【ゆきのふ】

Last-modified: 2024-04-01 (月) 18:33:36

概要

DQ1に登場する人物名。彼についての情報を手がかりに【ロトのよろい】を見つけることになる。
また、DQ5以降【仲間モンスター】【NPC】の名前としても時折登場。
 
名前の由来は旧エニックス取締役でありドラクエをプロデュースした【千田幸信】から。
なおDQ1の【取扱説明書】には、名前入力の説明に

『ゆきのぶ』など4文字以内で登録できない名前のあなたは、『ゆきのん』など勇者らしい名前を考え、登録しましょう。

とあり、「ゆきのふ」の元ネタも「ゆきのぶ」であることを暗示するネタとなっている。
なお、FC版のDQ4までは主人公の名前は「゛」と「゜」も一文字扱いだった(→【名前】)。
 
また【堀井雄二】は『ファミコン通信』誌上でのインタビューにて、DQ3以降の作品のアイデアの一つとして「武器屋ゆきのふ一代記」というものを語っている(【天空シリーズ】参照)。

DQ1

【ドムドーラ】【武器屋】をしていた人物。
英語版での名前はNES版ではWynn、GB版ではYukinov、スマホ版ではMagog。「Magog」は聖書で神に敵対する勢力の名前だが、なぜ。
 
ドムドーラが滅ぼされたとき【メルキド】に命からがら逃げ延びたらしい。
彼自身はすでに亡くなっているようだが、実の孫や友人の孫などから彼に関する話を聞くことができ、

  • ロトのよろいはゆきのふという男の手にわたった
  • ゆきのふは自分の店の裏の木に何かを埋めた
  • ゆきのふはドムドーラで武器屋を営んでいた。店の場所は町の東の方。

ということが分かる。
よそ者である【主人公】があっという間にこれだけの情報を集めているのに、メルキドの人々の間で「ゆきのふは武器屋の裏にロトのよろいを埋めた」という話になっていないのは不思議な気がするが……。
 
リメイク版では【ゆうてい】など実在人物に由来するキャラクターは登場しなくなったが、DQ3でネタとして登場し下述のように多くの二次作品でも取り上げられたゆきのふだけは、元のFC版のままである。

小説版

さすがに違和感があるからか名前は「ユキノフ」とカタカナ表記。メルキドの長老と幼馴染だが、13年前に死去している。
メルキドで【道具屋】を営んでいるカゼノフという孫が登場する。
 
なお、小説DQ2では【ルプガナ】【船】の持ち主に「ハレノフ8世」という名前が付いていたが、ユキノフ及びカゼノフとの関係には言及されず。

アイテム物語

【アイテム物語】ではDQ1のゆきのふがよろいを手に入れた経緯が説明される。こちらでも名前はカタカナ表記。
 
まず【モンスター物語】【よろいのきし】のエピソードにおいて、ドムドーラで大魔道カトゥサの計略で弟アンガスをよろいのきしに変えられ、やむなく斬り捨てたグレイという戦士が登場する。
 
このグレイがアイテム物語【ひかりのよろい】のエピソードで再登場し、当時の国王ラルス8世からロトのよろいを隠すように命じられる。
ラルス8世から明確な移動先は指示されなかったが、旅の途中での洞窟での休息中にロトのよろいの製造現場の夢を見、さらに【精霊ルビス】から「新しい故郷で守るべき家族の家のそばに埋めなさい」とお告げを聞く。
目が覚めると夢の内容が描かれた壁の浮彫りを発見する。夢と違う点は最後の場面が巨木の根元に男がたたずむ絵であった。そしてその半日後にドムドーラへ辿り着く。
 
グレイがドムドーラへ着く前日には、同じく精霊ルビスから大きな樫の木がある町に向かえとお告げを受けた巫女が、青年と共にドムドーラにやってきていた。
樫の木があるのは武器屋の家の横である。
その話をきいたグレイは、浮彫りに描かれた巨木とルビスの告げた新しい故郷と守るべき家族の意味を理解した。
 
また、グレイがラダトームからドムドーラへ移動する間に、竜王軍では弟の仇であるカトゥサが【ゴーレム】の前にメルキドを陥落させることができなかったため、【竜王】に処刑された。
 
天上界では神々がドムドーラに到着したグレイを見ており、やっと二つの離れていた【ロト】の血が出会ったと呟いた。
その数年先、グレイは弟アンガスの婚約者だった武器屋の娘エリザと結ばれ、武器屋に伝わるユキノフの名前を継ぎ、そして2人の間に男の子が生まれることになる。
巫女も道中を共にした青年と結ばれ、女の子を産むことになる。
 
雨と太陽が重なる時、虹の橋がかかる。
グレイが知らずに宿していた太陽の血筋と、巫女が宿していた雨の血筋、この2つの血が交わって初めて勇者が誕生すると物語は締めくくられている。
 
つまりゆきのふはロトの血脈であり、DQ1の勇者の祖先に当たる人物である。
ロトの血が二つに分かれていた経緯や、エリザの父親であるドグルがユキノフの名前を継いでいない理由は語られていない。
 
