【ベロニカの最期】

Last-modified: 2021-11-14 (日) 20:08:05

DQ11

「パーティーメンバーの1人である【ベロニカ】【死亡】してしまう」というDQ史上類を見なかった衝撃的なイベント。
イベントを見ればわかると思うがここで言う【死亡】とは「【ザオリク】を使って回復できる【状態異常】」等という生温いものではなく、二度と復活できない、本当の意味での「死」である。
何らかの理由で正規メンバーが永久(【キーファ】等)に、または一時的にパーティを離脱してしまう前例(【ゼシカ】等)はいくつか存在するが、「死に別れる」という形でパーティーメンバーを離脱したのはDQシリーズの長い歴史の中でも彼女が初である。
BGMも終始【哀しみを胸に】が流れ、気が滅入る場面の1つ。これを見た大方の初見プレイヤーは驚きと悲しみが込み上げただろう。世界に異変が起きた後はパーティメンバー1人1人と再会を果たしながら冒険していくので、最後にようやくベロニカと再会したかと思えばこのような残酷な事実を叩きつけられるので、ここまで頑張ったプレイヤーへのショックはかなり計り知れないものと思われる。
また、このイベントの余りのインパクトに、打倒【魔王ウルノーガ】にさらなる闘志を燃やしたプレイヤーもいたと思われる。
DQ5の【古代の遺跡】【ゲマ】イベントと同程度かそれ以上の衝撃である。
この時点では普通にプレイしていればベロニカのスキルパネルはまだまだ開放されていない部分が多く、イオ系やメラ系などの高火力呪文を使う仲間も彼女一人であるというところから、メタ視点で「何だかんだベロニカが戻ってくるのではないか」と期待するのも束の間、このイベントの最後にはベロニカのスキルパネルがセーニャに引き継がれるという、“RPGのシステムまでも使ってメタ視点でも死を実感させる”という徹底ぶりであった。この瞬間にようやく「ベロニカが本当に死んでしまった」という事実を突きつけられ絶望したプレイヤー達もいたとか。
 
【メダル女学園】【追憶の根】で確認できる【旅のおもいで】の中で、「新たなる旅路」のリストの中にこのタイトルで記憶されている。

概要

【命の大樹】に到着した一行は、【勇者のつるぎ】を目の前にして【闇のオーブ】を携えた【ホメロス】の奇襲を受け、あえなく敗れてしまう。
その後【グレイグ】と共に現れた【デルカダール王】に取り憑いていたウルノーガに奪われ【魔王の剣】と化した勇者の剣で命の大樹はその源を吸い取られ、ウルノーガはその余りある力を用いて世界を焼き払う大爆発を引き起こし、結果、幹だけを残し亡骸と化した大樹は転落してしまう。
その際ベロニカは、【主人公】ら6名の仲間の他、ウルノーガにこれまでの16年を奪われていたデルカダール王、そして王に取り憑いていたウルノーガ(及びホメロス)にたぶらかされていたグレイグを逃すために全魔力を使い果たし、自身はウルノーガの引き起こした大爆発に巻き込まれ、落ちる大樹と共にその短い生涯を閉じてしまうのである。

世界に異変が起きた後

かくして【聖地ラムダ】の静寂の森でベロニカを発見する。
しかし、そこで横たわる彼女は既に魂のない抜け殻であり、自分の杖を通じて彼女の視点から見た大樹の崩壊の一部始終を過去の記憶として見せた後、杖を残して光となって消えてしまう。一行はこのときになって初めて、ベロニカが命をなげうって自分たちを救い出してくれたことを知るのであった。

このときの仲間会話では、各々の悲しみと想いを聞くことができるので、ぜひ一度は仲間会話で聞いておきたい。それぞれのやりきれない想いや悔しさを感じ取ることができるだろう。
 
なお、PS4版と3DS版ではこのシーンの演出に若干の相違点があり、PS4版では主人公が立ち去るセーニャを見送った後に画面がブラックアウトして葬式のシーンへ移行するが、3DS版ではその後に悲しみに沈む仲間たちがカメラのあおりで映しだされ、主人公が握り拳を作って天を振り仰ぐシーンが挿入される。仲間たちの悲しみと、魔王の侵攻をあえなく許してしまいかけがえのない仲間を守ることができなかった主人公の無念が強調されている。

