【超魔ゾンビ】

Last-modified: 2021-12-09 (木) 14:35:45

ダイの大冒険

【ドラゴンクエスト ダイの大冒険】に登場するオリジナルモンスター。
ゾンビとはいうが【くさったしたい】系や【アニマルゾンビ】系のような連中とは違い、角のついた頭に3つの目を持ち、グレーの毛皮に覆われた巨大な魔人のような外見で、腰の部分はご丁寧にも【ブーメランパンツ】状のデザインになっている。
 
【ザボエラ】が掲げる三つの理想である
 

  • 自分の肉体は一切傷つかずに思い通り動かせ、なおかつ一方的に敵をいたぶれる能力
  • 変身型【超魔生物】である【ザムザ】戦で、自慢の再生能力を無視する技として猛威を振るった武神流【閃華裂光拳】【マホイミ】)への対策
  • 超魔生物改造による生命力の大幅な消費を改善し、自分がその能力をノーリスクで身に付けたい
     

以上を実現するため考案・製作された、「超魔生物第二号」にして、最早完全なる戦闘兵器の域に達した究極の超魔。
 
防御面はともかく、火力や機動力などを含めた総合的な戦闘能力で見れば、第一号の超魔生物である【ハドラー】の方が明らかに勝っている。
だが、ハドラーの場合は素体が超一流の達人であるのに対し、超魔ゾンビは本来近接戦闘能力など皆無なザボエラが使用しても肉弾戦で【クロコダイン】をも圧倒するだけの力が得られる。
しかも改造によって著しく体に負担がかかったハドラーとは違い、自身の体に一切負担をかけることなくノーリスクでそれだけの戦力を発揮できた。

特徴

「ゾンビ」だけにモンスターの死体を素体としているものの、死体に【暗黒闘気】を吹き込み蘇らせる本作のアンデッドモンスターとは異なり、どちらかと言えば「屍を材料にした【ゴーレム】(フレッシュゴーレム)」の一種という方が近い。
 
また死体なら何でも良いわけではないようで、あらかじめ素材となるよう改造したモンスターを大量に用意しておく必要があり、仕込みをしていても死んでいなければ素材とはならない。
そのモンスター達が死んだ後にザボエラが「超魔合成」の号令を唱えるとザボエラの元に死体が集結、数百匹分にも及ぶ大量の死肉は魔力によって凝縮されて巨大な人型に変化、ザボエラはその中に乗り込んで操縦する。
その点ではゾンビ系モンスターというより、「死肉を材料にしたザボエラ専用パワードスーツ」といったところ。
部下の犠牲を前提にしつつ、自分は強化と安全確保を図って功績を独り占めという、人を踏み台にする事ばかり考えるザボエラ究極の結論を体現する存在でもある。
 
クロコダインを凌駕する怪力と巨躯に加えて、両腕からは骨の刃である「ボーンスキュル」を出して戦うが、特筆すべきは比肩するもののない圧倒的な防御力。
膨大な死肉の凝縮体は衝撃をゴムのように吸収するため、拳や鈍器で殴ってもダメージを与えられない。
剣や槍で斬り付けたり貫いてもそのまま死肉に食い込んで抜けなくなり、体内の毒素で武器の方が腐食して破壊されてしまう。
人工的に練り上げて組み立てた死肉の塊であるため、脳や心臓と言った生物としての急所や肉体構造上の弱点も恐らく存在しないだろう。
腹部の入り口という内側を狙えそうな部分はあるものの、堅いガラス質の防壁に阻まれている。内部のザボエラはさらにその奥深くに潜り込んで身を隠していたため、外部から操縦を妨害する事も不可能だった。
攻撃呪文への耐性も超魔生物ザムザの時点である程度実現していたが、こちらは死肉でできているため、ホイミ系の過剰効果で生体組織を破壊する【閃華裂光拳】【マホイミ】)まで完全に無効にする。
さらに自我の無い操り人形であるため痛みは感じず、怯むこともない。感覚が繋がっているわけでもないため、なにで攻撃されようがザボエラ本人は痛くも痒くもない。
 
【ミストバーン】と互角の勝負を繰り広げた【ロン・ベルク】の強烈な一撃が無防備で頭に直撃したにもかかわらずノーダメージで耐え、それどころか逆に剣がへし折れてしまった。
【グランドクルス】【ドルオーラ】のような飛び抜けて威力の高い闘気技や【メドローア】のような特殊な呪文まで防げるかは言及されなかったが、生憎これらの使い手がバーンパレスの攻略に向かっていた時を狙って現れたため作中で試されることはなかった。
【オリハルコン】すら捻じ切った【獣王激烈掌】を持つクロコダインはその場にいたが、それを使ってダメージを与えていた場面が無かった事から、通用しなかったか、使うまでもなく効果はないと判断されたのだろう。
 
