冒険の手記一覧

Last-modified: 2024-04-01 (月) 12:08:44

攻略情報

目次

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ダンジョン内容
スライムの洞窟初心者用基本情報
平原種族分類
湿地各職業について
森林被ダメージを軽減するスキルなどについて
山道ドラゴン対策やブレスについて
アジトトレハンや[個性]スキルなどについて
姥捨山弓について
古館攻撃回数について
帝都防衛戦物理攻撃や魔法の威力などについて
ヒドラ火山一部アイテムの継承ルートが少し記載されている
黄山種族スキルを強化するスキルの情報
雪山の戦い竜鱗超重鎧シリーズについて
ギルド防衛戦謎のキャラメイク集
ドラゴン襲撃ブレス耐性装備について
ファミリアの町職業スキルを強化するスキルの情報
竜と悪魔の戦場結界スキル一覧
海底神殿アイテム装備可能数一覧
竜の巣物理耐性装備について

スライムの洞窟

冒険者の手記1

戦士になるのはやめておけ。

パーティの先頭は攻撃の半分を受けることになる。

だから先頭に立つ戦士はいつも殴られ続けるんだ。

5列目と6列目は、30回に1回の頻度でしか攻撃されないのに……

冒険者の手記2

敵が宝箱を落としたけれど、俺たちのパーティには盗賊が居なかった。

罠解除能力は60%だったが、俺たちは挑戦した。

結果、宝箱は爆発してメンバーの半分が死んだ。

パーティに盗賊は入れておけ。

宝箱が開けられなければ、アイテムは何も手に入らない。

冒険者の手記3

剣士は攻撃役だからって、武器ばっかり持たされるんだ。

少しは防具をつけさせてほしいよ。

2列目だって4回に1回は攻撃を受けるんだよ。

先頭の戦士は堂々と防具で固められるから良いよな。

一番死亡率が高いのは2列目なんだよ。

冒険者の手記4

魔法が冒険中に尽きることは無い。

戦闘のたびに各魔法を一度だけ唱えられる。

そして10ターンが経過すると再び使えるようになる。

覚えている魔法の数が多いほど、戦闘で多くの魔法を使えることになるだろう。

冒険者の手記5

体力の低い者に冒険は厳しい。

体力5と体力15では最大HPが3倍違ってくる。

巨人族は化け物だ。

冒険者の手記6

基本能力値は20を超えると様々なボーナスが加わるようになる。

人間は20まで上がらないから関係ないけどな。

冒険者の手記7

俺は攻撃回数をひたすら増やして10回攻撃が出来るようになったんだ。

でも、あんまり強くはなれなかった。

攻撃が当たらないし威力も初撃ほどは出ないんだ。

そこで自分なりに命中精度と威力を調べてみた。

1撃目 命中:100% 威力:100%
2撃目 命中:60% 威力:90%
3撃目 命中:54% 威力:81%
4撃目 命中:49% 威力:73%
5撃目 命中:44% 威力:66%
……

初撃は当たりやすいが、2撃目以降はどんどん命中しにくくなっていく。

攻撃回数を生かすには相当の命中精度が必要だ。

冒険者の手記8

ドラゴンのブレスは恐ろしい。

どんなに防御力を上げても、どんなに魔法防御力を上げても、大きなダメージを受けてしまう。

特殊な防御能力で半減させるしかない。

ドラゴニュート種族はブレス攻撃が出来る。

あいつらは強い。

冒険者の手記9

人間は弱い。
でもGPを集めやすい。

人間は弱い。
でもLvが上がりやすい。

人間は……弱いのか?

冒険者の手記10

攻撃役が魔法ばかり使ってなかなか攻撃してくれないことがある。

そんなときは魔法の使用率を下げてやればいいのさ。

冒険者の手記11

良い物が入っている宝箱ほど罠解除は難しい。

冒険者の手記12

罠解除の成功率は95%まではすぐに上がる。

しかし、それ以上に成功率を上げるには高い罠解除能力が必要になる。

冒険者の手記13

パーティは6名まで組める。

前列の者ほど直接攻撃で狙われやすい。

だからと言って順番を決めるのにケンカするなよ。

それから、攻撃魔法はどこにでも飛んでくる。

後列でも魔法防御力は上げておくように。

ドラゴンブレスは全員仲良く食らうのでケンカしないで済む。

冒険者の手記14

戦いが長引くようなら、逃げるのが冒険者の鉄則である。

冒険者の手記15

素晴らしいレアアイテムを見つけても、全滅したら持ち帰れない。

帰還条件は慎重にな。

冒険者の手記16

RPが高まれば、時間とともにGPを得られる。

RPは休んでいる間に増えるぞ

でもRPの最大値を超えて溜ることは無いから、こまめに様子を見るといい。

冒険者の手記17

全滅してもキャラクターを失うことは無い。

しかし、死体の蘇生にはGPがかかる。

蘇生料金はLvが上がるほど高くなっていく。

冒険者の手記18

スキルは重複しても意味が無い。

経験値2.0倍スキルが二つあっても4.0倍にはならない。名前が同じスキルの重複は意味が無い。

しかし、経験値2.0倍と経験値1.5倍のスキルがある場合は、合わせて経験値が3.0倍になる。

数字や名前が違えば違うスキルとして効果は重なるんだ。

また、獲得GPが増えるスキルはパーティのうちの誰か一人が持っていれば効果がある。

冒険者の手記19

GPが足りない……

冒険者の手記20

モンスターによって宝箱の中身は決まっている。

序盤の雑魚敵でも役に立つレアアイテムを持っていたりするぞ。

例えば、ここのスライムも……

レアアイテムは後々まで有効な物が多い。

冒険者の手記21

ついにナイトソードを手に入れた!

ゴブリンを1000匹倒したかいがあった。

でも、ちょっと臭い……。

冒険者の手記22

アイテム名の頭に文字が付くことがある。

それは称号付きアイテムだ。

称号によってアイテムの性能が上がったり下がったりするぞ。

『最低のロングソード』とかな。

性能は文字通り最低だ。

冒険者の手記23

たまにモンスター名の頭に文字が付いた敵が出る事がある。

称号付きのモンスターだ。

こいつらは通常のモンスターと性能が段違いだから気をつけろ。

だが、良い宝を持っていたりもするんだ。

冒険者の手記24

接近武器を持ちながら後列に居ると、攻撃で与えられるダメージは減少する。

攻撃役はなるべく前列に配置したほうがいい。

冒険者の手記25

遠距離武器を持ちながら前列に居ると攻撃で与えられるダメージは減少する。

だから遠距離攻撃をする狩人は後列に配置したほうがいい。

冒険者の手記26

近距離武器と遠距離武器の両方を持っていると、どうなるか分かるかい?

両方のペナルティを受けることになり、隊列のどこに居ても攻撃で与えられるダメージは激減してしまうのさ。

冒険者の手記27

凄まじい多段攻撃を放つ剣聖の弱点は知っているかい?

硬い敵さ。

相手の防御を貫通できなければ、10回ヒットしたところで10ダメージしか与えられないのさ。

しかし、剣聖たちは手を止めないで斬り続ける。

攻撃が当たるたびに相手の防御は削れていくんだ。

だからひたすら斬り続けていれば、いつかは防御を貫通できるだろう。

敵の防御力、魔法防御力、回避能力や耐性は劣化していくのさ。

平原

偉そうな冒険者の手記1

この世界には【人型】【不死】【魔物】【竜族】【神魔】の五種類の種族がいる。

偉そうな冒険者の手記2

【人型】とは人間と姿形が似ている生物を総称して呼んでいる。

『人型』に分類される種族:
・人間
・ピグミーチャム
・ノーム
・ドワーフ
・ダークエルフ
・エルフ
・サイキック
・ワーキャット
・アマゾネス
・巨人
・サイボーグ

人型には知性の高い生物が多く、亜人のほとんどは人型に分類される。

人間と交渉が出来る社会を形成してる者たちが多くいる。

人型に効果の高い武器としては【アサシンダガー】がある。

偉そうな冒険者の手記3

【魔物】とは人間とは姿形が似ておらず、人間と敵対する生物を総称して呼んでいる。

『魔物』に分類される種族:
・天狗
・魔造生物

動物よりも戦闘能力が高く人間を襲う。そのため人間に敵対する生物として無条件に駆除の対象とされている。

魔物に効果の高い武器としては【モンスターキラー】がある。

偉そうな冒険者の手記4

【不死】とは生物の死の概念を超えた生命活動を行う生物を総称して呼んでいる。

『不死』に分類される種族:
・アンデッドマン
・吸血鬼

この世界のどこにでもある伝承として『死体が動き出す』という怪奇現象がある。

アンデッドは知性を感じられない者も多く、ただ肉体が反射行動をとっているのではないか、とも言われている。

不死に効果の高い武器としては【アンデッドキラー】がある。

偉そうな冒険者の手記5

【竜族】とは竜族を総称して呼んでいる。

『竜族』に分類される種族:
・ドラゴニュート

本来は魔物に分類される生物だが、例外として竜族だけは別に分類されている。

その理由は「強さ」によるものであり、他の魔物や人型と比べて生物としての強さが違う。

竜族に効果の高い武器としては【ドラゴンキラー】がある。

偉そうな冒険者の手記6

【神魔】とは神や悪魔と呼ばれるものを総称して呼んでいる。

『神魔』に分類される種族:
・鬼

伝承や伝説だけが伝えられていることも多く、そのほとんどは謎につつまれている。

神魔に効果の高い武器として【ゴッドキラー】というものがあるらしい。

偉そうな冒険者の手記7

これら五種類の種族を把握し、それぞれに効果の高い特効系のスキルの付いた武器を使うことで非力な人間でも生き残ることが出来ている。

特効系のスキルは攻撃ダメージだけが増幅されるので魔法のダメージには影響が無い。

湿地

冒険者の手記1

種族と職業と前職の組み合わせ、それが攻略の肝だ。

おっと、アイテムを忘れていた。

むしろアイテムの組み合わせこそが、攻略の鍵じゃないか?

組み合わせは考えすぎると頭がヒートするぞ。

冒険者の手記2

転職は慎重にするべし。

一度しか出来ない上にやり直しは効かない。

経験値が0になり、魔法も全て忘れて覚え直しになり、最大HPもLv1の状態に戻る。

職業固有スキルも失ってしまう。初期スキルしか残らないのだ。

下手に転職するくらいなら一つの職業をそのまま使い続けた方が強いだろう。

強くなる上で最も有効な力とは経験値だ。

冒険者の手記3

転職は良いぞ!

スキルは継承できるから次の職業で魔法を覚えられるんだ。

Lv1の僧侶がいきなり魔法使いに転職すれば、魔法使いと僧侶の魔法を同時に覚えていけるんだ。

冒険者の手記4

職業固有スキルを知っているかい?

例えば【職業Lv15】というのはLv15になった時から発揮され始めるんだ。

どれも強力なものばかりだよ。

多くの職業を組み合わせたパーティを組んだほうが良いだろうね。

冒険者の手記5

戦士は後列への通常攻撃を防いでくれる。

君主は後列へのブレス攻撃を防いでくれる。

僧侶は後列への魔法攻撃を防いでくれる。

壁役としてこの3つの職業が重要だ。

冒険者の手記6

君主の戦闘指揮は厄介だ。

居るだけでパーティ全体の攻撃力が格段に上がる。

はやく君主を倒さなければ敵の猛攻は止まらないだろう。

冒険者の手記7

僧侶は大事だ。

戦闘力は殆ど無く、活躍も地味だが居ると居ないでは魔法の威力はまるで違う。

祝福によってパーティメンバーの攻撃魔法の威力が格段に上がるのだ。

魔法使いや秘法剣士を入れるならば、ぜひ僧侶をパーティに入れておきたい。

冒険者の手記8

侍の攻撃力は凄まじい。
ぜひとも刀を身につけさせたい。

攻撃回数が下がるって?
大丈夫、1回は攻撃できるのさ。

そして、一撃必殺だ。

冒険者の手記9

侍と剣聖はどちらが強いか?

それは一撃必殺と多段攻撃はどちらが強いか、だ。

防御の高い敵には一撃必殺の侍が強い。

防御の低い敵には多段攻撃の剣聖が強い。

その防御の壁を無効にするのが、必殺の多段攻撃を放つ、忍者さ。

冒険者の手記10

剣士と狩人は連携攻撃に優れている。

剣士は仲間の魔法攻撃の後に追撃を放てる。

狩人は仲間の必殺攻撃の後に追撃を放てる。

そして、この二つがつながれば3連撃も可能となる。
(魔法攻撃→剣士の追撃→狩人の追撃)

冒険者の手記11

必殺率は40%が最大値だ。

職業によってはそれを上昇させるスキルを持っている。

盗賊と忍者が高いぞ。

冒険者の手記12

先制攻撃で敵を全滅させれば無敵だ!

そう考える者におすすめの職業がある。

秘法剣士さ。

秘法剣士は徒党を組んで初撃で敵を全滅させるんだ。

あいつらは卑怯だ。

冒険者の手記13

この間、貴族の息子が迷宮へ行きたいというので同行することになったんだ。

貴族様の道楽に付き合うのも楽じゃないよ。

戦闘面では最初から当てにしていないから、役に立たないのは構わないさ。

でも、後ですごい額の賠償を請求されたんだよ。

「お前たちが守らないから怪我をしたではないか!」ってさ。

本当に貴族様の道楽に付き合うのは楽じゃないよ。

でも、色々とご利益もあるんだよなぁ……。

森林

冒険者の手記1

攻撃魔法はそれぞれ耐性が分かれている。

ファイヤーボールには強く、ブリザードには弱い、といったふうにな。

冒険者の手記2

攻撃魔法に耐性をつける方法はある。

宝石を手に入れればいい。

手に入れた事が無いので分からないが……

冒険者の手記3

防御力や魔法防御力を上げても受けるダメージが大きいと感じる場合は、ダメージ減少系のスキルを探すといい。

物理ダメージを2/3に軽減してくれる「神の盾」や、魔法ダメージを2/3に軽減してくれる「水鏡の盾」などだ。

これらダメージ減少系のスキルは防具で固めるよりもダメージを軽減してくれたりするぞ。

しかし、レアアイテムであり入手が難しい。

冒険者の手記4

店で買える品でもダメージ減少系のスキルがあるものは覚えておくと良い。

まず重鎧、盾、ローブ。これらはそれぞれ物理、ブレス、魔法を4/5に軽減してくれる。

それぞれ一つは身につけておくと良いだろう。

冒険者の手記5

鎧には「ダメージ軽減??%」といった特殊なスキルがついている。

これらは鎧の種類によって若干数字が違うため、違う種類の鎧をもつことでスキルを合わせてダメージ軽減率を上げる事が出来るのだ。

つまりアーマー(6%)とミスリルアーマー(7%)を持てば、13%のダメージ軽減効果を得ることができる。

重鎧は一つ、鎧は複数つける。これが重装備の基本だ。

冒険者の手記6

防御力を高めても「追加ダメージ」は防げない。

追加ダメージを高めれば非力なキャラクターでも堅い敵にダメージを与える事が出来るぞ。

※現在はバグか仕様変更か防御力で追加ダメージを防げるようになっているため、内容が嘘になっている

山道

冒険者の手記1

ドラゴンブレスは防具では防げない。

シールドバリアで半減させるしかない。

冒険者の手記2

俺たちはドラゴン狩りに来た。

だが、ドラゴン族はまともに戦って勝てる相手ではない。

そこで一つの作戦を用意した。

素早さの高い盗賊に守護のオーブを持たせてバリアを張らせるんだ。

これでブレス攻撃も半減できるって訳だ。

でも使う者は守護されないんだ、あのオーブ。

盗賊はすぐに倒されてしまった。

しかし盗賊は戦闘では役に立たないし、バリアは最初に張ってくれたからもう良いのさ。

俺たちは全力で戦った。

そしてついにドラゴンを倒すことができたんだ。

でもその時、俺たちは自分たちの作戦の失敗に気がついた。

宝箱を見つけたんだよ。

しかし開けられる盗賊は、居ないんだ。

竜族は財宝を好んで集める性質がある。

きっと宝箱には貴重なものが入っていただろうな。

49%だったよ。

俺たちは挑戦したのさ。

ギャンブルが好きだからな。


それでどうなったかって?

ドラゴンと全力で戦った後のパーティが爆発に耐えられると思うかい?

冒険者の手記3

ああ、ドラゴンキラーさえあれば負けやしないのに……

苦労して手に入れたのに、盗賊団の傭兵に強奪されるなんて、ちくしょう。

冒険者の手記4

ドラゴンなんて余裕さ。

スリープクラウドで眠らせれば良いんだ。

それで逃げるのさ。

余裕だろ?

冒険者の手記5

人間でもドラゴンに勝利する者は居る。

と言っても、それはパーティを組んでしっかりと作戦を練って戦えばの話だ。

そうでもしなければ勝てやしない。

能力的には人間なんかと比べ物にならないからね。

竜族が地上最強と言われる理由はそこにある。

でも、そんなドラゴンとまともに殴り合える人型の種族が居るんだ。

巨人族さ。

巨人族が居る希少なパーティが竜族と戦った時の話を聞いたことがある。

もちろん巨人族がパーティの先頭だ。

そしてドラゴンに戦いを挑んだ。

ドラゴン族の激しい攻撃にさらされて、巨人を残して他のメンバーは皆やられちまったそうだ。

先頭に居た巨人は、攻撃の半分を食らっているはずなんだぜ?

それなのに巨人が倒れる前に後列が全員倒れちまったんだとさ。

更に信じられないのがその後、残った巨人が一人でドラゴンを倒しちまったそうだ。

地上最強は巨人族じゃないかな。

冒険者の手記6

秘石があれば、俺でもドラゴンブレスが吐けるようになる……らしい。

冒険者の手記7

ドラゴンブレスの威力と範囲は、Lvと体力に依存する……らしい。

アジト

冒険者の手記1

一度の出撃で同じアイテムは手に入らない。

それが得られるのは同じ宝箱から一度に同じアイテムが出た時だけだ。

冒険者の手記2

レアアイテムに名称がつく確率は大抵は百に一つくらいのものだ。

狙って手に入れられるような物ではない。

冒険者の手記3

宝石はただの装飾品ではない。

空間が歪むほどの強力な魔力を秘めている。

持つだけで魔法攻撃を防ぎ、己の潜在能力を引き出す効果がある。

冒険者の手記4

個性ある冒険者は迷宮内のイベントで様々な行動を起こすぞ。

パーティメンバーを個性豊かにするといろいろなことが起こる、かもしれない。

姥捨山

狩人の手記1

狩人の武器は弓だ。

弓の特性を知っておくべきだろう。

弓は遠距離攻撃武器となり、隊列の後ろにいるほど威力が上がる。

接近武器と同時に持つと威力は激減するので注意が必要だ。

狩人の手記2

遠距離攻撃武器が合う職業は、狩人の他にも居る。

忍者、盗賊だ。

必殺攻撃を得意とする彼らは弓の適性が高い。

また、忍者には『手裏剣』という遠距離武器もある。

狩人の手記3

弓を武器とする狩人の特徴は、一撃の攻撃力の高さと必殺攻撃の威力だ。

そして、仲間の必殺攻撃を支援する追撃能力だ。

必殺攻撃を得意とする仲間がいるなら、狩人は良い働きをするだろう。

狩人の手記4

店に出回っている通常の弓の他にも特殊な弓があるらしい。

これらは希少で特殊な性能を有している。手に入れることができたら、かなりの幸運だろう。

ボウガン
小型で片手でも扱える特殊な弓。連射性能が高い。

マジックボウ
魔法使いでも扱える弓だ。

大樹の弓
聖なる大樹から作られた特殊な弓。癒しの力がある。

大弓
力自慢の扱う大型の弓。大型の魔獣を一撃で倒せるほどの威力がある。

アーバレスト
城攻めに使われる。岩をも撃ち抜く弓。こんなもので射たれたらたまったものではない。

エルブンボウ
妖精が持つという伝説の弓。この弓を持つ狩人は、何も怖れる必要がないと言う。

ミラクルボウ
手に入れること自体が奇跡の弓だ。

狩人の手記5

この他にも五種族に対する特効性能をもつ弓があるらしい。

希少な弓の入手はなかなか難しいが、一つでも手に入れれば狩人の活躍は見違えるものとなるだろう。

古館

冒険者の手記1

攻撃回数を上げるには小手を付けるのが一番手っ取り早い。

小手には
 [+?] 攻撃回数アップ
というスキルがある。

エンシェント・ガントレットという小手は[+5]ものスキルが付いているそうだ。

まずは小手のスキルに注目することで戦闘力は一気に上昇するだろう。

冒険者の手記2

小手装備の倍率の高い者ならば、スキルだけでなく小手そのものの攻撃回数も重要となってくる。

一見するとその数字は低いが、スキルと違って同じ小手を複数付けても効果を得られる。

冒険者の手記3

攻撃回数の数値変化はちょっとやっかいだ。

装備した時には必ず1,2,3,4…と整数になってしまう。

例えば、攻撃回数が +0.7増える ということはなく、この場合は繰り上がって +1 になる。

攻撃回数 0.5~1.5 は、攻撃回数+1 になる。ただし、0.5は含まれない。

つまり攻撃回数0.5と付いているアイテムをいくつ装備しても攻撃回数は +0 として扱われてしまう。

攻撃回数が0.5を少しでも越えた時、攻撃回数+1 となる。

逆に攻撃回数-0.5のアイテムなら、ぎりぎり攻撃回数が減らないで済むだろう。

冒険者の手記4

アイテムに称号が付いても攻撃回数は変化しない。

ただし、小手だけは称号の効果を受ける。

そのため称号付きの小手は、攻撃回数を劇的に増やせる可能性を秘めている。

冒険者の手記5

[1.4倍]剣装備、といった装備の倍率が増えるときは攻撃回数の変化が重要になる。

例えば
魔法の剣 攻撃回数-0.5
この剣はそのままなら攻撃回数が減らないで済む装備である。

しかし、[1.4倍]剣装備 のスキルがあると攻撃回数も1.4倍されて-0.7となるため、攻撃回数は -1 となってしまう。
称号付きアイテムでも攻撃回数は変わらないため、この数字は最後まで影響を及ぼす事になるだろう。

冒険者の手記6

称号付きでも変化しない攻撃回数だが、変える方法がいくつかある。

その一つは宝石合成だ。

攻撃回数が変化する宝石は少ないが、使い方によっては様々な可能性を秘めている。

強力な称号の付いた小手との合成は劇的な効果をもたらすだろう。

冒険者の手記7

攻撃回数の区切りを見極めた上級技がある。

それは、複数装備によるアイテム効果の減少を利用する技だ。

同じアイテムを三つ以上装備するとアイテムの効果は減ってしまう。

この減少を利用して攻撃回数のペナルティをかわす方法がある。

例えば、攻撃回数-0.6のアイテムを二つ装備すると
攻撃回数-0.6 -> 攻撃回数-1
攻撃回数-0.6 -> 攻撃回数-1
となり攻撃回数は -2 となる。

しかし四つ装備すると性能が80%へ減少するため
攻撃回数-0.48 -> 攻撃回数 0
攻撃回数-0.48 -> 攻撃回数 0
攻撃回数-0.48 -> 攻撃回数 0
攻撃回数-0.48 -> 攻撃回数 0
となり攻撃回数は減少しない。

帝都防衛戦

ある賢者の手記1

攻撃の威力が増えるスキルは二種類ある。

・[+20%]攻撃威力の増減(%)
・[1.2倍]攻撃威力

これらのスキルを単体で持つだけなら効果は同じだが、複数のスキルが混ざると効果は違ってくる。

ある賢者の手記2

この三つのスキル
・[+10%]攻撃威力の増減(%)
・[+20%]攻撃威力の増減(%)
・[+30%]攻撃威力の増減(%)
これらは足し合わされ、攻撃の威力は 1.6倍 となる。

この三つのスキル
・[1.1倍]攻撃威力
・[1.2倍]攻撃威力
・[1.3倍]攻撃威力
これらは掛け合わされ、攻撃の威力は 1.716倍 となる。

ある賢者の手記3

・[+20%]攻撃威力の増減(%)
このスキルだけを持つ者の攻撃の威力は100% → 120%となる。

一方、盗賊は
・[-20%]攻撃威力の増減(%)
というスキルがあるため、初期から攻撃の威力は80%となっている。

その盗賊が
・[+20%]攻撃威力の増減(%)
このスキルを持つと攻撃の威力は80% → 100%となる。

一見すると同じ+20%だが、この二つは効率が違う。

100% → 120% は1.2倍
80% → 100% は1.25倍

このように倍率を見れば効率の違いが分かる。

(%)で表示されるスキルは足し合わせていくため、元の数字が小さいほど効果は大きくなる。

ある賢者の手記4

攻撃力1000で防御力400の敵を攻撃すると、100~800のダメージを与えられる。

攻撃力1000で防御力400の敵を攻撃し、攻撃の威力が1.4倍に増幅される場合、140~1120のダメージを与えられる。

攻撃力1400で防御力400の敵を攻撃すると、300~1200のダメージを与えられる。

この振れ幅は『運』の高い者ほど高い数字に安定する。

ある賢者の手記5

戦闘能力は常に100%発揮されるわけではなく、50%~100%の揺れが生じる。

攻撃力1000
→ 戦闘時の攻撃力 500~1000

命中精度800
→ 戦闘時の命中精度 400~800

防御力600
→ 戦闘時の防御力 300~600

この揺れには運が関係してくる。
運の高い者ほど、低い数字が出なくなり高い数字で安定する。

運10 攻撃力1000
→ 戦闘時の攻撃力 500~1000

運15 攻撃力1000
→ 戦闘時の攻撃力 550~1000

運20 攻撃力1000
→ 戦闘時の攻撃力 600~1000

運25 攻撃力1000
→ 戦闘時の攻撃力 650~1000

戦闘時の数字の揺れには全て運が絡んでくる。

ブレス攻撃やブースト攻撃のような揺れ幅の広いものほど運の影響は大きいだろう。

ある賢者の手記6

〈魔法威力メモ〉

Lv10 魔法攻撃力200
→ ファイヤーボール 125~150

Lv20 魔法攻撃力200
→ ファイヤーボール 150~175

Lv30 魔法攻撃力200
→ ファイヤーボール 175~200

Lv30 魔法攻撃力400
→ ファイヤーボール 225~275

Lv30 魔法攻撃力600
→ ファイヤーボール 275~350

Lv20 魔法攻撃力200
→ マジックアロー 180~220

Lv40 魔法攻撃力200
→ マジックアロー 230~270

Lv30 魔法攻撃力400
→ ブリザード 255~270

Lv40 魔法攻撃力400
→ ブリザード 300~315

Lv50 魔法攻撃力400
→ ブリザード 380~395

Lv60 魔法攻撃力400
→ ブリザード 510~525

ブリザードはLv50から威力が強くなっているようだ。

※途中でダメージ計算式が変更されたのか、今現在の計算式に当てはめると全く異なる結果になる

ある賢者の手記7

スリープクラウドの成功率は
50% x (魔法攻撃力/魔法防御力)
となる。

相手の魔法防御力よりもこちらの魔法攻撃力が2倍あればほとんど効くと考えて良いだろう。

ただし、上限があるようで100%にはならない。

眠り攻撃の成功率は
10% x (自分のLv/相手のLv)
となる。
攻撃回数が多いほど有効だ。

相手に眠り抵抗や耐性がある場合は、1/2、1/3の数字で考えれば良いだろう。

ただし最終的には相手の運が絡んでくる。

運35の者はほとんどの確率判定を半減させる、厄介な相手だ。

ある賢者の手記8

魔法にも貫通ダメージがある。

その詳細は…

ある賢者の手記9

<初撃ボーナス>

相手の防御力よりも攻撃側の攻撃力が極端に大きい場合、ダメージは大きく増幅する。

これは渾身の力で振り抜く最初の一撃にだけ付くボーナスである。

攻撃回数が多く一度の攻撃で5回、10回とヒットしても最初の一撃目にだけこのボーナスはつく。

攻撃力2500 防御力500 ー> 増幅率 1.1倍
攻撃力6000 防御力1000 ー> 増幅率 1.2倍
攻撃力10500 防御力1500 ー> 増幅率 1.3倍
攻撃力16000 防御力2500 劣化20% ー> 増幅率 1.4倍
攻撃力18000 防御力1000 ー> 増幅率 1.5倍

侍など攻撃力の高い者は攻撃力を高めれば高めるほど飛躍的にダメージが増えるだろう。

ある賢者の手記10

<追加ダメージボーナス>

一度の攻撃で同じ相手に攻撃が命中した回数が10回を超え、相手の回避能力よりも攻撃側の命中精度が極端に大きい場合に限り、追加ダメージは大きく増幅し始める。

敵の動きを止めて急所を的確に貫く技術が相手に壊滅的なダメージを与えることになるだろう。

命中精度7500 回避能力500 ー> 11撃目 1.21倍
命中精度15000 回避能力1000 ー> 12撃目 1.44倍
命中精度10500 回避能力1500 ー> 12撃目 1.32倍
命中精度30000 回避能力2000 ー> 20撃目 2.80倍
命中精度63000 回避能力1000 ー> 20撃目 4.00倍

