ティーブレイクタイム

Last-modified: 2021-01-02 (土) 14:11:15

●登場人物
シルヴァ・レインワークス:銀髪の淑女。
ユーナ・パトリック・フィッツサイモン:金髪の魔術師。
 


 
 
「アフタヌーンティー…ですか?」
「ええ。貴女も是非参加してください」
 輝くような金髪の彼は────私に面向かって、そう誘い掛けてきた。
 
 
【ティーブレイクタイム】
 
 
 この世界において魔術師が集う組織、魔術協会の総本山と目されるのがロンドンの時計塔である。
 その第六学部・伝承科(ブリシサン)に所属する魔術師は「本食い虫」と渾名されている。
 この学部に集う魔術師は決まって知識欲の権化、ただひたすら書物を読み漁り知識を貯め込むような物好きであるためだ。
 ロードも滅多に授業に顔を見せず、学生はただ時計塔の膨大な蔵書を自らの脳髄に叩き込むことに一生を費やしている。
 
 そんな中、美しい銀髪を翻して本に埋もれそうな廊下の中を闊歩する女性が居た。私ことシルヴァである。
 自画自賛となるけれど、足取りは美しく、まるで澄み渡る湖の上を優雅に渡ってゆく精霊のようだ。
 私はダンジョンとも称される時計塔の複雑な廊下を迷いなく歩いてゆき、一つのドアの前で足を止める。
 ふぅ、と息を整えると、そのドアに掛かっているリングノブで軽くノックした。
 
「いらっしゃい、シルヴァくん」
 ドアの向こうでは際立つルックスの若い男を中心として、10人ほどの年若い男女がテーブルを囲んでいた。
 中心にいるのはユーナ・パトリック・フィッツサイモン。
 伝承科の古株にして、どこか高貴な雰囲気を感じさせる男だ。私をこのティーパーティに誘ってくれた人でもある。
「お呼びいただき有難うございますわ」
 私…シルヴァ=レインワークスは、スカートの袖を摘んでくいと膝と腰を曲げ、高貴かつ優雅に見えるように挨拶をする。
 
「ああ、いいよシルヴァくん。今は無礼講といこう」
 オクターブの低い声が聞こえ、そちらに顔を向けると初老の男が座っているのが見えた。
 確か彼は伝承科の助教授を務めている魔術師だったはずだ。
 自らの仕事を邪魔されることを嫌う偏屈者と聞いていたが、そんな彼が茶会に参加する、という事に拍子抜けする。
 
「本当にしつこかったわよね、ユーナくん」ラフなスタイルの若い女性がからかうように笑う。
 何でも彼女の言う所によると、幾度も門前払いされても諦めずに彼は交渉を重ねていたのだそうだ。
 その熱意にほだされ遂に参加を決意したのがほんの数日前だったという。
 当の本人は謙遜して首を振った後、空いたティーカップに優雅に紅茶を注ぎ入れると周囲の人々に対してお代わりを勧めていた。
 その所作は手慣れていることが良く見て取れて、きっと飲み慣れているんだろうなとぼんやりと思う。
 
 すると、突っ立っていた私に近くに居たスーツ姿の若い男が空いている椅子を勧めてくれた。
 目の前の机にはケーキスタンドの上に山盛りのサンドイッチやスコーンが載っており、つい喉をはしたなく鳴らしてしまう。
 
「じゃあ……」
 高貴かつ、優雅に。
 私は母親に叩き込まれたそれを忘れないように、ゆっくりと美しい所作に見えるように着座した。
 けど、隣に座っているリボンで髪を括った女の人がくすくすと笑いだし、私は慌ててそちらに振り向く。
「失礼。気にしないで頂戴」リボンの彼女はそう続ける。「私もそうだったのを思い出したの」
 言われてみれば、彼女も何だか雰囲気がどこか気風が溢れている。きっと、私と同じく良いところのお嬢様なのだろうか。
「では、一口頂きます」
 そう断り、私はケーキスタンドの上段部に鎮座していたクラブハウスサンドを手にとって、
 なるべくはしたなく見えないように小口でもそもそと食べ進め始める。
 
