概要
DQ3以降で使われているシステム。自然回復とも。
名前の通りターン毎に【HP】を自動回復させるもの。
「キズがかいふくした」というようなメッセージは一切表示されず、秘密裏に回復するので体感的には【攻撃力】が低いうちはタフに感じられ、ある強さを超えて来るとあっさり倒せるようになるという特徴を持つ。
例:初の自動回復持ち敵であるカンダタ2回戦(自動回復50前後、最大HP400)における理論上撃破ターンと自動回復によるダメージの増減
(実際はダメージや回復量にランダム幅があるが、ちょうど平均値のみが出たと仮定。)
毎ターン平均ダメージ | 理論上撃破ターン |
50以下 | 倒せない(±0) |
55前後 | 70ターン(+5) |
60前後 | 35ターン(+10) |
65前後 | 24ターン(+15) |
70前後 | 18ターン(+20) |
しばしば、攻撃力が数ポイントしか違わないのに圧倒的に高額な武器を購入する意義を疑われることがあるが、自動回復がある敵ではその数ポイントのために金をかけるべき場合もあるし、レベル上げにしても1回で力が全員1~2ポイントずつ上がった所で与えるダメージは2~4上がる程度だが、与えるダメージが55→60の変化なら30ターン以上短縮できる。
このように、ほんのわずかな攻撃力の差が撃破可能ターン数を大きく変えてしまうことになる。1ターンでも攻撃の手を休めようものなら撃破可能ターンが大幅に伸びてしまう。
逆に【会心の一撃】で想定外の大ダメージを与えられれば大幅な短縮が見込める。
最大HPを超えて回復することはないので、戦闘が始まったらまずは可能な限り補助呪文を駆使し、さらに受けたダメージを回復した後で攻撃に移ることで有利に立ち回れる。
相手の残りHPを把握しているのなら、【ギガデイン】のように燃費が悪くとも一気にHPを削れる攻撃手段を中心に、パーティ全員で総攻撃してとどめを刺すのが理想的である。
ちなみに比較としてリメイク版の彼(自動回復なし、最大HPが700)を見ると、
毎ターン平均ダメージ | 理論上撃破ターン |
50丁度 | 14ターン |
55前後 | 13ターン |
60前後 | 12ターン |
65前後 | 11ターン |
70前後 | 10ターン |
このようにかなり攻撃力を上げても撃破可能ターン数がほとんど変化しない。
元々は【モンスター】のHPを1023以上にできなかったFC版DQ3で、ボスモンスターに相応のタフさを与えるために採用されたのだが、最大HPとは別のアプローチで耐久力を調整できるためか通常のモンスターでもこの特性を持っている者が結構いる。
DQ4以降は【負けバトル】用モンスターにこの特性を持つものが多い。
パラメータ上限が拡張されたSFC以降の作品においても、純粋にゲームバランス上の理由と思われる採用例が少数ながら存在する。
DQ5以降は味方側も装備品の効果等で自動回復能力を得ることが出来るようになった。
不思議のダンジョンシリーズにおける自然回復も小規模の自動回復と言える。
隠された設定
この自動回復はターン終了時に体力が回復している事実そのものがプレイヤーからは全くわからないことが肝であり、【取扱説明書】はもちろん【公式ガイドブック】などにもその事実は長らく掲載されていなかった。
DQ5で初めていのちのリングなどによる装備品を用いた味方キャラの自動回復が実装されてもなお、モンスター側の自動回復の存在事実は隠され続けた。
そのため、「一部のモンスターは特定の攻撃呪文でダメージを受けると、そのダメージ分のHPを回復する」という仕組みだと誤解してしまうプレイヤーも見かけられた。
ただし、ファミコン版DQ3の発売当時、勇者1人旅に挑戦したあるプレイヤーが、通常のパーティプレイ時に比べるとボスキャラが異常に強くなっていることに疑問を抱き、【ドラゴンクエストマスターズクラブ】にその旨を投稿したところ、【堀井雄二】本人から次のような回答があった。