過ぎ去りし時を求めた後

魔王誕生が阻止されたことで命の大樹が落ちなかったこともあり、この出来事もなかったことになり未来が変わることになった。
「過ぎ去りし時を求める」最も大きな動機として「ベロニカの死を回避する」ことが仲間達の間で上がっていたこともあり、ベロニカの死はそれだけパーティメンバーにも深い傷跡を残したことは想像に難くない。

伏線

この展開は全く唐突に訪れるわけではなく、勘のいいプレイヤーならば薄っすらと予想できるものではあった。
まず、仲間になるときに「命に代えてもあなたをお守りします」といって入ってくる。実際にベロニカの葬儀中では「勇者を守るために、いざという時どちらかかが盾になることは覚悟していたのかもしれない」という話が聞ける。もっとも、これはよくある誓いであるのでこの時点で予見した人はほとんどいないだろう。
最も目立った伏線は【始祖の森】【キャンプ】での死亡フラグじみた姉妹の会話イベントであろう。
システム面においても、中央以外に被りがない二人の【スキルパネル】配置という形でスキル引き継ぎが起こることを予感させる要素が存在しているが、これは「互いに足りないところを補い合う」ともとれるのでわかりにくい。システムこそ違うが長所が真逆の姉妹と言うのはDQ4にも【ミネア】【マーニャ】がいたので、こちらのプレイ経験があるならなおさら違和感を覚えにくい。
【ミルレアンの森】【主人公】が氷漬けにされそうになったときに最初に駆けつけ助けてくれたり、凍えて倒れてしまった主人公を誰より心配し看病してくれたりといった気が強い割に甲斐甲斐しい描写も、イベントの悲しみを引き立てるアクセントになっていると言えるだろう。
DQシリーズにおいてNPCではない正規のパーティメンバーと死別するというのは前例のないことであるため、今までシリーズをプレイしてきた人は、まさか仲間と死に別れる日が来ようとは思いもしなかったのではないだろうか。
逆にDQ11がデビュー作という人の方が、案外この伏線に気がつきやすかったかもしれない。古参プレイヤーはいろいろな意味で予想を裏切られたと言える。
 
ちなみに、始祖の森のキャンプでのベロニカとセーニャの会話の中で、ベロニカが「自分の身になにかが起こっても、一人で生きていけると約束してほしい」と言ったことに対して、セーニャは自分が「約束できない」と答えてしまったことを大樹が落ちた日からずっと後悔していたらしい。

「大樹が落ちた あの日から ずっと……。
私には 心残りに思っていた事があるのです。
 
(回想シーン)
 
「私は ずっと 後悔していました……。
あの時 約束していれば お姉さまも
安心して 天に召されたのではないかと……。

と言っているのだが、よくよく考えてみれば姉が死んだのを知ったのはこの台詞を発した日、即ち今日のはずであり、この台詞だとあたかも姉の死を以前から知っていたかのようになってしまい、一見矛盾しているようにも見える。
 
これがスタッフの単純ミスではないとすると、一応、静寂の森に向かう前に何らかの形で姉の死を感じていたと解釈すれば矛盾はしない。
特にこの姉妹には、離れていても無意識にお互いの存在を感じ取っているような描写が作中で何度か登場する。
一つの魂を分け合って産まれたとあって、二人の間にそのような通じ合いがあるのは不思議ではない。姉の死を確信したわけでなくとも、そういった不安感の中でずっと後悔していたと取ることもできる。
 
あるいは、上記の台詞の「心残り」と「後悔」が別のことを指している可能性もある。
大樹が落ちた日から離れ離れになりつつも、自分と同じく【聖地ラムダ】を目指してどこかを旅しているはずの姉に、ひとりで生きていけると約束できなかったために心配をかけてしまっていることを心残りに思い、そんな状態のまま死に別れてしまったことを、葬儀の間ずっと後悔していたのかも知れない。

考察

命の大樹での情景でベロニカが爆発に飲み込まれる直前、カメラアングルが彼女の口元に寄り、何かをつぶやいているシーンがある。
迫り来る衝撃波の轟音で聞き取れない演出のためか、メッセージウィンドウによる台詞表記はなく、欧米版やDQ11Sでもボイスはない。
このため、この時ベロニカは何と言っていたのかが考察・議論の的となっているが確たる結論は出ていない。
以下に一例を挙げる。

