【超魔ゾンビ】

Last-modified: 2021-01-08 (金) 09:20:08

ダイの大冒険

【ドラゴンクエスト ダイの大冒険】に登場するオリジナルモンスターの一種。
【ザボエラ】が掲げる三つの理想である
 

  • 自分の肉体は一切傷つかずに思い通り動かせ、なおかつ一方的に敵をいたぶれる能力
  • 変身型【超魔生物】である【ザムザ】戦で、自慢の再生能力を無視する技として猛威を振るった武神流【閃華裂光拳】【マホイミ】)への対策
  • 超魔生物改造による生命力の大幅な消費を改善し、自分がその能力をノーリスクで身に付けたい
     

以上を実現するため考案・製作された、「超魔生物第二号」にして、最早完全なる戦闘兵器の域に達した究極の超魔。
 
防御面はいざ知らず、火力や機動力などを含めた総合的な戦闘能力で見れば、第一号の超魔生物であるハドラーの方が明らかに勝っている。
だが、ハドラーの場合は素体が元々超一流の達人であるのに対し、超魔ゾンビは本来近接戦闘能力など皆無なザボエラが使用しても、肉弾戦でクロコダインを圧倒するだけの力が得られる。
しかも改造によって著しく体に負担がかかったハドラーとは違い、自身の体に一切負担をかけることなくノーリスクでそれだけの戦力を発揮できたのだ。

特徴

あらかじめ素材となるよう改造したモンスターを大量に用意し、その死体を「超魔合成」の号令と魔力で自身の体の周りに纏わせる。
数百匹分にも及ぶ大量の死肉の集合体は凝縮されて悪魔のような外見の巨大な人型に変化、ザボエラはその中に乗り込んで操縦する。
死肉から作られているため「ゾンビ」と呼んではいるが、実態はザボエラが直接操作する前提の人形やパワードスーツのようなもので、死体に【暗黒闘気】を吹き込みモンスターとして蘇らせる本作のゾンビ系モンスターとは異なり自律で動く事はできない。
剣と魔法のRPG的な世界観で言うなら、屍を材料にしたゴーレム(フレッシュゴーレム)の一種と言える。
部下の犠牲を前提にしつつ自分の強化と安全確保を図るという、人を踏み台にする事ばかり考えるザボエラの究極の結論ともいえる存在である。
 
【クロコダイン】を凌駕する怪力と巨躯に加えて、両腕からは骨の刃である「ボーンスキュル」を出して戦うが、特筆すべきは比肩するもののない圧倒的な防御力。
膨大な死肉の凝縮体が衝撃をゴムのように吸収するため、拳や鈍器で殴ってもダメージを与えられない。
剣や槍で貫いてもそのまま死肉に食い込んで抜けなくなり、体内の毒素で武器の方が腐食して破壊されてしまう。
攻撃呪文への耐性も超魔生物ザムザの時点である程度実現していたが、こちらは死肉でできているため、ホイミ系の過剰効果で生体組織を破壊する【閃華裂光拳】【マホイミ】)まで無効にする。
しかもゾンビ体は自我がなく、奥深くに隠れるザボエラとも直接つながっていないためダメージは伝わらず、痛みで怯むこともない。
腹部にある入り口は堅いガラス質の防壁に阻まれているうえに、内部のザボエラはさらに深くその奥にある死肉の中に潜り込んで身を隠したため、外部から操縦を妨害する事も不可能だった。
 
【ミストバーン】と互角の勝負を繰り広げた【ロン・ベルク】の強烈な一撃でさえノーダメージで耐え、それどころか無防備で頭に直撃した(どこを斬ろうと操縦者のザボエラにはダメージが伝わらない死肉の塊なので、特に頭部が弱点ということもないとは思われるが)にもかかわらず、逆に剣をへし折っている。
【グランドクルス】【ドルオーラ】のような飛び抜けて威力の高い闘気技や【メドローア】のような特殊な呪文まで防げるかは言及されなかったが、生憎これらの使い手がバーンパレスの攻略に向かっていた時を狙って現れたため作中で試されることはなかった。
【オリハルコン】すら捻じ切った【獣王激烈掌】を持つクロコダインはその場にいたが、それを使ってダメージを与えていた場面が無かった事から、通用しなかったか、使うまでもなく効果はないと判断されたのだろう。
 
