【エリー】

Last-modified: 2020-03-18 (水) 22:20:40

DQ7

DQ7に登場するキャラクター。
過去【フォロッド】編のキーパーソンとなる。
英語版での名前はPS版ではEri。3DS版ではEllieだが、からくり兵のエリーはE.L.L.I.E.という表記。

1人目のエリー

まだフォロッドが平和だった時代に生きていた、フォロッド国の【王女】
当時フォロッド城に仕えていた【ゼボット】の婚約者でもあった。
ある日、ゼボットの兄【トラッド】と共に付近の森へ狩りに行った際に落馬し、帰らぬ人となってしまう。
突然ウサギが飛び出してきた為に馬が暴れ振り落とされたようで、誰も悪くない不幸な事故として語られている。
ただ死を逃れ得ない人間という存在に絶望したゼボットは、宮仕えを辞して【からくり研究所】へと1人で移り住み、「永遠に死なない存在」を求めてからくりの研究に没頭することとなる。
この内容は【キーファ】離脱後に過去のフォロッド城にいくと、彼女の妹が話をしてくれる。

2人目のエリー

ゼボットが長い研究の末に作り出した「からくりメイド」。
人の形をしてはいるもののその機能は未だ不完全であり、歩くことも会話することもままならない。
話しかけると胸のパネルに文字を表示する事で返事はする(単に定型文を出しているだけかも知れないが)が、それだけしかできない。
デリケートな部分も多いのか単に神経質なだけかは不明だがさわろうとするとゼボットに怒られる。
 
「3人目のエリー」完成と共にゼボットの興味とエリーとしての役割がそちらに移ってしまい完全に用済みと見なされ、研究は放棄、その後2人目のエリーは研究所の中で二度と顧みられぬまま朽ち果てていった。
しかも胸のパネルの「エリー」の部分も乱暴に消されて存在すら否定されている始末で、ある意味一番可哀想なからくりである。

しかも終盤になると調理器を除く他のからくり諸共なぜか消滅している。

3人目のエリー

元々は人間を襲っていた【からくり兵】。からくり兵とは色違いで、【ポンコツ兵】と同色。
3DS版ではオリジナル色のピンクになり、更に両手の武器が取り外されている。
故障した状態でゼボットの研究所に迷い込んできた事でからくり兵の実物を見たゼボットはその構造に興味を持ち、協力してくれるようになる。
 
ゼボットによって回路から「破壊のコトバ」を取り除かれ、花を愛でることさえ可能な温厚なロボットとして生まれ変わり、「エリー」と名付けられる。
名付けられた直後から人間の挨拶の言葉を自ら反復練習し、その翌日には自らの記憶メモリーを参照に「オハヨウゴザイマス、○○サン」と礼儀正しい振る舞いを身に着けており、学習機能の高さが伺える。
なお、悪意を取り除くことが出来たのはエリーだけであり、他のからくり兵は改造に至らなかった。
フォーリッシュの攻防戦の際に何機か手に入ったが、功績目当ての傭兵が話を一切聞かずに完全にトドメをさして破壊してしまったからだ。
 
からくり兵への命令は特殊な音波によって行われていると分かったゼボットによって撹乱音波発信装置が追加されており、フォロッド城に総攻撃を仕掛けたからくり兵団全軍を一瞬で無力化する。
その後【からくり兵団拠点】攻略戦でもからくり兵の無力化に貢献し、フォロッドに平和をもたらした。
 
だが、【フォーリッシュ】へと凱旋したエリーに対し、国民たちが向けたのは拒絶と憎悪であった。
もともと一介のからくり兵に過ぎないエリーは、多くのフォロッド国民の命を奪ったそれと同型だったからだ。
兄のカタキと叫びながら襲い掛かる少女に対してエリーは「たーげっとニンゲン ハンゲキ デキマセン」と防御するだけであり、ゼボットも反論するものの、つい先ほどまで直接的被害を受けていたフォーリッシュの人達には、エリーが此度の功労者であり無害な存在だと信じられるはずもなかった。
中にはからくり兵にエリーという名前を付けたことに対して笑うものまでおり、その光景を目の当たりにし、ふたたび人間に失望したゼボットはエリーを連れてその場を去る。
この出来事は【デスマシーン】撃破後、フォロッド城より先にフォーリッシュに向かうことで見られる。
 
その後はゼボットに連れられフォロッド城にも寄ったが、共に戦いエリーの活躍を見たはずの兵士にも疑いの目を向けられている。
一部にはエリーとゼボットを凄いと褒め称える人もいるが、「用済みになったんだから壊してほしい」と酷評する者もおり、ゼボットの数少ない理解者である婚約者の妹にさえ「あのからくり兵には心があるのでしょうか…ほんとうの心が…」と哀れに思われる始末。
これらの経緯からゼボットは二度と城へ戻ることはなく、それに従うエリーも研究所へと帰って行った。
 
それから数百年後の現代。
終生を独りで過ごしたゼボットははるか昔に亡骸となり、服装とメガネだけが生前の名残を留めるだけとなっていた。
だが、エリーは甲斐甲斐しくも亡きゼボットを生前と同様に介護し続けていた。
「永遠に死なない存在」であるエリーには、死という概念が理解できなかったのだ。
死を忌み嫌ったゼボットもおそらく死を教えなかったのだろう。

