【ロン・ベルク】

Last-modified: 2024-01-21 (日) 16:38:32

ダイの大冒険

【ドラゴンクエスト ダイの大冒険】の登場人物。CVは東地宏樹(ライバルズの【オルテガ】役)。
外見は黒い長髪をオールバックにし、顔に大きな十字傷の残る壮年の男。見た目は人間とほとんど変わらないが、275歳の魔族であり、肌は蒼く耳が大きく尖っている。
 
武器作りにかけては魔界最高の腕を持ち、伝説の名工として知られている人物で、かつては大魔王【バーン】に、そして劇中ではダイ一行に多種多様かつ超一流の武器を提供した。
さらに本人も魔界有数の剣士であり、その腕前は【ダイ】【ヒュンケル】を同時に相手して息一つ切らさない程であり、全力でないとは言え【ミストバーン】すら釘付けにしてしまうほど。
 
名前だけはヒュンケルとの戦いの時点で、【ラーハルト】が口にしていた。ヒュンケルは魔剣が「もらいもの」だったため、製作者の名前は知らなかったらしいが、ここで知った彼から、いつの間にかポップが聞いていて、ジャンクの「魔族が作った」という話から気付き、ダイ達の前でその名を出すことになる。
 
ゲーム作品ではスーパーライトと星ドラに登場。

略歴

元々は生まれて10年も経たないうちに最強の剣技を極めてしまうほどの力量を持つ魔界随一の剣士だったが、200年近く前、強敵に対して自ら編み出した究極の技【星皇十字剣】を放った反動で武器が破損し、両腕の機能も失ってしまった。
己の技に耐える武器が無いせいで技を極められなかった事に憤った彼は、70年程経ってようやく傷が完治した後、星皇十字剣に相応しい武器を生み出すべく鍛冶屋の道を歩み始める。
 
そんな中、剣士としても鍛冶屋としてもバーンの目にとまり、彼の元で【鎧の魔剣】【鎧の魔槍】【光魔の杖】といった伝説級の武具を造り出して献上している。
しかし、強い職人気質を持つロンはバーンを「極端な話ヤツはナイフ一本握ったって強くなる」と評し、そんな男のために武器を打つ事の無意味さに嫌気が差していた上、武器としては大したものではないはずの光魔の杖を軽々しく最高傑作と評価されたことでプライドを傷つけられ、魔王軍にいる意味を見失い宮殿を去る決意をする。
最強軍団の指揮官の地位を与えるというバーン直々の慰留を受けてなお、それを「腐る」立場に過ぎないと一蹴したロンは、主の顔に泥を塗った事に憤慨した【ミストバーン】からの攻撃を敢えて無抵抗で受け、【デストリンガー・ブレード】で顔に大きな十字傷を付けられながらも、「これ以上を望むならオレも黙ってはいない」と剣を向けて一喝、堂々と魔王軍から去った。
 
その後はランカークス村付近で隠遁生活を送る中で【ポップ】の父親【ジャンク】と知り合い、自分の剣技に耐えられる武器の探求を続ける傍ら、細々と特注で武器作りを営み続けていた。ロン曰く「居眠りしながら作ったような」手抜き作品に過ぎないこれらの特注品ですら並みの武器とは一線を画する逸品ばかりで、この隠れた名工の話を耳にしたダイ達が、竜の騎士の力に耐えうる強力な武器を作ってもらえないかとロンのもとを訪ねて来る。
永らく優れた武器に見合う使い手に巡り合えず酒浸りの日々を送っていたロンは最初こそ帰れと一蹴したが、自分が長年目標に挙げていた【オリハルコン】製の伝説の武器【真魔剛竜剣】を、ダイが強度に劣る筈の自分の作品・鎧の魔剣で折ったと聞いて態度を一変させる。いきなり饒舌になるほど狂喜するとダイにふさわしい最高の剣の作成を快諾し、オリハルコン製の【覇者の冠】を材料に【ダイの剣】を完成させた。
劇中では珍しいことに、ダイがただの人間ではない事をロンは初見で見抜いていた。
 
その後も、魔王軍に立ち向かうダイ達の為、ダイの剣の修復や鞘の魔法剣強化機能の追加、鎧の魔槍の強化改良、そして【ブラックロッド】【グレイトアックス】【魔甲拳】といった新たな武器を作成。さらに自ら剣を取り、かつて魔界で猛威を振るったその腕前でダイ達に修行をつけたりと、終盤の決戦を前に勇者一行のパワーアップに大きく貢献した。
 
