと。


ジェイミー・ロマック(DeNA時代)

2015年オフ、DeNAベイスターズは三塁手補強のために阪神との競合を制し*1ロマックを獲得。ラミレス監督も「5番・三塁で20本塁打」を期待するなど主軸としての働きを求められていた。

しかしいざシーズンが始まると打率は0割台を爆走。我慢強くスタメンを固定する傾向があり、また選手批判を極力しなかったアレックス・ラミレスにさえ「我慢の限界」と言わしめ、5月に梶谷隆幸の復帰に伴い入れ替わりで二軍落ち。その後もたまに一軍に上がっては三振してまた抹消…という状況が続き、最終的に.113(71-8) 0本 2打点という驚異的な打撃成績を叩き出してシーズンを終了。

当然のように解雇されたロマックはアメリカに舞い戻り、オフにはWBCカナダ代表として出場。8打数5三振・打率.125と相変わらずであり、NPB時代の打率が公式中継で何度も晒されてしまった。

ジェイミー・ロメク(KBO時代)

WBC終了後、パドレス傘下AAAエル・パソ・チワワズに所属。するとNPB時代とは別人かと思うほど打ちまくり、4月の月間MVPを獲得。その後韓国・SKワイバーンズが獲得を決定し、5月7日付の契約で、登録名は「ロメク」となった。

7月に一時的に二軍落ちしたこと以外は順調で、打率.242、31本、64点、OPS.898という好成績でシーズン終了。最終的にKBOのシーズン途中加入外国人選手の最多本塁打記録を更新、KBOのアダム・ダンとして信頼を勝ち取り無事来季の契約を結んだ。

ロマック算

打率 .113→打率 .242(+.129)

本塁打 0本→ 31本(+31本)

OPS .374→OPS .898(+.524)

ロマックがNPBからKBOに移籍したことでこのように成績が増加したことから、
「逆にKBOの野手がNPBに移籍してきたらロマックの増加分がそのまま減少するのでは?」という予想が立てられるようになる。
それを図らずも証明してしまったのがウィリン・ロサリオであった。

ウィリン・ロサリオ(阪神時代)

2017年にKBOのハンファで打率.339、出塁率.414、37本塁打、111打点、OPS1.075と素晴らしい成績を残したウィリン・ロサリオはオフに阪神と契約を結んだ。マット・マートンマウロ・ゴメスが去った後の助っ人野手たちのあまりな外れっぷりに辟易していた阪神ファンの大多数からゴメスどころかバースやセシル・フィルダー以来の外国人大砲として期待され、在阪マスコミ、在阪解説者に加え、他の地域の解説者にも活躍の太鼓判が押されていた。
年明けの春季キャンプではそのパワーを遺憾なく発揮し、ケビン・メンチばりの見出しを次々打たれるなど、「今度こそバースの再来か」と騒がれた。
一方、「KBOで活躍し入団」という点から「ロマックの再来」を危惧するなんJ民やファンも多くいた。

この時点で、ロマックの前例から

打率 .210(-.129)

本塁打 6本(-31本)

OPS .551(-.524)

がNPBにおけるロサリオの成績では?という乱暴すぎる試算が弾き出されていた。

オープン戦では13試合、43打席で本塁打1、打率.143、11三振と不安の残る成績であり「メンチの再来」も危惧されながら、開幕を4番で迎えることとなった。

しかしいざシーズンが始まると、パワーこそ申し分のない「本物*2なのだが徐々に弱点が露呈し、特にその中の一つが「外スラ*3に異常に弱い」というもので、さらに真ん中の速くて力のあるストレートにも弱いことも相まって当然の如く突かれまくり三振ゲッツーを量産した。おまけに一塁守備も酷く*4一時期は、三振王・最多併殺・最多エラーの裏三冠を突っ走った*5。あまりの惨状から5月には4番を剥奪され、6月の頭に登録抹消、7月に再度登録。首脳陣は「気温が上がれば打ち出す」と夏場の活躍に期待していたが、増えるのは本塁打ではなく三振ばかり*6。結局8月27日に再度登録抹消される。その後、阪神に故障者が続発して地獄と化したにも関わらず一軍にお呼びがかからなかった。オフには外国人市場の不作ゆえに残留の話も生じたが、ジェフリー・マルテの獲得に目処が立った10月末でリリースされた。

結局、一軍での最終成績は打率.242(281-68)、8本塁打、40打点、OPS.658と出場試合数*7を考慮しても予想と大差ない数値に収束。
あまりに雑な発想からのリアル感のある計算結果に、KBO産野手の見極め方として定着してしまった。

また、ファンには

  • 翌年以降の新外国人に対する要望が「成績・人格・外スラ我慢」になる*8
    • しかも阪神ファンのみならず他球団のファンまでこうなる
  • 有志により「新外国人○○外スラ(我慢/対応)集」が作られ、その映像次第では期待度がガタ落ちする*9
  • 新外国人が来日後に前評判を覆して外スラを我慢するとあかん優勝してまう状態になる