 それにしても、いい部屋だ。
 伝承科の学部には1年ほど前に来た若輩者だからまだ知らない部屋も多いけど、こんな広い場所があったなんて初めてである。
 だからそれを口にしたのもただ、軽い気持ちだったのだ。
「この部屋、今まで何に使ってたんですか?」
 部屋の空気が一瞬で冷え込み、私はそれで言葉を間違えたのだと察してしまった。
 
「ああ、シルヴァさんは知らなかったわね…」
 先程ユーナくんをからかっていたラフな女性が私をフォローするように前に歩み出て、耳打つように顔を寄せてくる。
「ここはマイオ・ブリシサン・クライネルスって人の部屋だったの」
 その名前に、正直言って聞き覚えはなかった。
 けれどミドルネームに「伝承科(ブリシサン)」と同じ名前を冠されているということは、
 恐らく彼は貴族、それもロードの直系と言っても良い程高貴な血筋なのだろう。
 もしかしたら養子縁組で血を引いているわけではない可能性はある。
 子に恵まれない魔術師が、魔導の才能を持つも後継者争いから脱落し、
 庶子に貶される子供を引き取ることは、魔術世界において往々にして良くあることだ。
 けど、一体なぜ彼は名を出すことすら憚られるような状況に陥ったのか。
 家名だけではこのような広い自室、いや、恐らくは研究室を貰うことは不可能であると言ってもいい。
 魔術世界は歴史も重要だが、才覚も同時に大きな意味を持つのだ。
 それだけ才能に溢れたかの男がなぜこのような事になったのか。私は姿も知れぬマイオなる男について思案を巡らせる。
 
「……分かったわ。知りたいなら教えてあげる」
 私の心を見透かしたかのようなその言葉に驚き、うっかりクラブハウスサンドを取り落としてしまった。
 慌ててパン屑と野菜片を拾い集める私にごめんなさいね、と申し訳無さそうな顔をしたリボンの彼女が手を合わせてくる。
 
「双貌塔イゼルマの噂は知ってるわね?」
「あ、はい」
 その程度なら…というか、時計塔の学生であれば現代魔術科(ノーリッジ)のロード・エルメロイの伝説は誰しもが知ることだ。
 曰く魔導元帥と共に魔術師の大戦を終結させたとか。曰く伝説の魔眼蒐集列車で生命を狙われるも生還したとか。
 双貌塔イゼルマもまたその一つだ。彼とその一派はあの「傷んだ赤」を相手取り、双貌塔の片方を半壊させつつも生還したという。
 
 その返事を聞いた彼女は少し顔が引き攣っていたが、少しして満点の笑顔になると話を続けてくれた。
「ちょっと話が大きくなっているけど、概ねその通り」
 そしてどこからか話を聞き付けたのか、ロイド眼鏡の男が割り込んできた。
「ああ、当時はちょっと有名な話だったさ。その事件の発端となったのが世にも美しい女性、イゼルマの至宝、黄金姫!
 ────その殺害犯としてかのロード・エルメロイに告発されたのが、そのマイオ・ブリシサン・クライネルスだったんだ」
「Ⅱ世を付けてやりたまえ。あの若造はその名称を嫌うのでな」
 フン、と助教授はそれだけ言うと静かに紅茶を味わい始める。
 
 部屋の隅っこでヒソヒソと話をしているのが見えた。
「若造って…確か絶対領域マジシャン先生、もう40代近くに差し掛からなかった?」
「しっ。ああいう老害は若者のやることなすことにイチャモン付けるのがライフワーク……うごっ!?」
 その奇声と共に倒れ込む男子学生。その後ろでは助教授がフン、と鼻を鳴らしながら、
 突き出していた人差し指を下ろし、再び紅茶に取り掛かり始めながら語り始めた。
「教授してやろう、常に魔術に対する防衛は備えるべきである、特にこのような不意打ちのガンドが飛ぶのでな」
「こ、この老害オジン……!」
 ピクンピクンと震える男は、捨て台詞を吐いて崩れ落ちるのであった。
 
