伊形家

Last-modified: 2016-12-18 (日) 17:57:54
 

躯を成せば情を生じ、情を交わせば御魂が宿る。
  九十九の神は函の中。要諦たるは“鋳型”なり。
                    ……伊形家に伝わる、最初の教え。

 

所属者

伊形真紅郎:二代目当主。
伊形赤祢:四代目当主。
朱砂・I・シュメッターリング:分家筋。既に魔術師としては没落している。

 

来歴

古くから人形師の家系であったとされる。
が、現在の刻印の継承が行われ始めたのは19世紀中頃とかなり新しい。
初代である伊形鴇(いがた・とき)が幕末の混乱期に来日した魔術師の薫陶を受けたことで現在の魔術系統が完成され、以後新政府軍側で軍事行動に従事していた。
戦中、二代目の伊形真紅郎(いがた・しんくろう)が大日本帝国陸軍特務機関“五月機関”の一員として従軍。欧州で時計塔を相手に魔術戦を展開するが、敗戦。欧州で勃発した聖杯戦争を経て時計塔のバリュエレータが身柄を預かることとなる。
彼を時計塔へ連行したトイストイ・バリュエレータとの契約により真紅郎とその子、三代目の伊形蘇芳(いがた・すおう)までバリュエレータの意向で魔術的な暗闘に従事することになるが、徐々にバリュエレータ側でも需要と興味が薄れていき、ついに四代目の伊形赤祢(いがた・あかね)で放逐。現代魔術学科へ籍を移すことになる。
が、“トイストイの繰り糸”はまだ生きており、立場上は政敵に当たるエルメロイの懐に入ったこと自体バリュエレータの意向ではないかという噂もある。

 

魔術

人形師の家系。
最初の教えにある通り九十九神を基盤とするらしく、躯体を製作するとその躯体に即した精神が宿り、その精神と交流することでやがて魂を形成する、という手順を踏む。
このため伊形の人形は殊更に躯体の完成度に注意を払う上に必ず高度な精神性を備え、結果的にハイエンド志向となっている。
初代から受け継ぐ“九九ツ廻し”と呼ばれる81体の人形群を保有し、これ(と操作用の術式)が刻印に当たる。

 

作品群

・九九ツ廻し
伊形家の魔術刻印。初代から受け継ぐ81体の人形群。
ただし完成度はまちまちで、壊れたり、より完成度の高い作品が製作されたら入れ替える。
強力な部類には初代以前(つまり魔術師として確立される前)から伝わる自動人形(オートマータ)が含まれ、これは魔術戦にすら耐えうる。
下位のものは外装を瞬時に変更して他者を模倣し、その精神性まで複製する諜報型の人形が多く、これはよく入れ替わる。

 

・ガルディアーノ爺さん
真紅郎の代に製作された人形。
トイストイ・バリュエレータの亡骸(ほとんど人形に置換されていた)を元に製作された。
トイストイに酷似した精神性を持つが、これは伊形の人形作成の性質による部分が大きい。
真紅郎曰くには“同じランプに火を灯したなら、それが前の火と違うかどうかなんて誰も気にならない。そういうことさ”とのこと。
ガルディアーノとは“後見人”の意であり、両親を早くに亡くした赤祢の親代わりにもなっている。
また元の躯体の質がよかったのかある程度魔術戦に対応できる。

 

・アーチャーⅡ
赤祢が製作したオリジナルの作品。
第四次双葉聖杯戦争で契約したアーチャーの模作であるため、“アーチャーⅡ”と名づけた。
極めて高度な精神性と戦闘能力が共存した“大いなる無駄の塊”。“神域の大駄作”。
コンセプトの見えない極めて非合理的な人形なのだが、使われている技術は赤祢を不世出の天才であると認識させるには十分なほど高度なものであり、周囲の反応は困惑の一言であった。
ただ一人、製作の経緯を知る彼の師だけは大笑いしたらしい。大変珍しいことに。
自動人形(オートマータ)としては例外的に高い戦闘力を持ち、正面戦闘であれば戦闘に特化した魔術師、あるいは第三世代主力戦車に伍する。
なお、なぜか八極拳をとても恐れる。部材には真紅郎の代で大破した九九ツ廻しの上位作品が流用されているが、関係があるかは定かではない。

 

・キャスターⅡ
赤祢が製作したオリジナルの作品。
虹浦聖杯戦争で契約したキャスターの模索であるため、“キャスターⅡ”と名づけた。
戦闘能力は乏しいが、精緻な外見と生まれながらに複雑な精神性を持つ点が特筆に値する。
アーチャーⅡの妹分だが、姉より口も達者で頭も回る。
製作後は角折月羽の世話係を勤めている。ガルディアーノ爺さんは教育役としては一流だが感性が魔術師なので情操教育によろしくなく、アーチャーⅡはそもそも護衛以上のことは出来ないためである。