連続攻撃の回数が多いほど、命中精度が高いほどにこの威力は増幅されていく。

圧倒的な攻撃回数と命中精度を誇る者だけがこの効果を実感するだろう。

ヒドラ火山

継承メモ3
継承メモ4

魔法の小手

…の腕輪

……

継承メモ5
継承メモ6

献身の衣

マジカルローブ

…のマント

……

継承メモ7

エルブンボウ

ミラクルボウ

……

……

継承メモ8
継承メモ9
継承メモ10

小烏丸

……

……

……

黄山

冒険者の手記1

<ドワーフ 強化スキル>

スキル名
・[x2.0] 反骨精神

効果
・スキル【[地族Lv50] 反骨精神】の発動率が2.0倍になります。

付与アイテム
屈せぬ心

冒険者の手記2

<ダークエルフ 強化スキル>

スキル名
・[+8%] 殺意

効果
・スキル【[黒精Lv50] 殺意】の発動率が8.0%上昇します。

付与アイテム
悪のサーベル

冒険者の手記3

<吸血鬼 強化スキル>

スキル名
・[x2.0] 魔法反撃

効果
・スキル【[魔族Lv50] 魔法反撃】の発動率が2.0倍になります。

付与アイテム
魔矢の技書

冒険者の手記4

<エルフ 強化スキル>

スキル名
・[x1.6] 反射回復

効果
・スキル【[妖精Lv50] 反射回復】の発動率が1.6倍になります。

付与アイテム
大天使の羽根

冒険者の手記5

<ドラゴニュート 強化スキル>

スキル名
・[x2.0] ブレス反撃

効果
・スキル【[竜族Lv50] ブレス反撃】の発動率が2.0倍になります。

付与アイテム
竜人王の小手

冒険者の手記6

<アマゾネス 強化スキル>

スキル名
・[x2.0] 勇猛果敢

効果
・スキル【[女傑Lv50] 勇猛果敢】の発動率が2.0倍になります。

付与アイテム
ヴァルキリーソード

冒険者の手記7

<アンデッドマン 強化スキル>

スキル名
・[x2.0] 即時蘇生

効果
・スキル【[不死Lv50] 即時蘇生】の発動率が2.0倍になります。

冒険者の手記8

<鬼 強化スキル>

スキル名
・[+10%] 闘争心

効果
・スキル【[鬼神Lv50] 闘争心】の発動率が10.0%上昇します。

付与アイテム
鬼神の技書

雪山の戦い

鍛冶師の手記1

ドラゴンの鱗はとても硬い。

その鱗を使った鎧は防御力が高く、種々の攻撃を弾き返すだろう。

鍛冶師の手記2

ドラゴンの鱗には熱さに強いものや寒さに強いものなど多数の特性がある。

何種類もの竜の鱗を幾重にも重ねた鎧はあらゆる攻撃を弾き返すだろう。


ただし、重い。

鍛冶師の手記3

鎧の基盤となる素材はロックドラゴンの鎧だ。

岩竜の鱗は重いが竜鱗鎧の加工に欠かせない特性がある。

それはレッドドラゴンアイスドラゴンサンダードラゴンの三種の竜鱗を重ね合わせて鍛え上げることが出来るのだ。

この時、どの鱗を表面にするかによって鎧の特性が変わる。

鍛冶師の手記4

次に重ねられるのはブラックドラゴンの鎧だ。

黒光りするその鎧は魔法にも強くなり、マジックアローでも貫くことは出来ないだろう。

この時点でもう鎧として一級品と言える。

鍛冶師の手記5

次を望むならば必要な素材はグリーンドラゴンの鱗だ。

緑竜の強力な魔力を含んだその鱗は、鎧を一段階上へと鍛え上げることが出来る。

しかし、ここからは特殊な加工が必要となる。

その技術を持つ者はドワーフぐらいであろう。

この緑竜の魔力を含んだ鎧は、身に付ける者に覚醒を促すだろう。

鍛冶師の手記6

この時点で既に国宝級の鎧と言える。

しかしここまで来たら究極を目指したくなるものだ。

更なる高みに必要な素材は、ドラゴンの中でも高位の存在であるシルバードラゴンの鱗だ。

銀色に輝く鍛え上げられたその鎧は、魔法使い最強の呪文にも耐えるだろう。

鍛冶師の手記7

竜鱗鎧にはまだ先があるらしい。

しかし、その先を見た者は居ない。

黄金に輝く竜鱗鎧の記録が古き書物に残されているだけだ。

その鎧を着た戦士は、巨大な魔物の一撃を平然と弾き返したという。

その鎧には金竜とも言われるキングドラゴンの鱗が必要なのではないかと言われている。

しかし金竜はその存在も分かっていない。

大空を飛ぶ黄金の竜を見たという話はある。

そしてその竜は氷雷山へと飛んで行ったと言われている。

しかし金竜を見つけたという報告は無い。

それは一説には金竜は存在しないのではなく、見つけた者は生きて帰れないからだと言われている。

ギルド防衛戦

隊長の秘密の手記1

人間剣聖(剣士)

とりあえず作ってみるキャラ。

隊長の秘密の手記2

ドワーフ忍者(賢者)

どんな場面でも役に立ちそうで役立たない皆の引き立て役?
存在が貯金箱

隊長の秘密の手記3

ピグミーチャム侍(盗賊)

一撃必殺に憧れたピグミーチャムの末路。

隊長の秘密の手記4

ノーム秘法剣士(僧侶)

何でも出来るぞ!

隊長の秘密の手記5

ダークエルフ僧侶(忍者)

暗殺術を心得て素手で戦う僧侶。

隊長の秘密の手記6

吸血鬼修道者(秘法剣士)

過去に何か深い業を持つ吸血鬼。

隊長の秘密の手記7

エルフ盗賊(ロイヤルライン)

家出娘。

隊長の秘密の手記8

サイキック剣聖(剣士)

素性を隠し剣の道を歩んだサイキック。

隊長の秘密の手記9

ワーキャット賢者(侍)

ありえん。

隊長の秘密の手記10

ドラゴニュート盗賊マスター

口から火を吹く大道芸人。

隊長の秘密の手記11

アマゾネス忍者マスター

くノ一…?

隊長の秘密の手記12

アンデッドマン僧侶(修道者)

摂理に反する道を歩む神職者。

隊長の秘密の手記13

巨人魔法使いマスター

魔法に憧れた巨人。
巨人ならやりかねない。

隊長の秘密の手記14

天狗修道者

転職し忘れてそのまま放置されてる人。

隊長の秘密の手記15

鬼狩人(侍)

一撃に全てを賭ける銃使いの鬼。

隊長の秘密の手記16

サイボーグ賢者(ロイヤルライン)

戦場を駆け回り弾幕のごとく攻撃魔法をばらまくのが好きな浪費家の貴族。
楽しそうだけど役には立たない。

ドラゴン襲撃

傭兵の手記1

亜竜や亜人ではない純粋な竜族の吐くブレスは非常に強力だ。

ブレスの対策なしにドラゴンと戦うのは自殺行為だろう。

傭兵の手記2

ブレスへの対策はまずシールドだ。

シールドは一つ持っているだけでもブレスを4/5に軽減してくれる。

更に基本的なシールドにはブレス軽減の効果がある。

<ブレス軽減の効果>
 -6% シールド
 -7% ミスリルシールド
 -8% ロイヤルシールド
 -9% カイザーシールド
 -10% エンシェントシールド
 -11% ドラゴンシールド

種類の違うシールドを持てばその効果は加算されていく。ドラゴンシールドまで全て持てば51%のブレスダメージを軽減できるだろう。

噂ではこの他にもブレス軽減効果が -12% や -13% のシールドがあるらしい。

傭兵の手記3

基本的なシールドの他にもブレスを防ぐことに特化した装備がある。

代表的な物は「竜騎士の盾」だ。

これ一つでブレスのダメージを2/3まで減らしてくれる。

竜騎士の盾」を鎧として作り変えた「ドラゴンメイル」も同じ効果を得られるだろう。

他にも天狗たちが着ている「天狗の陣羽織」にはブレスを防ぐ効果があるらしい。

傭兵の手記4

竜族にはブレスが効かない。

竜族はどれもが強力なブレス耐性を持っている。

その理由は鱗にある。

ドラゴンの鱗は非常に固く、熱や冷気に強く、電気も通さない。

その竜の鱗を使った非常に重い鎧はブレスダメージを1/2に軽減してくれるという。

傭兵の手記5

非常に稀に見つかる称号がついた装備品にはブレスダメージを3/5に軽減してくれるものがあるらしい。

ファミリアの町

賢者の手記1

世の中には職業スキルを強化するレアアイテムがあります。

例えば『ブレイブブレイド』です。
これは剣士の【打ち合い】のスキル発動率を高めてくれる優れものです。
剣士ならばぜひとも一本持っておきたい代物でしょう。

ブレイブブレイドナイトソードパラディンソードから継承合成によって鍛えることが可能です。

ナイトソード
 → パラディンソード
  → ブレイブブレイド

上を目指す剣士ならば必須の一本となります。
鍛え上げておくと良いでしょう。

剣士ならば更に【魔法支援】【激闘】を強化するアイテムも欲しくなります。

噂では帝国のテンプルナイツの隊長には代々『激闘の小手』という装具が与えられるそうです。

賢者の手記2

狩人ならば必ず欲しい弓があります。

それは『エルブンボウ』と呼ばれる妖精の弓です。

弓自体の性能も優秀でありながら、なんと言っても【追撃】の発動率が高まるという、狩人ならば喉から手が出るほど欲しい代物です。

何処かの湖にいる口うるさい馬の妖精が持っているそうです。

賢者の手記3

迷宮探索のエキスパートとされているのが忍者という職業です。

忍者の起源は東方の国にあると言われ、その奥義はまだ世に明かされていないとも言われています。

歴史を紐解くと、忍者の奥義が記された『達人の技書』と『必殺連撃の技書』という書物が登場します。

それらは達人の手に渡り、今でも密やかに守られているのだと言われています。

賢者の手記4

熟練した盗賊は生命の危機を回避する優れた直感を持っています。

それは生死を掛けた長年の冒険により培われるものだと言われています。

特にピグミーチャム族の伝説的な盗賊『チャララー・ピッピ・ピッピ』は世界を渡り歩き、優れた処世術を身につけていたと言われています。

彼はその経験を一冊の書に記しました。

それは『保身の書』と呼ばれ、人の手を渡り歩いているそうです。

多くの盗賊たちがその書を手に入れようと狙っていますが、その書を手にした者は保身術を学んでしまうため、そう簡単に見つからないのだと言われています。

活用の用途は広く、盗賊ではない者が持っている可能性もあります。

竜と悪魔の戦場

結界術大辞典1

[ 物理結界Lv1 ]
支配者の指輪
物理結界*人間男専用
百戦錬磨*人間男専用
ゴーレム改造「物理結界Lv1」
ブロッブ
銀竜

[ 物理結界Lv2 ]
戦乙女の加護*アマゾネス専用
刀槍矛戟*アマゾネス専用
超レア称号「直視出来ない
ブロッブ

[ 物理結界Lv3 ]
大地龍の爪
踊る人形

[ 物理結界Lv5 ]
浮雲驚竜*ピグミーチャム専用

[ 防御結界(物理) ]
地精の結界装置*ドワーフ専用
不壊金剛*ドワーフ専用
聖人君子*巨人専用

[ マテリアル・フィールド ]
ゴーレム改造「プロテクター」

結界術大辞典2

[ 魔法結界Lv1 ]
八咫鏡
魔法結界*人間女専用
万紫千紅*人間女専用
聖人君子*巨人専用
ゴーレム改造「魔法結界Lv1」
ミストドラゴン
銀竜

[ 魔法結界Lv2]
精霊の守護*ノーム専用
森羅万象*ノーム専用
超レア称号「落とし物の

[ 魔法結界Lv3]
夢幻泡影*吸血鬼専用
大地龍の小手

[ 魔法結界Lv5]
森羅万象*ノーム専用

[ 防御結界(魔法) ]
八咫鏡
精霊の守護*ノーム専用
森羅万象*ノーム専用
森の守り手*エルフ専用
千古不滅*エルフ専用

[ アストラル・フィールド ]
イザナミ

結界術大辞典3

[ ブレス結界Lv1]
熱風の精霊像
ゴーレム改造「ブレス結界Lv1」

[ ブレス結界Lv2]
超レア称号「息が止まる
竜神の守り*ドラゴニュート専用
竜章鳳姿*ドラゴニュート専用
聖人君子*巨人専用

[ ブレス結界Lv3]
天真爛漫*ワーキャット専用
大地龍の杖
大地龍の剣
大地龍の弓

[ 防御結界(ブレス) ]
竜神の守り*ドラゴニュート専用
竜章鳳姿*ドラゴニュート専用

[ ドラゴン・フィールド ]
アントマン

海底神殿

#%##$の手記1

1個:Lv1
2個:Lv3
3個:Lv6
4個:Lv9
5個:Lv12
6個:Lv16
7個:Lv20
8個:Lv25
9個:Lv30
10個:Lv36
11個:Lv42
12個:Lv49
13個:Lv58
14個:Lv67
15個:Lv77
16個:Lv89
17個:Lv102
18個:Lv118
19個:Lv134
20個:Lv150
21個:Lv166
22個:Lv183
23個:Lv200

#%##$の手記2

戦士
1個:Lv1
2個:Lv2
3個:Lv5
4個:Lv7
5個:Lv10
6個:Lv13
7個:Lv16
8個:Lv20
9個:Lv24
10個:Lv29
11個:Lv34
12個:Lv40
13個:Lv46
14個:Lv53
15個:Lv60
16個:Lv67
17個:Lv75
18個:Lv83
19個:Lv91
20個:Lv99
21個:Lv108
22個:Lv117
23個:Lv126
24個:Lv135
25個:Lv145
26個:Lv158
27個:Lv176
28個:Lv200

#%##$の手記3

[+1]
騎士の家系、傭兵経験、武家の出、鷹の目
戦士、盗賊、秘法剣士、剣聖、ロイヤルライン
ピグミーチャム、ドワーフ、吸血鬼、ドラゴニュート、アマゾネス、鬼、サイボーグ、ヒューマノイド
[魔造Lv99] 完成体

[+2]
隠遁者の知識
狩人、修道者、忍者、君主
アンデッドマン

[+3]
使い魔所有
賢者
巨人

[+4]
オメガ

[x2]
ゴリアテタロスタイタンオメガ

竜の巣

戦士マスターの手記1

俺は人間の戦士マスターだ。

物理防御力を極めることに人生を費やしている。

物理攻撃を防ぐスキル【攻撃に強い】と【物理ダメージ軽減(%)】の2種類を極めることが人生の目的だ!

戦士マスターの手記2

俺が調べた限りで【攻撃に強い】のスキルは以下の通りである。

[4/5] 攻撃に強い:重鎧、超重鎧

[3/4] 攻撃に強い:捨て子、緑の薬

[2/3] 攻撃に強い:神の盾など、超重鎧、障壁、???の爪

[3/5] 攻撃に強い:金竜鱗超重鎧、超レア称号

[1/2] 攻撃に強い:銀竜

[2/5] 攻撃に強い:ドワーフ王?


ではこれを一つずつ見ていこう。

戦士マスターの手記3

[4/5] 攻撃に強い:重鎧、超重鎧

これは重鎧を身に付ければ手に入る。


[3/4] 攻撃に強い:捨て子、緑の薬

不遇な『捨て子』の人生を歩んだ者はこのスキルを持っているらしい。

俺のように後からスキルを手に入れるには『緑の薬』という薬がある。しかしこの薬は魔法攻撃とドラゴンブレスに弱くなるという致命的な欠点がある。
それでも物理防御力を極めようとする俺は当然、緑の薬を飲んでいる。

戦士マスターの手記4

[2/3] 攻撃に強い:神の盾、超重鎧、障壁

このスキルも基本のスキルだ。説明は必要あるまい。『神の盾』を知らんなどと言う冒険者がいたらぶちかましをくれてやる。

吸血鬼、ドワーフは最初からこのスキルを持っているらしいが人間の俺には関係ない。
修道者になれば身につけられるそうだが戦士一択の俺にはこれも関係ない話だ。
他にはノーム族の奥義で身につけられるという噂を聞いたことがあるが人間の俺には関係ない。

そうなると装備品でスキルを得る必要がある。【[2/3] 攻撃に強い】を得られる装備は『神の盾』の上位性能を持つ『ブルーメタルアーマー』も有名だろう。しかし俺のような玄人になれば『金竜の鎧』という高級装備も知っている。

他に『○○障壁』という素晴らしい性能を持つアイテムが有るのを知っているだろうか。こいつは入手が困難だが魔法やブレスも防ぐ秀逸な品だ。

そして極めつけが、とある伝説の龍の爪だ。これは武器でありながら【[2/3] 攻撃に強い】のスキルを持つ唯一のアイテムらしい。その龍は大地を司るという話だが実際に存在するのかも不明である。

戦士マスターの手記5

[3/5] 攻撃に強い:金竜鱗超重鎧、超レア称号

このスキルこそ戦士の優劣を決めるスキルと言えるだろう。
まず超レア称号と呼ばれる極稀にアイテムに付いている称号から得る方法がある。

それは「永久なる」「幸福なる」「世を導く」「焼き尽くす」「天下無双の」の5つだ。

戦士マスターを名乗るならばこのスキルを避けて通ることは出来ないだろう。俺が『焼き尽くす臭い溶ける鎧』を手に入れるのにどれだけ苦労したことか…

他には『金竜鱗超重鎧』を身につける方法もある。しかしこれは【重装】であるため2ターンに一度しか行動できなくなってしまう。そうなると防御行動を取れないという問題が生じてくる。

防御行動は大事だ。全ての攻撃を1/2に軽減できるのだから、物理防御力を極めようとする俺にとって外すことは出来ないだろう。決して『金竜鱗超重鎧』が手に入らないから負け惜しみを言っているわけではない!

戦士マスターの手記6

[1/2] 攻撃に強い:銀竜

噂ではシルバードラゴンがこの素晴らしいスキルを持っているらしい…

あの鱗か!?
あの銀の鱗がこの防御スキルを生み出しているのか!?

しかし銀竜の鱗を加工しても得られないという…

悔しいからシルバードラゴンに一人で挑み20ターン耐えてやった。

フフフ、倒しきれなくて悔しいだろう。

他にはアンデッドマンの奥義で身につけられるという噂を聞いたことがあるが人間の俺には関係ない…

[2/5] 攻撃に強い:ドワーフ王?

噂でしか聞いていないがドワーフの王がこのとてつもないスキルを持っているらしい…

しかしドワーフにしか使えないという話だから俺には関係ない。

そう、関係ない…

戦士マスターの手記7

次は【物理ダメージ軽減(%)】のスキルを見ていこう。

[-3%] 物理ダメージ軽減(%):
黒装束など

[-4%] 物理ダメージ軽減(%):
パラディンアーマーなど

[-5%] 物理ダメージ軽減(%):
緑竜の鎧など、ディフェンダー不死身の薬

[-6%] 物理ダメージ軽減(%):
アーマー勇者の鎧

[-7%] 物理ダメージ軽減(%):
ミスリルアーマーヒドラアーマー

[-8%] 物理ダメージ軽減(%):
ロイヤルアーマー赤胴の鎧

[-9%] 物理ダメージ軽減(%):
カイザーアーマー黒騎士の鎧

[-10%] 物理ダメージ軽減(%):
エンシェントアーマーアークナイトアーマーダマスカスヘビィメイル

[-11%] 物理ダメージ軽減(%):
ドラゴンアーマーファフニールの竜血精霊の杖、超レア称号

[-12%] 物理ダメージ軽減(%):
アダマントアーマー金竜の鎧、超レア称号

[-13%] 物理ダメージ軽減(%):
??アーマー冥界の鎧、超レア称号


これらは装備さえ身につければ得られるスキルだ。

基本はアーマ―系の[-6%]~[-13%]のスキルだが、物理防御を極めようとする俺は当然[-3%]~[-5%]も身につけている。

戦士マスターの手記8

[-3%] 物理ダメージ軽減(%):

黒装束暗殺者の服舞姫の衣ライトアーマー原始の服防刃の陣羽織クルセイダーシールド

この中で俺が身に着けているのは『原始の服』だ。この装備のことはおそらく聞いたこともあるまい。実はある山で拾った布切れを調べてみたらなんとこのスキルが付いていたのだ。もしかしたら神が落とした高貴な布なのかもしれない。


[-4%] 物理ダメージ軽減(%):

仁王の鎧歴戦の鎧パラディンアーマー大鱗の鎧深紅の鎧クルセイダーアーマーボーンアーマーデモンズメイル源氏の鎧ケブラーアーマー黄金の鎧白銀の鎧闘神の盾

このスキルを得られる装備はたくさんある。どれも特殊な機能をもったレア装備と言えるだろう。

俺が持っているのは『闘神の盾』だ。盾ゆえにブレスを防ぐ性能もあるので重宝している。


[-5%] 物理ダメージ軽減(%):

緑竜の鎧銀竜の鎧王家の鎧英雄の鎧悪魔王の鎧ブルーメタルシールドディフェンダー不死身の薬、宝石ペリドット

このスキルの付いた鎧は最低でも竜の素材を使っており入手の難易度が高い。俺は鎧ではなく武器のディフェンダーでこのスキルを得ている。

戦士マスターの手記9

[-6%] 物理ダメージ軽減(%):
アーマー勇者の鎧

[-7%] 物理ダメージ軽減(%):
ミスリルアーマーヒドラアーマー

[-8%] 物理ダメージ軽減(%):
ロイヤルアーマー赤胴の鎧

[-9%] 物理ダメージ軽減(%):
カイザーアーマー黒騎士の鎧

[-10%] 物理ダメージ軽減(%):
エンシェントアーマーアークナイトアーマーダマスカスヘビィメイル

これらは5段階までのアーマー系で得られる基本的なスキルだ。戦士でこれを知らない者は居ないだろう。

しかしアーマー系にはそれぞれ上位の鎧が存在することは知っているだろうか。
例えば、アーマーと同じスキルがありながら高性能な鎧が『勇者の鎧』である。

勇者の鎧
ヒドラアーマー
赤胴の鎧
黒騎士の鎧
アークナイトアーマー

これらは一見するとあまり性能の良い鎧に見えないがアーマー系5段階のそれぞれ上位鎧に当てはまる。これを知っているか否かがただの戦士と戦士マスターの違いと言えるだろう。当然、俺は全て知っている。

ダマスカスヘビィメイル』にもスキルがついているが俺は『重装』は使わないので関係ない!

戦士マスターの手記10

[-11%] 物理ダメージ軽減(%):

ドラゴンアーマーファフニールの竜血精霊の杖、超レア称号

これは6段階目のアーマー系の鎧である『ドラゴンアーマー』についている。

6段階目の装備は店で簡単に売っているものではないが高レベルの冒険者であれば一つくらいは持っているだろう。他にもこのスキルが付いた『ファフニールの竜血』『精霊の杖』という物があるそうだが名前を聞くだけで実物は見たことがない。また超レア称号でもこのスキルは付くらしい。

戦士マスターの手記11

[-12%] 物理ダメージ軽減(%):

アダマントアーマー金竜の鎧、超レア称号

このスキルは7段階目のアーマー系の鎧である『アダマントアーマー』についているらしい。

7段階目の装備は滅多にお目にかかれない代物である。50人規模の大規模なパーティで狩るような強力な魔物が落とすことがあるという。

超レア称号としては「災いの中心にある」「奇跡的な」「全てを破壊する」「勝手に動く」「攻め続ける」「直視出来ない」という称号でスキルを得られる。

他にも『金竜の鎧』という素晴らしい鎧にもこのスキルがある。何を隠そうこの金竜の鎧は【[2/3] 攻撃に強い】のスキルも付いているのだ!
戦士マスターを名乗るものであれば嫁を叩き売ってでもほしい代物である。
そして俺はこの鎧を持っている。

戦士マスターの手記12

[-13%] 物理ダメージ軽減(%):

??アーマー冥界の鎧、超レア称号

8段階目のアーマー系の鎧にこのスキルが付いていると言われている。しかし8段階目の装備は名前すら分からずその存在すら疑われている代物だ。
また、とある神話に出て来る『冥界の鎧』という鎧にもこのスキルがついているらしい。

どちらも噂の域を出ない霞のような話であるため、このスキルの存在自体疑われていたのだがその実在を証明するものが見つかった。それが超レア称号の「選ばれし」だ。

選ばれし」の称号の付いた装備が発見されたことによってこのスキルの存在は実証された。そしてその装備を巡り壮絶な奪い合いが起こったほどの代物である。
この称号を得た者は正に『選ばれし戦士マスター』と言えるだろう。

欲しい。

戦士マスターの手記13

それでは、俺の装備とスキルをまとめて書き出してみよう。

[4/5] 攻撃に強い:エンシェントプレート
[3/4] 攻撃に強い:緑の薬
[2/3] 攻撃に強い:金竜の鎧
[3/5] 攻撃に強い:焼き尽くす臭い溶ける鎧

4/5 x 3/4 x 2/3 x 3/5 = 0.24倍


[-3%] 物理ダメージ軽減(%):原始の服
[-4%] 物理ダメージ軽減(%):闘神の盾
[-5%] 物理ダメージ軽減(%):ディフェンダー
[-6%] 物理ダメージ軽減(%):勇者の鎧
[-7%] 物理ダメージ軽減(%):ヒドラアーマー
[-8%] 物理ダメージ軽減(%):赤胴の鎧
[-9%] 物理ダメージ軽減(%):カイザーアーマー
[-10%] 物理ダメージ軽減(%):エンシェントアーマー
[-11%] 物理ダメージ軽減(%):ドラゴンアーマー
[-12%] 物理ダメージ軽減(%):金竜の鎧

-3% -4% -5% -6% -7% -8% -9% -10% -11% -12% = -75%


まず敵の攻撃の 75%のダメージが軽減されて 25%が残る。それから更に0.24倍にまでダメージは軽減される。

25% x 0.24 = 6%

つまり俺はスキルだけで敵の攻撃を 6% にまで軽減できるのだ!