 その騒動を見て思わず手を止めていた私の前に、ユーナさんが座り込んで拾い集めるのを手伝ってくれる。
 それに気づいた私も慌てて手を動かし始めると、すぐそこから言葉が飛んできた。
「ブリシサンは恥を注ぐように痕跡を消し、この部屋もその一つで長年の間、封印されるも同然だったんです」
「封印…ですか? よく解いてくれましたね」
 私はきょとんとして、この部屋の扉の方に振り返る。
 何の変哲もない、この時計塔ではよくあるただの扉に見える。
「ああ、魔術的ではなく物理的な封印ですよ。それに、僕もこうやって集まるサロンが欲しかったんです」
 クラブハウスサンドの残骸を集め終えるとそれを載せた皿を手に取り、ユーナさんはゆっくりと立ち上がった。
 
 扇情的な服装の女性と、シルクハットを載せた男性がユーナさんの元に歩み寄ってくるのが見えた。
 私は慌てて飛び退くと彼らのために道を作り、こそっとユーナさんの背後に回って聞き耳を立てる。
 後から思えばはしたないにも程のある所作だったが、その時はどんな話をするか気になっていたのだ。
「ほんと、ユーナ坊やには感謝しているわ」扇情的な女性はくすくすと微笑む。
「確かにね。このサロンができてから私の論文もすこぶる快調に進むようになったよ、これも坊やのおかげだ」
 シルクハットの男はうんうん頷くとユーナさんの頭に手を載せようとするが、彼は慌ててそれをかわした。
「もうヘスさんにゲドさん。坊やはやめてくださいと言ってるじゃないですか」
「何を言うのよ。二十も行ってない若造のくせに、ね?」「だよねぇ」
 3人揃って笑う。
 けど、私は慌てて手を振り払ったその時のユーナさんの髪に、目を取られていた。
 
 ちょっと長く呆けすぎていたのかもしれない。何をしているの、と話しかけられて私は思わず跳び上がった。
「ああ、ユーナくん見ていたのね。もしかして彼に一目惚れ?」
「なななな、そんなことありません!」私は、必死になって否定する。
 その言葉を聞いたサングラスの女性はあっけらかんと笑い、
 からかってごめんねと一言を残してティーポットの元へと離れてゆく。
 
 私はユーナさんに異性として好意を抱いているわけではない。
 でも、一つだけ……彼のことで、私が目を離せないことはあった。
 逡巡するも意を決し、私はユーナさんの元に歩み寄って彼に言葉を投げかける。
 
「ユーナさん、綺麗な金髪…ですね?」
 
 その言葉はよほど予想外だったのであろうか。
 こちらを振り向いたユーナさんはしばらく凍りついていたが、
 ああ、と何かに納得したかのように合点すると説明を始めてくれる。
「これですか。……英国開祖、ウィリアム一世のことは知っていますね?」
「え…ええ、まぁ」
 英国に住んでいれば、誰だって習う名前である。
 
 ウィリアム征服王。
 フランスのノルマンディー公ロベール一世の息子にして、当時の英国王である、
 エドワード懺悔王の息子ハロルド二世を破りイングランド征服(ノルマン・コンクエスト)を成し遂げた人物だ。
 通称はウィリアム・ザ・コンクエスター……人類史において名乗る者は数少ない、「征服王」である。
 当時の英国はアーサー王伝説の全盛期とも重なり、幾多もの神秘に包まれていたが、
 ノルマン・コンクエストにより外界との繋がりが成立したことで急速に神秘が流出していき、
 最終的には15世紀の処女王エリザベス一世の代を最後に英国の神秘は途絶えることとなる。
 英国の歴史のみならず魔術史を語る上で重要な人物であることは間違いないだろう。
 
