Book9:ユーフラニア概説。ユーフラニアの暦、言語、宗教などについて書かれている。

Last-modified: 2008-11-15 (土) 22:39:09


  1. 現在、ユーフラニアでもちいられている暦は、アウロラの暦をもとにしたものである。
    1年は365日からなり、12ヶ月にわけられて、それぞれの月は神々や精霊の名でよばれている。
    日付は数字で示されるが、ガレア帝国時代には1年の最初の日を<聖祝祭日>(ANIOS)とし、それ以外の日を364人の聖人の名でよんでいた。
    ガレア崩壊後も、旧帝国領を中心にこの習慣は残り続け、いまだに伝統的な儀式や祭事などでは聖人名で日をよぶことが多い。
    <聖祝祭日>とは、もともとアウロラ語のAGNESから生じた言葉である。古代アウロラでは、大神アウロスが年のはじめの日――すなわち1月1日に、地上に祝福をさずけるとしんじられており、この月のはじめの祝福をAGNESとよんでいた。
    それが、ガレア帝国において神の祝福から、それに対する感謝の祭りをさす語へと転じ、やがて、その祭りが行われる年のはじめの日をさすガレル語、ANIOSへと変化していった。
    このように、ガレアの伝統や習慣も、根本においてはアウロラと無縁ではない。一年のうち、1月、3月、5月、8月、10月は31日あり、残りの月は30日となっている。
    調整として4年に一度うるう年があり、その年は12月の最後に1日たされて31日となる。
    その日を、<潔斎日>(VILIDAS)と呼ぶ。
    1週は7日である。曜日の名は、地域によって多少異なるが、竜の日、光の日、火の日、水の日、風の日、土の日、闇の日というのが一般的である。
    多くの国では竜の日を神々への感謝の日とし、休日と定めている。

  2. 言語

    ユーフラニアには、数多くの言語があるが、一般にアウロラ語が広く通用し、とくに各国の宮廷ではアウロラ語が話されている。
    しかし、実際に母国語とする人口がもっとも多い言語は、ガレア帝国の公用語であったガレル語ではないかと思われる。
    それは、ガレアが歴史上最大の版図を誇り、活発に植民活動をおこなった結果にほかならない。
    また、ガレア帝国のもうひとつの公用語であったキレノス語も、知識階級と自認する人々のあいだでは必須の言語とされている。
    学術論文はいまだにキレノス語で書かれることが多く、大学での講義も多くはキレノス語でおこなわれている。
    とくに魔道学については、レウリアの大学に最初の魔道学部がおかれたこともあり、キレノス語による教授が一般的である。

  3. 宗教

    ユーフラニア全土を支配する宗教は、いまのところ存在しない。
    アウロス(古代アウロラ語ではアウレーヌ)を主神とするアウロス信仰は、神聖アウロラ王国の奇跡的な存在によって、ユーフラニア全土に浸透したが、それは現地の土着宗教と結びついたり、新たな宗教を派生させたりと土地ごとに異なる発展をとげた。
    そのため、アウロスの名はユーフラニアのいたるところで聞かれるが、その解釈やそれへの信仰の形態には、地域によって違いがあるという状況が生じた。
    もともとアウロスの都と云われるアウロラは、大神アウロスを中心とした多神教の国であり、他人の信仰対象にもきわめて寛容であった。
    さらに、アウロラではアウロスを世界の創造主にして守護神とする以外の教理を定めているわけではない。
    神はなにごとかを感謝する、祈願する、謝罪する、といった対象ではあるが、現実の暮らしを規定する存在ではないのである。
    そのため、アウロラは神の名と属性以外の要素を、他の民族に積極的に伝えることはしなかった。
    主神アウロスの都であるアウロラがこのような宗教観を有していたため、他の民族もアウロスに偉大な神以上の役割を規定することは、あまりなかった。
    多くの国々では、アウロスとは別にその国の主神を決めている。たとえば多くの海洋国家では、海の女神ネレイアや商業の神エルカラを主神としている。
    シルフェラのように美と愛の女神ファリスを主神とし、その教義を美と愛の伝導と考えて行動する国もある。
    ガレア帝国では、天空の神アウロス、戦の神ウィカヌス、大地の女神ラディア、月の女神ルキス、知恵の神クレディスをガレアの五大守護神と定めていた。
    時には、悪魔神を主神とする国もある。このような国は、しばしばユーフラニアに戦火をともす原因となる。
    また、狂信王レオのように、もともとは正義の神を崇めていたつもりが、いつの間にか邪悪な存在がその神のふりをしており、そのことに気づかないまま国を暗黒国家へと変じさせてしまう、といった事例もある。
    国の主神とは別に、独自の主神や教義をもち布教活動を行う教団も数多く存在する。
    そういった教団が勢力を増すと既存の政権を駆逐し、教団がが国政を握るといった事態もおこりうる。その事例としてはファナスが有名である。ファナスの元首は、今に至るまで教団の最高指導者がつとめている。
    その国や地域がどの神を崇めているかを知ることは、旅行者にとっては重要な情報である。
    とはいえ、ユーフラニアでは誰が何を信仰するかは、個々人の選択の問題とされている。
    信仰心は非常に重要なものと考えられているが、他人の信仰の対象を否定することは、それがユーフラニアにも不利益をもたらすものでない限り、恥ずべきこととされている。
    ただし、近年信徒増大の傾向にあるジェリナ教においては、全能神ジェリナ以外の神はすべて邪神であるとされており、異教徒蔑視の傾向が強い。
     
    注:文中、神々の名称は基本的にガレル語表記を用いた
     
    <巻末付録>月名一覧
     1月:黄金龍の月
     2月:一角獣の月
     3月:花妖精の月
     4月:聖天使の月
     5月:煌天馬の月
     6月:虹孔雀の月
     7月:碧人魚の月
     8月:不死鳥の月
     9月:星仙女の月
    10月:獅子王の月
    11月:金剛亀の月
    12月:白銀竜の月