【ポートピア連続殺人事件】

Last-modified: 2021-05-01 (土) 19:00:53

概要

1983年に【堀井雄二】が制作(シナリオ・プログラム)し、【エニックス】から発売されたパソコン用ゲームソフト。「ートピア」ではなく「ートピア」。
ちなみにポートピアとはかつて神戸の人工島ポートアイランドで行われた「神戸ポートアイランド博覧会(ポートピア'81)」が由来。その名の通り神戸市が主な舞台となる他、ゲーム終盤には堀井の出生地である淡路島の洲本市も登場する。
 
1985年に発売されたFC版では【中村光一】(チュンソフト)がプログラムを担当しており、堀井とは最初のコンビ作品となった。
パソコン版ではプレイヤーがコマンドを毎回キーボードから打ち込んでいたのだが、キーボードの無いファミコンのために堀井が考え出した「コマンド選択方式」が採用されている。
この方式は、パソコンでは同じ堀井雄二原作の【オホーツクに消ゆ】が初採用したが、ファミコンではこちらが先である。
 
プレイヤーは先輩刑事「ボス」となり、部下の「ヤス」にコマンドによる指令を与えることでゲームが進んでいく。
 
当時のファミコンにおいてはアクションやシューティングなどの「キャラクターを画面内で縦横無尽に動かすゲーム」が主流であり、RPGのような「文字がメインのゲーム」がすんなり受け入れられるかは疑問が生じる状態だった。
そこでプレイヤーに「画面の文字を読んで判断する」ということ自体に慣れてもらおうとの考えから、言うならばDQ1への布石として発売されたのがこのゲームであり、以後のドラクエシリーズ同様、当時の【ファミコン神拳】でも何度も特集記事が組まれることとなった。
 
ちなみにこの作品、一部のプレイヤーの間で異様な盛り上がりを見せている【うげっーー!!】【ぬおおおー! かっー!】といった類いのセリフも早々と登場している。
捜査の展開によってはヤスが麻薬の売人を逮捕することがあるが、このときに売人の男が
おとこ「げっー! しまったあっっ!」
と叫ぶのだ。この当時から堀井節は完成されていたというところか。
 
また、容疑者(もしくは参考人)の取調べの際に暴力を振るうコマンドがある等、現在の倫理観的には少々問題になりそうな要素もある。
もっとも「さあ言うんだ。ボカッ!ガスッ!」という、あまりにもベタベタな台詞と擬音には思わず噴き出してしまうプレイヤーも多いだろう。
ちなみに殴るのは男性キャラのみであり、女性キャラの場合は怒って帰ってしまったり、ヤスが拒否したりで実際に殴る事はない。
終盤で衝撃の結末が待ち構えており、これの結末はシークレット。
……なのだが、逆にこの内容が「世界一有名なネタバレ」とまで言われるほどに…。つまりそういうことである。

DQ1での言及

なお、DQ1のメルキドの町には、

*「ねえ わたしの ぽーとぴあと あなたの ドラゴンくえすとを かえっこしてよ」

と言う女性がいる。
どちらのタイトルにも、【よく使う20文字のカタカナ】以外のカタカナが使われているため、こんな中途半端な表示になってしまっている。
 
「中二コース」1986年6月号掲載の堀井のインタビュー記事によれば、ドラゴンクエストの開発中にプログラマーがふざけてゲーム内に歌舞伎町を作り、ポートピアのキャラクターの台詞(コミヤの「わっ、わしゃ知らん。」)を主人公に言わせたことがあったそうだが、もう消したとのこと。同誌でギャグ漫画の原作を手がけていた堀井節のギャグセンスがスタッフにも伝染したと言われている。
 
ドラクエ製作にまつわる実録漫画の体裁で作られた【ドラゴンクエストへの道】では、堀井や中村(に相当する登場人物)が「ゲームの世界観を壊すギャグは許せない」と息巻いているシーンがあるのだが、
DQ1にはその御本人たち現実世界の人物が紛れ込んでいたり、シリアスぶち壊しの【ぱふぱふ】も(台詞だけだが)既に登場していたりと、硬派な剣と魔法の世界観を厳守しているとはお世辞にも言えない。
もともとドラゴンクエストへの道は実録「風」漫画であり脚色が多いため、こうした事実や実態とのズレはいくつか見られる。

ゲームブック

双葉社冒険ゲームブックシリーズから発売されていた。著者は池田美佐。
なお池田は同シリーズですでに発売されていたDQ1のゲームブックにも制作者の1人として名前が載っているのだが、そちらには『ポートピア』の犯人をバラすモブキャラが登場している。

都市伝説?

「FC版DQ1で主人公に『やす』という名前を付けた上で【りゅうおう】取り引きに乗ると、本当に世界の半分をもらえる」という都市伝説が存在するが、試してみたところガセだった
…という調査報告が【みちくさ冒険ガイド】に載っているが、そもそもそんな都市伝説が本当に存在したのかどうかは不明。
都市伝説なんぞそういうものなのだが、本当にそんな仕様があってもおかしくなさそうな雰囲気は初期のゲーム作品ならでは……?

余談

本作及び次回作である「オホーツクに消ゆ」の他、誘拐事件をテーマとした「軽井沢誘拐案内」が1985年にリリースされており、これら3作をまとめて「堀井ミステリー3部作」と呼称されている。
 
「軽井沢誘拐案内」では三人称視点の2Dマップを進む調査シーン、コマンドRPG風の敵との戦闘システムなどが導入された実験的な作品となっている。
初代ドラクエの前年の発売であるため、恐らくは文字重視のテキストに慣れてもらうというポートピアの試みを一歩進めて本格的なRPGの要素を導入して試金石的な作品にするという考え方があったのかもしれない。
扱うものは誘拐事件なので殺人は起きないが、シリアスなムードで始まりつつ徐々にギャグ色が強くなるシナリオや濡れ場を含めたアダルトシーンが多かったりなど、前2作に比べてシステム面、物語の両面でかなりの異色な趣を放つ作品である。
 
そのせいか軽井沢は3部作の中で唯一ファミコン移植はなされなかったため、前2作に比べて知名度は低い。
 
ちなみに『軽井沢~』は本来4作目になるはずだった作品であり、その前にシベリアを舞台とした幻の3作目が開発されていたのだが、未完成に終わっている。
ただし『軽井沢~』発売後、DQ1発売前の取材でもPC向けの次回作として同作が言及されていることから、『軽井沢~』に続く4作目になる可能性も残されていたらしい。
また香港を舞台にした5作目の構想もあってタイトルだけは決定していたそうなのだが、これも中止になり、三部作で終わったという経緯がある。気になるなら調べてみると良い。