トゥーロン級巡洋艦 トゥーロン(1926年17,500t小型戦艦計画案A)


効果:HP+4%、主砲射程+4%、最大主砲砲弾散布界-4%、魚雷防御+6%、EXPアップ+35%、シルバーアップ+35%
Ver.7.0で小口径対空値が152から184に増加。
Ver.8.3で主砲装填時間が18秒から14秒に短縮、副砲装填時間が9秒から8.1秒に短縮
性能諸元
基本性能
※アップグレード済み、装備、迷彩、エリートなし
| 国 | フランス | |
|---|---|---|
| 艦種 | 巡洋艦 | |
| Tier | 7 | |
| 生存性 | 継戦能力 | 34270 |
| 抗堪性 | ・防郭防御10% ・火災浸水耐性10% ・装甲防御10.50% ・魚雷防御10.50% | |
| 主砲射程 | 12.23km | |
| 副砲射程 | 5.74km | |
| 自動副砲射程 | 4.05km | |
| 機動性 | 最大速力 | 29.45ノット[kt] |
| 最大出力への到着時間 | 15.20秒 | |
| 転舵速度 | 7.10度/秒 | |
| 転舵所要時間 | 10.80秒 | |
| 隠蔽性 | 9.30km | |
・兵装
| 主兵装 | 口径,搭載基数×門数 | 装填時間 | ダメージ(火災率)(防郭率) | 砲塔旋回速度 |
|---|---|---|---|---|
| 305mm L/45,Mle 1930 2基×4門 | 14秒 | HE弾 851(11%) AP弾 1150(250%) | 6度/秒 |
| 副兵装 | 口径,搭載基数×門数(片舷指向可能門数) | 装填時間 | ダメージ(火災率) | 砲塔旋回速度 |
|---|---|---|---|---|
| 155mm L/50,Mle 1927 2基×3門(6門) | 8.1秒 | HE弾 460(3%) | 12度/秒 |
| 自動副兵装 | 口径,搭載基数×門数(片舷指向可能門数) | 装填時間 | ダメージ(火災率) |
|---|---|---|---|
| 100mm L/45,Mle 1931 6基×2門(6門) | 6秒 | HE弾 207(1%) |
| 対空砲 | 種類 | ダメージ | 射程 |
|---|---|---|---|
| 大口径 小口径 | 124 193 | 3.60km 1.50km |
・艦艇スキル
| 種類 | 効果 | 持続時間 | クールタイム | 使用可能回数 |
|---|---|---|---|---|
| エンジンブーストⅡ | 最大航行速度+12% | 25秒間 | 60秒 | 3回 |
| 高速装填Ⅱ | 主砲装填速度+30% | 20秒間 | 75秒 | 3回 |
| 対空警戒Ⅰ | 大口径対空砲ダメージ+75% 小口径対空砲ダメージ++75% | 30秒間 | 75秒 | 2回 |
ゲーム内説明
「排水量17,500トンの戦艦」の計画案であり、実質的には超重巡洋艦である。本艦の主要な目的は条約型巡洋艦に対抗することだった。
解説
2022年11月2日のver5.5パッチノートにて実装の告知がなされ、その後性能が公開されて以降全く実装される気配がなく、永遠のs∞n艦になるのかとも噂されたが、8ヶ月後のver6.3のパッチノートにて情報が解禁され、7月14日の13時に突如ブリッツ分艦隊とともに箱で実装された。TierⅦでは唯一の大型巡洋艦となる。
・主砲
