王子/王

Last-modified: 2024-10-18 (金) 18:52:56

概要

 初期の設定における大精霊達の長。今のところ英語の「Prince/King」あるいは「the Child/Ruler」という呼称、そしてRulerに対応する日本語の「統治者」という呼称が存在するが、当wikiではわかりやすさのため特に過去の設定における「Prince/King」については「王子/王」、現在のゲーム内における「the Child/Ruler」については「『子ども』/統治者」と呼ぶ。
 Tom Zhaoさんのサイトの124枚目内では、「King」は巨大であり、反対に王子は星の子と同じくらいの大きさ(116枚目内の「Prince」が示すと思われる人物)である。
 王子/王については、Tomzhao氏によるバックストーリー(Tom Zhaoさんのサイト116枚目参照)に詳しく書かれている(※開発時のものなので現在のゲーム内にこの設定がそのまま使われているかは不明である)。このバックストーリーによれば、王子は母たるメガバードから火を与えられ、6人の祖先=大精霊を選出し空の王国を治めていた。王子は雨林で光を吸収する性質を持った石「ダークストーン」を発見し、ダークストーンの技術によって王国は発展する。王子は大精霊達にそれぞれ特別な力を持ったダークストーンを贈る。王国は峡谷時代にて黄金時代を迎え、同時に王子は戴冠して王となる。しかしその「ダークストーン」によって王は堕落し、「Corrupt King(堕落した王)」と化してしまう。生物との戦いの中で闇の嵐が生まれた後は、その中に閉じ込められてしまう。
 また、天空に登る場面のコンセプトアートでは王子らしき人物が暗闇に空いた空中の穴に向かって星の子を連れていく絵が見られる。また、別のストーリー案の中でも、星の子が王子に光を与え、王子が王の中から王子を救出する描写がされている。
 開発のある時期では、王は暴風域で星の子を脅かす存在として設定されていた(Tom Zhaoさんのサイトの63枚目116枚目参照)。暴風域では「King's Spear(王の槍)」と「King's Darkness(王の闇)」という攻撃をしてくる設定だったようである。

 公式アートブック「The Art of Sky」では、より詳細で現行バージョンに使用されていると思われるストーリー設定が書かれている。それによると、ある時1人の子どもと村人たちが光を利用する方法を発見し、それによって王国を作り上げた。子どもは統治者たる王子となり、村人たちは大精霊たちとなった。しかし彼らはそのために光の生き物たちから光を抜き取る利己的な行為を行い、ついにはSkyの世界の根幹である魂の循環にさえ手を伸ばした。その過程で光の代わりに虚空が生まれ、世界は滅び始めた。手遅れになった後、後悔した支配者は自分を犠牲にして光を空に還し、のちに空に還った光の魂たちは星の子どもたちとなって戻ってきた。
 また、暴風域は魂の渡りを採掘するために空に最も近い場所に建設され、非人道的に魂の循環を引き出すことは、統治者の最後の思いあがり(hubris)だったとも書かれている。

考察

 ゲーム外においてはThe Two Embersの告知映像では四芒星の装飾を身につけた統治者とみられる人物が登場している。また、2人の主人公のうち1人が王になるというJenova氏の言及もある。
 ただし現在のゲーム内には直接そうとわかるキャラクターが登場しておらず、また登場したとしてもその性格・性質が初期の設定案と同じものであるとは限らない。

 統治者については、書庫の大精霊ムービーで見られる最後の星座の人物がではないか、とする説がある。現在のゲーム内でそれとわかる大精霊は、孤島・草原・雨林・峡谷・捨てられた地・書庫の大精霊7人であるが、書庫の大精霊像で瞑想した時のムービーでは8人目の人物の絵が現れる。背景に天空へ向かう際に通る建造物を思わせる絵が書かれていること、また直後に暴風域への扉が開くことから、この人物は暴風域/原罪の大精霊ではないかと考えられる。さらに、この人物の星座が他の大精霊の絵よりも上に現れること、王冠を被っている(星座はその王冠)こと、またSkyは王国であるのにも関わらず王にあたる存在は大精霊や精霊達の中に一人もいないように思われることから、この人物が統治者なのではないかと考えられる。「王の槍」は座礁船や方舟に刺さっているギザギザのもの、「王の闇」は闇の破片にあたるのではないかという説がある。闇の破片は統治者から発生した結晶ではないかという説がある。現在統治者の消息は不明だが、暴風域の嵐そのものになったのではないかという説がある。原罪後半で見られる地面を移動するサーチライトのような赤い円は現在の統治者によるものではないかという説がある。
 