「おっと、いきなりアブナイ質問だなぁ。
実はですね、それにはちょっと言えない様な秘密があるんですよ。
あまり具体的には言えないんだけど、決してHPが高くなったり、防御力が上がったりして、
強くなるワケではないんです。
結局そうゆーキャラに関しては、1ターンの間にある数値以上のダメージを与えないと、
倒せないようになっているんですよ。
こちらが弱すぎると、いくら攻撃しても倒すことはできないのです。
戦闘中に自然とある現象が起きるので、ある程度のダメージなら、
次のターンには残らないようになってるんですよ。
ダメージが残らないとゆーことは…、そこから先は自分で考えてね。」
(ファミコン必勝本『ドラゴンクエストIII マスターズクラブ』 92ページ)
また、この10年以上後に出版された【あるきかたシリーズ】でも、おそらくは執筆陣もこの仕様を把握していると思われるものの、知らないフリ(PS版DQ4の91ページ、【マーニャ】単独での5章エビルプリースト撃破挑戦の記事を見てみると分かりやすいだろう)の一点張りを通した。
さらに、Wii版を取り扱った『ドラゴンクエストI・II・III 超みちくさ冒険ガイド』の38ページ(記事テーマは主人公単独クリアでのバラモス撃破)では「もはやHPをコッソリ回復しているとしか思えない」と記述するにとどめている。
ついに、DS版DQ4の公式ガイドブックでバルザック+が自動回復している事実が初めて記載され、その後Wii版『ドラゴンクエストI・II・III 公式ガイドブック』においてもバラモスとゾーマに自動回復の事実が記載された。
プレイヤーにとってはとても厄介な能力であり、自動回復を持つ相手には短期決戦を心がけること。
自動回復の特性を持つモンスターに関しては、下記を参照(なお※は敗北や何らかのイベントが発生しないと戦闘が終わらない想定の敵)。
DQ3
リメイクされるたびに該当者が減っているが、その分強くなっていたりするので注意。
20前後 | 【スカルゴン】 |
50前後 | 【うごくせきぞう】【トロルキング】【バラモスゾンビ】(FC、SFC) 【バラモスブロス】(FCのみ)【カンダタ】(FCのみ、2回目のみ) |
100前後 | 【やまたのおろち】(FCのみ)【ボストロール】(FCのみ) 【キングヒドラ】(FCのみ)【バラモス】(FC、SFC) 【ゾーマ】(SFC、GBCでは【闇ゾーマ】のみ) |
DQ4
自動回復の最盛期。ザコも容赦なく回復し、リメイク版でもザコの自動回復はほぼ再現。
【格闘場】でも自動回復モンスターが多数出場して混乱を招いた。
鉄球魔人2匹の対戦は今でも語り草になっている。また下位種のオーガーも、この自動回復によって100%勝利という恩恵にあずかっている。
リメイク版では5章の多くのボスの自動回復が削除されたが、その分最大HPが増加している。
20前後 | 【よるのていおう】【ライノスキング】【ブルデビル】【グレートライドン】【バルザック】(4章) 【シーライオン】(リメイク版)【フロッグキング】(リメイク版)【エビルプリースト】(5章/リメイク版) |
50前後 | 【オーガー】【レッドドラゴン】【バルザック】(5章)【ヘルバトラー】(FC版) 【エビルプリースト】(5章/FC版)【キングレオ】(5章/FC版) |
100前後 | 【てっきゅうまじん】【おにこんぼう】(リメイク版)【キングレオ】(4章/リメイク版※) 【ギガデーモン】(FC版)【エスターク】(FC版)【デスピサロ】(最終形態/FC版) |
999 | 【キングレオ】(4章/FC版※) |
DQ5
ここで一気に廃れる。100前後は普通に倒せない特殊なボスのみ。
なお、味方も【いのちのリング】や【しんぴのよろい】、
