Days
ビーストキャッスルにて、ビーストとベルを見たザルディンが「野獣が愛などとは……まったくもって愚かな」と呟いたのに対し、ロクサスが放った爆弾発言。
純真すぎる故の疑問だが、ある意味、心を持つ全ての者に対する究極の問いかけであり、もはやキングダムハーツというゲームの枠すら飛び越え、現実世界でさえ明確な答えは見つけられないであろう生きとし生ける者の永遠の難題である。
さすがにあのザルディンも茶を濁すことしかできず、ミッション後、時計台で同じ問いを打ち明けられたアクセルの反応も
「は?」
そりゃそうだ。
ちなみにアクセルが出した回答は「友だち以上の特別な存在の間にだけ生まれる、それが愛だ」だが、ロクサスは納得せずにあまりに食い下がるので、結局「心がないノーバディには理解できないことだ」ということで始末をつけられてしまう。
ロクサスも不満顔。気になりすぎてその日のレポートまでその内容である。
ロクサスが心というものにより強く関心を抱いている証である重要なセリフ。
この問いの明確な答えは、Days内では最後まで明かされることはない。この問いのみを本気で探究して答えを出そうとすれば、Daysのストーリーどころかゲーム1本に収まる領域を優に超えてしまうので当然である。
ロクサスとの間で愛の芽生えがありえそうなキャラクターといえば、真っ先に挙がりそうなのはナミネやシオンの二人だろうか。しかし現状の作中描写を考えるとどちらのパターンでも微妙なところかもしれない。
- 「愛」と聞くとまず単純に男女間の恋愛的な意味のみで捉えられがちではある(この時などはベルとビーストの話から始まっているから余計にそうなるのだろう)が、実際には「愛」と一口に言っても恋愛だけではなく、友愛や親愛、家族愛、果ては対物性愛と言った様々な形が当然ながら存在する。
ロクサス・シオン・アクセルは親友であるわけで、そう考えると彼らの間にも確かに「愛」はある(あった)と考えていいのではないだろうか。
もっと言えばソラ・ドナルド・グーフィーの間にも、そして今まで彼らが出会ってきた人々との間にも、間違いなく「愛」はあるはずだ。- シリーズを象徴するソラのセリフも、そうやって解釈すれば一種の「愛の力」と言えるだろう。
この時のロクサスは、愛について執拗に問うてはアクセルを困惑させている。
- それらのやりとりは一部淑女のみなさまにもウケがよさげであり、それを差し置いても「愛ってなんだ?」というストレートな問いは、何かとネタ感が強く見られそうな発言である。
しかし本人としては大真面目なので笑ってはいけない。それにこれはロクサスが心というものに関心を持ち始めたことを示唆する重要なセリフでもある。
なお、時計台でこの話をする時にシオンは任務で倒れて眠っており、時計台には来ていない。
もしその場にロクサスと同じくらい純粋なシオンがいたとしたら、それはもう話がこじれにこじれてアクセルもてんてこ舞になるところだっただろう。
どうでもいいことだが、この話が挙がるミッションではプレイヤーに対し愛もへったくれもないほど鬼畜なハートレス、デモンズフォートレスを討伐せねばならない。
ためらわないこと……ではない。
- くやまないこと……でもない。
- しんじること……でもない。
KHIII
ザ・カリビアンにて、まさかのソラが愛について語ることになる。
エリザベスを助けようとしたウィルに対し、「愛か 愚かな気の迷いだ」「いとも簡単に引き裂かれる」と彼らの愛を嘲るデイヴィ・ジョーンズに対して、
「そんなことない!
