【複数攻撃武器】

Last-modified: 2024-02-12 (月) 02:55:56

概要

DQ5で初めて登場。【武器】の内、通常攻撃で、敵【グループ】や敵全体を一度に攻撃するもの。後者は「全体攻撃武器」と呼ばれることも。
なお厳密にいうとDQ2初登場の【はやぶさのけん】も敵2体を攻撃できることはあるが、あちらは複数攻撃武器であり、「2回攻撃したら結果的にそれぞれ別の敵に当たった」もの。最初から複数の敵を攻撃するよう設計されている武器ではない点が異なる。
 
DQ1~DQ4では一部の例外を除き、複数攻撃は呪文攻撃や武器の道具使用などしかなかったが、この複数攻撃武器によってお手軽かつノーリスクで敵を一掃できるようになった。
戦闘のテンポを早くするなどの恩恵もあるが、【呪文】の価値の相対的低下(同時期に出た【特技】などでさらに拍車がかかった)を招いてしまったという負の側面もある。
 
グループ毎に攻撃できるのはムチ、全体を攻撃できるのはブーメランなどの系統。
共通するのは後に攻撃を受けるモンスターほど被ダメージが低くなるため、敵集団を確実に殲滅できるわけではない。
しかし、通常攻撃で多くの敵を攻撃できるというのはそれだけで破格の性能であり、その合計ダメージは同時期に使える攻撃呪文と同等になってしまうことも多い。通常攻撃なのに。
複数人で複数攻撃武器を使ったり、単体攻撃武器と連携すればもっと強力になる。
呪文特技とは異なり、【MP】を消費せず、パーティの消耗を抑えられるのも利点。
攻撃を回避し易い敵に対しては効果が薄くなることは忘れずに。
また、ダメージが減衰していく仕様上、メタル系のようなダメージが通らない(1か0ダメージ)敵に対しては最初の1匹以外は必ずミスになる。
 
バランス上の都合か【ちからため】系の効果は最初の1匹のみ。
【バイキルト】も、【攻撃力】自体が増加するSFC版DQ5とDQ9以降の作品以外は最初の1匹のみとなっている。
【トルネコの特殊行動】「つまづく」で出る場合(単体に会心)を除き、長らく【会心の一撃】は発生しなかったが、DQ9からはムチやブーメランでも会心が出るようになった。
今のところ、通常攻撃で複数攻撃ができるというのは味方サイドのみの特権であり、敵側はたとえ【ムチおとこ】【ネクロバルサ】のようにムチを持っていようと、通常攻撃が複数人に当たることはない。
 
なお、ムチもブーメランも多くのRPG・SRPG作品で登場している武器種ではあるが、これらに複数攻撃特性を持たせているのは実はドラクエ以外ではあまり見られないレアな設定。
実際問題として、鞭もブーメランも現実世界では単体への攻撃を想定した武器である。
ドラクエに慣れていると違和感を覚え難いが、鞭を振り回して複数攻撃ができるなら、槍などの柄の長い武器なら同じことができるはずなので、冷静に考えればおかしな設定である。
実際、DQ8以降では【なぎはらい】が槍スキルとして登場しており、なおさら素で複数攻撃ができる鞭との差別化の根拠が怪しくなっている。
ちなみに、【堀井雄二】が監修を務め、【チュンソフト】が開発に携わったファミコンジャンプIIでは、登場キャラクターの一人であるターちゃんの武器ブーメランに貫通特性があり、攻撃範囲内に複数の敵がいれば同時にダメージを与えられる。
この作品は奇しくも複数攻撃武器が初登場したDQ5と開発時期が重なっており、ドラクエシリーズにおけるブーメランの仕様に影響を与えた可能性がある。

アニメーションと被弾順

ブーメランは基本的に左から右に向かって飛んでいくが、DQ5のみ上下に敵が分かれている場合に上段左から右に飛んだ後、下段右から左に帰ってくる。
ただし、被弾順はブーメランの軌道とは関係が無く、敵モンスターのリストの上のグループから順に被弾する。
また、同一グループ内ではアルファベットが若い順に被弾する。例えば、敵が同一モンスタ―を呼ぶ場合、例え向かって左側に配置されたとしても、先に登場していてアルファベットが若い方が先に被弾する。
ムチや鉄球系のアニメーションはそれぞれのモンスター別に表示され、SFC版DQ5では被弾する順番にアニメーションが出る。
 
DQ6以降は必ず左から順にアニメーションが表示されるようになった。アルファベットが若い順に被弾する点はブーメランと同じ。
ただし、アニメーションとの統一を図るためか、近年ではムチ系・ブーメラン系ともに、アルファベットの順番関係なく左から順に被弾するのが主流になってきている。
複数攻撃特技に関しても、被弾順の仕様は複数攻撃武器と共通。