「実は僕の血筋には開祖ウィリアム一世、
 およびその子孫であるリチャード獅子心王から連なる英国王室(ロイヤルファミリー)の血が入っているそうで」
 その言葉に私は二度驚く。
 それって即ち、王族ということではないか。予想もつかぬほど高貴な血筋である彼が急に眩しく思えてきた。
 
「それほど凄いことじゃないぜ」
 聞き耳を立てていたのか、黒いコートの若い男がティーカップとソーサーを持ちながらこちらに首を伸ばしてきた。
「王家ってやつは世継ぎを作るためにぽこじゃか女を孕ませるからなぁ、庶子に貶される奴なんて幾らでもいるって話よ」
「ええ、まぁ」ユーナさんは否定しない。「血筋もかなり薄いですし、僕の家系は権力とは完全に無縁ですよ」
 その言葉を聞いて、私は少し肩を落とした。
 けどそれは失礼だと思い直してしゃきっとする。
 
 ユーナさんは話を続ける。
「髪の話でしたね。獅子心王もその名に恥じぬ金髪だったと聞きます。僕の金髪もきっとその影響なのでしょう。
 ……あはは、ヤマなしオチなしのつまらない話を長々と聞かせることになってしまって申し訳ありません」
「いえ、とてもためになる話でした」
 私は自分の髪をいじりながら、彼の視線から逃れるように俯く。
「この銀髪、私自身あまり好きではありませんので、ユーナさんの金髪が羨ましいです。そんな凄い血筋だなんて」
「そんな。その銀髪も本当に素晴らしいものだと思いますけどね、僕は」
 
 ユーナさんにとって、それは単にただの励ましに過ぎない言葉なのだろう。
 けれど、その言葉は私にとっては苛立たせるだけのトラウマワードだ。
 あなたに、何が分かるんですか。私はそれを叫びそうになるが、ぐっとその言葉を押し込める。
 
「しかし、レインワークスで銀髪と言うと彼女の娘なのではないかね?」
 杖をついて老助教授が割り込んできた。私は握り締めた拳を緩める。
「稀代の魔女、それを射止めたレインワークスの小僧は時計塔でも随分とやっかまれたものだ」
「ああ、懐かしいものだ」ゲドさんと呼ばれた男が頷く。
「あの時の時計塔はトオサカとエーデルフェルトの時並みにガンドが飛び交った」
 
 うんうんと頷く老教授を前に、私は少し拍子抜けしていた。
 そう言えば魔術師としての父と母の話はあまり聞いたことがなかった。
 レインワークス家はそれなりに歴史の深い「貴族」であるとは聞いていたが、まさかそこまで名前が知られているとは。
 ……そして、ガンドが飛び交った、って。父と母は一体どんなスクールラブロマンスを送っていたというのだ。
 
 私の方に向き直った老助教授はニヤリ、と笑うと私の方を指差してくる。
「シルヴァくん、君の銀髪はそんな彼女の血を色濃く受け継いでいるということでもある。
 それは誇りに思って良いのではないかね?」
「それは…その」
 思わず狼狽える。確かに母は優秀であったが、私はそれほど力があるわけでもない。
 むしろ、あの女の人の子供────老人のような喋りをする金髪の少年の方が、父の子としてよっぽど才能に溢れている。
 なんで父は後継に私を選んだんだろう。本当に、それが私にとってずっと疑問でならないのだ。
 
「髪、といえば静ちゃんも綺麗だったな」
 ロイド眼鏡の男が呟くと、その場の空気がそちらに向かっていき私は安堵の息をつく。
 話題が私から流れてそのホシミ・シズという人に流れてくれたのは正直言って有難かった。注目されるのは苦手である。
 
