【さあ なけ! ないて ルビーのなみだを ながすんだ!】

Last-modified: 2020-05-19 (火) 21:00:12

DQ4

本編中に出てくる台詞の一つ。
貴重な宝石を生み出す力を持つエルフ【ロザリー】を狙った欲深い三人組のうちの一人が言い放った。
【エスターク】を倒した後、ロザリーのメッセージを夢として受け取ることができる【イムル】の宿屋に宿泊すると、登場した男がいきなりロザリーを殴りつけ、

*「さあ なけ! ないて ルビーのなみだを ながすんだ!
*「ごうじょうなやつ! これでもか!

この直後に【ピサロ】に見つかり、3人とも殺されるのだが、重傷を負ったロザリーも同時に命を落とすこととなった。
なお【エビルプリースト】が裏で糸を引いていたのはFC版・リメイク版双方同じだが、彼の動機はかなり異なる。
 
誤解されやすいが、これ以前に【ロザリーヒル】に行った時に彼女がまだ生きていたことからも分かるように、時系列は
「ロザリーが殺された→復讐のために地獄の帝王復活&天空の勇者抹殺を望む」ではなく、「ピサロが天空の勇者の芽を摘むためにあちこちで活動→ロザリーがやめるように嘆く→この惨劇」である。
地獄の帝王を復活させるべく奔走していたのと、天空の勇者抹殺計画の2つは最初からやっていたことであり、ロザリーが殺されたことの復讐は「進化の秘法によって自身が第2のエスタークになることを決心した件」だけである(この時点でエスタークは勇者に倒されているため、地獄の帝王関連の予言とは結びつかない)。
 
「過去にロザリーはルビー目当てに人間たちに狙われた所をピサロに助けられた」という説明はあるので、これ以外にもロザリーが人間に狙われることがあり、ピサロが人間達に嫌悪感を抱いていたのは間違いないようだが、第一章からの勇者抹殺作戦の動機が「ロザリー保護のためエスタークの力を借りたかった」なのか「それ以前からエスタークを復活させたかった」なのかはゲーム中では明言されていない。
ロザリーヒルのシスターが語るのは彼が過去にロザリーヒルに暮らしていたこと、および「世界を支配する」という野望を抱いて村を出たことのみである。
 
いずれにせよ過去にロザリーを狙っていた連中はピサロを歪め、彼に人間を滅ぼす野望を与えてしまった大元になっているため、【キングレオ城】事件や【山奥の村】の住人が皆殺しにされた遠因になっており、例の3人も目的を失って士気の下がっていたピサロに対し「ロザリーの報復のための人類抹殺」というさらにヤバそうな目的を与えてしまったのは確かなことである。
彼に最後の一線を越えさせ【進化の秘法】を使用させてエスターク以上の怪物を生みだし事態を悪化させてしまったあたり、この3人の人間達はモブキャラとしてはシリーズの中でも一際救いようの無い極悪人、世界規模の迷惑人間であろう。
ここまで迷惑なモブキャラは他に後のシリーズでもDQ8の【ドニの領主】ぐらいしかいない。
エスターク打倒前にロザリーヒルの宿屋を訪れると、後にロザリーを殺すことになる戦士が同内容の台詞を寝言で呟く。このことから、エビルプリーストが彼らを手引きをしたものの、特に洗脳等をされていたわけではないことがわかる。
大金持ちになりたいという欲望自体はありふれた願望で特別変わったものではないだけに、誰もが彼らのようになりえてしまうのかもしれないが、その点を踏まえても善良で無抵抗な女性に平然と暴力を振るう時点で擁護の余地ゼロだが。
その醜悪さはある意味あの悪名高き【ゲマ】に匹敵する邪悪な存在とも言える。
 
ちなみに主人公一行も偶発的にルビーのなみだを入手する機会があるのだが、音も無く崩れ去ってしまいゴールドに変化は無い。
既にロザリーは涙が枯れていたのか、あるいは涙の理由によってもルビーの質が異なるのか。
いずれにせよ、穏やかな方法ではまともなルビーの涙を得られなかったことが覗える。
 