45口径305mm4連装砲を2基8門搭載。砲配置はダンケルク級原案である「シェルブール」同様に前方集中配置。この砲は同ティア帯に大型巡洋艦が存在せず、比較が難しい事からティア8の「シェルブール」砲と比較を行うと砲弾ダメージはAP弾・HE弾共に単発火力に劣る。しかし砲旋回やHE弾発火率は「シェルブール」砲と同じで射程も約0.5kmしか違わない。よって見方によってはティア8準拠の大口径砲をこのティア帯で振るう事ができるという事でもある。そしてこの優遇のせいでかつては装填が非常に遅く、何と素で17秒も要していたのだが仏大巡ツリーのバフによって素で14秒に短縮された。一見すると巡洋艦の砲で装填14秒?遅くないかと感じる向きもあるだろう。しかしよく考えて欲しい…低ティア戦艦砲だと同じような口径で装填時間は大体20秒超えである。ところが本艦は同じような口径を素で14秒*1で扱えるのだから、相対するティア6巡洋艦などから見ると悪夢と言えるだろう。またここぞというタイミングにおいては艦艇スキルの「高速装填Ⅱ」を使用して装填速度に拍車を掛ける事も可能。良くも悪くも仏大巡ツリーの特徴を受け継いでいる砲と言える。
バフ前の17秒では筆者の記憶が正しければ艦長スキル無しだと高速装填中に2斉射が限界であった、だが今の14秒では艦長スキル無しでも割と余裕を持って3斉射が可能なのである、有識者からの情報提供によると、高級船員食糧、エリート砲術員、主砲改良Ⅱを選択した場合のスキル使用時の装填時間は8.28秒、「熟練装填手+」でスキルの持続時間が26.6秒になるので3回斉射できるとのこと、また筆者の知能とやる気が足りないため細かい計算ができないので証拠が無いが、レジェンド艦長スキルと装填特化で装填スキル中に4斉射ができるとのこと、ただ判定がシビアらしいのでゲームシステム的にギリッギリなのかもしれない、おそらく日向の3斉射の難易度に近いものだと思う。
上記について計算を行ってみよう。まず理論上4斉射が可能なのかだが、エリート特性を「エリート砲術員」とし消耗品も搭載し「主砲改良Ⅱ」も選択した場合、基本的な装填時間は約12.46秒(14*0.89=12.46)。スキル使用で3割増し中の装填は約8.722秒(12.46*0.7=8.722)となり、逡巡なく3斉射したと仮定した場合必要な時間は約26.166秒。「熟練装填手+」の効果を加味したスキルの効果時間は26.6秒(20*1.33=26.6)あるので猶予時間は約0.434秒(26.6-26.166=0.434)。
つまり装填完了直前の0.4秒以内にスキルを発動させ即時装填された砲を斉射、その後は逡巡なく3斉射ができれば理論上はギリギリ行ける計算となる。確かに計算上は可能なのかもしれないが、本ゲームの装填時間のタイマーは1秒単位なので0.4秒以下のタイミングで発動させるという第1条件が厳しすぎる。更にほんの少しの逡巡も許されないので試合中に実現させるのは現実的とは言えないだろう。
・副砲
手動の副砲は155mm砲を3連装砲塔に収めて艦後部に主砲のような一直線配置で2基9門搭載。ボロジノのような後方2基のみの配置といった方が通りが良いだろうか。この砲は砲配置故に射角に優れ砲旋回も12度/秒と速く指向性は悪くない。一応単発火力がそこそこあって砲数もあるので運が良ければ瀕死の駆逐艦ぐらいは撃沈できるかもしれない。しかし肝心の射程が6㎞未満で装填時間も遅いため実質的な射撃機会は少ないだろう。主砲が本体の本艦の副砲という時点で色々察してやって欲しい。
・自動副砲
本艦は巡洋艦なのに自動副砲を装備している。自動副砲は口径が小さい100mm砲だが、連装の砲室に収まり片舷辺り3基6門が艦橋脇に一直線に並んでいる。見た目が可愛いが性能もそれなりで射程が極端に短く約4kmしかない。その上で精度も悪く、実質的な火力としては考えない方が良いだろう。このようにお飾り同然ではあるのだが、死角から忍び寄る駆逐艦に反応してくれるケースも極まれに存在するので無いよりはマシだろう。
・対空
素の対空値は平均以下に過ぎない。一応本艦は艦艇スキルの「対空警戒Ⅰ」を艤装しており、スキル使用により平均以上の対空となる。しかしそれでも自衛の真似事をしているといった水準であり、間違っても対空戦闘ができるなどと過信しない方が良い。このティア帯においては高対空艦といえど攻撃前の敵機を落とすのは困難なのだ。
・装甲
