2013年のドラフト会議直後のDeNA監督(当時)・中畑清の発言。
八馬幹典スカウトの「大丈夫です」という返答までセットになることが多い。
【目次】
概要 
この年のドラフトは松井裕樹(桐光学園高)、吉田一将(JR東日本)、大瀬良大地(九州共立大)の3人が一番の目玉、2番手以降にも柿田裕太(日本生命)、岩貞祐太(横浜商科大)といった好投手が控える豊作ドラフトだった。
しかしDeNAは横浜時代の1998年のドラフトで横浜高・松坂大輔(元西武→MLB→ソフトバンク→中日→西武)を外して以降くじに恵まれず、今回もくじを外し目玉を取れないのでは、との危惧があった。
そんな中で迎えたドラフト会議当日。ドラフト1位指名には5球団競合となった松井を指名するも楽天に引き当てられたが、その外れ1位に指名した柿田は3球団競合の末に見事くじを引き当てた*1。
その後、久しぶりのくじ勝利に喜ぶ中畑監督が八馬スカウトに柿田について確認し、大丈夫と後押ししたためDeNAファンはええの獲ったわ!と小躍りしていた。
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実際の柿田 
しかし一部のファンからは実力が疑問視されており、特に阪神ファンの中にはくじを外して喜んだという者もいたという*2。
そして実際の柿田はと言えば1年目のキャンプに右肘を故障。この故障の影響もあってか以後は球速が最速でも140km前半・並未満の変化球・ノーコンという長所が一つもない投手に成り下がり、二軍でも度々炎上。結局一軍で1度も登板することなく2017年に戦力外になった。
グラウンド外でも当て逃げ事故を起こし、運転禁止を球団から通達される騒動を起こしており*3、ネタにされることこそあれど選手としての実力は全くあてにされなくなり、一部では活躍の差から2013年のドラフト1位は砂田毅樹*4だったという歴史改変まで行われている。
ここで名前の上がった大瀬良・松井・岩貞・吉田らが普通に一軍戦力となっていることもますますDeNAファンを絶望させることになった*5。
その後、DeNAは2014年以降のドラフト会議では2019・2021年を除き*6毎年大卒の即戦力投手を1位指名し続けており*7、特に5年連続即戦力の大卒投手指名となった2014~2018年のドラフト1位選手は全員が新人として十分すぎるほどの成績を残している*8ため、柿田の事は完全に黒歴史として扱われている*9。
またこの際柿田に太鼓判を押した八馬スカウトも、多くの優秀な選手*10を見出しているにも関わらずこの一件だけで無能扱いされるようになってしまった。
2013~2018年ドラフト1位選手の1年目成績一覧 
指名年度 | 名前 | 1年目成績 |
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2013年 | 柿田裕太 | 一軍出場なし |
2014年 | 山崎康晃*11 | 58試合、2勝4敗37セーブ、防御率1.92、新人最多セーブ記録更新、新人王 |
2015年 | 今永昇太 | 22試合135.1回、8勝9敗、136奪三振、防御率2.93 |
2016年 | 濱口遥大*12 | 22試合123.2回、10勝6敗、136奪三振、防御率3.57、新人特別賞*13 |
2017年 | 東克樹 | 24試合154回、11勝5敗、155奪三振、防御率2.45、新人王 |
2018年 | 上茶谷大河*14 | 25試合134回、7勝6敗、102奪三振、防御率3.96 |
なぜ阪神ファンは柿田のクジを外して喜んだのか 
普通、競合クジを外した場合「柿田なんていらんかったんや!」となってもおかしくないのだが…「柿田は本当にいらん」とする阪神ファンの歓喜には以下のような理由があった。
時は遡り2010年の夏、柿田は長野・松本工のエースで4番として地方大会を1人で投げ抜き見事同校を甲子園初出場に導く。
プロからも注目される完成度の高さで鳴り物入りで甲子園に乗り込むが、開幕試合となった熊本・九州学院*15を相手に5回12失点の爆発炎上。
特にVIPの甲子園実況スレ「マモノ甲子園」では「柿田とはなんだったのか」と評される悪い特大のインパクトを残して甲子園を去った。
そして今なお柿田の名前はプロ注目=ダメフラグとして語り続けられている。
そんなエピソード持ちの柿田であり、甲子園での爆発炎上から3年後ということもありまだ記憶も薄れていない時期。
甲子園を本拠としている阪神ファンには当然の如く高校野球ファン兼任も多く、殊更に「猛虎魂を感じない」という評価もやむなしであった。
……と言っても、基本的に大卒しか採用しない日本生命野球部*16が高卒での採用に踏み切った*17あたり、かなりの有望株であった事は違いないと思われる。
タラレバになるが故障しなかった柿田がどの様な活躍を見せたかは誰にも分からないし、スカウトというのは非常に難しいものなのである。