その一方で、肉体改造ではなく操縦者に頼って動く人形なのは弱点でもあり、ロンとの戦闘ではダメージこそ防げても素早さや技量には対処しきれず捉えることが出来ていない。
劇中ではミナカトール防衛という目的があって主人公側の作戦が制限されていたが、戦闘後のザボエラは魔力を消耗していたため、【バーン】【光魔の杖】のように持久戦に持ち込まれたら魔力切れで機能停止するのではという推測もある。
 
ミナカトール防衛に残った実力者達を追い詰める強さを見せた超魔ゾンビだったが、ロンの「絶対的な防御力を上回るパワーとスピードで究極の武器を使えば切り裂く事が可能かも知れない」という分析を聞いた【ノヴァ】が敵わず散る覚悟を以て、命尽きるまで決して折れることのない【生命(いのち)の剣】で立ち向かおうとする。
その勇気と覚悟に感じ入ったロンはノヴァの行動を身を呈して引き止め、命を賭けるなら自分がやるべきと自爆覚悟で未完成の剣による【星皇十字剣】を発動。ロンの両腕の重傷と引き換えに超魔ゾンビは十字に切り裂かれ灰となって消滅した。
中身のザボエラまで倒すには至らなかったが、バレないように脱出するのに精一杯だったザボエラは程なくしてクロコダインに捕捉され、敢えなく討ち取られた。

余談

冒頭にも掲げたザボエラの「理想」は、対峙した【ノヴァ】から「最低の発想」と断じられ、劇中でも全体的に残忍で卑劣なやり方だと見なされている。
自分の受けるリスクを抑えつつ相手に一方的にダメージを与える事は規模の大小に関わらずあらゆる作戦の基本であり、考え方としては、パーティを組んだり防具を身に付けたり良い武器を装備したりするのとなんら変わらないどころか、同じ事はダイ達も積極的に行っている。
しかし、ザボエラはそれを修行やチームワークではなく他者の犠牲で実現しようとし、言動に目を向ければ、「勝利」ではなく「相手をいたぶれる」とわざわざ陰湿な表現を持ち出している。
クロコダイン、ビースト君、ロン・ベルクという強敵が残る中でミナカトールを阻止しかけており、戦力としては間違いなく強大だったのだが、その力で一気に勝負に出るでもなく、言葉通りじわじわといたぶって倒していくなど、その利己的な考えや性格の悪さこそが「最低の発想」だったと言えるだろう。
本来はミナカトールの魔法陣を消すことこそがザボエラに求められた任務であるのに、それを遂行することよりもいたぶって遊ぶことを重視しているあたりにもザボエラの陰湿さが伺える。
 
また、超魔ゾンビに利用する死体にはあらかじめ何らかの処置を施す必要があり、誰の死体でも良いという訳ではない。
この性質から必然的に、事前に処置を施せる味方を「材料」と見なし、しかもその味方が大量に死ぬのが前提になる。戦死した兵力を再利用出来ると考えれば普通のアンデッド型モンスターと同様の利点こそあるが、ザボエラの場合は利用するのを優先して、負傷者を治療もせず殺している。
それを覚悟の上で出撃したならともかく、【チウ】に助けられた2匹のピクシー系モンスターは自分達が使い捨て同然でパーツにされかけた事に驚愕しており、処置は無断で、あるいは実態を隠して行っていたと思われる。
沢山の部下たちを勝手に材料扱いして死を強いておきながら、自身一人だけはその犠牲で作られる安全な鎧に隠れるやり方もまた、正々堂々や真っ向勝負が尊ばれる作中の価値観からすれば「最低」であろう。
また、仮にこれで勝てても結局多数の兵力を消耗しているし、その後の部下の信用と士気が暴落するのは免れない。ザボエラ個人が物理的に無傷でも、魔王軍の兵力や指揮系統に大きな損害を与えているのでは、騎士道論を抜きにした軍指揮官の行動としても適切とは言い難く「敵軍を一方的にいたぶった」とは言えない。
ここに至るまでの行動で組織内の信用が一欠片も残っていないザボエラにとっては最早どうでも良かったのだろうが、超魔ゾンビの発想そのものが、目先の智謀に夢中でより大きな野望や知略に必要な周囲の協力には無頓着なザボエラの、視野の狭さの現れでもあった。
 