小ネタにもある通り、本艦の装甲は対重巡のための8インチ砲に対抗する程度に過ぎない。大型巡洋艦らしい部分は舷側装甲の厚さ160mmという部分に現れているが、これはツリー艦の「アルジェリー(152mm)」や「ザラ(150mm)」らをようやく上回る程度。甲板は30mmに艦首・艦尾の16mmは同格の普通の巡洋艦と比較しても特段優れているとは言い難い。一応、数値の上では装甲防御に優れるが、巡洋艦の装甲でダメージ軽減を期待するのは酷であり、間違っても戦艦砲を搭載する相手に側面を向けてはいけない。耐性等に関しては特筆すべきものは無い。
・機動性
素の最高速度は29ノット台と巡洋艦として観るとイマイチである。消耗品の搭載で一応30ノットを超えるが、同格には30ノットを余裕で超える艦も多く速度面についてはやはり一歩劣って居ると言わざるを得ない。このため陣地転換等の際には「エンジンブーストⅡ」を使用して速度を補ってあげたい。加速力については数値の上では重巡並みであり、大巡としては優秀。しかし実際はその船体故に相応の鈍さを感じるので後退もしくは停止状態からの加速時の隙には十分注意したい。舵の効きも数値の上では重巡並みであり、速度に乗って居れば巡洋戦艦と同程度の機動力を発揮する事も可能。しかし例によって速度が乗っていない時の機動力は相応の鈍さを感じさせられる。纏めると「シェルブール」よりは若干悪化しているものの、動いている内は良好。但し停まってしまった場合の隙は自己責任で何とかしよう。
・隠蔽性
素の被発見距離は9.3km。これは同格巡洋艦と比較すると悪い値だが、大巡としてみれば普通程度。戦艦としてみれば良好な値である。
・生存性
素のHPは34000台と何とティア5戦艦並みの体力を誇る。ただし、このHPは戦艦相当のものではなく大型巡洋艦相当の水物であり過信は禁物。本艦の防御力が頼りにならない事は装甲の項で説明した通り。さらに本艦は縦艦ではあっても船体が中央に近づくに従って丸みを帯びる「アンコ型」の体形により艦中央部の被弾面積が大きく、甲板の薄さもあって艦を立てていても意外と体力を削られ易い。また側面から観た場合の乾舷の高さやシルエットの大きさもまた生存しにくさに拍車をかけている。このため本艦が生き残れるかは試合中の立ち位置と砲で敵を後退させられるか否かに依存しており、生存性は乗り手に完全依存と言えるだろう。
・消耗品
「改良型ディーゼルエンジン」「高級船員食糧」「予備整備パック」の戦艦基本セットを推奨。
・艦艇スキル/艦長スキル
艦艇スキルは「エンジンブーストⅡ」を3回と「高速装填Ⅱ」を3回、そして「対空警戒Ⅰ」を2回だけ使用可能。また艦艇の特技として自動副砲を搭載している。
・装備
・兵装 「主砲改良Ⅰ」「主砲改良Ⅱ」
・防御 「推力改良Ⅰ」「操舵装置改良Ⅰ」
・適正 「操舵装置改良Ⅱ」「推力改良Ⅱ」
※兵装は「主砲改良Ⅰ」を選択すると全速転舵に主砲が追従するようになる。また「主砲改良Ⅱ」を選択して装填を速くした場合、主砲が壊れる可能性が高くなる。
この対策としては適正で「兵装改良Ⅰ」を選択する事で「主砲改良Ⅱ」の主砲生存性-25%と「兵装改良Ⅰ」の主砲生存性+25%を相殺(プラスマイナスゼロ)させ、主砲が壊れやすくなるというリスクそのものを軽減させる方法がある。適正枠を1つ潰すことに抵抗が無いのであれば、この方法で対策したい。
また壊れても直るまで待てばいいや派の艦長であれば、通常艦長でも良いので艦長スキルのLV2で「兵装修理専門家(主砲修理時間‐33%)」を取得したうえで防御枠で「兵装改良Ⅱ(主砲修理時間‐50%)」を選択、併せ技で修理時間を8割以上短縮する高速修理ビルドとする方法もある(ネタビルドになるがフィリップ・オーボワノ艦長の持つ「兵装修理専門家+(主砲修理時間‐45%)」でこれをやると修理時間が冗談のような爆速修理ビルドになるが、この組み合わせであっても主砲が破損した際はこれまで進んでいた装填時間がリセットされてしまうので、壊れる度に装填待ちが発生してしまう事は避けられない点に注意して欲しい。)。
