このページはOHOLデータバージョン200以降の温度の仕様について説明します。
You are Hopeには存在しないシステムですが、参考として一部情報が含まれています。
概要
温度計算は以下の要素が組み合わさった複雑なものとなっています。
- 熱源(主に火)
- 人が着ている衣服
- R値が設定してある建築物(壁・ドア・床・道)
- 最大計算範囲(8×8マス)
- バイオーム
- 過去の温度
クラフトしたアイテムが何もない状況では適温は得られません。
安定した適温を得るためには火・衣服・建物の3つが必要になります。
データバージョン200の変更点
以下はOne Hour One Life Forumsと、 Change Log| onetechのVersion 200に書かれている内容の要約です。
- 熱モデルを全面的に改善
- 対流
- 計算地点から断熱性のある壁または8×8マスの端に当たるまで塗りつぶすような空間(以下、対流空間)を探索
- 対流空間の境界の平均R値(onetechではInsulation)を計算
- 対流空間内の熱源の発熱量は対流空間に均一に拡散
- その発熱量は平均R値によって補正(平均R値が0.5なら発熱量の半分を消失、0ならすべてを消失)
- 床自体も空間の境界の部品としてカウント(マスに床がなければ平均R値は下がる)
- 壁で囲まれた空間のドアを開けたとたん平均R値が下がり、内側に熱源がある場合温度も下がることになる
- 放射
- 対流空間の熱源と計算地点の距離によって温度が上昇
- 熱源から少し離れれば放射の影響は無視できる値
- バイオーム
- バイオームは今立っている地点のみ影響
- 熱源と壁による熱計算が終わった後に計算
- 対流空間のすべてに床が敷き詰められている場合のみ、境界の平均R値によって補正
- 床が敷き詰められた閉じた建築物の中では、暑いバイオームでは涼しくなり、寒いバイオームでは暖かくなる
- 衣服
- 衣服には体の熱レベルから環境の熱レベルへの移行を遅らせる効果がある
- 裸の場合温度は急に変化するが、衣服を着ていればゆっくりと変化する
- 閉じた建築物の中の火のそばで適温になるまで体を温め、衣服を着て外に出れば途中まで適温近くを保つことができる
- 衣服の温度上昇効果をより大きくなるように変更
- 寒いバイオームで衣服は適温に近づけるための3分の1ほどの効果がある
- バイオーム境界
- 暑いバイオームから寒いバイオーム、またはその逆に移動したとき、「熱ショック」が起き、温度は即座に移動先のバイオームの標的温度になる
- 熱ショックの効果も衣服によって補正される。よりよい服装は熱ショックを和らげる
- 熱ショックのせいで以前のようにバイオーム境界を横切ったときのような適温を絶対に得られない
- 衣服を着ていたとしても、適温が0.5だとして、0.3の状態から暑いバイオームに入ると0.7になってしまう
- 適温に近づけるためには、建築物・衣服・熱源の3つが必要
- 対流
- 空腹速度において、他の寒いバイオームと同じくらいジャングルが暑くなり、寒いツンドラと同じくらい砂漠が暑くなるように変更
- 各種火の発熱量を2倍に変更
- 黄熱病を熱源としての発熱ではなく病気としての発熱に
- R値(Insulation)の変更
- 木の床・(古代の)石の床: 0.1 → 0.7
- 熊の皮を敷いた木の床・熊の皮を敷いた石の床: 0.5 → 0.95
- 熱モデルの変更に伴いチュートリアルを変更
このほかにデータバージョン203でリュックのR値が 0 → 0.5 に変更
温度と空腹速度の関係
プレイヤーの体温をheat(0以上1以下の値)とすると、食料ゲージが一つ減るまでの時間は次の式で表されます。*1
食料ゲージが1減るまでの時間(秒) = 2+20*(1-2*|heat-0.5|)
これより空腹速度は次の式で表されます。