【ミナカトール】攻防戦にも剣士として参戦し、ミストバーンや【ザボエラ】【超魔ゾンビ】と激闘を繰り広げた。超魔ゾンビの凄まじい防御力を前に、その剣圧と速度をもってしても斬り抜けられずに剣を折られてしまうが、北の勇者【ノヴァ】が命と引き換えで苦境を切り開こうとした際には、そんな男を死なせるのは惜しいと未完成の専用武器【星皇剣】を呼び出し、再び腕を失うと承知の上で放った星皇十字剣で超魔ゾンビを撃破した。
ロンの技と命がけの恩義に感銘を受けたノヴァは恩返しと弟子入りを志願し、ロンもそれを快く受け入れている。
 
バーンの奥の手で世界が崩壊の危機に晒されたクライマックスでは、バーンから最後通告じみた魔王軍復帰を持ちかけられるが、二度と御免だと言い放ってその誘いを一蹴している。
ロンはダイ達と知り合ってからのわずかな日々で得られた充実感、彼らの心意気から受けた感銘を語り、またバーンの元に居たときは裕福だったがもっとも腐った日々だった、同じ過ちを繰り返すぐらいなら気に入った地上の連中と運命を共にするとまで語っている。
 
バーン撃破後は、星皇剣の完成を目指す弟子となったノヴァを暖かく見守りながら、身の回りの世話を任せつつ師弟で穏やかに暮らしているようだ。

人物

しばしば自分について「腐る」という言葉を口にし、進歩を止めることを何よりも忌み嫌っていた。
隠遁して酒浸りの日々を送っていたのも、進歩を追い求めつつ決定打を見出だせない日々に倦んでの事だったのだろうか。
バーンの下に居た頃の、金品に恵まれていても生き甲斐や目的など活力が伴わない経験からか、長い寿命を怠惰に過ごす魔族の一生を「密度がない」と表現してもいる。
気難しく、自分の価値観を譲らない所があり、中身が伴わない見栄や虚栄心を嫌うのはもちろん、実力があろうが傲岸不遜な者とも馴れ合おうとはしない。これは魔界トップの実力者バーンに対しても変わらず、口だけの能無し大臣を殴って城仕えを辞めたポップの父ジャンクとはこうした所でウマが合ったようだ。
 
職人として「武器と使い手」に対するこだわりも非常に強い。
ダイたちに協力した理由も、「武器が不十分だったせいで実力を出しきれなかった」という、自分と同じ問題を解決することに意義を見出だしたからであった。
一度協力すると決めた後も、ダイ達が武器の力を引き出せず「同じ材質のナマクラ刀に負けてノコノコ帰ってきた」時には露骨に不機嫌な様子を見せている。
気に入った相手にしか真の仕事をしない性格は、DQ2の【ドン モハメ】などとも共通している。
 
逆に、本人が強すぎてどんな武器を持とうが力を発揮してしまうバーンのような手合いも気に入らないという難儀な拘りも持っている。
使い手との相性を最適とし、その技や長所を最大限に引き出す事にこそ武器の存在意義を感じるロンにとって、「使えれば何でも良い」「何を持っても強引に最強になれる」ような者は、刀匠として関わる意味を全く見出だせないのである。
真バーンに至っては自らの手刀こそが最強武器だと自負しているのだから、なおさらだろう。
 
バーンが「最高傑作」と評価した光魔の杖は、【バーンパレス】の一角を吹き飛ばす威力の【ドルオーラ】を防ぐなどの活躍を見せており確かに強力なのだが、それはあくまで持ち主の異常なまでの魔力に依存して出せた性能に過ぎず、ロンの目指す武器と使い手の在り方とは相容れない。
【理力の杖】のバリエーションのようなもので、戯れ程度の労力しか費やされていない光魔の杖をバーンが傑作としたのは、たまたま「自身の並外れた魔力を注ぎ込めば最強にできる」という相性の良さがあったからに過ぎず、それはロンの武器作りへの姿勢や武器そのものの強さを認めたものではなかった。
熱心に研究し、高度な技術と時間を費やして作った作品より、落描きのようにテキトーに作ったものの評価が高くなってしまうことは現実世界にも往々にしてある。そしてその落描きを「これはお前の最高傑作だ。今後は自分の専属画家になってほしい」などと言われれば、熱心な職人ほど侮辱的と感じ頭に来るものである。自身の矜持にそぐわない評価をするバーンに見出されたことは、ロンにとっては不運であった。
 
