柿田はローテーション入るんだろうな

Last-modified: 2024-09-12 (木) 10:03:54

2013年のドラフト会議直後のDeNA監督(当時)・中畑清の発言。
八馬幹典スカウトの「大丈夫です」という返答までセットになることが多い。


【目次】


概要

この年のドラフトは松井裕樹(桐光学園高)、吉田一将(JR東日本)、大瀬良大地(九州共立大)の3人が一番の目玉、2番手以降にも柿田裕太(日本生命)、岩貞祐太(横浜商科大)といった好投手が控える豊作ドラフトだった。
しかしDeNAは横浜時代の1998年のドラフトで横浜高・松坂大輔(元西武→MLB→ソフトバンク→中日→西武)を外して以降くじに恵まれず、今回もくじを外し目玉を取れないのでは、との危惧があった。

そんな中で迎えたドラフト会議当日。ドラフト1位指名には5球団競合となった松井を指名するも楽天に引き当てられたが、その外れ1位に指名した柿田は3球団競合の末に見事くじを引き当てた*1

その後、久しぶりのくじ勝利*2に喜ぶ中畑監督が八馬スカウトに柿田について確認し、大丈夫と後押ししたためDeNAファンはええの獲ったわ!と小躍りしていた。


画像

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実際の柿田

しかし一部のファンからは実力が疑問視されており、特に阪神ファンの中には後述するようにくじを外して喜んだという者もいたという*3

そして実際の柿田はと言えば1年目のキャンプに右肘を故障。この故障の影響もあってか以後は球速が最速でも140km前半並未満の変化球ノーコンという長所が一つもない投手に成り下がり、二軍でも度々炎上。結局一軍で1度も登板することなく2017年に戦力外になった。

グラウンド外でも当て逃げ事故を起こし、運転禁止を球団から通達される騒動を起こしており*4、ネタにされることこそあれど選手としての実力は全くあてにされなくなり、一部では活躍の差から2013年のドラフト1位は砂田毅樹*5だったという歴史改変まで行われている。
ここで名前の上がった大瀬良松井岩貞・吉田らが普通に一軍戦力となっていることもますますDeNAファンを絶望させることになった*6

その後、DeNAは2014年以降のドラフト会議では2018年まで毎年大卒の即戦力投手を1位指名し続けており*7、この期間中のドラフト1位選手は全員が新人として十分すぎるほどの成績を残している*8ため、柿田の事は完全に黒歴史として扱われている*9

またこの際柿田に太鼓判を押した八馬スカウトも、多くの優秀な選手*10を見出しているにも関わらずこの一件だけで無能扱いされるようになってしまった


2013~2018年ドラフト1位選手の1年目成績一覧

指名年度名前1年目成績・備考
2013年柿田裕太一軍出場なし
2014年山崎康晃*1158試合、2勝4敗37S、防御率1.92
新人最多セーブ記録更新、新人王
2015年今永昇太22試合135.1回、8勝9敗、136奪三振、防御率2.93
2016年濱口遥大*1222試合123.2回、10勝6敗、136奪三振、防御率3.57
新人特別賞*13
2017年東克樹24試合154回、11勝5敗、155奪三振、防御率2.45
新人王
2018年上茶谷大河*1425試合134回、7勝6敗、102奪三振、防御率3.96


なぜ阪神ファンは柿田のクジを外して喜んだのか

普通、競合クジを外した場合「柿田なんていらんかったんや!」となってもおかしくないのだが…「柿田は本当にいらん」とする阪神ファンの歓喜には以下のような理由があった。

遡ること3年、2010年の夏。柿田は長野・松本工のエースで4番として、地方大会を1人で投げ抜き、見事同校を甲子園初出場に導く。
プロからも注目される完成度の高さを元に、鳴り物入りで甲子園に乗り込むが、開幕試合となった熊本・九州学院*15を相手に5回12失点の大爆発炎上を起こして敗退。
VIP板の甲子園実況スレ「マモノ甲子園」で、「柿田とはなんだったのか」と評されるほどのインパクトを残して甲子園を去り、今もなお柿田の名前はプロ注目=ダメフラグとして語り続けられている。

それから3年後に迎えたドラフトは、当時の爆発炎上からまだ記憶も薄れていない時期。
甲子園を本拠地としている阪神ファンは高校野球のファンを兼任している者も多く、殊更に「猛虎魂を感じない」という評価もやむなしであった。

……と言っても、基本的に大卒しか採用しない日本生命野球部*16が高卒での採用に踏み切った*17あたり、かなりの有望株であった事は違いないと思われる。
タラレバになるが、柿田が故障しなければ一定以上の活躍を見せていたことは想像に難くないし、故障から復活して再起を成し遂げる可能性もあった。かくしてスカウトというのは非常に難しいものなのである。


関連項目



Tag: 横浜 ドラフト


*1 日本ハム、阪神と競合。この後両球団とも外れ外れ1位で岩貞を指名し阪神が獲得、3度敗れた日本ハム渡邉諒(東海大甲府)を指名。なお松井・岩貞・渡邉(2022年オフに阪神移籍)の3人については2023年現在、一軍で活躍している
*2 横浜/DeNAが抽選を制すのは2007年の松本啓二朗以来となり、ここまで松井を含め5連敗を喫していた。
*3 なお、柿田を外した阪神は岩貞祐太を指名。入団から2年は故障などから結果を残せずにハズレ扱いされたが一軍に定着した2016年以降はチーム事情に合わせて先発、中継ぎ両方をこなし、コンスタントに成績を残している。
*4 この際に同僚の山下峻と関根大気が同乗しており、彼らも数日間だが処分を受けた。
*5 同年の育成ドラフト1位。柿田が自由契約となった2017年には中継ぎ左腕として重宝され、62試合に登板。
*6 ここで名前が上がった投手で初めて戦力外を受けた吉田ですら2021年まで所属していた。
*7 2018年ドラフトでは白崎浩之(2012年ドラフト1位・駒澤大)以来久しぶりに野手1位として小園海斗(報徳学園高)を指名したものの4球団競合の抽選に敗れ、結局投手の上茶谷大河(東洋大)を指名した。なおその白崎も目立った活躍は出来なかった為半ば黒歴史化している。
*8 DeNAがクジを外した選手も他球団の主力選手として活躍している。
*9 2019年ドラフト時の公式Twitterのツイートで「WHO?」と(柿田・白崎を抜いた)歴代のドラフト1位が映されたツイートがされたため公式で黒歴史化してると言われているが、その時点で柿田は戦力外、白崎はトレードされオリックスに在籍中であったため、むしろ載せる方が間違いである。
*10 下記ドラフト1位の選手達の中では東が八馬の担当選手。また上述の砂田も八馬の担当で、その他では三上朋也倉本寿彦戸柱恭孝、神里和毅、伊勢大夢らが即戦力として一定の成績を残している。
*11 有原航平(日本ハム→レンジャーズ→ソフトバンク)の外れ1位。
*12 柳裕也(中日)、佐々木千隼(ロッテ→横浜)の外れ外れ1位。
*13 新人王は京田陽太(中日)。また、新人王選考の際に物議を醸した
*14 小園海斗(広島)の外れ1位。
*15 当時の在籍者に溝脇隼人(中日)、大塚尚仁(元楽天)ら。
*16 社業で勤務する際の資格を取得する必要があるため。例として小林誠司は同志社大から、小林慶祐は東京情報大から日生に入っている。
*17 その数少ない例が福留孝介1998年のドラフト会議前に中日を逆指名し、ドラフト1位で入団)。また清原和博も内定をもらっていた(実際には高卒時にドラフトで西武に入団したので幻になった)。