KINGDOM HEARTS 358/2 Days

Last-modified: 2024-04-21 (日) 21:34:31

●『キングダム ハーツ 358/2 Days』 2009年5月30日発売 対応機種:ニンテンドーDS

略称は「Days」「358/2」「358」等。
主題歌は「Passion」。
 
FM版やリメイク作を除くと第4作目。開発はハ・ン・ド。
KHI」のとある出来事の後から、「KHII」が始まるまで間に起こっていた物語。
タイトルは『キングダム ハーツ スリー ファイブ エイト デイズ オーバー ツー』と読み、野村ディレクターが暗号のようなタイトルを以前からつけてみたかったこと、新作ゲームにそのようなタイトルを付けると敬遠されてしまうということから、ビッグタイトルであるKHシリーズなら問題ないとして名付けられた。
名前の由来は「358日を二人で分けあって過ごした」という設定から。
この「二人」というのが誰を指すのかディレクターは明確に語っておらず、ファンの皆様が決めるべきだと述べている。
358日に7日を足すと、ちょうど一年(365日)になる。KHIIをプレイしたことがあればこれにはかなり深い意味があることに気付くだろう。


Days

ストーリー

ノーバディとして生まれXIII機関のNo.13となったロクサス。生まれる前の記憶が無い彼は毎日の任務をこなしアクセルと時計台でアイスを食べるだけの日々であったが、ロクサスの機関入りから一週間後に仲間になった14番目の少女・シオンと関わるようになってから、彼の平穏な日常は大きく傾いていく。
 
本編での操作キャラ(主人公)はロクサス。
ミッションによっては他の機関員が同行するため、XIII機関ファンにとっては嬉しい限りである。

  • ミッションモードではXIII機関員の全員を操作可能。加えて条件を満たせばシオン、リクドナルドグーフィーと隠しキャラのを含む総勢19人のキャラクターを操作出来る。

ロクサスのXIII機関時代の物語。
一作目の終盤からソラの眠っていた約1年間が舞台となった、シリーズ初の前作よりも過去に遡った物語である。
また主人公も今までソラ(とリク)だったのに対して、今作はロクサスが主人公であり、彼の機関時代の姿及び機関の面々との日常が描かれた。
そのため、本作はシリーズの中では外伝作品の位置づけにあると言える。

新キャラにカイリそっくりの謎の少女シオンが登場。XIII機関なのにNo.14がいること、カイリのノーバディは既にナミネが登場していることで、彼女は誰のノーバディなのかと話題を呼んだ。

  • 実際はノーバディではなかったが。詳しくは当該記事で説明されている。

また、ロクサスが二刀流になった経緯が明かされている。


システム面での評価はともかく、ストーリー(特に後半)や機関員達の日常描写は人気が高い。
恐らくシリーズで最も賛否の分かれる作品であるが、熱心なファンも多い。
リメイクを希望する声も多々上がっている。

システム

モードは大きく2つあり、ロクサスを主人公としてストーリーを進める「ストーリーモード」と、ストーリーモードのデータを使用してマルチプレイが遊べる「ミッションモード」に分かれる。
 
パネルシステムのお陰でやり込みの幅はかなり多い。例えば、レベルがパネル依存なので、Lv1攻略をする際も入る経験値を気にしなくて済む。

  • このシステムには批判もあるが、ハマる人はとことんハマるシステムとなっている。

本作のボスハートレス達の多さ・強さ・面倒臭さは最早伝説となっている。ボスハートレスどころか、通常ハートレスまで厄介な奴が多い。各ミッションのボスだけではなく、ノーマル敵でもHPが異様に高いものが多く、面倒な攻撃をしてくる上、面倒な手順を踏んで攻撃しないとボコボコにされてしまうハートレスの新種が大量に登場する。
それでなくてもパネルシステム的に操作キャラを強化しにくいのに、トライアルミッションでは更に難易度を上げてくる。

  • だが、倒し方が分かると気持ち良い位に倒せる敵も多い。
  • 本編中の難易度ゆえ、ストーリーモード最終日のボス戦前までのロクサスのチートっぷりは感動モノである。
    この時の攻撃力は元の攻撃力になんと+685。あのネオシャドウ共を1撃で軽々と葬ることが出来る。また二刀流のコンボモーションはKHIIFMを彷彿とさせる。

ミッションに同行する機関員は基本的に皆頼りに出来るのだが、時々凄く邪魔になる。特にロクサスと離れるとテレポートしてくる仕様が(文字通り)壁になる。

  • 勝手にハートレス倒して取れるハートポイント減らすとか、強敵と戦っている最中に目の前に現れて攻撃の邪魔するとか、エアスライドの最中に目の前にワープして突き落としてくるとか……。

