その他/【タクティクスオウガ】

Last-modified: 2023-02-28 (火) 19:56:44

概要

株式会社クエストが95年に発売したシミュレーションRPGの傑作で、ファイナルファンタジータクティクス(FFT)の原型といえる作品。通称TO。
同社が制作した伝説のオウガバトルに端を発するオウガバトルサーガと呼ばれるシリーズ作の第二作である。
 
FFTとはドット絵やストーリーのセンス、システム周りに共通点が多く見られる。
これは、このゲームの主要スタッフである松野泰己皆川裕史吉田明彦らが
スクウェアに移籍してFFTを製作したためである。
また、FFTと同様、サウンドも崎元仁岩田匡治コンビである。
たまに誤解があるが、スタッフ全員が同じわけではない。
FFTのスタッフはもともとスクウェア在籍のメンバーも多い。
一方でクエストに残ったメンバーはオウガバトル64、タクティクスオウガ外伝を手がけ、
後にFFTAシリーズの開発に携わっている。


主力スタッフがクエストからスクウェアに移籍した際、信者はそれはもう引き抜きだの何だのと叩きまくった。
無論、実際にはスクウェアの関与は全くなかったのだが。

  • もっとも移籍後の貢献度を考えればコストパフォーマンスは最悪。むしろ押し付けられたといっていい。まあ、役目が終わった人たちを過去のブランドだけで獲るほうも獲るほうなんだけど。
  • その後吉田氏は皆葉英夫氏率いるCyDesignationに移籍するが。その親会社であるCygamesの代表作であるグランブルーファンタジーはいわゆる吉田絵のようなタッチのキャラクターデザインである(実際にはキャラデザの担当は皆葉氏だが)。そのため時系列を知らない一部のユーザーはこちらが真似たあちらが真似たなどどお互いを敵視していることもある。歴史は繰り返すものである… 

開発元のクエストがゲーム開発事業をスクエニに売却したため、
現在は形式上はスクエニの商品ということになっている。
VC版でのメーカーも、ゲーム内を除きちゃんとスクウェア・エニックスと表記されている。


キャラデザはおなじみの吉田明彦氏。
氏特有の素朴な画風は相変わらずだが、ゲーム内の顔グラは何故か妙に濃い。
サウンドはこれもおなじみの、崎元・岩田コンビ。サウンドテストの暴走も相変わらず。


オウガバトルシリーズは人間たちの戦争の中にも、
割と普通にステレオタイプの天使だの悪魔だのがストーリーにかかわって来ている事が多く、
それらの知性を持ったファンタジー的存在が完全に脇に追いやられているこの作品は、
オウガバトルシリーズの中でも浮いてる方だったりする。

  • しかしこの作品ではそういう手合いに限ってドット絵が愛らしくなっており、
    ドラゴンやゴーストやグレムリンなど、人以外のユニットを多数投入するプレイヤーも後を絶たず、
    真面目な活用法についての議論も未だ盛んに行われている。
    が、ドラゴンはカワイイのかガチムチなのかで意見が平行線をたどる事もあったりする。
  • クレリックやプリーストはかなりかわいらしく描かれていると思う。人によってはドット絵を見て激しく妄想しているアレな人たちもいたりする。
    • 石化したヒドラが妙に可愛い。
  • オウガバトルの本筋から離れたTOが
    シリーズ随一の人気と知名度を誇っていると言うのも皮肉な話。
  • 伝説のオウガバトルの方だと既に指摘されているようにストーリーに天界が登場したり、破壊神が登場したり、オウガの復活が現実的な脅威として語られていたりと要は「人あらざる者」がストーリーの中心なのに対してTOの方は徹頭徹尾、基本的に最初から最後まで「人間」中心の話だったりする(最後のボスからしてもその傾向は明らかだと思われる)。
    逆にTOの方は亜人(フェアリーやホークマンなど)や天使、それに聖剣やオウガの名前を関した装備品は登場するもののあくまで脇役的な存在に過ぎず、扱いもそれ相応に軽くなっている。ストーリーの展開からするとFFTの方がファンタジー色が強いぐらいだ(名前からすればおかしくはないんだ、が)。