DQ3(リメイク版)

元々FC版でも【とげのむち】という唯一のムチは存在するが、これは単体攻撃武器だった。
リメイクに際し、これが攻撃力そのままに複数攻撃武器に変わり、さらに後の作品から大量に複数攻撃武器が輸入され、序盤から自重せずにコンスタントに登場する。また、【ドラゴンテイル】など本作初登場の新たな武器も追加されている。
特に終盤~クリア後に入る【グリンガムのムチ】【はかいのてっきゅう】などは単体攻撃武器顔負けの破格の攻撃力を誇り、攻撃呪文の存在意義を危うくしている。
敵のステータス等はそのままで多数の複数攻撃武器が導入されたのでこれらが猛威を振るう結果になり、戦闘が非常に大味になってしまったという批判が根強い。
ただし、こればかりに頼って【魔法使い】を連れていなかったりすると、【マヌーサ】の使い手や中盤の高守備力のモンスター相手にものすごく苦戦する破目になることもある。
SFC版での被弾順はDQ6に準じているが、GBC版は少し複雑な挙動をする。
具体的には、誰もいない場所に呼ばれたモンスターは被弾順が後に回るが、倒した敵のスペースに呼ばれた敵はその位置に依存して被弾順が先になることがある。

DQ4(リメイク版)

リメイク版DQ3とは打って変わって、複数攻撃武器は少数に留まった。
特に第五章前半まではFC版で登場したムチ・ブーメラン類は名称が変更され、複数攻撃武器が出てくるのを極力抑えている。【いばらのむち】【せいなるナイフ】に、ブーメランは【クロスボウ】に、【モーニングスター】【ホーリーランス】に変更。
結果的にゲームバランスへの被害は少なかった。
と言うか、ブーメランで全体攻撃ができたら【ベロリンマン】戦の意味が無くなるので当然の措置だろう。
ただしDQ3と同様に逆輸入された「グリンガムのムチ」「はかいの鉄球」のみ複数攻撃可能で、これらの武器は猛威を振るうが、この2つの武器はいずれも早期入手がかなり面倒なので、やはりDQ3に比べればバランスは崩れていない。
 
なお上記の変更に伴って、第二章に登場するボス【ラゴス】の武器もブーメランからクロスボウに変更され、グラフィックも変わっている。

DQ5

初登場。
特に序盤に市販されている【ブーメラン】【チェーンクロス】【モーニングスター】は、その時点で購入できる最強攻撃力の武器になっており、まさに破格の性能である。
その分だけ価格も高く設定されてはいるが、ずば抜けて高いというほどでもなく十分手の届く範囲。
本作では従来作よりも会心の一撃が出やすい仕様なので、会心が出ない複数攻撃武器が絶対優位というわけではないが、単体攻撃武器と両方持たせて持ちかえることも可能。
冒険序盤では「【はがねのつるぎ】【やいばのブーメラン】を持ち、相手に合わせて装備を付け替える」という新たな戦い方が生まれた。ノーコストで一度に敵を何体も攻撃できるため、戦術が広がったのである。また、本作では敵が上段と下段に分けて大量に出現できる上、しかもオリジナル版ではこちらのパーティ人数が3人までのため、数の不利を強いられ易く、それを補う役割も持っている。
しかし同時に、攻撃呪文の価値低下も招くことになった。
ただし、さすがに武器のバリエーションは(特にブーメラン)少なく、使い手も攻撃力が低いキャラだったりと、ずっとこればかりで序盤から終盤まで一貫してごり押しできるほどではない。
特にイオやイオラ、本作から全体攻撃になったライデインなどの呪文には劣る場面も多い。
しかし攻撃呪文や本作初登場の特技も、複数攻撃には属性が付いている為、無効化する敵のことを考えれば武器の付け替えの戦法は後半においても覚えておいて損はない。
 
上述の通り、SFC版ではバイキルトの効果は攻撃した敵全てに及ぶ。
これが強力過ぎたためか、以降の作品では本作リメイクも含めて、最初の1体にしか効果がなくなった。ダメージだけが上がるちからため・【きあいため】はSFC版の頃から最初の1体にしか効果が無い。
 
【みなごろしのけん】は本作から、剣なのに全体攻撃が可能になった。ただし過去作品と同じく呪われている。

DQ6

特技のバリエーションが広がり、【属性】がないもの・ダメージを均等に与えられる特技が多く誕生し、複数攻撃武器のアイデンティティーは前作より薄くなったと言える。
逆に言えば、(攻撃手段に乏しい)「【転職】前ならそれなりに有効である」とも言えるが。