戦士マスターの手記14

そして更に、物理ダメージは『体力』によっても軽減されることは知っていよう。

人間の場合、体力は基本値が 7 であり 17 まで成長することが出来る。そこから更に宝石などのアイテムによって +10 の強化を行い 27 まで上げることが出来る。俺は当然27だ。

物理ダメージは体力が20を超えた数値の回数分、4%づつ軽減される。

体力27であれば、96% を7回かける。

96% x 96% x 96% x 96% x 96% x 96% x 96% = 75.14…%

これを先ほどの6%と掛け合わせると…

6% x 75.14% = 4.5%

よって敵の攻撃の 95.5% を防ぐというのが俺の力だ。

戦士マスターの手記15

あとは「選ばれし」さえ手に入れれば…

いや、8段階目の鎧でもいい…

この洞窟にはとてつもない高レベルの竜が住み着いているという。

その竜であればきっと8段階目も……

フレーバーテキスト

目次

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ダンジョン内容
廃墟意図的にアンデッドマン化しようとした、とある黒魔術師の手記①
エルフの森ノーム族のホム・ポポロネス作、『エルフの森の物語』
エルフとダークエルフのお話
シュケルプ湖『シュケルプの名馬』
ケルピーのお話
大盗賊団ブッチャー率いる盗賊団に所属するある盗賊の手記
後から見直すと結構とんでもない内容が書いてある
盗賊迎撃戦ミストガルド周辺の遺跡について
川沿い川沿いに棲息する生物について
ホルン遺跡意図的にアンデッドマン化しようとした、とある黒魔術師の手記②
その末路は…
マチェス遺跡遺跡に閉じ込められ、ミノタウロスと心を交わした男の手記
どうやらサイボーグ研究所の研究員と面識があった模様
ラルバ遺跡呂布の配下から見た呂布の強さについての手記
東方の武者二人」や「北方の剣聖」との戦いも見ていたようだ
氷雷山ストーリーを補完する上で重要な手記の一つ
時系列は珍しくストーリーの後で、とある登山家が見た「奇跡」について
氷雷山(中腹)氷雷山の「雷」の名の由来となっているサンダードラゴンについて
氷雷山(尾根)氷雷山に棲息するドラゴンについて
氷雷山(頂上)氷雷山の山頂にある神殿とそれにまつわる神話について
黒雲山黒雲山について
地下坑道ノーム族のホム・ポポロネス作、『ドワーフ王国の鍛冶神』
鍛冶神ヘパイストスのお話
湖底遺跡この遺跡が湖底の遺跡になる前から待ち続けた古代人の手記
魔獣の森魔獣の森の動物が巨大化している理由について
迷いの森かつて踊る人形に出会い、森の地下への入り口を見つけた考古学者の手記
ローズウェル傭兵団とある傭兵が帝国について語った手記
サイボーグ研究所かつてリリーナやケルベロスを実験体としていた研究員の手記
呂布戦傭兵団を動かしていたローズウェル商人の手記
彼の三章の裏での動きや、孤児院の実態の一端が明かされる
コロシアム巨人王アルバトロンと邪竜王の戦いの逸話
レバノンの森ノーム族のホム・ポポロネス作、『豊穣の神クロノス』
ノーム族が信仰する神の一柱、クロノス神の神話について
その実態はクロノス神殿なわけだが
アマゾネス領アマゾネスたちとヘラクレスの交流と確執について
ノーム領神官目線のクロノス神殿について
クロノス神殿神殿に残っていた古代のログ
神殿の機能について
大森林の決戦決戦における一部神魔の動向について
空中遺跡遺跡に残っていた古代のメモリアル
空にこれが造られた理由
ネア湖ネア湖に棲息する生物、およびリヴァイアサンについて
大平原大平原に棲息する生物、およびベヒーモスについて
竜の狩り場竜の狩り場に棲息するドラゴン、およびジズについて
魏王宮各神魔の思想と、それに対する伏義の考え
黄金宮殿かつて銃を追い求めたあるドワーフ技士の話
マレフィムの丘かつてマレフィムの土地でリッチーと化したシスターの話
死神の遺跡遺跡に残っていた古代のログ
古代人の作った人工生命体とそれに関する技術について
奴隷競争三神獣を食らった『白』『黒』『色』について
サイキック収容所研究者も読み解けなかった古代の資料
サイキックについて
滅びの町ストーリーに直接関わる手記
物語の形で語られる、人間の守護神魔・アーサー王の闘いの記録
ヴィヴィアン・マーシュネタ枠
冒険者たちが湖で見つけたアイテムの記録
天使襲来ギルドがある町に住む人の手記
化け物の巣窟と化したギルドに対する一般人目線の記録
大神殿アーサーとクーフーリンの末路の真実
氷の巨人アダムの実に関する資料
北方の地下遺跡リリスの実に関する資料
古代エルフの寺院ダークエルフという種族の真実
帝都跡地ゴーレムの軍隊と海底神殿に関する手記
ミストガルド探索かつてミストガルドがミッドガルドと呼ばれていた頃の書物と、それを見つけた者の手記
パンデモニウムかつてのパンデモニウムの歴史
魔王城エンシェントドラゴンのシェイフ・ウシュムガル作、『竜の生態と役割』
成体の竜について
魔宮殿の地下A不死身の基である「完全自律型」について
魔宮殿の地下B巨人について
魔宮殿の地下Cバベル計画こと上位神魔の戦いと、その後の行末を観測した研究者のログ
魔宮殿の地下Dメフィストフェレスについて
魔宮殿の地下E魔王と呼ばれた上位神魔とそのクローンについて
魔宮殿の地下Fアマテラスとそのクローンについて
最終戦ソロモンの指輪について
霧の森強大な生物の進化の過程に疑問を抱いた考古学者の手記
帝都特攻各地の国に関する手記
森の地下リッチーなどの生物兵器について
大蛇の洞窟ヤマタノオロチの伝説について
鳥居魏王宮タケミカヅチによって滅ぼされた時の記録

廃墟

黒魔術師の手記1

ようやく手に入れた。

これだけあれば成功するだろう。

黒魔術師の手記2

ネズミに投与したときは驚いた。

始めは死んだと思って外へ捨てていた。しかし腐らず、他の動物も喰おうとしない。

そして自然に生き返った……。

肉体を破壊しても直ぐに再生する、アンデッド・マウスとなった。

黒魔術師の手記3

だが成功したのはあの一例のみだ。

何度やっても変異して死んでしまう。

黒魔術師の手記4

薄めて水に混ぜたものを与えたところ、小ネズミが巨大化し凶暴な魔物になった。

身体能力は活性化したがアンデッドのような不死性は無い。

アンデッドか魔物になるというのか?

この違いは、何だ。

黒魔術師の手記5

もう一つ特徴がある。

それは、肉食になる、ということだ。

新鮮な生き餌に食らいつく……

黒魔術師の手記6

死体への投薬実験は成功した。

適量は分かった。

あとは人体実験だ。

黒魔術師の手記7

まさかこんな遺跡にデーモンが残っているとは、あいつの言っていたことは本当だったのか。

先を調べてみたいが、今は後回しだ。

まずは儀式を終わらせる。

黒魔術師の手記8

もうすぐだ。

もうすぐ手に入る。

不死身の……

エルフの森

エルフの森の物語1

エルフの森の物語』

著者:ホム・ポポロネス(ノーム族)

むかしむかし、この世界には地下に生きる民と、森に生きる民がいた。

森に生きる民の一つが、エルフ族である。

エルフは決して森から出ず、変わることの無い静かな生活を送っていた。

ところがある日、エルフ族の森へ進出する者たちが現れた。

それは人間族である。

人間たちはこう言った。

「エルフの住む森は豊かな森だ。我々もエルフの森へ行こう。」

エルフの森の物語2

人間たちはエルフの暮らす森へ現れるようになった。

そのせいで森の資源が減り、エルフたちはこれまでのような生活ができなくなってしまった。

エルフたちはどうすれば良いか考えた。

そして人間と戦うことを選んだエルフと、戦いを拒んで逃げる道を選んだエルフがいた。

エルフの森の物語3

逃げたエルフは別の森へと移り住んだ。

しかし、ほどなくしてその森にも、人間はやってくるようになった。

エルフたちは再び森を追われ、森の奥へと逃げて暮らした。

しかし、ほどなくしてその森にも、人間はやってくるようになった。

エルフたちは再び森を追われ、更に奥へと逃げて行った。


こうしてエルフたちは生き残り、こう誓った。

「逃げよ。逃げよ。恐ろしき者たちが来ぬ場所へ。恐ろしき者たちが滅ぶまで、私たちは逃げ続けよう。」

エルフの森の物語4

逃げることを選んだエルフたちは、森の奥へと逃げ続けていた。

やがてエルフたちは、カブト族が暮らす森へとたどり着いた。

エルフたちはこう言った。

「私たちは逃げてきたの。今日からこの森で暮らすことにします。」

勇猛なカブト族はこう言った。

「どうぞどうぞ。侵略する者が来たら、我々が戦いましょう。」

そして新しい森での生活が始まった。


しかし、ほどなくしてこの森にも人間がやって来るようになった。

人間たちはこう言った。

「エルフの住む森は豊かな森だ。我々はエルフの森を探し出そう。」

勇猛なカブト族はこう言った。

「我らの森を守るため、我らは戦おう!」

エルフたちはこう言った。

「私達はこの森から逃げましょう。新たな森を探しましょう。」


そして戦いを挑んだカブト族は、全滅してしまった。

逃げ出したエルフたちは、更に森の奥へと向かった。

エルフの森の物語5

次にエルフが逃げた先にはトサカ族が暮らしていた。

エルフたちはこう言った。

「私達は逃げてきたの。今日からこの森で暮らすことにします。」

温厚なトサカ族はこう言った。

「どうぞどうぞ。森で生きる知恵を与えましょう。」

こうして、エルフたちはトサカ族の森で暮らすようになった。

しかし、この森はエルフ族とトサカ族が暮らすには小さかった。

森のめぐみはエルフ族とトサカ族の両方を潤す事は出来ず、やがて森は朽ち果ててしまった。

そして、トサカ族は全滅してしまった。


エルフたちはこう言った。

「私たちはこの森から逃げましょう。そして新たな森を探しましょう。」

そしてエルフたちは他の森へ逃げて行った。

エルフの森の物語6

一方、戦いを決心して森に残ったエルフたちは、森へやって来る人間に挑んだ。

戦い方を知らなかったエルフたちは狩りに慣れた人間たちに全く歯が立たなかった。

しかし、戦いの中でエルフたちはすぐに人間たちの戦い方を学びとった。

するとエルフは大変優秀な戦士に変わった。

戦いの中に身を置いたエルフは敵に怒りをぶつけて憎むことを学んだ。

そして侵略者を許さない残忍で獰猛な戦士へと変わった。

戦ったエルフたちは皆、肌の色が黒くなった。

そのものたちはダークエルフと呼ばれるようになった。


こうしてダークエルフは生き残り、こう誓った。

「戦え、戦え!侵略者が滅ぶまで、私たちは戦い続けよう。」

エルフの森の物語7

戦う道を選んだダークエルフは強かった。

ダークエルフは怒りを燃やして憎しみに変えて敵を討った。

そして森を侵略する全ての者を許さずに戦い続けた。

やがてダークエルフたちは仲間を増やして力をつけていった。


しかし、戦いのために森の資源を使い切ってしまった。

ダークエルフたちはこう言った。

「他の森を奪え!我らは戦うことで森に生きられるのだ。」

こうしてダークエルフたちは、他の森を襲い始めた。

エルフの森の物語8

戦い続けるダークエルフの森へある者たちがやって来た。

それは、逃げ続けたエルフであった。

エルフたちはこう言った。

「私たちは逃げてきたの。今日からこの森で暮らすことにします。」

それに対してダークエルフたちはこう言った。

「我らの森を奪う者たちがやってきた!剣を持て、弓を持て!」

そしてダークエルフたちはエルフたちに襲いかかった。


それを見ていた人間たちはこう言った。

「見よ、エルフとダークエルフが森を奪いあっている。」

人間たちは思った。

もう森に住める場所が無いのだ、と。


そして人間たちはこう言った。

「では、我々は森を出て荒野で暮らそう。」


こうして人間たちは森から出て大地を切り開いて暮らすようになった。


今でもエルフは森を逃げ続けながら暮らし、ダークエルフは森を奪いながら暮らしているという。

エルフの森の物語9

エルフもダークエルフも人間も愚かだ。

我らが神の教えを伝えてやらねばなるまい!

シュケルプ湖

シュケルプの名馬1

『シュケルプの名馬』

古来よりシュケルプ湖には妖精が住むと言われている。

妖精は美しい青年の姿をとって周囲の村に現れ、娘達を誘って連れ去ってしまうのだ。

困った村人達はそのことをシュケルプ国の王に告げた。

「王様、シュケルプ湖には娘を騙す悪い妖精が居ます。」

それを聞いた王は、その妖精を退治するために湖へと向かった。

シュケルプの名馬2

シュケルプ湖へ向かう途中、王は立派な体躯の馬を発見した。

その馬は獅子のような立て髪を風になびかせ、その見事な体躯は夕日を浴びて輝いて見えた。

あまりの見事さに王はその馬を欲しいと考え、捕えようとした。


王が馬の背に飛び乗ると、馬は暴れて湖に向かって駆け始めた。

王は必死に馬を制御しようとしたが、馬は全く言う事を聞かなかった。

走り続ける馬に手を焼いて、王はあきらめて飛び降りようとした。

しかし、立て髪が絡み付き、体が離れず馬から降りる事が出来なかった。

王はとっさに馬具を馬の口に掛けた。

馬具を付けられた馬は激しく暴れたが、王は手綱を放さなかった。

やがて馬はあきらめたかのように大人しくなった。


「人間の王よ。私を捕まえてどうするのですか。」

馬は突然、言葉を話し始めた。

シュケルプの名馬3

王は、言葉を話し始めた馬にこう言った。

「おお、賢き馬よ!お前があまりに見事な体躯をもつため、お前を私のものにしたのだ。」


馬はそれを拒んでこう言った。

「王よ。どうすればあなたは私を解放しますか。もし解放しないというのであれば、私はこのまま湖へ飛び込み、共に藻くずと消えましょう。」

それに対して、王はこう言った。

「私はこの湖に住む妖精を退治に来た。それを果たせるならば解放してやろう。」


「王よ。この湖の妖精は悪さなどしない良き者です。どうか私を解放してください。」

「いいや、我が領地の娘を誘惑する悪い妖精がここに居るはずだ。その妖精を見つけ出すまで、私はお前を解放しない。」

「王よ。この湖にはもう妖精など居ません。どうか私を解放してください。」

「いいや、美しい青年の姿をした妖精が居るはずだ。その姿を見るまで私はお前を解放しない。」

「王よ。獅子のような髪をもつ美しい青年はもうこの湖には居ません。どうか私を解放してください。」

「ならば悪い妖精が現れる時に、私は再び湖を訪れよう。」

王はそう言って、その美しい馬を連れて城へと戻って行った。

シュケルプの名馬4

城へ戻ると王は、手に入れた馬の背に乗り、山野を駆け回った。

その馬の足は速く、瞬く間に周辺の山賊や魔物を打ち負かし、王は領地を平定した。

王の乗る美しい馬は『シュケルプの名馬』と呼ばれ、人々に褒めたたえられた。


馬は度々、王に懇願した。

「王よ。あなたはいつ私を解放するのですか。」

王は、こう答えた

「賢き馬よ。悪しき湖の妖精を見つけ出すまで、私はお前を解放しない。」

「王よ。あなたは私を捕えた日より湖へ行ってません。あなたはいつ私を解放するのでしょうか。」

「賢き馬よ。お前は言ったであろう。湖にはもう妖精は居ないと。」

そう言って王はシュケルプの名馬を解放しなかった。

シュケルプの名馬5

そして事件が起きた。

ある日、城下町に美しい青年が現れ、町の娘が誘われて行方不明となった。


シュケルプの名馬は王に言った。

「王よ。あなたはいつ私を解放するのですか。」

すると王は、こう言った。

「賢き馬よ。お前は言ったであろう。湖にはもう悪しき妖精は居ないと。お前は嘘をついたな!」

そう言って王は、シュケルプの名馬をムチで叩いた。

「ああ、嘘ではありません!嘘ではありません!湖にはもう妖精はおりません!」


それからも度々、美しい青年が現れて悪さをする事があったが、その度に王はシュケルプの名馬をムチで叩いた。

シュケルプの名馬6

その後、シュケルプ国は隣国に攻められて危機に陥った。

しかし、王はシュケルプの名馬に乗って戦場を駆け回り、獅子奮迅の活躍をなして戦いに勝利した。

こうしてシュケルプ国は以後、長きにわたり繁栄と安定がもたらされることとなった。


戦場を駆け巡ったシュケルプの名馬は疲労困憊し、大変にやつれてしまった。

そして、シュケルプの名馬は我慢の限界がきて王に聞いた。

「ああ、王よ!あなたはいつ私を解放するのですか!」

王は、再び答えた。

「賢き馬よ。悪しき湖の妖精を見つけるまで、私はお前を解放しない。」


「では、王よ。湖の妖精を見れば、私を解放するのですね。」


「賢き馬よ、約束しよう。悪しき妖精を見つければ、私はお前を解放する。」


それを聞いたシュケルプの名馬は、こう言った。

「王よ。では、湖の妖精をご覧にいれましょう。それで私を解放してください。」


そう言うとシュケルプの名馬は、王の目の前で美しき青年へと姿を変えた。


それを見た王はこう言った。

「この、悪しき妖精め!この場で討ち取ってくれる!」

王は怒りの形相をなして剣を抜き、美しき青年へと向けた。


青年となったシュケルプの名馬は、狼狽してこう言った。

「ああ、王よ。話が違います!私を解放してください!」

しかし、王は答えた。

「悪しき湖の妖精を討つまで、私はお前を解放しない!」


シュケルプの名馬は、恐怖して王に懇願した。

「ああ、王よ。それでは私は解放されません!」


それに対して王は言った。

「賢き馬よ。お前は嘘をついたであろう!だから私はお前を解放しない。」


「王よ。私は嘘など申しておりません。」

シュケルプの名馬がそう言うと、王はこう言った。


「賢き馬よ。もう悪しき妖精など居ないと言ったであろう。あれは嘘であったのか!」



シュケルプの名馬はついに観念して、こう言った。
「ああ、王よ。もう悪い妖精はおりません!獅子のような立て髪の美しき青年は現れません!娘を惑わす妖精は現れません!」


それを聞いた王は、ようやく剣を納めた。

そして、シュケルプの名馬にこう言った。

「そうか、では、もう悪しき妖精は居なくなったのだな。」


シュケルプの名馬は答えた。

「はい、もう悪しき妖精はおりません。」

シュケルプの名馬は、それを誓いとして約束した。


それを聞いて王は答えた。

「わかった。ならば、お前を解放しよう。」


「だが、もしそれが嘘であれば、私は必ずや再びお前を捕まえに行くだろう!」


こうして、シュケルプの名馬は王から解放された。


それ以来、人里に悪しき妖精が現れる事は無くなったという。

これがシュケルプの土地に伝わる、遥か昔の物語である。

シュケルプの名馬7

シュケルプ湖には、湖を守護する妖精が居るという。

その妖精は人里には決して姿を表さないが、湖に近づく者を惑わし怖れさせる。

それによって湖に近づく者は居なくなり、シュケルプ湖は美しき自然を保っているという。

しかし、その妖精は馬具を見せると血相を変えて逃げ出すそうだ。

シュケルプの名馬8

今でもシュケルプ湖には馬具をつければ言うことを聞く名馬が居ると言われている。

そして、その馬は決して嘘をつかないのだという。

大盗賊団

盗賊の手記1

俺たちゃ 山賊
 エ~ンャ ソ~ヤ♪

盗賊の手記2

世間を騒がす 大怪盗♪

ブッチャー様たぁ 頭のことだ!

マスクをかぶって 大暴れ♪

悪党仮面の代名詞!

盗賊の手記3

肥えた貴族は 財産没収♪

うるさい役人 裸にしちまえ!

俺らに怖い ものはねぇ♪

怪盗ブッチャー 大怪盗!

盗賊の手記4

この歌を歌えとかマジかよ。

俺もう足を洗おうかな……

盗賊の手記5

だが、今更他に行く所はねぇんだ。

帝都の牢屋しか、な。

盗賊の手記6

帝都の貴族達は贅沢三昧だ。

領民の苦しみなど分かっちゃいねぇ。

真面目に働く領民達がどんな目に合っているか。

盗賊家業の方がよっぽどマシに生きられるんだよ。

盗賊の手記7

ウソだろう。

帝都のテンプルナイツが出てきやがった。

もうダメだ。

盗賊の手記8

すげえ!

テンプルナイツの騎士相手に負けてねぇ!

お頭、すげぇ!

今ならあの歌、歌っても良いぜ!

盗賊の手記9

やっちまえ!

山道を封じて商隊の荷を奪え!

どーせ、たいした物は運んでねーんだ。帝都を干上がらせちまえ。

地方から税を搾り取ってるだけだろう。

お頭に勝てる奴なんか居やしねぇ!

盗賊の手記10

テンプルナイツもたいしたこと無いんじゃねぇ?

あの噂は本当だったのかもな。

確か、ある吸血鬼の討伐に失敗して弱体化したとか。

吸血鬼ごときに負けるなんざ、だっせぇな。

盗賊迎撃戦

探検家の手記1

ミストガルド周辺には様々な古代遺跡がある。

魔王の住む城がある。

地下には竜の国がある。

周辺の山々の中身は丸ごと遺跡になっている。

森の中に高い塔が建っている。

異次元に通じる穴がある。

などといった様々な噂話と共に探検のメッカであった。

探検家の手記2

その中でも万魔殿パンデモニウムと呼ばれる、都市がまるまる収まるほどの巨大遺跡がある。

その広大な遺跡には恐ろしい魔物が住み、数多くのデーモン族も出没する。

遺跡調査へ向かったまま帰ってこない者も多く、まだ調査され尽くしていない。

実に探検家の心をくすぐる遺跡であるが、残念ながら霧に包まれた今、この遺跡に近づくのは自殺行為である。

探検家の手記3

ミストガルドが何故、霧に覆われるようになったかその理由はわかっていない。

それまでは多くの探検家が集まり町は繁栄していたが、霧が出てからは人の交流は減っていった。

霧の中でも遺跡調査に行く者は居たが、恐ろしい魔物に襲われるという報告が数多く上がるようになった。

この周辺では見られなかったドラゴンに遭遇した者も居るというのだから驚きである。

この土地で突然、何かが変わったのだ。

探検家の手記4

万魔殿パンデモニウムには魔王が住んでおり、調査隊が目覚めさせてしまったのだとも言われている。

魔王かどうかは定かではないが四枚の翼を持つ悪魔を見たという報告もある。

いずれにせよミストガルドの霧の中には、まだ手つかずの遺跡と共に多くの悪魔が棲息していることは間違いない。

川沿い

探検家の手記1

軍隊アリとは、大群で統率のとれた行動をとる事からそう呼ばれるようになったアリである。

通常のアリとは比べ物にならないくらい大きく、その顎は岩をも削る。

斥候のような少数部隊ならそれほど怖ろしい魔物ではないが、大群の本部隊に襲われた場合、巨大生物でも数分で骨と化すだろう。

探検家の手記2

リザードマンとは、トカゲの頭を持つ亜人種である。

水のある土地に住み、雑食で何でも捕えて食べる。

身体は堅い鱗に覆われており、強い力を持ち動きも素早い。

戦士として優秀な種族だが、知性が低く自然の中で生きるため人との交流は無い。

その鱗から作られる鎧は強力で希少価値が高い。

探検家の手記3

バッファローとは、大きな体躯を持つ四足生物である。

突進して頭の角で突き刺す攻撃は強力無比であり、当れば人など簡単に吹き飛ばされるだろう。

しかし温厚な生き物なので不用意に近づかなければ襲われる事は無い。

探検家の手記4

ジャングルの奥には巨大生物レックスが徘徊している。

二本足で走り動きが速く、バッファローを丸かじりするような恐ろしい生物だ。

生息地は人間の住処からかなり離れている。レックスが人の住処まで近づく事も滅多に無いため目撃される事は少ない。

噂では南方の大森林に住むアマゾネスたちは、レックスを一人で狩ることが一人前の証なのだと言う。

ホルン遺跡

黒魔術師の手記1

実験は成功した。

ついに私は不死身の体を手に入れた!

黒魔術師の手記2

アンデッドの肉体を持ちながら精神を保つ者、アンデッドマン。

アンデッド化した者にごく稀に起きる偶然的症状だが……

私は意図的にアンデッド化させることに成功した。

黒魔術師の手記3

シュケルプ湖の実験、そして墓場での実験。

やはりアンデッドの仕組みは、本来はゾンビを作る為のものではない。

あれは古代生物の身体維持機能の一つなのだ。

それが他の生物に移り、アンデッドなどという狂ったものが生まれたのだ。

黒魔術師の手記4

私は成功した。

これが完成体だ。

古代の英知は、私のような者を作る為にあったのだ。

黒魔術師の手記5

私の体は何度でも蘇る。

これはいつまでも続くだろう!

黒魔術師の手記6

おかしい……

治りが遅くなった。

もしかして……

いや、私が失敗などあり得ない。

黒魔術師の手記7

体が崩れる……

いや、これは何かの変調だ。

ほら、苦しくも何ともない。

むしろ体が軽くて、飛べるようだ。

黒魔術師の手記8

おかしい……

体が浮いているような気がする……

黒魔術師の手記9

何も感じない……

もしかして、私は既に、死んでいるのか…?


そんなはずは無い。

ほら、声も出せる。

字も、書ける。

体もいずれ、復活する、はず

私は、死んだわけでは、ない。

マチェス遺跡

ジェームスの手記1

ここに閉じ込められてどれだけの時間が経っただろうか。

外には怪物がうろついている。

出たら殺されるだろう。

ジェームスの手記2

遺跡調査隊の他のメンバーはあの怪物にやられてしまった。

恐ろしい容姿をもち、身の毛もよだつような叫び声を上げる怪物だ。

護衛に雇った冒険者たちも皆やられてしまった。

高い金を出して腕利きを雇ったのに、あっという間だった。

ジェームスの手記3

私は夜目が効く事が幸いであった。

暗闇の中をあの怪物から逃げ延びることが出来たのだ。

あの怪物はランプを持つ者を狙って襲いかかっていた。

どうやら明かりを嫌うようだ。

ジェームスの手記4

逃げ延びた私は迷宮の奥に奇妙な扉を発見した。

私はこの扉を別の遺跡でも見た事がある。

カードが鍵となる不思議な扉だ。

私はこの扉の開け方を知っている。

途中で拾ったカードが役に立ったのは幸運であった。

ジェームスの手記5

この部屋は安全だ。

あの怪物もこの部屋の扉はやぶれないようだ。

しかし、迷宮から脱出するにはあの怪物をどうにかしなければならない。


部屋には様々な資料と不思議な装置が置かれていた。

その資料を読んでわかった。

この迷宮をうろついていた怪物は魔造生物だ。

ジェームスの手記6

古くから伝わる伝承には、神々は魔造生物を使役していたとされている。

ならば、あの怪物を操る方法もあるはずだ。

ここの資料にもそれらしきものが書かれている。

資料が本当ならこれで魔造生物を支配できるはずだ。

ジェームスの手記7

わずかな材料と部屋の装置を使って宝石を加工することに成功した。

精神波を増幅させる効果がある宝石。これで魔造生物を支配できるらしい。

あの怪物に通用するかはわからないが、この部屋を出る時が来た。

以前に襲われた時、あの怪物は明かりを追いかけていた。

幸いな事に私は夜目が効く。

闇に紛れて脱出を試みよう。

あの怪物に見つからずに迷宮から出られるならそれにこした事は無い。

ジェームスの手記8

怪物に見つかってしまった。

下手に逃げても追いつかれるだろう。

怪物の走力からは逃げられない。

宝石を試す以外に手段は無かった。

ジェームスの手記9

成功した。

怪物は大人しくなった。

宝石で精神を増幅して直接会話が出来るようだ。


この宝石があれば神のように魔造生物を飼いならせるかもしれない。

しかし材料はもう無い、残念だ。


そう言えば機械学者の連中が精神の増幅装置を作ると言っていた。

何の意味があるのかと馬鹿にしていたが、その装置で怪物を操れるようになるかもしれない。

機械仕掛けならサイボーグに埋め込むことになるのだろう。

きっとまた奴隷を使って実験を進めるのだろう。嫌な連中だ。

ジェームスの手記10

脱出に向かう私の後ろを怪物がおとなしくついてくる。

怪物はずっとこちらの様子を伺っている。

襲いかかる隙を伺っているのだろうか。

何を考えているのか……。

ジェームスの手記11

ダメだ、違う。

これは支配しているわけではない。

これは操っているわけではない。

ただ、会話ができるだけなんだ。


牛頭の怪物はじっとこちらを見続けている。

興味を示しているが服従ではない。

怒らせたら襲ってくるだろう。


どうすれば喜ぶのだろうか。

この怪物は何に興味を持つのだろうか。

ジェームスの手記12

宝石のおかげで怪物の思いが伝わってくるのが分かる。

試しに持っている食料を与えてみた。

初めは訝しげにしていたが、やがて怪物はとって食べた。

そして喜んでいるのが分かった。


この怪物の知能は高くない、何もわかっていないだけのようだ。

心の開いた私の対応に興味を持っている。

うまく行けば本当に従えさせる事も可能かもしれない。


怪物との対話にも慣れて来た。

徐々にこちらに心を開いていくのが分かる。

しかし、私の心の何かに反応して警戒している。

今の私はこの怪物に対する敵愾心は無いのだが、いったい何が不満なのだろうか。

ジェームスの手記13

暗闇の中、迷宮を脱出するべく歩き続けた。

怪物は後ろからついてくる。

しかし、あるところまで進むと怪物は足を止めた。

それより先には進もうとしない。

何か封印や制約があって出られないのだろうか。


なぜ、この迷宮に一人で居るのか。

怪物はその問いには答えない。

暗闇の中、じっとこちらの様子をうかがっている。

私は夜目が効くので暗闇でも問題ないが、この怪物にとっては不安があるのかもしれない。

明かりを付けた方が良いのだろうか。

ジェームスの手記14

明かりを付けたとたん、襲われた。

不覚だった。

だが、それでようやく気がついた。

その時に発したお前の心

お前は……

ジェームスの手記15

お前は『自分の姿』が嫌いなのか。

自分の姿を見て嫌悪する人々の心に耐えられないんだな。

暗い迷宮に一人で居るのは自分の姿を見ないで済むから。

誰にも姿を見られずに済むからか。

だから明かりを付ける者を見ると、恐怖して消そうとする。

自分の姿に怯える者、襲いかかってくる者に嘆き、叫びを上げながら暴れることしか知らないんだな。

今まで怪物呼ばわりして済まなかった。

私のその心がずっとお前を傷つけていたのだな。

この先もお前はこの暗い迷宮の中で一人、やって来る者に怯えて生きるのか……

ジェームスの手記16

私はもう動けない。

お前にやられた傷だが、恨む気持ちは無い。

心を交わすという事はこんなにも深く残るものなのだな。

誰か、お前をここから出してやれる者が現れると良いな……

ラルバ遺跡

冒険者の手記1

将軍の強さは天下一だ!

将軍はあの東方の武者二人を、一人で相手に出来る。

冒険者の手記2

北方の剣聖との戦いは凄かった。

怒涛の剣戟を正面から打ち返す、あの戦いは伝説になるだろう。

冒険者の手記3

将軍は離れた敵をも簡単に射抜いてしまう。

針の穴を通すような弓の名手でもある。

近づこうが離れようが将軍に敵は居ない。

冒険者の手記4

どうすればあのような境地へ辿り着けるのだろうか。

戦いのために生まれてきたとしか思えない天下無双だ。

これから始まる戦争で将軍の名は天下に轟くだろう!

氷雷山

ある登山家の手記1

この寒期に氷雷山を登るのは命取りである。

しかし、今だからこそ出会える発見があるかもしれない。

ある登山家の手記2

氷雷山はなかなかに興味の尽きない山である。

サイキックはこの山を聖地として崇めているとも聞く。

過去にサイキックの賢者がこの山で修行していたというのだ。

その証の一つが山の中腹にある菩提樹である。

その菩提樹は雪景色の氷雷山でも緑の葉を茂らせ、神木として崇められている。

高名なサイキックが植えたものだと言われている。

ある登山家の手記3

菩提樹の場所は麓からそれほど遠くない。

今回もそこに寄ろうと思っている。

雪景色に映える緑は目立つため、目印としても丁度良いのである。

ある登山家の手記4

なんということだ。

菩提樹が枯れている!