などの影響を与えた。

その他にも、李炳圭(元中日)や金泰均ヤマイコ・ナバーロ(ともに元ロッテ)といった、韓国では大活躍したがNPBではアレだった助っ人外国人選手*10は多い。

なぜロマック算が成り立つのか

下記の画像の通り2018年までのKBOのストライクゾーンは上下が狭く左右に広い特殊な傾向が強く、総合的には他リーグと比較すると狭い。また投手面でもトップクラスとそれ以外の実力の乖離が激しく、いわゆる「打高」の傾向が極めて強いリーグとなっている*11

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※画像出典:中央日報「국내선 3할, WBC선 삼진 … ‘우물 안 K존’에 갇힌 한국 야구*12

また韓国も2014年頃からKBOのレベル低下が問題になりだしており、韓国のニュースサイトOSENを中心とするユーザーコメントでは「(T・ウッズ(元斗山→横浜→中日)らが活躍した頃と違い)もはやKBOの選手はMLBどころかNPBでも通用しない」といった意見が見られ、KBO自体への批判に繋がっている。
なお打高環境はKBOでも問題視されたようで、2019年シーズンからボールが変更され、リーグ本塁打数が激減した。

そしてボール変更後の2019年のKBOで活躍し、2020年に阪神入りしたジェリー・サンズは阪神ファンの懸念をよそにある程度の数字を残した。しかし、これについてはボール変更後のKBO経由だったのが良かったとかサンズ自身の資質によるものなど意見は別れている。

ロマックとロメクは別人

「ロメク」は2017年、低打率ながら長距離砲として活躍。2018年は一時六冠王になるほどの活躍を見せ、最終的に本塁打王こそ逃したが打率.316,本塁打43本,打点107,OPS1.001という成績を残し、KBO通算3万号本塁打、SKワイバーンズ史上初の2年連続30本塁打まで達成している。
SK外国人の40本塁打、100打点はNPBでも活躍したホセ・フェルナンデス以来であり、SKファンからの異名は奇しくも「マッカーサー将軍」である(SKの本拠地が仁川上陸作戦のあった仁川のため)。

しかし「ロメク」が活躍するほど「ロマック」の成績が際立ち、またKBOのレベルに疑問を抱く声が大きくなってしまっている。さらにMLBでも数字を残したロサリオがNPBで様々な理由を差し引いても悲惨な成績で終わってしまったことも、韓国の野球ファンに衝撃を与えた。

関連項目


*1 このため阪神は「マートンの再来」を狙いマット・ヘイグを獲得した。開幕三連戦でこそ活躍したものの以降は攻守に「コンラッドの再来」と化し4月下旬で見切られた。成績は30試合出場で打率.231 2本塁打 11打点 4失策。
*2 東京ドームの看板に当てる、マツダスタジアムの最上段に放りこむ、横浜スタジアムであわや場外の本塁打を連発するなど。
*3 「外に逃げるスライダー」の略。逆のスライダーは「インスラ」と呼ばれる。
*4 元々メジャーで捕手をしていた時代から捕球能力に難があったらしく、2012~2014の3年連続でリーグ最多捕逸を記録している。
*5 最終的にはエラーのみリーグ最多の9個を記録。
*6 昇格直後に横浜で2試合で3本塁打を放ったが、その後は殆ど長打が出なかった。ただ、6月頭の一度目の登録抹消時点では打率が.230を切る辺りまで落ち込んでおり、これでも再昇格後は少々持ち直した方ではあった。
*7 ロマックが30試合85打席、ロサリオが75試合302打席。
*8 なお、「(外スラを)振る/振らない」ことは「ロサる/ロサらない」という表現が使われるようになった模様。
*9 ヤンハービス・ソラーテ(元阪神)に関しては的中したが、アメリカで外スラくるくるだという前評判だったタイラー・オースティン(DeNA)はそれを覆して本塁打を量産したりしている。当然ながら外スラ対応のみで助っ人の力量を測ることはできないので注意。
*10 近年では両方で活躍したと言える助っ人野手が李大浩(元オリックス→ソフトバンク)や後述のジェリー・サンズ(阪神)くらいしかいない。
*11 こうなると逆に「KBOで無双した投手はNPBでも無双できるのか」という話にもなるが、近年KBOで実績を残しNPBに移籍してきた投手の中ではリック・バンデンハーク(ソフトバンク・2014年KBO最優秀防御率/最多奪三振)などは日本でも通用したもののクリス・セドン(巨人・2013年KBO最多勝)・アンディ・バンヘッケン(西武・2014~15年KBO最多勝)などは期待外れと言える成績に終わっており、活躍するかしないかは両極端ともいえる。2020年に巨人は前年KBOで17勝を挙げたエンジェル・サンチェスを獲得。しかし、最終的に8勝を挙げたものの好調時と不調時の差があまりにも大きくファンからは信頼度が高くなくウンチェス」呼ばわりされていた。
*12 表題「国内では3割、WBCでは三振 『井の中のK』に捕らわれた韓国野球」