オウガバトルサーガという、全8章からなる物語の7章目…のはずだったが、5章目に当たる伝説のオウガバトルとこの作品が発売されたのち、松野の移籍によりしばらく音沙汰がなかった。
その後、クエストに残ったスタッフにより、6章目に当たるオウガバトル64が作られたが、それを最後に残りの章は出ていない。
そして、この作品の外伝を最後に、クエストは事業をスクエニに売却している。
残りの章を望む声は多い。

  • 2010年にタクティクスオウガのリメイクが発売されたことを考えると、シリーズの再始動もありえない話ではないと思うが…。
  • いやあ、悪いけど2020年4月初旬現在でだが、もう完全に無理じゃねえ?仮に出たとして今更感がぬぐえないし、そもそも8章のシナリオを完結させる意思があったかも疑わしいし。
    方向性的にはFFTと似ていてかなり政治的(現実的とも)な方面へ爆走してくれる。しかも途中でルカヴィとかゾディアックブレイブの伝説がメインになってきて人間同士の争いが端に追いやられる(と言うより不完全燃焼的な形で終結する)FFTに対してこちらの方は基本的に最後までその方向を直走っており、そう言う意味では全くファンタジーっぽくはない。
    FFTの方では舞台となるイヴァリース(畏国)が困窮に至ったのは対外戦争で実質的に敗北したせいで、その中から貴族制打破を求める民衆革命を目指すような勢力が出てきてそれがストーリーに絡んできたのに対し、TOの方では多民族国家であったヴァレリア王国は既に崩壊しており、その中に存在した民族的な対立がストーリーの主眼となっている。民族浄化政策や、ヴァレリアの混乱に乗じた外国勢力の介入(ローディスは勿論の事、ある意味ゼノビア王国も関わってくるがこちらは介入していると言うほどではない)があるなど、FFTとは違った方向でかなりドロドロしている。
  • そこらへんの(絶対的指導者の死去による多民族国家の分裂・内戦、民族浄化、大国の介入)事について、直接的にモデルとなったのはユーゴスラビア紛争だといわれている。

ただ、面白い事にどちらも教会・宗教がストーリーで結構大きな位置を占めている。FFTでは知っての通り獅子戦争教会の影響力を取り戻すために教皇が企んだものであり、TOの方ではブランタ司祭(バクラム・ヴァレリア国の指導者)や大神官モルーバがストーリーに絡んでくる。信仰心が全く関係ないわけではないが(フィラーハ信者による反乱が起きたりもするわけだし)、どちらでもクローズアップされるのは世俗勢力としての教会・教団・宗教であり、かなり生臭い。


グラフィックが似ており、ジャンルも同じSRPGだが、ゲームバランスはFFTとはかなり別物。
FFTを先にプレイした人が似たようなゲームだと思って挑むと確実に面喰らう。難易度もTOの方が高い。
最強育成法として後述のネクロリンカ法が有名だが、これは汎用ユニットの特権(固定ユニットは不可能or専用特殊能力を失って汎用ユニット化する)というのも、基本的に固定>汎用となっているFFTとは違う独特な点である。
といっても固定ユニットの多くはネクロリンカ法抜きでも元々強いので、どちらかが完全上位というわけではない。

リメイク版

スクエニの風習?に則ってサブタイトル付きのリメイクが決定した。サブタイは『運命の輪』。
オリジナルスタッフが集結してのリメイクのようだ。
キャラクターイラストは吉田明彦氏から政尾翼氏に変更される。吉田氏はグラフィック監修を行う模様。
イベントシーンはFFTA2に似た感じになっている。