【オラクルやののれん】(リメイク版)によって自動回復を行うことができる。
ただしこの装備品による自動回復は敵側のような何のメッセージも出ないこっそり回復ではなく
ちゃんと「○○のキズがかいふくした!」のメッセージが表示される。
しんぴのよろいは以降のシリーズにも継続して登場する。
DQ6
風前の灯火だがまだ残っている。
味方も【勇者】の【職業】によって最大80HPの自動回復をすることができる。
こちらの方が回復量の多さも手伝って存在感を見せる。
DQ7
再びバリエーションが増える。味方側の戦闘に参加するNPCにも死なないように自動回復が設定されているようだ。
20前後 | 【ダゴン】【フロッグキング】【グレイトマーマン】 |
50前後 | 【神さま】【オルゴ・デミーラ】(最終) |
100前後 | 【スイフー】※【イノップ】(初戦※)【ゴンズ】(初戦※) |
初めて自動回復する裏ボスとして神さまが実装された。
また、DQ6に引き続き、職業特性や装備効果等も受け継がれている。
DQ8
敵側の回復量が表示されるようになったのでHPの食い違いを防ぐためか【モンスター・バトルロード】Aランク決勝戦の【ボーンファイター】が毎ターン20回復するのみとなった。
まさに最後の一葉。
3DS版では、戦闘に参加するNPCである【チャゴス】(王者の試練時)、【マルチェロ】(ジャハガロス戦時)の2名が『現在HPが最大HPの半分以下の場合、ターンの最後に999回復』という強力な自動回復を得ている(通常プレイの範疇ではまず発動する機会は無い上、発動しても非表示なので気付く機会も乏しい)。
DQ9
敵方の能力としては、ついに絶滅してしまった。
その一方で、味方側だけ【いやしのうでわ】等で回復出来、【特技】の【いやしの雨】を使用することでもターン制限付きだが自動回復が出来る。
DQ10
敵側にもいやしの雨の使い手が登場した。
また、【リホイミ】の上級呪文が登場して、リホ系なるものが出来上がった。
どちらもターン制限付きだが、リホ系はうごくせきぞうやキングレオといった、過去作で自動回復していたモンスターが使用してくる。
【妖精図書館シリーズ】に登場する敵モンスターには3秒に1度999回復すると言う凶悪なヒーリング能力が搭載されており、詰め将棋ならぬ詰めバトルとなっている。
DQ11
前作に引き続きリホ系といやしの雨が登場。
PS4版では自分のターンが回ってきたときに、3DS版ではターンの最後に回復。
また、【セーニャ】と【ベロニカ】の連携技【ラムダの祈り】によってこの効果が得られる。
ジョーカーシリーズ
ジョーカーシリーズでは【じどうHPかいふく】という特性として登場している。
また、リホイミでターン限定ながら、これを擬似的に付与することも可能。
ダイの大冒険
【超魔生物】の「戦闘中に受けた傷を回復する自己再生(修復)能力」がこれにあたる。
また、【大魔王バーン】は心臓を貫かれるなどの状況でなければ、壊死したり斬り飛ばされたりした腕を即座に再生できる他、彼の居城である【バーンパレス】の心臓部も生半可な闘気技による傷は程なくして再生できることから、これと同様の特性を持っていると言えよう。
勇者アバンと獄炎の魔王
【ブロキーナ】が【ハドラー】の強さの秘密に天才的な戦闘センスと「戦闘中でも異常な回復力を発揮している」ことを挙げている。
ハドラーのずば抜けた再生能力もまたボスキャラの持つ自動回復の再現と思われる。
不思議のダンジョンシリーズ
プレイヤーキャラクター及び仲間キャラクターのHPはターン経過で自然回復する。
HPの自然回復量はキャラクターの最大HPに比例して増加する。
トルネコ3では、この自然回復の早さを示す数値として【回復定数】という用語が使われる。
ドラけし!
強敵【リーズレット】が初所持。
攻撃直後に発動し、回復した分に再度ダメージを与えてもスコアには加算されない。