枯れない神木が枯れてしまった……

自然の脅威には誰も逆らえない、ということなのだろうか。

ある登山家の手記5

菩提樹へ近づくと、驚くべきものを見ることになった。

そこには黒い竜と、剣を持った男が倒れていたのだ。

そして禍々しい姿をしたその黒い竜は、邪竜ファフニールではないか!

この剣士が倒したのだろうか……

しかし剣士の体は黒い石像のように硬くなっている。

きっと邪竜ファフニールの呪いを受けたのだろう。

ある登山家の手記6

剣士の姿をよく見ると、その背に一枚の菩提樹の葉が張り付いていた。

そこだけは黒く染まっていない。


そして、変化が訪れた。

背中に張り付いていた菩提樹の葉が突然に枯れ始めたのである。

それと同時に剣士の体が色を取り戻していく……

ある登山家の手記7

恐ろしくなった私はその場から逃げ出し、遠くから様子をうかがった。

ある登山家の手記8

やがて肌の色を取り戻した剣士は起き上がった。

そして自らの身に起こった奇跡を訝しむように両の手を見ていた。


その背からは、枯れ果てた葉が一枚、地に落ちた。

氷雷山(中腹)

ある登山家の手記1

この山の名は氷雷山

白い雪が降り積もり銀世界の広がる山だ。

それ故、氷を名に冠することはよくわかる。

しかし、なぜ雷の名がつくのだろうか?

私がまだこの山を知らぬ頃、そのような疑問を持ったものだ。

今ではその名に納得している。

ある登山家の手記2

この山に足を踏み入れるならば最も気をつけなければならないことは雷である。

雷の音が近づいてきたらすぐに山を降りるべきだ。

それは荒れ狂う雷雨の到来という自然の脅威ではない。

もっと恐ろしい悪魔の到来を意味するからである。

それは稲妻だけではなく、爪と牙の群れなのだ。

氷雷山(尾根)

ある登山家の手記1

雷鳴轟く暗雲とともに、その牙はやってくる。

稲妻が空より舞い降り、その顎から逃げる術はない。

その力の前では、人など紙切れのごとく引き裂かれる。

もはやそれは逆らえぬ自然と同じく、天災である。

ある登山家の手記2

青白きその姿は、冷たい空気をも凍りつかせる。

空を仰ぎて天を見る、その角が人を誘惑する。

挑む者を見据える目には、気高き竜の誇りあり。

ある登山家の手記3

銀色に輝く美しき姿、白銀の峰々に立つ。

白く冷たい雪原を、更なる息吹で凍てつかせる。

その姿を目にした者は、美しさに時を忘れる。

ある登山家の手記4

金色に輝くその鱗は、王者の名にふさわしい。

その息は岩を溶かし、その爪は大地を裂く。

天高く雲を超え、大空の覇者とならん。

氷雷山(頂上)

ある登山家の手記1

氷雷山の別名は『神々の住まう山』

この山にはかつて神々が住んでいた。

そうとしか思えない数々の遺跡がある。

ある登山家の手記2

北国の神の中で有名なのはオーディンである。

オーディンはグングニルという槍を持っており、その一撃は山をも穿つという。

中央大陸と東方の大陸を分かつ大地の裂け目は、オーディンと東の闘神スサノオが戦った跡だと言われている。

オーディンは最後にはフェンリルに喰い殺されたそうだ。

ある登山家の手記3

北国にはトール、ロキといった強力な神々も伝わっている。

オーディン、トール、ロキのたった三神で、西方の四大天使率いる翼ある者たちの軍勢と互角に戦ったという。

このような神々の戦いの歴史は世界各地に残されている。

それらは何かの象徴であり実際には神々など居なかったと言う学者もいるが、各地に残る爪痕を否定できるものではない。

黒雲山

流刑執行官の手記1

黒雲山は罪人の流刑地

つまり処刑場だ。

流刑執行官の手記2

腹を空かせた黒竜は周辺の国に襲いかかる。

故に近くの国々は、罪人をこの山に放ち黒竜の腹を満たせて国を守っている。

流刑執行官の手記3

一本の木も生えない山肌には溶岩が吹き上がり大地を赤く染め上げる。

徘徊し続けるアンデッドアーマーが生者に等しく死を与える。

空を駆ける黒竜の瞳からは何人たりとも逃げられない。

死を体現したこの山は、生者が足を踏み入れる場所ではない。

流刑執行官の手記4

なぜ黒雲山のような山が存在するのか。

それには一つの言い伝えがある。

この山の何処かに、ある者が投獄されてるという。

その者が逃げ出さないよう、また助け出す者が現れないよう、黒竜やアンデッドがこの山に放たれたのだという。

しかし、これもおかしな話である。

この話は何百年も前からある話であり、投獄された者はすでに生きているはずが無い。

たとえこの山の何処かにその隠された場所があったとしても、それはもはや牢ではなく墓であろう。

いずれにせよ捕われの者を助け出すことなど、もはや有り得ない話である。

しかしそれでもこの山は今でも生者の侵入を拒み続けている。

流刑執行官の手記5

そんな死の山に罪人でもないのに自分からやってくる愚か者が居る。

冒険者である。

黒竜を倒そうという無謀な輩だ。

それは名誉のためであったり、黒竜から得られる貴重な武具のためである。

地下坑道

ドワーフ王国の鍛冶神1

『ドワーフ王国の鍛冶神』

著者:
 ホム・ポポロネス(ノーム族)

ドワーフ族は地底を支配して巨大な王国を築き上げている。

何ゆえ、そのような偉業を成し遂げることが出来たのか。

それはドワーフたちの信望した鍛冶神、ヘパイストスの遺産によるところが大きい。

ドワーフ王国の鍛冶神2

ヘパイストスは鍛冶の神・炎の神とも呼ばれており、ドワーフたちの崇める神である。

今ではその姿はなく、伝承しか伝わっていない。

しかし、ヘパイストスの遺産と呼ばれる神器が残っていることから、その神は実在していたと言われている。

その神器は『アグニ高炉』と呼ばれており、マグマを操り地下坑道を自由に作り出せる。

他にも、アグニ高炉で鍛えられたドワーフたちの鍛冶ハンマーはどんな鉱石をも自由に加工出来るという。

ドワーフたちはこの力により、地下を掘り進み貴重な宝石や鉱石を手に入れて巨大王国を築き上げていった。

ドワーフ王国の鍛冶神3

ヘパイストスがどのような神であったか、いくつかの神話が残されている。

まだ多くの神が居た時代、ヘパイストスは神々の神器を作る鍛冶神であった。

大地を斬り裂く剣。

全てを防ぐ盾。

神をも殺せる槍。

そして神々への供物として、生物さえも作ったという。

ヘパイストスの作る神器はとてつもない力を秘めていた。

また、ヘパイストスはマグマを操る力を持っており、大地すら作り出す事が出来るほどの力を持つ強い神であった。

ドワーフ王国の鍛冶神4

ヘパイストスが作る神器はどれも美しく、芸術的な作品ばかりであった。

しかし、ヘパイストス自身は醜い姿をしていた。

ヘパイストスはその事を嘆いてこう言った。

「私を作った者は、なにゆえ私をこのように醜く作ったのか!それは偶然か、それとも意図的か!」

ドワーフ王国の鍛冶神5

ヘパイストスの最後はあっけないものであった。

ある日、ヘパイストスは究極のものを作る、と言って工房にこもった。

そしてそのまま工房で死んでしまったのだ。

ドワーフ王国の鍛冶神6

工房からはヘパイストスの最後の作品も無くなっていたため、渾身の作品を何者かに盗まれてショックで自殺したのではないかと言われている。

ヘパイストスが最後に作り出そうとしたものは何だったのか、それは誰にも分からないまま鍛冶神は死んでしまった。

ただ、ヘパイストスは工房にこもる前、何を作るのかと問われた時、「自分自身」と答えたという。

ドワーフ王国の鍛冶神7

ヘパイストスの鍛冶の技術は僅かながらドワーフたちに受け継がれている。

ドワーフたちは加工するのが難しい素材からでも容易に武具を作り出し、またそれは芸術的で美しい。

しかし、ヘパイストスが成したような神器を作るほどの力はドワーフには無い。

その技はヘパイストスの死と共にこの世から失われた。

湖底遺跡

王宮執務官の手記1

なんということだ。

天をひっくり返したような大雨が続き、大地が湖に変わった。

幸いなことに王の墓にいた我々は水に流されることは無かった。

しかし安心出来る要素は全くない。

我々は王の墓ごと水没しているのだから。

王宮執務官の手記2

王の墓にはシェルター機能がある。

例え水没していようとも空気・水・食料まで完全自立環境が備えられている。

我々はここで生き続けることが可能だ。

王宮執務官の手記3

外へ様子を見に行った者たちが帰ってこない。

焦って外へ出るからだ。

地理的に見てこの土地がいつまでも水没することは無い。

この水はやがて引くだろう。

我々はただ待てばいいのだ。

王宮執務官の手記4

おかしい……

随分と時が立ったが水が引く気配がない。

王宮執務官の手記5

外の様子がどうなっているか全く分からない。

この地域だけが水没しているのだろうか。

この水は引くのだろうか。

それとも大陸が丸ごと海に変わってしまったのだろうか……

王宮執務官の手記6

王の棺だけは守らなければならない。

小型核エンジンを積んでいる機械兵はほぼ永久稼働する。

今はこれだけが頼りだ。

王宮執務官の手記7

1000年だ。

1000年待てば王は復活する。

そう予言されたのだ。

我々、王宮執務官はその時まで王の棺を守り続けなければならない。

そのために受け入れたのだ。

あの外なる不死人の技術を。

王宮執務官の手記8

国は水没して滅んだかもしれない。

しかし、王さえ居れば再建は可能だ。

我々はここで待ち続けよう。

王宮執務官の手記9

水没してからもう50年経ったな……

王宮執務官の手記10

外へ脱出を試みた者が未知の水棲生物に襲われた。

なぜ外へ行こうなどと考えるのか。

50年経っても諦めないとは愚かな連中だ。

そのように忠誠が低いから下級執務官には不純物しか与えられなかったのだ。

我々の生きる場所はここしかない。

外へ出て帰って来た者はいないのだ。

もう世界は滅亡したのかもしれない。

王宮執務官の手記11

水没してから100年が過ぎた。

ここは安全だ。

我々を脅かすものは何も無い。

1000年でも待ち続けよう。

王宮執務官の手記12

1000年が経過した。

王は復活するはずだが……

王宮執務官の手記13

王が復活しない。

そんなはずはない。

必ず復活するはずだ。

……棺を開けてみようか?

いや、そんなことをしてはいけない!

それで失敗したらどうするのか!

王宮執務官の手記14

まだ待つのだ。

待ち続けるのだ。

1000年待ったのだ。

もういくらだって待とうじゃないか。

王宮執務官の手記15

2度目の1000年が経過した。

待つ……ただ待とう……

棺は決して、開けてはいけない。

全てが失敗に、終わってしまう。

王宮執務官の手記16

なんということだ!

機械兵の小型核エンジンが一部、故障している…!

青い光が漏れている!

いつからだ?

いつから漏れていたのか!

何十年? それとも何百年か?

我々は、この密閉された空間で青い光を浴び続けていたのか!?

王宮執務官の手記17

我々の身体には修正機能が備わっている。

大丈夫だ。

少量の光を浴びたところで修復される。

大丈夫なはずだ……

王宮執務官の手記18

……

何で、お前たちは

エラが生えているんだ……?

王宮執務官の手記19

待つ

墓、守る

待つ

棺、開けちゃ、ダメ

魚、うまい

魔獣の森

探検家の手記1

この世界にはまだ人の知らない不思議が満ちている。

探検家の手記2

この森の生態系は実に興味深い。

あらゆる動物が通常より巨大化しているのだ。

探検家の手記3

その要因となっているのはおそらく空気だ。

この森は空気が違う。

探検家の手記4

木々の呼吸が違うのだろうか?

空気がとても濃く、重い気がする。

探検家の手記5

この土地だけに群集する不思議な木々。

なぜこのような森が出来たのだろうか?

この世界はまだ知らないことに満ちている。

探検家の手記6

魔獣たちはただこの森に生息しているだけだろう。

彼らが得た巨大な体躯は人間を森から退かせたのだ。

それが幸いだったのだろう。

この森の生態系が守られたのだ。

探検家の手記7

この森の植物を持ち帰っても他では育たない。

おそらく土か水が重要なのだろう。

この森の地下に何かあるのかもしれない。

迷いの森

人形に結ばれたメモ1

私は考古学者オウルビッツ。

好奇心のままに世界を巡り、今はこの森の秘密を探っている。

この森の生態系の異常の原因が地下にあるところまでは突き止めている。

地下の何かが土を変え、土に根を這わす木々が変わり、森の生き物が巨大化している。

私はその秘密を確かめる為に森へ入った。

しかし目的を果たせぬまま、彷徨い続けることになってしまった。




森に迷い、途方にくれていた時

不思議な人形に出会った。

こちらを誘うように踊り続ける人形。

私は人形を無視して歩き続けた。

しかし人形は行き先を遮るように何度も現れた。

きっとこの先に何かがあるのだ。

そう思い、私は進み続けた。


そして私は見つけた。

地下への入口だ。

巨大な動物が掘り返したような大きな穴。

その先は地下空洞に繋がっている。




この先はとても危険な気がする。

先へ進めば、きっと私は戻って来れないだろう。

とっくに体力の限界が来ている。

例え今、森の出口が分かったとしてもそこまで戻ることは出来ないだろう。

私は最後の力でこの地下を見届けることにする。




人形が寂しそうに私を見ている。

この人形はここを守っていたのだろうか。

それとも私を行かせたくないのだろうか。




この場所を記したメモを人形に結びつけておくことにする。

それがどんな結果をもたらすかは分からない。

ただ、何かを残したかった。

ローズウェル傭兵団

傭兵の手記1

冒険者をやっているより傭兵の方が金になる。

ローズウェル商人は金払いだけは良いからな。

傭兵の手記2

ローズウェル商人は、帝国の宰相と金のつながりがある。

その権力を盾にしてやりたい放題だ。

裏でどんな悪事を働いてるか……

俺が知る限りでも相当なものだ。

傭兵の手記3

最近、帝国は西に広がるダークエルフの大森林へ制圧に乗り出している。

教皇の教えではダークエルフは悪魔の手下なんだとさ。

家畜以下の魔物と同等に扱われ、捕えたダークエルフは処刑される。

商人共がそれは可哀想だと買い取っているが…

奴隷として他国に売りさばいているに過ぎん。

その護衛について行くのもつまらん仕事だ。

傭兵の手記4

帝国は亜人に厳しく排他的になった。

ダークエルフ、吸血鬼、サイキックは存在も許されなく追われている。

かつては狩られるだけであった人間たちは、帝国という大きな国を作って反撃に出ている。

テンプルナイツという強い力を得て、人間が自己主張し始めただけだろう。

冒険者として世界を回って来た俺からすれば、心情は亜人よりなんだがな。

あいつら見た目は違っても付き合ってみれば案外良い奴らだぜ。

サイボーグ研究所

研究員の手記1

神々が使役したと言われる魔造生物を従えさせれば、神の軍勢に匹敵する軍隊を作れる。

魔造生物を兵隊として扱う計画。

お偉いさんが飛びつく内容だ。

我々としては莫大な研究費を捻出する都合の良い理由と言う訳だ。

研究員の手記2

我々の目的はただ一つ。

古代文明の超技術に追いつくこと。

古代より動き続けるあの機械兵を見れば、誰だってその境地を知りたくなるはずだ。

研究員の手記3

お偉いさんなど金さえ出してくれれば他はどうでも良い。

気になるのはこの計画を提案した『知の神』と呼ばれる者。

見返りとして我々にも与えられたその知識!

それによってサイボーグ改造が実用可能となったのだ!

研究員の手記4

『知の神』は何故これほどの知識を持っている?

いや、今はどうでも良い。

我々は我々の研究が進めば良いのだ。

そのためなら悪魔とだって取引しよう。

研究員の手記5

実験体 No.048
魔造生物:獣王型
コードネーム:ケルベロス

兵隊候補の一つである魔造生物・獣王型。

強制支配と身体強化を施した実験用個体。

しかし精神レベルが高く制御は困難と判断。

No.111との戦闘実験後、装身具の耐久実験に投入して実験終了を予定。

研究員の手記6

実験体 No.111
種族:サイキック 性別:女
実験装置:精神波増幅装置

精神感応値の高いサイキック種の精神波を増幅する。

魔造生物の精神感応と同レベルまで引き上げることを目的とする。

No.101~No.120の中で唯一、適正を示した個体。

しかし精神レベルが高く制御は困難と判断。

No.048との戦闘実験に投入して実験終了を予定。

研究員の手記7

研究は順調に進んだ。

魔造生物との対話は精神感応と呼ばれる一種のテレパシーだ。

その精神波は微弱であり、我々が感知するには増幅回路が必要となる。

その装置をサイボーグに埋め込むことに成功した。

『知の神』にこの研究結果を伝えた。

研究員の手記8

『知の神』は大いに喜んだ。

そして褒美をくれた。

『知の神』がプレゼントとして我々にくれたものは、信じられないことに超古代生命体だった!

研究員の手記9

No.199
種族:???
コードネーム:アンノウン

超古代文明の時より生き続ける不死身の生命体。

通常のアンデッドとは違う『完全自律型』と呼ばれる生体機能を持つ。

研究員の手記10

古代より生きる奇跡の生命体だ!

この生物の秘密が分かれば超古代文明へと近づけるだろう!

研究員の手記11

なんだこれは…?

この『アンノウン』は滅びない。

何をやっても再生する。

断片など残らないくらいに燃やし尽くしても、その場に再生する。

これをどう考えれば良いのだ…?

研究員の手記12

分かることは、このアンノウンは合成獣であるということだけだ。

魔造生物に似ている。しかし、核が見つからない。

研究員の手記13

魔造生物が何故作られたのか、その目的は分かっていない。

実際の生物を改造するのではなく、ホムンクルスが作られたのは何故か。

その疑問に対して有力なのは、超古代文明でも生命体の改造は未完成であったとする説だ。

その試行錯誤、実験用として作られた生物が魔造生物であり、このアンノウンのような生命体である、と。

つまり、魔造生物自体が実験体であって完成品ではない。

未完成ながら戦争に投入されて文明が滅んだ、という説だ。

研究員の手記14

こんなことは聞いていない!

何が『知の神』だ!

奴は一番大事なことを言わなかった!

アンノウンを扱うときは必ず『空気を遮断しなければならない』!

研究員の手記15

空気だ!

アンノウンの吐き出す空気に何かが混ざっている。

皆、生きたままアンデッド化していく……

研究員の手記16

このアンノウンは我々を滅ぼすために送られて来たのだ!

我々は騙されていた。

奴は研究結果だけを奪っていった。

『知の神』を語る悪魔、ベルファゴールめ!

呂布戦

商人の手記1

ローズウェルの魔女が捕まった。

これであの事件の真相は闇に葬られるだろう。

ようやく枕を高くして眠れるというものだ。

商人の手記2

くそっ!魔女が帝都を脱出した!

帝国は何をして居るのだ、不甲斐ない!

『鴉』に邪魔された?

商人の手記3

しかしあの娘、それほどの力があったのか。

混血児にこれほど異端の資質があるとは、あの悪魔、恐ろしい見識だ。

商人の手記4

こうなれば自分たちの手で解決するしかない。

傭兵団を動かそう。

金はかかるが仕方ない。

商人の手記5

傭兵団がやられた!

バッツォめ、しくじりおって!

商人の手記6

何なんだ!?

なぜ魏の軍に占拠される!?

こいつら何処から現れた!?

あの化け物じみた将軍は何なんだ!

商人の手記7

……奪われた。

全ての財産を軍に徴収された。

もう終りだ。

もう、どうでも良い……

商人の手記8

もう、全てを暴露してやる。

この記録を見た者は世に広めるが良い!

商人の手記9

「異端の混血児を高く買う」

そう言って来たのは『知の神』と呼ばれる悪魔だ。

そして提示されたのは法外な値段であった。

商人の手記10

言われたことを素のまま信じるほど馬鹿じゃない。

間者は放っている。

「雷神への切り札になる可能性…」などと言っていた。

そして奴らは人間でも亜人でもない。

奴らは……

コロシアム

コロシアムの伝説1

伝説の闘技場『コロシアム』には様々な決戦が繰り広げられた逸話がある。

その一つに巨人王アルバトロンと邪竜王の戦いがある。

コロシアムの伝説2

大陸の西には巨大な砂漠地帯が広がり、その砂漠を越えた地では巨人族と竜族が争っていると言われている。

しかし西の砂漠は巨人や竜などの強靭な生命力を持つ生物でなければ越える事は出来ないため、その真偽は定かではなかった。

そんなある日、西の砂漠から邪竜が飛来した。

邪竜たちは飢えており、人々の村に襲いかかった。

人々はその力に成す術がなく次々に邪竜の餌食となった。

コロシアムの伝説3

人々が絶望にくれていた時、その者は現れた。

西の砂漠を越えて巨人がやってきたのだ。

巨大な体躯に腰周りの布一枚と覆面だけというおよそ文明を感じられない姿を見て人々は恐怖した。

邪竜に続くあらたな脅威が西から来たと思ったからだ。

コロシアムの伝説4

人々はその巨人に石を投げた。

対竜用に用意されていた巨石を投げる兵器が使われたのだ。

砂漠を越えてきた巨人は疲弊していた。

そこに石を投げつけられて巨人は倒れた。

その姿を見て人々は脅威が去ったと歓喜した。

コロシアムの伝説5

しかし、その時を待っていたかのように邪竜が村に飛来した。

人々は投石を使い切ってしまい、邪竜に対抗出来なかった。

逃げ惑う人々に邪竜は襲いかかった。

しかし、邪竜の牙は人々まで届かなかった。

巨人が盾となり、立ちふさがったのだ。

コロシアムの伝説6

巨人と邪竜の戦いが始まった。

巨人は素手で邪竜に躍りかかった。

邪竜を殴り、掴み、投げ飛ばした。

そして邪竜が怒り立ち上がった所に、走りよって飛び蹴りを放った。

人々はその地響きを起こすような戦いを呆然と見つめていた。

コロシアムの伝説7

やがて巨人は邪竜を投げ倒してしまった。

素手で竜に勝ったのだ。

そして巨人は人々に言った。

「私は巨人王アルバトロン。

 邪竜どもとの決着をつけねば
 ならん!

 小さき者たちよ、さらばだ!」

そういって地響きを立てながら巨人は走り去っていった。

コロシアムの伝説8

人々は邪竜と巨人という二つの恐怖が去ったことに安堵した。

二度と関わらず静かに暮らしたい、それが人々の思いであった。

しかし、わずかながら巨人に興味を示す者も居た。

一人の若者が巨人の後を追っていった。

コロシアムの伝説9

巨人の足は速く、若者は追いつくことは出来なかった。

しかし姿形は見えなくともその後を追うことは出来た。

巨人の通り過ぎた跡には、常に助けられた人々がいたのだ。

邪竜の襲われたところを助けられた人々。

魔物に襲われたところを助けられた人々。

時には人間に襲われたところを助けられた人々……

各地にそんな人々が居た。

しかしそれらの人々は皆、巨人の姿にも恐怖しており、忌まわしき出来事として忘れようとしていた。

コロシアムの伝説10

巨人を追った若者は、それらの人々の話を集めながらその足跡を辿っていた。

そして遂に巨人に追いついた場所は『コロシアム』と呼ばれる廃墟の闘技場であった。

コロシアムの伝説11

コロシアムでは邪竜の王と巨人の王の壮絶な戦いが繰り広げられていた。

恐るべき邪竜の王はその牙で巨人王の肩を砕き、爪で体を引き裂いた。

業火のブレスに身を焼かれ巨人王は倒れた。

若者は巨人が負けると思った。

しかし傷だらけになりながらも巨人は何度も立ち上がった。

コロシアムの伝説12

巨人の使う技は未知の技ばかりであった。

見た目は巨人は傷だらけでボロボロであり、邪竜にはあまり傷が見られなかった。

しかし巨人の技は確実に邪竜を追いつめていた。

巨人は邪竜の牙や爪をいなし、組み上げて投げ飛ばした。

やがて飛ぶ事もままならなくなった邪竜に、巨人は華麗な技を放った。

その数々の技はどれも力強くありながらも美しく、見る者を魅了する技であった。

そしてついには邪竜の王は巨人の技に屈し、倒れて動かなくなった。

力尽きた邪竜の横に巨人は立った。

その姿は傷だらけであった。

巨人は片手を天高く上げた。

そして、一言叫んだ。

咆哮のように発したその言葉の意味は分からなかった。

しかし、それを見た若者は胸には感極まる思いが溢れていた。

コロシアムの伝説13

巨人王は何も言わずに砂漠の向こうへ去っていった。

一連の出来事を災害のような忌まわしきこととして人々は忘れようとしていた。

邪竜も巨人も恐怖の対象である。

しかし、若者は忘れなかった。

巨人の足跡を追い続け、その活動を知っていた。

若者はそれらを人々に伝え歩いた。

『巨人王と邪竜王の戦い』

いつしかそれはコロシアム伝説の一つとして人々に語り継がれることとなった。

コロシアムの伝説14

巨人王アルバトロンは武器を使わずにドラゴンと戦ったという。

素手で殴り、蹴り、そして投げる。

更にドラゴンの関節を極めて倒すという。

ドラゴンを倒す関節技がどんなものかは分かっていない。

そんなものは巨人にしか使えないのだから巨人族にしか伝わっていないだろう。

コロシアムの伝説15

一つだけ分かっている技がある。

ドラゴンのしっぽをつかんで振り回す『ドラゴンスイング』という技だ。

自分を軸として回転し、ドラゴンを振り回して周囲に打撃を与えるというものだ。

振り回されるドラゴンは大暴れして牙や爪を振るい、ブレスをまき散らす強力な武器となる。

ただ、敵味方問わずに被害が出るため扱いが難しいという。

レバノンの森

クロノス神話1


『豊穣の神クロノス』

翻訳:ホム・ポポロネス

「かつてこの地に森は無く

 広大なる平野が広がり

 人が暮らすに適していた。

 自然遠ざけし人々が

 生きるに過ぎたる知を見つけ

 思うままに生きていた。

クロノス神話2

 命育たぬ石を敷き詰め

 鉄の牛が毒を吐いた。

 毒は昇りて大気を満たし

 雨に混ざりて降り注いだ。

 大地は腐り、草は枯れ

 土地から牛が消え去った。

 鉄の牛だけが生き残り

 砂の大地が広がった。

クロノス神話3

 わずかな草地に人が寄り

 奪い合いが始まった。

 見るに見かねた神々は

 クロノス神を遣わした。

 クロノス神は風を起こし

 毒の空気を吹き飛ばした。

 クロノス神は雨を降らせ

 大地に命を吹き込んだ。

クロノス神話4

 人々は多いに喜び

 クロノス神に感謝した。

 命枯れかけた地は変わり

 草木が大地を賑わした。

 やがてそこに国が出来

 多くの人が集まった。

クロノス神話5

 満たされた人々は

 初めは恵みに感謝した。

 しかし望みは膨らみ始め

 クロノス神に願い出た。


 もっと大地に命の実りを!

 もっと我らに天の恵みを!

 より、実りが多くなるよう!

 より、命が育つよう!


 クロノス神は願いに応え

 天の恵みは降り注いだ。

 人々は更に要求した。

 もっと大地に命の実りを!

 もっと我らに天の恵みを!

クロノス神話6

 多くの恵みを得た人々は

 更なる恵みを求めて争い

 奪い争いが始まった。


 それを見たクロノス神は

 嘆き悲しみ戸を閉ざし

 神殿に身を隠した。


 人々は武器を持ち

 神殿に攻め込んだ。

クロノス神話7

 恵みを求める人々は

 神殿に押し寄せた。

 クロノス神は閉じこもり

 針葉の鎧で身を覆い

 門番を配置した。

 過剰な雨が人を拒み

 過剰な日差しが歩を止めた。

 激しい雨は大河を作り

 強い日差しは葉を育てた。

 やがて土地から人は消え

 樹木が大地を支配した。

 神殿は木々に覆われ

 大森林が誕生した。」

クロノス神話8

つくづく人間どもは愚かなものだ。

我々ノーム族は自然を讃えて祈りを捧げ、クロノス神に感謝する。

そのため大森林の恵みを受けられるのだ。

愚かな人々にこの教えを伝えなければならん。

アマゾネス領

アマゾネスの手記1

アマゾネスの女は力において男に劣るなど決して思わない!

アマゾネスは男に勝利した一族。

女に足りない力を男から奪い、完成した種族なのよ。

…でも、一度だけ例外があった。

忌々しき、あの男…!

