【大魔王六軍団】

Last-modified: 2023-10-08 (日) 12:04:04

概要

【ドラゴンクエスト ダイの大冒険】において、魔王軍に所属するモンスターたちをその性質によって6つの軍団に振り分けたもの。
大魔王【バーン】の地上制圧の命を受け、「魔軍司令」となった【ハドラー】の下に6つの軍団が組織されている。
これはバーンの力の源である「邪悪の六芒星」を象徴している。
 
六芒星は後に登場する地上を吹き飛ばす【ピラァ・オブ・バーン】の配置である「六芒星の魔法陣」の暗喩であり伏線。
【黒の核晶】自体は後付け設定であるが上手いこと考えられているものである。
また、【小説ドラゴンクエスト】に登場する【竜王六魔将】【バラモス四天王】【ゾーマ八魔将】もヒントになっていると思われる。
他にも、厳密に元ネタと言及されているわけではないが、後々にDQ11で登場した【六軍王】に少なからずの影響を与えているという見方も。
 
余談だが、電子版以降では六芒星という言葉は使われずにシンボルは「邪悪の六星」、ピラァ・オブ・バーンの魔法陣は「六星の魔法陣」となっており、デザインも若干変えられている。
これは現実に存在するユダヤ教の象徴である「ダビデの星」への配慮・自主規制の一環と思われる。些細な点とは言えデリケートな問題でもあるので、悪役の象徴が似ているのはまずかったのだろう。
新アニメ版でも六芒星を意識させないようなファンシーなデザインにされている。人によっては同アニメ制作会社の某長寿女児向け作品シリーズのシンボルのように見えるかも。
そしてピラァ・オブ・バーンの魔法陣は「六角魔法陣」と言われ、六芒星を意識させないようにしつつ大魔王六軍団のシンボルになるようにピラァを落としたとわかりやすい演出にされている。
 
邪悪の六芒星(六星)は別々の配色がなされており、それぞれの軍団のイメージカラーになっている模様。
新アニメでは赤が氷炎魔団、橙が百獣魔団、黄が妖魔士団、緑が超竜軍団、青が魔影軍団、紫が不死騎団となっている。なお原作と色は同じとみられるものの星の配置が異なっているため、原作と同じ設定かは不明。
 
以下、その6軍団を6大団長の登場順に説明する。
構成員については、「大冒険への旅立ち!!の巻」(単行本2巻・文庫版&新装彩録版1巻掲載)の一覧図を参照にしている。
【アークデーモン】【ガーゴイル】等は魔軍司令直属の親衛隊として、いずれの軍団にも所属しない模様。
本作に登場するモンスターとしては【ゴーレム】系や【どろにんぎょう】系、【おどるほうせき】などのいわゆる物質系がどこに属するかはハッキリとしない。
【ゴースト】系や【ゆうれい】系も所属が不明。
なお軍団の説明シーンに関しては、旧アニメでは第8話で原作に沿った形で行われるが、新アニメでは第6話でクロコダインが【ダイ】【ポップ】に解説する形に変更されている。
 
勇者アバンと獄炎の魔王の時代では、【ブラス】【バルトス】【キギロ】【ガンガディア】の4人が現在の6大団長に近いポジションとして登場しているが、この頃は明確な軍団分けの概念は薄かったようで、ブラスが魔物の育成担当、バルトスが地底魔城の警備、キギロが魔の森を用いた勢力拡大と偵察、ガンガディアがハドラーの補佐と大まかな役割分担はあるものの、それぞれの明確な配下は描かれていない(キギロが人面樹系モンスターを直接の部下としている程度)。

百獣魔団

配下の構成は、魔獣や獣人が中心でDQMシリーズでいう【獣系】に近いが、【スライム系】【鳥系】【虫系】【植物系】など他の軍団には当てはまらない動植物系のモンスターもこの軍団に属するようだ。
要するに人型と悪魔系、ドラゴン系を除く生物全般がここに属する。
他の軍団よりもレパートリーが多くバラエティーに富んでいる。概ね地上動物をモチーフにしたモンスターで構成されており、DQにおけるモンスターには元々そうした面々が多いため、よりどりみどりであるのは道理。
また、【デルムリン島】のモンスターも大半がここの種属に該当する。
 
ハドラーより【ロモス】城の攻略を任され、この城の近くにある【魔の森】の中に本拠地を置いていた。
この森に迷い込んだダイ一行と【ライオンヘッド】が戦っているときにクロコダインが乱入、ダイと最初に戦う軍団長となった。
クロコダインはその後、【リカント】【マッドオックス】【フロッガー】など大勢の配下とともにロモス城に攻め入る。
クロコダインの敗北後は統率を失って森へと逃走、解散状態となった。
2020年アニメにおいて、このロモス撤退時において【ホイミスライム】【スライムナイト】も確認されている。
 