 また『子ども』については、原罪で星の子が出会ってハグをする白い子どもにあたるのではないかとする説がある。初期の設定には、「王子」と王子が戴冠してなった「王」が同一人物であること、星の子が堕落した王の中にいる王子を救うこと、星の子によって救われた王子が堕落した王の体を突き破るようにして上空に飛び立つこと(堕落した王の体の中から抜け出すことは、堕落した王の心や魂の中に王子の部分が残っていたことを示している(つまりこの時点で同じ存在であった王子と王は別の存在になっている)と思われる)が描かれている。これらのことから、現在のゲーム内で星の子が暴風域の中心にある原罪で助け、星の子と共に上空へ飛び立つ存在、すなわち原罪の白い子どもなのではないかと思われる。
 預言者の季節の壁画で描かれる金色の人物も『子ども』なのではないか、という説がある。この金色の人物は試練を達成して4つの光を得た後それを大精霊に分配し、最後の壁画で輝きを増している。輝きを増す絵が星の子のケープのレベルが上がった時に類似していることから、『子ども』も星の子に似た能力を持っていたのかもしれない。あるいはケープのレベルが上がること自体が「輝きを増す」と似たような意味合いがあるのかもしれない。
 統治者が星の子になったのではないかという説、またはそれに類するものはあるが、星の子は生放送で「新しいジェネレーション」「今生まれた」と言及され、また先祖(精霊の別の呼び名)=Ancestorに対するchildrenと呼ばれており、対して王子や王はSky王国時代に存在したことから紛れもなく「旧世代」あるいは「祖先」に類するものであり、どんな理由があろうと『子ども』/統治者と同一個体、あるいはその一部であれば「今生まれた新世代」ましてや「子孫」と呼ばれることはないと思われる。また、コンセプトアートには王子/王と星の子が同一であるという記述はひとつもなく、旧バックストーリー案でも星の子は「メガバードによって送られた新しい子孫の種族」と書かれている。さらにAURORAバーチャルコンサートでは王国滅亡後と思われる時期に光の蝶が星の子に直接変化した、という描写があるため、これも上記の説の反証になると思われる。アートブックでも統治者の犠牲の後に星の子どもたちが生まれたが、星の子どもたちの元になった光の魂は「light souls」と複数形になっており、少なくとも単数形で表される統治者の魂のみによって生まれたものではないと示唆している。
 
 初期の設定では、Kingがダークストーンによってcorrupt(堕落した/汚染された)してなったとされるCorrupt Kingが描かれている。既に巨大なKingに比べて、Corrupt Kingはさらに巨大に描かれることが多い。これは年月による成長としては不自然に感じられ、ダークストーンによって肥大化した可能性を示唆している可能性がある。となるとダークストーンを渡された大精霊達もダークストーンによって肥大化した可能性があり、ダークストーン以前はもっと小さかったかもしれない。またこれは捨てられた地の戦場エリアの無数の盾と武器が巨大である理由にもなるだろう。これらはダークストーンによって巨大化した精霊の武器なのかもしれない。ただ、AURORAコンサートでは古代と思われる光景に現在の姿の孤島の大精霊が現れること、巨大化した精霊が未だ描写されていないことには留意すべきである。肥大化したのは統治者のみかもしれない。
 捨てられた地の王の像のサイズ比較と思われるコンセプトアートでは本人と思われる姿が既に星の子より遥かに大きいが、像の方はさらにその2倍以上は大きい。各地の壁画でも王と見られる人物は極端に大きく描かれる。現実世界においても古代文明や中世ヨーロッパにおいて権力者は極端に大きく、それ以外の者は小さく描写されることがあり、それと同じようにこの時期の王の自己顕示欲、権力欲が強いことを表しているのではないかという説がある。
 王子と王でかなりの体格差があることから、王子がダークストーンを発見して堕落したから王になった(つまり「王」というものは堕落した概念であることを暗に示している)と見ることも出来る。
 ある設定画(CAFA GAME ART 2018)では、王の頭部に王子のような人影が見える。
 ちなみに「王子」であるからには親である王や女王がいないといけないのではないかという意見があるが、英語である設定画内では「prince」という語が使われていることに留意したい。princeの意味は必ずしも「王の息子」ではない(https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%B9 )。

初期設定案における王のモチーフになったのではないかと思われる存在や概念

  • 槍(ゲーム内では雷とも結び付けられているような描写がある)を武器とする、一部のストーリー案で捨てられた地の大精霊を狂戦士にしているなどのことからゼウス(https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BC%E3%82%A6%E3%82%B9 )やオーディン(https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%B3 )などの一部の神話の主神のイメージがある。
  • また神を名乗って王になろうとするイメージは反キリスト(https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%8D%E3%82%AD%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%88 )にも通じるところがある。キリスト教において反キリストは救われないが、設定案における王子は救われる(ただし王は救われないともいえる)。あるいはアマルナ革命にも似たようなものを感じる。
  • また太陽神とも言えるメガバードに選ばれて下界に派遣され、その後堕落した神(王)というと天照大御神に地上を平定するよう遣わされ、その後堕落した天穂日命や天若日子も思わせる。
    ちなみに世界各地で「神そのものである王」「神の子孫である王」「神に命じられた王」はよく見られる。
  • 死体の中から再生するというモチーフは不死鳥に通じる。また、闇の中から魂を救い出すという点では規模が違うだけで精霊や生物たち、また原罪の像に対して星の子が行っていることと同じとも言える。

