【スイフー】

Last-modified: 2023-04-06 (木) 13:48:37

DQ7

過去の【ダーマ地方】にある【ふきだまりの町】のボス。荒っぽい性格。
PS版ではフィールドグラが赤い覆面の男、戦闘時が【てっきゅうまじん】の色違いという形だが、リメイク版では専用グラフィックが与えられ、覆面ではなく素顔に。またフィールド・戦闘とも共通。
 
どちらにせよマッチョなボディを引き立てる出で立ちで、いかにも「力自慢のならず者」といった雰囲気を放つが、取り巻きとして従える【ぶとうか】【あらくれ】はそれぞれ【キラーストーカー】【やみのとうぞく】の色違い(リメイク版でも変化無し)。
そのため、武闘家といいながら後ろ手にナタを持った危険人物と、荒くれというよりはコソ泥のような怪しさ全開不審者ルックという、荒涼としたふきだまりの町の雰囲気をよく表している。
 
またボスらしく町で一番大きな屋敷に住み、そこの本棚には「勝利の条件」「帝王学」といかにもこいつの読んでいそうな本がある。
読書家なのかと思いきや実は表紙だけをすり替えたエロ本で、夜になると鍵の掛かった自室のベッドに【バニーガール】が寝ていたりする(この女のセリフからして愛人的なヤツなのだろう)。
 
ともあれその実力はハンパではなく、ふきだまりの町にやって来た主人公一向に【負けバトル】という手荒すぎる挨拶で歓迎してくれる他、かつては先代の町のボスを半殺しにしてその地位と屋敷を奪い取ったらしい。
ボスからしてこんなヤツなので、ふきだまりの町は力がすべての世紀末……という程でもなく(タカりと強請が横行してるので間違いなく無法地帯ではあるが)、『【魂砕き】にだけは手を出してはならない』と定め、殺人事件などの大問題は捨て置かず対処するなど、最低限の秩序は保てるよう配慮はしている模様。住民いわく「冷酷非道なスイフーも殺人だけは許さない。もし人を殺そうものなら翌日には町の外で魔物のエサになってる」とか。
市中引き回しや鉄球制裁で半殺しにして追い出すのか、それとも完全に殺して放り出すのか、はたまた身ぐるみ剥いで魔物につき出すのかまでは(さすがに)言及されなかったが、ふきだまりの町は【西の洞窟】から【ダーマ神殿】に行ける事を考えると、文字通りの形でそこまで引きずっていくくらいはやりそうだ。
 
ちなみにスイフーは「弱者を守るために」タカりと強請は黙認というなんだか矛盾したルールを制定しているが、もちろん横暴なだけではなくスイフーなりの考えがあってのこと。
弱者がこれらのカモにされるのは必然的で見ていて気持ちのいいものではないものの、だからといってユスるなタカるなと何でもかんでも禁止すると住民の不満が募るだろうし、「泣き寝入りするな、諦めずに戦え」的な事を言ったらそれこそ魂砕きで報復しようとする連中だらけになるだろう。
いくらスイフーの実力でも、ダーマ神殿で転職を目指していた=呪文やスキルを奪われたにしてもそれなりの実力者が多いと思われる街で実力者の住人に総出で反抗されれば勝てるとは思えないし、例え勝てても一人では統制が及ぶはずがない。そうなってまで部下がついてくる可能性などさらに低い。
まあ泣き寝入りせざるを得ない人たちはカワイソウだが、治安が悪化して「ケンカや殺し・魂砕きが日常茶飯事の世紀末」とか「腕の立つ連中(下手したら町中の住民)が常に臨戦状態」といった惨状になるリスクを考えれば、強請とタカりは些細なこととして見逃してやるのが最善策。そして新入りの住民には問答無用に挑みかかって圧倒的な力で叩きのめす「見せしめ」を行い、「こいつに反抗するのは痛い目を見る。逆らわないでおこう」と真っ先に理解させておく必要があったわけだ。
ちなみにダーマ親衛隊の生き残りというアウトローとは程遠い存在である【カシム】もスイフーの魂砕きへの取り押さえには二つ返事で協力しており、カシムもスイフー側のそうした事情を察しているのかもしれない。
 
それでも一方的にぶちのめされる主人公一行も災難、とある若者に至っては結局魂砕きを強行するという凶行に走ってしまった。元はと言えばダーマのニセ神官どもが彼の力を奪って放逐したせいだが、力を奪われて自棄になりかけていた上にこいつにまでボコられたとなればまさに泣きっ面に蜂。
まあスイフーとてある程度憎まれることぐらいの覚悟はあるだろうが、彼は「許すまじスイフー、真っ先に魂を砕いてやる」と怒りを爆発させ「魂砕きでスイフーに報復」という決意を固めて魂砕きに手を出し、何人もの犠牲者を出した(結局スイフーとやりあおうとはしなかったが)。
 
とはいえ荒んでいて教会の神父などの言葉も届かない状況では、誰がどんな統治方法を採ろうと、統制が利かなくなるのも時間の問題だったのかもしれない。
 
とにかくヤツのせいでふきだまりの町は混乱したものの、事態を収束させるために真っ先に動いていたし、最悪実行犯を殺してでも止めようとしたのは事実なので、統治者として彼なりに責任は感じていたようだ。
お世辞にも統治に詳しい訳ではない【ガボ】でさえ、スイフーは「恐ろしい奴だけど町の平和を守るために誰よりも頑張ってる」と評価の言葉を発している辺り、ちゃんと本質は見えている様子。
 
英語版での名前はPS版ではSuifuとそのままだが、3DS版ではStrom。
ストーム(Storm)ではなくストロムなのはもしかしてStrongともかけているのだろうか?