「ぜぼっと キョウモ ウゴカナイ……。ナニモ シャベラナイ……。」
「すーぷ サメタ。 ツクリナオシ……。」

ゼボットは晩年病に倒れ、安静が必要な状態だったらしいのだが「おいしいスープを飲めばゼボットは元気になる」と信じてスープを作り、スープが冷めるとまた新しくスープを作る。
これを数百年に渡り延々と続けていた。
3DS版では長い歳月が経過した影響でボディもボロボロになった非常に痛々しい姿になっている。
人間がとっくに死んで朽ち果てるほどの長い長い時間、ただゼボットのためを思い、決して息吹かぬ彼の傍に寄り添い健気にスープを作り続けた"彼女"の姿は、あの毒舌な【マリベル】をして「信じらんない…」と言葉を詰まらせたほど。
 
その後、からくり人間を研究していた【フォロッド王】に「いにしえのからくり兵を発見した」という報告が届く。
これでからくり人間の研究が一気に進むと意気込んだフォロッド王らによって城へと持ち帰られ、あちこち弄られた上に部品を抜かれて動けなくなってしまった。
 
エリーの事情を知るトラッド・ゼボットと一族の子孫【アルマン】【からくりパーツ】にて修理するも、再起動したエリーは目の前にいたアルマンをゼボットと思い走りよる。
運の悪いことにそこへ居合わせたフォロッド兵がアルマンが襲われていると勘違いし、攻撃してエリーを破壊してしまう。
一連の経緯を知ったフォロッド王はエリーの事情も理解し「エリーはもう、からくりなどとは呼べぬ存在なのだろう」と評価を改める。
そして修理されたエリーは再びゼボット宅へ戻されることになった。
 
エリーはまたゼボットにスープを作り始め、去りゆく主人公たちに向けて最後に伝えたのは……

「ア…リ…ガト…ウ。 えりー ウレ…シイ……。」

感情を持たないはずのからくりに、心が芽生えはじめていたのかもしれない。
 
良くも悪くも人間味ある話の多いDQ7の中でもかなりくすぐるキャラクター。
もはや面影すらなくなったゼボットのために何度もスープを作り直す健気な姿に涙したプレイヤーは多いはずだ。
 
【ユバール族の休息地地方】クリア後にゼボット宅を訪れると、彼の亡骸の横で静かに機能停止している。
その姿はまるで安らかな微笑みを浮かべているようにすら見えた。
数百年にも及んだ"天寿"を全うしたのか、ゼボットの死を悟り自ら機能を停止したかのどちらかは不明。
その際にマリベルは「これで良かったのよね、きっと」とコメントした。
一介のからくり兵として生を受け、その生い立ちから決して暖かくはない視線を受け続け、最期は最愛の生みの親の隣で寄り添うように眠るエリーの姿は、多くのプレイヤーの印象に残っているはずである。
 
なおストーリーを進めた終盤にフォロッド地方の人々が消えてしまう事態が起こるのだが、この時にエリーもゼボットの亡骸も一緒に消えてしまう。
彼らは埋葬されたと取れなくもないがここには意図的に人の出入りがない場所で、タイミングからもそう解釈するのはいささか不自然にも思える。
魔王はフォロッド地方にいたものは、生きている人間も死体も、からくりすらも無差別に消しているのだろうか。

漫画版

1人目のエリーは落馬ではなく、【ロイド】の研究の失敗により命を落としている。
そして、悲しみから逃れるために研究に没頭したゼボットによって、2人目のエリーが作られることになる。
3人目のエリーは同様のからくり兵ではあり、妨害電波を放つことができるほか、足と手が車輪に変更されており、エリーが四つん這いになることで人を乗せて移動することもできる。
 
からくり兵はロイド作のためか軍事目的のために利用しただけであり、現代の世界では存在していなかった。
そのため、現代でも2人目のエリーが動いており、3人目のエリーの代わりになっていた。
もう死んでしまったゼボットに対し、日々スープを作っていた2人目のエリーを見て、アルスはこう思う。
「人の心が宿ったからくりはもうからくりとは言えない…
ゼボットさんはきっと…永遠に変わる事のない愛を手に入れたんだ…」
そして仲間達と共に何も言わずその場を後にする事となる。
 
そして、漫画版では4人目のエリーが登場する。
ロイドが1人目のエリーを蘇らせるために作った人型のからくりであり、エリーの妹である【マリア】の魂を吹き込むことでエリーを蘇らせた。
本来は自分の命令に忠実に動くエリーになる予定だったが、オリジナルである1人目のエリーの魂が宿ることになる。
最後は、ロイドに致命傷を与えることでロイドを止め、ゼボットに別れの言葉を残して元のからくりに戻った。
 
だが、このエリーはロイドの知らないところで【メディルの使い】によって改造されていた。
このからくりは半永久機関自立式のマシン兵であり【デスマシーン】の起動装置になっていたのだ。
4人目のエリーはメディルの使いに回収されており、話が続いていれば再び現れていた可能性もあった。