  • 「ごめんね」
    • 皆を逃がすのが精一杯で自分はここで果ててしまうことを仲間たちに対して謝罪
    • 芽吹くも散るも一緒だと話したのに先に散ってしまうことをセーニャに対して謝罪
  • 「勝ってね」
    • 唇の動きと文字数を読むとこれが有力とする説
    • 仲間たちを逃がす際に「生き延びてウルノーガから世界を救って」と言っていた
    • この時点では世界の危機や対ウルノーガに関して何の光明も見えていないのに「勝ってね」はやや不自然との意見も
  • 「またね」
    • 直前にセーニャに対して「またいつか同じ葉のもとに生まれましょう」と言っていたことから
    • 唇の動きから文字数は4文字ではないかとされ、この場合「またね」は該当しない
  • 「ありがと」
    • 状況的に不自然か
  • 「さよなら」
    • もう一緒に冒険できない仲間たちへのお別れ
    • 特にセーニャには先の会話イベントを踏まえて永遠の別れを悟って言った
  • 「がんばってね」

欧米版およびDQ11Sの英語ボイス設定時では、唇の動かし方が異なり “Good-bye.” と読み取れるような動きになっている。
 
なおPS4版・DQ11S3Dモードでは何かを呟いた直後にカメラが高速でズームアウトしつつホワイトアウトするため漠然と見ているとはっきりとわからないが、両目を開いたまま静かな表情(映像の再生速度を落として見ればよくわかる)をしており、3DS版3Dモードでは目を閉じて安らかな笑みを浮かべる。

余談

ストーリー中に死ぬのは開発の早い段階から決まっていた模様。
DQ11のストーリーのキーワードとして勇者・世界の崩壊・究極の決断が挙げられており、究極の決断として主人公が過去に戻るエピソードが生まれた。
その中で、主人公が過去に戻る動機付けとして世界の崩壊時にパーティメンバーを死亡させる展開が生まれたという。
(言い方が若干残酷だが)その生贄として、シナリオ展開を考慮して選ばれたのがベロニカだった。
意図的なのか不明だが本作はシリーズでも一、二位を争うほど攻撃呪文が優遇された作品であるためベロニカを重用していたプレイヤーも多いだろう。
崩壊後にパーティ戦力低下とベロニカの存在感を意識させ、死亡発覚時の衝撃を増加させる意図があったとも考えられる。
公式アンケートでは、この最期のエピソードが人気1位を獲得している。
 
また、ベロニカの最期にショックを受けつつも"ストーリーを進めればベロニカが生き返る展開になる"と期待した人もいたようだ。
「大樹崩壊後に新たに手に入る装備品にベロニカが装備可能のものが無数にあるし、そもそも一人しかいない攻撃呪文特化キャラがリタイア&不在のままエンディングに至るわけがない」というメタな読みだったのだが、直後にベロニカの能力がそっくりセーニャに受け継がれ、セーニャが魔法系最強キャラへ覚醒してしまうというシステム的な潰しが入るため、二度とベロニカが復活する線はないものと絶望し、ベロニカがいないならもういいやと心折れてゲームを投げてしまった人もいるとか。
実際はストーリーを進めれば生き返りとは別の方法でベロニカと再会できるが、ネタバレをシャットアウトしてきたプレイヤーはこの時点でそこまで読むのは難しかっただろう。
 
作品中かなりの強いインパクトを残すことになったイベントであるが、他のメンバー全員が気を失うような状況でパーティ内で最も打たれ弱いベロニカだけが動けた点にやや不自然さが残る。
このとき仲間を逃がすために使ったルーラの応用のような魔法も唐突に登場し、最後まで説明なく謎のまま終わるなど、若干説明不足な点もあるのはちょっと惜しいところか。
 
ちなみに、メインキャラの(イベントでの)死亡と言えば【パパス】が有名だが、主人公ではない【プレイヤーキャラクター】の死亡はベロニカが初。
他の断末絡みのイベントと異なりネタとなりうる要素が内外問わず一切無いため、今際の際のベロニカがぬわったりぐふったりするようなオマージュはない。
したところで内ただの不謹慎とみなされるのがオチだろう。
 
なお、聖地ラムダではベロニカと同様に、大樹が崩壊した時の衝撃で弟を庇い、自らを盾にして命を落とした女性がいる。
その子の母親代わりとなった人が、ベロニカの葬儀中に言った台詞を以下に記載しておく。

「誰かのために 命を投げうつのは
 たしかに 勇気ある行為かもしれません。
 けれど 美談とするには 残酷すぎます……。

 
それとは別に、2005年に映画化もされた1998年出版のパウロ・コエーリョによる小説「ベロニカは死ぬことにした」から途中で死亡するキャラにベロニカと名付けたという説もあるが真相は不明。