とはいえ装備枠を1つも潰したくない艦長や、修理が基本的に嫌な艦長だと「主砲改良Ⅱ」を選択しないのがベストだろう。なお現在の14秒装填環境であればエリート特性を「エリート砲術員」とし消耗品の「高級船員食糧」さえ載せてあれば、約1.6秒の猶予時間があるので装填タイマーが「1秒」のタイミングで高速装填スキルを発動させれば、艦長無しの艦であっても素の20秒の効果時間内に何とか3斉射が可能だからだ(トレモにて確認済)。但しタイミングがややシビアなのと猶予も殆ど無いので試合中に確実に3斉射させたい艦長は素直に艦長を乗せたうえでLV10で「熟練装填手(スキル「高速装填」の持続時間+25%)」を取得、効果時間を25秒に引き上げる事を検討して欲しい。
・エリート特性
・水雷防御装置 魚雷防御+10%
・エリート砲術員 主砲装填速度-3%、主砲旋回速度+7%
・功績 EXPアップ+10%
※本艦は強力な主砲が特徴の船なので基本は「エリート砲術員」を推奨。
・総論
ツリー大巡の要素を色濃く受け継いだティアⅦ初の大巡である。性能的にはツリー艦の「シェルブール」をティア相当に調整した艦であり、既にツリー大巡ルートを進めている艦長からするとコレクション用途以外にはあまり魅力は無い。しかし持っていればティアⅥ戦場にも持ち込める「手軽に乗れる練習艦」として重宝するし、艦長育成・再訓練用の艦艇としても役に立つ。よってツリー大巡ルートに興味を持っている艦長には無条件にお勧めできる艦と言えるのだが、残念ながら技術ツリーの上のスペースにもショップにも常設では置いていない。
戦闘名誉章
| レベル | 1 | 2 |
|---|---|---|
| 報酬 | アルティメットシルバーブースター×2 アルティメットEXPスーパーブースター×2 シルバー200k | スティール×2 |
| ミッション内容 | 1戦プレイ | 一戦中に巡洋艦2隻撃沈 |
史実
本艦は計画のみの艦艇であり、史実においては建造に至っていない。
小ネタ
本艦の艦名はフランス南東部に存在し、地中海に面する港湾都市「トゥーロン」に因んでいる。地図上においてはフランスの地中海に面した海岸線のうち突出部の先端に位置するため、近隣のコルシカ島やサルディーニャ島を経由して対岸のチェニスやイタリアのシチリア島にアクセスし易く、古くから商港として知られていた。またフランス最大の港湾都市であり重要な海軍基地を擁するマルセイユにもほど近く、立地も良いためフランス海軍にとっては王政時代から現代に至るまで海軍にとって欠かせぬ拠点となっている。
歴史の舞台にも何度か登場しており、有名なところでは「スペイン継承戦争」においてイギリス・オランダの連合艦隊から攻撃を受けるも最終的に持ちこたえた「トゥーロン包囲戦(1707年7月29~8月21日)」および「フランス革命」時に反革命派が立て籠もったものの共和国軍に包囲された「トゥーロン攻囲戦(1793年9月18~12月18日)」があり、後者はナポレオンが一躍有名になった戦い*2として知られている。反面、不名誉な事件としても名が残っており、第2次世界大戦中の1942年に発生した「トゥーロン港フランス艦隊自沈事件」は特に有名である。
その名を誰もが聞いたことがあるであろう「ナポレオン」は、わずか10年で貧乏な軍人からフランス皇帝にまでのし上がり、その後わずか10年で大西洋の孤島に幽閉されるというドラマチックな人生を送った事で有名。このためフランス国内においては「彼の登場が歴史上稀に見る影響を与えた」という点について異論を述べるものは居ないだろう。ところがフランス国外に目を転じても、欧州各国は彼の対外政策に翻弄されっぱなしであった事から、実は「彼の登場とその存在は周辺国の歴史においても、史上稀に見る影響を与えた」と言える。何せ西洋史においてはナポレオンが世に出て、セントヘレナ島で死亡するまでの時期を「ナポレオン時代」と呼ぶ。西洋史のみならず世界史を紐解いても「一つの時代に個人の名が冠される」という栄誉を得たのは唯一、ナポレオンのみである事を考えるとその影響の大きさを理解できるだろう。
