・七番目の守護者
進行内容
テオドールは、かつて冥王ハデスに仕えていた
元不死君だった。いま再び、彼の魂に
「冥王の聖痕」が刻まれているという。
ハデスを倒すためには、テオドールとハデスの
間にある「聖痕の繋がり」を断ち切らなくては
ならない。
ララ水道の「水園の決闘場」へ向かおう。
- ララ水道のYeggha Dolashiに話しかける
Teodor : ぬばたまの空に散らばる、
あの輝くひとつひとつが別の世界なのだ。
Teodor : そんな途方もないことを
言う賢者もいるが……。
Teodor : 君たちは
考えてみたことはあるかね?
Teodor : 星が見える、
ということは幸福なことだと……
Teodor : 頭上に広がる青い空を
大切だと思ったことはあるかね?
Teodor : このような
石壁に頭上を覆われていても……
Teodor : 地上に一歩出さえすれば、
頭の上に、青い空が、満天の星が待っている。
Teodor : 君たちは、それを疑っていない。
Teodor : だろう?
Teodor : だがな……
それは当たり前のことではないぞ。
Teodor : 戦いの前に、ひとつ昔話をしよう。
私が冥王と出会った頃の話だ。
Teodor : その頃は、彼は
冥王などと名乗ってはいなかったがね。
Teodor : 私は、彼の従者だった。
記憶さえも朧になるほどの遥か昔のことだがな。
Teodor : 彼は昔から野心に満ちていた。
Teodor : そして、強く──圧倒的に強く。
Teodor : 大衆を心服させる、
神性をまとっていた……。
過去の私もまた、そこに惹かれて従者となった。
Teodor : そう……当時の私は
彼の全てを尊敬し、羨望していた。
Teodor : そして、彼は、
あらゆる研究の末……
Teodor : 輪廻の理から外れて
遂には人間であることさえ越えることに成功した。
Arciela : 人間を、越える……。
Teodor : ……程なくして
彼は、この世界とは異なる「ある世界」を見出した。
ある世界?
見出した?
Teodor : そう、彼は
その世界を「タルタロス」と呼んでいた。
Teodor : そうだ。
我々の世界とは異なる世界、次元……狭間。
彼は、「タルタロス」と呼んでいた。
冥王と名乗ったのも、その時だ。
Teodor : そして、タルタロスから、
己の意のままに働く手下をかき集めた。
Teodor : 自身の理想を叶えるためにね。
Teodor : この世界にはいるはずのない
数多の闇の眷属、魔君と呼ばれるものたち……。
Teodor : 怪霊君も、変妖君も……
タルタロスから、冥王が呼び寄せた。
おそらくはあのバラモアという新しい不死君もな。
Teodor : 何故、そんなことがわかるのかって?
私は彼の第一の従者だったのだよ。
Teodor : いや今となってみれば、
下僕、というほうが正しかったのかもしれんな。
Teodor : 冥王に命じられ、
タルタロスへと赴き、
彼らを見出してきたのは私なのだ。
Arciela : おじさまが……!?
Teodor : 冥王となった彼が
大きく変わったのも、その頃だったか……。
変わった?
彼らを見出した?
いつの話?