DQ7

本作では転職までに自力で習得するグループ攻撃や全体攻撃の特技はほとんど無いため、序盤では複数攻撃武器(特にブーメラン系)を買うかどうかで戦闘の難易度がガラッと変わる程度には活躍する。
転職後は強力な特技を習得できるようになるため、それらの特技が充実すると一気に優位性が薄れてしまう点はDQ6と同じである。

DQ8

【スキル】システムの導入によって【主人公】【ブーメランスキル】【ゼシカ】【ムチスキル】が登場した。
ブーメランは序盤から使え、【パワフルスロー】を覚えれば中盤頃まではザコ戦で大活躍でき、テンションアップ→複数攻撃が異常に強かったりとまだまだ優遇されている面は否めない。
だが、スキルによるヤリや剣の強化、それに対するブーメランスキルの微妙さのため中盤以降はコンスタントに全体攻撃武器が登場するにも関わらず使い勝手は悪い。
ただし高レベル主人公の放つ【超パワフルスロー】は多数敵に対し圧倒的なダメージ効率を叩き出すため、一部のやり込み派に重宝されている。
 
ムチスキルはやたら強いが、それは範囲攻撃のせいのみならず、(PS2版では)【双竜打ち】の影響も大きい。
本来は武器違いでほぼ同性能になるはずの、【はやぶさぎり】は威力0.75倍の補正がかかるにも関わらず、双竜打ちは逆に1.5倍に上昇するのである。

ただ、双竜打ちが生まれてしまった原因はやはりこの複数攻撃武器にあると言えるだろう。詳細は双竜打ちの項目を参照のこと。
DQ5において複数攻撃武器が登場してしまった時点で、双竜打ちのようなバランス崩壊特技が生まれる下地は整ってしまっていた、と見ることもできる。
制作スタッフが複数攻撃武器のバランス崩壊の危険性を認識せず、放置してしまった結果だろう。
 
なお終盤で手に入る【怒りの鉄球】【はかいの鉄球】【ヤンガス】が装備可能だが、スキルの対象にはなっていない。

DQ9

ムチは【主人公】の実質的初期職業である【旅芸人】が扱えるため、序盤から利用可能。
一方でブーメランは上級職でしか使えなくなり、出番は転職クエストの関係で【ビタリ山】以降と遅くなった。
序盤はとりあえずブーメラン、というDQ5以来の慣習が久々に姿を消し、ブーメランの存在感も薄くなってしまった。
クリア後では強力な特技や「【はやぶさの剣改】×【はやぶさ斬り】」攻撃の陰に隠れてしまい、ブーメランやムチの攻撃が使われることはほぼ無い。

DQ10オフライン

他のナンバリングタイトルと同じくターン制バトルであり、ムチやブーメランの対象範囲もそれらの作品に倣っている。
ムチはグループ攻撃だが、対象に選んだ一体のみダメージ判定が2回発生する。主人公は【魔法使い】【盗賊】ならば序盤から扱えるほか、仲間キャラでは【ダストン】が装備可能。
ブーメランは全体対象だが2体目以降の命中率が低下する。やはり初期職業では扱えず、仲間キャラにも扱える者はいない。クエストで開放される職業に転職した主人公のみが装備できる。
また、敵側にも【妖魔ジュリアンテ】のように複数攻撃武器を扱う者が登場した。

DQ10オンライン

ムチは対象への攻撃+対象の周囲への範囲攻撃、ブーメランは自分中心の範囲への攻撃となっている。

DQ11

他作品同様、ムチとブーメランがあるが、命中率が低い。また、同時期に手に入る他の単体攻撃武器と比較すると【ふしぎな鍛冶】の難易度が高めに設定されている。
ムチは【ベロニカ】【シルビア】、ブーメランは【カミュ】が使用可能。

不思議のダンジョンシリーズ

トルネコ2では前方3方向に攻撃できる【妖剣かまいたち】、自分の周囲8方向に攻撃できる【剛剣かまいたち】が登場。
その後、前方3方向の効果は少年ヤンガスではグリンガムのムチに譲り、周囲8方向の効果はトルネコ3では【キラーヘッド】に、少年ヤンガスでは破壊の鉄球に譲っている。
また、前方2マス先まで攻撃できる【ストレイトソード】、少年ヤンガスのヤリ系統と前方1~4マス先を貫通して攻撃する【銀のブーメラン】【黄金のブーメラン】も一応該当すると言えなくもない。

DQM

ムチ系武器を装備していると通常攻撃において全体攻撃が可能。ただし与えるダメージは左から順に減る他、斬撃は効果が乗らない。