【痛恨の一撃】

Last-modified: 2024-01-14 (日) 16:48:43

概要

DQ2以降の全作品において採用されているシステム。
プレイヤー側の【会心の一撃】に似たシステムで、敵側が繰り出す通常よりも強力な攻撃。
 
「会心の一撃と似た」と記述したが、プレイヤー側は「通常攻撃を行ったときに一定確率で会心の一撃に変化する」のに対して、敵側は通常攻撃が変化するわけではない。
今風に言えば【まじんぎり】に似た「成功すれば痛恨の一撃、失敗すればただの攻撃」という特技であり、痛恨を出せるのはこの特技の所持者に限られるため、例えばその辺の【スライム】がいきなり痛恨を放ってくることはない。逆に、この特技そのものの成功率は高いので (作品によっては成功率100%)、痛恨の使い手はプレイヤー側の会心とは比較にならないほど高頻度で痛恨を出してくる。
 
例外として、少年ヤンガスモンスターズシリーズといった一部の外伝作品では、会心の一撃と同じシステムが敵側にも採用されており、すべての敵が通常攻撃時に一定確率で痛恨を放ってくる。
 
会心の一撃は基本的に「【こうげき力】と同値のダメージを与える」1種類だけだが、痛恨の一撃にはダメージ倍率などが異なる3種類が存在する。
詳しくは後述。
DQ2以降の会心の一撃と同じく発動すれば必中の作品が多いが、リメイク版DQ6~7、DQ8・10~11では「痛恨の一撃」と表示後にかわせることがある。しかし、DQ1の会心もそうだが外したのに痛恨と分かるものなのか…?
 
敵がアニメーションするようになったDQ6以降では、痛恨の一撃には通常攻撃より強そうなモーションが割り当てられていることが多く、発動前からプレイヤーをビビらせてくれる。
ただし、成功率が100%でない作品では、強そうなモーションを取ったのに失敗して普通のダメージになることもあり、肩透かし感を与えてくれることも。
 
成功率100%でない作品では、失敗したときは通常攻撃相当のダメージになるが、この攻撃もあくまで「通常攻撃ではない特技」扱いであり、通常攻撃には適用される効果が適用されないことがある。
作品によって細かい仕様は異なるが、例えば【マヌーサ】の影響を受けなかったり、【パルプンテ】で「通常攻撃が100%会心 (痛恨) になる効果」が発動しても痛恨にならなかったりする。
 
FC版DQ4の【ドラン】やDQ8の【スカウトモンスター】は、味方側キャラクターであるが「痛恨の一撃」を放つ。リメイク版DQ4や3DS版DQ8では表示が「会心の一撃」に改められている。
 

タイプ別解説

守備力貫通タイプ

会心の一撃に近い仕様で、相手の【守備力】を無視して攻撃力とほぼ同数値のダメージを与える効果。「守備力無視タイプ」とも呼ばれる。
「攻撃力とほぼ同数値」の部分は作品によっては多少の倍率が掛かる (DQ4,5では1.1倍程度、DQ2,3,6では0.9倍程度)。
 
最初期から存在するオーソドックスな痛恨であり、最も対処の難しい恐ろしいタイプでもある。
守備を固めても意味がないため、対策はHPを高く保っておくか、敵を速攻で倒したり【ラリホー】等で行動不能にするといった攻めたものになる。

DQ2~DQ5

成功率は100%でなく、FC版GB版DQ2およびDQ3では1/8、SFC版DQ2では1/32、SFC版DQ5では1/6、DQ4およびリメイク版DQ5では1/4。
DQ5では、この作品から導入された【制限行動】によってグループで出現した敵が痛恨の一撃を選択できないこともあり、意外と見る機会が少ないかもしれない。
 
DQ2では【2回攻撃】も特技のような扱いであるため痛恨と両立することはない。【しにがみ】など2回攻撃と痛恨を両方備える敵でも、2回攻撃時には絶対に痛恨を出さない。
また、SFC版DQ2では成功率そのものがかなり低く (味方の会心の一撃の発動率と同じ)、滅多にお目に掛かれない。
 
DQ4のNPC扱いの仲間キャラのうち、【ホフマン】【ドラン】は敵仕様の痛恨の一撃を特技として所持している。
FC版では、ホフマンは実際の行動パターンで痛恨の選択率が0%になっているようだが、ドランは実際に使うことができ、痛恨選択時には1/4という高い確率で痛恨を発生させる。
パルプンテで100%会心の効果が出た場合、DQ4では概要で述べた仕様とは異なり、痛恨を選択して発動に失敗した場合の攻撃も痛恨になる。
リメイク版ではホフマンの行動パターンにも痛恨が追加され、プレイヤーキャラよりも高確率で痛恨を放つようになった。
 