Teodor : 人としての境界を越え
人智の及ばぬ力をその手にし、冥王自身がその先で
なにを見出したのかはわからない。
Teodor : 彼はこう語った。
Teodor : 『永遠に消えない
魂に刻まれし闇より、すべてのモノを救済すべく
死による、全から一への回帰を行う』とね。
Teodor : そのために、私が必要だと。
彼の言葉に一喜一憂し、私はこの異能を身に宿した。
Teodor : そう、初代・不死君の誕生だ。
Teodor : ……私も彼も、
君たち同様、元は同じ普通の人間だったのだよ。
Teodor : 復活した今も、
彼の思想は確固として揺るぎなく在る。
Teodor : いまこうして
魂が繋がっているからこそ、私にはわかるのだ……。
Teodor : だが、死は他人によって
勝手に決め、押し付けてよいものではない。
ごく普通の意見だろうがね、
当時の私はわからなかった。
Arciela : ……。
Teodor : 私は周りが見えなくなっていた。
それに気づかせてくれたのが、オーグスト王なのだ。
Teodor : 私は……、
オーグストと出会わなければ、
今でも冥王である彼に従っていただろう。
Teodor : 自らで考えることを止め、
冥王に逆らう者を倒すことだけを目的にして……。
Teodor : 常闇の中……
道なき道をただひたすら戦い、歩き続ける。
それが、私に許された唯一の世界だったのだ。
Teodor : そんな私の閉ざされた未来を
切り開いてくれた者こそが、オーグストだった。
Teodor : その時の彼は
光の龍よりも輝いて見えたよ。
闇に慣れた目にはいささかまぶしすぎたほどだ。
Teodor : ハーサーカが聞いたら
嫉妬するかもしれないがね。ふふふ。
Teodor : 彼は私を従者として存分に利用した。
Teodor : 私は、たったひとりで
タルタロスを彷徨い、立ちはだかるモノを倒しては、
冥王への忠誠を誓わせたのだ。
Teodor : 怪霊君、変妖君……
数多の闇の眷属たちがそれだ。
Teodor : そして、六の支公。
……光の龍である、ハーサーカもそうだ。
Teodor : 忠誠を誓えども、
彼らは真に冥王へは屈することはなく
長らく幽閉された……。
Arciela : 幽閉……。
Teodor : タルタロスには星はなかった。
見上げる空は青くなかった。
狭くはなかったが──閉ざされていた。
Teodor : そう……。
この地下水路と変わらぬ。
手を上に差し伸べても、
その手の先は閉ざされていたのだ。
Teodor : 未来と同じようにな。
Teodor : 彷徨っていた時間が、
一体どれほどだったか、覚えてはいない。
Teodor : 昼夜のない世界で
日を数えることほど無意味なものはなかった……。
ましてや、歳をとらぬ私にとってはね。
Teodor : タルタロスには戦いしかなく、
我が心は蝕まれ、次第に闇に染まっていった。
Teodor : あるいはそれすらも
冥王の狙いだったのかもしれないが……。
私と冥王の昔話はこれで終わりだ。
Teodor : 魂と肉体を切り離すことでしか、
魂に刻まれた聖痕を解放することはできない。
Teodor : オーグストはそれを知っていた。
だからこそ、私と全力で戦ったのだ。
Teodor : [Your Name]……。
私と戦って今度は君が勝つ必要がある。
Teodor : あのときのように。
Teodor : まさか、またも
繰り返されることになろうとは思わなかったが……。
Teodor : これも
運命というものなのかもしれんな。
Teodor : 長話になったな。
そろそろ始めるとしよう。
Teodor : 私に負けるようでは、
もとより、冥王は倒せぬ。
Teodor : では、若姫よ。
闘技場の外縁へ下がりたまえ。
Teodor : 目を逸らさず、
我らの戦いの決着を見届けてほしい。
Arciela : ……はい。
Teodor : 全力でゆくぞ。
見事に私を打ち倒してみせるがいい!
Teodor : まあ……。
まさか、あのときの彼のように、
君がたったひとりでくるとは思わなかったが。
Teodor : なにもかもが、
あのときのまま、か。
Teodor : ふふ……
少し私を舐めてやしないかね?
Teodor : まあよい。
年甲斐もなく奮い立つものがあるな……。
Teodor : 全力でいかせてもらう。
見事に私を打ち倒してみせるがいい!
Teodor : そうだ、
私を倒さねば未来はないぞ!
Teodor : ふふ、血がたぎるな……!
Teodor : しっかり耐えたまえ……!
Teodor : ふ、ふふ……。
君の……勝ち、だな……。
Teodor : ……出直してきたまえ。