余談だがモンスターの大多数を占めるこの系統のモンスターをメインの敵として相手にするのは意外にもこのロモス編が唯一といっていいほどで、その後は、魔法使い系などの人型ではあるが明確な人間には見えない種族や、アンデッド、ばくだん岩、フレイム、さまようよろいなどの非生物系が占めていくようになる。
かわいい外見の魔物でも容赦なくぶったぎっていったロト紋とは対照的である。
実際、かわいい外見の魔物をぶった切るのが作風に合わないとして真っ先にご退場させたと作者コメントで述べられている。

妖魔士団

【まじゅつし】【サタンパピー】【バルログ】など、悪魔や神官系モンスターが揃う。意外なことにマドハンドも含まれるようだ。
本編でも呪文攻撃を得意とする魔物たちが主力だが、一方で肉弾戦に弱い弱点を抱えている。
また、ザボエラの息子で「妖魔学士」の肩書きを持つ【ザムザ】や「幻夢魔道」の肩書きを持つ【ベルドーサ】(映画版)もこの軍団の所属である。
その他、あたかもTVモニターのように他の場所の状況を映し出す悪魔の目玉も妖魔士団の一員である。
一応【ベンガーナ】侵攻を担当していたようだが、ザボエラが他の軍団長に取り入ることにご執心だったため目立った戦果は上げていなかった模様。
特に大きな被害をうける場面はなかったが、中盤では敵味方双方の戦略会議で名前すら挙げられないという扱いを受けている。
ちなみに「それぞれの道」ではお忍びでベンガーナを訪れた【レオナ】を暗殺しようとするも失敗に終わっている。

不死騎団

アンデッドで構成された軍団。【パプニカ】地方の攻略を担当し、かつてハドラーが根城にしていた【地底魔城】が本拠地。【がいこつ】【がいこつけんし】【ミイラおとこ】など、DQMシリーズでいう【ゾンビ系】に近い配下がいる。
【ニフラム】に弱そうなので【賢者】が複数いるパプニカは相性が悪そうだが、作中にニフラムは登場しないおかげか攻略は成功している。
 
ヒュンケルはミストバーンから「ガイコツどもを操るための技」として暗黒闘気を操る技を教えられ、またバーンも不死騎団の統率には「生命ある人間が最適」と語っており、これらがヒュンケルが不死騎団長になった理由だと思われる。
ヒュンケルの敗北後、彼を抹殺しにきたフレイザードの手によって死火山が活性化、不死騎団は地底魔城と共に溶岩に沈み滅亡した。
…と思いきや「それぞれの道」ではヒュンケルの旅を描いた物語(サブクエスト)「鬼岩城へ」で残党が登場している。
 
固有名をもつキャラとしてヒュンケルの側近の【モルグ】(外見は【くさったしたい】)がいる。
なお、ヒュンケルの育ての父である【バルトス】地獄の騎士であった。

氷炎魔団

DQMシリーズにおける【物質系】に近い構成であり、地味に有名な「フレイムA」の所属元である。
【エレメント系】モンスターが魔影軍団に多く取られたために種類が少ないのが特徴で、作中ではフレイム、ブリザード、爆弾岩が登場して存在感を示したが、溶岩魔人と氷河魔人は1度も出てこなかった。軍団長のフレイザードと見た目が若干被るからだろうか。
 
北方の国【オーザム】を完全に壊滅させ、ダイ抹殺に失敗したヒュンケルに代わり、自らパプニカ地方の攻略を名乗り出る。
バルジ島での攻防以降は登場しておらず、フレイム、ブリザードは全滅、爆弾岩はフレイザードの死後、統率から外れた可能性がある。

魔影軍団

暗黒闘気のモンスターで構成されており、作中ではミストバーンの分身である【シャドー】のほか、さまようヨロイ、【ガスト】などが登場している。
DQMシリーズにおけるゾンビ系・物質系の混成軍団といった趣か。名称どおり、実体がないモンスターが多い。
上記以外に、オリジナルモンスターの【デッド・アーマー】もここに所属する。
興味深いのが影の騎士で、連載時期から考えてDQ1の影の騎士だろうが、本作では骸骨系ではなく「影」の方が重視されてこっちに所属する模様。(結局、作中には一度も出てこなかったが)
 
カール王国に派遣されるが、騎士団の活躍に阻まれ攻略できなかった。
後に超竜軍団と交代して妖魔士団とともにバルジ島の戦いに赴き、氷の半身を失ったフレイザードに鎧を与えはしたが、ミストバーン自身はほとんど戦っていない。
本気を出せばカール侵攻もバルジ島でダイたちを倒すことも地上征服も容易であったが、諸般の事情により本気を出すことは結局なかった。
彼ら魔影軍団が最も戦ったのは王国サミットを【鬼岩城】で襲撃した時だろう。
さまよう鎧達は斬ってもグロくならない性質が作風にピッタリとしてザコ代表としてかなり出番があり、最終決戦にも多数登場している。