DQ5の【パパス】も敵仕様の痛恨の特技を所持しており、回復の必要がない時には通常攻撃と痛恨を半々の確率で使うため、痛恨の発生率がプレイヤーキャラよりも高い。SFC版では単純計算で1/12、2回行動すると1/6の確率で痛恨をバンバン出す。
【さまようよろい】装備時の行動パターンにも痛恨が含まれており、約1/3の確率で使うので、パパスほどではないが痛恨率が高め (1/18)。
これらの「味方側で出す痛恨」は、メッセージ上は「会心の一撃」と改められていて一見プレイヤーキャラの出す普通の会心と見分けがつかないが、攻撃エフェクトの出るタイミングが会心と異なる (会心はSEが鳴るのと同時に攻撃エフェクト、痛恨はSEが鳴り終わってから攻撃エフェクトが出る)。また、痛恨選択時の攻撃は武器の特殊効果が発動せず、例えば【どくばり】を装備していても普通にダメージを与える。

DQ6~

DQ6以降は成功率100%。
DQ6の【ハイオーク】【なげきのきょじん】に痛恨のイメージが強いのは、DQ5以前の敵よりも痛恨の発生率が格段に上がっているからに他ならない。
DQ8やDQ9では攻撃力の高い終盤やクリア後のボスクラスの敵が多用する傾向がある。これのダメージで一撃死することも多く、ボス戦の難易度が高くなっている。

DQ10

詳しくはこちらを参照。

DQ11

敵によって攻撃力に掛かる倍率が変わるようになり、威力が調整されている。
例えば【おおきづち】が使うものは攻撃力の半分、【メルトア】【デコピン攻撃】は攻撃力のおよそ8割であるなど、一部の敵の痛恨はダメージが緩和され、公式ガイドブックにて「痛恨の一撃の威力があまり高くない」と表記される敵も多い。とりわけ攻撃力の高いボスなどは攻撃力の6~7割程度になっていることが多い。
なお、本作では敵が【ゾーン】に入ると攻撃力が上がるが、味方側とは異なり痛恨のダメージは変化しない。

2.5倍撃タイプ

相手の守備力は無視せず、単にダメージが通常攻撃の2.5倍になるタイプ。仕様上は【強化攻撃】に近い。
DQ6からDQ9で採用されており、「守備力影響タイプ」「非貫通タイプ」などとも呼ばれる。
こちらの守備力の影響を受けるので、【スクルト】等でこちらの守備力を上昇させればダメージが減る。
守備力を上げまくると、痛恨の一撃でもダメージが通らずミスになるのを見ることができる。
「貫通タイプ」が守備力を無視したうえで通常攻撃の2倍であるため、守備力が0に近ければこちらのほうが大きなダメージを受けるが、そうなることは稀だろう。
DQ6では普通にストーリーを進めた場合、最初の雑魚敵の使い手は【ペスカニ】周辺か【ダーマ神殿南の井戸】に現れる【トロル】である。
トロル属はドラクエでは言わずと知れたパワー馬鹿なので、適正レベル帯だと3桁ダメージに達することも多々あり、貫通タイプと比べて少し違和感がある程度だろう。上位種の【ボストロール】に会って初めて2.5倍タイプの存在に気付く人も多い。
DQ7では、攻撃力がさほど高くないのにこのタイプの痛恨を放ってくる敵が何種類かおり、そのような敵の痛恨はまともに受けても微小なダメージで済む。
「つうこんの いちげき!」と表示されてビビったのに、ダメージが1ケタだったのを見たプレイヤーは、唖然とするか、ホッとするか、「弱いなコイツ(笑)」などとおかしさで笑い出すか、それとも「ビビらせやがって」と腹を立てるか。
対策自体は立てやすいが、攻撃力の高い敵が放つ場合は、守備力貫通タイプと区別がつきにくい。
守備力を上げてみてダメージが減ったらこちらのタイプなので、長期戦になりそうならまずは守備力を上げてみよう。
もちろん、手早く倒せそうならさっさと攻撃した方が遥かに安全。

固定ダメージタイプ

守備力を無視し、攻撃力の5倍の固定ダメージを与える。成功率は100%。
DQ4と5のみで採用されている。
DQ4では【とつげきうお】【ベルザブル】【おおめだま】(本気時)、【おにこんぼう】
DQ5では【おおきづち】【あくまのツボ】【イブール】【ミルドラース】(第二形態)が繰り出す。
 
仕様だけ見れば「守備力貫通タイプ」をさらに凶悪にしたものである。
並みの攻撃力でこれを放つととんでもないダメージになるので、これの使い手は攻撃力がとても低く抑えられている。そのため通常攻撃を行った場合はほぼダメージが通らず、まるで【まじんのかなづち】を装備しているかのような大振りモンスターになるか、あるいは通常攻撃を行わない設定になっている。
使い手の多くは大した火力を持っていないが、イブールやミルドラースはこれで確実にダメージを通してくるので注意。と言っても、上位のブレス攻撃に比べれば易しい攻撃であるが…。
(小ネタとして、FC版DQ4ではおおめだまに【いてつくはどう】を使うと高火力でこれを使いこなしてくる。詳細はおおめだまのページを参照。)
 