1時間あたりの空腹量 = 3600/[2+20*(1-2*|heat-0.5|)]
この式はOHOLのフォーラムで提示されたものです。
この式をグラフにしたものが次の図です。
You are Hopeは通常サーバーでもOHOLより空腹速度が遅いです。 *2
You are Hope の空腹速度は次の式で表されます。
1時間あたりの空腹量 = 3600/[4+20*(1-2*|heat-0.5|)]
この式はOHOLに対して空腹速度は温度が0または1の極限状態では1/2に、適温では92%になります。
You are Hope の初心者向けサーバーではこれよりも空腹速度が遅くなります。ある検証*3により、初心者向けサーバーでの空腹速度は下式と推定されています。
1時間あたりの空腹量 = 3600/[6+30*(1-2*|heat-0.5|)]
最大値と最小値
温度 | 1ゲージ減少時間 (秒) | 空腹速度 (ゲージ/時間) | ||
---|---|---|---|---|
OHOL | YAH通常 | OHOL | YAH通常 | |
0, 1 | 2 | 4 | 1800 | 900 |
0.5 | 22 | 24 | 164 | 150 |
熱源
熱源 | 発熱量 |
---|---|
大きな強火 | 16 |
大きな弱火 | 12 |
火 | 8 |
熱い木炭 熱い木炭にアイテムを載せたもの 温泉 | 3 |
燃えている火口 燃えている原始植物 | 2 |
人 | 正の値? |
雪玉・雪だるま | 負の値? |
雪玉は手に持っているときやリュックに入っているときも影響します。
雪玉・雪だるまは対流の計算には影響しますが、放射は計算されません。
これはバクではなく、意図的にこのようになっているものです。*4
OHOLにおける雪だるまの冷却効果の検証*5では放射の計算は冷却を考慮しないことが実際に確認されました。
下の図はその検証を行ったときのものです。
8方向に1つずつ雪だるまを配置し、裸で砂漠の上に立った場合でも温度計は最高温度を示しています。
You are Hopeの検証*6では雪だるまだけで砂漠に適温をもたらすことができましたが、それはOHOL ではほぼ不可能です。
R値
- R値は衣類や建築物に付けられている値です。
onetechではInsulationと表示されています。 - 工業的な断熱で使われている標準的な用語とは異なります。
- R値は0以上1以下の値をとり、0のときに断熱なし(すべての熱を消失)、1のときに完全な断熱を意味します。
衣類
装着 部位 | 名前 | R値 (%) | 効率 (対羊) | 効率 (対兎) |
---|---|---|---|---|
頭 | オオカミの帽子 | 22.5 | 135 | ∞ |
頭 | (羽根飾りの)ウサギの毛皮の帽子 | 21.25 | 127.5 | 10.63 |
頭 | サンタの帽子 | 18.75 | 3.75 | ∞ |
頭 | (羽根飾りの)麦わら帽子 | 16.25 | 97.5 | ∞ |
頭 | 毛糸の帽子 | 17.5 | 4.38 | ∞ |
頭 | ぼろ帽子 | 10 | ||
頭 | コック帽 王冠(葉、ニンジン、オオカミ) 羽を剥いだ七面鳥 | 0 | ||
胴 | オットセイの皮のコート | 31.5 | 189 | ∞ |
胴 | ウサギの毛皮のコート | 29.75 | 178.5 | 7.44 |
胴 | ウサギの毛皮のショール | 24.5 | 147 | 8.17 |
胴 | 毛糸のセーター | 24.5 | 4.08 | ∞ |
胴 | オオツノヒツジの獣皮 | 21 | 21 | ∞ |
胴 | ぼろシャツ | 14 | ||
胴 | オットセイの皮 | 10.5 | ∞ | ∞ |
胴 | 羊の毛皮 | 10.5 | 10.5 | ∞ |
胴 | 白いエプロン | 0 | ||
腰 | ウサギの毛皮の腰巻き | 17 | 102 | 17 |