まだ俺には愛がどんなものかよくわからないけど 心の強い結びつき 繋がりだってことはわかる
心の繋がりが簡単に引き裂かれたりするもんか!」
と発言している。
- ジョーンズには「おまえのようなガキに心の何がわかる?」と揶揄されたが。
まあ、彼自身が愛(というか恋)のせいで悲惨な運命を辿ったので、愛や心を語られても嫌悪するのはしょうがない。- 具体的にジョーンズの身に何があったのかというと海のように気まぐれな女神への愛から、不老不死と引き換えに10年に一度しか陸にあがれない呪いと死者の魂を冥界に運ぶ使命を受け、それを真っ当にこなしていたが、10年後に彼女は約束の場所に来なかったというもの。
- その失意によりジョーンズは使命を放棄して悪霊になってしまった。
- ちなみにジョーンズ自身も、この報復として女神を人間の体に閉じ込めるという裏切りを行っている。
- 具体的にジョーンズの身に何があったのかというと海のように気まぐれな女神への愛から、不老不死と引き換えに10年に一度しか陸にあがれない呪いと死者の魂を冥界に運ぶ使命を受け、それを真っ当にこなしていたが、10年後に彼女は約束の場所に来なかったというもの。
- ロクサスはきっとソラの心の中で「心があってもよく分からないって言ってるじゃないか!」と思っていることだろう。
そもそも今作は、ディズニー世界で愛が描かれる場面が多い。エリザベスとウィルだけでなく、ラプンツェルとフリン、アナとエルサ(こちらは男女の愛ではないが)の間にも、友達以上の心の繋がりが現れている。
ソラが「愛」という言葉を発することに象徴されるように、愛はKHIIIの隠れたテーマと言えそうだ。
- もちろん、美女と野獣やアラジンなど歴代のディズニーワールドにも愛はあったが、強くフォーカスはされていなかったり、仲間を思う気持ちと同じという描かれ方だった。今作のように、ソラや他の仲間が入れないほどの特別な繋がりを見せる描写は少なかったと思われる。
と言っても、前述されている通りこれまでずっと言ってきたソラの「繋がる心が俺の力だ!」というスタンス自体がそもそも「愛の力」と言えるので、単にソラにその自覚があるかという問題のような気もする…。
リッチを追って守護者たちの心を取り戻すイベントの最後にカイリと再会した際、ソラは彼女を見てラプンツェルやアナのことを思い出している。この時ソラは、カイリの気持ちが愛に近いものだと、直感的に理解したのではないだろうか。
- このシーンで思い出しているのが上記二名のみでヘラクレスとメグやエリザベスとウィルのことに触れていないことから、ここのシーンは愛のことではなく「カイリの持つニューセブンハート(セブンプリンセス)の力を実感した」シーンだと見ることもできるが、実際のところがどうなのかは明言がないので不明。
- ここで「愛」を実感したというのなら、それこそこちらの二組のことを思い起こしていないのは確かにやや不自然ではある。
- ヘラクレス達は前作のことで、ウィルの復活は不死の呪いを利用したものであるので、「今作で行われた愛による復活」というくくりならば、思い出すのがその二組であるのはそれほどおかしくはないが。
- ここで「愛」を実感したというのなら、それこそこちらの二組のことを思い起こしていないのは確かにやや不自然ではある。
エンディングのシーンで、友達と遊んでいる皆と離れ、カイリとソラは二人で手を重ね合っている。二人の間に、友達以上の繋がりがあることが読み取れる。
- ただ、この場面ではソラは消えてしまうため、ただの心象風景とも言える(よく見ると浜で遊んでいる皆の背後に映っている、二人が座っている筈のパオプの木には誰もいない)。決戦前日に「必ず結ばれる」という言い伝えを持つパオプの実を食べさせ合ったことで告白し合ったようなものといえるが、実際に二人の仲がどのくらい進展しているのかは定かではない(進展させる暇もないだろうが)。
- アルティマニア掲載の声優座談会において、ソラ役の入野自由氏はソラとカイリがパオプの実を食べさせあったことと「恋心を持っている」はイコールではないと解釈しているらしい旨を発言している。
- 実際、このシーンのソラの表情をちゃんと見てみると、寧ろカイリのおまじないの提案に対してかなり戸惑っているように見える。
- 上のDaysの項でも記述されているように、「愛」には恋愛以外にも多様な形が存在する。とにかく「お互いを大切に想っている」という認識をしておけば取り敢えずは間違いではない。
- 同じく座談会によると「パオプの実を食べさせ合わない」パターンもあったそうだ。
- ちなみに上記のリッチ討伐イベントが終了したタイミングで「カイリと再会した」実績のトロフィーを取得する。
- このことや実を食べさあせあった際のカイリとの会話内容を踏まえると、この時のパオプの実は「無事の再会」のためのまじないであったと見ることもできる…のか?結局またはぐれてしまってるけど…。
- どんなことがあっても必ず結ばれるらしいので、最終的に──ということでは?ただ、伝承である以上効果があるかどうかは公式の導く話のままに。
- アルティマニア掲載の声優座談会において、ソラ役の入野自由氏はソラとカイリがパオプの実を食べさせあったことと「恋心を持っている」はイコールではないと解釈しているらしい旨を発言している。