アマゾネスの手記2

あの男は突然、村にやってきた。

人を凌駕する体躯を持つ巨人族…

アマゾネスの戦士は冒険者として世界を巡ったことのある人も多いから巨人族のことも十分に知っている。

強靭な体躯を持つ恐るべき相手だけど、動きも鈍いし戦いようはある。巨人族が相手でもアマゾネスは決して怯みはしない。

でもヘラクレスと名乗ったその巨人は、体躯からは信じられないほど俊敏だった。

武器を持つ数十人のアマゾネスを相手に、素手で圧倒した……

戦えば戦う程、怒れば怒るほど強くなっていった。

あんなの反則よ。

アマゾネスの手記3

ヘラクレスはアマゾネス族と巨人族との交友を求めてきた。

巨人族の里は西の砂漠を越えた遥か遠くにあって、この大陸で友好を結ぶ相手を捜している、と。

そしてアマゾネスの力と誇りを認めてやってきた、と言った。

アマゾネスの手記4

女王様はヘラクレスの力を認めて巨人族との交友を約束した。

それ以来、アマゾネスの村には巨人族が訪れるようになった。

アマゾネスは気性が激しいけれど、巨人族は皆、温厚だった。

正反対の性格をもっていたけれど、不思議と良好な関係を築けたのよね。

アマゾネスの手記5

それなのにヘラクレスは裏切った!

ある日、村に現れたヘラクレスは怒りの形相で大暴れした。

十数人のアマゾネスをなぎ倒し、女王様の間に乗り込んでいった。

そしてあろうことか女王様の……を盗んで逃げた!

アマゾネスの手記6

アマゾネスの皆は激怒してヘラクレスを追いかけた。

ヘラクレスは逃げながら言った。

「ヘビ女に騙された!」と。

そんなことは信じられないし、絶対に許せない。

だからそれ以来、ヘラクレスはアマゾネスの仇敵よ。

アマゾネスの手記7

後に冷静になった女王様は言っていた。

あれは巨人族とアマゾネス族の仲を裂くための何者かの策略だったのではないか、って。

でも、もう引っ込みつかないのよね。

だって激怒して先頭に立ってヘラクレスを追いかけていたのは女王様ですから…

ノーム領

ノーム神官の手記1

神殿は自然の恵みを与えてくれる!

クロノス神が願いに答えて雨を降らすのだ!

ノーム神官の手記2

神殿の扉は長老しか開けられない!

長老が手を触れると扉は開かれるのだ!

ノーム神官の手記3

神殿は神の兵に守られている!

硬質な肌と朽ちる事の無い命を持つ兵だ!

ノーム神官の手記4

神殿は神の輝きに満たされてる!

地の底にあろうとも日の光など必要としないのだ!

ノーム神官の手記5

神殿は神のごとき整然なる作りをしている!

その滑らかで平らな壁はドワーフでも作れないのだ!

ノーム神官の手記6

神殿は神によって作られた!

神殿内に神のメッセージが残されているのだ!

クロノス神殿

神殿の手記1

冒険者たちが拾った透明な板には光る文字が浮かび上がった。

それは古代文字であり冒険者たちは誰もその意味を読み取れなかった。


ログ No.A196
『…人工高気圧から人工低気圧へ吹き込む風は渦を描き、広域図に映る巨大な白い竜巻はまるで銀河のようであり…』

神殿の手記2

ログ No.A214
『…大気に舞い上がった埃と塵は巨大な遠心分離機にかけられたかのごとく自動的に振り分けられ指定の地域に降り注ぐ。後は待ち構えた分離機構が適切に処理し…』

神殿の手記3

ログ No.A228
『…雨で流して運搬し、雪に固めて貯蓄する。天候を利用した自然運搬機構は正常に作用しており…』

神殿の手記4

ログ No.A259
『…惜しむべくは操る精神に問題がある事だろう。これ以上利潤を求めた気候操作には賛同出来ない。大気の毒を追い出すだけでは駄目だったのだ。毒を吐き出しているのは人なのだ。人を追い出す事を決断しなければならな…』

神殿の手記5

ログ No.A288
『…シュミレーション結果が出た。いずれこの地は大森林に覆われるだろう。自動プログラムは誰にも止めさせやしない。天候操作型兵器への防衛システムも組み込んである。嵐も雷雨もこの土地には起こせな…』

大森林の決戦

ある神魔の手記1

『知の神』が雷神への対抗手段となる娘を確保した。

これで雷切が無くとも戦えるだろう。

ここで負ければ後がなくなる。決戦には多くの神魔が参加するはずだ。

決戦に出ざるをえないよう誘導している者もいる。

だが出てこない者も居るだろう。

雷切を持つ『山羊』は我々と雷神の共倒れを狙っている。

『知の神』もヘビ女までは動かしていない。

霧の城に居るあの悪魔は…… 動く気配がない。

空中遺跡

メモリアル1


「空に土地を手に入れたら

そこに何を建てる?」

メモリアル2


多くの者が同じ答えを出した。

メモリアル3

人は何故それを求めるのだろうか。

刷り込まれた記憶だろうか。

では、最初にそれを描いた者はなぜそう思ったのだろうか。

その憧れはきっと人の中に元々あったのだ。

だからその答えは最初から決まっていたのだろう。

それはきっと、人が天を仰ぎ見る理由と同じだ。

メモリアル4

人は憧れを形作る。

何かを求めて何かを作る。

作る物はいつだって願望の表れだ。

だから願いは一つ、そこに有るだけで良い。

それだけで人の心の隙間が一つ、満たされる。


ああ、人の願望を表す空の箱船よ、永遠なれ!

ネア湖

探検家の手記1

サハギンは集団で襲いかかり獲物を湖に引きずり込む。

湖の近くを歩くのは危険だ。

探検家の手記2

サーペントは海のハンターだ。人など一飲みにされてしまうだろう。

サーペントを討つために鍛えられた太刀があったが、その身に食い込ませながら逃げてしまったという。

その海竜には今でも太刀が刺さっているのかもしれない。

探検家の手記3

シードラゴンは海の守り神だ。

海竜の中では比較的に大人しい。

飲み込まれた漁師が居たが、それは陸まで運んでくれるためだったという話もある。

体力が高く傷を治す力があるためそう簡単に倒れることはない。

その牙は漁師たちにお守りとして重宝されている。

探検家の手記4

竜亀は硬い甲羅を背負う巨大生物だ。

竜亀の甲羅から作られた防具は鉄壁の硬さを誇るという。

この甲羅は竜亀が身を守るためのものであろうが、その巨大な姿を見ていると、この生物を襲うような生き物が居るのだろうかと疑問が沸いてくる。

しかし竜亀を噛み砕けるドラゴンが居るというのだから恐ろしい話だ。

上には上が居るという事なのだろう。

探検家の手記5

ネア湖の伝説は、怪獣リヴァイアサンだ。

サーペントを丸ごと飲み込むような巨大な海竜だという。

古い書物には、リヴァイアサンは不死身であり最強の生物と記されている。

この土地にはリヴァイアサンの目撃情報が伝えられている。

「水面に上がる巨大な鎌首を見た。」

「泳ぐだけで大渦が生まれ、船が呑まれた」

しかしそれらは500年以上昔の話であり、ここ数百年は目撃報告がない。

最強であり不死身と称されたリヴァイアサンは、その生態は何も分からないまま、伝説だけを残して消えてしまった。

大平原

探検家の手記1

巨大生物

多種多様ながら一定以上の大きさを持つこの大平原の生物たちをそう呼んでいる。

この大平原には巨大な生物が数多く生息しているのだ。

探検家の手記2

恐竜

でかい。こいつらはとにかくでかい。

踏まれたらぺたんこになるだろう。

探検家の手記3

トリケラトプス

鎧のような硬い皮膚と鋭い角を持つ四足の巨大生物だ。

その突進からは人の足では逃げ切れないだろう。

だが小回りは効かないゆえ脇に逃げればなんとかなる。

探検家の手記4

この平原にいる巨大な生物たちは何なのだろうか。

大きさだけならドラゴンにも巨大なものは居る。

しかし、この平原巨大生物たちはドラゴンとは生態が違うのだ。

言うなれば原始の竜、つまり魔物が竜へ進化する途中段階のような生態を示している。

そのためドラゴン族とは恐竜から進化した種族だと多くの者が考えている。


しかし、そこには進化の飛躍がある。

途中段階の生物が見つかっていないのだ。

まるである時いきなり、ドラゴン族が誕生したかのように……

進化の途中段階の生物は絶滅しただけなのだろうか。

地上最強と言われるドラゴン族、その誕生の秘密は分かっていない。


恐竜たちとドラゴン族との決定的な違いは知性だ。

ドラゴン族の知性は人間種と変わらない、いやむしろそれ以上だろう。

この愚鈍な恐竜たちから、一体どのようにして知性を獲得したドラゴン族が生まれたのだろうか。

この大平原巨大生物たちにその秘密が隠されているのではないかと、多くの学者たちが果敢に探求を続けている。

探検家の手記5

大平原には伝説の怪獣ベヒーモスが居たと伝えられている。

その逸話は周辺の部族にいくつも残っている。

「大地を揺るがす巨大な河馬」

「山が禿るほど草を食む」

「獣たちを率いる長」

「完璧な獣」

ベヒーモスは巨体だが草食で大人しく、部族の者には神のように崇められていた。

しかし数百年前から目撃報告が途絶えている。

不死身と言われていたベヒーモスはこの地から突然、消えてしまったのだ。

そのベヒーモスの最後に関して一つの伝承がある。

「鷲に掴まれて飛んでいった」

巨大生物が住むこの大平原にあってもベヒーモスは巨体と称されている。

そんなベヒーモスを掴むような鷲がいるのだろうか。

竜の狩り場

探検家の手記1

竜の狩場に足を踏み入れることは食われに行くようなものだ。

誰も近づきはしない。

探検家の手記2

ドラゴンは孤高に生きる。

力と知性を兼ね備える地上最強の生物だがその個体数は少ない。

生態系の頂点に立つ生物なのだから当然だろう。

人のように増えたら逆に大変である。

探検家の手記3

グレートドラゴンは獰猛である。

動くものを見たら何でも噛りつく凶悪なドラゴンだ。

その闘争心が消えることはなく、下手に刺激すると手痛い反撃を食らうことになるだろう。

探検家の手記4

この荒野で生きられる者は竜人だけだろう。

金のために傭兵となるような竜人ではない、真の竜人たちだ。

人の姿を持ちながら自然界の弱肉強食の中で生きる、本当の強者たちだ。

探検家の手記5

ドラゴニアン王

誇り高き竜人の王がこの荒野の何処かに居るという。

探検家の手記6

私がこの地に足を踏み入れたのは、伝説の大翼竜ジズを探すためだ。

ジズが空を飛ぶと、その巨大な翼により陽の光が隠されて夜になるという。

ドラゴン族を凌駕するその巨体は様々な伝説を残している。

「ジズの羽ばたきで大地が乾いた」

「竜巻はジズが起こしている」

「山を掴んで運んだ」

どれも馬鹿げた話である。

そんな生物が居たら目撃報告が無くなるわけがない。

ジズはその存在自体が怪しまれている。

しかしそれでもジズに関する記録は多々ある。

世界各地の伝承にその怪鳥は登場しているのだ。

探検家の手記7

世界には様々な怪獣の逸話がある。

それこそジズを超える怪獣の話もある。

そんな中でなぜ三大怪獣は伝説となっているのか。

それは三体の目撃報告が同じ時期に途絶えているからだ。

三大怪獣はそれぞれが不死身であり古代から生息していたとされている。

弱肉強食のこの世界でそれが出来るのは、三大怪獣は倒される事のない生態系の頂点にいた事を意味している。

それがなぜ滅んだのか、古代からの最強生物を誰かが倒したとでもいうのだろうか。

これに対してある者は言った。

「三大怪獣同士がケンカした」と。

実にふざけた話である。

最強の生物同士が戦ったから滅んだ、という子供の戯れ言のような話だ。

そもそも生息域が違うのだからそんなことが起こるわけがない。

魏王宮

??の手記1

炎の巫女は言った。

「文明が悪よ。」


知の神は言った。

「知が悪だ。」

??の手記2

天使は言った。

「性善なる種だけ残ればいい。」


悪魔の司令官は言った。

「共栄を知る支配層が必要。」

??の手記3

四翼の悪魔は言った。

「頂点は少数でいい。」


黒い獣は言った。

「敗者絶滅は自然の摂理。」

??の手記4

戦女神は言った。

「力と勝利こそ単純にして本質。」

巨人は言った。

「愛が勝つ!」

??の手記5

各々が各々の思想を持って戦っている。

そのどれもが理想の未来を描いている。

しかしその手段が争いである必要はないはずだ。

この戦いの意味は何か。

本質は何か。

??の手記6

どれも生存競争ではないか。

生存に価値があるから奪い合いが起こる。

故にその価値が無くなれば良い。

生死に価値が無くなれば、国民に等しくそれが与えられれば、争いは起こらない。


必要なのは研究だ。

戦いではなく、飽くなき探求、知に力を……

故に、我は言う。

「永遠を求めるが生の定め。」

黄金宮殿

ほら吹きドゥガン1

『銃』という遠距離武器を知っているだろうか。

遠距離から侍のような強力な一撃を加える事が出来るという。

そんな『銃』を追い求めた、一人のドワーフ技士が居た。

彼の名はドゥガン・バズゥ。

ほら吹きドゥガン2

古代史には『銃』が幾度も登場する。

ドゥガンは遺跡より発掘される残骸を集めて、銃を作り出した。

出来上がった銃は爆発力で鉄のつぶてを飛ばす武器であった。

それは後に『短銃』と呼ばれるようになった。

ほら吹きドゥガン3

古代史に載っている『銃』は脅威の兵器として怖れられていた。

短銃』は確かに一撃の威力は高いが、弓とは違い、重く、連射が効かなかった。

そんな不自由なものを一丁もっていても、一発射った後に動けず、モンスターの餌食となるだけであった。

多くのドワーフたちは笑った。

「銃など古い、おとぎ話の玩具だ!」

しかし、ドゥガンは銃の力はこんなものではないと、諦めず研究を続けた。

ほら吹きドゥガン4

ドゥガンは遺跡の残骸の中に、細長い筒状の金属が多々ある事に気がついた。

彼は砲身の長さが銃の威力に関わるのではないかと考えた。

そして短銃を改良して『長銃』を造り出した。

それを見た周りのドワーフたちはドゥガンを笑った。

「ドゥガンが鉄の棍棒を作った!あれで殴ったら痛そうだ!ワッハッハッ!」

そんなドワーフたちにドゥガンは言い返した。

「この銃でドラゴンを狩ってみせよう!」

憤慨したドゥガンは仲間のドワーフたちの制止を振り切り、長銃を持って一人、レッドドラゴンに戦いを挑んだ。

ほら吹きドゥガン5

ドゥガンは小柄で力も弱く、戦闘が苦手なドワーフだった。

仲間のドワーフたちは、ドゥガンはレッドドラゴンに喰われるだろうと考えた。



しかし、ドゥガンは帰ってきた。

ドワーフたちは言った。

「おお、勇士ドゥガンよ!レッドドラゴンを倒したのか!」


ドゥガンはそれを否定した。

長銃レッドドラゴンに喰われてしまい、ドゥガンは命からがら逃げ帰ってきたのだ。

ドワーフたちは笑った。

「銃とは棍棒ではなく、竜のエサだったのか!」

ほら吹きドゥガン6

ドゥガンは諦めなかった。

長銃レッドドラゴンを一撃で倒す事は出来なかった。

その後、動きの鈍ったところを襲われた。

古代史の銃は向けられるだけで必殺の恐怖を与える兵器として描かれていた。

ドゥガンはもっと銃の威力を上げる方法を探し、世界中の古代遺跡を巡った。

そしてある古代遺跡で銃を持つ機械兵に遭遇した。

機械兵の持つ銃は、ドゥガンの作った長銃よりも長かった。

それでいながら速く、威力も高かった。

ドゥガンは確信した。

銃にはまだ可能性がある、と。

ほら吹きドゥガン7

ドゥガンは銃の爆発力を高める方法を考えた。

それは魔法を利用する方法、魔法使い最高位の呪文『ニュークリア』の爆発を利用できないか、と。

その形は長銃からは大きく変わり、爆発に耐える為に砲身は分厚く大きくなり、巨大な筒状のものとなった。

抱えるような太い筒を見て、ドワーフたちは目を丸くして笑った。

「ドゥガンが竜のエサを太巻きにした!あれは喰いでがありそうだ!ワッハハハッ!」

ドゥガンはそんな声を無視して、太い筒を抱えながら再びレッドドラゴンに戦いを挑んだ。


そしてレッドドラゴンを一撃で倒してしまった。

ほら吹きドゥガン8

ドワーフたちはその威力に驚いた。

しかし、誰よりも驚いたのはドゥガン自身であった。

ドゥガンが『短銃』を改良して作り上げた『恐ろしいバズーカ砲』はとてつもない威力であった。


ドゥガンは恐怖した。

「これが量産されたら世界に恐ろしい争いが起こる……!」


ドゥガンはその技術を残すことなく姿を消してしまった。

ほら吹きドゥガン9

ドワーフたちはドゥガンを探したが結局、見つけることは出来なかった。

ドワーフたちは言った。

「赤竜を一撃で倒したなど嘘だ!ドゥガンは嘘がバレないように逃げたのだ!」

そして多くのドワーフはドゥガンを「ほら吹きドゥガン」と呼び、いつしかこの話は忘れ去られていった。


しかし、この話を信じて『短銃』を研究しているドワーフはまだ少数ながら居る。

マレフィムの丘

マレフィムの魔女1

かつてマレフィムの地には町があった。

そのマレフィムの丘には、教会に一人のシスターが住んでいた。

シスターは優秀な薬師であり、人々に薬を与えて多くの者を救っていた。

シスターの献身的な姿には多くの者は心をうたれ、教会に大きな礼拝堂が建てられるほどであった。

マレフィムの魔女2

ある日、町に疫病がはやった。

シスターは懸命に病と闘ったが、その病を止めることは出来なかった。

同じ頃、一人の男がマレフィムに地下遺跡を発見していた。

男は遺跡へ忍び込み、そこから宝を持ち帰っていた。

町に疫病がはやったのはその遺跡が発見されてからであった。

マレフィムの魔女3

疫病の噂を聞いて王国の賢者アドワールが町にやってきた。

賢者アドワールは病の症状を見てすぐに言った。

『これは古代の呪いだ!この町の誰かが古代の墓を暴き、町は呪われた!』

それを聞いた遺跡荒らしの男は恐怖し、持ちだした宝を教会に隠した。

やがて町の者たちは教会に宝があることを発見した。

そして古代の墓を荒らした犯人はシスターとされた。

マレフィムの魔女4

シスターが古代の墓を暴いて宝を盗んだ。

それが原因で街には疫病がはやったのだ、と。

疫病の恐怖に怯えていた人々は、今までと態度が反転し、シスターに怒りをぶつけて罵った。

シスターは薬を操り人々を騙す魔女として弾糾され、処刑されてしまった。

町の人々は古代の呪いを怖れ、呪いはシスターにだけ降り掛かるように、と、古代遺跡から盗ってきた宝をシスターと一緒に埋葬した。

マレフィムの魔女5

その後、賢者アドワールは開かれた古代遺跡を発見し、厳重に封印を施こした。

古代遺跡を暴くと疫病が発生することがあることを賢者アドワールは知っていた。

賢者アドワールは古代の呪いを解いたことを人々に伝えた。

やがて疫病は終息していき、人々は賢者アドワールを讃えた。

マレフィムの魔女6

しかし事態はそれで終わらなかった。

少しの後、町には再び疫病が流行り始めたのだ。

賢者アドワールは病を見て困惑した。

その症状は以前の病とは違い、マレフィムの土地にある風土病に似たものであった。

更にその病で死んだ者の多くはアンデッドとなり暴れはじめた。

マレフィムの魔女7

そしてもう一つの出来事があった。

古代遺跡を暴いた男が捕まり、真相が明らかになったのである。

シスターには罪は無く、懸命に疫病を食い止めようとしてくれていたことが判明した。

人々は悔やみ、シスターを丁寧に弔おうとした。

シスターは罪人の墓地に埋められており、そこは普段は誰も訪れない場所であった。

町の人々は改めてシスターの墓を建てようと墓地を訪れた。

しかしそこで驚くべき光景を見た。

墓は掘り起こされ、シスターの遺体が無くなっていたのだ。

マレフィムの魔女8

最初は盗掘であろうと思われていた。

古代遺跡から持ち帰った宝がシスターと供に埋められていたからだ。

しかし掘り起こすと宝はそのまま残っており、持ち去られていなかった。

マレフィムの魔女9

その後もマレフィムの疫病は止まらなかった。

賢者アドワールは懸命に病を止めようとした。

アドワールは過去にも幾度か古代遺跡の瘴気による病を見ており、疫病を食い止める方法を知っていた。

しかし、その病を止めることは出来なかった。

マレフィムの魔女10

町は疫病の恐怖に覆われ、人々の心は荒廃していった。

そして、いくつかの噂が広がり始めた。

シスターの墓を確認した者の一人が言った。
『墓は内側から掘り起こされていた…』


またある者が言った。
『教会で薬を調合しているシスターの姿を見た…』


そして、誰かが言った。
『疫病はシスターの呪いだ!』

マレフィムの魔女11

やがて賢者アドワールが疫病に倒れ、亡くなった。

賢者アドワールは最後の時に言った。
『これは遺跡の呪いでも、風土病でもない… 至急、王に報告を… 必要なのは医者ではなく、兵だ……!』

病気に対して兵士を要請した賢者アドワールは、病により気が狂ったのだと報告された。

マレフィムの魔女12

町の人々は絶望に覆われていた。

人々はマレフィムの丘にある教会で祈りを捧げた。

シスターに許しをこうた。

しかし、疫病は止まらなかった。

マレフィムの魔女13

多くの者は町から逃げ出し、遂にはマレフィムの町は滅びを迎えることになった。

生き残った最後の人々は町から去る際、教会で祈りを捧げた。

罪無く処刑されたシスターに、最後の許しを……

その時、奇跡が起きた。

人々の前にシスターが現れたのだ。

死んだはずのシスターが歩いて現れた。

人々は驚いたが、すぐに一つの可能性を思いついた。

シスターはアンデッドとなって徘徊しているのだ、と。

町に多くの噂が広がる中で考えられていた事である。


シスターは恐ろしい魔法を操り、襲いかかってきた。

人々は命からがら逃げ出し、マレフィムの町には誰も居なくなった。

マレフィムの魔女14

周囲の町に逃げたものはその様を伝えた。

しかし逃げた者もやがて発病して倒れ、疫病は周囲の町にも広がり始めた。

疫病はまたたく間に周辺地域を飲み込んでいった。

無数の土地から人々が消え、代わりにアンデッドが徘徊する廃墟が出来た。

ようやく事の異常に気付いた王国は、疫病に対して医師ではなく兵隊を送り出した。

マレフィムの魔女15

王国軍は廃墟を徘徊するアンデッドの駆逐にあたった。

アンデッドは知性が低く、徘徊するだけであり、統率のとれた王国軍の敵ではない。

しかしこの戦いは予想外の反撃を受けることになった。

そこにはアンデッド軍団を指揮するシスターが居たのだ。

その戦いは周辺地域を巻き込み、アンデッド軍団と王国軍との激しい戦争に発展した。

マレフィムの魔女16

戦いは王国の勝利に終わった。

シスターは最後はマレフィムの丘に追いつめられ、討たれた。

その後、国より伝えられた。

『教会のシスターは不死者リッチーであった。
 アンデッドを操り生者を滅ぼす悪魔であり
 人の町に潜入してシスターのふりをしていた。』

シスターは最初から悪魔であった。

そう発表された。

マレフィムの魔女17

かつての敬虔なシスターを知っている者はそれを否定した。

シスターの薬師としての名声は周辺にも及んでおり、シスターに病を治してもらった者が各地に居た。

また、疫病はマレフィムの土地に因がある風土病だと唱える学者もいた。

しかし人々には魔女に対する恐怖が過去から根付いており、シスターは『マレフィムの魔女』と呼ばれるようになった。

多くの謎を残しながらも、その後は病や呪いを怖れてマレフィムには誰も住まなくなった。

死神の遺跡

文字の浮き出る板1

ログNo.121
ユニコーン
人工遺伝子による最初の人工生命体。研究資金に窮していた遺伝子工学の研究グループは人々の目を集めるべく知名度の高い架空生物を作り上げた。ユニコーンは既存動物の遺伝情報を利用することで比較的生成しやすい架空生物であった。純白で美しい見た目の良さも手伝い、この目論見は成功し各種見世物として宣伝効果を上げて研究資金を確保した。引き続き知名度の高い架空生物のキメラ(混合種)の制作を推進し、架空生物ブームを巻き起こした。

文字の浮き出る板2

ログNo.147
恐竜
架空生物ブームに便乗し恐竜復元研究所は資金難を乗り切り恐竜の復元に成功した。更に化石の遺伝子情報復元技術から医療用の遺伝子修復・復元の分野が発展。癌細胞の発見修正技術にまで発展し、架空生物ブームに伴い遺伝子工学ブームを巻き起こした。

文字の浮き出る板3

ログNo.178
ドラゴン
遺伝子工学の研究グループは恐竜の遺伝子をベースにドラゴンを造りだす事に成功した。ドラゴンは非常に人気が高く架空生物ブームを拡大させるに至った。また、この研究は後の巨大生物研究に大きく貢献することになった。

文字の浮き出る板4

ログNo.155
環境ナノマシン
遺伝子工学ブームによる技術革命により塩基素材によるナノバイオテクノロジーが発展した。大気中に混入し自己増殖するナノマシンが誕生。オゾン層の生成、二酸化炭素の減少、様々な環境改善プログラムが開始された。更に水中、土中へ混入し環境全般に効果を発揮する分野となった。

文字の浮き出る板5

ログNo.167
医療ナノマシン
ナノバイオテクノロジーは医療に最も効果を発揮した。ナノマシンをミトコンドリアのように細胞内で共生させることに成功。生体内で増殖し母体から子へも伝わり、永続する生命活動を確保した。

文字の浮き出る板6

ログNo.175
通信ナノマシン
環境ナノマシンの応用により、大気中に分布された情報伝達ナノマシンによる大気間通信技術を確立。環境ナノマシンへの命令にも効果を発揮し、特定の化学変化を遠隔空間作用させることが可能になった。

文字の浮き出る板7

ログNo.202
精神ナノマシン
医療ナノマシンからの発信技術が進展し、細胞単位の信号を受信出来るようになった。高等生物の精神活動を信号として感知できるようになり、念じるだけで消えるテレビが発売された。

文字の浮き出る板8

ログNo.256
天使
架空生物ブームは倫理問題に発展しその熱は終息の兆しを見ていたが、それらを突き抜ける事件が起きた。西方の国で「翼の生えた人間」が造りだされたのである。人類はついに人工人型生命体を誕生させてしまった。人体実験として倫理問題が激しく取りざたされたが「遺伝子から人工的に作られたものであり人間ではない」として「人権は与えられない」という結果に至った。爆発的な批判がありながらもこの結論に至った理由は、裏で後押しする巨大な力があったからだ。遺伝子工学の技術革命を得た人類は、人体実験を望んでいた。

文字の浮き出る板9

ログNo.333
神の設計図
生物を作り変える技術を得た人々は『理想の生命体』を求めるようになった。得た力をどう使うか、さながら新しい玩具を与えられて遊び方を考える子供のように、人々は生物の完成形を議論した。それは『神の設計図』と呼ばれ、人類の夢と理想が込められていた。その基軸となった神の姿はどれも神話を元にしており、人々の持つ共通概念こそが理想の神の姿として選ばれていった。古代の生物を復元する事に成功した人類が次に求めたのは、神話の神の復元であった。