しかし、機関メンバーと一緒に仕事を出来るシステムは発売前から期待されていた。ゼムナスサイクス以外のメンバーは誰でも一回は同行してくれる。
城でのイベントも含め、彼らの意外な姿やロクサスに対する反応を見ることが出来る。
機関のファンならば必見の作品である。


今作のエネミーレポートは他の作品に比べて段違いに詳しい。敵の弱点はミッションの詳細画面にも載ってはいるのだが、更に詳しい攻略法まで載っている。
上記の通り、今作は面倒なハートレスが多いためのスタッフの心遣いだろうが、そういうことは戦う前に教えてください。

  • このレポートは、ミッション中にエネミーをロックオンすると、そのエネミーのレポートが追加されるようになっている。
  • メタ的なことを除いて考察するならば、今作と今作以外のレポートでは用途が異なることが理由かもしれない。
    ジミニーメモジミニーが見たままの物を記述している、いわゆる「旅の記録」の一部。
    今作のエネミーレポートは、全ての機関員がその種のハートレスを今後も相手にするために利用するデータであるため、特性や扱い方まで詳細に記されているのではないかと思われる。
    機関員はハートレスを利用したりする立場になることもあるし、また、調査やデータ採取は彼らの得意分野だし。

操作性やバトルシステム、多すぎる敵のHP、ミッション制等のシステム面に関しては批判が多い。
特に敵のHPの多さについては、弱点の魔法を多用できるようにしておくかクリティカルヒットの出やすい装備にしておかないとノーマル敵ですら倒すのに時間が掛かる程であり、ミッション制と合わせてゲーム全体が作業になっていることが問題だとも言える。

  • どの位HPが多いかと言うと、序盤でも中堅以上の敵はHPバー一本以上は当たり前、中盤~終盤になると多くの敵がゲージ一本越え。ボスにもなると10本以上になることも。酷い。

いささか耐久力が高すぎる感は否めないが、基本的に本作の敵はリフレクトガードや各種魔法の利用等「こう戦え」という解法が用意されているものがほとんどで、全く弱点が存在しない敵は本当に極わずかしか存在しない。
特に魔法の性能は回数制故かシリーズ全体で見てもトップクラスの超高性能ぶりであり、相手を選んで適切に使えば物理攻撃なんて目じゃない位の効率的な攻略が可能。
あのスカイルーラーも、無策での物理押しでは地獄だがファイア系の魔法をパネルに詰め込むだけで全然違うのである。

ミッションごとにガラリと装備を変更でき、スロット次第ではそれこそ限りなく使い放題に近いレベルで魔法を活用できる、他のシリーズとはかなり異なったゲームバランス。
アクションゲームとしての色合いが強い他のKHシリーズと比べると、今作はミッションに応じて装備を組み替えて解法を導くRPGとしての要素が際立って強い作品と言える。

  • KHII以前も魔法はかなり強力だったのだが、プラウド・クリティカルに挑むのでもなければ物理押しでもなんとかなるバランスだったがゆえに、なおさら本作の物理攻撃の弱さにギャップを感じるプレイヤーが多かったといえる。
  • ちなみに本作での物理技は、「たたかう」とリミットブレイクしかない。一応「たたかう」のコンボの組み合わせは武器によって違うが、今作の魔法のバリエーションの多さと比べても他作品の特殊物理技の多さと比べても雲泥の差といえよう。
  • ちなみに、本作の敵の防御力は実はかなり低めの調整で、しかもダメージ計算に上限を発生させる仕様が本作には存在しない。ある程度魔法力に特化して弱点属性の魔法をぶち込むと2~3ゲージ一度に持っていけることもザラ。物理に関してもクリティカル特化したり、リミットブレイクを活用することで魔法に近いダメージ効率を実現することは容易。
    これがHP半分で与ダメも半分ならKHIIに近い程度の水準に落ち着くので、パラメータの見せ方が若干マズかった、とも取れる。

とはいえさすがに難易度が高すぎると判断されたのか、海外版では全体的に敵のHPが下がり、気絶時間が長くなる、一度消えた敵が再出現する際は消える前のHPを引き継ぐなど難易度に大幅な下方修正が掛かっている。
なお、何故このように難易度が上がったのかというと、当時DSでは知育ゲームが流行っていたためにその反動で難しめにしてしまったらしい。


ちなみに、DSでのアイコンはシーソルトアイスである。
また、KHII同様セーブを行うとセーブデータにキャラクターの顔が表示されるが、本作ではロクサス、シオン、アクセルの三名のみ。
機種スペックの問題か、作成可能なセーブデータは三つだけ。

