【てつのきんこ】

Last-modified: 2024-04-06 (土) 12:58:28

概要

DQ4とDQ10、トルネコ1、2に登場するアイテム。
その名の通り鉄製の頑丈な金庫で、肩紐のようなものがついている。
 
通常は【全滅】するとペナルティとして所持金が半分失われてしまうが、これを持っているとそのペナルティを回避できるという効果を持つ。
 
確かにこの中にお金を入れておけば、盗られることもなくなるだろう。
デザインを見ても、背負って持ち運ぶ冒険のお供として作られた物なのは確からしい。
だが、【はかいのてっきゅう】等の重量装備も可能な【トルネコ】なら可能と言うことかもしれないが
こんな魔物ですら盗むのを諦めるほど強固な鉄の塊を一商人が運ぶというのはかなり酷な代物ではなかろうか。
案外持ち歩けるほど軽量という可能性もあるが、その場合はてつのきんこごとかっぱらわれるリスクが…
(実際、4コママンガ劇場17巻のP10にも金庫ごと持ってかれるネタが描かれている)。

DQ4

第3章で、【レイクナバ】の宿屋の主人が鉄の金庫に関する情報を提供してくれる。
で、肝心の場所はというと……レイクナバからそう遠くない【レイクナバ北の洞窟】の最奥。
 
これが置いてある部屋は仕掛けがしてあり、部屋の入り口の開閉スイッチの上に金庫が置かれている。
金庫を取る前は金庫の重みでスイッチが押された状態になっており入り口が開いているが、中に入って金庫を取るとスイッチが解除されて入り口が閉まってしまい、出られなくなる。
自分自身がスイッチの上に乗っても入り口は開くが、当然意味が無いので、代わりに乗せるものを持ってくるか、金庫を元に戻して諦めるかのどちらかになる。
一応【リレミト】で脱出することは可能だが、第三章ではリレミトを使えるキャラがいない。
 
ご丁寧に、そんなに広くないこのフロアの手前の通路にいくつか岩が転がっている。
岩を押して運んできて、金庫を取った後に代わりに乗せてやれば金庫を持ち出せる。
なお「入り口が閉まりきらないように岩を置いてつっかえ棒にする」ではNG(岩が扉にめり込む)。何故だ?
 
余談になるが、FC版では【宝箱】を開けて金庫を手に入れると、いつもの空箱のオブジェクトではなく、模様のついたパネル(【回復の泉】等と同じもの)に切り替わる。
厳密には一度「空箱」のオブジェクトに切り替わったのち、空箱が消滅してパネルが出てくる。
結果的に宝箱が消えるので、宝箱のシンボルが鉄の金庫のフィールドグラを兼ねているような演出にも見える。
もっとも、いったん中身を入手した宝箱に元通りアイテムを戻すなどそれまでのシリーズでは(バグ技を除き)前例がなく、そのままでは置きなおせることに気付かずハマりだと思ってリセットしてしまう可能性もあるので、いかにも調べてみようという目印が代わりに配置されるのは親切である。
単に宝箱の蓋の閉じておくだけでも普通は調べなおしてみるだろうが、それでは不自然だったのだろうか。
 
ちなみにこのフロアには敵が出現しないため基本的に全滅できないのだが、洞窟内には【バブルスライム】も出現することを利用して【毒】を利用すれば【デスルーラ】で無理やり帰ることもできる(FC版限定)。
もちろん鉄の金庫があるため、お金も減らない。
普通に仕掛けを解けば問題なく帰れるので、わざわざそこまでする必要はないが、もし洞窟探索中に毒状態になってしまったなら、帰還ついでに無料で毒の治療(荒療治)ができるというメリットがある。
 
なお、第三章で手に入れても、第五章でトルネコが仲間になったときには所持していない。
この理由については、下記の「裏設定」を参照。
ならば五章になってから取りに行けばいい、と思うかもしれないが、効果が失われておりただの置き物になっている。
FC版では内部的には同じアイテムだが、第三章でしか効果が発揮されない(より正確には全滅時の処理に現在の章を読み込むステップがあり、第三章だった場合のみパーティメンバーの道具欄に鉄の金庫があるかを確認する)ようにフラグ管理されており、リメイク版ではアイテム自体が名前が同じ別のアイテムに置き換わっている。

メリットばかりか?

何万ゴールドと言う大金を動かす第三章において全滅のペナルティは計り知れないので、それを防げるこの金庫は、初心者ならば持っておくとたいへんな保証になるだろう。
つまり、迷わず取るべき非常にありがたい必須アイテム。
……のように聞こえるが?