後世の歴史を知る我々からすると、フランスにおける希代の英雄である「ナポレオン」だが…実は彼の出生とその背景は少々複雑であり、とてもフランスの正統とは言い難い。何故なら彼の父親はコルシカ島における対仏独立運動に関わっていたものの途中で親仏派に鞍替えした人物であり、この鞍替えによるコネクションを利用する事でナポレオンは陸軍幼年学校に進学できたのだ。ところがこの陸軍幼年学校は元来裕福な貴族の子弟が多く集まる学校であり、成績優秀ではあったもののコルシカ島なまりが抜けない平民上がりの彼にとって居心地の良い場所ではなかった。当然裕福な貴族の子弟達とは仲が悪く、殆ど友達も造らずに学業に専念する。その結果、15歳でパリの陸軍士官学校に入校、通常であれば4年程度の在籍期間を必要とするカリキュラムを僅か1年で終了。ここで学んだ専門課程の「砲兵」としての基礎は彼の後の運命を後押しする事になる。
16歳で砲兵士官として入隊、20歳の時に「フランス革命」が発生するも、フランス本土生まれではない彼は革命とは距離を置いていた。ところが23歳の時に故郷のコルシカ島の対仏独立派と家族(親仏派に鞍替えした父親はこの時既に死亡)の対立が表面化、家族は生まれ故郷であるコルシカ島を追われてしまいフランス本土のマルセイユに逃れる。この頃から今後はフランス人として生きて行く覚悟を決めた様で、革命政府の有力者であるロベスピエールの弟であるオーギュスタンに接近、軍内部での旗色を明確にした事から王党派の蜂起に対する対処を行っていたカルト―将軍率いる「南方軍」に配属され、やがて自身の運命の地である「トゥーロン攻囲戦」に参加する事になる。
この当時のトゥーロンは反革命派である王党派がその実権を握っており、王党派軍は本来ライバルである筈の周辺国にも支援を訴えた事からイギリスやスペイン(含むナポリ王国)の連合艦隊が入港。王党派軍と諸外国連合艦隊が港とそれを囲む市街地を確保、その周囲を遠巻きに革命推進派である共和国軍が包囲するという具合であった。一見すると包囲網が完結しており、王党派の軍は直ぐに降伏するかに見えたのだが…革命に伴う混乱で実戦経験を持つ貴族の子弟出身の軍人の多くが追放済であり、共和国軍内部には軍事的な知識を持つ指揮官が不在であった事から共和国軍は単調で無謀な攻撃を繰り返すばかりであった。
ナポレオンはトゥーロンに着任して直ぐに共和国軍の攻め方ではいたずらに被害を大きくするばかりである事に気付き、新たな作戦を立案。今までどおり港の北側から市街地を経由して港に直接進軍しようとするのではなく、現在誰も注目していない港の南側にある丘を占拠している王党派軍を排除、そこに砲台を設置して「湾内の諸外国連合艦隊の艦艇」と「港にある敵が籠る砦」の両方を砲撃するというものであった。ところが画家出身で軍事的知識の薄いカルト―将軍はこの作戦の先進性に全く気が付かず、乗り気では無かったため実際に極わずかな支援しか行わず9月22日に行われた丘の占拠作戦は失敗。それどころか諸外国連合はこの丘の重要性に改めて気が付き、丘の頂上を要塞化してしまった。結局、上級指揮官の無理解や無能さに起因する攻撃の失敗はこの後も続き、カルト―将軍は更迭。後任の医師出身のドッペ将軍が辞任し、たたき上げの軍人であるデュゴミエ将軍が赴任するまで続いた。
デュゴミエ将軍は着任して直ぐにナポレオンの立てた作戦の優秀さに気付き、ナポレオンに丘を奪取する事を命じる。ナポレオンは丘が要塞化された事を知ると奇襲による奪取は諦め、砲兵の知識を活かして「丘を砲撃できる位置」に砲台を築き、砲撃を始める。途中で砲台がイギリス軍に奪取されそうになるも、ナポレオンは反撃の先頭に立ちそれを阻止。この時にイギリス海軍の司令官オハラ将軍が負傷して捕虜になった事から、諸外国連合の足並みが乱れ始める。オハラ将軍を捕虜にして士気が上がった「南方軍」は同日12月16日の夜のうちに丘に対して一斉攻撃を実行。戦闘は一晩中続いたが早朝には丘を奪取する事に成功、ナポレオンは大砲を据えて敵を直接砲撃できる準備を整えるも、諸外国連合艦隊はそれ以上戦うことなくその日のうちに脱出を始めた。王党派の軍隊は武装解除および降服に応じたものの、12月19日にトゥーロン入りした「ポール・バラス」達による血生臭い報復により多くが虐殺されたとされている。なおナポレオンは負傷による治療を受けて居たため、この虐殺を目にしては居ないが…虐殺の報をどのように捉えたのであろうか。なお12月22日、彼は攻囲戦に勝利した功績により、大佐から一気に砲兵隊司令官に昇進している。