ザムザやハドラーのように、ザボエラが自身の肉体を超魔と化して立ち塞がったなら少しは評価も違ったかもしれないが、もともと小柄で肉体的にも衰えた老人の体がまともに強化できたのかは怪しいところ。改造技術を持っているのがザボエラ自身なので、自分で自分に手術をすることも困難だろう。
そうでなくとも超魔生物への改造は未知な点も多く、生命体としての寿命を大幅に縮めるというリスクもあり、「他人を改造するならともかく自分がなりたくはない」というザボエラ個人の身勝手さがクローズアップされてはいるが、自分を無理に改造せず他人の改造に専念しようとしたのは、研究者として合理的ではある。
仮に改造に失敗したり、敗北したりすれば最悪の場合改造者は死に至る。研究の第一人者であるザボエラが死ねばその時点で研究はすべて頓挫してしまうが、逆にザボエラさえ生きていれば改造体がいくら死亡してもそれは実践・実験データとなり、結果を活かしてまた次の改良型超魔生物を作ればいいだけの話になる。ザムザのケースは正にこれである。
だが、魔王軍は指揮官クラスでさえ個人の武勇が評価を大きく左右する組織で、しかも総大将バーンは「部下同士で競わせる」という考えの持ち主。
故に智謀に長けるが単純な戦闘能力で劣るザボエラは、役立つ発明や道具を生み出していながら武勲を上げていないからと軽んじられ、強者にすり寄っては渡り歩くその性格もあって、自身をサポート役として売り込めそうな同僚さえ失っていった。
保身と出世どちらの欲求も強いが肉体的には劣り協力者さえいないザボエラにとって、身の安全を確保しながら最前線に出る、そして直接的な戦闘で手柄を立てるには、部下を踏み台にした超魔ゾンビが最適であり、また、それぐらいしか選択肢がなかったとも言える。
個人の戦闘能力がインフレし、集団戦や物量作戦は突破されてしまう前提の作風の中で、雑兵を捨てて一つの強力な兵器に作り替えるのはある意味正しい選択なのも皮肉な所。
 
ザボエラは「前回の課題をすべてクリアして初めて“改良”という…!」なる言葉を残しているが、超魔ゾンビについては「超魔化と呪文の併用ができないという課題を克服していない」とツッコまれる事もある。
超魔ハドラーの段階で「改造型超魔生物で呪文を併用」の課題はクリア済みなので、超魔ゾンビにこの仕組みが適用できずじまいだったなら研究不足と言えるが、「呪文がなくてもザボエラが理想とする戦闘力は十分に得られる」という判断だったなら、「ノーリスクで相手を一方的にいたぶれるパワー」という理想への改良とは特に矛盾しないとも言える。
  
デザインは読者公募。
1994年末に発売された1995年のジャンプ1号にて募集された、オリジナルモンスター大募集のコーナーから【ジャッジ】、ドラムーンの【ゴロア】と共に採用されたものであり、投稿時の名前は「ハイパーザボエラ」。
審査員からはストーリーに合った設定だと評価され「三条賞」に入賞。
ゲーム作品ではスーパーライトにイベント限定モンスターとして登場し、細かな配色が判明した。

DQMSL

前述の通り、ザボエラの究極転生先のモンスターとして登場。