  • そもそも死なない
    根本的に全滅のリスクはこまめなセーブによって軽減可能であり、全滅したらリセットで強引に帳消しすれば間に合う場面も多々ある。
    そしてある程度慣れたプレイヤーなら後半になると移動は全て【キメラのつばさ】で済ませるようになるし、この章自体討伐目標になるようなボスも極端に強い雑魚敵もいないので、全滅するような戦闘になる可能性がかなり低い。
  • アイテム欄の圧迫
    売り物の仕入れや第五章へ持ち越すアイテムを1つでも多く持つために、自分の店を持ったら武器防具を全て売り払ってしまうのが第三章のセオリーとなっている。
    そんな中、貴重品であるが故に売ることも捨てることもできないこれを取ってしまうと、アイテムを持てる数が第三章クリアまでずっと1個分減ってしまうのだ。
    鉄の金庫は珍しく元の位置に置き直せる特殊なアイテムなので、使わない時だけ置いてくれば良いと思うかもしれない。
    しかし一度これを持って脱出すると岩が元の位置に戻ってしまい、重しが無くなった石扉は閉まっている。
    これでは外部から石扉を開けることは不可能であり、一度持ち出したら二度と置き直すことができないのである。
  • アイテムコンプリートの障害
    第三章で取ると、第五章でトルネコを仲間にしてもトルネコは持っておらず単純に消えてなくなってしまうため、アイテムコンプリートができなくなる。
    これを回避するには第三章で取らずにおいて第五章で取るしかない。

以上のことから、ある程度慣れたプレイヤーなら第三章で取るのは得策とは言えず、むしろ地雷アイテムに近いものとなっている。言い換えれば、これを邪魔だと思えてきたら初心者を卒業するぐらい上達してきたということ。
 
同様に【女神像の洞窟】の各種アイテムも取らずに置いておくのがセオリーではあるが、アイテムコンプ的な意味を除けばこちらは「より役に立てるために」五章に残されるものであるのに対し、てつのきんこは「三章で取ると邪魔だから」持ち越されるだけ。
扱いが酷いが、やむなしである。
一方で、第三章で【ぎんのめがみぞう】を取りに行く選択をした場合は、それなりの資金を持った状態のトルネコが女神像の洞窟を探索することになるため、全滅のリスクを気にせずに奥まで強行できるメリットはある。けっして無意味なアイテムというわけではない。

裏設定

上記の通り、第三章で手に入れても、第五章でトルネコが仲間になった時には所持していない。
 
この件については、ネネが【預かり所】を経営するために使用しているという隠し設定がある。
以下、マイコンBASICマガジン1990年度6月号掲載の対談より引用

山下章:「てつのきんこ」ってアイテムがありますよね。第5章に行くと、どうしてトルネコの持ち物の中からなくなってしまうんですか。
堀井雄二:なくなってないんですよ、実は。あれは預かり所になってるんです。だから、預かり所に入れておいたお金は、主人公が死んでも半分にならないという……だれもわかってくれませんでしたけど(笑)。
山下:げげっ。トルネコの奥さんが、「てつのきんこ」を使って商売をはじめていたわけですか。
堀井:メッセージを入れておけばよかったなあ(笑)。

 
もっとも、トルネコがブランカ地方へ旅立つ前にネネが金庫を引き取ってくれるようなイベントはない。
トルネコは、自分の道具欄に金庫があるままブランカへ行ってしまい、第三章は終わってしまう。
鉄の金庫持ったままじゃん!
堀井曰く「メッセージ入れておけばよかったなぁ」とのことだが、全くもってその通りである。
ネネが金庫を引き取るイベントを作っておき、そこで金庫がなくなるようにしてくれれば、ストーリー上での矛盾もなくなるし、アイテム持ち越しの際にアイテム欄を圧迫せず邪魔にもならなかったのだが。
そして、FC版発売直後にそれを認識してたなら、リメイクの際にイベントを追加してくれてもいいのに。
 
ついでにいえば、第三章で金庫を取らずにクリアしてもネネは同じように預かり所を経営しているのだった。

リメイク版

洞窟では宝箱ではなく、そのまんま金庫の形のオブジェクトになっている。
 
上述の通り、リメイク版では内部データ上は同名のアイテムが2種類あり、第三章で手に入るものと第五章で手に入るものとは同名の別のアイテムになっている。
【てんくうのつるぎ】の扱いと似ているが、あちらは強化イベントで交換されるのに対し、こちらは同じ場所で手に入るアイテムがわざわざ置き換わる処理がされている。
そのため、アイテムの説明文も異なり、五章の方は

もってるだけで こうかがあった

ぜんめつしても おかねが へらなかった

と過去形になっている。
【みる】【みせる】を使用したときのトルネコのコメントでは

でも 今は こわれてる みたいですね……。

という理由付けがされており、DS版以降ではその説明のとおり扉がひしゃげたアイコンになっている。
これを手に入れようとして扉の仕掛けを解除できなかった冒険者が腹いせに壊していったのか?
もしそうだとしたら、そんなに簡単に壊せる金庫なんて存在意義があるのか?
そもそも、そんなに簡単に壊れるならなぜ魔物との戦いで倒されても壊れないのだ?
という新たな疑問が生まれてしまうが。
 
上記の裏設定を考えると、第三章のあとプレイヤーの知らないところでトルネコが回収したことにして洞窟から消失させても問題なかったと思うが、後述の称号を設定するための要素としてこの抜け道を残したのかもしれない。
 
仲間会話では「【導かれし者たち】とその協力者しか教会で生き返れない」とブライが発言する。
もしそれが本当なら、そもそも一般人がてつのきんこを手に入れても意味がないということになる。
 