  • 会話時にバストアップを表示と言うのは伝説のオウガバトルで既にやってる
    ゲームシステムは滅茶苦茶変わっており、トレーニングが削除されたりLPが新しく導入されたりFE方式の見下ろしタイプのマップ画面にできたりする。
  • 旧作の時には無かったスキル(=アビリティ)の導入や死亡ユニットからの継承等、よりFFTに近くなっているイメージ。
    また新キャラのラヴィニスは専用職こそ無いものの、固有職になれる女騎士という点でアグリアスを彷彿とさせる。
    ドット絵等の見た目こそ同じだが、ストーリー面もかなり手が入れられているので、新作と言っても差し支えの無いボリューム。

余談

システム以外にも共通点が多い、例えば
ガフガリオンは屍術師ニバスが台詞に「ン」を混ぜて喋る部分と、傭兵ザパンの、全ては金次第で、汚い仕事でもなんでも引き受ける非情な傭兵稼業という役割を受け継いだ人物像と指摘されてる。

  • 言動としてはザパンだが、大局的な目的のためなら非道な手段も辞さず、
    主人公の成長に大きな影響を与えるといったように、
    思想やシナリオ上でのポジションはレオナールに近い気がする。
  • オヴェリアはキャラをナイフで刺すナイフプリンセスという点が、カチュアに共通している。
  • ガフガリオンは彼の項目にも書いてあるがああ見えて意外と国を憂う国士だった側面もあるわけで、そう言う意味でも確かにザパンよりレオナールに近いと思う。

ちなみにこのゲームでも剣聖はバランスブレイカーである。何かが違うんだけど。

  • 肝心の剣とか剣とか剣だな。
  • 分かりやすく例えて言うと魔法剣を一回の戦闘に一種類しか装備して使えなくなった代わりに
    効果範囲が13パネルに広がったベイオウーフ
    ぶっちゃけ敵が密集しているところに石化魔法を打ち込めばそれだけで勝ったも同然である。
    どちらかというと狂っているのは石化魔法「ペトロクラウド」の性能な気がするが、どの道バランスブレイカーには違いない。
  • 実際にやってみると分かるが、先生と先生以外では命中率が恐ろしく違う。
  • ちなみにペトロクラウドだけじゃなくDEX値と同じダメージを与える必殺技「神鳴明王剣」を付ければさらにバランスが崩れる。
    • 必殺技自体はエクストラダンジョンで習得する訳だから別に良い気もするが…。
  • なお上記の剣聖とは別に「雷神」と呼ばれる強キャラもいる。
    ただしそちらの雷神は公式の呼び名ではなくプレイヤーによって付けられた通称だが。
    (そのキャラと最も相性の良い武器が「雷神の弓」であったため)

TOのメインキャラであるデニムを除名しようとするとラムザと似たような事を言う。

「…おいおい、僕を除名する気かい?きみの分身なんだぜ。」

また、ラムザと同じように姉弟がいるがアルマよりカチュアの方が良いって人はそんなにいないんじゃなかろうか…。
あと幼い頃からの親友と途中で道を分かつと言うのも共通している。
もっとも、ヴァイスの場合はえらくカッコ良くなって復帰する可能性もあるが
(もしくは素晴らしくカッコ悪くなって処刑されるかだが)知っての通り、FFTにはストーリー分岐が存在しない。
ディリータとラムザが和解する事は、ないのである…。


ネット上で時々見られる
「よぉし、この○○はおまえたちにくれてやる。好きにしろッ!」
「さっすが~、△△様は話がわかるッ!」
というやり取りの元ネタはこの作品。知らなくてもノリで使ってた人も多いのでは?
どんな状況だったかと言うと・・・ここではとても・・・

  • とりあえず、このセリフ並、いやそれ以上にヤバいことは明らかである。
  • なお、FFT発売20年を記念して松野氏が例の台詞とともにアグリアスのイラストを差し出している。
    そして「さっすが~、松野様は話がわかるッ!」と多くのファンが口にしたとか。