奴隷競争

ノーム神官の手記1

~ ノーム教典『三神獣』 ~

三神獣は神への供物。

食らえばその身に神が宿る。

ノーム神官の手記2

三神獣を食らいし三名。

『白』『黒』『色』と呼ばれし者。

その身は神魔の域にある。

ノーム神官の手記3

摂理を求めた求道者。

あまたの知識を集めて足りず。

全てを知るため時を得た。

その知、神魔を超えし者。

関わることなき傍観者。

世を離れし、白き者。

ノーム神官の手記4

それは常に追われる者。

それは破壊をもたらす者。

それは願い砕けし者。

それは己を呪いし者。

物は壊れると知った者。

全てを壊した黒き者。

ノーム神官の手記5

生まれながらに持っていた。

七つの色を持っていた。

いつも世界とつながっていた。

当たり前につながっていた。

知る必要もなかった。

願う必要もなかった。

自分だけが持っていた。

他には誰も居なかった。

星と話をして育った。

世界が違う、色持つ者。

ノーム神官の手記6

これは触れてはならない三つの異端の話。

神への供物を奪った大罪人たちである。

異端児たちは世の流れから外れた。

その流れは歪みであり、関わってはならないものである。

サイキック収容所

研究者の手記1

古代遺跡から見つかった資料が送られてきた。

しかし、この古代文字の解読は困難だ。

旧文明の最終期よりも少し前の記録だろう。

サイキックのことが書かれているらしいが解読は出来そうにない。

以下、資料の写しを記しておく。

研究者の手記2

古代文字で何かが記されている…。

冒険者たちは誰も解読できなかった。

--------------------------
種族:サイキック

人間は細胞内にナノマシンを共生させることに成功した。

それは発信機能を持ち、細胞の活動状況を調べる医療行為を目的として始められたものであった。

しかしそれが精神活動を信号として発信できることがわかってから用途は大きく変わっていった。

研究者の手記3

大気中の撒かれた環境用ナノマシンに対して、意思により命令を送れるようになった。

温度を変え、気圧を変え、風を起こす……

ほんの僅かな作用から大きな事象を効率的に起こす研究が進められるようになった。

そして精神により『火を起こす』パイロキネシスに成功した頃から、世に超能力ブームがまき起こった。

しかし、この特性は人種によって異なることが判明した。

研究者の手記4

人種の違いである肌の色の違い、目や髪の色による違いによって発現しやすい能力と発現しにくい能力があった。

それ故にその能力は色として表現されるようになった。

この能力の将来性を重視した一部の者たちは他人種の遺伝子を掛け合わせて多様な特性を併せ持つ新人類の研究を秘密裏に始めていた。

研究者の手記5

その新人類は無理矢理混ぜられた因子が体に現れたかのように、目、肌、髪に多種多様な色を持って生まれてきた。

その色は鮮やかで種類の豊富な者ほど特異な能力を発現するようになった。

彼らは『サイキック』と呼ばれた。

研究者の手記6

強力な力を持つサイキックたちはテロリストの兵士として歴史に登場した。

稀に生まれる鮮やかな七色を持つサイキックは強力な超能力を持っており『フルカラー』と呼ばれて恐れられた。

一人で自然災害を引き起こすテロリスト。

サイキックの鮮やかなカラーは、恐怖の象徴として人々の歴史に刻まれていった。

研究者の手記7

やがてテロリストの組織は制圧されサイキックたちは解放された。

『彼らは望まずして生まれた
 戦争の犠牲者である。』

人々はそう言ってサイキックたちの罪を許した。

しかし、そのあまりの異質さにより人々は彼らを恐れた。

研究者の手記8

精神と自然を相互作用して生きる彼らは幼少の頃から感受性が高く、急速な知性の発達を見せる特徴があった。

その特徴に気づいた人類学者は彼らを絶賛してこう言った。

『彼らは人類の理想の子供である。

 我々は人を色で区別する歴史を
 続けてきた。しかし彼らは全て
 の色を合わせ持っている。

 言わば全人類の子供である。

 そして彼らは感受性が高く
 理知的である。

 我々は喜ぶべきなのだ。

 我々の区別を無くした子供は
 こんなにも優秀なのだから。』

研究者の手記9

『精神と自然の融合は感受性を
 もたらした。

 その結果は知性の発達である。
 これこそが人類の新たな道で
 あろう。

 サイキックに見るべきは超能
 力では無い。』

人類学者はこのことを初めて世に打ち出した。

研究者の手記10

一時はサイキックたちは人々に受け入れられた。

しかしその異質さと歴史に刻まれた恐怖から彼らを蔑視する目は消えなかった。

幼少から蔑視にさらされたサイキックたちはその感受性の高さ故に深く傷つけられていた。

研究者の手記11

『全てを混ぜ合わせて平等にする。
 その理想を成し遂げた結果はど
 うだ。

 結局は異端扱いだ。

 我々が見ている正しさとは
 真実の正しさでは無い。

 「自分と違うかどうか」

 ただ、それだけなのだ。』

人類学者はそう言い残した。

研究者の手記12

また、サイキックたちはその知性の高さ故に社会の歪みに気付きやすいという特徴があった。

蔑視を受けて育つ己の境遇もあってか彼らは社会のあり方に対して敏感であった。

それ故かその後に世界で起こる革命の歴史には常にサイキックの姿があった。

研究者の手記13

『彼らは革命の異端児』

『彼らはテロリストに使われていた
 犠牲者では無い』

『彼らの遺伝子には革命の種子が
 根付いている』

『彼らは平和を乱して変革を
 もたらす者』

『彼らは…』

サイキックたちは改革をもたらす存在、社会の悪として認識されるようになった。

滅びの町

聖剣と魔槍1

その神は人の王となり

剣を振るいて人を救うた

聖剣と魔槍2

かつて大いなる神々の戦いがあった

その戦いにより世界は一度、滅びを迎えた

大地は水と火と風に焼かれ

人を守る国はなくなった

生き残ったわずかな者も

徘徊する魔物に襲われ数を減らした

個の力だけで生きる世界では

人はあまりに弱かった

聖剣と魔槍3

亜人には神が居た

守護する神に守られて

亜人たちは生き延びた

しかし、人を守る神は居なかった

聖剣と魔槍4

星を統治する神を失い

弱き神だけが生き残った世界

その行く末を定めるため

神々は集まった

ある神は言った

「星の全てを支配できぬなら
 世界を小さくすればよい
 他種族を全て滅ぼし
 小さな国を世界とせよ」

ある神は言った

「己が力が足りぬなら
 民の力を使えばよい
 王となりて民を御し
 法ある国を世界とせよ」

ある神は言った

「審判は続いている
 最後に残りし神となり
 塔を登れば力得る
 定め通りの世界とせよ」


集まった神々には

世界にふさわしい種を選ぶ義務があった

聖剣と魔槍5

しかし、一人の神が言った

「偽りの神を作った文明は滅んだ
 この世界はもう我々のものではない

 今、この世界に生きる者たち
 彼らに何の罪があろうか

 この世界に必要ないのは
 我ら神魔の方であろう

 自らの役目の終わりを知る
 それが我らの最後の役目

 もはや神魔は不要なり
 この争いに終止符を」

聖剣と魔槍6

他の神々はその言葉に同意しなかった

「この世界は新しき者のもの
 それには大いに同意しよう

 だが過ちは繰り返される
 旧人類は滅びの文明を作った
 生き残らせてはいけない種

 星の未来に遺恨を残すな
 この星に生きる新たな種を選定せよ
 それが我らの正しき役目」

聖剣と魔槍7

他の神の同意を得られなかった神は

一人、神の役目を放棄し

人の王となり神と戦う道を選んだ

その王の名は アーサー といった

聖剣と魔槍8

土地もなく国もなく

流浪の民を率いる王

その戦いはただ生存のため

生きるための逃亡戦

組織された騎士たちは

地位も名誉も勝利もなく

ただ仲間を守るために戦った

聖剣と魔槍9

やがて人の王の戦いに

同意する神も現れた

やさしき巨人
高貴な弓使い
北の剣聖
……

神の役目を放棄する

その意志を組む神は増えていった

聖剣と魔槍10

人の王は聖剣を振るい

神々と戦った

王がひとたび剣を振るえば

光の斬撃が敵を切り裂いた

輝く聖剣を手に持つ王の勇姿は

味方を鼓舞し、敵を慄かせた

聖剣と魔槍11

多くの神が王の力を恐れる中

正面から打ち合う神がいた

その神は槍を振るい

エルフを守護する神であり

人の王と幾度も戦った

聖剣と魔槍12

人の王は最後には

槍の名手と相打った

その戦いは壮絶を極め

大地は大きく抉り取られ

聖剣だけが残された

聖剣と魔槍13

人の王が消えた後

王の事など無かったかのように

神々は戦いを続けた

神々にその意志は引き継がれなかった

人は再び、守られぬ種となった

聖剣と魔槍14

しかし、王の残した騎士たちは

生きるために戦い続けた

王に戦う力を教えられた騎士たちは

文明を失うと同時に力を失っていた
人々の唯一の力となった

また、ある神たちは

人を襲わなくなっていた

また、ある亜人たちは

人に友好的に接するようになっていた

聖剣と魔槍15

こうして

世界の滅びの大戦後

多くの種が滅んだ動乱の中…

人はわずかに生き残った

聖剣と魔槍16

神の座を降りて人の王となった

かの王がいなければ

今、人は生き残っていなかっただろう

そう締め括られるこの物語は

英雄譚として人々に好まれ

長らく語り継がれている

特に、人の王の聖剣と

エルフの守護神の魔槍

これらは今も何処かにあると言われており

伝説の武器を求める冒険心をくすぐるため、冒険者には愛読者が多い

ヴィヴィアン・マーシュ

湖底の探索1

ガラクタだ。

湖に沈んでいたものだ。

これは…

根元から折れた剣だ。

使い物にはならないだろう。

よく見ると歯形がある。

折れたというより噛み砕かれたものらしい…

湖底の探索2

これは…

金庫だ。

蓋に鍵はかかっていない。

中を覗くと…

活きのいい魚が入っていた。

魚の住処になっていたらしい。

湖底の探索3

これは…

緑色の全身鎧だ。

もしかして緑竜鱗超重鎧だろうか。

グリーンドラゴンの鱗で作られているという魔力を帯びた希少な鎧だ。

その鎧をよく見ると…

緑の苔に覆われているだけであった。

湖底の探索4

これは…

水棲生物の鱗だろうか。

手の平よりも大きい。

とても硬く割れそうにない。

湖には恐ろしい生物がいたのだろう。

湖底の探索5

これは…

人形だ。

はるか昔に子供が湖に捨てたものだろうか。

苔と泥で固まっている。

表面の汚れを取ると人形には傷一つ付いていなかった。

しかし意味はないだろう。

冒険者たちは人形を投げ捨てた。

湖底の探索6

これは…

「壊れた銀の小手」だ。

これは…!

本当にただ壊れているだけだ。

冒険者たちはガラクタを投げ捨てた。

湖底の探索7

これは…

宝石箱だ。

口はしっかりと閉ざされている。

中身は守られているのかもしれない。

冒険者たちは宝石箱を開けた。

中は空っぽだった…

冒険者たちは力いっぱい宝石箱を投げ捨てた。

湖底の探索8

これは…

村正」だ。

これは確か名刀のはず…

しかし壊れているようだ。

いや、本当に壊れて使えないのか…?

冒険者たちは違和感を覚えてよく観察した。

しかし、どう見ても壊れているように見えた。

ダメだ、やはり何度見ても壊れているようにしか見えない。

これは壊れていて使えないのだろう。

冒険者たちは「どう見ても壊れた村正」を投げ捨てた。

湖底の探索9

これは…

貯金箱だ。

重い。

そして、臭い…

冒険者たちは今すぐ投げ捨てたい衝動に駆られた。

しかしこの重量…中身がずっしりと入っているのかもしれない。

冒険者たちは投げ捨てたい衝動を抑えて貯金箱の中身を見た。

しかし中には水しか入っていなかった。

冒険者たちは臭い貯金箱を思い切り投げ捨てた。

それはよく飛んだ…

遠くでモンスターに当たり、やっつけた。

これは、使える…?

天使襲来

ある町人の手記1

この街には恐ろしい冒険者ギルドがある。

それは語るのも恐ろしい。

みんな暗黙の了解で口を閉ざしている。

ある町人の手記2

最初は普通の冒険者ギルドだった。

初々しい冒険者たちが町の周辺の魔物を退治してくれた。

ギルドのマスターになったのは元宿屋の主人だ。

彼には損な役回りを押し付けてしまったという思いもあり、みんなで応援する気持ちもあった。

町長も積極的に手を貸していたそうだ。

ある町人の手記3

異変を感じたのは女の子が魔獣を連れてきた頃からだ。

その魔獣を見て町の人はみんな怯えていた。

女の子が言うにはその魔獣は賢くて人間にも慣れているから決して襲わないと言っていた。

でも見たんだ。

冒険者の魔法使いの青年が襲われているのを……

ある町人の手記4

それから町を様々な種族の亜人が歩くようになった。

冒険者とすぐ分かるからある程度の対応の仕方は分かるけれど、それでもやっぱり恐ろしかった。

その数はどんどん増えていったから…

ある町人の手記5

ある日、町の娘が悲鳴をあげて逃げてきた。

例の冒険者ギルドに人食いの化け猫が出入りしているというのだ。

冗談じゃない。

冒険者なら何かあった時でも対処できるかもしれないけれど、一般人は襲われたら終わりだ。

もう我慢ならなかった。

文句を言おうと勇気を出して冒険者たちの酒場に向かった。

そこには大男がいた。

角が生えていた。

金棒を持っていた。

鬼だ。

冗談じゃない。

一目散に逃げ帰った。

ある町人の手記6

ある噂が広まっていた。

この町に伝説の吸血鬼【暗黒卿】がいるという…

町をいくつも滅ぼしている伝説の怪物だ。

そんな大物が何でこんな小さな町に?

皆まず疑ったのが、あの冒険者ギルドだ。

でも沈黙していたよ。

具体的な被害は出ていないから…

ある町人の手記7

ドラゴンを退治して帝国に表彰されたらしい。

でもそれをはね退けて帝国にケンカを売ったらしい。

そしてこの町に帝国軍が攻めてきた。

もう引っ越そう。

もう生きていけそうにない。

でもやっぱり実害は特に無いんだよな…

冒険者ギルドのある町ならこれが普通であって私が怖がりなだけだろうか。

ある町人の手記8

もはや町長も何も言えなくなっているのだろう。

触れてはならないのだ。

冒険者が100人も居たらこんな町、簡単に…

ある町人の手記9

子供たちの間に恐ろしい遊びが流行っていた。

冒険者ギルドのドアをノックしてすぐに走って逃げる、というイタズラだ。

そしてどんな生物が出てくるか賭けているのだ。

看板娘のお姉さんならアタリで番犬ならハズレだという。

しかし、あれを番犬と呼べる子供の感性が分からない。

あれは絶対に犬じゃない…

ある町人の手記10

大陸統一を掲げた帝国軍が攻めてきた!

冗談じゃない、逆らう気なんか無いよ。

でも冒険者が数人で蹴散らした…

この町、本当に滅ぼされるんじゃないか…?

ある町人の手記11

天使が襲ってきた!

今度は本物だ!

本物の襲撃だ!

本当に、人が、襲われた。

ついに実害が出た…

でも、冒険者たちが助けてくれた。

彼らは我々を守ってくれた。

大神殿

神魔の手記1

神魔アーサーと神魔クーフーリンは相打ったのではない。

最後には二人はお互いを認めて盟約を交わそうとしていた。

人間とエルフは共存の道を歩もうとしていた。

神魔の手記2

アーサーは策謀にやられたのだ。

二人が戦い疲弊したところを騙し討ちにあった。

その思想に反対する多数の神魔たちに襲われたのだ。

神魔の手記3

それをうまく手引きした神魔がいる。

神魔たちをうまく誘導した。

奴が黒幕だ。

神魔の手記4

神魔の使命は不要な種族を滅ぼすこと。

アーサーは『神魔』を滅ぼすべき種族と定めた神魔だ。

神魔の手記5

それに対して奴は言った。

「神魔に居なくなられては困るのですよ」

神魔の手記6

奴は最下層に位置する神魔であり力もない。

だが奴ほど思惑の読めぬ神魔も居ない。

奴は神魔の欠陥品だ。

奴は常軌を逸した目的を持っている。

その計画は恐るべき破滅と魅力を秘めている。

氷の巨人

調査隊の手記1

記述:帝国北方調査隊隊長シューベルト

調査隊は昨日まで順調に古代遺跡の発掘を進めていた。

そして最深部と思われる場所にて重要な文献を発見した。

探し求めていた『禁断の果実』に関する資料だ。

内容は古代文字で書かれており完全な解読はこの場では出来ない。

以下に書き写した資料を載せる。

調査隊の手記2

―< 古代文字の写し1 >ー

【アダムの実】
寄生型魔造生物の核。宿主を進化させる。

効果:
・生物にこの核を埋め込むことによってその身体に変異をもたらし進化させる。身体能力は吸血鬼に匹敵し、寿命はおよそ1,000年。

適応種:
・人間型生物、亜人、アト・ヒューマン

必要材料:
・人間1000人

調査隊の手記3

ー< 古代文字の写し2 >ー

種族を改造する技術を得た人類は様々な種族を生み出していったが、それらは新しく生物を生みだす技術であり、既に生きている者を変える技術ではなかった。

一部の人々が切望したのは己自身を変える技術であった。

新たな遺伝子により生まれた者が持つ超人的な能力を、自分たちも手に入れたい。

その渇望が歪な技術を促進させた。

調査隊の手記4

ー< 古代文字の写し3 >ー

魔造生物の核を身体に埋め込み、生きながらにして遺伝子を組み替える技術が生まれた。

この技術により寄生型魔造生物が誕生した。

しかし、その殆どは理性や人格に障害を起こすものであった。

それは理性を持たない魔造生物になるだけであり、人々が求める進化のための技術ではなかった。

調査隊の手記5

ー< 古代文字の写し4 >ー

執念により人を進化させる技術を完成させた人物が居た。

その人物は、エドエイド・ハルベルド。

後にマッド・サイエンティストの代名詞とも呼ばれる人物である。

エドエイドの実験により一つの村が地図から消えている。

エドエイドの生み出した技術はその核を作り出すための材料に人間を1,000人必要とするという恐るべき犠牲を伴うものであった。

調査隊の手記6

ー< 古代文字の写し5 >ー

1000人を犠牲にすれば進化できる。

そのあまりの犠牲の多さに悪魔の技と呼ばれて禁忌とされた。

もしこれが数人の犠牲で出来ることであれば、権力や財を持つ者は秘密裏に手を出していただろう。
しかし人に知られることなく1,000人の命を奪うことはいかに権力者といえども難しいことであった。

この技は国際的な禁忌とされ、人類の共通見解として「やってはいけないこと」と認知された。

それでも手を出す者は居た。

その後の歴史に刻まれた、この核が作られた回数は六度ある。

調査隊の手記7

ー< 古代文字の写し6 >ー

この技は禁忌とされて厳しい罰則が課せられた。

魔造生物の核を埋め込んで進化した者は人権を剥奪され、人間として扱われず魔造生物として人類の敵と認定されるようになった。

名称は魔造生物アダム。

その核は「アダムの実」と呼ばれた。

北方の地下遺跡

古代資料1

【 リリスの実 】

材料:
・魔獣1,000体

アダムの実は1,000人の人間の命が必要であるため作るのは難しい。

それならば人間ではない命を使えば良い、そう考えた科学者がいた。

古代資料2

当時、高度な知性を有しながら人権を与えられていない生物が二種類いた。

それは動物と魔造生物である。

遺伝子操作により動物は次々に進化して知性が高く体の大きな動物が生まれていた。

しかし扱いは動物のままであり、法的な整備は届いていなかった。

技術革新の速度についていけず、人間の人権を守るので精一杯であった。

古代資料3

「人間さえ使わなければ良い」

その思想により動物や魔造生物を使った数々の実験が進められていった。

そして人に近い知性を獲得した動物と魔造生物を合わせた合成獣『魔獣』と呼ばれる種が誕生した。

古代資料4

魔獣の生態は歪を極め、生物として必要な能力が欠如していたり繁殖能力を持たないものも多くあった。

魔獣が知性を得て人語を話すようになった時、人々の見せた反応は恐怖だけであった。

人間とは明らかに違う歪な生態を持つ化け物たち。

それら魔獣は動物だけを使ってつくられた生物である。

そのように高等生物として強制的に進化させた魔獣たちを使い、アダムの実を作る実験が行われた。

古代資料5

この実験が成功していたら人類はアダムの実の量産を始めていただろう。

実験の結果、人を進化させる寄生型魔造生物の核は出来上がった。

しかし、その核により生まれ変わった者は魔造生物アダムではなかった。

はじめはその差異に気づかなかった。

それに気付いたのは次の世代からであった。

生まれる子供が皆、魔獣だったのだ。

人と似た姿をしながら人間種とは明らかに異なる異形の生態を持つ化け物たちが生まれ出した。

人々はその子らを『悪魔』と呼んだ。

この実験は誰もが失敗だと認識し、実験は封印された。

古代資料6

魔獣1000体から作られた実によって進化した者は、人に似て人ならぬ悪魔を生む者。

人々はその者らを
『魔造生物リリス』と呼んだ。

その核は『リリスの実』と呼ばれ、人を悪魔に進化させる禁断の果実として封印された。

既にリリスの実は大量に生産されており、多数の悪魔の子が生まれていた。

その子らには高い知性と人と交われる繁殖能力があった。

古代資料7

リリスの実を作るための材料として大量に生み出された魔獣族。

そして実験の結果生まれた悪魔族。

人々はこれらを無かった事にしたかったが、根絶されることはなかった。

進化を諦めること無く極秘裏に実験を続ける者がいた。

戦闘力に目をつけて兵に利用する者がいた。

人間種と異なる種族、魔獣族と悪魔族は人間の手により誕生し増えていった。

そして大戦を生き残った彼らは人間の支配から開放され、地上を闊歩するようになった。

古代エルフの寺院

寺院の壁画1

人類の最も忌むべき行為とは何か?

それは戦争であろう。

奪うなかれ。

殺すなかれ。

それら人が社会を営むべき最低限のルールを平然と破る行為だからだ。

寺院の壁画2

では、戦争を無くする方法はあるのだろうか?

それに対してある学者は言った。

「戦争を拒む種族を作ることだ。」

自然界には戦争をする生物としない生物がいる。

生まれながらにして争いを拒む種族を作れるなら、それで良いではないか。

遺伝子を操作する力を得た人類にとってそれは不可能ではない。

寺院の壁画3

だが、果たしてそれだけで良いのだろうか?

本能により争いを拒む種族がこの世界を生きていけるだろうか。

それを成し遂げるには地球上の全ての種族を一度滅ぼし、善性なる種だけを作る必要があるのではないだろうか。

結局、今いる種族を滅ぼす争いが必要になるだろう。

寺院の壁画4

別の学者はこう言った。

『人類のもつ偉大なる能力を活用するべきだ』と。

それは『学ぶ』ことである。

経験により学習すること。

戦争を知り、理解し、拒否する意識を持つこと。

学習によりそれは可能となるだろう。

そのためには戦争を経験し尽くす必要がある。

実践と経験の積み重ねが学習のためには必要だ。

寺院の壁画5

遺伝子操作の技術を得た人類は新たな種族を生み出し続けている。

そのどれもが理想の完成形を目指していた。

だが、最初から完成品は作れるのだろうか?

経験を重ねて学習することを前提とした生物を作るべきだ。

寺院の壁画6

人間は臆病だ。

人間では争い続けることは出来ないだろう。

人間は残酷だ。

人間では争いをやめることは出来ないだろう。

人間は中途半端なのだ。

徹底して争わないことも、徹底して争うことも、そのどちらも経験し尽くすことは出来まい。

寺院の壁画7

ならば種族を分けることだ。

戦争を拒み続ける種族と

戦争の限りを尽くす種族。

白き民と黒き民を作る。

寺院の壁画8

必要な事は歴史的経験。

それも中途半端な経験ではダメだ。

争いを拒み続けた歴史。

争いの限りを尽くした歴史。

その二つを民族的、歴史的に経験し尽くす。

寺院の壁画9

戦争を拒むために戦争し続ける種族を作る。

逆説的な矛盾を含むが真実に近づく一つの手段だ。

戦争実験種族、黒き民。

争いを好む黒き民は他の種族に滅ぼされるだろう。

だが争いを拒む白き民より再び生まれ続ける。

争いを拒む白き民の心からも争いは生まれるという事実を知り尽くさなければならない。

寺院の壁画10

そして時期が来れば二つは一つに融合するだろう。

その道は遺伝子に組み込まれている。

純粋に高め続けた二つの種が混ざり合うとき

理想の種族は誕生する。

寺院の壁画11

それは歴史的経験を持ち、争いを知り尽くしている者。

それは長い寿命を持ち、個の経験を熟成させる者。

それは人間の学ぶ力を高めて引き継いだ星の後継者。

寺院の壁画12

白き民と黒き民よ。

森と剣を象徴とせよ。

争いを超え、自然との調和を成す。

人間の成せなかったその道を歩んでくれることを願う。

帝都跡地

帝国貴族の手記1

この世は人が生きるには過酷な世界だ。

街から外に出れば人間より遥かに力の強い生き物たちが世界をうろついている。

人がそれらに対抗するには数を活かすしかないだろう。

戦うための集団、つまり軍隊だ。

帝国貴族の手記2

この世界ではどんな軍隊を持つべきか。

魔物の力は強大だ。数さえそろれば勝てるわけではないだろう。

例えば竜亀を相手に素手の人間が何人居ようと傷一つ付けることは出来まい。

数の力が有利に働くのはある程度戦闘力が近い場合だけだ。

圧倒的な個の力の差があるときは数も意味を成さない。

帝国貴族の手記3

人間の力は数の力の他に道具を扱うことだ。

非力な人間が生き残るには道具は不可欠だろう。

武具を集めて道具に頼った戦い方になるのは必然的なことである。

それは昔であろうとも変わらないはずだ。

帝国貴族の手記4

古代遺跡より見つかる物には武具の類があまり無い。

あまりに古い故に朽ちてしまったのか?

そうであれば他の物も朽ちているはずだ。

遺跡にある装置が武具よりも丈夫だとは思えない。

帝国貴族の手記5

「古代の人間は武具よりも圧倒的に強い道具を持っていた」

教皇様はまるで過去を見てきたかのようにおっしゃる。

しかしその言葉が外れたことはない。

故に帝国は密やかに古代遺跡の発掘を推し進めてきた。

その力が他に知られないよう、古代文明の技術は一部の者にしか知らされていない。

帝国貴族の手記6

大陸統一の動きには各地にある古代遺跡の調査も目的に含まれていた。

人間が手に入れられる最強の道具は古代文明にある。

それが手に入ればこの世界を支配することも容易いことだという。

ただそれがどのようなものかは私は聞かされていない。

帝国貴族の手記7

各地の古代遺跡で発掘された兵器は秘密裏に皇居へと運び込まれていた。

私はその一部を見てしまった。


ゴーレムだ。

見たことの無い様々なゴーレムがあった。

非力な人間に変わる戦闘兵器としてゴーレムは優秀だ。

しかし希少すぎて数が少ないため軍隊の代用には難しい。

ゴーレムが大量に集まるか、もしくは戦況を覆すほどの性能を持ったゴーレムがあれば…

帝国貴族の手記8

技師たちの資料を覗き見た。

皇居に運び込まれたゴーレムはどれも強力な武器を備えている。

このゴーレムの数が揃うなら恐るべき軍隊を作れるだろう。

帝国貴族の手記9

資料の中に古代遺跡の位置情報が混ざっていた。

なぜゴーレムの資料に古代遺跡の場所が書かれているのだろうか。

資料には海の中にある位置が記されている。

イルルヤンカシュ海底神殿

イルルヤンカシュという竜の神を祀る神殿が海の底に沈んでいるという。

しかしどうすれば海の底に行けるのだろうか。

帝国貴族の手記10

イルルヤンカシュの神殿は海の底だけではなく大陸にもあるという。

その地上の遺跡へと帝国の調査隊は既に行っている。

荒らされて荒廃した古代遺跡であったが、調査隊はそこで新たに地下施設を発見している。

地下施設は複雑な機械が並び、人が入れるほどのガラスケースがあった。

調査の結果、機械は壊れていないがエネルギーが無いため動かないようだ。

超古代文明のエネルギー源は謎であり補填する方法は見つかっていない。

一説には光をエネルギーにしていたと言う学者は居るが、具体的な方法は分かっていない。

帝国もこれ以上は調査が進んでいないようだ。

ミストガルド探索

探検家の手記1

ミストガルドの遺跡から3巻の古き巻物が見つかった。

探検家の手記2

ーーーー 古き書物1 ーーーー

ミッドガルドは山脈に囲われた盆地となっている。

山脈から流れる水は中央の盆地に集まり川となって豊富な水を与えてくれる。

山々の囲いは外からの大きな気候変動を遮り、穏やかな気候と規則正しい四季の変化を与えてくれる。

なだらかな盆地には平原森林がバランスよく揃い、人々に住みよい土地を与えてくれる。

この恵まれた地は神に与えられ、神に守られた土地である。

人々は神を称え神に感謝した。

ーーーーーーーーーーーーーーー

探検家の手記3

ーーーー 古き書物2 ーーーー

西には平原が広がり数多くの古代遺跡が並んでいる。

その中でも特に巨大な遺跡は山と見紛うほどに大きく、端の見えぬ湖のごとく広い。

かつての古代文明がどれほど栄えていたかを現しているかのようだ。

遺跡では今でも機械兵が誰もいなくなった遺跡を守り続けている。

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探検家の手記4

ーーーー 古き書物3 ーーーー

東には森林が広がり豊富な資源と豊かな実りを与えてくれている。

森は進めば深く生い茂り、森の中央には天が見えぬほど高くまでそびえ立つ「世界の木」がある。

世界はこの木に支えられているという。

そして見上げても見えぬ遥か上には神々の住む国があり、地下はかつて死んだ者たちが現れる死者の世界につながっていると言う。

人々は世界の木を敬い、東の森は聖なる森として大事に守られた。

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探検家の手記5

これら古き書物に書かれているミッドガルドという土地は、ミストガルドを示しているのだろう。

ミストガルドは山々に囲われ、西に古代遺跡、東に森林があり、古き書物の記述と一致している。

ただ全体が霧に覆われていることは記されていない。

かつてこの土地は霧に覆われていなかったのだろう。

探検家の手記6

古き書物によればこの土地は豊かで人の住みやすい土地であったようだ。

しかし今では霧に覆われて視界が狭く、いつ魔物に出会うかわからない恐ろしき秘境である。

今では訪れる者は迷い人か自殺志願者か、私のような探検家や冒険者くらいのものであろう。

探検家の手記7

なぜ今は霧に覆われた土地となってしまったのかは分からない。

そして森林の中にあるという「世界の木」は本当にあるのかも分からない。

それを確かめることで何か分かるかもしれないが霧に覆われた森は一度入れば二度と出られないような秘境となっている。

探検家の手記8

雇った冒険者たちにも犠牲者が出始めている。

もうこれ以上の調査は難しいだろう。

小さな遺跡で見つけたこの古い書物だけが今回の収穫となるだろう。

探検家の手記9

この文献だけでも霧が現れる以前の人々の生活がわかる貴重な発見といえる。

内容からすれば人々は神という存在を身近に感じていたことがうかがえる。

各地の伝承にある神話との共通性を探していけばかつての人々にとって神という存在はただの象徴だったのか、それとも一緒に暮らすような実在する存在だったのかの手がかりとなるだろう。