上記でナポレオンの話題が出た事から、ナポレオンとその時代に関する文学作品についても触れておきたい。よって、ここから先は完全に余談になってしまうがフランス・ロマン主義の作家である「ヴィクトル=マリー・ユーゴー」の大河小説「レ・ミゼラブル」においては主人公ジャン・ヴァルジャンは長らくトゥーロン刑務所に収監されていた事になっている。この刑務所を出た主人公がミリエル司教と出会い、彼の恩に仇で報いたにも関わらず路銀として燭台まで与えた司教の寛大さに心打たれ、改心するところから物語が動き始める。なお物語上の時間軸はナポレオン没落後の1815年から約18年間となっているが、随所に回想としてフランス革命期や第1帝政時代・百日天下・七月革命等が挿入されており、語られる時代は割と頻繁に前後するも、その当時の社会情勢や混乱の状況等を詳しく知る事ができる*3。ユーゴー自体が当初ナポレオンを疎んじていたものの、研究の末にナポレオンを尊敬するに至ったという事もあり*4、ナポレオンが世に出る切っ掛けとなった「トゥーロン」の地において主人公ジャン・ヴァルジャンが人生の転期を迎え、彼のその後の人生が大きく変わっていくという構成にも納得がゆくのではなかろうか。
更なる余談になってしまうが、世の中には「知識の関係線」と呼ばれるものがある。概略を説明すると以下の様になる。
1.一つの知識を「点」と捉え、2つの知識を繋げるとそれが「線」となる。
2.線を3本繋げるとそれは「面」となり、ある方向からその「面」の範囲内の物事を眺められるようになる。
3.知識の数を増やし、それぞれに繋がる線を増やす事で平面は立体になり、時間や空間そして視点を切り替えて多角的に物事を観る事ができる様になる。
→これを成し遂げるのが「知」であり、その始まりは1.における「線」の意識である。
これは本項目の筆者が学生時代に恩師から言われた言葉であり、この言葉を聞いて感動した筆者は仕事であっても生活においても知識を蓄える事とそれを繋ぐ線を大切にしてきた。この流れを汲んだうえで本ゲームのwikiにおいても「折角ゲームで艦艇に触れるのだから、その周辺知識と関係線を増やす」事でより良い「知」に近づいて欲しいと考え、史実や小ネタを記載してきた。
ところが、人によってはそれを不愉快に感じる人も居る様である。別にその人が「知識の関係線」を否定している訳ではないのだろうが、基本的な考え方を否定されたようで大きな衝撃を受けたものである*5。普段から試合の役には立たない「史実」や「小ネタ」を読んで頂いている読者諸兄は如何にお考えであろうか…。
1940年6月のフランス降伏以降は枢軸国側に付いていたヴィシー政権であったが、1942年に入ると風向きが変わってきた事からあからさまに枢軸国に対する態度を硬化させた。特に顕著であったのが42年11月に連合国軍がアフリカに上陸してからであり、ヴィシー政権下のアフリカ在住フランス軍は上陸した連合国軍に対して「殆ど抵抗することなく降伏した」事から、ドイツ軍はこの行為を枢軸国側に対する裏切りと見做す。ドイツ軍はアフリカ在住フランス軍のみならず、アフリカ以外のヴィシー政権フランス軍もまた危険と判断。降伏して艦艇を勝手に引き渡される前に接収してしまえ、とフランス海軍艦艇に対して武力接収用の艦隊を派遣。ところがすぐ近くまで迫ったドイツ軍の目前で戦艦3隻、巡洋艦7隻を含むフランス海軍の艦艇が殆ど自沈したという事件である。
これはフランス海軍サイドから観るとドイツ側が「ヴィシー政権下においても艦隊の存続を許す」という約束をしたにも関わらず、それを目の前で反故にされたからという理由ではあるのだが…その原因はアフリカ在住フランス軍のヘタレな態度にあるので、ドイツ軍が危機感を感じても仕方が無かったとも言われている。
イタリア海軍「各国海軍に先駆けて203mm砲を搭載した条約ギリギリの高性能艦を造るぞ」