腰 | アシのスカート | 12 | ∞ | ∞ |
腰 | ぼろ腰巻き | 8 | ||
足 | ウサギの毛皮の靴 | 8.5 | 51 | 17 |
足 | 毛糸の靴下 | 7 | 3.5 | ∞ |
足 | ヘビ皮のブーツ フルーツブーツ | 5 | 30 | ∞ |
足 | ぼろ靴 | 4 | ||
足 | 古いブーツ | 0 | ||
背 | リュック | 5 | 30 | |
背 | ぼろぼろのリュック | 0 |
- 染色した衣類のR値は染色しないものと同じ
- 靴・靴下は片足のみ
- 効率(対羊)は縫うのに毛糸玉を用いるとして作るのに必要な羊の数でR値を割った値
- 効率(対兎)は作るのに必要なウサギの皮の数でR値を割った値
- 効率は値が大きいほどよい
- ∞はそれを必要としないことを意味する
リュックを除くと、最もR値が高い組み合わせは以下のとおりです。
頭:オオカミの帽子
胴:オットセイの皮のコート
腰:ウサギの毛皮の腰巻き
足:ウサギの毛皮の靴
このときR値の合計は88%になります。毛糸玉は5/6個、ウサギの皮は2枚の消費だけで済みます。オオカミやオットセイを見つけられれば毛糸玉を生産できるようになった頃でも比較的容易に作れます。
建築物
名前 | R値 (%) |
---|---|
(壊れかけの)日干し煉瓦の壁 しっくいの壁 染色した壁 | 90 |
(古代の)石の壁 | |
マツの壁 | 75 |
マツのドア | |
(鍵のかかった)木製のドア | |
熊の皮を敷いた木製の床 | 95 |
熊の皮を敷いた石床 | |
木製の床 | 70 |
(古代の)石床 | |
石の道 | 10 |
- 日干し煉瓦の壁はボウル1杯の水をかけるとR値が一瞬10%下がり、2杯連続でかけると20%下がる。
- 上記以外の建築物にR値は設定されていない。
対流空間
対流空間は人が立っている位置を初期位置として探索されます。
最大の探索範囲である8×8マスの中心は人が立っている位置から左上にずれています。*7
下図*8のアヒルの位置は対流空間に火が見える最も遠い地点になるように火の回りを一周したときの軌跡です。背景色はそれぞれの隅にいるときの対流空間を表します。
この図から、建物の保温効果を発揮するには建物の広さを8×8以下にすべきことがわかります。8×8までなら、建物の中のどの位置に立っていても一つの熱源だけで暖めることができるからです。
保温効果を高めるために、建物の壁はR値の設定してある壁かドアで作るべきです。地面は床で敷き詰めます。
建物の中の地面にR値の低い石の道を敷くことは避けたほうがよいでしょう。
池やウサギの穴、砂場などの最初から固定されたものを壁に代用したり、建物の中にこれらのものを入れたりすべきではありません。
保温の観点から、ドアは真ん中ではなく端っこに取り付けるべきです。端に取り付けるときは真ん中に取り付けたときよりも建物の中の地点で対流空間の境界にドアを含む場合の数が少なくなります。
バイオーム
温度 | ground heat | 裸時ゲージ減少時間 (秒/ゲージ) | バイオーム | |||
---|---|---|---|---|---|---|
言葉 | 値 | OHOL | YAH | YAH 初心者 | ||
非常に高温 | 0.986 | 18.555 | 2.56 | 4.56 | 6.56 | 砂漠 |
高温 | 0.93 | 17.46 | 4.8 | 6.8 | 8.8 | ジャングル |
低温 | 0.07 | 0 | 4.8 | 6.8 | 8.8 | 草原 湿地 牧草地 荒野 |
非常に低温 | 0.014 | -1.1 | 2.56 | 4.56 | 6.56 | ツンドラ |
- ground heat はonetechに記載されている値
- このゲームの製作者であるJason Rohrerの投稿*9によると、PC版の空腹速度について次のように説明されています。