ちなみにグレイがラルス8世から隠すようにと託されたロトの鎧だが、挿絵ではグレイは旅の道中ずっとこれを着ていた。ゲーム中の設定(ロトの武具はロトの子孫にしか使えない)を考えるとこれも伏線だったのかも知れない……が、隠せと言われたものを堂々と着ているのは如何なものか。
 
なお、DQ1に登場する【ラダトーム】国王は【ラルス16世】なので、ラルス8世から8世代を経ていることがわかる。このことは小説版では200年後、モンスター物語では数百年後とされていることとも合致する。
同時に小説版のユキノフがグレイと同一人物だとすると200年生きていたことになるので、小説版のユキノフは勇者と同じくグレイの子孫の一人なのだと思われる。

知られざる伝説

最後発となる【知られざる伝説】に収録されたゆきのふやメルキドに関する以下の話は、先に出た小説や「モンスター物語」「アイテム物語」と共有しておらず、あたかも偽史のように孤立した挿話となってしまっている。
先に出た書籍群には【横倉廣】が携わっていたが、数年の間を空けて出版された本書には携わっていないことと無関係ではないだろう。
 
名前はやはり「ユキノフ」とカタカナ表記。ドムドーラが滅ぼされた数年後にゴーレムの完成に立ち会っているほか、メルキドを守るために武器と防具を蓄えており、鍛冶をして自ら武器と防具を生産している描写がある。
挿絵をみる限りまだ若く「マリノフ」という幼い息子がいる。
息子の話によると、ドムドーラに魔物が攻めてきたときは店中の武器を町の人に分けて勇敢に魔物と戦い、何匹かはしとめたとのことである。
息子マリノフがゴーレムと友人になったことが、ゴーレムがメルキドの守護神になった一因となる。

ゲームブック(双葉社)

「シンペーじいさん」に名前が変えられている。これは同作のイラスト担当の【伊藤伸平】が元ネタ。
双葉社のゲームブックは旧エニックス社とは関係ないので問題なかろう。

DQ3

ドムドーラには 【武器と防具の店】が2つあり、町の東側にある方は

*「ここは ぶきと ぼうぐのみせだが
  いま うまれてくる こどもの なまえを
  かんがえてるので……。

と、商品を見せてもくれない。ますますがんばって働くべき時だと思うが……。
また、もう1つの大きな武器屋の前に

*「わたしに あかちゃんが
  できたんです!
*「それで うちのひとったら
  なまえを かんがえて
  ばっかり!

と憤慨している女性がいる。おそらく奥さんであろう。
 
この2人の夫婦仲が危ぶまれるところだが【ゾーマ】討伐後に旦那を訪ねると、

*「こどもは ゆきのふ と
  なづけました。
*「この なまえは きっと
  わたしの いちぞくに
  ひきつがれてゆくでしょう。

とのこと。DQ1の時代まで続くということだろう。
もっとも、DQ1のメルキドで会う子孫が「ゆきのふじいさん」と言っているところを見ると、ドムドーラを脱出し武器屋を廃業した時点で、その継承は途絶えたものと考えられる。
「ゆきのふ」とは【アレフガルド】では武器屋にまつわる何かを意味する言葉なのかもしれない。
 
ただし、NES版DW3ではDW1のWynnではなくYukinov(GBC版と同じ)となっている。

リメイク版

せっかくのネタが【エンディング】だけでは気付かれにくいとの配慮からか、最初から「ゆきのふ……。いまいちかなあ……。」と意中の案が「ゆきのふ」であることを明かすようになった。
しかし、いまいちかと思うような名前を子供につけ、しかも代々受け継がせていくとは……それでいいのか。
また、ゾーマ討伐後はこれに代わる隠し要素として赤ちゃんが誕生している描写があり、同作で唯一の「赤ん坊」のグラフィックが使われている。
なお、オープニングデモに登場する【主人公(DQ3)】のものとは異なるもの。
【へんげのつえ】で魔物に化けたり【透明】になったりして話しかけてもセリフは変化しない。
 
スマホ版の海外版では、ちゃんとDQ1と同じMagogという名前になる。

DQ4(DS・スマホ版)

【移民】として登場。外見はDQ7の【砂漠の村】の族長のもの。
【移民の町】が第4段階になると迎賓館に現れ、最終段階では城1階に住み着く。いつもカードゲームやレースといったギャンブルのことを考えている。

DQ5

表記はカタカナの「ユキノフ」だが、仲間モンスターの【まほうつかい】の3体目の名前として登場している。
詳しくはこちらを参照。

DQ6

【ベストドレッサーコンテスト】の出場者に、同じくカタカナ表記の「ユキノフ」という男性が登場している。

DQ7(リメイク版)

【モンスターパーク】に送った【メタルキング】3体目の名前が「ゆきのふ」。
今回はひらがな表記である。

ビルダーズ1

「伝説のかじ屋の子孫」である【ゆきのへ】が登場する。
【メルキド録】には伝説的なかじ屋だという事と、その子孫が今も何処かで生きている事が記述されていた。
「伝説のかじ屋」とはゆきのふのことと思われるが、そんなスゴい人だったとは初耳である。