「静ちゃんは元気してるかしら」
天体科(アニムスフィア)のロード、オルガマリー・アニムスフィアに引き抜かれて以来か」
「呪詛払いの才能を失ったのはホント伝承科にとっての損失よね」
「派閥間の諍いの火種になりかけたとも聞くわ」
「今はロード・バリュエレータを中心として貴族主義派の方が台頭しているものね」
「静ちゃんは今頃何しているのかしら」
「前代学部長のロード・マリスビリーの夢を継いだレディ・オルガマリーに色々されているとか聞いたわ」
「夢ね。何て言ったっけ…カリオン? あ、それは秘儀裁示局ね」
「アルテラ、とかじゃなかったっけ?」
「何それ。そんな言葉は無いわよ」
「先代のアニムスフィアの目論んだ人理ナントカ機関とやらか。でもアレは資金不足やらで頓挫したって話だろう?」
「ああ、考古学科(アステリア)のフラウロス教授が自殺したのと同時期だったか?」
「そうそう。父親は既に死んでるのに、レディ・アニムスフィアは父親の遺志を継いでそのナントカを目指してるって話」
「重いなぁ…」
「ラーヴァ・ローランやトルーパー・アダシノといった錚々たる面々が彼女を取り巻いているから法政科も手を出せないって話ね」
「封印指定級の魔術師を囲って彼女は一体何を目論むのやら」
 
 喧々囂々、一層と議論に熱が入るサロンの中、私はこそっと離れて部屋の隅っこでそれを遠巻きに眺めていた。
 また注目されて髪の話題に触れられるのはちょっと嫌だった。
 ケーキスタンドからかっぱらった多数のスコーンをリスのように食べ進み、
 それを次々と紅茶で押し込んでゆく。美味しい。ダイエットしなきゃ。
 それでも何人かが話しかけてきて私はそれに会釈しつつ、ただひたすら時間を潰していた。
 
「そういえば知っているかしら、ユーナ・パトリック・フィッツサイモン」
 茶会が終わりに近付いた頃、それを切り出したのはヘスさんと呼ばれていた女性だった。
 たまたま位置が近かったのが幸運して、私はその言葉を一字一句聞き逃すことなく耳に入れることができた。
 
「聖杯戦争」
 
 セイハイ、センソウ?
 その言葉が私の脳裏に染み渡ってゆく。
 
「ああ…」ユーナさんは何かを思い出して苦虫を噛み潰すような顔になる。
 そしてこのティーパーティの中でも初めて見るような表情で、彼は言葉を続けた。
「参加したいというのならお薦めはしませんよ」軽く笑いながら「僕も、一度死にましたからね」
 しかしヘスさんは諦めずに彼に食い下がっていた。私もつられて少しずつ近寄り、聞き耳を立てていく。
「でもさ。万能の願望器の再来。フユキの聖杯に次ぐアーティファクトなんて、早々お目にかかれるものではないでしょう?」
 
 万能の、願望器?
 私が密かに胸に抱いてきた望み。
 あの人のような、美しい金髪になりたい。その願いも、叶えることができる。
 私の身体に魔力が駆け巡っているのが感じて取れた。間違いない。今の私は、高揚している。
 
「まぁ。確かに今も開催しているところに心当たりが無いわけではないですが、あそこの聖杯は精々2騎────」
 もう、堪え足りなかった。
 私は思わず跳ねるように立ち上がり、ユーナさんのところに向かって押し倒すように彼の身体に突進した。
 何やら騒ぎになっているようではあるが、今の私にはそんな些事なんて気にかける余裕もない。
 彼の胸板部分の服を強く掴み、私はぐいと顔を顔に近寄せた。
 この距離なら聞き逃すこと無く、私の言葉を聞いてくれることだろう。
 
 そして、私は叫んだ。
 
「ユーナくん! その話、詳しく聞かせてくれません!?」
「え…ええ!?」
 
 
 ◆
 
 
 そして、私は聖杯戦争へと一歩踏み出した。
 最初に召喚するサーヴァントは何にしようかな、やっぱり神話で強力なものを呼びたいよね。
 
 輝ける日光の下。
 私…シルヴァ=レインワークスは、大きなキャリースーツケースを引っ張って空港の門を潜っていった。
 
 
 【Fin】