ちなみにこのゲームを強烈に特徴付ける魔法の一つに「スナップドラゴン」と言う(竜語)魔法がある。それの効果は汎用キャラクターの1人を剣に変えてしまうと言うものであり、その性能は剣にしたキャラクターの強さと完全に比例するため、限界まで強化したキャラクターを剣にした場合はお化けのような性能を持った剣を作る事ができる。
デニムが汎用キャラクターを雇う時に「デニムスペシャルソード」とか「名物日向正宗」のような名前をつけたらそれはもう完全に死亡フラグと言えるだろう。さすがに斬新過ぎるコンセプトだったのか他のゲームではあまり見られない。

  • そんな物より竜言語魔法ふたつを組み合わせて作る転生キャラ、通称ネクロリンカの方が遥かに強力、かつ残酷(!?)。
    キャラをアンデッド化させた後、ステータスはそのままにLv1の状態で、もとに戻せる。こうすることでLv上げするだけでlack以外の全てのステータスをMAXにしたキャラを作れる。
    兵士達は今日も動く死体にされたり、生き返されたりを繰り返される。何処の修羅界だよ……えっ、RPGなら死んだり生き返ったりはよくあるって?キニスルナ。

上の通称スナップ剣もこの方法を経て作られる事が多いが、そんな事するまでもなく、そのままキャラとして動かすだけで無双出来てしまう。
 
これの何が凄いかというと、この作品は将棋やチェスのように一人ずつ順番に動かす訳だが、FFTと同じく素早さの速い順に動くことになり、相手との差が大きければ相手が動く前に複数回動ける可能性があるのである。
通常はそこまで差が開く事はまず無いのだが、この方法で作ったキャラは、その差ざっと200~500倍の素早さになる。敵が一回動く前に、こちらは500回動けるのだ。
ちなみにFFTの場合、正攻法でスピードブレイクエール等を使っても最高で50倍が限界である。
当然攻撃力もカンストしており、作成こそ時間はかかるが、剣聖と呼ばれるTOの先生が相手だろうがFFTの雷神が相手だろうが、赤子の手を捻るも同然となり、軽く小突くだけで倒せる強さを得る事が出来てしまう。
某黄金聖闘士の如く、誰も抗えない無敵キャラの誕生である!!

  • 動画サイトでもネクロリンカで検索すれば出てくるだろう。強すぎるため最早ネタでしかないが……。
    • 「ネクロリンカ」の由来は「ネクロマンシー」と「リーンカーネイト」という二つの魔法を使うことからだが、ネクロマンシーの方は竜言語魔法ではない。

黒本の前身とも言える攻略本(出版社・執筆者共に同じ)が発売されていた。
内容的にも黒本と同レベルである。


FFTをシブくした感じ。という評価が一番的確だろう。
今さら疑うものか!私はおまえを信じる!!と言ってくれるのも、こっちではシブい難民のじいさんである。


FFT同様に物語がChapter1~4に分けられ、それぞれに付けられたタイトル(ルートごとに異なる)が主人公やその周囲を当てはめたものというのもFFTと同じ。
ただしFFTのそれよりも込められた暗喩が黒くドロドロとしている。
「駆り立てるのは野心と欲望、横たわるのは犬と豚」とか、松野氏のセンス全開である。

FF14

FF14蒼天のイシュガルドにヴァレリアン装備とバルダー武器という本作が元ネタの装備が存在する。
また「ディープダンジョン:死者の宮殿」ではニバスが登場し、本作のBGMが3曲使用されている。
なおこのニバス、偽物や別人ではなく、なんとタクティクスオウガの世界から転移してきた本人である。

  • ついでにニバスの回想シーンでは、わざわざ3Dモデリングされたデニムの後ろ姿が登場。
    (なお、この時ニバスは、ゴリアテの~とぼかした言い回しでデニムの事を話している)
  • 事実上のコラボでありながらこれらの要素は通常のコンテンツと特に変わらない扱いで登場している。
    開発メンバーにいわゆる松野組が多くいた関係で盛り込まれたファンサービスか