その一方、肉体改造ではなく操縦者に頼って動く人形でしかないため、格闘戦を苦手とするザボエラはロンとの戦闘ではダメージこそ防げても素早さや技量には対処しきれていない。
人間側に「【ミナカトール】の魔法陣の防衛」という目標がありその場を動けなかったため大きな問題にはならなかったが、拠点攻撃以外の場合、素早い相手に対しては決め手に欠ける。
また、戦闘後のザボエラは完全に魔力が枯渇していたが、その直前まで魔力を気にする気配もなかったことから「時間経過で魔力が切れた」というよりも「超魔ゾンビを破壊されたことが原因で一気に魔力を失った」可能性が高い。
これについては「そもそも破壊されるはずがない」前提の耐久力を持っているものの、万が一撃破されてしまった場合、魔法で抵抗したり逃げることすらままならなくなるという、【光魔の杖】と似た致命的な弱点と言える。
念を入れるなら【キメラのつばさ】のような魔力に依存しない離脱方法は必須だろう。

戦歴

処刑場に【まほうのたま】で仕込んでいた【魔界】のモンスター達が地上の戦士達の奮闘でほぼ壊滅したことで、劣勢と見るやいつものように味方に押し付けて自分は逃走を図ろうとするザボエラであったが、元々ザボエラに強い不信と嫌悪を抱くミストバーンには泣き言も屁理屈もまったく通用せず、逆に自分の方が捨てられ地上に一人置き去りにされてしまう。
クロコダインに投降を勧められるがザボエラはそれを嘲笑い、瀕死の魔界のモンスター達を皆殺しにして隠していた奥の手である超魔ゾンビを作成する。
 
ロンやブロキーナすら手の出せない圧倒的な防御力を持ってミナカトールの魔法陣を狙い、防衛に残った実力者達をじわじわと追い詰めた超魔ゾンビだったが、ロンの「絶対的な防御力を上回るパワーとスピードで究極の武器を使えば切り裂く事が可能かも知れない」という分析を聞いた【ノヴァ】が敵わず散る覚悟を以て、命尽きるまで決して折れることのない【生命(いのち)の剣】で立ち向かおうとする。
その勇気と覚悟に感じ入ったロンはノヴァの行動を身を呈して引き止め、命を賭けるなら自分がやるべきと自爆覚悟で未完成の剣による【星皇十字剣】を発動。ロンの両腕の重傷と引き換えに超魔ゾンビは十字に切り裂かれ灰となって消滅した。
中身のザボエラまで倒すには至らなかったが、バレないように脱出するのに精一杯で全魔力とアイテムを失ったザボエラは程なくしてクロコダインに捕捉され、敢えなく討ち取られた。

余談

冒頭にも掲げたザボエラの「理想」は、対峙した【ノヴァ】から「最低の発想」と断じられ、劇中でも全体的に残忍で卑劣なやり方だと見なされている。
自分の受けるリスクを抑えつつ相手に一方的にダメージを与える事は規模の大小に関わらずあらゆる作戦の基本であり、考え方としては、パーティを組んだり防具を身に付けたり良い武器を装備したりするのとなんら変わらないどころか、同じ事はダイ達も積極的に行っている。
しかし、ザボエラはそれを修行やチームワークではなく他者の犠牲で実現しようとし、言動に目を向ければ、「勝利」ではなく「相手をいたぶれる」とわざわざ陰湿な表現を持ち出している。
クロコダイン、ビースト君、ロン・ベルクという強敵が残る中でミナカトールを阻止しかけており、戦力としては間違いなく強大だったのだが、その力で一気に勝負に出るでもなく、言葉通りじわじわといたぶって倒していくなど、その利己的な考えや性格の悪さこそが「最低の発想」だったと言えるだろう。
本来はミナカトールの魔法陣を消すことこそがザボエラに求められた任務であるのに、それを遂行することよりもいたぶって遊ぶことを重視しているあたりにもザボエラの陰湿さが伺える。
 