私の知りたい真実に近づけるかもしれない。

パンデモニウム

古代遺跡の歴史1

大気汚染、粉塵、紫外線、放射線…

環境汚染により人類はまともに空を見上げることが出来ない時代となっていた。

それらに対抗するために都市全体を屋根で覆うドーム型都市計画が進められた。

巨大な覆いはその強度を維持するために球形と円形のアーチを繰り返しつなげた細長い構造となった。

古代遺跡の歴史2

天井は完全に覆われているが大気ホログラフィクスにより見上げれば空が見える構造になっていた。

その中で人々は汚染の心配のない安全な生活を送れるようになった。

安全を謳う都市として多くの人を集めることになったが流れ来る移民により治安の悪化が始まっていた。

高額な市民権、安全の商品化、利権と犯罪が横行し、自然の害より人の害へと問題は変わっていった。

古代遺跡の歴史3

治安対策としてガードロボットが導入された。

最初に導入されたのは重装型四足ロボットのGP88であった。

GP88は銃火器の効かない装甲と人を超えたパワー、そして人間の暮らす住宅地で行動ができる駆動性を兼ね備えていた。

GP88の力は絶大であり、幾度かの抗争の後に都市の治安は回復に向かった。

古代遺跡の歴史4

GP88は警官に代わる抑止力として都市の巡回をするようになり、常に人々の目に触れる存在となった。

GP88は見た目からして重圧を感じさせるロボットであり、犯罪を取り締まるその姿から人々に恐れられた。

GP88が人々の生活に深く関わるようになったことにより、外見などを考慮した新たなロボットの開発が行われるようになった。

古代遺跡の歴史5

その結果できあがったのが人型二足歩行アンドロイドGP98である。

GP98は武装を削減して人との関わりを重要視し、会話能力や人の感情を理解するAI機能が大きく発達していた。

人間の警官のような振る舞いをするGP98は人々に受け入られるようになっていった。

古代遺跡の歴史6

やがて時代は機械工学より遺伝子工学へと移行し、機械の働きは生体装置へと置き換わるようになっていった。

古代遺跡の歴史7

生体科学の発展は目覚ましい効果を発揮して人類の様々な問題を解決させることになった。

多くの環境問題が解決したことにより、ドーム型都市の必要性は薄れ、次第に衰退していった。

古代遺跡の歴史8

生体科学の発達により人類は魔造生物という生産力を手に入れた。

魔造生物は人間より力が強く従順で思考力を持ち、ロボットに変わるものであった。

しかしドーム型都市ではGP98を使い続けた。

長年の生活により成熟したAIを持つGP98は人々の生活に欠かせない存在となっていた。

古代遺跡の歴史9

やがて生体科学の恩恵により様々な生物を作りすぎた人類は異種族戦争の時代へと突入した。

古代遺跡の歴史10

再び武力を必要とする時代となり、都市の防衛のためにGP98は改良を施された。

そして生まれたのが光学武装型アンドロイドGP98-α(アルファ)である。

GP98-αは生物兵器より精密で高速な行動が可能な上にGP98より引き継いだ高度なAIによる学習機能を持っていた。

このGP98-αの性能は他の機械兵よりも抜きん出た優秀性を示した。

それは人々との関わりを重視してAIの開発に力を入れ続けた結果によるものであった。

古代遺跡の歴史11

人間を超えた力を持つ亜人や魔造生物を使う犯罪集団を相手にGP98-αは都市の人々を守るために戦い続けた。

自らを犠牲にしても都市の人々を守り、人間の心に配慮した行動を取るGP98-αは人々にとって頼れる、本当の友となっていた。

魔王城

竜の生態と役割1

『竜の生態と役割』

著作:シェイフ・ウシュムガル

世界の多くの生物は竜族の生活を知らない。

それは当然である。

竜に遭遇することは死を意味するからである。

竜の生態と役割2

特に成竜にまで成長したドラゴンは数も少なく秘境に住んでいる。

成竜の獲物は大型の魔獣である。

人族は小さく弱い故、成竜にとっては物足りない獲物なのである。

竜の生態と役割3

イエロードラゴン

山岳で雷雲と共に生息するサンダードラゴンが時を経て成竜となった個体である。

その体は幼体とは比較にならぬほど大きく、力も強いのである。

そして集団での狩りよりも単独で狩りをすることを好むようになるのである。

彼らは周囲の環境に依存せずに自ら雷雲のごとく電撃を操ることが出来るのである。

竜の生態と役割4

ブルードラゴン

雪山に生息するアイスドラゴンが時を経て成竜となった個体である。

アイスドラゴンは幼体でもそれなりに大きいが成竜になると更に体は大きく力も強くなるのである。

彼らは周囲の環境に依存せずに自ら吹雪のごとき冷気を操ることが出来るのである。

獲物を氷漬けにして噛み砕くのが好きなドラゴンなのである。

竜の生態と役割5

【 ファイヤードレイク 】

火山帯に生息することを好むレッドドラゴンが時を経て成竜となった個体である。

その体は幼体よりも更に大きく力も強いのである。

彼らは環境に依存せずに自ら火山のごとく火炎を操ることが出来るのである。

獲物を丸焼きにすることが大好きで火炎の吐息を扱うことを得意とするドラゴンである。

竜の生態と役割6

ホワイトドラゴン

地下や洞窟など日の当たらないところを好むドラゴンである。

幼体の頃は日陰に生息しており警戒心が強く、慎重な性格をしている竜なのである。

数が少なく我々でもホワイトドラゴンに出会うことは稀である。

臆病な性格だが仲間意識が強く、一度仲間と認識したものは体を張ってでも守ろうとするのである。

彼らは魔法を得意としており特に身を守ることや傷を癒やすことに優れているのである。

竜の生態と役割7

エンシェントドラゴン

古くより生きる竜であり、我が同族である。

成竜であることは当然として竜族の中でも長き時を生きる誇り高き竜なのである。

その体も力も他の成竜よりも強く、知らない魔法も無いのである。

目まぐるしく生きて死ぬ人族を好まず、人族からは離れた土地に住むことが多いのである。

知識の価値を知っており人族の書物を読み、自ら書物を記する個体も居るのである。

竜の生態と役割8

竜族は地上最強である。

これは長き時、世界を見て回り、知識を集めた上で言えることである。

大きな体はそれだけで力となる。故に竜族は強いのである。

長き寿命による経験は力となる。故に竜族は強いのである。

深き知識と知恵は力となる。故に我は知を集めたのである。

竜の生態と役割9

個体としてドラゴンを上回る者も時には現れたが、それは個体が優れているだけであり種族の優位性が変わるものではない。

神話より生まれし英雄たちは個体数が増えないので種族ではない。

人族は数が多く稀に優れた個体が現れるがそれでも竜族の平均に届くかという程度の力である。

そして直ぐに寿命が尽きてしまうのである。

竜の生態と役割10

長き生の中では幾度か知己を得た者も居た。

彼らは皆、優れた知性と力を得た人族であった。

しかし皆、すぐに死んでしまった。

体が弱く、寿命も短い。

なんと弱き種族なのか。

彼らが生きるのは何の意味があるのか?

そして数が増えると星を食い荒らし始めるのである。

我ら竜族にとっても星は大事な生きる場所である。

星に有害な生物は減らす必要がある。

魔宮殿の地下A

文字の浮き出る板1

細胞単位の高速治療が可能となった、どんな器官でも再生できるだろう。

だが機能はあれど操作は難しい。

完全な自律復元機能は進化の道を閉ざす事になる。

過剰な自動制御は危険だ。

意志による外部命令を必要とするべきだ。

『治れ!』と。

文字の浮き出る板2

自意識を失ったらどうするか?

他者に「治れ!」と言ってもらえば良い。

他者に必要とされない者は生き残れないだろう。

文字の浮き出る板3

個体だけで仕上げるべきではない。

もう個体の意志は大気へと伝わるのだから。

個の追求を求める意識は変えるべきだ。

文字の浮き出る板4

……止められなかった。

完全自律型の計画が始まってしまった。

あいつらはわかってない。

最初から完全な個体など作っても、人類は進化しない。

死にたくとも死ねない体が何をもたらすか。

天国?

馬鹿な事を。

出来るのは、地獄だ。

魔宮殿の地下B

文字の浮き出る板1

ははははは、人間が大きくなった!

なんだこれは?

環境に適合し、巨大化した!

さながら巨人と言う奴か!

そう言えば神々と争う巨人族の話が神話にあるな。

こいつらは神に匹敵するのか?

文字の浮き出る板2

おかしい。

信じられない。

人間が想定の限界値を超えて成長している…




滑稽だ!

我々は神を造り出そうとした。

それは当然、人を超えた存在でなければならない。

ところがどうだ、このシミュレーション結果は。

人が、神を超えようとしている……!




我々が造ったものは、やはり、まがい物に過ぎないのだ。

これを喜劇と呼ばずに何を言うのか。

何も作る必要など、なかったのでは無いか……

魔宮殿の地下C

文字の浮き出る板1

バベルの塔」と名付けたのは誰だろうな。

実に皮肉めいている。

これからやろうとすることは、自分たちの手で神を作ろうとする、まさに神への反逆なのだから。

文字の浮き出る板2

生物を変える力を得た人類は

思いのままに新しい生物を造り始めた。

それぞれの国が、それぞれの民族が、それぞれの理念の元に。

新しい製品を作るがごとく、新しい生物が生み出される。

このまま収拾がつかなければ

この世界は保たないであろう。

どこかで決着をつけなければならない。

文字の浮き出る板3

まもなくバベル計画が始まる。

もう我々に出来る事はない。

ただ、結果を待つだけだ。

神と悪魔が具現化される。

それぞれの理想の姿を。

それぞれの理念の果てを。

人類が想像しえた、あらゆる未来の可能性を。

神魔はそれを具現化する。

その姿を見て、人は選ぶのだ。

どの神と生きるのか、を。

文字の浮き出る板4

何ということだ!

人間たちは皆、悪魔側についた!

いったい何処まで愚かなのか!

文字の浮き出る板5

神と悪魔が相打ちした……

計画は失敗だ。

絶対的な神となるべき神魔は、ほとんど滅んでしまった。

これでは理想の統治は起こらないだろう……

文字の浮き出る板6

文明も失われた。

コントロールを失った世界はどんな方向へ行くかわからない。

生態系は崩れ去った。

バランスは崩壊する。

生命は原始まで退化するかもしれない……

文字の浮き出る板7

バランスが取れた……

信じられない!

この結果を誰が予測したであろうか!?

人間より優れた亜人が居る。

神話の生物、架空の生物が世界を徘徊している。

生き残った神と悪魔が居る……

これらは皆、人間より強力だ。

人間が食物連鎖の頂点から落ちた。

だが、それで世界のバランスが保たれている……

文字の浮き出る板8

私の為すべきことはもう無い。

全ては失敗したが……

目的は達成した。

新しい世界は出来たのだ。




我々の目から見れば実に滑稽に映る。

人が思いのままに想像した、架空の生き物たちが自らの足で歩く世界。

彼らがこの新しい世界の住人なのだ。

人間が思い描いた空想の世界が出来上がった。

我々の想像は世界すらも作りえるというのだろうか。


もう、この世界は我々の世界ではない。

新たな住人たちのものだ。


この先、この世界に生きる全ての生命に幸あらんことを。

魔宮殿の地下D

文字の浮き出る板1

今造っている神魔にはユーモアのセンスは受けついでもらおう。

こいつには喜劇が似合う。

演劇で名を知られる奴だ。

情緒性を仕込んでもいいだろう。

下位の神魔だから多少のイレギュラーがあっても計画には影響あるまい。

なぁ『メフィストフェレス』よ。

魔宮殿の地下E

文字の浮き出る板1

奴らは狂ってる。

こんな性能の魔王を造りやがって

神が負けたらどうする気だ……

文字の浮き出る板2

本物より劣るクローンでさえこれほどの力だ。

上位神魔が本気で戦争を始めたら世界は滅ぶだろう。

だからこそ駆け引きが重要になる。

文字の浮き出る板3

上位神魔は知性や理性においても人間を凌駕している。

人間からすれば神と仰ぐような素晴らしい精神性を持っている。

人々を制御する神となる存在として作られているのだから当然だろう。

文字の浮き出る板4

上位神魔たちは自らの力を振るえば地球がどうなるか分かっているため滅多に力を振るわない。

だが、クローン神魔の精神は動物並みだ。

危険すぎる。

こいつを外に出すようなことは絶対にあってはならない。

文字の浮き出る板5

…昨夜、夢を見た。

そこは文明が滅んだ世界。

上位神魔の死に絶えた世界。

旧西暦の中世時代にまで戻ったかのような世界。

ドラゴン程度が生物の頂点とされる世界。

その時代に地下からクローンが這い出てきた。

クローンを止められる者の居ない世界。

不死身のクローンは絶望的な実力差で世界を蹂躙していった。

その姿はまさに魔王そのものだ。

文字の浮き出る板6

ただの夢だ。

気にすることはない。

そんなことは起きやしない。

魔宮殿の地下F

文字の浮き出る板1

恐るべきあの女のクローン生成に成功した。

美しい女神の姿を取り、羽衣のようなコロナを纏いて飛翔するその姿を人々は神と崇める。

だが実態は、徒党を組んだ上位神魔とも一機で撃ち合う戦略兵器だ。

このクローンの性能も恐るべきものよ。

それでも本物と比べれば足下にも及ばないが……

文字の浮き出る板2

ダメだ。

クローン10体でもオリジナルには勝てない。

クローン技術は失敗だ。

完全自律型はやっかいだな。

大気を断じて失敗作を封印せよ。

最終戦

小さな鍵1

指輪よ。

指輪よ。

常に肌身に触れ続け

常に主と共にある指輪よ。

小さな鍵2

汗に触れ

血に触れて

主の力、宿りし指輪よ。

小さな鍵3

その力、如何なるものか。

善なるものか

悪なるものか

ただただ主を映しだす指輪よ。

小さな鍵4

堕天使の指輪よ。

狂信の指輪よ。

不和の指輪よ。

神獣の指輪よ。

嫉妬の指輪よ。

冥界の指輪よ。

どれも稀有なる力の具現。

小さな鍵5

されど現世の力に過ぎず。

求める力には遠く。

比類なきはあの力。

かの支配者の力宿りし指輪。

小さな鍵6

全ての財を奪われても

全ての力を失っても

全ての名誉を失っても

全ての仲間を見捨てても

全ての宝を捨て去っても

欲しい。

欲しい。

かの指輪よ。

小さな鍵7

ああ、ああ、ソロモンよ。

その力、我が手にも!

霧の森

考古学者の手記1

魔物とは何だろうか?

進化した生物。

生態系の延長にある生き物。

これは間違いないだろう。

弱肉強食の自然界の掟により、強い敵から生き残るために強さを得た生物。

しかし、その考えには一つの矛盾が思い浮かぶ。

果たしてそこまで強くなる必要があったのだろうか?

考古学者の手記2

進化とは、周りに強敵が居るからこそ自らも強くなる。

そして自らが強くなることにより相手もより強く進化する。

これを繰り返していくことで螺旋のごとく何処までも強くなれる、か…?

いや、これは何処かで破綻が生じるはず。

いずれ進化に対応出来なくなった一方が敗北して絶滅する。

そして敵が消えれば強さも必要なくなり、進化の螺旋も止まる。

考古学者の手記3

ところがこの世界には矛盾がある。

進化の過程から外れたかのような圧倒的に強い力をもつ魔物が居るのだ。

敵が居る故に進化したならば、この魔物の相手は誰だったのか。

桁違いの強さを持つ魔物は、何故その強さを得る必要があったのか。

強さを競り合った相手が絶滅した後、生き残った勝者たちの子孫なのだろうか。

それとも進化の過程を何段階も飛ばす別の形で力を得たのだろうか。

そうだとしても誰が何の目的で?

やはり、敵が居たからなのだろう。

敵が居なければ魔物は生まれなかったはずだ。

考古学者の手記4

古い文献を紐解けば、魔物の相手が誰なのか書いてある。

そのほとんどは神話にある。

魔物を討ち倒すものは英雄や神々として描かれている。

ということは、魔物の敵とは英雄や神々であり、それらに勝つために魔物はより強く進化してきたのだろうか?

これらが全て神話の中だけの話ならば私もそんなに悩まないだろう。

しかし、この世界には実際にとてつもない強さを持った魔物たちが居る。

進化の過程を何段階も飛び越したような強い力を持つ魔物の存在は、かつてそれに対抗する強力な敵が存在した証拠ではないだろうか。

考古学者の手記5

過去に何があったのだろう。

それほど強力な敵が、力がはびこる時代があったのだろうか。

魔物がその時代の名残であるならば

まだ魔物たちの力が退化する程の時は経っていない。

その時代はそれほど古くは無いはずだ。

考古学者の手記6

強すぎる力はその生態系や世界すらも破壊する。

その破壊が起こらないほどの急激な速さで、その進化は起こったのではないだろうか。

爆発的な力の進化。

その進化が起きた時代が過去にあったはずだ。

考古学者の手記7

古代遺跡にある数々の超技術。

それらが鍵となるのではないだろうか。

この霧に包まれたミストガルドにはまだ数多くの未知の古代遺跡が眠っている。

その秘密に辿り着ければ……

帝都特攻

帝国書記官の手記1

大陸を統一して大帝国を築き上げる計画は順調に進んでいる。

人間・エルフ・ノームは秩序のある社会を与えれば発展し続けるだろう。

個々の力では他の亜人に劣っていても組織的な活動をすれば勝てるはずだ。

必要なのは資源と秩序だ。

北国に作られたリンドール貿易都市の政策は成功と言えるだろう。

しかしなぜあれほど大々的にサイキック弾圧を実施するのかは分からないが…

宰相殿には何か考えがあるのだろう。

帝国書記官の手記2

東方の巫女の国は閉鎖的だが自然の実りは豊かで兵も強い。

しかしそれは国の西側だけだ。

国一番の高き山を隔てた東側は自然のまま未踏の土地となっている。

自然を重んじる巫女はその東の土地に人が踏み入ることを禁止している。

空から偵察しても見えないその森の中、おそらくはそこに亜人の拠点がある。

帝国書記官の手記3

南のデビルマウンテンは悪魔の巣窟になっている。

かつては悪魔たちは大陸中を闊歩していたが神々との大きな戦いに敗れた後、悪魔たちは南の険しい山脈に逃げ込んだと伝えられている。

それ以来、悪魔たちは南のデビルマウンテンに引き篭もっている。

険しい山岳のため攻め入るのは難しく、悪魔たちを滅ぼすのは時間がかかるだろう。

入念に準備を進めなければならない。

帝国書記官の手記4

北国は貧しく、大きな戦力はない。

しかし、その気候ゆえに天然の要害となっている。

更に北には氷に覆われた山々が続いており、未踏の領域と言って良いだろう。

そんな土地は放置しておけば良いのだが、悪しき種族がその土地で生き残っている可能性があるという。

そしてまだ荒らされていない古代遺跡が残っているという噂もある。

いずれは制圧しなければならない土地だろう。

まずは土地勘のある北国の民を集めて懐柔することが重要だ。

帝国書記官の手記5

西のダークエルフの森を越えた先には大砂漠が続いている。

その先には巨人の国があると言われている。

しかし砂漠越えは並の生物では不可能だろう。

そのためにゴーレム部隊を結成する計画がある。

それにはまだゴーレムの数が足りない。

大陸を平定して古代遺跡の発掘に力を入れる必要があるだろう。

帝国書記官の手記6

大陸を平定した後はドワーフの地下帝国にも対応しなければならない。

ドワーフたちの坑道は大陸全土に広がり繁栄している。

ドワーフ族は財力も技術力も高く、有事の際には全ての民が戦闘員に変わるとも言われている。

一種族では彼らには勝てないだろう。

しかし、人間・エルフ・ノームの三種族の同盟と、大陸統一による巨大な国力を持ってすれば十分に戦えるだろう。

ドワーフ族なら同盟に加えられる可能性があるため戦力が対等になった時に交渉をするのが良いだろう。

ただしそれにはエルフ族が反対している。

どうして彼らは仲が悪いのだろうか。

帝国書記官の手記7

大陸中央部のミストガルドにはまだ手を出してはならないと言われた。

聞いた話ではそろそろ霧が晴れるという。

しかし霧が晴れたからといって何が起きるのだろうか?

なぜ大陸中央部にそんなに慎重になっているのだろうか。

大陸のほとんどの制圧が見えてきた今、東西南北の遠方に目を向けるべきだろう。

上層部の判断はよくわからない。

森の地下

考古学者の手記1

歴史には時折、恐ろしい力を持ったアンデッドが登場する。

時にはアンデッド軍団を率いて国を襲い、時には病を流行らせ都市を壊滅させる。

そのような力あるアンデッドは総称して『不死者リッチー』と呼ばれる。

リッチーは恐るべき魔法の使い手であり、魔法の実験や研究を行い周囲に数々の疫病を流行らせると言われている。

考古学者の手記2

リッチーは古代の歴史からその活動が記録されており、いつ生まれたのかも不明である。

一説には古代の魔法使いが不死となったアンデッドマンだとか、また、魔王の配下であり魔王復活のために生命の研究を行っている、という説もある。

しかし古代史にはリッチーが複数人同時に登場している記述もある。

このことからリッチーは人工的に造られたものであり、敵地に投入して疫病を流行らせる生物兵器ではないかという説がある。

考古学者の手記3

それは魔造生物の一種であり、他の魔造生物とは異なり人の体を媒体とし、その核に支配された者が不死者リッチーとなる。

それはまず敵地に送られ、それに触れた現地の者がリッチーとなる。リッチーとなった者はその土地の文明や医術を調べて対処出来ない疫病を作り出す。その疫病は止めることが出来ず、人の集落を丸ごと滅ぼす。更にはその死体はアンデッドとなり、その被害は疫病とともに周辺地域まで広がり、恐怖のアンデッド軍団が出来上がる。

考古学者の手記4

この恐るべき被害に当てはまる事例は、歴史上にいくつかみられる。

ある古代遺跡を発見した男が宝を持ち帰ったところ、その町が疫病で滅びアンデッド軍団が出来上がったという。この男の持ち帰った宝にリッチーの核が混ざっており、それに触れてリッチーとなった者が居たのではないか、と。

考古学者の手記5

このような兵器が人の手によって意図的に造られたものだとしたら狂気の沙汰と言うほかないだろう。

リッチーが単発的な存在なのか、組織的な何かに組み込まれたものなのかは分からない。

しかし古代史には魔王とも死神とも呼ばれる存在が無数のリッチーを従えていたという記述もある。

考古学者の手記6

古代史を追う者として私は、戦争の兵器として造られた生物を数多く見つけている。

いや、それは多すぎると言っていいだろう。

世界各地にまことしやかに残されている神話、伝承、古文書の数々……

その多くは、紐解いて行くと同じ事実に辿り着く。

考古学者の手記7

この森の地下にいる機械兵やゴーレムの恐るべき力……

この古代兵器の威力を見れば、過去が平和な世界だったとは到底思えない。

とてつもない超技術の数々を見れば、生物を自由に造り変えることも可能であったと分かってしまう。

その力が戦いの為に使われていた事も……

そしてこれだけの力で戦争が行われれば、結論など見えている。

そう、自滅だ。

考古学者の手記8

私の旅もそろそろ終わりだろう。

超古代技術の魅力に捕われ、真実を追い続けて世界を巡った旅。

そして辿り着いた結論。

この世界に生きる生物は皆、強い。

戦う力を持っている。

これらは古代戦争兵器の名残……

造られた生物兵器。

そう、亜人である、私自身もきっと……

大蛇の洞窟

八岐大蛇伝説1

このような洞窟の先に、山のような大きさの大蛇がいるのだろうか?

その答えはヤマタノオロチの伝承を見るとおぼろげながら見えてくる。

八岐大蛇伝説2

ヤマタノオロチは八つの頭を持つ大蛇である。

その体は山を越える程であり、ドラゴンをひと呑みにする。

人間など蟻を潰すかのように轢き殺す。

ヤマタノオロチは人間を攻撃などしない。

ただ轢くだけだ。

のし掛かる山からは逃げる事も抗うこともできやしないだろう。

八岐大蛇伝説3

ヤマタノオロチがうごめくだけで天が割れるような雷雨が起こり嵐が巻き起こったという。

そしてその体躯は山を跨ぎ、動けば大地が揺れ動く。

存在そのものが天災と言いえるような怪物だ。

八岐大蛇伝説4

ただ、ヤマタノオロチはとてつもない化物だがその時代にはそんな化け物を超える神も居たという。

例えば武神と言われたスサノオ神である。

スサノオ神は大地を切り裂き、山に穴を開けるほどの力があったという。

八岐大蛇伝説5

しかしヤマタノオロチを退治する前に、スサノオ神は西方の英雄に毒矢を受けて倒れてしまった。

そこで残された神々は、この国で最も大きな霊山にヤマタノオロチを封じこめたそうだ。

八岐大蛇伝説6

しかしこの話には疑問がある。

山に封じ込めるとはいったいどういうことなのだろうか。

これには多説あり

実はそれほど大きくなかったのだ、とか。

火山口に落としたのだ、とか。

凍らせて眠らせた後、埋めて山にしたのだ、とか。

その真相はわかっていない。

実際に見に行けば解も得られるだろうが、ヤマタノオロチの元へ通じているというこの洞窟には恐ろしい妖怪が出没する。

八岐大蛇伝説7

仮にヤマタノオロチと戦うならば、どのように戦えばいいのだろうか?