第五章で勇者のレベルが3~9の間に入手すると【頭脳プレイヤー】の称号が手に入る。
称号とは裏腹に第五章で回収しても何の役にも立たないが、この称号が欲しければ取りにいこう。
勇者にあまり経験を積ませずに直行する必要があるが、【ミネア】【マーニャ】がいれば何とでもなる。
先述の通り金庫の部屋で閉じ込められてもリレミトで脱出可能なので、岩を運ぶ手間も省けたりする。
一方で第三章ではこれの入手に関係する称号はない。【旅の金庫番】というそれっぽい称号があるが、金庫を入手しているかどうかは関係ない。
なお、本作の称号は次に取得した称号で上書きされて履歴が残るわけではないので、ただの自己満足以外の要素はない。
特にDS版以降であれば道具枠の圧迫というデメリットもないため、アイテムコンプにこだわらないなら、これを取得することに関して一切のデメリットは存在しない。
 
PS版では移民の【グレント】もこれを探し求めており、商人の間では憧れのアイテムとなっているようだ。

DQ10オフライン

【だいじなもの】の一つで、表記は「鉄の金庫」。Ver.2のクエスト【伝説の防具を求めて】のクリア報酬として入手可能。
効果はDQ4の第三章と同じ。「だいじなもの」枠なのでDQ4(FC・PS版)と違ってアイテム欄を圧迫する心配がなくなっている。
しかし、全滅後にオートセーブからやり直す主義のプレイヤーならば必要なく、単にクエストのコンプのために結果的に手に入るアイテムとなってしまう。

DQ10オンライン

クエスト「伝説の防具を求めて」のクリア報酬として入手可能。
ロードによるやり直しが効かず、所持ゴールドがプレイヤーの強さに直結する同作では非常に重要で必須アイテムと言えるレベルである。
初見殺しを始めとした全滅要素も多いので、DQ4の頃のデメリットを完全克服したと言える。
詳細はこちらを参照。

トルネコ1

【不思議のダンジョン】10階に必ず落ちている。
お金をためて店を大きくするのが目的なら、これを取ってから死ねば所持金半減することなく全額持ち帰ることができる。
しかしお店の発展段階の後半になると数万Gという大金を稼がなければならず、一度の冒険でそこまで稼ごうとすると、これのほぼ上位互換の【リレミトの巻物】が落ちている地下20階より深く潜る必要が出てくる。
そもそも運次第では地下10階以前でもリレミトの巻物を拾えることがある。
ただし、リレミトの巻物はトルネコが行動可能である(眠っていない)必要があり、かつ使う間もなく事故死するパターンもあるため、持っているだけで効果のある鉄の金庫の効果は侮れない。
トルネコの店に倉庫ができるまではリレミトでアイテムを持ち帰っても保管できず全部売るだけなので、実はリレミトの巻物のありがたみはそこまで高くはない。
とは言え、アイテム欄が圧迫されてきてリレミトの巻物との2択に迫られれば、多くのプレイヤーはこちらを捨てることになるだろう。
 
お店の発展のための資金は必要額を越えると無駄になるので、(前回の持ち帰りアイテムの販売額も加味して)所持金が半減してもなお必要額に足りている場合は躊躇なく捨ててもかまわないだろう。
店が最大まで拡張された後はGを持ちかえる意味がないので無用の長物。
 
なお、金は取られなくなってもこれ自体はしっかり取られる。
…中に金を入れているならこれを取られればむしろ全額取られる事になるはずだが…。
そもそも石につまづいて金庫を落としたり、【ベビーサタン】に金庫をかっぱらわれてもお金は減らないし、金庫を持っていても【わらいぶくろ】にお金は取られるので、明らかに冒険途中ではお金はここに入っていない。
まあ、細かい事はツッコまないでおこう。
 
アイコンは専用のものが用意されている。
時々これに化けているマヌケな【ミミック】もいる。まあ、初見プレイヤーだと同じ見た目の別のアイテムかと思う可能性もあるので、絶対に騙されないとも言い切れないが…。
 
作中では、不思議のダンジョンの宝がこれではないかという推測を【マギーばあさん】から聞ける。
しかし、上記の通りリレミトの巻物の方がすごいという反論が、【ネネ】から出る。

トルネコ2

火吹き山クリア後にレミィの【魔法屋】で2000Gで購入できる。
今作ではさほど必要ではないだろう。

トレジャーズ

【お宝】の一種として登場。

お宝No.259
レアリティトレジャー
カテゴリーヒストリー
コレクションだいじなもの
標準価格500,000G

商品化

1990年頃、実際に商品化された事がある。
ゲーム同様のデザインで、背中に背負うこともできる。

余談

「風来のシレン2」でも、鉄の金庫とほぼ同じ効果を持つ「ちょきんの壺」というアイテムが登場したことがある。
しかもこちらはストーリーダンジョン初級の1階に必ず落ちているため入手も容易。
…が、単体でアイテム欄を3つも埋めてしまうため、ものすごく邪魔という欠点がある。
こちらでもトルネコの鉄の金庫と同じく、「邪魔なことに気付けたら初心者卒業」と言ったところか。