Top > 【ロン・ベルク】


【ロン・ベルク】

Last-modified: 2019-05-24 (金) 10:45:09

ダイの大冒険 Edit

【ドラゴンクエスト ダイの大冒険】の登場人物。魔族であり、表向きは魔界の名工として知られる。275歳。
昔は魔王軍に、そして劇中ではダイ一行に多種多様かつ超一流の武器を提供した。
しかしそれにとどまらず、魔界のなかでも有数の凄腕の剣の使い手でもあり、その腕前は【ダイ】【ヒュンケル】を同時に相手をしても息一つ切らさない程(しかもこの時は左腕で剣を振るっていたためかなり加減をしていた可能性がある)であり、【ミストバーン】すら釘付けにしてしまうほど。
酒好きなのか常に携帯用の酒瓶を手放さない。
名前だけはヒュンケルとの戦いで、【ラーハルト】が口にしていた。
 
ゲーム作品ではスーパーライトに登場。

略歴  Edit

元々は生まれて10年も経たないうちに最強の剣技を極めてしまうほどの力量を持つ魔界随一の剣士だった。
が、過去に自らの究極の技【星皇十字剣】を放ったせいで武器ごと自らの両腕の機能を失ってしまった。
この事に憤りを感じ、70年程経ってようやく傷が完治した後は、自らの技に耐え得る為の武器を生み出すべく鍛冶屋の道を歩み始める。
 
そんな中【バーン】の依頼で【鎧の魔剣】【鎧の魔槍】【光魔の杖】といった伝説級の武具を作成・献上したが、戯れで作ったはずの光魔の杖をバーンに最強と評価されたことにプライドを傷つけられ、兼ねてより自らの剣士としての技量を知る彼の誘いをも断り、魔王軍から身を引いた。
そもそも自分で不満が生じるような武器を献上の品の中に入れなきゃよかったんじゃ……という気もするが、ロンはバーンを「どうせヤツはナイフ一本握ったって強くなる」と評しており、バーンもバーンで「武器の性質がどんなものかを見ていなかった」(後述)。強い職人気質を持つ彼にとってどのみち相性最悪の相手だったのだろう。
だが、バーン直々に最強の軍団の指揮を任せるという誘いを「腐る」という言葉で蹴飛ばしたロンの態度は、彼に価値を見出したバーンの顔に泥を塗る行為にほかならない。バーンは特に咎めなかったが、内心憤慨した【ミストバーン】が立ちはだかる。
ロンも自覚はあり、落とし前をつける意味でミストバーンの【デストリンガー・ブレード】を敢えて無抵抗で受け、自らの強固な意志を雄々しく語って立ち去って行った(彼の顔の十字傷はその時にできたものである)。
 
その後はランカークス村付近で隠遁生活をしていく中で【ポップ】の父親・【ジャンク】と知り合い、自分の剣技に耐えられる武器を製作する傍ら、細々と特注で武器作りを営み続けていた。特注ではあるがロン曰く「居眠りしながら作ったようなもの」な手抜き作品に過ぎなかった。
それでも他の武器とは一線を画した逸品で、その繋がりで竜の騎士の力に耐えうる強力な武器を求めるダイ達は彼の元を訪れる事になる。
永らく優れた武器に見合う使い手に巡り合えず酒浸りの日々で最初は帰れと一蹴したが、ダイが自分の作品、それも強度の劣る筈の鎧の魔剣で【オリハルコン】製の伝説の武器【真魔剛竜剣】を折ったことを聞いて歓喜し、ダイ達に協力していくことになり、オリハルコン製の【覇者の冠】を材料に【ダイの剣】を作成してくれた。
この時、一目でモンスターの【チウ】だけでなく、ダイも人間ではないと見抜いている。
 
後に魔王軍達に立ち向かうダイ達の為にジャンクと協力し、ダイの剣や鎧の魔槍を強化(【ダイの剣】に関しては、すでに地上最強であるために剣そのもののそれ以上の強化はできず、修復と特別な効果を持った新たな鞘の製作を行った)そして【ブラックロッド】【グレイトアックス】【魔甲拳】という新たな武器を作成し、さらに自ら剣を取りかつて魔界で猛威を振るったその手腕を振るってダイ達を鍛え直したりもした。
そして魔王軍との決戦の日、ミストバーンや【超魔ゾンビ】と化した【ザボエラ】と激闘を繰り広げる中、北の勇者・【ノヴァ】の命を捨ててでも苦境を切り開くための一端になろうとする心意気に触発され、意を決して自らの命を削る覚悟で未完成の専用武器【星皇剣】を使って超魔ゾンビを打ち破るも、案の定再び両腕の機能を失ってしまった。
 