仮面について

 王子は四芒星が2つ組み合わさった八芒星のような仮面、王の像(王自身は仮面ではなく四芒星の王冠とダイヤで特徴づけられており、また王の像のコンセプトアートでは八芒星の仮面をつけている)は大きな四芒星がついている。
この八芒星のような仮面が砕ケル闇ノ季節の最後のいにしえの追想エリアで現れている。

王子/王はどの星か

 Skyは現実世界とは異なる世界の話ではあるものの、それぞれの領域やそれぞれの大精霊を現実世界の星と結びつける試みがなされている。王子/王も例外ではない。

  • (新しい)恒星(あるいは太陽)である
     メガバードが星雲または銀河であるのでその中で生まれた恒星であるという意見と、メガバードが太陽であると見なし、それになり代わろうとしたという意見がある。王子の仮面が強い輝きで示されているのは実際に光が強かったからで、王の巨大化は赤色巨星に類似し、原罪城が吹き飛んだのは超新星爆発で、光を奪おうとする原罪のダイヤはブラックホール、闇の嵐はそれを取り巻くガス雲、その上に立つ光の柱はジェットであるという説も派生する。また王が捨てられた地で人工太陽を作ってそれを飲み込んで恒星になろうとしたという説もある。この説では王が元々は恒星ではなかったということになり、以下の他の説に結びつくことがある。
  • 月である
     月は太陽に次いで明るい星ではあるが自分で輝くことができない。これに不満を抱いた王が書庫の大精霊ムービーの最後にあるように太陽であるメガバードを食べようとした(日食)という説。原罪でハグした後のムービーの月のようなものは実は日食の終わりであるという見方もある。
  • 金星である
     金星はキリスト教の悪魔ルシファーと結び付けられている(金星はキリストとも結び付けられている。ルシファー(https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%BC )を参照)。金星の過酷な環境は暴風域/原罪に似ているようにも思える。
  • 木星である
     木星の英語名であるジュピターは上記ゼウスと同一視されたユピテルに由来している。また木星は惑星の中でいちばん大きく、太陽になりえた可能性があると言われている。さらに木星には大赤斑という巨大な嵐が存在する。
  • ベツレヘムの星である
     ベツレヘムの星は八芒星として表されるが、これが王子の仮面に酷似している。

ストーリー考察

  • 1つ目の説
     絵で何かを食べている、また最後の領域名が「原罪」であることから聖書でいう知恵の実を食べて天罰を受けたのではないかという説がある。しかし旧設定ではもともと(精霊が堕落する前から)生物は死後メガバードに知識を捧げていたようであるから、この可能性は薄いと思われる。メガバードが知恵を持つことを罰するのであれば書庫は破壊されていたのではないかと思われるし、そもそも旧設定ではメガバードが精霊に文明を育てさせていると思えるような描写すらある(精霊の堕落は雨林で「ダークストーン」が発見されてからであり、それまでは精霊と生物が調和して暮らしている)。メガバードが現在の設定において意思を持つのかすら定かではない。
    メガバードは「輪廻」と「繋がり」の象徴である。つまり堕落した統治者はそれとは対極の存在であったと考えられる。すなわち“輪廻の拒否=不死”と“繋がりの拒否=自分勝手、または孤立”である。GDC2019講演資料でも利己主義と断絶は闇側として語られる。
     Skyにおいて全ての生物は循環するものであるからいつか死ぬことは間違いない。しかし統治者がダイヤによって神にも等しい存在になっていたなら、不死になることも可能だったかもしれない。しかしダイヤは光を消耗しないと動作しない。すなわち筆者は王が「他の(全ての)光を食い物にして自分だけ不死(ひいては最高神)になろうとしたのではないか」という説を提唱する。
     Skyで丸で表されるものは光、精霊の核、マンタの影、魔法、メガバード(設定画において「完璧な円」と表される)などがあるがほとんど全て光に関連のあるものである。
     また日食は世界各地で不吉なものに結び付けられており、悪に属するものが太陽を飲み込んでしまう神話も多い。また、歴史を紐解けば不死になろうとした王もまた多く、その際使われたものには有毒の水銀や水銀を含む辰砂(https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E8%BE%B0%E7%A0%82 )という鉱物が挙げられるが、この辰砂は暴風域や原罪のエネルギーを奪う石や原罪の巨大なダイヤのように赤い。また、同様に不死をもたらすという賢者の石も赤いと言われている。
     ただし統治者は最初から悪だったわけではないと思われる。Yui氏の話によれば草原は自然との調和がテーマであるのだから、その治世の間には善なる時期もあったことだろう。また現在ですら完全な悪ではなく、その中に残されていた良心が、旧ストーリーにおいて王の体の中にいるとされる王子なのだろう。それが、今のゲーム内でいえば原罪のダイヤの中にいると思われる光る子どもであり、長年孤独に閉じ込められていたこの子どもはフレンドとの感情表現であるハグによって繋がりを取り戻し星の子と共に空に登るのではないだろうか。