バージョンアップにより草原・湿地・牧草地・荒野では裸のときの温度は一切変更されていません。したがってこれらの地域でゲームをすることは難しくなっていません。これらのバイオームでは裸のとき、以前のように4.8秒ごとに食料ゲージが1減少します。
ツンドラも変更されていません。以前のように2.56秒ごとに食料ゲージが1減少します。
ジャングルと砂漠は暑くなるように変更されました。ジャングルは暑いことにより、4.8秒ごとに食料ゲージが1減少します。砂漠は焼けるような暑さで2.56秒ごとに食料ゲージが1減少します。 - 温度の値は温度と空腹速度の関係式から逆算したもの
- YAHの値は検証値ではなく、PC版の値から導出したもの
熱ショック
バイオーム境界を跨いだときに起こる熱ショックは適温を中心に鏡のように温度を変化させます。*10
理想的な服装をして草原で温度が0.45のときに砂漠に足を踏み入れると温度は0.55に上昇します。もし裸だったら0.45から1へすぐに上昇します。衣服はその後0.55から1へ温度を上昇させるのを遅くします。
理想的な服装をして草原で温度が0.1のときに砂漠に足を踏み入れると温度は0.9に上昇します。それからゆっくりと1へ近づいていきます。
理想的な服装をしていれば、草原から砂漠に入った直後では空腹速度が変わらないといえます。時間に対する空腹速度の不連続性がありません。
火とバイオーム
原作者による雑な検証*11により、PC版の草原の火の上で裸のとき食料ゲージが20減るのに必要な時間データが得られています。
火の種類 | 時間 |
---|---|
なし | 1:42 |
火 | 6:17 |
大きな強火 | 2:42 |
大きな弱火 | 4:50 |
- 火はテスト用の消えないものを使用
衣服の温度上昇効果
寒いバイオームでは衣服に温度上昇効果があります。
熱いバイオームでこの効果はありません。
チュートリアルにおけるプレイテスト*12によれば、草原などの低温のバイオームで温度と衣服のR値との関係は次の式で表されます。
(10.25+(1-(0.04+ClothingR-ClothingR×0.04))×(1.1-10.25))÷20
これをグラフにしたのが次の図です。
衣服のR値に対する空腹速度を表したのが次の図です。
(PC版の空腹速度に基づく)
これを食料ゲージ1減少するまでの時間(秒)に換算したのが次の図です。
※0.05刻みでグラフ化したため、R値が0.95~1の間が直線になっています。理論上は衣服のR値がおよそ97.2%でちょうど適温です。
チュートリアルでの検証
PC版のチュートリアルでの検証*13では下の図の温度データが得られました。
右の図はいずれも左の図より熱源から遠く、放射の影響が小さくなったことにより温度が下がっています。
いずれも上の図はドアを開放し下の図はドアを閉めています。下の図は上の図よりも対流空間が小さくなると同時に境界の平均R値が大きくなっているため、温度が上がっています。
ただし、ドアを開けたときの温度はこのチュートリアルにおいての温度です。ドアを開けたときも対流空間がチュートリアルの通路の壁によって狭められているため、1x5のこれと同じ建物だけを草原に設置してドアを開けたときの温度はこれよりも低いことになります。ドアを閉めたときは同じになるはずです。
チュートリアルの施設のほとんどの場所で対流空間は壁によって狭められ、境界の平均R値は0より大きくなります。
もしチュートリアルの施設の中で温度の検証をしたい場合は、ほとんどの場所がそのような検証結果の一般化を難しくする場合があることを頭に入れておかなければなりません。
逆に言えば、壁を利用した検証が容易です。
その他
温度は2秒ごとに更新されます。*14
次の温度が更新されるまでの間に内側に熱源がある建物のドアを開閉すると温度は変わらないことになります。