それからは彼の意気込みに感銘を受けたノヴァに彼への恩返しと弟子入りを志願され、それを快く受け入れた。
また、世界が崩壊の危機に晒される中でバーンが再び彼を自らの元へ誘い込もうと話を持ちかけるが、ダイ達と知り合ってからのわずかな日々に充実感を覚え、彼らの心意気に感銘を受けていた事を口にして、またバーンの元は裕福だが自分がもっとも腐った日々だった、二度と御免だとも言い放ちその誘いを一蹴していた。
 
バーン撃破後は、ロンの弟子として師事し彼の世話役や星皇剣完成に奮闘するノヴァを自らの傷の治療に専念しながらも暖かく見守っている日々を過ごしているようだ。

人物 Edit

作中では、しばしば自分について「腐る」という言葉を口にし、堕落することを何よりも忌み嫌っていた。
酒浸りの日々も、どこに行っても腐ることが避けられないと思って失望していたのかもしれない。
バーンの下で恵まれていると同時に怠惰で生き甲斐や目的など活力が伴わない経験からか、魔族の長い寿命も密度がないと揶揄する形で表現している。
少々気難しい人物ではあるが、とかく中身が伴わない薄っぺらい事柄を忌み嫌っている。それは見栄や虚栄心などに留まらず実力があろうとも不敬たる事も含んでおり、これは魔界トップの実力者のバーンと袂を分かち、口だけの大臣を殴って城仕えを辞めたポップの父ジャンクと友情を育んだ経緯から伺える。
 
また、職人として「武器と使い手」に対するこだわりも非常に大きい。
ダイたちに協力した理由も、ダイが「格上の材質を破壊できるほどの使い手」だったためである。
従って、一度協力することを決めた後でも、ダイ達が武器の力を引き出すことができず敗北した際には、(自前の武器に傷を付けられていたことも手伝ってか)露骨に不機嫌な様子を見せた(厳密には負けたわけではないが、彼から見れば負け同然なのだろう)
この辺は、武器職人になったきっかけが大きく影響しているのだろう。
気に入った相手にしか真の仕事をしない性格は、ゲームのナンバリング作品ではDQ2の【ドン・モハメ】などが当てはまる。
 
他方で、武器の威力を引き出し過ぎたバーンに対しても失望している。
「武器の力を引き出す事ができない使い手」は論外だが、「引き出し過ぎてどんな弱い武器でもそれに見合わない強化をする使い手」も彼にとっては評価の対象にはならないのである。
なぜなら、そんな使い手にはどんな武器を与えても非常識な強化をするため、相手を強くするに見合った武器を精錬する動機がなくなってしまう。
自分の存在意義を根本から否定する相手を評価できるはずもないだろう。
真バーンに至っては自らの手刀こそが最強武器だというのだから、なおさらである。
 
光魔の杖はドルオーラを防ぐなどの活躍を見せており、バーンの観点では役立つ武器なのだが、それがロンの目指す武器職人の方向性と比較したとき、明らかに相容れないのだとわかる。
バーンとロンでは、武器に対する価値観が根本から違うのだろう。
自身の矜持にそぐわない評価をするバーンに見出されたことは、ロンにとっては不運であった。
 
どんな武器でも異様に性能を引き出すバーンにとって相性が良いのは、「並外れた自身の力を遺憾なく発揮する機巧の武器」であって、「精錬した強い武器」ではない。
光魔の杖は、理力の杖にリミッターを外すという「発想」を付け加えた程度の産物に過ぎなかった。
作品作りを熱心に研究し、高度な技術と時間を費やして作った作品より、落描きのようにテキトーに作ったものの方が評価が高くなってしまうことは、現実世界にも往々にしてある。
そしてその落描きを「これはお前の最高傑作だ。今後は自分の専属画家になってほしい」などと言われれば、熱心な職人ほど侮辱的と感じ、頭に来るものである。
 