戦闘能力

取り巻きの【ぶとうか】【あらくれ】も加わるので3人で登場する。
条件は五分五分だとでもいうのか特技の類はいっさい使わないが、強化攻撃に加えてしっかり痛恨も打つ。まあ通常攻撃の延長みたいなものだからズルではないだろう。一応こちらが会心を出す可能性もなくはないし。
ちなみに痛恨は2.5倍タイプだが、その辺のモンスターの攻撃力が50程度の時期に120を誇る豪腕なので十分痛すぎる。
しかもHPは30000もあり、その上ターン毎100の【自動回復】特性まで持っている。おまけにこちらの呪文・特技が全て封じられているので、とても倒せる相手ではない。なおリベンジなどの機会はなく負けっぱなし。
再戦する機会の無かった初めての敵であり、唯一完全に勝ち逃げした敵でもある(DQ6の【ドグマ】もそうだが、あちらはイベントで撃破されたことになっている)。強くなった暁には借りを返したいと思ったプレイヤーも多かろう。
また直後に【イノップ】【ゴンズ】の負けバトルもあるが、彼らは最終的にはリベンジを果たす事ができるので余計にしこりとして残った人もいるだろう(ただ、主人公の立場として彼にリベンジを挑む理由は無いのも確かではあるが)。  
一応レベルを70代近くまで上げればスイフーの攻撃も痛恨の一撃もほとんど通じなくなるので勝てなくもない。
しかし、無理やり勝ったとしても何事もなかったかのように全滅したものとして話が進んでしまう。
戦闘後は【ネリス】に助けられたところから再開する。ネリス曰く「グッタリしていた」とのこと。

リメイク版では他の負けイベント同様、撃破不可能な敵になった(取り巻きは倒せる)。
・PS版では実力行使で撃破可能だが、負けたのと同じで進行する
・リメイク版ではインチキで撃破しても、それでも進行は同様である
 
この実力なら【アントリア】なども普通に倒せそうな気がするが、そうしなかったのは彼自身が自らが1番で居られるこの町を気に入っていたのと、彼が曲がりなりにもふきだまりの町の秩序を守る役目を自認していたからでもあるのだろう。実際魂砕きが起こった際には、即座に現れ事態の沈静化に向かっていた。
ちなみに、この際に彼の実力に関して【カシム】と互角であるということが判明する。
まぁNPC仕様のカシムならアホみたいに高いHPを持っているため、スイフーと対戦したら互いに決め手がなく決着がつくまで果てしない時間が掛かることが推測されるので、互角と言って差し支えないだろう。
 
主人公たちがアントリアを倒した後は、ふきだまりの町に居た人々は次々と町を離れてゆき、さながら「砂の城の主」に。
元々好きでこの町に送り込まれて来た人などいないので当然ではあるのだが、日々人が減り続けていく自分の町を屋敷の屋上から見下ろす姿は、少々切ないものがある。
使用人も全員辞めてしまったが、それでも彼にとってはこの町は愛着のあるものだったようで「オレはこの町と共に滅びるだろうよ。」などと言っていた彼だったが…

「あらくれ バカ一代」

現代のダーマ神殿の2階の本棚を調べると見つかる本。
著者は不明だが、「スイフーはダーマ神殿が解放されたあと山賊のボスにのし上がった。その時の苦労話もてんこもり」という内容からしてスイフーが書いた可能性がある。自伝だったりするのだろうか。
 
彼が治めていたふきだまりの町の跡地では山賊達と戦闘になり、内一人は「オレの○○は剣と拳だ」という戦闘前のセリフが似ている(スイフーは「オレの挨拶」)。また彼の側近のあらくれと似た奴もメンバーに入っている。
あんなことを言っていたがやっぱりただでは滅びなかったようである。
しかし彼の子孫らしき人物は特に出てこないので、山賊ではなく真っ当な一市民として暮らしているのか、そもそも血筋が途絶えてしまったのか……。
屋敷の自室にいた女ならスイフーと子をなしていても不思議はないが、この辺りは各自の想像に委ねられている。

リメイク版

鎖付きのW鉄球はそのままに、マップ上、戦闘時に同一の固有グラフィックが与えられた。
PS版と違い覆面ではなくリー・マーヴィンに似た素顔になった他、服装も北斗の拳の無法者を思わせるいかにも「荒くれ」的なものに変わっており、荒くれよりも荒くれっぽい格好になった(というか荒くれがコソ泥っぽいだけである)。
 
もちろんリベンジする機会も無いし、タフさが理不尽の域に達して【ゼッペル】同様どう頑張っても倒せないように。
相当頑張って【真しんぴのよろい】を手に入れ、これを装備した状態で戦闘に突入するといつまでも決着がつかない不毛な光景が……
 
というのも真しんぴのよろいを装備できるのはレベル35以上なので、そこまであげたステータスならいかにスイフーの「攻撃力120」という豪腕でも大したことはない。そして自動回復(75)を上回れないし、だからといってスイフーが根負けしてくれるはずもないのでいつまでも戦闘が終わらなくなるのだ。
どうせ負けてやらざるをえないので、悔しいだろうがさっさとこいつに勝ちを譲って先に進もう。

小説版

小説版でも同様の立場。
主人公に対して戦いを挑み勝利しているが、主人公側の手加減の存在も示されていた(ただその後の発言において【戦士】を極めていることを示唆したり、マリベルが「どんな化物よアレ」と驚嘆していたりと、相当な実力者であることは変わらない描写がなされている)。ダーマ神殿奪還戦にも参加し、作中登場していない【フーラル】のセリフをスイフーが叫ぶ光景がある。無法者が集まってしまった街であえて暴君を演じて統制を保ったという立場が強調されており、【マリベル】はスイフーに対してどこか憧憬めいた見方をしていた。


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