山のように大きな大蛇に踏み潰される。

いや、轢かれると言うべきだろうか。

蛇は大地に身を摩りつけながら押し進む。

蛇の進行上にいる蟻をイメージするならば、のしかかられたあとすり潰すように轢かれていくだろう。

逃げ場の無い洞窟いっぱいに広がる大蛇に轢かれてすり潰されるなど姿を想像すると身震いするものだ。

鳥居

神主の手記1

この山には神々が住んでいたと言われる遺跡がある。

私の一族は神主として代々この土地を守って暮らしてきた。

しかし、それはもう終わりがきた。

神主の手記2

その日は雷雲が立ち込めていた。

そして天を引き裂く轟音と共に稲妻が落ちた。

眩い閃光に視界を奪われ、轟音に耳が聞こえなくなった。

目と耳が閉ざされ、私は身動き一つ取れなくなっていた。


ようやく視界を取り戻した時、私は信じがたいものを見た。

そこには神が現れていた。

神主の手記3

神が現れた。

神々しい光に包まれたその姿は神としか言いようが無い。

私は神の前に平伏した。

神主の手記4

神は言った。

『我、建御雷神。
 祖が星征す力有する唯一神也。
 祖国伏羲奉り我が意背きし罪有。
 大戦負傷癒えし今
 地這う下位神乱す治世に天刑下す
 時来たり。』

神主の手記5

神のその言葉を合図に、天から光と音が降り注いだ。

そして大地は稲妻に焼き尽くされていった。

神主の手記6

神が何を言っているのか分からなかった。

しかし『伏羲』という言葉は聞き取れた。

我らの国の守護神として崇められている神の名だ。

象徴として伝えられているだけではなく、本当に実在する神だということなのだろうか。

神主の手記7

真相は分からない。

しかし一つだけ分かることがある。

我々の国は神の怒りに触れたのだ。

天から雨のごとく稲妻が降り、全てが焼き尽くされていった……

混合型

目次

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ダンジョン内容
竜の谷各ドラゴンとその鱗から作られる装備について
テンプルナイツあるテンプルナイトの独白
それとLv99スキルなどについて
交易商隊ダンジョンに出没する行商人のマニュアル
最後のマニュアルには…
吸血鬼討伐5体のレアモンスターについて
悪魔の指揮官ローズウェルにおける防衛の様子と、最強専用装備について
パズズ討伐戦七章のボス級の敵と関連アイテムについて

竜の谷

冒険者の手記1

ドラゴンは地上最強の生物と言われている。

巨大な体躯に高い知能を持ち、その鱗は攻撃も魔法も弾いてしまう。

かつて多くの者がその牙と爪の前に散っていった。

しかし、それでも冒険者たちは竜へと立ち向かって行く。

ある者は名誉のため、またある者は宝のため。

冒険者の手記2

ドラゴンと戦う際には必ず盾を持って行くべきである。

強力なドラゴンブレスを防ぐ必要があるからだ。

本物の竜たちの吐くブレスは桁違いに強い。

油断して準備を怠れば一息でパーティーが全滅してもおかしくないだろう。

冒険者の手記3

竜の鱗を加工した装備品はとても性能が良い。

その用途や種類は様々だが、どれも一級品である。

鱗を使って武具を強化し、新しい武具を作り……

それらは多くの冒険者が一度は手にしたいと願うものである。

冒険者の手記4

レッドドラゴンの持つ赤竜の鱗からは、赤竜の剣が作られる。

赤く燃えるような紋様の入ったその剣は見る者を魅了する。

芸術品としても価値が高く、滅多な事では市場には出回らない。

故にその剣を求める多くの冒険者は自ら赤竜を狩りに行く。

そのため赤竜の剣を持っているだけで周囲からは竜殺しの冒険者として尊望の目で見られることになる。

冒険者の手記5

アイスドラゴンの持つ氷竜の鱗からは、氷竜の槍が作られる。

その青い槍は見る者の心まで氷らせるような美しさを持つ。

しかし、この槍は決して観賞用の品ではない。

その青い槍につらぬかれた者は心臓を凍らせて絶命する、恐ろしい武器である。

冒険者の手記6

サンダードラゴンの持つ雷竜の鱗からは、雷竜の盾が作られる。

雷竜とは上空から群れで襲いかかり、強力なブレスを吐きつけサンダーボルトを放つ、恐ろしい竜である。

その攻撃を防ぐには、ドラゴンブレスを防ぎ、更に魔法に強くサンダーボルトを防ぐ効果がある雷竜の盾が一番である。

しかし、その盾を手に入れるには雷竜を倒さなければならない、というジレンマに多くの冒険者が心を悩ませている。

冒険者の手記7

グリーンドラゴンの持つ緑竜の鱗からは緑竜の鎧が作られる。

洞窟に好んで住むグリーンドラゴンは、かつては地中の王と呼ばれていた。

しかしドワーフ族との戦いに破れ、ドワーフたちに支配されるようになった。

今ではドワーフの財宝を守る番人となっている。

グリーンドラゴンは元々宝を集める性質があり、その境遇には割と満足しているという話である。

冒険者の手記8

ブラックドラゴンの持つ黒竜の鱗からは、黒竜の弓が作られる。

しかしその弓を見た者はほとんど居ない。

黒竜は黒雲山に住んでいる竜である。

黒竜山は流刑地として扱われており、毎年数多くの罪人が黒竜山に捨てられている。

それは黒竜たちが周辺の国を襲わないように生け贄として捧げられているという話だ。

そうでもしなければ群れた黒竜を防ぐ手段は国にもないのである。

黒竜の弓が見られないのは、黒雲山に足を踏み入れて帰ってきた者がほとんど居ないからである。

テンプルナイツ

騎士の手記1

帝国軍の戦闘技術は防御に優れている。

大盾を使った防御技術は接近戦で敵の攻撃を封じ込めるだろう。

その技を身につけたエリート兵インペリアルガードだ。

騎士の手記2

リチャード隊長は剣の達人だ。

様々な接近戦のスキルを身につけておられる。

中でも剣で相手の攻撃を受け止めてしまう『パリィ』という技は強力だ。

隊長に素手で挑むことは無茶を通り越して愚かだろうな。

騎士の手記3

各種族にはLv99に至れば扱えるスキルがある。

そこまで到達すれば誰でも人の上に立つ者の風格が備わるだろうな。

それが例え人間でも…

騎士の手記4

モンスターには称号付きのレベルの高い個体もいる。

そういうモンスターにはLv99スキルを使えるようになるものがいるらしい。

油断していると突然のスキル攻撃を食らうことになる。

騎士の手記5

Lv100以上で使えるようになるスキルがあるらしい。

しかし到達した者がほとんどいないためその詳細は不明だ。

おそらく図鑑や辞典にも載っていないだろう。

騎士の手記6

種族ごとに到達できるレベルの限界値は違うらしい。

ほとんどの種族がLv130前後が限界だという噂を聞く。

中にはそれ以上に到達できる種族がいるそうだが…

たどり着いた者がほとんど居ないため定かではない。

騎士の手記7

リチャード隊長ならきっと到達できるだろう。

どんな敵にだって負けやしない。

騎士の手記8

人間は個々の力は弱い。

ならばチームで戦えば良い。

我らテンプルナイツは統率力なら負けやしない。

どんな強敵が相手でも戦ってみせる。

我々テンプルナイツは人間最強の戦力だ。

騎士の手記9

我々は知っている。

人間を滅ぼそうとする悪魔が居ることを。

我らテンプルナイツはその悪魔に対抗するために居る。

だから我々は戦う力を鍛え上げた。

常に己の限界に挑戦し続けた。

悪魔が相手でも闘いぬくために。

人々を守るために。

騎士の手記10

それが何故だ。

何故、この力の矛先が民衆なんだ…?

悪魔に敗れるならば己の力不足と分かるから納得できる。

だが、鍛え上げたこの力を民にぶつけてどうする!

我らの力を証明するならば攻め寄せる民衆を薙ぎ倒して生き残ることだ。

でも、その先に何があるというのか…

誰でもいい、どうか答えをくれ。

我らテンプルナイツの力は、人間の敵には届いたのか…?

交易商隊

行商人マニュアル1

行商人は強くなければならない!

魔物ひしめく迷宮に潜る冒険者たちに物を売りつけるためにはそこまで行かなければならない。

苦労して迷宮に潜り物資も乏しくなった冒険者たちにこそ高く物を売りつけることが出来る。

我々は冒険者から金を巻き上げるためなら何処へでも行くのだ!

行商人マニュアル2

行商人はしたたかでなくてはならない!

冒険者と交渉して値を釣り上げるには駆け引きが出来なければならない。

それは特殊な称号の付いたものであると、めったに手にはいらないレアアイテムであると。

たとえそれがそこらに落ちていたガラクタであってもだ!

行商人マニュアル3

行商人は神出鬼没でなければならない!

いつ何処に現れるか予測されてはいけない。

以前に会った行商人と同じなのか区別出来ない姿で現れなければならない。

なぜならば返品を受け付けないためだ!

行商人マニュアル4

これまで何度も悪徳商人と蔑まれてきた。

暴利だ詐欺だとあらぬ限りの罵倒を聞いた。

しかしそれがどんなに汚いお金であろうと私には金が必要なのだ。

故郷と家族を守るために…

行商人マニュアル5

などと言っておけば冒険者は騙されて買っていくのだ!









































【行商人の秘密のアイテム入手術】
・運勢10、称号99倍でレアアイテムに必ず称号がつく。
・運勢30、称号69倍でレアアイテムに必ず称号がつく。
・称号付与の倍率は、称号の質には一切関係がない。

吸血鬼討伐

アイテム物語1

この世には不死身五種と呼ばれる特殊な生態を持つ存在が居る。

人形、蟻人間、巨人三変種。

どれも遭遇すること自体が稀で実在を疑問視されているが時代を越えてその目撃報告は語り継がれている。

アイテム物語2

『人形』は子供のおもちゃに命を吹き込まれたかのような不細工な姿をしている。

そしてただ踊り続けているだけだという。

しかし驚くべきことにその人形にはいかなる攻撃も通用しないという。

人形に遭遇した者は無意味な攻撃を繰り返してやがて疲れて立ち去るのだ。

それは古代に作られた壊れたおもちゃだろうと言われている。

しかし交渉を試みた冒険者の逸話がある。

道に迷って死を覚悟した冒険者は踊り続ける人形に出会った。

話しかけたが返答は無く人形は踊るように歩き去ってしまった。

しかしその後をつけた冒険者はやがて迷子から脱することが出来たという。

ただの偶然かあるいは人形に意志があったのかは謎のままである。

アイテム物語3

『巨人三変種』とはその能力から三種類に分けられた巨人のことを指す。

・魔法しか効かない巨人
・攻撃しか効かない巨人
・あらゆる攻撃に強い巨人

それらは単独で行動し、出現場所もよく分からないという謎の生態をもっている。

その報告は様々であり、廃墟となった街を裸でうろついていた、極寒の氷山を裸で徘徊していた、古代遺跡を裸で徘徊していた、などその目的や行動原理は不明のままである。

交渉や対話ができたという報告もあるため意志を持つと思われるが、大抵はその後は戦いになるという。

しかしあまり積極的な攻撃を仕掛けてくる様子でもなく、攻撃を迎え撃つことを目的としているような行動を取る。

どれも尋常ではない生命力を持ち、倒したという話は聞こえて来ない。

巨人族が謎の種族であると言われる理由には、この三変種の存在も一役買っているだろう。

アイテム物語4

『蟻人間』とは蟻と人間が混合したような姿を持つ存在である。

一見するとモンスターに見えるが、知性的で非好戦的な傾向がある。

地下洞窟や古代遺跡など暗く狭い迷宮内で遭遇したという報告が多い。

遭遇するとモンスターと間違えて攻撃を仕掛ける冒険者が多いが、その攻撃は何も通用しないという。

特殊な結界の技を持っておりあらゆる攻撃を防いでしまう。

無数の手足で攻撃をしかけてくることがあるが害意を持った攻撃はしてこないという。

遥かな古代から生き続けていると噂されているが生態は全くの謎のままである。

アイテム物語5

ある男が蟻人間の結界の技術を求めて教えを請うたという話がある。

その男は言葉が通用しない中、不思議な攻撃で何度も眠らされながらも幾度も追いかけて必死の交渉を続けた。

その結果、蟻人間から物を譲り受けたという。

しかしそれは只の蜂蜜であった。

男の知人たちはそれを聞いて笑った。

「蟻人間はしつこいお前にお土産を渡して追い払ったのだ」と。

男はひどく落胆した。

しかし諦めきれなかった男は何か意味があるかもしれないとその蜂蜜を研究した。

そしてその蜂蜜はとても栄養のあるものであることがわかった。

そんなことは求めていない男は落胆したが更に粘り強く研究を続けた。

そして蜂蜜を使って熟成させた果実を作り上げることに成功した。

その果実は生命力を高める効果があり『生命の果実』と呼ばれた。

悪魔の指揮官

傭兵の手記1

我らの町ローズウェルは傭兵によって守られている。

腕利きの傭兵はかなりの数が居たが帝国の大陸統一の戦争と崩壊により大分減ってしまっていた。

そこへ竜の大襲撃が始まり、町は危機に陥った。

傭兵の手記2

その時は冒険者ギルドの冒険者が助けに来てくれておかげでなんとか凌ぐことが出来た。

しかし竜の襲撃はまだまだ続いている。

そんな時、帝都陥落の報が届いた。

傭兵の手記3

あの帝都が落ちるとは、皆、衝撃を受けていた。

帝都から多くの人々が逃げて来るのを見ていよいよ我々の町も時間の問題ではないかと実感が沸いた。

しかし怪我の功名とでも言うのか好転する機会が訪れた。

逃げてくる者の中には優秀な傭兵も居たのだ。

その中にはノーム族やエルフ族の戦士も含まれていた。

傭兵の手記4

彼らは皆、町を守るための協力を約束してくれた。

元々傭兵には亜人も多く、ローズウェルの町は多種多様な人々で溢れていた。

もう逃げ場はない、最後の砦としてローズウェルの町の防衛のため皆が手を取り合った。

傭兵の手記5

エルフ族は弓と回復魔法に優れており、ノーム族は魔法全般に優れている。

個人では突破力に欠けても集団で戦う防衛戦では大変な力となった。

彼らの参戦により竜の襲撃による被害は目覚ましく減ることになった。

お互いの長所を活かして協力し合うことで我々は生き残る道を得たのだ。

傭兵の手記6

共に戦うことになって初めて知ったのだがノーム族の中にはひときわ優秀な者も居た。

ノーム族には『森羅万象』と呼ばれる奥義が伝わっており、その開眼を果たした者は目を見張る力を持っていた。

僧侶でありながら前衛に立って敵を打ち倒す者、戦士でありながら僧侶のような保護や祝福の力を持つ者、見たこともない強力な物理結界を作り出す者…

彼らは部族の守り手として里を出ることはない高位の者たちであるという。

森を追い立てられた今の状況でなければ決して人目につくことは無かったのだろう。

傭兵の手記7

エルフ族の中にもそのような強者が居た。

長き時を生きて知においても武においても優れた領域に至った部族の長たちだ。

エルフ族は武力において劣っていると思われていたがとんでもない。

並の剣士や弓手などでは歯が立たない実力者がエルフの里には居たのだ。

やはり時の力は偉大なのだろう。

修練に掛けた長き時を讃え、もはや滅びることはないであろうとその力を敬われ、その域に至ったエルフは『千古不滅』と呼ばれていた。

傭兵の手記8

傭兵仲間の間でもこれまでそういった噂話を聞くこともあったがどれも信用しがたいものであった。

今の様な特殊な協力関係を持つ機会がなければ信じることはできなかっただろう。

他にも種族の頂点に至った者たちが特殊能力に開眼したという噂は色々とある。

ダイヤモンドよりも硬いと言われたドワーフ王の話。

騎士団長の剣聖より手数を魅せて宮廷魔術師より魔法を上手く操ったというピグミーチャムの手品師の話。

怪力だけではなく魔法も操ったという悪鬼の話。

傭兵の手記9

では人間にはそういった特殊能力は無いのかというと目立った話はない。

幾多の戦場を生き残った『百戦錬磨』の実力者の話は聞くが特殊な力を得るという話は聞こえてこない。

サイキックなどは魔界の門を開いて悪魔の力を身に着けたとか、大地に縛られる力から開放されて空を飛んだとか、拳から光を放ち徒手空拳で悪魔をなぎ倒したとか、訳の分からない話も出てくる。

人間はただ修練あるのみ、と言ったところなのだろうか。

取り柄のない人間はいつか亜人に滅ぼされてしまうかもしれない。

パズズ討伐戦

冒険者の手記1

・旅人を惑わす謎かけの魔物
獅子の身体に人の顔を持ち、冒険者の前に現れては謎かけをして去るという不思議な魔獣である。謎かけに間違えると嘲笑されるが精神的な苦痛を負う他に害をなすことはない。
魔物と思って襲いかかる冒険者も居るがほとんどは触れることも出来ずに逃げられてしまう。稀に戦闘になった冒険者の話によると高位の魔法を自在に使いこなす高レベルの魔獣であり、一体だけでも危険な相手であるという。謎かけに答えるとアイテムをくれることもあるため手は出さないほうが良いと冒険者たちの間では言われている。
ピラミッドという四角錐の物体を守っているというとても怪しい話を、怪しい盾を持った冒険者が言っていたという。

冒険者の手記2

・魅了する悪魔
女の姿をしており冒険者たちを誘惑する危険な魔物である。この悪魔に魅了されて数多くの貢物をささげてしまう冒険者の話は後を絶たない。それが故に男女混合のパーティーが内部崩壊をする話もよく聞く。基本的に戦いになることはないが稀に機嫌を損ねて攻撃されることがある。見かけたら魅了される前に危険な魔物として攻撃することが推奨されている。捕獲が目的か人間関係を破綻された恨みかこの魔物を執念を持って追いかける冒険者も多い。すぐに逃げ出す魔物だが実はかなりの高レベルの魔物であることが分かっている。
人を惑わす特殊な香水を持っており、その香水を目当てに追う者も居る。鞭を使うことで有名な女冒険者がこの香水に多額の報酬をかけていたことがあるが使用用途は不明である。

冒険者の手記3

・恐怖の象徴たる亡霊
自由に実体化出来る高位のゴーストであり、第一級の危険モンスターとされている。物理的な攻撃は殆ど意味をなさず、魔法は有効だが半端な威力では倒せない。例え魔法で吹き飛ばしてもすぐまた実体化するため倒すことが出来ない魔物である。極稀に頭蓋骨(しゃれこうべ)に実体化したときに自分が死んでいることに気づいて納得し、そのまま滅びることがあるという。その遺骨は強力な魔力を帯びており、特殊な加工に耐える貴重な素材と言われている。この遺骨からアンデッドを浄化する聖なる力を持った槍が生まれたという言い伝えがある。

冒険者の手記4

・首なしの騎士
堂々たる騎士の姿をしているが首から上が無く、悪魔の軍勢を率いて現れるという伝説の魔物である。現れたら国が滅ぶと言われており、その姿を見た者は死を意識せざるを得ないという。その生体はほとんど謎に包まれていおり、かつての南のデビルマウンテンから大量の悪魔が降りてきた時の戦争において、その姿を遠目に見て全力で逃げた者の言葉だけが残っている。騎士の鎧に身を包んでおり、その胸に勲章を付けている。勲章を得るような騎士がアンデッド化した存在なのか、それとも悪魔の世界にも勲章を与えるような文化があるのかは不明である。その勲章を調べれば分かることもあるかもしれないが、首なしの騎士に近づくことは自殺を意味している。
悪魔の将軍としてよく物語で語られる存在でもある。物語の中には悪魔と天使の両方を討ち倒して魔人となった男の伝説があり、悪魔の代表格としてこの首なしの騎士を倒して勲章を奪い、天使の将軍から剣を奪ったという。

冒険者の手記5

・死の灰を生む古代兵器
古代遺跡の中には恐るべき武装をしたゴーレムが居るという噂がある。そのゴーレムは恐ろしい威力の遠隔攻撃を放ち、パーティ全員を丸ごと灰に変えてしまうという。古代遺跡を巡る者たちに語りつがれる伝説の一つである。このゴーレムが作り出した灰には何かの成分が混ざるのか呪われた性質を持つと言われている。それは持っているだけで死に至る。その呪いは他の物にも移り、生物に与えると変異する。など様々な怪しげな噂がある。死の灰などとも言われており、ある伝説の格闘家はこの死の灰と生命力の高まる果実とを混ぜあわせたドリンクを飲んでいたという。その格闘家は相手の必殺技をことごとく跳ね返す無類の力を誇っていたが突然に血を吐いて死んだという、よく語られるお伽話がある。

冒険者の手記6

・遺跡を守護する機械兵
古代遺跡には遺跡を守る機械兵が居ることがある。その種類は様々だが中には非常に強力な機械兵がいるという。サソリのような多足の姿をしており動きが早く複数の腕で同時に攻撃してくる、そしてその装甲は攻撃も魔法も通用しないという。遺跡荒らしの間では出会ったら終わりと語られている遺跡伝説の一つである。その機械兵器に使われている古代の技術を盗もうと考えた王が大軍を送り込んだ逸話がある。その軍は一体の機械兵器を相手に返り討ちにあい,命からがら逃げ帰ったという。その時に機械兵器の部品の一部分を奪ったとして王に献上されている。それは敵を焼きつくす謎の兵器でもなく、強固な装甲でもなく、紐状の物であったという。見た目からして意味の分からない紐一つを手に入れただけに終わった王は目に見えて落胆した。そしてこの時の軍の被害が元で後の戦争に敗れて国まで失ったという。またこの紐に興味を持った東方の技師がおり、東方の将軍が使っている鎧を更に強化できると提案したことがあったが、支配者たる女王のお告げにより「人が持つに過ぎたる技術」としてその技師は投獄されてしまったという逸話がある。

冒険者の手記7

・#の翼
#########。#####鬼丸###、#####。#####魔人############刀。

塗りつぶされていて読めない…

冒険者の手記8

・要塞の欠片
ある冒険者が秘境から持ち帰った「要塞の破片」というものがある。その冒険者は道に迷った末に未踏の古代遺跡を発見した。その遺跡は戦争に使われる要塞にように見えたという。そこで付近にあった欠片を一つ持ち帰った。その欠片は非常に固くて軽く、防具に最適であった。冒険者はその欠片を効果的に使う法法を考えた末、腕につけられる盾を作った。普通の金属では重くて扱えないところだがその欠片の強度と軽さによりそれは十分に実用できるものであった。小手と盾の両方の性質を備えたそれはアームシールドと呼ばれた。この冒険者の唯一無二の装備の噂を聞き、多くの者が要塞の欠片を得ようとしたが、当の冒険者も含めてその要塞には二度と辿りつけなかったという。
要塞の欠片に興味を持ったある賢者がその冒険者の装備に使われた欠片を調べた所、それは建物の破片ではなく生物の体の一部、特にドラゴンの鱗に似ていると言った。しかしその言葉は他の者に受け入れられなかった。なぜならばもしそれがドラゴンの鱗であるならば、そのドラゴンはとてつもなく大きくて硬い、要塞のごとき存在という事になるからだ。そんなドラゴンがいるわけがない、人々はそう言って賢者の言葉は忘れ去られた。

冒険者の手記9

・霧に浮かぶシルエット
霧の中に浮かぶ幻を見たことがあるだろうか。未知の土地へと足を踏み込む冒険者ならば幻覚の類はよく見るものである。それは隠された遺跡の防衛機能であったり、獲物を狩る魔物の技であったり、複雑な地形が生み出す自然現象であったり…。その中でも霧の中に巨大な魔物の姿が浮かんだ時は注意が必要である。霧の中に魔物の姿を見たら冒険者は観察するために動きを止めるだろう。それはどんな魔物なのか。まだこちらに気づいていないのか。奇襲を仕掛けるか。それとも気づかれないうちに逃げるか。しかしその時点で既に魔物の術中にはまっているのだ。動きを止めた冒険者の背後にはもう魔物が忍び寄っている。この霧の幻を見せる魔物に多くのパーティが壊滅させられているが中には一矢報いた者も居る。その時に不思議な雫(しずく)を手に入れたという。その雫は周囲に霧を発生させる効果があり、霧に幻を見せる仕組みではないかと言われている。また、この幻に似た現象を起こす伝説の刀がある。ある人斬りが持っていた刀でありそれは幻の斬撃を放つことができる恐ろしいものであったという。この二つに何か関係があるのかは定かではないがその刀の刀身は常に結露していたと言われている。

冒険者の手記10

・吸血鬼の牙
吸血鬼は恐ろしい怪力を持ち武器を必要としていない。そしてその牙は鋼鉄の鎧だろうと簡単に穴を穿つ。ある時、一人の鍛冶師は吸血鬼の牙を使えば強力な武器を作れるのではないかと考えた。しかし幾ら巨大な牙と言っても刃物になるほどの大きさではない。それでも諦めきれなかった鍛冶師は、強力な吸血鬼ほど大きな牙を持つと言われているため、もしかしたらナイフくらいなら作れるかもしれない。そう仲間に告げて伝説の吸血鬼『暗黒卿』を探して旅だった。それ以降、その鍛冶師を見た者は居ない。

冒険者の手記11

・凍った髯
ドワーフは寒い地方を嫌う、という噂話がある。その理由としてよく言われることに「髯が凍るから嫌だ!」というものがある。その真相は定かではないがドワーフたちには立派なアゴ髭をもつ者が多い。全身毛むくじゃらとよく評されるドワーフたちは寒冷地方にこそ適性があると言う学者も居るため、寒さを嫌うというのは只のジョークではないかと言われている。他にも「おお、寒いから酒を飲まなければ!」という常套句もあるためもっぱら酒を呑むための口実であろうと捉えられている。また凍った髯に関わる話としては他にも氷山で魔物に襲われたドワーフの話がある。武器が壊れて丸腰になってしまったドワーフは凍ったアゴ髭を鈍器にして魔物を倒したという。その話が出た時は常に「そんなことをしたらアゴが壊れて酒が飲めなくなるわ!」と言って酒を呑むのが定番の流れであるため只の口実であろうと言われている。中には凍ったアゴ髭を振るえばブリザードが巻き起こり敵を殲滅したというホラ話にまで発展することもある。

冒険者の手記12

・魔界の貴族
デーモン族と呼ばれる魔物たちが居る。彼らの社会は支配階級があり爵位を持つデーモンが居ると言われている。デーモン族は古代遺跡で極稀にその存在を示す事柄が見つかるだけで現在ではもう滅んだ種族だと言われている。しかし一部の研究者は南のデビルマウンテンの奥地にはデーモンたちの社会が形成されていると言う者も居る。優れた冒険者であろうと足を踏み入れることも出来ぬ土地であるため噂になるだけで真相は定かではない。
デーモン族の支配階級にある者は爵位の証明書を持っているという。その証明書は只の紙ではなく古代文明の技術により作られた希少な貴金属であると言われており、下級のデーモンを従える証となると言う。どこからそのような話が出たのか出典は不明であるが、宝石の力で下級デーモンを従えた黒魔道士の伝説や悪魔の王が莫大な財宝を持っているというような噂話から生まれたのではないかとされている。また悪魔の王から証を盗みとったこそ泥が、その貴金属を加工して作った禍々しい鎧を着て活躍するという『デビル小僧』という物語が人気である。

冒険者の手記13

・殺戮##
############、####ジャック#####、################、###########ナイフ。

塗りつぶされていて読めない…

冒険者の手記14

・古代紋章
古代超文明の時代に作られた紋章が稀に古代遺跡で見つかることがある。それがどんな意味を示す紋章なのかは不明だがその印を見るだけで逃げ出す魔物も居る。特に長い時を生きているであろう魔物ほどその印に動揺を見せるという。特殊な金属で作られており加工すると虹色の光を放ったという言い伝えがある。稀に古代遺跡で見つかるだけという希少なもの故、詳細はほとんど分かっていない。ある歴史学者はその紋章は古代超文明の時代よりも更に古き時代の教典に載っているものであり、その一部が古代超文明の時代に復活したのではないかという。

冒険者の手記15

高潔なる血
竜の血には特別な力があると言われている。特にその誇りを汚されぬまま長き時を生きたドラゴンの血には特別な魔力が宿っているという。その血は鉱物の純度を高める不思議な効果があり、宝石を作り出せる錬金術の至高の素材として語り継がれている。しかしそれは文献に記されるだけであり実際に成し遂げたという話は聞こえてこない。ドラゴンの血は得ることすら困難であるのに、ましてや年を得た成竜の血など伝説の中でしか聞かない代物であるからだ。故にそれは本当のことか疑わしい話であり、一部の熱狂的な錬金術士しか信じていない話である。

冒険者の手記16

・悪魔の###
悪魔#########、#################、魔王#################、魔王########杖。

塗りつぶされていて読めない…

冒険者の手記17

・冥###
############、######リッチ############、#########l##。

塗りつぶされていて読めない…

冒険者の手記18

・大地###
昔、魔王アーリマと呼ばれる恐ろしい魔物に脅かされた国があった。その様を見るに見かねて一人の獣人が魔王に戦いを挑んだ。その獣人の名はガルドラといった。
ガルドラは激闘の末に魔王アーリマに勝利した。しかし魔王を引き裂いたガルドラの爪はその血により呪われてしまった。ガルドラの爪は禍々しい色になり次第に両の腕まで黒く侵食していった。両腕と爪が禍々しい姿となったガルドラはまるで魔王アーリマと同じような姿になっていた。
魔王を倒して帰ったガルドラであったがその姿から人々に恐れられ疎まれた。最後には魔王が成りすましていると疑われ、守ったはずの人々の手により追放されてしまった。

流浪の中でガルドラは一人の賢者に出会った。全身が白いその賢者はあらゆることを知っていた。ガルドラは己の爪を治す方法を尋ねると賢者は答えた。

「地を囲う山に竜穴あり。最奥の岩にこう叫べ『継ぐ者は現れる!』さすれば清めの滝流れん。」

ガルドラは賢者の言葉を信じて地を囲う山の竜穴を探した。そして5年の月日を掛けてついにそれらしき穴を見つけた。そこには恐ろしきドラゴンが住んでいた。ガルドラは命がけで竜の牙と爪をかわして穴の奥へ辿り着いた。竜穴の奥には岩壁からせり出す巨大な岩があった。ガルドラは賢者に言われたとおりに叫んだ。

『継ぐ者は現れる!』

そのまましばらくの時間を待ったが何も起こらなかった。ガルドラはもう一度叫んだ。

『継ぐ者は現れる!』

しかし何も起こらなかった。焦ったガルドラは必死に叫んだ。

『白い賢者に言われたのだ!こう叫べと!お願いだ、答えてくれ!』

ガルドラは必死に叫んだ。

『継ぐ者は現れる!』

ガルドラはその言葉の意味はわからなかった。滝が流れるという意味もわからなかった。ただ白い賢者の言葉にすがりここまで来たのであった。

その時、大地の揺れを感じた。

地震が起きたのかと思い周囲を見回した。ここは洞窟であり落石や埋没の危険がある。しかし揺れ方は不自然であり地震とは違うと感じた。

そして次の瞬間、大岩から水が溢れ出るのが見えた。それは滝のように流れ落ちてきた。ガルドラは慌てて駆け寄り、その水を腕で受け止めた。すると魔王の血を洗い流すかのように両腕の色が元に戻っていった。

白い賢者の言葉は本当であった。ガルドラは涙を流して喜んだ。

その時、ガルドラは自らの頬を流れ落ちる涙を見て、ふと岩から流れ落ちる滝に似ていると感じた。大岩を見上げると岩から溢れ出る水が静かに流れ続けていた。

その滝で身を清めたガルドラの体は元に戻っただけではなかった。その身は鋼のように固くなり、竜をも引き裂く力を手に入れていた。その後、ガルドラは弱き者を守るために戦い続け、その武勇伝は『獣王ガルドラ伝』として語り継がれている。