昇格カリナ

世間知らずのヴァンパイアの少女カリナ、一族の力を継承した！

カリナはヴァンパイア貴族一族の一人娘として生まれたが、幼い頃から品行方正から程遠かった。
次期当主となることを拒否して家出をすると、血液パックでの摂取を拒否して、旅行者を獲物に日常的に吸血するようになる。そんな最中に、森で出会ったガーディアンの甘い血に魅了されて、一方的にガーディアンにつきまとうようになった。ガーディアンと共に浮遊城を訪れてからの生活は、実家にいた時には経験できなかったスリル満点の日々で、ロレインにバレて折檻されるまで、秘かに浮遊城の住民を襲って吸血したりもしていた。

浮遊城を拠点にガーディアンたちとの日々を楽しんでいたカリナであったが、父からの連絡で姉が危篤になったと知らされて、実家へ戻ることになった。カリナの姉、シャーロットは、一族の分家の生まれであったが、優れた魔力を持っていたために、一族の力を継承する次期当主候補に選ばれ、カリナが幼い頃に養子になっていた。シャーロットは当主になるべく励み、継承の儀式に臨んだわけだったが、意識が戻らなくなっていたのである。姉が当主を継承してくれると固く信じていたカリナは、目覚める気配もない姉の姿を目の当たりにして衝撃を受けるも、姉を救うために自らもまた継承の儀式に臨んだのだった。儀式によって、一族の力が集まる先祖の世界に入ったカリナは、先祖によって継承者として認められた上で、継承しようとして魔力に飲み込まれようとしたシャーロットも無事に救出し、元の世界に戻った。

継承の儀式で、結果的に一族の力を分かち合って継承したことで、カリナは以前よりも豊かな魔力を、シャーロットは健康な身体を得ることができたのだった。当主の力をふたりが継承したというのは前代未聞のことであったが、カリナとシャーロットはそのことよりも、継承の儀式によりお互いの髪色が混じりあったことを喜び合った。ただシャーロットはカリナも正式に共同の当主になってくれることを望んでいた。カリナも、大好きな姉の手伝いをしたいとの思いがないわけではなかったが、面倒で退屈な当主としての役目よりも、ガーディアンとの冒険とその血を吸いたかったため、当主を姉に任せて再び実家を出て行ってしまったのだった。こうして成長したことを自慢する気満々だったカリナを待っていたのは、浮遊城が消えてしまったとの現実だった。
だが、カリナはそれで落胆することなく、懸命に浮遊城の行方を探し、苦労を乗り越えて、最近、やっとその行方を掴み、魔界に辿り着いたのだった。

実家を離れた今となっても、カリナは秘かに当主となったシャーロットの手伝いをしている。シャーロットからの手紙で当主の役割に苦労しているのを知ったカリナは、一度は実家に戻って手伝うことも考えたが、そのための教育から逃げていた自分にはできることにも限りがあると理解していた。そこでカリナが講じたのが、アンドロイドに頼ることだった。カリナは、アンドロイドがやりたがらない浮遊城外部の清掃やお使い業務などを担う代わりに、アンドロイドには会計を代行してもらうことになった。そうやって、カリナはお使いや掃除などをしながら、新しい吸血対象を探すことができ、一方のアンドロイドたちは寝ながらでもできる簡単な仕事ができるため、お互いに満足いく取引ができたという。

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