映像作品

「KINGDOM HEARTS -HD 1.5 ReMIX-」には、HD画質で本作のストーリーを楽しめる映像作品が収録された。対応機種はPS3。
なお、当初はCOMのようにフルリメイクすることも検討されていたが、開発に時間がかかりすぎてしまい、KHIIIの開発への影響も懸念されるため断念された。本作のストーリーは好評を得ているため、リメイクを希望するユーザーにとっては非常に残念な結果となった。


ムービーは約2時間50分という長さで、実にメインストーリーの70%以上がカットシーンになっている。
ただし、文字通り「ストーリーのみ映像化」ということで原作での戦闘部分に当たる描写がすべて省かれた状態となっている。お陰で戦闘前後の間が歯抜けしているため展開が若干掴みにくい場面も。

  • 特に終盤の重要な戦闘が丸ごとカットされているのには不満の声が多い。
  • 一応重要なシーンはしっかり入っているがラストのムービーはやはり物足りない。ゲームプレイ済みでも未プレイでもぽかーんとなるのは必至だと思う。
  • 今作でも戦闘部分の映像化も考えられてはいたようだが、尺がかなり伸びてしまう為に断念したとのこと。KH2.5にて映像作品として制作されたRe:codedは今作の反省を活かして戦闘部分も映像化されている。
    • 後にPS4に移植されたKH1.5+2.5のムービー追加のダウンロードコンテンツにて、ラスボスの最終形態との戦闘シーンが追加されたことで、物足りなさは比較的改善され、映像作品として完成されたと思われたが、ver1.05現在でも不具合でDAY174~奮起~にあたるシーンの後半の背景2枚分が黒塗りで表示されないままである。
      文字送りの静止画ダイジェスト部分で文字が読めれば物語の把握にはさして問題ないシーンだが映像作品としては映像が映らない致命的な不具合とも言える。
      なおPS3版のKH1.5や後にEpicGamesストアから発売されたPC版では上記シーンは正常に再生される。
      • PS4版の追加要素にて完成したと言える映像作品で映像が映らない不具合には不評の声も多い。

当初からストーリーは良いが画質が残念と言われていたため、ムービーを高画質で楽しめることに好評の声もあるが、XIII機関のメンバーをHD画質の据え置き機で操作したかったとの声もあり、ゲーム部分も含めたフルリメイクを希望する意見は根強い。
野村ディレクターもフルリメイクを望む旨を雑誌インタビューで述べていたこともあるが、未だ実現はしていない。

余談

ニンテンドーDSの発表時から「DSでKHを」という声は上がっていたが、DSがこれまでの携帯機とは全く異なるハードであったため、DSの機能を限界まで引き出すことをコンセプトに「すばらしきこのせかい」が先行して制作された。
その後、今度はDSでKHをどこまで再現できるかをコンセプトに本作の開発がスタートしたのだが、開発はかなり難航したようで、数度の発売延期を経てようやく発売された。

  • 発表当時から情報が公開される度に、かなりの頻度でUIが変更されており、開発の難航ぶりがうかがえるものとなっている。
    MPが回数制ではなくKHIIのようなゲージ制であったり、リミットブレイクが残体力ではなくゲージ制であったこともあった。パネルシステムも初公開時から製品版までにかなりの仕様変更が行われている。
  • 細かいところだと画面右下のステータス画面のロクサスの顔グラフィックも何度も変わっており、製品版のものになったのも発売直前であった。

上画面で現実、下画面で記憶を描写する、上下画面で異なる場面が映されるDSの2画面を活用した演出がムービーや戦闘中に行われる。

  • また、シオンの姿の見え方など、映像のギミックが多い作品である。
  • 画面別の演出は3DSで発売された3Dのオープニングデモでも見られる。

KHIIで敵だったXIII機関を主体に据えた物語であるが、KHIIのように機関員が普通のノーバディを率いている描写はない。
さらには出てくるノーバディもダスクサムライの二種類のみという悲しさである。

  • 一応、機関のメンバーは他のノーバディを統率する幹部のような存在なのに、どう考えても下っ端がやるべき調査任務などもミッションとしてある。マシンスペック的な問題はあるにしても、もうちょいどうにかできなかったのか。

なお、開発中はミッションモードをソロプレイする際は配下ノーバディをNPCとして連れていけるようにする予定であったが、これもやはりマシンスペックの問題でボツとなってしまったようだ。


ボツ要素としてはもう一つ、「ピノキオ」のワールドが登場する予定で実際に開発も進んでいたが、全カットになってしまったということも明かされている。
詳細はプランクスターズ・パラダイスの項にて。


ちなみに、本作は「ディシディア ファイナルファンタジー」の大本になったKHの対戦ゲーム企画から派生して誕生した。
その企画自体はボツになったが、作品の構想はDFFに、エッセンスは本作のミッションモードに受け継がれた。

関連項目