男たちの台詞からロザリーは涙を流さずに堪えていたことがわかる。
そのため「我慢せずに泣いておいた方が虐待がエスカレートせず、死なずに済んだのでは?」という意見もあるが、上記の通りルビーの涙は人間がそのまま宝石として手にすることはできない可能性が高く、欲望を暴走させた男たちがそれを知ってしまえば、ロザリーに対して八つ当たり同然に更なる苛烈な暴行を行うであろうことは想像に難くない。
仮に宝石が砕けずそれを渡したとしても、金の成る木であることが明らかとなったロザリーを強欲な男たちがそのまま解放するとは考えにくい。
いずれにせよ身勝手な人間に捕まった時点で残酷な運命は決まってしまったのだろう。
 
ちなみに、人間の欲望や嫉妬といった感情が魔物につけこまれて惨事を招くという展開はシリーズでは本作が最初で、他にも【バルザック】やリメイク版の【キングレオ】の様に本人が魔物になってしまうパターンもある。
そして次作DQ5の【ラインハット太后】【グランバニア大臣】など、以降の作品で例をあげるとキリがないほどにある種のシリーズの伝統になっていく。
ただし、後のシリーズほど闇落ちする人間の事情が深掘りされる傾向にあり、本作のような同情の余地のない純粋なクズという印象ではなくなっている。
 
なお、この「貴重な宝石のために罪なき生き物に暴力を振う」展開は主人公側のイベントとして後のDQ8の王家の儀式 で再登場するのだった。
とはいえ、これ自体はあくまで儀式であって私欲のための行為ではない。また主人公側も話の流れで止む無く、渋々といった様子である。
やっていることは似たようなものではあるが、リザードはそのまま逃走しているので殺しているわけではない分よっぽどマシだろう。

リメイク版

メッセージの全文が

*「さあ 泣け! 泣いて ルビーの涙を流すんだ!
ロザリー「う…。 うう……。
*「くそっ! 強情なやつめ! これでもか!

となり、メッセージが少し追加されている。
 
イムルやロザリーヒルでは【ミネア】は「そんなことする 人間こそ 地獄に 落ちちゃえばいいのに……」と言い、【クリフト】は「人間と魔族、どちらが正しいのかわからなくなりました……」と悩み、【ライアン】は「何を守るために努力をしてるのか」と嘆きつつ、ロザリーを捕まえた人間を探したいと言う。
 

小説版

小説版ではロザリーをさらう黒装束の男たちは開拓民を扇動してロザリーヒルに向かわせ、開拓民がロザリーヒルを蹂躙している間にロザリーを攫って暴行しており、原作の「単に宝石がほしいという欲望にとりつかれた人間」とは次元が違う凶悪さになっている。
開拓民の方も些細ないざこざから仲間同士で殺し合いを始め、殺害した者の懐から金貨の袋を奪い取り「こいつは儲けた」などと笑っていたり、ロザリーをかくまっていた塔の中の品々を奪い取ろうとした所をピサロに見つかった際にはいけしゃあしゃあと「俺たちは黒装束の男たちにそそのかされただけだ」と黒装束の男のせいにしてピサロの怒りを買うあたり、黒装束の男たちと同類の存在である。
第四章終盤でオーリンを痛めつけ、第五章でライアンに倒された茶色い鎧のキングレオ兵3人(操られていたからか1人は生きて正気に戻っている)や、導かれし者達に濡れ衣を着せた【バコタ】、エドガンを殺害した【バルザック】(コイツは人間をやめてモンスター化しているが)など導かれし者達により制裁された悪人もいるが、こいつらは直接制裁できなかったのでその意味でも特に胸糞悪い悪人だと言える(代わりにピサロに殺されたが)。
 
欲望に魅入られることはよくある話だが、その末に人間としての最低限の理性のタガすら外れてしまうと、欲望そのものに正気を呑まれて邪悪な魔族と同じ…否、それ以上に醜い存在になってしまう「ダークサイドに堕ちた人間」を描いたイベントの一つ。