また、超魔ゾンビに利用する死体にはあらかじめ何らかの処置を施す必要があり、誰の死体でも良いという訳ではない。
この性質から必然的に、事前に処置を施せる味方を「材料」と見なし、しかもその味方が大量に死ぬのが前提になる。戦死した兵力を再利用出来ると考えれば普通のアンデッド型モンスターと同様の利点こそあるが、ザボエラの場合は利用するのを優先して、負傷者を治療もせず殺している。
それを覚悟の上で出撃したならともかく、【チウ】に助けられた2匹の【おにこぞう】は自分達が使い捨て同然でパーツにされかけたことに驚愕しており、処置は無断で、あるいは実態を隠して行っていたと思われる。
沢山の部下たちを勝手に材料扱いして死を強いておきながら、自身一人だけはその犠牲で作られる安全な鎧に隠れるやり方もまた、正々堂々や真っ向勝負が尊ばれる作中の価値観からすれば「最低」であろう。
また、仮にこれで勝てても結局多数の兵力は消耗しているし、その後の部下の信用と士気が暴落するのは免れない。ザボエラ個人が物理的に無傷でも、魔王軍の兵力や指揮系統に大きな損害を与えているのでは、騎士道論を抜きにした軍指揮官の行動としても適切とは言い難く「敵軍を一方的にいたぶった」とは言えない。
ここに至るまでの行動で組織内の信用が一欠片も残っていないザボエラにとっては最早どうでも良かったのだろうが、超魔ゾンビの発想そのものが、目先の智謀に夢中でより大きな野望や知略に必要な周囲の協力には無頓着なザボエラの、視野の狭さの現れでもあった。
 
ザムザやハドラーのように、ザボエラが自身の肉体を超魔と化して立ち塞がったなら少しは評価も違ったかもしれないが、もともと小柄で肉体的にも衰えた老人の体がまともに強化できたのかは怪しいところ。改造技術を持っているのがザボエラ自身なので、自分で自分に手術をすることも困難だろう。
そうでなくとも超魔生物への改造は未知な点も多く、生命体としての寿命を大幅に縮めるというリスクもあり、「他人を改造するならともかく自分がなりたくはない」というザボエラ個人の身勝手さがクローズアップされてはいるが、自分を無理に改造せず他人の改造に専念しようとしたのは、研究者として合理的ではある。
仮に改造に失敗したり、敗北したりすれば最悪の場合改造者は死に至る。研究の第一人者であるザボエラが死ねばその時点で研究はすべて頓挫してしまうが、逆にザボエラさえ生きていれば改造体がいくら死亡してもそれは実践・実験データとなり、結果を活かしてまた次の改良型超魔生物を作ればいいだけの話になる。ザムザのケースは正にこれである。
だが、魔王軍は指揮官クラスでさえ個人の武勇が評価を大きく左右する組織で、しかも総大将バーンは「部下同士で競わせる」という考えの持ち主。
故に智謀に長けるが単純な戦闘能力で劣るザボエラは、役立つ発明や道具を生み出していながら武勲を上げていないからと軽んじられ、強者にすり寄っては渡り歩くその性格もあって、自身をサポート役として売り込めそうな同僚さえ失っていった。
保身と出世どちらの欲求も強いが肉体的には劣り協力者さえいないザボエラにとって、身の安全を確保しながら最前線に出る、そして直接的な戦闘で手柄を立てるには、部下を踏み台にした超魔ゾンビが最適であり、また、それぐらいしか選択肢がなかったとも言える。
個人の戦闘能力がインフレし、集団戦や物量作戦は突破されてしまう前提の作風の中で、雑兵を捨てて一つの強力な兵器に作り替えるのはある意味正しい選択なのも皮肉な所。
 
ザボエラは「前回の課題をすべてクリアして初めて“改良”という…!」なる言葉を残しているが、超魔ゾンビについては「超魔化と呪文の併用ができないという課題を克服していない」とツッコまれる事もある。
超魔ハドラーの段階で「改造型超魔生物で呪文を併用」の課題はクリア済みなので、超魔ゾンビにこの仕組みが適用できずじまいだったなら研究不足と言えるが、「【竜の騎士】にも対抗できる最強の戦士」を目標としたハドラーと違ってザボエラの理想は「ノーリスクで相手を一方的にいたぶれる能力」であり、その目的に呪文は特に必要不可欠な機能というわけではない。
「呪文が使えなくてもザボエラが理想とする戦闘力は十分に得られる」という判断だったなら矛盾しないとも言える。
 
デザインは読者公募。
1994年末に発売された1995年のジャンプ1号にて募集された、オリジナルモンスター大募集のコーナーから【ジャッジ】、ドラムーンの【ゴロア】と共に採用されたものであり、投稿時の名前は「ハイパーザボエラ」。
審査員からはストーリーに合った設定だと評価され「三条賞」に入賞。
ゲーム作品ではスーパーライトにイベント限定モンスターとして登場し、細かな配色が判明した。

DQMSL

前述の通り、ザボエラの究極転生先のモンスターとして登場。