→「トレント級」として完成。
フランス海軍「対トレント級としてより大きな305mm砲を8門搭載、速度は35ノット出せつつ、耐203mmの装甲を持った大型巡洋戦艦を造るぞ」
→「トゥーロン」として計画。
ドイツ海軍「戦艦の代艦として建造すれば1万トン以下で280mm砲までの砲を搭載できるな、よしヴェルサイユ条約ギリギリの高性能艦を造るぞ」
→「ドイッチュラント級装甲艦」として完成。
フランス海軍がモタモタしている間に耐203mmの装甲なぞ吹き飛ばしてしまう「ドイッチュラント級」が登場。今更耐203mmの装甲を持った艦を建造しても無意味であることが判明して「トゥーロン」の計画は廃棄される事になる*6。
編集用コメント
- 小ネタを編集。余談は1つ目の中に入れ子にしました。 -- 2023-07-20 (木) 21:45:56
- 史実を追加 -- 2023-12-28 (木) 14:40:08
- 小ネタを追加 -- 2024-08-24 (土) 23:29:14
- 主砲にバフ後の解説と格納一つ追加、力が及ばずまだ足りないところがあるので有識者の方よろしくお願いします -- 2025-09-19 (金) 09:18:47
- 主砲の解説の内バフ前の線消し済部を削除、また副砲の解説等を増補。 -- 2025-11-01 (土) 19:23:09
コメント欄
- この船目立ってないけどOPだと思う。耐久力が同格巡洋艦の中であまりにもずば抜けてる。基本的に艦を完全に縦に向けて立ち回るから船体の大きさが弱点にならない。シェルブールより船体幅が一回り小さいから敵の砲弾を避けやすいのも良い。駆逐艦に迫られても艦を縦に向けて引き撃ちすれば相手の魚雷を避けた上で全火力を叩き込める。この船は火力もトンデモナイ。艦長込みのフル強化でスキル使った場合、305mm砲を8.7秒の装填時間で3回斉射できる。タイマンであれば純粋な砲撃戦で同格戦艦に対して基本的に優位にたてます。(巡洋艦とは..?) -- 2025-09-19 (金) 09:59:36
- 素でスキルが3回使えて、レジェンド艦長スキルで回数とクールタイムを強化したら…ゴクリ -- 2025-09-19 (金) 10:09:15
- 失礼。スキル使用時の装填時間を間違えました。高級船員食糧、エリート砲術員、主砲改良Ⅱを選択した場合のスキル使用時の装填時間は8.28秒でした。「熟練装填手+」でスキルの持続時間が26.6秒になるので、3回斉射できます。 -- 木主 2025-09-19 (金) 10:12:28
- 1スロだと4斉射できました() -- 2025-09-19 (金) 10:19:49
- えっ、装填特化で4斉射できる感じですか…? -- 2025-09-19 (金) 10:21:02
- かなりシビアですができました。 -- 木主 2025-09-19 (金) 10:22:31
- 細かい数字から斉射まで情報ありがとうございます!4斉射ァ…泣 -- 2025-09-19 (金) 10:25:20
- 編集ありがとうございます。装填時間が残り4.2秒以下の時にスキル発動→発射ボタン連打でギリ4斉射な感じです。アドレナリンラッシュが発動していれば結構余裕があると思います。火力がすんごい.. -- 木主 2025-09-19 (金) 10:29:30
- このシチュエーションで4斉射目がギリッギリ発射できた時、弾は発射されて敵艦にも当たるけどダメージが入らないことが何回かあったんだけど、なんかのバグなのかな…何回かそういうことがあって、通信環境が悪いわけじゃ無いと思うんよね。 -- 2025-11-15 (土) 02:24:23
- それは単純に砲弾がシステムに認識されてない感じかと、本当は装填間に合ってないけどプレイヤー側では撃てちゃってて、でもって砲弾ダメなんぞは存在しない。これは日向やデモインの高速装填でも起きますね。 -- 2025-11-15 (土) 07:17:46
