DQ5(SFC版)
発売から約10年経った2002年5月、私設のゲーム解析サイト「Index of /~s-endo/」のオーナーによる解析によって発見された伝説の裏技。
ただし技名の「ひとしこのみ」はそのサイトオーナーではなく、別の私設DQ攻略・解析サイトのオーナーが名付けたものである。
(現在は両サイトとも閉鎖)
発生条件
【主人公(DQ5)】の【どうぐ】欄を以下の状態にすること。一つでも順番が変わってはいけない。
何も持っていない主人公に仲間が順番にアイテムを渡していくのでもいいし、主人公1人に全部背負わせてから1人でソートするのでも構わない。
なお、主人公にとってこれらのアイテムはひのきのぼう以外装備できないので、丸腰も同然の状態になる。
仮に装備できたにしても、本作以降は装備したものがアイテム欄の上にソートされる仕様があり、それに阻まれていたが。
必要なアイテムの中で一番入手が遅いのは【グランバニア】にあるしあわせのぼうし。
つまり、青年時代前半にグランバニアに到着した時点が、最速で裏技が実行できるタイミングである。
ただし、青年時代前半にはひのきのぼう・とがったホネの2つを取り扱うお店やドロップする敵が存在しないため、幼年時代終了時に所持していなかった場合は青年時代後半の「過去の【サンタローズ】に飛ぶイベント」までお預けとなる。
最速タイミングで裏技を実行したいのであれば、攻略上まるで役に立たない邪魔アイテムを2つ持って幼年時代を過ごすことになってしまうが仕方がない。【預かり所】が解禁されるまで我慢しよう。
効果
上記の発生条件を満たした状態で戦闘すると以下の効果がある。
- その戦闘で仲間になりうるモンスターは必ず起き上がる
- 味方全員の単体通常攻撃がすべて必中・回避不能の会心の一撃になる
前者において勘違いしてはいけないのが、必ず仲間になるのはあくまでも「わずかでも成功確率がある場合」だけ。
「主人公が必要Lvを満たす・【大神殿】【エビルマウンテン】での戦闘およびイベント戦闘ではない・【モンスターじいさん】の預かり枠が満員でない・複数の候補がいたら最後に倒した相手が対象」という原則は何一つ変わっていない。
後者は【パルプンテ】の「力がみなぎる」と同じで、必中なので【幻惑】も効かず、回避不能なので相手の【回避率】も無視する、非常に強力なものとなっている。
また、必中&必ず会心はあくまでも単体対象の普通の武器の通常攻撃に限定される。
- 【複数攻撃武器】、【どくばり】・【デーモンスピア】、【ねむりこうげき】・【どくこうげき】・【まひこうげき】といった会心の一撃が元々出ない攻撃ではダメ。
- どくばり・デーモンスピアは必中、回避不能だが、それはこの武器が元々そうであるだけ。
- 【さまようよろい】を装備したキャラが会心の一撃の行動(必ず会心ではない)を選択した場合や、【まじんのかなづち】を装備しての会心の一撃も、普通の武器による会心の一撃の判定ではないため、対応していない。
注意点
この裏技の効果が発揮されるのは上記の場合のみで、それ以外の確率には何の関係も無い。
状態異常の命中率や被弾率、アイテムドロップの確率もそのまま。
ほとんどの人にとって重要な戦力であろう主人公が実質的な丸腰状態になるので、使い方を間違えてこの裏技を過信しすぎると、逆にピンチになることさえある。
隊列管理は各場面できちんと行い、必要に応じて主人公を馬車に入れるなど、デメリットを乗り越えるために必要な対策は案外多い。
ひとしこのみに当てはまるアイテムは基本的にガラクタばかりだが、しあわせのぼうし・みかわしのふく辺りは比較的有用な装備。
主人公に有用な装備を献上したせいで装備可能者が戦力にならなくなってしまった……なんてことがないように、替えの装備を忘れないようにしたい。
原因
開発側から公式な見解は出されていないため、どういう意図で組み込まれた物なのかは不明。
戦闘終了後の仲間モンスター加入判定のプログラムで、わざわざ主人公の所持アイテムを1つ1つ読み込んで該当アイテムと一致するか確認する処理が行われているため、少なくともバグや偶然の産物ではないだろう。
発生条件があまりにも特殊なことから、デバッグのために仕込んでいたプログラムが販売仕様でも消されず残っていたと推測されることが多い。
デバッグ目的ならば「戦闘終了時の処理を確かめるために会心の一撃を確実に出して戦闘を早期に終わらせる」「仲間モンスターの仕様をチェックするために確実に加入するようにする」はどちらも時短のために有用な効果である。
「なぜこれほどまでに都合のいいプログラムをわざわざ残したのか」という話になるが、「消し忘れ」を除外すれば「消すことによってデータの配列が乱れ、新たなバグが発生する危険性があるから」と思われる。
容量や普通のプレイに影響しなければ、こうしたデバッグ仕様をわざわざ消さずに製品化する事は珍しくない。
実際このプログラムは発売当初ではなく数年経ってから解析によってようやく発覚したものであり、「普通のプレイに影響は無い」という判断ならば正しかったと言えるだろう。
【没モンスター】などでもよく見られる話である。
余談
この裏技の名前の由来は、前述のとおり
ひ | ひのきのぼう |
---|---|
と | とがったホネ |
し | しあわせのぼうし |
こ | こんぼう |
の | のこぎりがたな |
み | みかわしのふく |
と、6つのアイテムの頭文字を並べたものなのだが、実はこの裏技の名前を冠する仲間モンスターが存在している。
【スライムベホマズン】の「ひとし」と【ミニデーモン】の「このみ」が該当する。
しかも、どちらも4匹目の名前且つSFC版DQ5でのみ使われている名前である。
スタッフロールでは、プログラマーのHITOSHI OHORI(大堀仁司)という名前が確認できる。
他にHITOSHIという名前の人物は確認できないため、彼が「ひとし」の由来と考えて良いだろう。
ただ、KONOMIという名前はスタッフロールでは確認できない。
このスタッフの「好み」で入れた効果という意味か、はたまた好きな芸能人の名前が「このみ」なのだろうか?
ちなみに大堀(現:竹内)仁司は当時【チュンソフト】でプログラマーとして活躍しており、チュンソフト退職後はさまざまな会社でプログラマーやサウンドプログラマーとして活躍している。スクウェアに在籍していたこともあり(キングダムハーツのサウンドプログラムなど)、【エニックス】と合併し【スクウェア・エニックス】が誕生したときにも所属していた模様。また、サックスやオーボエ奏者としても活躍し、キングダムハーツなどのBGMにおいて演奏している。