守備力貫通タイプの成功率が100%でない作品に採用されているため、痛恨を乱発する敵・たまにしか痛恨を使わない敵、といった敵ごとの個性付けの一助となっている。
DQ6以降なくなったのは、守備力貫通タイプが100%成功する仕様になったのでこれが必要なくなったからだろうか。

補足

ごく稀に2種類の痛恨を使い分ける敵もいる。
DQ6の【ドラゴンソルジャー】とDQ8の【トロルキング】は、守備力貫通タイプと2.5倍撃タイプの両方を放ってくる。
そのため、守備力を上げたのに大ダメージを受ける時と全然ダメージを受けない時があり紛らわしい。
守備力貫通タイプのことを考えると、スクルトでは効果的な対策にはならない。
しかも後者は攻撃力が415もあるので、まともにもらっていると命がいくつあっても足りない。
前者は1回休み系に、後者は【眠り】【混乱】耐性に穴があるので、そこを突いて動きを止めつつ倒す方が安全。
 
PS版以降のリメイク版DQ4では、裏ダンジョン導入に伴いDQ7のモンスターが逆輸入されているのだが、DQ4にはリメイクであっても2.5倍撃タイプの痛恨はないため、DQ7で2.5倍撃タイプの使い手だったモンスターは守備力貫通タイプを使うようになっている。【ゲリュオン】【パンドラボックス】の危険度が上がっているので要注意。
 
DQ9以降では、痛恨の一撃を無効化する特技や特性が登場している。
詳しくは【痛恨完全ガード】【会心完全ガード】を参照。
 
余談だが、「ダイの大冒険」では【クロコダイン】がこの痛恨の一撃を特技化した「獣王痛恨撃」を披露している。

DQM3

本作では、敵が痛恨を放ってきた場合でも「かいしんの いちげき!」と表示される。

トルネコ2

防御力は無視せず、通常の2倍のダメージを与える。強化攻撃に近い仕様。
【戦士】に転職して装備品に技をセットしている場合、痛恨を喰らうと一定確率で装備を壊される。
戦士専用のダンジョンである【剣のダンジョン】では痛恨の使い手が多く出現するため、喰らわないように注意して立ち回りたい。
ナンバリングタイトルと同じく使い手は決まっているが、【つうこんの指輪】を装備していると全ての敵の通常攻撃が一定確率で痛恨に変化する。
 
分類上は技の一種であるため、【わざふうじの盾】を装備していると使われなくなる。
GBA版では剣のダンジョンにわざふうじの盾が出現しなくなったため、ダンジョンの攻略難度が上がっている。

トルネコ3

通常の1.5倍のダメージを与える。トルネコ2と同じく強化攻撃に近い仕様。痛恨の指輪も続投している。
 
専用の攻撃モーションがあるものと、通常攻撃と同じモーションでダメージだけ増えるものがあり、後者は【混乱】中など特技を使えない状態でも放ってくる可能性がある。【さつじんき】系統と【デスマシーン】系統のものが該当する。

バトルロードシリーズ

ボストロールの赤ボタン技で、味方が当てても「つうこんの一撃!」と表示される。

バトルスキャナー・スキャンバトラーズ

この作品では回復でも会心が発動することがある。
それが敵側で発動すると「痛恨の回復」と表示される。

星ドラ

会心ダメージ軽減の防具スキルが付いた装備でダメージを減らせる。

余談

初登場となったDQ2発売直後の頃は、幼き少年少女たちには「IIコン(ファミコンのIIコントローラー)の一撃」と間違って解釈されたこともあった。
そんな誤解が生じた背景として

  • 年齢的に「痛恨」という言葉を認知していないことが多く馴染みがなかったことや、同じ発音の「ツーコン」が「IIコントローラー」の略称として日常的に使っていたことで馴染みが深かったこと。
  • 当時は容量の問題からDQ自身も含めて(詳細はこちらを参照)漢字どころか平仮名と片仮名をフルに使えなかったゲームソフトが多く、本来片仮名表記するものをゲームでは敢えて平仮名表記が使われていたことが珍しくなかったこと。つまり「ツーコン」を「つうこん」と表記してもゲームなら、そんなおかしくは感じなかった。
  • 対戦型ゲームを1人でプレーする場合、1P(Iコン)がプレイヤー(本作に当て嵌めれば勇者側)、2P(IIコン)がコンピュータ(本作に当て嵌めればモンスター)となるので、そんなニュアンスに偶然一致したこと。

こんな要因が見事なまでに重なって生じた絶妙な誤解と言えるだろう。
もっとも、その解釈だと敵の普通の攻撃も「IIコンの一撃」になるのだが……。
現在もネタとしてよく言われる。