火ヤク庫

Last-modified: 2024-01-14 (日) 10:00:29

2014年シーズンにおける東京ヤクルトスワローズ打線のこと。「セ界の火ヤク庫*1」とも。
『得点力』という意味であれば2015年以降は他チームの打線の方が上回っている事もあるが、山田哲人を筆頭に川端慎吾畠山和洋雄平ウラディミール・バレンティン坂口智隆青木宣親村上宗隆といった好打者・強打者が並ぶため、ヤクルトの代名詞として称されている。

【目次】


概要・生い立ち

2014年のヤクルト打線は、野手スタメン8人の平均打率は3割超え、投手までもが度々安打を放ち、大量リードしようが相手投手を炎上させ続ける様子から、他球団から「天災・災(ヤク)厄」「火だるまになりながら抱きついてくる」と呼ばれる程に恐れられた。
しかし同時にチーム防御率はワースト1位でシーズン順位は最下位。投打で火ヤク庫と呼ぶに相応しい成績でシーズンを締めくくった。


2014年 火ヤク庫打線一例

打率3割以上・本塁打30本以上・打点100以上・OPS9割以上は太字で記載。

打順守備位置名前成績
(打率/本塁打/打点/OPS)
1二塁山田哲人.324/29/89/.942
2遊撃森岡良介.276/2/31/.677
3三塁川端慎吾.305/10/69/.776
4左翼ウラディミール・
バレンティン
.301/31/69/1.006
5中堅雄平.316/23/90/.877
6一塁畠山和洋.310/17/79/.846
7右翼飯原誉士.306/4/29/.769
8捕手中村悠平.298/5/41/.733
9投手


その後の火ヤク庫

2015年

2015年
打撃部門のタイトルをヤクルトが独占、今浪隆博の代打打率、投手陣の重要な局面でのジエンゴなど打線が爆発。さらに投手陣が本業の投球でも奮闘したことで後半は首位をキープし、リーグ優勝を達成した。
日本シリーズでは山田が3打席連続ホームランを放つなど全くいいところがなかったわけではないものの、ソフトバンク相手に1勝しかできず負けている。

2015年 火ヤク庫打線一例

打順守備位置名前成績
(打率/本塁打/打点/OPS)
1中堅上田剛史.263/1/19/.619
2三塁川端慎吾.336/8/57/.822
3二塁山田哲人.330/38/100/1.026
4一塁畠山和洋.268/26/105/.815
5左翼ウラディミール・
バレンティン
.186/1/6/.629
6右翼雄平.270/8/60/.695
7遊撃大引啓次.225/5/41/.625
8捕手中村悠平.231/2/33/.575
9投手小川泰弘.109/1/4/.354

打撃タイトル獲得者一覧

タイトル獲得者成績
首位打者川端慎吾.336
本塁打王山田哲人38本
打点王畠山和洋105打点
盗塁王山田哲人34盗塁
最高出塁率.416
最多安打川端慎吾195安打
2017年

2017年
かつての勢いは無くなったが、10点差からサヨナラ勝ちを収めるなど片鱗を見せることもあった。

2018年

2018年
前年までMLBに挑戦していた青木宣親がヤクルトへ再加入を果たし、前年の貧打から一転、9回に限って下位打線でも控えでもヒットを打つ相手の抑え投手に襲いかかる火ヤク庫として復活し、特に中日が多くの被害に遭った。また「石山泰稚はヤクルト打線を相手にしないから抑えの成績が安定している」「ヤクルトは9回のみ打者全員が青木や山田、バレンティンになる」などと揶揄された。

2018年 火ヤク庫打線一例

打順守備位置名前成績
(打率/本塁打/打点/OPS)
1一塁坂口智隆.317/3/37/.800
2中堅青木宣親.327/10/67/.884
3二塁山田哲人.315/34/89/1.014
4左翼ウラディミール・
バレンティン
.268/38/131/.904
5右翼雄平.318/11/67/.805
6三塁川端慎吾.259/3/31/.663
7遊撃西浦直亨.242/10/55/.673
8捕手中村悠平.211/5/26/.572
9投手小川泰弘.121/0/1/.315
2019年

2019年
開幕カードこそは貧打であったがそれ以降は先発・リリーフ問わず燃やし回っており、開幕2カード目にしてセ球団全てから火ヤク庫の被害を受けた投手が現れ感情が消失するという事態に見舞われた。
しかしその勢いは長続きせず、不動のリードオフマンだった坂口が開幕3戦目に受けた死球の後遺症による成績不振に陥ったり、ここ一番での勝負強さに定評があった西浦直亨が離脱したり、いわゆる「プチヤ戦病院」状態になって以降、深刻なタイムリー欠乏症に陥ってしまう。その上、投手陣は依然安定した崩壊っぷりを見せていたため、交流戦前にはセ・リーグ最多連敗記録に並ぶ16連敗を喫してしまった。
なお山田・バレンティン・村上の3人で30本トリオを達成したため、セ界の火ヤク庫としての体裁は何とか保った模様。

2021年

2021年
開幕から青木・内川聖一・川端・西田明央らが新型コロナ陽性により自宅待機を余儀なくされ、新外国人のホセ・オスナとドミンゴ・サンタナの来日も遅れるという事態に陥ったものの、中村悠平の2番起用などの策や若手の起用が当たり、なんとか好調をキープ。その後メンバーが揃うと、主に下位チーム相手を中心に勝ち星を積む。後半戦になるにつれ、投手陣の覚醒・奮闘によりさらに首位との差を縮め、そして球審嶋田よそ見事件発生後、チームの結束力が高まったのかこの後13戦負けなしの9連勝を決めて阪神を抜き首位に躍り出し、そのまま逃げ切って6年ぶりのリーグ優勝。チーム全体の打点も両リーグ唯一となる600超えをマークした。
そしてその勢いはポストシーズンでもそのままに、CS・日本シリーズを着々と勝ち進み、見事20年ぶりの日本一にも輝いている。特にこの年の川端は故障の影響も考慮されて大半が代打要因としての出場だったものの、ほぼ1年間打率3割以上をキープし、日本シリーズ第6戦では日本一の決め手となる勝ち越し適時打を放つという無双ぶりを発揮した。

2021年 火ヤク庫打線一例

打順守備位置名前成績
(打率/本塁打/打点/OPS)
1中堅塩見泰隆.278/14/59/.798
2左翼青木宣親.258/9/56/.718
3二塁山田哲人.272/34/101/.885
4三塁村上宗隆.278/39/112/.974
5右翼ドミンゴ・
サンタナ
.290/19/62/.877
6捕手中村悠平.279/2/36/.718
7一塁ホセ・オスナ.258/13/60/.694
8遊撃元山飛優.255/3/17/.654
9投手
(代打)川端慎吾.372/1/18/.908


他球団では

他球団においても、投打ともに大炎上中のチームや、あるいは単に打線爆発状態のチームを以下のように称することがある。

チーム名称
広島東洋カープ薬庫
阪神タイガース火薬
東北楽天ゴールデンイーグルス

また、2018・2019年の西武は山賊打線で両リーグトップの得点を誇ったが、火ヤク庫と同じく防御率はリーグワースト1位だった。


関連項目



Tag: ヤクルト


*1 元ネタは「ヨーロッパの火薬庫」ことバルカン半島。20世紀初頭から第一次世界大戦まで、周辺国家や列強諸国の多様な思惑が交差しこの地に国際紛争の火種が燻っていた(実際に第一次世界大戦の直接のきっかけとされている「サラエボ事件」のサラエボもバルカン半島にある)事から称された。