超竜軍団

名前通り、DQMシリーズでいう【ドラゴン系】が配下にいる。
軍団長バランの戦闘力と合わさり、戦力は6軍団中で随一だという。
城塞王国と名高い【リンガイア】を僅か一週間で滅ぼし、その後カール王国もたった五日で滅亡させた。
ダイ達との戦闘はベンガーナと【テラン】で行われており、ベンガーナでは【ヒドラ】が登場している。
またバランはこの軍団とは別に、魔王軍の軍団長に匹敵する力を持つといわれる空戦騎ガルダンディー海戦騎ボラホーン陸戦騎ラーハルトという3人の直属の部下、【竜騎衆】を持つ。また彼らの騎乗する竜として【ガメゴンロード】やスカイドラゴンが登場している。

総評

各軍団の統率は取れているのだが、互いに競い合うことを称賛するバーンの基本方針や、ハドラーの「ダイとバランを会わせてはならない」という個人的思惑もあり、他軍団と連携プレイを取ることには慣れていない。
ヒュンケルが願い出たことをバーンが許した形ではあるが、ハドラーは全軍を集結させて勇者ダイを叩くつもりだったにも関わらずバーンがヒュンケルに直接命令を与え、彼が単独でダイ抹殺に乗り出してしまったり、そのハドラーも個人的な都合を優先してバランを総攻撃作戦から外したこともある。
バルジ島では分散したダイ達を叩くという形で超竜軍団を除く全軍で戦ったが、クロコダインとヒュンケルの裏切りにより失敗している。
またバーンが選出したミストバーン、ヒュンケル、バランがいずれもハドラーにとっては扱いづらい人材であったといえる。
度重なる失敗はバーンの不興を買い、映画版ではハドラーの影武者である【ガルヴァス】が反旗を翻すこととなった。
 
組織としては、優秀な人材を豊富に備えていながら横の繋がりが脆弱であったためうまく機能しなかったと言える。
魔王軍六大団長は最強のメンバーだったがダイ達に勝つことが叶わなかったことをハドラーは後に「指揮官であるオレの心に野望と保身以外の感情がなかったから」と述懐している。
軍団を作ることそのものが目的であったバーンとしては、失敗した経緯と結果が見られただけでも有意義なものであったかもしれない。
強大な敵軍でも、内部が一枚岩でなかったら勝つことは難しい、という事を逆説的に伝えている点で原作のDQシリーズへのリスペクト(強大な魔王の軍は手を変え品を変え人間界を脅かすも、わずかな人間に敗北している)も含まれているのだろう。
 
【キルバーン】の表向きの仕事は軍団長を始末する事だった。
実際にバランの始末に出向いており、内部粛清も存在する。
 
ちなみに作者はキャラクター分けとして、
良い奴・格好良いグループとしてクロコダイン、ヒュンケル、バラン。
悪い奴・謎な奴グループとしてミストバーン、ザボエラ、フレイザード。
この様に分けて設定したらしく、実際に前者は主人公の味方になり、後者は最後まで敵のままだった。
なお、軍団長のスカウトを行ったのは
バーン→バラン、ミストバーン、ヒュンケル
ハドラー→クロコダイン、ザボエラ、フレイザード
となっている。

クロスブレイド

この作品における「光」と「暗黒」以外の【属性】のモデルは、そのままこの六軍団の名称と設定である。
 
原作を忠実にモンスターを区分分けした結果、やはりと言うべきか「百獣」魔団に属するモンスターが群を抜いて多くなっている。
逆に群を抜いて少ないのはご察しの通り元々種類が少なかった「氷炎」魔団。元から所属していた爆弾岩系、フレイム・ブリザード系以外だと【ギズモ】系ぐらいしか追加されてなく層の薄さがより明確になってしまった。
意外なところで人員が大幅に強化されたのが「妖魔」士団で、元から悪魔系で構成されていた縁か原作では「ハドラー親衛隊」に所属していた【アークデーモン】系や【ガーゴイル】もその親衛隊の枠がゲームではないのでこちらの所属になり、魔法に長けるが体力に劣るのが軍団の弱点であった原作と異なり、【ボストロール】等のパワー系の面々や【ベリアル】【妖魔軍王ブギー】といった準ボス系の大物も悪魔系という事でこちらの所属になる等、「超竜」に勝るとも劣らない強豪軍団になっている。
また上記で述べたDQ11の六軍王から、2弾時点で2(と人間態の1人)が参戦。元ネタと思しきダイ大の軍団長と共演を果たすこととなった。
また、原作ではどの軍団に位置するかが明確には語られなかった【キラーマシン】は、この作品にて魔影軍団に属することが明らかになった。
更に【ゴーレム】系なども魔影の所属になっているようで魔影軍団もかなり軍団層が充実しつつある。

第5弾では全員が軍団長の肩書きと共に【ドラゴンレア】としてカード化された。