また、ロンは強い武器と使い手を求めてこそいるが、ただ強ければ良い、という考え方をしているわけではない。
剣に関して言えばロン並であるにもかかわらず、まだ付け焼き刃の技術しかない槍を取り、ロンにあしらわれてなお友との誓いのため鎧の魔槍の使用にこだわるヒュンケルに対し、ロンは未熟さへの叱責ではなく、満足そうな笑顔と暖かい激励を伝えている。
武器に対して思い入れを持ち活かしていく修行を怠らない人物に対しては、未熟な点があることは差し引くにしても評価する姿勢があることが分かる。彼自身の言葉にも武器と人は一つだった、というものがある。
この姿勢は、与えた武器を特に修行もせず最強武器に昇華させ、壊れて用済みとなった途端に踏み砕くバーンのそれとは対極である。
仮の話だがバーンが光魔の杖に強い愛着か敬意を抱くなり、その使用に工夫を費やし、ロンに製作時には思いも寄らない何かを見せていれば何かが変わっていたかもしれないが、バーンにとっては欠落した若さを補うのみで、ドルオーラを防いだ方法以外応用と言えるものはなかった。
そればかりか魔力切れからくる出力低下によって窮地に陥っており、武器の性能を活かすどころか莫大な魔力に頼った力ずくの戦闘スタイルを一貫するばかりで「魔力消費も膨大・急速なために、魔力の残量や稼働時間を意識しなければならない」という光魔の杖の根本的性質すらもまともに見ていない事が露呈している。
 
そう考えると、彼の「バーンは強すぎるから武器の与え甲斐がない」というのは建前に過ぎず、バーンのそういった姿勢を感じ取ったからこその決別だったのかもしれない。
実際、本編終盤でバーンの再度の誘いを即答で一蹴している。

余談 Edit

魔族は高い再生能力を持っている種族の筈なのだが、ロンの顔の傷は何故か再生しないままくっきりと残っている。
これには、他の魔族の再生の描写などを見るに、理由はいくつか複数考えられる。

  1. 暗黒闘気で受けた傷は回復呪文を受け付けないため、傷が残っている。
    →傷をつけたのはミストバーンであるため、暗黒闘気で傷を受けた可能性は十分にある。
    しかし「回復呪文を受け付けない」のであって自然治癒しないとは言っていない。
    何より、星皇十字剣で腕を負傷するよりも前、90年も前の話で、未だに治っていないのは不自然。
  2. 再生する・しないは本人の意思である程度調節が可能だが、再生可能な範囲は個体によって違う。
    →バーンが【閃華裂光拳】を受けて腕が壊死した際、再生に時間がかかるように見せかけた後、マァムの追撃を見て急に腕を再生させた。
    同じ理由で、ロンもあえて完治させずに傷跡を残す事ができる。
    バーンは壊死した腕を切り落として再生させているが、ロンが破壊された腕を切り落として再生させないのは、バーンほど再生力が無いから。
    この再生力の違いは単純に魔族としてのレベルの違いか、またはバーンはアルビナスから「死に瀕した超魔生物をも助けられる」と思われているほどの超魔力を持つため、魔族の再生力を超えた再生が可能である可能性。

バーンとロンの再生力の違いの真実は推測に留まるが、いずれにせよバーンほどの再生力があったとしたら、
ぶっちゃけ毎回自身の腕を壊しながら技を放っても問題なくすぐ再生可能なので、覚悟も何もあったものではない。
つくづく、ロンを白けさせるバーン様である。
ただ、現実においても傷の深さによっては傷口が塞がっても傷跡が消えないことは普通にあることなので、
ロンの場合もミストバーンから受けたダメージが思いの外深かったため、傷跡が消えずに残ってしまっただけとも考えられる。また顔の傷はバーンの顔に泥を塗ったケジメである(と同時にバーンとの決別の意識の表意ともとれる)のでそれを敢えて残すのであれば不自然ではない。

 
ちなみに剣士としても刀鍛冶としても作中最高の腕前を誇る彼だが、何より恐ろしいのはそれぞれの腕前は未だに発展途上であるという点。

  • 自らの腕前に見合う武器を持たない→武器があれば更に剣士として磨きが掛かる
  • その武器を未だに造れていない→いつか造ることを諦めておらず更なる向上を目指す

……という具合に、剣も鍛冶もロンの目指す到達点は現在のロンを以てしても更なる高みにある。
最終決戦で再び腕を壊すも、以前に70年掛かってはいるがきっちり治した経験を持つ彼がその程度で諦める道理は無い。
没になったとされるダイ大の続編がもしも実現していたら、その作中には真の最強剣士となったロン・ベルクが顕現していたのかも知れない。