また、ロンは強い武器と使い手を求めてこそいるが、ただ強ければ良い、という考え方でもない。
剣に関して言えばロン並であるにもかかわらず、まだ付け焼き刃の技術しかない槍を取り、ロンにあしらわれてなお友との誓いのため鎧の魔槍の使用にこだわるヒュンケルに対し、ロンは甘さや未熟さへの叱責ではなく、満足そうな笑顔と暖かい激励を伝えている。
「武器と人は一つだった」の台詞のように、手にした武器に強い思い入れを持ち、武器に恥じぬようそれを活かしていく修行を怠らない人物に対しては、未熟な点があることは差し引いても高く評価する姿勢があることが分かる。
この姿勢は、与えた武器を力ずくで最強に仕立て上げ、壊れて用済みとなった途端に平然と踏み砕くバーンのそれとは対極である。
バーンが光魔の杖に強い愛着か敬意を抱くなり、その使用に工夫を費やし、ロンに製作時には思いも寄らない何かを見せていればロンの評価も変わっていたかもしれないが、バーンにとっては光魔の杖は欠落した若さを補うための補助具でしかなく、ドルオーラを防いだ方法以外応用と言えるものはなかった。
そればかりか、ダイとの初戦では魔力切れからくる出力低下によって窮地に陥っており、武器の性能を活かすどころか「魔力消費が膨大・急速なために、魔力の残量や稼働時間を意識しなければならない」という光魔の杖の基本的な使い方すら見ていない事が露呈している。
もっとも、バーンが光魔の杖で魔力不足になるほど長期戦に挑む必要がなかった(あるいは杖を出すまでもなく短期決戦で済んだ)からという観点はあるが。
そう考えると、ロンの「バーンは強すぎるから武器の与え甲斐がない」というのは建前に過ぎず、バーンのそういった姿勢を感じ取ったからこその決別だったのかもしれない。

余談

魔族は高い再生能力を持っている種族だが、ロンの顔の傷は90年経った今も残り、前回の星皇剣による腕のダメージは治癒に70年近くかかっている。
これに関して具体的な設定などは語られていないので、非公式ながら他の魔族の再生描写などからいくつかの理由づけも考察されている。

  1. 暗黒闘気で受けた傷は回復呪文を受け付けないため、傷が残っている。
    →傷をつけたのはミストバーンであるため、暗黒闘気で傷を受けた可能性はある。
    しかし「一時的に回復呪文を受け付けない」のであって自然治癒しないわけではない。
  2. 再生する・しないは本人の意思である程度調節が可能だが、再生可能な範囲は個体によって違う。
    →バーンが【閃華裂光拳】を受けて腕が壊死した際、再生に時間がかかるように見せかけた後、マァムの追撃を見て急に腕を再生させている。
    同じ理由で、ケジメとして攻撃を受けたロンはあえて完治させずに傷跡を残しているのではないかというもの。
    クロコダインも自らへの戒めとして左目の傷を残しているので、ロンも「落とし前」としてあえて受けた傷を残した可能性はあるかもしれない。
    またこの仮定の場合、ロンが技の反動で動かせなくなった腕を切り落として再生させなかったのは、バーンほど強い再生力が無いからということになる。
    バーンはアルビナスから「死に瀕した超魔生物をも助けられる」と思われているほどの超魔力を持つため、一般の魔族とは別次元の再生力を持っていた可能性もある。魔族のハドラー、ザボエラも戦闘で腕を失うことがあり、次の戦いの時には再生しているが、斬られて即再生といった芸当はしていない(ハドラーに関しては鬼岩城で治療を受けて再生させるシーンがあるため、ザボエラも同様だった可能性がある)

これらは非公式な推測に留まるが、いずれにせよバーンほどの再生力があったとしたら、腕を再生する前提で捨て身の技も平気で打てる事になるので、星皇十字剣のための武器の探求や覚悟などあったものではない。
つくづく、ロンを白けさせるバーン様である。
ただ、現実においても傷の深さによっては傷口が塞がっても傷跡が残るのは普通にあることなので、ロンの場合もミストバーンから受けたダメージが思いの外深かったため、修復しきれなかっただけとも考えられる。
 
ちなみに剣士としても刀鍛冶としても作中最高の腕前を誇る彼だが、何より恐ろしいのはそれぞれの腕前はどちらも未だに発展途上であるという点。

  • 自らの腕前に見合う武器を持たない→武器があれば更に剣士として磨きが掛かる
  • その武器を未だに造れていない→いつか造ることを諦めておらず更なる向上を目指す

……という具合に、剣も鍛冶もロンの目指す到達点は現在のロンを以てしても更なる高みにある。
最終決戦で再び腕を壊すも、以前に70年掛かってはいるがきっちり治した経験を持つ彼がその程度で諦める道理は無いだろう。
 
名前に関しては姓名があるように見えるが、【ダイ好きTV】#45によると「ロン」が名前で「ベルク」は魔界の鍛冶流派の名前というイメージだったとのこと。

DQMSL

SSランクの討伐報酬モンスターとして登場。

星ドラ

2020年のコラボで入手できるロン・ベルクの地図でコスプレ装備や錬金素材「ロン・ベルク錬金の粉」を入手できる。

クロスブレイド

真4弾で【シークレット】として登場。