- なるほど、そのような事象があるのですね。対策としては連打を頑張るしか無さそうですね…貴重な情報をありがとうございます。 -- 2025-11-15 (土) 11:03:43
- こいつで日向のバイタル3枚抜き…戦艦かよ… -- 2025-09-25 (木) 13:47:51
- 巡洋艦か、って油断してる戦艦のバイタル抜くの楽しすぎる -- 2025-09-26 (金) 21:50:38
- ずいぶん前にガチャで引いた時はイマイチ強さが分からなかったけど、久々に使ってみたら随分強くなったねコレ。ARP金剛と同じくらいMVPとれて楽しい。 -- 2025-11-04 (火) 21:52:21
- ヘレナ祭りではコイツが輝く。側面3斉射でご馳走様でした。 -- 2025-11-17 (月) 23:08:03
- イベントのせいでトゥーロンが7に沸いてる。
(΄◞ิ౪◟ิ‵ )ギギギ -- 2025-11-21 (金) 12:25:06- シンプルに強いのと、スキルのせいで戦艦以外にオラついてくるからマジで厄介、格上空母にボコってもらうか戦艦で艦縦で耐えられる前に速攻するかしないとダルくなる -- 2025-11-21 (金) 12:48:43
- 11万ワールドレコードあざすて思ってたら更新されてた… -- 2025-11-22 (土) 20:20:17
- 最近こいつが増えてると思うのは気のせいだろうか -- 2025-11-22 (土) 20:22:11
- 造船所に出てから一気に増えた。強さが認知されてきたというのもありそう。 -- 2025-11-22 (土) 21:55:11
- 高速装填中の4斉射ですが、慣れたら安定して出すことができます。コツは一斉射のためのダブルタップを素早く行うことです。経験則上、撃つタイミングを多少ガバっても、ダブルタップが素早ければなんとかなります。 -- 2025-11-22 (土) 22:06:22
- ガン縦シコシコ前後運動しながら砲撃がジャスティス!! リシュリューごっこしながら芋プかましてる輩が多い印象。 -- 2025-11-24 (月) 10:54:00
- こいつで前に出たら即沈むで。艦立てられるのは一隻に向けてだけ。敵が直線上に居てるとは限らないからね。 -- 2025-11-24 (月) 11:33:51
- 造船所でDZPと悩んだけど、大巡は所持してなかったのでトゥーロンを購入。第一印象は主砲がバラけまくる(笑)しかし、聞いていた通りバイダルをメッチャ抜ける。今までは日本戦艦の扶桑・長門に最近手に入れた愛鷹で防郭抜きミッションをこなしていたけど、かなり楽になると思う。良い買い物をした。 -- 2025-12-02 (火) 20:53:06
- 戦艦のバイタルも抜けるという事で、造船所で購入したけどなかなか抜けない(横腹を狙っても)。どのくらいの距離で、どこら辺を狙えば良いとかコツなんかある?弾がバラけるのもあるけど、割とユルフワ弾に感じていて慣れてないのもあるのかも。 -- 2025-12-10 (水) 19:59:53
- あくまで戦艦のバイタルが抜けるのであってポンポンぶち抜けるわけではありませんので、過度な期待はしないほうがいいかなと。距離は10km弱でゆるふわ弾道を活かして甲板をぶち抜くのが1番です、んで戦艦より巡洋艦を狙った方が気持ちよくなれますよ。 -- 2025-12-10 (水) 20:08:18
- 普通に考えて戦艦のバイタルを簡単に抜けないですよね(汗)10キロ前後を意識して使ってみます。アドバイスありがとうございます。 -- 木主 2025-12-11 (木) 10:38:15
- バイタルは運によりますけど一気に削ってくれる楽しい船です -- 2025-12-10 (水) 20:21:12
- OP艦無料配布しないでほしい… -- 2025-12-27 (土) 20:21:03
- これクソ強いわ -- 2025-12-28 (日) 13:50:45
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